運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-02-08 第10回国会 参議院 予算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月八日(木曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件公聽会開会に関する件 ○昭和二十六年度一般会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度特別会計予算内閣  送付) ○昭和二十六年度政府関係機関予算  (内閣送付)   —————————————
  2. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それではこれから予算予備審査第三日目、鉱工業関係についての審査に入りたいと思いますが、その前に一つお諮りしたいのでございますけれども公聴会の件についてでございます。公聴会は御承知通り国会法第五十一條によりまして、必ず開くことになつているのでありますが、先に委員長理事との打合会におきまして、三月五日と六日の両日に開会したらどうかということに話合つたのでございますが、これについて如何でございましようか、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) では御異議ないものと認めまして、そのように決定いたします。なお、公聽会を開くことにつきましては議長の承認を要することになつておりますので、この手続公述人の選定などにつきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) では御異議ないものと認めましてさよう取計らいます。   —————————————
  5. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それでは本日の審査に入ることにいたしますが、今日御出席政府委員のかたがたは通産政務次官首藤新八君、公益事業委員会事務総長松田太郎君でございます。先ず最初に通産省関係施政方針の概要について首藤政務次官の御説明をお願いいたします。
  6. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 御承知のように最近アメリカを初め各国の軍備拡張はいよいよ軌道に乗つてまいつたと見えまして、世界的に物資の動きが非常に活溌と相成つて参つたのであります。そうしてそれが直ちに日本経済に敏感に影響しまして、これがために日本経済は日に日に新たな様相を呈して参つておるのであります。かような新情勢に対しまして、通商産業省といたしましては、これに即応するような新たな構想を一応立てましたので、以下それを御説明申上げます。追つて各位の御批判と御協力をお願い申上げることとかように存ずる次第であります。  申すまでもなく、現在の経済界におきまして最も必要といたしますのは、何といつて輸入促進であると存ずるのであります。従いまして、この輸入の問題につきましては若干詳しく申述べたほうがいいかと存じまするので、多少くどいかも知れませんが、詳細に御説明申上げたい、かように存じます。  今日まで輸入を阻害しておりました原因は、いろいろありまするが、この中でも通貨の転換性につきましてはいろいろ問題があつたのでありますが、最近ポンドのスワツプの制度が認められたことと、更に又外国銀行の好意によりましてポンドユーザンスの便宜が供與されましたことによりましてこの問題は非常に緩和して参つたのであります。又更に才ープン・アカウント運用につきましても、スイングの額を超過しても重要物資買付が可能になつたということも関係方面の了解が得られましたので、かれこれ今日まで非常にネツクとなつておりました為替関係の問題は、一応当面といたしましては解決したかというふうな考え方を持つておるのであります。そこで次に問題となりまするのは、これらの措置によりまして、近く厖大な輸入品内地に到着いたしまするが、その輸入品ユーザンス或いはその他の期限到来後におけるところの金融如何にするか、これが只今の一番大きな問題でありますが、最近日本銀行のスタンプ手形制度拡充、或いは別個におきまして借入金制度であるとかというようなことも目下折衝いたしておるのでありまして、大体現在の構想におきましては、一——三に七百億前後ありますれば大体賄い得るのではないか、そしてその七百億円は大体解決見通しが付いて来ておるのであります。又輸入貿易管理制度運用につきましても、御承知のごとく昨年七月以降極力自動承認制度拡充を図りまして、当初僅かに十四、五種に過ぎなかつたものを今日までは百七、八十種の物資にこれを適用いたしておるのであります。更に又重要物資輸入限度についての緩和又は撤廃、或いは標準外決済、仕入地の変更であるとか、輸入期間延長等許可基準緩和をできるだけ推進いたしまするし、又輸入担保制度につきましても、担保金額の減額或いは又担保の沒収等、今日までとつておりました措置をできるだけ緩和いたしまして、以て民間輸入を十二分に推進できるような方法をとつておるのであります。  次に政府貿易の問題でありますが、貿易のように特に機敏な処置を要する事業に対しましては、すでに御承知のごとくできる限りこれは民間の熱意、努力に待つことが最も適当である、かように考えるのでありまして、昨年来その思想の下に進んで参つたのでありますけれども、なお又現在の政治情勢からの結果、やはり国家が或る程度物資の獲得をやらなければならんというふうな面も残されておりまするので、それに対処いたしまするために、緊急物資輸入基金という特別な予算を設けまして、政府は急速にこの貿易に当りたい、かような考え方も持つておるのであります。かくのごとくいたしまして、重要物資買付促進いたしたいと考えておるのでありまするが、更に突発事件、問題が起きて物資輸入が困難だ、或いは又現在の情勢から考えますると、恐らく国際商品は今後ますます上昇して行くであろう、上昇するのみならず買付がいよいよ困難になつて参りはせんかというような、将来に相当不安が残されまするので、この際できる限り大量の物資買付けまして、以てこれを備蓄いたしたい、我々の構想では、できるならば六カ月分ぐらいの原材料国内に備蓄いたす、そして如何なる突発事件が起りましても、内地供給或いは輸出の面におきまして何ら支障のないような体制を整えて、以て経済の安定、更に積極的にそれの上進推進いたしたい、かような考え方を持つておるのでありまして、その機構といたしまして、只今申上げました政府基金基本といたしまして、これに対しましてもできる限り他の方面からの借入金その他の措置によつて目的を達成いたしたい、かような考え方を持つておるのであります。更に又輸入促進対策といたしまして、現在最も早急に解決しなければならん問題は、船腹の問題であります。御承知のごとく船腹は昨年九月以降ようやく日本船外航許可になりましたのでありまするが、而もその後世界的政治情勢の緊迫と相待ちまして、日本向船舶が非常に減つて参つたのであります。而も一方におきましては、先ほど来申上げておりまする通り、大重の物資を緊急に輸入しなければならん。従つて日本船のフルな運転は無論でありますが、而もこれを全部運航いたしましても、その日本船によつて輸送される量は全般の三割乃至三割五分に過ぎない、かような状態にありまして、而も外船もますます入港が減つて参るというような情勢なつて参りましたので、いよいよ船腹を急速に獲得し、以てこれらの大量物資輸入に万支障のない対策をとらねばならんということが当面の緊急事であります。そこで通産省といたしましては、御承知通り船舶は運輸省の管理でありまするし、又新造船の建設或いは又AB級船の改造等々、極力船舶増強には邁進しておりますけれども、当面の輸人にはこれらが間に合いかねまするので、何とかこの間のポケツトを塞ぎたいといろいろ考えました結果、幸いに通産省には現在貿易特別会計余裕金が若干ありまするので、この際、貿易特別会計余裕金でありまするけれども、緊急の間に合せるためにはこれを放出いたしまして、以てできる限りの船舶確保いたしたい、かような考え方の下に目下関係当局と打合せを進めておるのであります。かように輸入確保につきましてはいろいろの方策をとりまして、以てこの際完全に輸入確保をいたしたい。そうしてこの輸出振興のみならず、国内供給に万遺憾なき措置を講じて行きたいと、かように考えておる次第であります。更に又、輸出の問題でありまするが、輸出振興対策につきましても、これはすでに御承知のごとくこの前の国会輸出銀行を創設する問題等、いろいろの対策をとつて参つたのでありますが、今後も一層輸出振興のために努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。次に、国内生産増強につきましては、海外の依存度を極力少くするため、先ず我が国資源徹底的開発を中心にいたしまして、殊に今後この需給の逼迫すると見られる金属鉱物電力、或いは広く民生及び産業基礎物資でありますところの石炭業開発につきましては、従来の方策を更に積極化し、又現に不足し、又は近い将来において不足すると見られる物資につきましては、極力この生産設備拡充に努めますると共に、国内資源を有効に利用いたしまして、不足物資の代替可能な産業、例えば各種の合成化学につきましてもその拡充を期している次第であります。生産増強推進いたすためには、必要な産業資金の円滑な供給がその政治の鍵と言われますので、産業資金確保につきましては、後に述べまするように、あらゆる努力を傾注いたす所存でありまするが、資源開発生産拡充用設備に必要な資材につきましては、この必要量を必要なときに確保せしめるよう援助を與えますると共に、現に行なつておりまする採鉱、或いは試掘の助成金の増額を図り、更に今後絶対に確保すべき緊急物資生産のためには必要がありまするならば、政府はその生産設備等につきまして更に積極的な助成策を講じたい、かように考えておるのであります。なお、この機会に特に申上げておきたいと思いまするのは、政府の従来行なつて参りました合理化促進対策は、今後も状況の許す限りますます強力に推進する決意であるということであります。ただ合理化の重点は、単なるコストの切下げだけでなく、原材料消費節約と製品の品質向上に向けて行くことが必要であると考えておるのであります。従つて生産技術向上生産方式改善等技術向上につきましては、試験研究及びその結果の企業化につきまして、更に一層の努力をいたす所存であります。又現状におきまして、輸入促進、或いは生産力拡充対策につきまして、最も重要であり、又緊急を要する問題は、これに必要な産業資金供給如何の問題でありますが、産業資金調達方法といたしましては、原則として民間蓄積を主体とすべきは当然でありまして、その一助として設備拡充合理化についての税金の免除軽減措置等について目下金融当局協議をいたしておるのであります。併しながら大量の長期資金の需要は到底民間資金のみでは賄うことは困難でありまするので、必然的に民間資金、或いは復金償還金、或いは預金部資金長期運用引当分等国家資金を動員いたしまして、以てこれらの資金源を緊急なる産業資金に集中的に投入することが絶対的に必要でありまして、これがため開発銀行預金部資金運用等について目下関係省協議を進めておる次第であります。今日まで我が国産業界全般に亘る問題といたしまして、特に中小企業についてはこの際一言御説明申して置きたいと思うのであります。昨年の夏以来の景気の上昇に伴いまして、中小企業においても事業が漸次活溌と相成りまして、その状況も日に日に明るくなつておるかのようでありまするけれども中小企業がその企業規模が御承知のごとく非常に弱小でありまして、本質的に内蔵する弱点経済の変転のときに当りましては最も強く露呈されるのでありまして、この本質的な弱点解決するため、今後なお一層その合理化を図り、その協同化促進するため協同組合或いは協同施設の活用を高度ならしめまして、中小企業最大難点である金融の不円滑、これを解消せしむるよう、中小企業信用保険制度中小企業に対する金融枠増大等に努めて行きたい、かように考えておる次第であります。更に物資需給の適合につきましては、先に申上げました輸入対策及び生産対策を強力に推進いたしまして、供給力増大を図り、統制手段は極力避けるよう努力する所存でありまするが、ただ若干の重要物資につきましては、この需給が国際的に特に緊迫しておりまするので、今後の各般情勢によりましては、統制の止むなきに至る場合があるかも知れませんが、その場合にも統制の範囲を極力局限いたしますると共に、統制方式を簡素にし、特に一般国民大衆影響を及ぼすようなことは極力避けたいと考えておるのであります。なお自治統制につきましては、事業者団体性格上、政府の行うべき権限の一切を行うようなことは勿論不可能でありまするが、統制を行う場合にはできる限り民間経済道義自治協力の能力に依頼しましてやつて行きたいと、かように考えておるのでありますが、そうするためにはどうしても独禁法、或いは臨時物資需給調整法、或いは事業者団体法であるとか、かようなものを或る程度そこから解決しなければならんと考えまして、目下この問題につきましては安本当局研究をいたしておる次第であります。以上、通商産業施策基本的方針について御説明いたしましたが、最近における情勢推移は、極めて急速且つ激甚でありまするので、各般施策は特に急速を要するのでありまして、各位の強力な御援助を特にお願いいたす次第であります。
  7. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 通商産業施策基本的な方針についての御報告終つたのでございますが、あとどういうふうに審議いたしますか。先ほど申しました政府委員出席以外に更に追加をいたしまして、公益事業委員会経理長中川哲郎君、通商鉄鋼局長中村辰五郎君、資源庁炭政局長中島征帆君が見えております。あとの審議をどういうふうにいたしますか。
  8. 山田節男

    山田節男君 大臣は、通商大臣出席できますか。
  9. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 本日は出席予定はございません。
  10. 波多野鼎

    波多野鼎君 炭鉱のストライキの問題が相当重要な問題になつておると思いますが、その点について通産省のほうではどのような方針で臨んでおるかということを一つ聞きたいのです。
  11. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それではその問題につきまして、炭政局長中島君。
