○
政府委員(
小笠公韶君) お
手許に
中小企業金融対策の
現況の
資料をお配りいたしておると思うのでございますが、それに従いまして簡單に現在の
中小企業金融の
状況を御
説明申上げたいと思います。
中小企業金融に対しまするいろいろな施設の中で、先ず第一に
市中銀行から
中小企業へ流れておる金の
状況が第一頁を書いてあるのでございます。一応三百万円以下の
貸付を
中小企業として見ます場合は、約三二%、
総額が二千七百六十二億円というふうな
状況が昨年九月末現在でございます。
一般的に
市中銀行から出しておりまする額は、大体そういうことでありまするが、昨年四月からいわゆる
中小企業の
專門店舖というものが十一大
銀行に作られておるのであります。六十四カ所作られておるのが第二頁に書いてあります。これの活動の跡は真中頃に書いてありますが、四月の二十日から十二月末日までの
貸出累計は四万九千二十三件でありまして、
金額といたしましては百十二億七千百万円というような
数字に相成
つておるのでございます。全体に
中小企業金融專門店舖でや
つております
処理状況、又
貸出の
拒絶理由というようなものにつきましては、次の頁に書いてあるのでございます。この
貸出を
專門店舖から受けられなかつた一番大きな
理由は、パーセンテージとしましては、
企業信用不足というものが、件数として一番大きく、千七百四十一件というような
数字に
なつておるわけであります。ここで
中小企業の
金融におきまする
信用力の弱さをどう保護するかということが考えられるわけであります。
業種別の
貸出状況はその次であります。これが
一般の
銀行から
中小企業に対して出ておりまする
金融の大体の
状況でありますが、第二の、四頁の第二のところへ参りまして
中小企業の
專門的金融機関の問題でありまするが、それにはここに一つが商工組合中央金庫、それから
信用協同組合、その他国民
金融公庫というふうに書いてあるわけでありますが、商工組合中央金庫につきましては、現在出
資金が、民間出資が五億、見返
資金からの
融資額が五億で十億でありまするが、その出
資金を以ちまして現在どういうふうにや
つておるかということを、
資金の関係、借入金の関係、
貸出の
状況というふうに分けて書いてあるのであります。大ざつばに申しますと、商工中金は一昨年の暮の
貸出残高が二十八億余、こういうのが昨年の十二月末には約百千億
ちよつと切れておりますが、百十億まで伸びて参
つておるのであります。昨年一月におきまして、いわゆる協同組合組織を通じて
中小企業へ金が
相当この金庫から流れておるということが考えられるのであります。この商工中金から流れておりまする金の使途につきましては、八頁のところに書いてありますように、主として運転
資金に金が出ておるのであります。即ち百十億の
貸出残高について、百億が運転
資金で設備
資金は十億ということに大体
なつておるのであります。この
資金がどういう業態において使われておるかということを
業種別の
貸出の
状況を見てみますと、一番大きいのが何と申しましても製造工業の関係であります、六十三億という
数字が出ております。その次は商業
金融として卸、小売業に対する短期
金融というものに約三十七億という
数字が出ているのでありますが、商工中金はここでも農業であるとか或いは林業とか狩猟業というようなもの、或いはサービス業とかいうような
項目が入
つておりますように、
中小企業等協同組合法が非常に広い範囲において、中小の
規模であれは業態が商工業でなくても組織し得るというふうに改められておりますので、商工中金から組合
金融として出資される農業、林業、狩猟というような原始産業に近いところまで
相当出ておるということが昨年来一つの顕著な動きに相成
つておるわけであります。商工中金の問題といたしましては、ここで本
年度の特に問題になりますのは、
資金源等から考えまして短期な運転
資金の
資金面をどう集めて行くかという問題が今
年度の一つの大きな問題になると考えておるわけであります。
それから九頁に
信用協同組合の
状況を書いてございますが、現在組合総数が六百三十三というようなことに相成
つております。これは一昨年の法律改正によりまして、市街地信用組合が協同組合に改組されたものが非常に多いのであります。この
信用協同組合の行
なつておりまする現在のいわゆる
金融事情というのは十頁に書いてありますような
状況でありまして、現在
相当な二百五十六億というような
貸付金が行われているわけであります。貯金の積金といたしましても百億近い
数字の
金額を持
つております。
中小企業金融の專門機関の一つと見られます無盡会社につきましては、その次に書いてありますように現在五十九の無盡会社がございますが、無盡会社の活動
状況というのはその次に書いてあるのでありまして、
貸付金といたしましてもすでに二百六十一億というような大きな
金額に
なつておるわけであります。
それからやはりいわゆる庶民金庫と恩給金庫との合体によりまして、小さな事業
金融を行うことを中心的な目的といたします国民
金融公庫の活動
状況をその次の十一頁から十二頁に書いてございますが、国民
金融公庫は現在前の臨時国会で増資になりまして、現在四十億というような出
資金に相成
つております。更に二十六
年度の
予算におきまして二十億の出資をして、大体六十億の出資を以て小口
金融に当
つているのであります。この活動
状況につきましては、二つのいわゆる普通の零細企業を中心とした小
規模企業に対する事業
資金の
貸付の問題と、いわゆる引揚者、戰災者等に対する更生
資金の
貸付との二つになるわけでありますが、第一の
一般の
中小企業金融といたしましては、普通小口
貸付に
なつておりますが、これは大体二十二億八千三百万円という昨年十一年末現在の
貸付の
状況に相成
つておるのであります。この国民
金融公庫の果しておりまする、特に零細企業に対する