  12. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) ストライキが昨日の第一番方から三井、三菱、井華北炭とこの四社が入りまして現在までまだ継続中でございます。昨日は全然両方の話合いの徴候がございませんで、本日は午前中も未だ歩み寄りの余地はなかつたようであります。つい最近の情報によりますと、本日の午後に入りまして会社側組合側と折衝に入るというふうに聞いておりますが、大体の見通しとしては私どももそれぞれ両者とも一応の妥協の線も用意しておるように聞いております。うまく行けば本日中に片付くし、まあ大体明日には遅くも片付くのじやないかとこういう期待を持つております。現在の影響といたしましては、四社の出炭量一日五万五千トンでありますが、特に最近一時的に品がすれのような徴候も部分的に出ておる際でありますから、これが長引きますと、各産業に対する影響も相当大きくなるという意味におきまして、非常に政府も関心を持つておるわけであります。当事者間におきましては、できるだけ早期に当事者だけで解決をしたいというふうな意図もあるようでありますから、本日午後の成行きを見まして、その上で政府といたしましてもとるべきことがあれば乗り出したいとこう思つておりますが、只今のところは今日行われます両者の会談の推移を眺めておる、こういうふうな段階であります。
  13. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) この日程表予定電力石炭鉄鋼、肥料、繊維等々について審議をすることになつておりますが、先ず電力の問題に関して公益事業委員会事務総長が見えておりますから、この報告を聞いたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや事務総長松田太郎君。
  15. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) それでは公益事業委員会機能、或いは運営方針といつたようなことにつきまして御説明を申上げたいと思います。  御承知のように電気事業ガス事業に関しまする行政は従来通商産業省の所掌するところであつたのでございますが、先に昭和二十四年七月九日附でマ司令部覚書電気事業の再編成に関する件というのにおきまして、日本政府内に電気及びガス車業に関する調整機能を果すために独立機関として活動する調整機関を設置すべきことの指示を受けたのであります。政府といたしましては、これに基きまして昨年十一月の二十四日にポツダム政令といたしまして公共事業令を公布いたしまして、同じく昨年の十二月十五日に右の政令施行を見まして、ここに公益事業委員会が設置されたのでございます。公益専業委員会といたしましては、この電気の外にガス事業に関しまする行政事務を掌るのでございまするが、そのうちそれぞれの施設の保安に関しまする事項につきましては、これは依然通商産業省の方にその所管が残つておりまして、それ以外の点につきまして公益事業委員会の方に移管されたのでございます。公益所業会におきましても明らかにされておりますように、公益事業委員会電気事業及びガス事業の健全な発達を図りますと共に、電気及びガス使用者の利益を確保することによりまして、公益事業者一般消費者との間におきましてその利害の調整を図つて参るということが大きな使命に相成つたのであります。右の使命を公正に、且つ的確に処理するために公益事業委員会はその所掌事務を遂行する上において相当広範な権限を與えられておるのでありまして、例えばいろいろの規則を制定することもできまするし、又手続の上から申しましても異議申立、或いはそれに対する聴聞制度といつたような準司法的な権限と申しますか、そういうものも持つておりまする、言わば独立性の強い行政機関としての性格を持つておるのであります。公益事業委員会所掌事務といたしましては公共事業令に規定されておりまするが、そういう線に沿いまして電気及びガス料金を適正にすることでありますとか、或いは公益事業経理及び会計を適正にすることとか、或いは電気及びガス供給を豊富円滑にすること、或いは公益事業運営調整いたしまして、且つその発達改善を図るといつたような幾多の事務を取扱うようになつておるのでありますが、以下簡単に当面の問題につきまして御説明をいたしたいと考えます。  公益事業委員会の当面の問題といたしまして、先ず第一にお話申上げなければならないことは、この電気事業の再編成の問題でございます。御承知のように電気事業の再編成という問題は、従来強度の国家管理の下におきまして、日発発電及び送電を担当し、又九つ配電会社日発から供給を受けました電力を配分する方面のことを担当しておりまして、言わば二元的な形体運営をされておつたのであります。この点を今回自発と九つ配電会社、合計十社を全部解体いたしまして、いわゆる民主的な経済体制の一環として発電送電及び配電を一貫して独立した責任の下にやつて参りたいと、こういうのがこの趣旨でありますことは御承知通りであります。かくいたしまして、新らしい独立責任を持つた企業形体を確立いたしまして、新会社、言い換えれば新らしくできます九つ会社はいずれもその創意なり、工夫なりというものをできるだけ活かしまして、自主的な運営を営み得るような体制をとりまして、この結果電気のサービスの問題につきましても、或いは料金の面におきましても、或いは供給の面におきましても十分の改善を加えまして、国民の生活の安定は勿論のこと、今後における我が国産業の発展に寄與するところを大ならしめるということを目標にしておるのであります。電気事業の再編成に関しまする手続の点を簡単に申上げますというと、いわゆるこの過度経済力集中排除法集排法でございますね、集排法と、それから過度経済力集中排除法施行に件う企業再建整備法特例等に関する法律といういわゆる集排法企業再建整備法との橋渡しをいたしております法律がございますが、その法律、それから先ほど申上げました公共事業令と同日に公布になりまして、同日から施行されておりますところの電気事業編成令に準拠いたしまして、この再編成手続を進めることにいたしておるのでありまするが、公益事業委員会におきましては、先ほど申しましたような意味電気事業の再編成の意義というものに徴しまして、一日も早くこの手続を完了することが適当であるとかように考えまして、去る一月の八日に持株会社整理委員会のほうから、この電力の再編成に関するすべての権限を全面的に委任を受けまして、又同日公益事業委員会といたしましても、電気事業編成推進方針に関する政令も出しまして、従来の日発及び九配電会社に対して二月八日即ち今日までに再編成計画を提出するように命じたのであります。各社といたしましても誠に涙ぐましいような努力を続けて頂いておりまして、今日は間違いなく計画書を御提出できることと私どもは確信いたしておりまするが、そういつた工合に今日までに再編成計画書を提出願いまして、その聴聞手続きでありますとか、或いは内閣総理大臣に対する異議申立期間というようなものもございますので、そういうような期間をそれぞれ法律の上で認められておりますものを十分参酌いたしまして、四月の末にすべての手続を了えて五月早々に新会社が発足すると、こういう目標の下に只今進めておるのであります。  只今もお話申上げましたように、結局いろいろの産業基礎をなす電気事業の再編成の成否ということが我が国国家の将来を左右する問題であると言うことができますので、公益事業委員会におきましても、公正且つ迅速を旨といたしまして今申しました手続措置に遺憾ないように推進に努めておるわけであります。  次に申上げたいことは、最近における電力需給の問題でございます。いわゆる異常豊水に恵れました昭和二十四年に引続きまして、昭和二十五年度に入りましても、その出水状況はおおむね良好であつたのでございましてその上一昨年の末には電気料金の改訂もございまして、そういうような点が相重なりまして電気事業者としての企業意欲というものは非常に向上いたしまして、最近における電力需用の極めて急激な増加にもかかわりませず、大体昨年の末まではほぼ安定をいたしまして、需給を保持することができたのでございます。ところが御承知のように、この電力需給状態というものは、必ずしも常に安定した形においてのみ推移するものではございませんで、一度出水が平年並み、乃至は平年を下廻るというような場合におきましては、ピーク時におきまする著しい最大電力不足を生ずるというようなこともございまして、キロワツト時の低下、或いはそれに対しまして、電圧の降下というようなことを招きまして、昨年の十月、或いは十一月におきましても、本州の中央部のような地域におきましては、緊急遮断をせざるを得なかつたというような実は実情もあつたのでございます。特に本年に入りましてからというものは、誠に御承知のような非常な渇水なつておりまして、大体過去八年間ぐらいの平均をとりますというと、いわゆる渇水期における自然流量というものは二百万キロワツトぐらいでありまするが、それがこの一月から二月にかけまして、特に最近は百九十万から百八十万というような低下を果しておるのであります。そういうような関係でございますので、電気事業者のほうとしましても、水力は勿論のこと、火力につきましても、フルに運転をいたしておるのであります。例えば石炭業にいたしましても、一日約一億円程度石炭を使つておるのであります。大体一カ月八十万トンから九十万トン近くも使うような割合で火力発電フル運転をいたしております。又フル運転をいたしておりますようなために、ときどき最近は施設が余りにオーバーロードになりますために、故障を起しておるようなこともございますのでありますが、それほどに実は火力のほうも大馬力をかけて動かしておるのであります。併しながら只今申しましたような、非常に水力の関係が逼迫いたしておりますので、自然緊急停電を実施するとか、或いは休電日の指定をするとか、或いは使用最大電力の指定をするとか、或いは使用電力量の制限をするというようなことを場合によつては法的措置まで講じて考えなくちやならんじやないかというような懸念さえ実はあるところなんでございますが、併し只今のところではそういつた点につきまして、日本発送電及び九配電会社の間において需用者側のほうと自主的に御懇談を願いまして、今申しました電力需給状況から、極力負荷の調整をいたしますとか、或いはそれに関連して各工場といたしましても、できるだけ深夜に電力を使つて頂くとか、或いは休日を振替えてもらうとかというようなことをお願いし、又需用者のほうとしても、この情勢を十分御了解頂きまして、非常な御協力は願つておるのであります。併しながら今申しましたような現実の状態でございますので、委員会といたしましても、毎日この電力量の点につきましては、十分な注意をいたしておりまして、皆様がたに何とか御迷惑のかからないぎりぎりのところまでは確保いたしたい、かように努力を続けておるわけでございます。併しながらそういつた問題を結局毎年々々繰返すということになりますと、これは大問題でございます。これを何とか早くこういう問題を年ごとに繰返さないようにしなければならんのでありますが、それには何と申しましても、結局水力にいたしましても火力にいたしましても、いわゆる電源の開発増強というものに力を入れるということが根本的な最も大事なことでありまして、そういう問題をおろそかにして、ただ徒らにその場その場の手を打つておるというようなことでは永久にこういつた問題を解消することはできないのであります。その点についてこの委員会といたしましては、電源開発の問題についてはできるだけの計画を立てる努力を続けるというふうにいたしておるのであります。  そこでこの電源開発の問題につきまして、一応触れておきたいと思うのでありますが、終戦後におきまして我が国電力の事情は御承知のように非常に激増いたしたのでございますが、それにもかかわらず電力供給はこれに対処することができない、いわゆる緊迫した電力危機を招来するということに相成りまして、電源開発促進に対しまする要望というものは、産業界は勿論のこと、国民全般の声として起つたのであります。併しながらこの開発促進は、結局その当時は資金の確保の困難、或いは資材の不足といつたような関係からいたしまして、電気事業者を初め各関係者のあらゆる努力にもかかわりませず、意のごとく進捗いたしませんので、結局昭和二十三年までの数年間というものは事実空白の事態を呈するという結果になつたのであります。併しながら昭和二十四年度に入りまして、初めて電力開発計画に対しまして見返資金九十八億というものの解除が行われるようになりまして、どうやら電源開発というものも軌道に乗ることに相成つたのであります。二十四年度の計画の点を簡単に申しますというと、結局水力におきまして二十六地点三十五万七千キロワツト火力が七地点二十二万一千キロワツト開発を主体といたしまして、それに送電関係とか変電関係とか或いは配電関係の各施設の計画を加えまして、総件数として四百四十九件というものから相成つております。併しながらこの右の計画に基きまする工事は、当初の資金の放出というものが意外に遅延いたしましたために、一時は相当遅れておる観があつたのでありますが、その後急速に各会社努力によりまして工事体制の整備を見ることに至つたのであります。更に昭和二十五年度の計画といたしましては、前年度の計画の継続工事を中心といたしまして、これに若干の新規工事を加えまして、所要資金百五十億円というものの開発計画を促進することにいたしたのでありますが、御承知のような事情から結局資金の放出が遅れまして、昨年の十二月に約百億近くの解除を得ました。只今二十四年度からの継続工事に対して主力を注いで、この工事の進渉を各社ともやつてもらつておるのであります。結局二十六年度中には只今申しましたような継続工事はすべて完了するという見込みでございますが、その結果出力は水力におきまして十三地点二十一万五千キロワツト火力におきましては五地点十三万五千キロワツト、これが二十六年度中に完成するという見込みでございます。今申上げましたように、今日までの開発計画というものは主として資金確保の困難から十分な促進を図ることができなかつたのでございますが、今後この急激に増加いたしますために、需用を充足するためには先ず長期資金確保いたしまして、開発計画の規模の拡大を図りますことが何よりも肝要なことでございます。電力の有効需用の見通しにつきましてはいろいろの見方があると思います。併しながら一応最近数年間におきまする実績とか、或いは経済安定本部におきまする自立経済対策審議会の結論等に照して見まして、最低限度に推定いたしましても、昭和三十年度においては年間約四百六十億キロワツトアワーというものを予想し得るのであります。二十四年度の実績は年間三百七十四億キロワツトアワーでございましたが、そういつたような大体予想も付きます。それから又これは大体年間需用が前年に比べて三・六%ぐらいの需用増を見ておるのでありますが、特に最近の急激な需用増加を見ますというと、その程度では足りないのじやないか。やはり一割程度の需用増を来たすのではないかというような点から考えまして、委員会といたしましても、そういうような観点から需用の測定もいたしまして、いろいろそれに対する電力供給電源の開発等について、水火力を通じて検討いたしております。いずれにいたしでも、只今申上げましたように年間四百六十億キロワツトアワー程度のものを三十年度に想定いたします場合におきましては、結局現在の継続工事を含めまして少くとも水力においては百八十万キロワツト火力においては七十万キロワツト、合計二百五十万キロワツト程度拡充をしようとするわけであります。これに要する資金は大体概算して年々六百億円から七百億円程度にも及ぶものと考えておるのであります。これに対しましては、差当り例の見返資金の増加を関係方面にもお願いをして、これが確保に十分努めたいと思いますし、又新会社におきましてもいわゆる企業の合理化と申しますか、内容を健実にいたしまして、市中金融機関等からの資金の確保体制を整備するなり、或いは将来に対する外資の導入というようなことにも思いを馳せまして、それの受入体制を確立するということが極めて大事なことだと思うのであります。そういう点につきましても、今後委員会としましては新会社の発足と共にこういう問題を十分検討いたしまして、お手伝いをできるだけのことをいたして参りたいと、かように考えております。  それから公益事業委員会としてお話申上げます関係上、最後に一言ガス事業関係につきまして簡単に申上げておきたいと思いますが、このガス事業は御承知のように同じく電気事業と共に公益事業として公共事業令の中に謳われておるのでありますが、電気事業とは大分その性格が違つておるのでありまして、例えば我が国ガス事業というものの性格を考えて見ます場合に、電気事業というものは例えば新らしくできます会社を想定いたしましても、大体その規模におきましては殆んど同一ということが言えるのでありますが、ガス事業におきましては非常にその間大規模、中規模、小規模というように数段階に分れておりまして、会社の数といたしましても七十数社あるようなことであります。例えば東京ガスのごときは資本金といたしましては五億二千万円になつておるのでありますが、小規模の会社におきましては三百万円乃至四百万円というようなところもあります。その辺が電気事業と異る一つの点でございます。それから又電気事業のほうにおきましては、いわゆる電気生産配給ということが一つの眼目であり、又それ以外には問題はないのでありまするが、ガス事業におきましてはいわゆるガス生産のみならず、コークスとか或いはタールとか、その他大規模会社におきましては硫安からベンゾールといつたような副産物につきましてもこれの生産を営み、又加工販売というようなことを自然的に行なつておるのでありまして、そういつた点も電気事業と大分違うのであります。それから又我が国ガス事業というのは御承知のように天然ガスを元にしておりますものは数えるほどしかございませんで、殆んど大多数というものはいわゆる石炭を原料といたしましてガス生産しておるのであります。こういつたような点から申しましても、このガス事業というものは勿論公益事業でありますると同時に、産業基礎資材の重要な供給どもなるものであると考えるのであります。こういつたような性格の差違というものも十分考えまして、今後のガス事業行政面における運用を図りたいとかように考えております。  以上申述べましたところが大体公益事業委員会の当面の問題としてお話を申上げなければならん点と存ずるのでありまするが、今後公共事業令施行に伴いまして、例えばこの企業の会計をどういう工合にやつて行くかというようなことにつきましての基準を決める会計規程というものを作らなくちやなりませんし、又料金の認可をしますにつきましての料金の算定基準というようなものに関する規程も作らなければなりません。いろいろこの政令施行に伴いましてそういつたような規則の制定にも力を入れまして、只今申しましたような電源の開発を中心としてのあらゆる施策について委員会としましても大いに勉強をして行かなくちやならんのであります。そういう意味で今後又いろいろ当委員会の御支援を蒙り、又いろいろ御注意も承わつて万全を期して参りたいと存じますので、どうぞその点よろしく御指導を願うことをお願いいたしまして、誠に概要でございまして、申訳ございませんが、御説明を終らせて頂きたいと存じます。
  16. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 只今の松田君の報告に対して御質問ございませんか。
  17. 山田節男

    山田節男君 今日は公益事業委員会の委員は見えていますか。
  18. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 見えておりません。公益事業委員会からは事務総長経理長のお二人が見えております。
  19. 山田節男

    山田節男君 これはいずれ電力特別委員会で詳しく質問する機会があると思いますが、緊急を要する二、三の点を質問したいと存じます。  その第一は、来るべき九つの新らしい会社と、それに分割合併される日発会社との株の比率をもうすでに決めているのかどうか。その比率が若しわかつておればそれを知らして頂きたい。それからもう一つは、電源の帰属の問題であります。新聞で見ると何か電源帰属が決定されたように出ておりますが、私昨日福島県の方へ行つていろいろ事情を聞いて見ると、猪苗代湖の只見川と思いますが、その問題について新潟県あたりから相当猛烈に働きかけて来ておる。そこで福島県としては非常にそこに何とかいいますか、不安というか、そういう電源の帰属について双方が非常に活動を行なつておる。この電源の帰属については公益事業委員会はどういう基準を持つてやるのか、この先ず二点を一つはつきりさせてもらいたい。
  20. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 最初の株式の比率をどういうことにいたすかということは、いずれ今日各会社の方から、相談をし合いまして提出されましたものについて正式にこちらといたしましても決定するということになるのでありまするが、大体委員会としましても、今回の各社の資産内容等について詳細に検討いたしておるのでありまするが、何分にも再評価等の問題につきましては、法律の上におきましても新会社ができましてから正式にいたすようなことになつております。それから又従来の各社のこの経理面におきましては、御承知のように料金問題等を通じまして、日発、九会社というものが一緒になつてそういつた経理上の問題を処理しておるようなことでございます。  それから何分にも時間的にもこの問題を早く解決して参りますような点もございますので、いろいろ考慮いたしまして、一応一対一という株式の比率で新会社を作つて参りたい、かように考えておるのであります。  それからなおこの電源の帰属の問題につきましては、これも各社においていろいろ関係会社相互の間において打合せをいたしておりますが、これも今日には大体きまりまして、再編成計画書の提出を願うことができると思いますが、それに対しまして、或いは新聞のお話は確か十社の間において再編成に関する協議会を作りまして、いろいろ検討しておりますような点が一部漏れたのではないかと思うのでありますが、公益事業委員会といたしましては、勿論そういう点も十分参考にいたすつもりでございます。公益事業委員会として先ほど申しました公正な立場でそれをどういう工合に最後的に決定するかということは、今後に取残された問題でございまして、結局今月の二十三日までにそういう問題を全部決定いたしまして、先ほど申しましたような諮問会に附しまするとかいうような手続を進めて参りたい。かようなつもりでおります。
  21. 山田節男

    山田節男君 そうすると、日発と新会社との株式は原則として一対一というような御説明ですが、これは御承知のように日発では含み資産の問題で相当内容がみんなに知られておるわけでありますが、先ほど御説明があつたように、今年は異常渇水のために石炭の消費量一月九十万トン、そうするとこの含み資産の三十六億円も赤字になるかも知れないというお話でありますが、これはいつ雨が降るか我々には分らない、それで一対一というこの比率の原則は、例えば日発のみならず他の九つ配電会社において経理内容を調査した結集、例えば含み財産が九つ会社に全部ある。こういつたような場合にはこの日発とその九配電会社との……、新しい会との株式の比率というものは、一対一というのは必ずしもそれに拘束されないで例えば〇・八対一、或いは一対〇・八となるような、そういう含みを持つての原則であるかということをお聞きしたい。  次には新らしい九つ電力会社に対する人事の問題であります。すでに私の手許にも北は北海道から南は九州あたりから復員、殊に社長、会長に対して相当猛烈な運動が行なわれておるということはこれは事実であります。で、こういうような来るべき新らしい会社の役員の人事、殊に会長というものに対して、公益事業委員会は、あの公共事業令によつて公益事業委員会がまとまらんときには、果してまとめ得る権能があるのかどうか。それから今のような新らしくできる会社につきましては、一ブロツクの中でも二つ、三つ、或いは四つの会社が曽つて統合されて配電会社なつたために、これは各ブロツクとしてもとても役員の決定ということはむずかしい地区が多々あるのではないかというように私は予想いたしております。そういつた場合に、公益事業委員会としては、今できている設立委員会の設立委員長並びに設立委員をそのまま新らしい会社の役員に送り込む、そういうことにつなつているのかどうか。この点も一つ併せて明らかにして頂きたいと思います。
  22. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 最初のお尋ねの株式比率の問題でございまするが、この点につきましては、公益事業委員会といたしましても、大体そういう方針で参るのが至当ではないかと考えております。従つて今お話のような点につきまして、更に御不審その他の点がございますならば、私から申上げるよりも、委員長からお話を申上げたほうが適当かと思いますので、私の存じております範囲におきましては、只今方針を委員会としても持つていると、かように申上げる以外にないのでございます。  それから第二の人事の問題につきましては、形の上におきましては、今日その点についても再編成書に出て参ることと思うのでありまするが、併しお話のように非常にこの問題はデリケートな問題でございますので、或いは今日その点については、はつきりした再編成計画書における表示はないのではないかという工合にも考えております。そういう点については今後も各会社のほうでいういろいろ検討せられることと思いますが、又それがどうしてもまとまりませんような場合におきましては、公益事業委員会といたしまして、それを決定する権能と申しますか……ことはできるようになつているのでありまして、いずれ遠からずそういう問題も解決されることかと思つております。  それからなお今設立委員の問題が出たのでありまするが、御承知のように、今度の新らしくできます会社は、日発と九配電会社が創立者というような形になつておりまして、それで先ほど申しました再編成計画のすべての手続が終りますれば、商法の規定によりまして、いわゆる発起設立というような形で参るのでありまして、只今お話の意味での設立委員というようなものは、そういう意味で千の会社がそれに当つておられるのであります。従つて今の役員の問題につきましても、これはどういうことに相成りまするか、役員個人々々の問題といたしましては、現在の会社の中からなられるかたもあると思いまするし、又新らしくなられるかたもあるかと思うのでありますが、その点についての必然的な関連性はないのではないかと、かように考えております。
  23. 山田節男

    山田節男君 その今の第二点の問題でございまするが、現在新らしく設立委員、殊に設立委員長の争奪戰が非常に行われておるわけであります。私の聞くところによると、この十の会社から出たいわゆる設立委員区長が今度新らしい会社の事実上の会長になるという何か約束があるかのごとく非常に策動されておるのでありまするが、公益事業委員会として設立委員或いは設立委員長なつた者は必ず社長或いは会長になるという、何かそういう内示があつたのかどうか。その事実の有無をお聞きしたい。
  24. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) お答えいたします。只今申上げましたように、形の上からもなつておのでありまするが、今お話のような点につきましては、何も私といたしましても聞いておりませんし、又性格の上から申しましても、そういうことはあり得ないのではないかと、かように考えております。
  25. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 ちよつと電力施設の上から申しまして、小さい問題であるが、或いは又相当地方に関連のある問題につきまして、お尋ねしてみたいと思います。配電所設置に当りまして、地元民が灌漑に対しまして非常な脅威を感じて、これが設置に当りましては相当苦労しておるような機運を至る所で見受けるのでありますが、これに対して事業委員会といたしましてはどういう手をお打ちになるか、いわる地元民の了解方に努めまして、これが設置に当りまして支障のなからん方法を講ずるお考えであるかどうか。  次に、ダム設置に当りまして、とかく河川に崩壊の箇所を生じまして、護岸工事を施さなかつたならば、耕作農民の耕作上において収穫減を来すような慮れが我が長野県あたりには相当あるのであります。これに対しましてどういう手をお打ちになるお考えであるかどうか。  更に、お知りの通り、この度の電気事業編成に当りまして、電源県であり発電県であるところの長野県は、全国において最も低い電力使用料によつて地方民はこれにより支弁いたしておりましたのが、この度の配電会社の設置によりまして、一躍全国二、三位の高い料金を支拂わなければならない。従つてあらゆる産業事業に非常な影響を来しておるのであります。これに対しまして、将来電力料金の是正をして適正価格とするようなお考えが今日あるかどうか。  更に、私長野に参りましたところが、天龍地域の電軍或いは長野電鉄等が、昨年まで暖房装置がしてあつたのが今年はない。あの寒い私どもの電鉄会社が、これは長野県ばかりではなく、ほかの地方にも相当あるだろうと思いますが、電力不足から煖房装置を欠いておるのかどうか。これに対して通産省にお尋ねいたしましたら、公益事業委員会において決定することで自分たちのほうには余り関係ないと言つたが、公益事業委員会で今日全国の電力不足の上から、これらに対するところの節電の意味において煖房装置を認めることをいたさないのかどうか。この四点についてお尋ねいたす次第であります。