金融として、この
公庫の果しておりまする役割は非常に顕著なものがありまして、この
金額が全額政府出資でありますし、経費も
予算のみで行うというような
制度でございますので、非常に大きな効果を挙げているのであります。その
申込の
状況、
貸付の
状況等が次の頁に書いてあるのでございますが、全般的に大ざつぱに申上げますと、現在希望者に対しまして二割見当しか
資金の関係から
貸付ができておらないというような
状況であるわけでございます。一方この
貸付は御承知の
通り個人に対しましては最高十万円、実際は平均が五、六万円の
実績に
なつておりますが、法人でありますと、十人の連帶を認めまして百万円まで貸し得ることに
なつておるのであります。これを月賦償還でありますので、この
回收率も非常にいいようでありまして殆んどいわゆるロスが出ないというような
状況に相成
つておるのであります。で、零細企業
金融におきまする
公庫の活動は非常に高く評価していいのでありまして、更に今後この組織の拡張改善という問題が非常に大切なのではないかと考えております。 それから
中小企業のいわゆる特に設備
資金の供給といたしまして先ほど
理財局長から
お話がありました、対日援助見返
資金の
状況が十五頁に書いてございますが、大体先ほどの
お話の
通りであります。特にどういうような
貸付をしておるか、十六頁で
貸付の條件というものを一応過去の
実績から調べてどの
程度の企業にこの
資金が出ておるかということを書いてございます。
それから短期な運転
資金としての大きな供給面であります。
日本銀行の
中小企業向の別枠
資金のことを十七頁以後に書いてありますが、現在四十二億の
貸出残高を以ちまして、興銀、勧銀、商工中金、北拓の四行を通じて
中小企業の運転
資金、主として運転
資金に供給されておるのであります。これは当初四億五千万円の
資金で始めたのでありまするが、現在四十二億ということに相成
つておるのであります。そのほかに十九頁に書いてありますように、一昨年の暮の
預金部資金の百億の預託の問題、昨年三月におきます
国庫余裕金の
金融機関への預託はそういうものを通じてのいわゆる
中小企業への
金融の疏通を図
つておるということにつきましては十九頁に書いてある
通りであります。以上は現在
中小企業金融としてのどういうような機関で、どういうふうな
程度金が
中小企業へ流れているかということに対するその
資料でございまするが、
中小企業金融におきまする一つの問題は、
信用力が比較的薄弱である。従いまして
金融機関その他からなかなか金が流れにくい、そこに
中小企業といたしまして
金融を円滑にいたしますためには何らかの
信用力を補強するという必要がございますので、そういう補強的な補助的な政策としての、現在やられております成果が二十頁、二十一頁に書いてありますように、信用保証協会の
制度と、
中小企業信用保險
制度でございます。信用保証協会はここに書いてございます
通りに四十八ありまして、保証の承諾
総額はすでに百七十二億八千七百万円ということに
なつておるのであります。而もその間におきまして現在は順次これは返済されまして、八十六億というふうなものが各四十八の保証協会の保証の現在高であります。而もこの間におきまして、代位弁済をいたしまして、保証協会の負担に
なつたものが二億六千百万円というふうな僅かな
数字で、信用保証というふうな
信用力に若干の外部の公の力によ
つて、つつかい棒をするということによ
つて、
中小企業金融に案外ロスが少いということがこれから言えるのではないかと思うのであります。第二の
中小企業信用保險
制度でございますが、これは昨年の第九臨時国会で協賛せられまして施行にな
つたのでありますが、これは本年に入りましてから順次整
つて施行に
なつておるというようなので、まだ施行後日が浅いので、その
実績をはつきり申上げにくいのでありますが、法律によりまして一—三月のこの保險を附して
貸付け得る
貸付金の
総額が三十六億円ということに相成
つております。これを二十二頁にその
状況を書いてありますが、これを
金融機関と契約を結びまして施行に移
つておるわけであります。現在までにすでにこの保險
制度を利用して正式の保險契約の通知が参
つておりまするのが四、五件ございまするが、順次この
制度が周知されるに従いましてこの
制度の利用が活濃化するのではないかというふうに考えておるので、特に地方の
銀行或いは
信用協同組合、無盡会社、商工中金、農林中金というふうな
中小企業に比較的密接な従来の関連を持
つておりまする
金融機関におきましては、これを非常に歓迎して利用するであろうということを期待いたしておるのであります。
最後にこの
中小企業に対しまする
金融指導といたしまして、特に受入態勢の整備というようなことから簡易帳簿
制度、いわゆる帳簿の整理というようなことにつきましては関係各方面が努力いたしておる。いわゆる
金融の企業としての受入態勢をできるだけ整備させるということを一方においで努めておるということを書いてあるのでございます。
以上が現在
中小企業金融として行
なつておりまするあらましでございまするが、冒頭の二、三行にも書いてございますように、朝鮮動乱以後特需その他景気の基調が変
つて参
つておりまするが、なお
中小企業全体といたしましては
相当金詰りの傾向というものがあるように見受けられるのであります。で特に地域的な関係、いわゆる業種或いは地域におきまする凹凸の問題がまだ
相当あると思うのでございます。それで
中小企業の基本的な一つの向上を図るために、特に工業面におきまする設備の改善、更新というようなところから、これの推進に必要な長期
資金の調達の問題につきましてはなお今日十分に参
つておりませんので、できるだけこれを推進する必要があるというふうに考えておるわけであります。
以上簡單でありまするが、
資料に基きまして御
説明申上げた次第であります。