  26. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 第一のお尋ねの、只今建設中の発電施設でありますとか、或いはダムでございますとか、そういうものについては、御承知のように電力編成令のうちにまだ決定されておらん点でございますので、そういう点についてはお話のようにいろいろな方面に、今の治山治水等の関係ともからみ合いまして、いろいろな御陳情も受けておるのであります。こういう点につきましては公益事業委員会といたしましても、いわゆる電力編成令の精神に則りまして、この問題の厳正な、公平な解決を図りたい、かように考えまして、いずれ各社から出ました再編成計画に載つております。そういう問題の帰属等についても、十分な検討を加えまして最後的な決定をいたしたい、かように考えております。  それから次にダム建設等の問題につきましても、それぞれこういうことに当りまする新会社といたしましては、その関係するところいろいろ各方面に亘りますので、勿論そういうほうの関係について御相談申上げ、又御意見も承わらなければならないような点につきましては、十分そういうような御意向も尊重いたしまして、それがために水害を来すとかというようなことがないように考えて参らなければならん、かように考えております。  それから第三点の長野県あたりが非常に電源といたして豊富であるにもかかわらず、或いは関東或いは関西というほうにその発電所或いは送電線というようなものが帰属いたして、その間電力の融通の問題、或いは電力料金問題等についつてどうなるのかという御質問だと思うのでありまするが、その点につきましては、いわゆるどの供給区域にこの工作物が属するかという問題と、それから発生しました電力をどういう工合に配分するかということは、これはおのずから別の問題でありまして、全体の需給というものを十分考えまして、各社間において電力の融通につきましても十分相談をして、契約を取り交わしてもらうようにもなつております。  それから又料金の問題につきましては、特に九州あたりの火力発電によつて電力を起しておりますようなところにおきましては、この際電気料金のいわゆる地域差というようなものを認めないで、独立採算制というような形で企業を運営して行くということになりますと、非常な電気料金の差が付きまして、自然そこに産業方面は勿論のこと、一般の消費者にも御迷惑をかけるというので、将来は別といたしまして、取りあえずの措置としましては、従来の電力料金の差というものをできるだけそのまま保持して参りたいというようなことを考えております。従つて長野県のような安く本来電力が手に入るところが、他のほうに融通をすることによつてその料金がどうなるかという点は、誠に御尤もと思うのでありますが、やはり国全体としまして、その電力料金の問題につきましては、差当りは従来のような差というものを一応そのまま踏襲いたしまして、今後電源の開発その他の点を十分考えまして、できるだけ各社といたしましても、自主的にそういうような問題についてほかの会社の世話にならずにやつて行けるように、これは共々に研究をして進めて行かなければならんと、かように考えております。  それから最後の点の暖房装置について電力を使つていいのかどうかというお話でございますが、先ほど来申しましたように、何分にも只今のところは非常な渇水でございます。石炭等もできるだけ多く使いまして、火力発電フル運転をいたしておりまするが、一方需用の増に比べまして、特に最近の二月というものは供給が非常に少いものでございますから、最悪の場合には或いは法的な措置を講じてまでも、こういうような用途には使つてもらつちや困るというようなことを国民の皆さまがたにお知らせしなければならん事態も或いは来るのじやないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、只今のところはその点を自発なり或いは各配電会社のほうが、国民の皆さまに十分その辛い事情を或いは新聞を通じ、或いはラジオを通じ、又特定のかたとは十分懇談をいたしまして、その間の調整をとつておるのであります。従つてそういう意味で煖房装置等につきましても、こういう際には電力を使つて頂かないように十分お願いをしておるのであります。そういうふうにこの点につきましてはお含み願いたい、かように思う次第であります。
  27. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 誠に詳細に亘つての御答弁には感謝するものでありますが、ただ三番の料金問題に対しまして、従来は全国一の安い電源県であつた関係から、電気を県民は勿論一般工場において使つて、その結果長野県に産業の進展と申しますか、安定性があつたのであります。然るに今回の改正によりまして、東北、北陸よりももつと、関東ブロツクよりも高い料金を取られるというような関係上、電力料金の安いがために長野県に来て諸産業工場が発達したのが、それが電力料金の高くなりし結果、長野県から去るような状況と同時に、持てる長野県が高い料金を拂わなければならないという現実の状況は県民の忍びないところである、かような結果でございまして、只今の答弁によりますならば、例えば中部配電においてよろしくこれを睨み合わして善処して、前料金とやや匹敵するような料金を以ていたすというような御答弁がございましたけれども、実情は左にあらず、高い料金を支拂わなければならない段階にある、この点を今後如何にお取扱い下さるか。又今後これらに対して十分の御参酌の方法があるかどうかということをお尋ねしたのでありますけれども、若し差支えなかつたら答弁を願いたいし、それでなかつたら十分に御考慮を煩わしたい、かように思うのであります。
  28. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 私のお答えが少しお聞き取りにくい点があつたのではないかと思いまするが、私の申上げました趣旨は、誠にその点は私も尤もな点と思うのでありまするが、何分にも今日の状態では、今まで昔は御承知のように料金につきましても、全部プール制をとつておりまして、最近地域によつて或る程度の差は認めておりまするけれども、これをこの際新会社発足のために・九州は九州の高い石炭のために非常に料金が上るというようなことが、国の一部に起るというようなことになりますると、取りあえずの建前といたしまして、言い換えれば新会社が発足して、そういう点について会社側としてもできるだけ企業の合理化も図りますし、又電源の開発のできるところは開発して行く、又石炭によらなければならんところにおきましては、できるだけ石炭の質等につきましても、低いものでも何とか使えないか、或いは又消費等につきましても、できるだけ消費率を減らして使えないかというような点が、いろいろ検討しなければならん点もあると思います。又新らしく会社ができまして、再評価の問題等も出て参るわけでありますが、そういうようなあらゆる点から新会社が今後健全な発達をして参りますためには、どういう手を打たなければならんかということは、新会社は勿論のこと、委員会といたしましてもその点については研究を重ねなくちやならん問題と思つておるのであります。そういう意味でいつまでもこういつた料金の地域差というものに頼つておるというようなことになりますと、折角新会社を作りましても意味がないことになるのであります。従つて将来の問題としては、今申しましたような線に沿つて、いわゆる独立して採算がとれて参るようにしなくてはならんのでありまするが、何分にもこの新会社に切替ります過渡期におきまして、急激なそこに変化を来たすことになりますと、おのずからそこにいろいろな問題を起しますので、そういう意味で長野県のような電源地帯であつて、本来なら非常に安く電力の入るところにおきましても、そういう意味で暫くの御率抱が願えないだろうか、又それにつきましても現在長野県の方面でお使いになつておりまする電力料金につきましては、それを更に上げるとか或いはどうかするというようなことについては、従来の大体の地域差というものを尊重して参りたい。こういう趣旨でもお話の点は我々としましても十分心得ておる点でございますので、将来の問題としてそういう点について新会社の発足と共に十分研究を進めて行かなくてはならんと、かように考えております。
  29. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の御説明の中にあつたのですが、長野県と九州とは又事情がまるで違うわけで、九州の点について触れられたのでちよつと確めて置きたいのですが、この電力分割によりまして、九州地方は非常に不安にかられておる。産業界のみならず一般大衆においても不安を持つております。ところで今の御説明の中に、従来の料金差を踏襲するという意味のことを申されましたが、これは例えば九州の電力料金が新会社が発足してもそう上らないような措置をとるという意味に理解していいのですか、その点を一つ……。
  30. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) そういう意味にお考え頂きまして結構なのでありまするが、その点につきましては、只今各社間におきましてもその点を極力相互的な協力によりまして、そういう精神の下にどの程度料金というものが落着くかという点について検討して再編成中に出して参ることになつております。いずれにいたしましても、この切替えの際、又ここ暫くの間に急激な変化が来て、それぞれの産業に非常に支障が来るというようなことは避けたい、かように考えておるわけであります。
  31. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうしますと、御承知のように火力発電に頼つておる九州が独立採算制になるまでの過渡期においては、どこからか安い電力を九州に供給するというようなことをするわけですか、どういう方法でこの料金の上からないような措置を講ずるのですか。
  32. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) その点につきましては公共事業令のうちに謳つてございまして、いわゆる水力の電源地帶を持つておりまする甲の会社から、火力の電源地帯しか……と言つたら多少語弊があるかも知れませんが、主として火力の電源地帯のみしか持つていないような会社に対しまして、例えば水力のほうから申しますというと、発電されます電力量に応じまして、一キロワツト幾らというような金を交付金というような形で出しまして、それを又今度は火力なら火力のほうの会社がその生ずる電力量一キロワツトアワーに対して幾らそれならそれをもらうんだというようなことについての協約と言いますか、契約をお互いの間で結びまして、そうして今申しましたような地域差をできるだけ縮めて参ることを当分行うことができるという建前になつておるわけです。その契約の締結方についてはいろいろな行き方がございますと思いますが、それにつきまして只今各社間において具体的な契約方法等も検討して、こちらにその考えを出して参ることになつておりますが、それを見まして、こちらといたしましても先ほど申しましたような精神に応じて処理して参りたいと、かように考えているわけであります。
  33. 波多野鼎

    波多野鼎君 甚だどうもしつこいようですが、今の御説明の趣旨から言うと、例えば二つの会社がお互いに電力料金のあまりかからないようにしようと、こういういわゆる公益精神に燃えて契約をすればよろしいでしようけれども九つ会社に分れてしまつている、それをその会社相互間に契約を作らせる強制力はないと思うのですが、会社同志の自発的な契約ということに任しておいてできるのですか、それは……。
  34. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 会社同志の今言いました自主的な契約によつてできる以外に、委員会といたしまして一定の條件と申しますか、その必要があるという場合には委員会としてそういうことを決定することができる、かように相成つております。
  35. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の問題は公共事業令第四十四條だと思いますが、この第四十四條は社会が自発的な協定をするということを規定しているので、こういうものをしなかつた場合どうするというようなことはどの規定にあるのですか。或いは政府なり公益事業委員会が発動というのか、動き出して協定を結ばせるというような、そういう規定はどこかにあるのですか。
  36. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) その次の第四十五條にその趣旨のことが書いてございます。
  37. 波多野鼎

    波多野鼎君 そこでその協定を強制するような場合は、今考えられているところ、具体的に言えば九州の電力料が余り上らないようにという方針で考えられておられる協定の構想と申しますか、内容と申しますか、どんなようなものなのですか、ちよつと一つお聞きしたいのでありますが……
  38. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 只今私の申しました点は、そういう方針で考えているのでありまして、従つて具体的には各会社のほうから今度出してもらいます再編成計画書にその点を謳つて参るのであります。従つてそれを十分検討いたしまして、先ほど申しましたような精神に合つておるかどうかということを十分検討いたして認可をするなり何なりしたいと、かように考えております。
  39. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) ちよつとお諮りしますが、次官の報告の第一は輸入の問題でございましたが、この問題は我々の日程では十三日に貿易のほうを特別にやることになつておりますので、この問題は一応そつちに譲るといたしまして、第二の鉄鋼国内生産増強の問題について、今電力だけはお話を願つたのですが、あと、鉄鋼局長以下お見えになつているので、なお継続して報告を聞いたら如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや中村鉄鋼局長。
  41. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 鉄鋼生産、その他一般の問題について、現在並びに二十六年度の状況を御報告申上げたいと思います。  最初に二十五年度の生産状況を簡単に申上げます。二十五年度の生産状況は、昨年の第三四半期が最も終戦後生産が上昇いたしましたのでございまして、この期間生産は三カ月で九十九万八千トン程度に相成つております。第四四半期の大体の見通しを申上げますと、二月の操業旧数等が少くなりますので、九十六、七万程度に達すると思います。上半期の六カ月間の、四月から九月に至る六カ月間の生産は百五十二万トン程度でございますので、年間を通じまして普通鉱鋼材三百四十万トンを超える状況でございます。輸出状況を申上げますと、特需を含めまして年間六十五万トンから七十万トンに達する予定でございます。従いまして、国内向けといたしましては二百七、八十万トンの供給をいたすという見込みでございます。このような状況需給のバランスを考えますと、おおむね調和がとれておる、均衡がとれておると申しても差支えないのじやなかろうかと思うのであります。一四半期大体百万トンの生産に達しました。今後の鉄鋼に対しまする考え方を申上げますと、二十六年度におきまして少くも一四半期百万トンのベースを維持いたしたいと考えるのであります。年間普通鉱鋼材四百万トンと申上げておるのが、この点でございます。この四百万トンの生産確保する重要の点につきまして二、三申上げたいと思います。  第一の点は高炉銑の生産状況でございまして、三百二十万トンの目標を掲げております。この三百二十万トンの生産に対します重要な問題としては、鉄鉱石並びに強粘結炭の輸入の問題でございます。昨年の中共向け輸出承認制度の実施に際しまして、鉄鋼原料の確保が非常に危惧せられておりましたが、二十五年度におきまして中国、朝鮮から期待いたしました鉄鉱石は数万トンに過ぎないのでございまして、この面から二十六年度におきます計画作成上、中共、朝鮮の鉄鉱石を計画の中に織り込んでおりませんが、この点は従来の経緯をそのまま二十六年度に及ぼすという状況でございまして、いろいろこの面に対します危惧の念が特に強かつたように思いますが、現状からいたしますと、鉄鉱石に関しては状況の変化はないと、こう申上げてよろしいのでございます。  次に、強粘結炭の輸入の問題でございますが、これにつきましては二十五年度の主たる強粘結炭の給源は御承知の開らん炭の輸入でございます。一昨年は米国炭の輸入が相当九十万トンを起える程度でございましたが、二十五年度においては殆んどその輸入は著しく減つております。開らん炭に期待する二十五年度はそういう意味合いにおいて、中共の輸出承認制度が重大な影響を及ぼすことは申上げるまでもございません。現在の状況を申上げますと、開らん炭につきましては月大体七万トン程度を期待しておりましたのでありますが、昨年の朝鮮問題のその後の経過によりまして、今日におきましては月大体二万トンから三万トンの輸入状況でございます。さような状況に対処いたしますためには、他の地域より強粘結炭の相当大幅の輸入を必要といたしまするので、昨年の秋第三四半期におきまして、米炭の十五万トン契約が実現いたしました。引続きこの米炭の輸入を増加するという方向に進んで参りまして、第三四半期並びに第四四半期におきましては、一四半期おおむね三十万トンの輸入を要請いたしまして、司令部の承認を得て今日契約を結びました。逐次第四四半期の三月以降入荷する予定でございます。  なお、強粘結炭につきましては、インドにも給源がございまして、最近年間十万トンの契約をいたしております。併しこれについては、それ以上相当増量の見込みがございます。又この強粘結炭の輸入確保につきまして、自動許可制によります輸入をドル地域について司令部の承認を受けまして、近く実施の段階にあります。この制度を利用いたしますことにつきまして、適当な機会にできるだけ輸入確保を早急をやるというような態勢に相成つております。  次に、鉄鉱石でございますが、先ほど申上げましたように、二十五年度におきます鉄鉱石の主流については、中国、朝鮮を除きました他の地域、フイリピンにおきまして二十六年度におおむね百二十万乃至百二十五万程度を期待しております。最近マレーにおきますズングンの鉄鉱石年間九十万トンの輸入契約が成立いたしました。香港の近くにございますバアンザンと申します鉄鉱石、これは九カ月間に三十万トンの輸入契約が最近成立いたしました。なおインドのゴア、この方面からおおむね三十五万トン程度を期待し得るのではないかと考えております。  先ほど申しました高炉銑三百二十万トン、これを遂行いたします鉄鉱石の輸入の総量はおおむね三百五十万トン程度でございます。この所要の鉄鉱石を確保するためには、以上申上げました給源以外に特にドル地域から百万トン乃至百二十万トン程度輸入をする必要があるのではなかろうかと思うのでありまして、この線に副いまして、鋭意関係方面と折衝中でございます。特に原料の買付促進或いは契約、その他将来に対しまする見通し等をこの際十分把握いたします見地から、戰後一貫メーカーの三社のそれぞれの専門家をアメリカに派遣いたしまして、ドル地域からの石炭並びに鉄鉱石の買付の将来の見通し等について十分調査検討をいたしておる状況でございます。このような原料輸入契約の下に高炉銑の稼働の計画を逐次推進いたして参つておりますが、本年に入りまして、日本綱管の鶴見の三百トン並びに小倉製綱三百五十トンのうち一月の二十七日並びに一月三十一日にそれぞれ稼動を開始いたしました。次いでズングンの鉄鉱石の輸入並びにドル地域からの鉄鉱石の輸入が逐次三月以降入荷の見通しが明らかでございますので、八幡製鉄の洞岡の千トン鎔鉱炉一基、三月の十日頃稼働いたす予定にいたしております。かような稼働状況が実現いたしますると、年間おおむね高炉銑で二百八十万トン、ベースに達する予定でございます。従いまして基本方針でございます三百二十万トン程度に対しましては、なお高炉の大小はございますが、二基程度の高炉を二十六年度中、適当な機会に入れ得ることが可能でありまするならば、基本の計画は実現いたすわけでございます。通産省といたしましては、この点について鋭意努力して参つておる状況でございます。  次にスクラツプの輸入問題について一言触れて置きたいと思います。  スクラツプの輸入問題につきましては、二十六年度の計画中に、年間三十万トン程度を期待いたしております。今日までの折衝の経過に鑑みまして、確実と勘案いたします数量に、従来国内で軍が拂下げておりまするスクラツプが、二十五年度におきまして大体五万トン程度ございます。従いまして二十六年度においても同様期得し得るのじやなかろうかと考えるのでございます。  次に、沖繩のスクラツプの入札が、二月の六日と記憶いたしますが、実行いたされまして、数量にいたしまして約四万トン日本に供給いたし得るような結果に相成つたように聞いております。なお仏印、インドその他の南方諸国等に対しましても、スクラツプの輸入折衝をいたしておりますが、その方面からも数万トンの輸入は期待できるのじやなかろうか。従いまして年間三十万トンの輸入計画のおおむね半分程度は、今日相当期待し得る現状であろうと思うのであります。それを超えますスクラツプの輸入につきましては、他の地域の諸方面から目下交渉いたしておりまして、私の私見を申上げまするならば、最初に期待いたしました年間三十万トンのスクラツプの輸入は、相当いろいろの困難はあろうか思うのでありまするが、おおむね実現の見込があると申上げて差支えなかろうかと思うのであります。  このような原料の確保の点に併せまして国内資源の活用に一言触れて置きたいと思うのであります。特に鉄鉱石の問題は、鉄源確保が最も重要な問題でございまするので、鉄源の確保に対しまして、国内資源の三つについての大体の計画を申上げて置きたいと思います。  一つは、国内鉄鉱石でございますが、二十五年度の使用の実績は、おおむね八十五万トン程度と考え得られるのでありまして、二十六年度におきましては、鋭意国内鉱山の増強ということで大体百万トン程度を見込み得るのではなかろうかと思うのであります。  次に、砂鉄の活用でございます。砂鉄につきましては、昨年の秋、日曹製鋼におきます団鉱方式による極めて低廉な選鉱、精錬の技術が成功いたしまして、砂鉄の利用が極めて促進せられたという状況であります。なお日本高周波によります簡易な電気焼結法によります焼結によりまして、これも低廉に砂鉄の利用を図り得るということになりまして、併せて砂鉄に多く含まれておりまして、従来利用の妨げとなつておりましたチタンにつきましては、チタン・ホワイトの製造技術の、発明と申しまするか、ございまして、これらの諸般の進歩が結合いたしまして、特に最近砂鉄の活用が鉄鋼業で期得し得られつるようになつたのであります。特に砂鉄の活用が、銑鉄の品質を極めて有良なものにいたしまするので、この点から通産省といたしましても、特に砂鉄の利用を促進して参りたいと考えるのでありますが、これを数字的に申上げますと、二十五年度におきましては、大体十二万トン、十分これを利用いたしております。これは主として電気銑に利用しておるのでございますが、二十六年度の計画におきましては、高炉銑の挿入燒結鉱の六・七%程度砂鉄を利用したいというふうな見通しが可能になりましたので、これをも含めて二十六年度二十五万トン程度は砂鉄が利用できるのではなかろうかと思います。  最後に、硫酸滓の活用でございますが、硫酸滓につきましては、二十五年度約三十七、八万トンと考えてよろしいのじやないかと思いますが、二十六年度におきましては五十万トン程度期待いたしております。特に硫酸滓の活用につきましては、日本鉱業の河山鉱山におきまする磁硫化鉄鉱の磁力選鉱による脱銅というものが成功いたします見込もございますし、併せて富士製鉄に対しまして、硫酸滓の脱銅工業化試験を相当大幅に実施して参りたいと考えます。これらの工業化が成功いたしまするならば、更に硫酸滓の活用は大きくなるのじやなかろうかと考えるのであります。  一言鉄源の要求関係につきまして、国内資源の概要におきまする簡単な御説明を終りたいと思います。
  42. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 今の御説明の中で二、三承わりたいのでありますが、それは輸入のあの強粘結炭の問題ですが、この頂きました表では、百七十六万トン輸入計画であります。今の御説明では百三十万トンしか御説明がなかつたのでありますが、自動許可制でその差が補給できるのでしようか。
  43. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 今の御質問にお答えいたします。この表にございますのは、実は開らん炭のメリツトによりまして数量を計算いたしておりますが、私の申上げましたのは、米炭にいたしますと開らん炭一〇〇%に対して米炭でございますと六八で、効率的にはよろしいのであります。そういう意味において米炭、年間百万乃至百二十万トン、こう申上げたのであります。
  44. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 わかりました。それから次に、硫酸滓のお話があつたのですが、これはFe五五%としての御計算のようでありますが、そんなにFe分が高いのでしようか。
  45. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) これは焼結いたしました硫酸滓、焼結いたしましたそのときの品位でございまして、現在五五%程度でございます。
  46. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 それから次にもう一つ、スクラツプの問題ですが、これも何か事情がありましようか。輸入屑は六十万トンということになつておりますが、御説明では三十万トンだと思いますが……。
  47. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問、輸入屑六十万トンとございますが、これは輸入又は国内のストツクにありますスクラツプの携出を込めて六十万トンという計画でございまして、ミス・プリントでございます。それで私どもの考えといたしましては、この案を作成いたしました当初は、大体三十万トン南方諸地域等から期待するという思想でございます。但しその後の諸般の情勢から、できるだけ国内のスクラツプ拂出よりも輸入の増量で進んで参りたいという心組でございまして、資料の数字は、実は輸入並びに在庫拂出六十万トン、こういう工合に御訂正願いたいと思います。
  48. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 それから鉄鉱石ですが、先ほどの御説明でフイリツピンから百二十万トン乃至百二十五万トンを期待するというお話でしたが、フイリツピンの対日感情は非常に悪い、或いはフイリツピンの国内事情からして、これだけの量が実際期待できるものかどうかという危惧の念があるのでありますが、二十五年度におきましてはどの程度実績が上つておりますか。
  49. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問にお答えいたしますが、只今私が申上げました数字は、今の御質問者の申されました事情を考慮いたしまして作成いたしました数字でございます。その他の今の政治的ないろいろの情勢が仮にないものといたしますと、更に多くの期待をかげてよいのではなかろうかと考えます。
  50. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 二十五年の実績は……。
  51. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 二十五年度の実績は百十万トン程度に相成る見込でございます。
  52. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 只今鉄鋼生産計画を承わつたのでありますが、鉄鋼の問題で、一番国内生産で肝要な問題は、価格の問題だと思うのでありますが、殊に現在原料がどんどん上つて行く、それからこれは後にあるでしようが、補給金の撤廃問題もあるというようなことがございますので、一応この鉄鋼の価格問題をちよつと局長から御説明願いたいと思います。
  53. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 価格問題についてお答えいたします。昨年の秋以来、原料の輸入価格が、特に船運賃の値上りによりまして相当CIFは上つてつております。例えば米炭について申上げますと、CIF二十六ドル八十というふうな平均になつております。或いは鉄鉱石で申上げますと、十九ドル程度に相成つております。そういうような状況からいたしまして、原料高がどの程度に銑鉄の価格に響くか、目下安本、物価庁において詳細検討中でございます。  私見を簡単に申上げますと、この第四四半期におきまする銑鉄の製造原価は、恐らく五十五ドルがら六十ドルの間ではなかろうかと想定いたしております。二十六年度第一四半期はおおむね六十ドル前後かと考えます。
  54. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 只今の価格に対する局長のお見通しですが、このお見通しで、大体今度の予算に際してはすべての計画が立つておりますか。
  55. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今予算の問題と申しますと、銑鉄補給金の廃止ということが直接の関連事項でございますが、輸出価格或いは国内の価格の趨勢から申しまして、大体銑鉄六十ドル程度で実質上は引合つておると申上げ得るのではなかろうかと考えております。銑鉄補給金、或いは輸入補給金、船運賃の値上り等に対します輸入補給金の問題ということは、今後相当慎重に検討いたさなければならん問題でございますが、これは安本、物価庁において、先ほど申上げましたように、検討いたしておりますので、その方面からお聞き取り願えれば幸いだと考えております。
  56. 櫻内義雄

    ○櫻内義雄君 もう一点だけお聞きしますが、鉄鋼局としては、現在の情勢下にあつても、補給金はなくていい、これは物価庁、安本その他いろいろ関係はありますが、今の局長のお見通しの価格で今後ずつといろいろ考えて行かれるのか。その点でございます。
  57. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 大体ドル地域からの輸入物資の価格が今後どの程度になるだろうかという問題の見通しにも関連するのでございますが、併せて他の南方諸地域から参ります鉄鉱石その他の価格の推移も考えなければなりませんが、船運賃の値上りについて、私の聞きました最近の情報は幾分値下りを見せておるように聞いております。二ドルくらいは下つたように聞いております。又輸出価格その他の問題も、大体最近非常に高値を考えますと、厚板で百四十ドル程度輸出が契約されておるのもございます。棒鋼におきまして百十ドル乃至は百十五ドル、そういつた原料価格の推移並びに輸出価格の推移を睨み合せて、国内の販売価格がどのくらいになるかというような点を総合的に十分研究して参らねば、只今の御質問にお答えできないのでございますが、目下安本、物価庁、通産省鉄鋼局共同で慎重に検討中でございまして、いずれ近く結論が出るものと考えております。
  58. 堀木鎌三

    ○堀木鎌三君 数字的には電給関係が一応お見通しがついておるのですが、今品種別にどういうふうな状況なつておりますか。その点についてもう一遍御説明をお願いしたいと思います。
  59. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問の品種別の需給関係でございますが、薄板、珪素鋼板、そういつたものが特に需給関係におきまして、需要増加の趨勢の多い物資でございます。これにつきましては、私のほうといたしましては極力増産してこれを処理するという建前にいたしております。薄板で申しますと、この第四四半期は、第三四半期に対して大体一割程度の増産をいたしております。珪素鋼板につきましても、同様増強対策を進めております。この四月以降につきましては、勿論こういつた需給関係のほうは問題の起り得る品種につきましては、集中的に業者をいたしましてできるだげ増産させるという体制で進んでおります。この方法で参りますならば、これらの品種についても、割当その他の統制をする必要はなかろうという見通しを持つております。
  60. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三郎君 もう質問があつたかも知れませんが、屑鉄の輸入ですね、これがこういう際におきまして、船舶その他の関係見通しはどうですか。屑鉄の輸入は……。
  61. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸入鉄屑の見通しにつきましては、年間三十万一トンを期待いたしておりますが、今日のところこれの半量程度見通しを持つておるが、その残りの数量については、先ほど申上げました沖縄、仏印、インドその他の諸国以外の地域に対しまして、鋭意輸入の折衝をいたしまして、三十万トンについては明るい見通しを持ち得る機会があると、私はそう信じております。
  62. 小野義夫

    ○小野義夫君 先ほどの櫻内さんの御質問に関連して、内地の硫酸滓とそれから内地の鉄鉱石はどのくらいの御見当であるのでしようか。
  63. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 国内鉄鉱石は百万トンを目標にいたしております。
  64. 小野義夫

    ○小野義夫君 価格の点は……。
  65. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 価格は千八百円、最近価格改訂を行いまして千八百円、硫酸滓は公はありません。
  66. 小野義夫

    ○小野義夫君 定価なしということですね。
  67. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の硫酸滓は硫化鉄鉱も産します山の性質、特に銅分が多いとかいろいろでございまして画一的に申し上げられませんが、大体七、八百円から千円ぐらいと考えております。
  68. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 別にございませんか……。それじや次に、石炭について資源庁炭政局長中島君に……。
  69. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 石炭の事情一般につきまして御説明申上げます。  先ず需給の現状と今後の見通しにつきまして概略申上げますが、本年度の出炭は、年度初め以来比較的順調に推移いたしまして、三月末までにおよそ四千万トンの生産を上げるという見通しを持つております。一月の出炭が、速報によりますと、三月二十九万トンでありまして、これは我々の予想よりか約八万トン余り減少しております。又二月におきましては、昨日、今日行われております炭労のストによつて、少くとも二日間に十万トン程度の減産がある、従つて昨年末に予想いたしました資格料によりますならば、四千七百万トンという出炭予想は、今の点だけで見れば約十七、八万トンの減少になるというわけでありますが、今後ストの解決と共に、いずれ二月、三月と、この減産の回復努力が行われるわけでありますから、それによりまして或る程度カバーいたしまして、およそ四千万トンの出炭は期待できるということになつております。それに対しまして需要の予想でありますが、これも十二月、一月と非常な売渡し増加を来たしておりまして、これがいつまで続くかということにつきましては、必ずしも私どもはそう永続するとは考えておりません。まあ大体そういうものも織込みまして、年間の需要がやはり四千万トン内外というふうに予想しております。従いまして出炭と需要はほぼ見合つておりますが、その辺の数字を過欠斤でありますとか、途中の輸送炭というような数字で調整いたしまして、大体本年度の初めからの貯炭が三百四十万トンありましたので、年度末におきまして二百万トン余りになるというような見込を立てております。で只今申上げましたような出炭と需要との食い違いが若干ございましても、この二百万トンの貯炭の分におきまして調節できる。食い違いが五十万トン内外の増減でありますれば、この貯炭で、この程度増加いたしましても減少いたしましても、大して需給に大きな支障はないというふうに考えております。  次に来年度の見通しでございますが、来年度の出炭予想は、確たる資料もございませんが、大体私どもは四千三百万トンから四千四百万トンの間である。本年度の増産の趨勢から申上げますと、大体まあ四千三百万トンという数字も出ております。統制撤廃以来、各社が努力いたしました内部整理が比較的順調に進行しておりますので、今日におきまする炭鉱の生産実力というものはかなり充実している。従いまして需要が相当に増加すれば、或る程度まではそれに直ちに対応し得る態勢ができていると、こういうふうに考えております。需要の予想は、これもいろいろな数字が出て確たることは申上げかねますが、いろいろな数字を積み重ねますというと四千四百万トンとか或いはそれ以上の数字が出ております。従つて四千三百万乃至四千四百万、或いはそれを若干上廻る程度の需要がございましても、現在の炭鉱の生産能力から行けば、それにミートし得るというふうに考える次第であります。ただ全般的な数字は右のような次第でございますが、個々の炭種別に見ますと、勿論アンバランスがございまして、特に原料炭の中で、先ほど鉄鋼局長から説明がありましたが、強粘結炭につきましては、これはもう全然鉄の需要を満たすだけの国内産はございません。来年度の目標の、強粘結炭の需要の見通しが大体六十万トン程度であります。従いまして、先ほどもお話がありましたが、一応数量を積み重ねますと四百万トンの鉄鋼生産のためには百七、八十万トンの強粘結炭の輸入を要するという結論が出て来るわけであります。それから強粘結炭を含めたその他の原料炭全般につきましては、全体の出炭見込約七百二十万トンを予定いたしておりますが、これはほぼ需要に見合うというふうに考えております。その他の一般炭につきましては大体私ども大した心配はいたしておりません。  それから輸出入、輸入につきましては、主として問題は強粘結炭でありまして、先ほど鉄鋼局長からいろいろ御説明がありましだので省略いたしますが、輸出は、これも海外の情勢推移如何によつて毎月非常に数字が違つておりますので、従つて確たる見通しが非常に困難でありますが、本年度十二月末の数字を集計いたしまして、大体二十万トン程度のものしか出ておりません。昨年は六十万トン余り出ておりますが、後三カ月たちましても、昨年の実績には到底達し得ないと考えております。  なおこの石炭生産につきまして、そういう一応の数字的な見通しは出るのでありますが、実際上の問題といたしましては金融の問題とそれから資材と、これらの点が十分に満たされませんというと、所期の出炭の成果というものは期待できないと、こういうことになるわけであります。そういたしますというと、金融問題は如何なる点にあるかと申しますと、昨年以来、運転資金につきましてはその都度冬場或いは夏場資金といつたような種々資金の斡旋をいたして今日まで繋いでおりますが、長期の設備資金につきましては、現在までのところ、見返資金を除きまして殆んどついておらないという現状であります。従つてこの長期の企業的な投資というものは、その面で立遅れておる、これを今後長期の設備資金を潤沢に炭鉱方面につけない限りは、将来に対しましてこの出炭を多くするということは極めて困難であるというような懸念があるわけであります。又最近坑木がパルプ用材等の競合の関係におきまして、相当入手難を来たしております。これは目先の問題だけでなくて、我が国の森林資源全般から申しまして、この供給力そのものが極めて少いという点から、今後この坑木問題或いは全般の木材問題自体として、適当な解決策をとらなければ、抜本的な解決はできないわけであります。当面炭鉱といたしましては、この坑木を順調に入手するように我々としても種々努力をしておるわけであります。それから先ほど金融問題に触れましたが、特に設備資金を中心といたしまして、石炭鉱業の合理化のための資金というものを、先般来通産省合理化審議会で種々検討をいたしております。その目的は、現在の我が国石炭鉱業の基礎を一層強固にし、非常に高炭価を謳われております現状を打開いたしまして、できるだけ低廉な石炭供給するようにしたい。こういう趣旨から石炭鉱業のこの際急速な合理化を図る。そのためにどういうふうな手段があるかというわけで研究いたしたのでありますが、結局これは現在、戦争中に相当荒されております炭鉱の内部の整備をいたしまして、更に新らしい設備乃至方式によりまして、機械的な、合理的な採掘を図るということ以外にはない。それには相当な長期の設備資金を要するわけであります。でこの設備資金が全体といたしまして、三カ年間に四百七十五億という数字が出ておりますが、これを優先的に見返資金等から獲得したいということで、我々は大いに期待しておつたわけでありますが、今日までのところ、それだけの数字が簡単に出せるというところまで来ておりません。それで我々といたしましては、この合理化計画を基礎といたしまして、今日の金融事情の下におきまして許される限り、できるだけの方法を講じまして、石炭鉱業に長期資金、特に合理化資金が少しでも多く行きますように努力したい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なおこの全般的な長期資金の問題の中でも、特に中小炭鉱に関しましてそういう事情が特に加わつておる。大手筋は従来の銀行取引関係からいたしましても、比較的まだ資金がつけやすい利点がございますが、中小炭鉱に対しましては、この炭鉱事業そのものが極めて長期的な設備資金を要するという不利な事情のために、なかなか設備資金の獲得が困難であります。で特別にこの中小炭鉱の設備資金の獲得問題につきましては、今日におきましても各方面と折衝いたしまして、できるだけのことをしたいというふうに努力中でございます。  次に、炭鉱の機械化の問題につきまして申上げますが、この機械化は、昭和二十三年の九月から石炭庁に臨時炭鉱機械化推進本部という機関を設けまして、これによつて種々努力して来ておりましたが、昭和二十四年度にアメリカのジヨイローダー、或いはシヨートウオール・コール・カツターというようなモーゼル機械が入りまして、それに刺戟されまして非常に炭鉱の機械化というものが進歩をいたしております。差当りといたしましては先ず切羽に重点を置きまして、坑木の節約と能率化のために鉄柱を採用することを慫慂いたしております。又それと共に積込み作業を機械化するために、切羽の積込機の使用を勧奨しておりましたが、更に現在におきまして、坑内でも試験的に採用して成功を見ましたドイツ式のカツペ採炭方法を採用することにいたしまして、来年度二千八百万円、カツペの採炭方式に対する助成金を計上しております。それから切羽の能率がこのようにいろいろな方法向上いたしますにつきまして、切羽と坑道の集約が行われるわけでありますが、そのために掘進速度が非常に上つて参ります。この結果、終戰直後の労務者の能率というものが五トン台でありましたものが、逐年増加いたしまして昨年末には遂に十トンを突破するというところまで来たわけであります。来年度も更にこれの一層の能率向上というものが我々としては期待されるのであります。又石炭の品位も、この採炭の強化によりまして逐次向上いたしまして、現在では六千二百カロリー平均ということになつております。各炭鉱とも来年度におきましては、一層大きな機械化を計画しておりますが、現に外国機械の輸入の希望も今日におきまして二百六十万ドルまで申請があります。これのための外貨資金の獲得に現在努力しているわけであります。次に、本年度の新らしい施策といたしまして、二十五年度から全国の埋蔵炭量及び炭質の調査をしております。この炭量、炭質の調査につきましては、過去におきまして、大正二年と昭和七年に極めて大雑把な調査をいたして来ましただけで、その後科学的な調査を行なつておらないのであります。而もこの両回の記録は、炭質につきましては全然触れておりませんで、単に数量だけの見積りに過ぎないのであります。今回は、先般来司令部の協力によりまして炭田探査審議会というものを設置いたしまして、その審議会の答申によりまして、炭量計算基準という基準を作つております。この基準に基きまして、炭量並びに炭質の推定をいたすということになるわけでございますが、先ず事業の計画といたしましては、本二十五年度におきましては資料調査をいたしまして、二十六年度から逐次所要の実地踏査をする、こういうふうになるのであります。二十六年度、このために資料調査、炭層調査、地質調査、試錐調査、地震探鉱、こういつたような諸種の事業を通じまして全体で七千四百万余りの予算を計上しております。最後に、鉱害の対策について一言申上げますが、戦時中の特別採炭、強行採炭に基きますいわゆる特別鉱害に関しましては、前国会におきまして特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正いたしまして、この実施機関といたしまして、昨年末鉱害復旧特別会計という特別会計が作られております。これが年末から発足いたしまして第一回の納付金の徴収を行なつておりますが、大体一月末ぐらいの期限までにつきまして、予定額の九〇%近くのものを収納いたしております。又工事の実施も、一般公共事業につきましてはこれはもうすでに継続しておりますが、家屋、墓地といつたような私有地のほうにつきましても工事をしようといたしておりまして、近くこういう方面につきましても、実際に工事が進められるというような段階に至つております。なお来年度は大体十億程度の工事を実施する予定でございます。又この特別鉱害のほかに、それ以外の一般鉱害といたしまして、まだ現在各地に相当な額に上ります鉱害が残存しておるわけでありますが、これが対策につきましては、先般国会の御要請もありまして石炭鉱害地復旧対策審議会という審議会を通産省で以て作りまして、すでに一、二回会合いたしておりますが、一般鉱害を如何にして中止乃至は解決を図るかということを検討いたすために、先ず実際のこの鉱害の実情というものを調査するということになりまして、現在その調査を進めておるわけであります。その調査のでき次第又この審議会におきまして適切なる対策を立てるというふうな準備をいたしておるわけであります。簡単でございますが全般の御説明を申上げました。
  70. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 今の報告に対しまして御質問ございませんか。
  71. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今お話があつた一般鉱害ですね、一般鉱害はどのくらいの程度に今審議会で話が進んでおるか。進んだ状況のお話を承わりたいと思います。
  72. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 委員会におきましては、先ずその一般鉱害の取扱自体につきましていろいろ意見が交換されましたが、現在のところは、非常に委員相互の意見も離れておりまして、早急にこの委員会だけで以て結論を得るということは非常に困難であります。だから先ず実際の鉱害の実情というものを十分把握した上で、実情に即した一つの結論を出すということで、一応その調査の段階に入るということになつております。でその調査方法の実際につきましては、幹事会におきまして、幹事会のほうで案を作つて、そのでき次第調査をする、こういうふうになつております。
  73. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 一般鉱害も特別鉱害と同じように非常に困つている地方が多いのでありますから、速かに案を樹立して着手して頂くようにお願いいたします。
  74. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 別に御質疑ございませんか。ちよつとお聞きしたいのですが、この二十六年度の合理化資金で九十五億借入が必要であるという数字が出ておるのですが、この中で二十六年度にすでに話合いのついた見返資金その他から調達可能とお考えになる数字はどれくらいなのか……。
  75. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) この数字は、合理化計画のときの数字そのままを掲載いたしておりますので、最近におきまする実情とは非常にそぐわないわけでありますが、現在私ども見通しといたしまして、昨年の暮ころにいわゆる十五カ月予算を立てましたときに、二十六年度末に合理化所用資金として、百二億必要であるという計算をいたしております。その後見返資金その他の事情がいろいろ判明するにつれまして、その見通しが必ずしも楽観を許さないということになつたのでありますが、現在私どもの折衝いたしております範囲では、二十六年度の見返資金を炭鉱向けにどのくらい向けるかということは、先ず二十億から三十億の程度の間であり、それ以上は期待できないという状況のようであります。それでそれ以外のいわゆる中小企業投資といたしましての抱合せ融資がこぎいますが、これは現在は貸出條件が、資本金額並びに労務者数におきまして、比較的これが低くきまつておりますために、炭鉱のような場合には甚だ適用が少いという関係なつております。これをいま少し上げてもらうように交渉いたしておりますが、それが実現いたしましたならば、この面からも若干見返資金がつくのではないか、こう思われるのであります。見返資金を以て調整できない残りの所要資金については、現在のところ確たる方法はないわけでありますが、預金部資金金融債引受といつたような、ああいうルートをできるだけ活用いたしまして、炭鉱向けの所要設備資金を確保するように、目下大蔵省及び安本と折衝を重ねておるわけであります。
  76. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 別にございませんか……。それではその次に、化学局長の長村君に御報告をお願いいたします。
  77. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 化学肥料の最近の情勢につきまして、私よりその供給方面につきまして、概略御説明を申上げたいと思います。化学肥料といたしましても、御承知のようにいろいろの種類もあるわけでありますけれども、特に量的にも大きく問題になつておりまする硫安でございますが、この硫安を中心にいたしまして概略情勢をお話申上げたいと思うのでございます。化学肥料、特に硫安の生産状況は戰後逐年非常に好調になつて参つておることは御承知通りだと思うのでございます。数字を以て申上げますならは、戰前最高の硫安の生産を見ましたのが昭和十六年でございます。数字にいたしまして百二十四万トンの生産を持つたわけでございます。終戰の年には、昭和二十年には僅かに二十四万三千トンという非常に少い数量でございましたが、逐年生産数量は増加いたしまして、昭和二十五年、これは暦年でございますが、百五十万トン余りの生産をいたしております。即ち戰前の最高生産数量を遥かに上廻つた生産実績を出しているのでございます。能力、キヤパシテイーの点についても、大体同様の情勢でございます。戰前の最高の生産を示しました十六年の当時の硫安の製造能力は百八十万七千トンであつたのでございます。これ又終戰の年、昭和二十年には僅かに十八万三千トンという非常に微々たる能力に落ちたのでありますが、逐年この生産能力も回復いたしまして、暦年の昭和二十五年末百八十六万トンの能力に回復いたしました。更に昨年十月一日現在では、二百九万トンの生産能力を持つに至つておるのであります。能力的に見ましても、戰前の最高水準を上廻つた能力を持つ現在になつておる状態でございます。昨年の十一月に、安本を中心といたしまして窒素肥料の需給の推算をいたしたのでございます。当時私ども推算いたしましたところによりますると、窒素肥料として、本肥料年度には、供給量は、約二百四十二万トンの供給が可能であると昨年十一月に推算いたしました。これは当時の繰越が約四十五万トンございまして、新らしい生産といたしまして、百九十一万トンの生産が確実に見込まれまして、加うるに輸入約六万トンも予定いたしておりましたので、合もて二百四十二万トンの供給が可能と見込んだわけでございます。これに対しまして需要は、二百十九万トンの需要を考えたわけでございます。国内消費といたしまして二百十万トン、そのほか販売業者の手持として九万トン程度のものを予想いたしまして、計二百十九万トンの需要を予定したわけでございます。従いまして供給量の二百四十二万トンに対する需要量二百十九万トンの差引二十三万トンというもうは、当時供給の余力があると推算されたわけでございます。又御承知通り、肥料は一年を通じまして時期的に需要の増減がかなり大きなものでございまするが、需要の最盛期の五月までには、大体供給二百七万トンが確実と推定されたのであります。これに対しまして五日までの需要は、ほぼ百九十六万トンであろうと推算されましたので、差引十一万七千トン程度供給は余力のあるものと計算いたしたのでございます。これに対しまして、昨年の十一月に二万四千トンのすでに輸出許可があつたもののほか更に九万二千トン程度輸出は五月までには可能であるという推定をいたしたわけでございます。この推定は、只今申しましたように、昨年の十一月当時の事情を基にいたしました推定であつたわけでございます。従いまして、需給推算の基礎といたしましたものは、需給推算と申しますよりも、供給の推算の基礎といたしましたものは、十月末までは生産の実績をとりまして、十一月以降は生産計画に従つてその推算をいたしたわけでございます。その後の十一月、十二月、一月と三カ月を程過いたしました今日、生産実績を見て行きますると、非常に生産は引続き好調でございまして、当時の計画に比べまして、この三月間に総計実績におきまして、ほぼ六万トンの生産が上廻つておるという状況なつておるのでございます。併しながら他面、先ほど申しましたように、六万トン余の輸入を、需給推算当時に考えておりましたので、この輸入予定量から一万五千トンばかり減つたのでございます。かれこれ考慮いたしましても、今日なお当時推定いたしました供給を相当上廻つた生産の実績を出しておるという現状にあるわけでございます。電力の点を考えますると、二月、三月は御承知通り渇水期であるのでございまして、電力不足による生産面画への影響ということも当然に考えられるのでございますが、只今申しました当初の計画及びその後の生産の実績等を見まするならば、万一二月、三月の渇水期になりまして、当初の生産計画を多少切るというようなことがございましても、すでに今までの生産の実績から、初めに予定しました供給の総量は間違いなく供給し得るものと考えておるわけであります。供給不足ということはあり得ない、只今の見込では心配はない、かように存じている次第でございます。  なお他の重要肥料でございます燐酸肥料につきまして需給関係を申上げます。私どもの推算によりますると、大体本肥料年度といたしまして、供給量は百七十五万トン程度のものを見込んで考えております。生産百四十五万トンに加え、前からの繰越が三十万トンばかりございまして、合せまして百七十五万トン程度供給量があるわけであります。これに対する需要は、まだ確定的に如何ほどの需要があるか、この席上ではつきり申上げる段階に至つておりませんが、いろいろな関係から百五、六十万程度の需要ということに一応考えられるのではないかと思つておるわけでございます。然りといたしまするならば、供給量に対しまして、ここに需給のバランスは十分に得ておるということに相成るのでございます。もとより硫安と違いまして、燐酸肥料につきましては、原料の燐酸石の輸入が問題になるわけでございます。この点の御説明を申上げまするが、五月までの需給関係を見ますると、本年度分の生産に必要な燐鉱石の入手ということはほぼ確実に考えられまするので、今後の生産を毎月十二万七千トン程度なつて参りまするならば、先ほど申しました供給総量も十分に達成しまするし、又需要に対しまする供給量も従つて不足はないと、かように考えておる状態でございます。  なお先ほど来申上げました窒素肥料の需給関係の数字と、お手許に差上げました数枚の資料のうちの第一頁に窒素肥料需給表というのがございますが、この数字と若干食い違いがあるかと思います。これは先ほど申上げました需給の数字、供給の二百四十二万トン、需給の二百十九万トンと申しますのは、昨年十一月当時の状況基礎にして作りましたものでございます。十月までは生産の実績をとり、十一月以降は見込をとつたものでございます。それに比べまして、お手許に差上げました資料は、でき得る限り十一月までは正しい実績をとりまして、又繰越のものも前年度からの差繰の計算等を入れましたために、二万トン余りの数字的な食い違いが出ておるので、御了承を頂きたいと思うわけであります。  なお、只今申上げましたように、硫安の需給関係から申しまして、国内の需要に対しまして供給に相当の余力があるという見込も相立ちましたので、昨年総計十一万六千トン程度輸出を本年五月までに考えることに決定いたしたのは、先ほど申した通りであります。実は昨年八月に肥料の統制が撤廃されましてから、輸出の引合いというものが非常に活発でありまして、香港、タイ方面に二万四千トン程度輸出も現にされたのであります。東亜諸地域、南米、台湾、この方面から特に硫安を要望する声が強かつたのであります。我々といたしまして、第一に国内需要を十分に充足するということを前提にいたしまして、なお余力があつた場合に輸出をいたしたいという考えを持つたわけであります。そこで再三申しましたように、十一月に安定本部が中心となりまして、農林省、通産省関係省が相集まりまして需給推算いたしました結果、本年五月末までに輸出十一万六千トン程度は可能と考えました。これに基きまして輸出許可措置をとりつつあるわけでございます。現在まで積出されましたものといたしましては、計画としては、台湾に対して七万七千トンの範囲内において輸出を考慮したわけであります。現在まで積出されましたものは台湾向け五万トン、それから台湾以外の地域に一万五千トン程度輸出も考えたわけであります。このうち四千五百六十トン余りがすでに積出しを了したわけであります。もとよりこの輸出の問題は、私どもといたしまして、肥料の性質上、先ず第一に十分に国内の需要を充足することを前提といたしまして、然る後に幸い余力のありました場合にこれを出すという考え方で、安本を中心に関係省が集つていろいろと相談をいたしておるわけであります。只今申上げましたように、戰争後、窒素肥料の生産の能力及び実績は、逐年上りまして、今日では戰前最高の年度の生産能力を超える生産状態なつておりますけれども、更にその生産を増加して参るということが、漸次殖えて参ります国内需要を充足する意味にも、又その余力を駆つて輸出商品として大いに外貨を獲得するという点からも、是非とも必要のものと考えておるわけであります。このために私どもといたしましては、窒素肥料の今後の増産ということに一般と力を入れたいと思つておるわけであります。通産省といたしましては、昭和二十七肥料年度におきまして、窒素肥料総計二百六十万トンの実生産を上げるように努力いたしたいという目標を以て諸般の施策を考えておるわけであります。御承知通り、硫安の生産の中にはガス法によりますものと電解法によりますものと両方ございまして、いずれも相待つてその生産をやつておるわけでありますが、特にこのガス法硫安工場を主として只今申しました実生産増強をいたして参りたいと思つておるわけであります。私どもガス法硫安工場を主といたしまして、実生産能力五十万トンを拡充いたしたいと思つておるわけであります。このために昭和二十五年度におきましても、見返資金を導入しましたし、引続いて二十六年度におきましてもできる限りの見返資金を導入し又必要な原料面の確保につきましても、関係当局協議いたしまして、十分にその確保に努めたい。かように存じておる次第でございます。  なお先ほど燐鉱石の輸入確保と燐酸肥料の供給に関連して申上げました燐鉱石の輸入見通し需給状況を簡單に御説明したいと思います。御承知通りに、現在の燐鉱石の輸入はアンガウル鉱は政府輸入ということになつておりますが、ほかはすべて民間輸入なつておるわけであります。今日の外貨資金の中で事前割当を行いましてCIFと自動承認制とを併用いたしまして国家輸入を行なつておるわけであります。民間輸入のほうでは、十二月末までの契約は六十三万四千トンであります。すでに十二月までに現実に入荷いたしましたものは二十四万一千トン、一月以降五月までに入荷予定のものが三十一万三千トンあるわけであります。この分につきましても、大部分順調に入荷できる見込であるわけであります。併し御承知のように海上運賃が十二月以来非常に上つて参りました。この関係で今後の新規契約というものが漸次窮屈になつて参つているのであります。先般六月、八月入荷の予定の二十六万トン余りの契約をいたしたのでありますが、一般的な傾向といたしましては、海上運賃の急激な値上りによりまして、今後の新契約というものが相当な苦しさを加えるのではないかと思つているわけであります。一方アンガウル鉱のほうは、十二月末までに六万八千トンすでに入荷しております。この一月以降五月まで毎月一万一千トンから一万二千トンの入荷があり得るものと予定されているわけであります。かような状態でございますので、本年の春肥用の原料、燐鉱石というものの可当も十分に既定の計画通り期待いたしております。従いましてこれを基にした燐酸肥料の供給ということも、計画通りに定遂し得るものと思つているのであります。私どもとしましては更にその後の原料を確保するという意味から、他の必要物資と併せまして、一般の情勢に対応しつ必要な輸入確保に努めたいと思つているわけであります。  なお肥料は御承知通りに八月から統制が撤廃されているわけなんでございまするが、従つていわゆるマル公というものがなくなつているわけであります。ただ燐酸肥料につきましては、昨年の八月肥料の統制撤廃いたしました際に燐鉱石にトン当り三千三百七十円の補給金を出しているわけなんでございます。これは燐鉱石トン当り三千三百七十円でございますので、製品に直して見ても、結局製品一トン当り二千二十二円の補給金がついているというような勘定になるわけであります。これによりまして消費者に渡ります価格が、二十円年末に比べまして七割以上に上らぬように抑えたいという趣旨でかような措置予算上とつているわけであります。この補給金は本年の春肥用の原料燐鉱石に限つておりますので、来肥料年度、つまり本年八月以降のものにつきましては、現在のところこの計画はないわけでございます。先ほど申しましたように、最近船賃等が非常に上つてつておるのでありまして、これらの点を考えますると、来肥料年度におきます原料価格の値上りということが相当にあるわけであります。一面この補給金が、来年度からは今のところ予定されていないということもありますので、これらの点につきましては、非常に肥料の価格面に大きな影響を持つわけでございますけれども只今どもといたしましても安本、農林省、物価庁その他この方面の主務省と相談いたしまして極力検討を加えている事情であるわけでございます。  以上極めて概略でございまするが、最近の肥料の需給関係につきまして御説申上げたわけであります。
  78. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 只今の御報告に対しまして御質問を願います。
  79. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 只今説明によつて八月以降の分からは補給金がなくなるという、こういうようなお話でありましたが、この三月までに輸入されたものまで補給金があるのですか。或いは契約をしておつたところのものであつたならば、あとで入つたものに対しても補給金があるのかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  80. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 初めの見込といたしましては、三月末までに全部契約のものは入つて来るだろう、こういう予定で考えておりました。つまり契約のもつと、現に入つて来るものとは同じだという考えであつたわけであります。そこで若干のズレが出て来ると思います。これはまだ確定的にきまつておりませんけれども、当初の趣旨からいたしますならば、ずれましたものにつきましても考えなければならんという気持は持つております。
  81. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 ずれたものにも考えなければいけないということでありますが、ずれたものも、勿論一方のほうにおいて過燐酸石灰は或る最高販売価格というようなもので抑えられておるようであるから、補給金か何かがないということであつたならば、現在抑えてあられるところの最高販売価格というようなものも又変更になつて来るのではなかろうかと思うのでありますが、補給金がなくなつた後において、過燐酸の最高販売価格というようなものも何とかお考えになつておるかどうか、その点お尋ねいたしたいと思います。
  82. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お話のように、二十四年末を基準にいたしまして、七割アツプまでという、大体の頭をつけまして価格の問題を考えております。従いましてそれに対して補給金を考えておるという状態になつたのでありまして、補給金が来肥料年度以降つかんといたしますれば、勢い七割アツプという線も当然再検討しなければならんと思うのであります。併しこの問題はさような方向にこれを考えて参りますか。或いは又価格の点は或るところでとめまして、他の補給金というような方向で問題を解決するように考えて参りますか。この点はまだ物価庁を中心にしまして今折角検討中のところでございます。
  83. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 過燐酸肥料と同時に、加里肥料は日本に全くないのでありますから、これも輸入に仰がなくちやならないのであります。加里肥料も船運賃の値上げその他というようなことで非常に高い値段になるかと考えているのでありますが、加里肥料に対して現在補給金はないのであるが、将来において加里についても余りに高くなつたら、何らかの価格政策を講じなくちやいけないというふうに考えるが、この点についてお伺いしたい。
  84. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お話のように加里肥料は殆んど全部輸入でございます。幸いに今までのところでは順調に輸入を見ておりまして、供給面には支障がないわけでございますけれども、今後の輸入について、船賃等の値上げも当然考えられるわけでございます。この問題は、実は国内生産が絶無といつてよろしいのであります。全部輸入でございます関係上、主として物価庁を中心にしまして、いろいろ検討をしているわけでございますが、当然この輸入確保のために、御指摘のような問題もいろいろ検討しなければならんと考えております。
  85. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 これは通産省関係じやないということになるかわかりませんが、最近肥料の価格が非常に上りつつあります。その肥料の価格が上りつつあるのでありますから、これを何とか抑えなければいけないということになろうと思うのでありますが、その上りつつあるところの肥料を抑えるという方法は、幸いにして肥料公団が手持の品があるのでありますから、手持の品を放出して、そうして値段の上ることを抑えるということが一つの方法であろうと考えるのでありますが、通産省のほうでは、そういうようなことについて何かお考えがあるなら承わりたいと思います。
  86. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 公団手持の肥料放出につきましては、只今需給関係から、その供給を増しまして需要に対応して行くということで、私どもも必要な数量の放出を当然行うべきであると考えております。御案内のように一月分の放出はきまりまして、近く二月分の放出につきましても又結論を得たいと考えております。
  87. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今二月分のほうは、近く結論を出すというお話でありますが、二月、三月というように残つておるところのものもできるだけ早く出して、肥料はたくさんあるのだ、心配要らないのだ、こういうふうにするのが肥料の価格政策上からもいいと思つておるのでありますが、小刻みに出すのではなく、或る程度の肥料を一緒に出す、こういうふうな御計画はないかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
  88. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 公団の手持肥料は現に相当あることは一般に周知されておるわけであります。これは必要に応じましていつでも放出し得るわけでございます。一面この生産のほうも、先ほど申しましたように、幸いに、この三月をとりましても、計画以上に数万トンの生産ができておるという状態にもなつておるわけでありまして、全般的に申しまして供給方面では少しも心配はないものと考えておるわけであります。従いましてこの公団肥料の放出のそれぞれの時期におきます数量等も、只今申しました生産推移、需要の関係を見まして適時適宜にきめて参つている只今のところの実情でございます。併しこれは別にさようしなければならんという性質のものでもないので、結局新らしい生産情勢、需要の関係、これを睨み合せまして必要に応じまして放出量をきめて参るということになるかと思います。
  89. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 次には、アメリカからの窒素肥料の輸入の見込があるかどうかということと、朝鮮動乱の結果、朝鮮でできつつあつたところの肥料が、今後どれくらいできるのであるか。或いはできないのであるか、この見通しをお尋ねいたします。
  90. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) 本肥料年度の輸入肥料といたしましては、先ほど申しましたように、当初六万トンくらいの輸入を考えておりましたが、実績はそれよりも下廻つておることは、御説明いたした通りであります。来肥料年度は、只今のところ肥料の輸入の問題はまだ考えておりません。朝鮮の状況につきましては全く不明でございますので、單に想像するにとどまるわけでありますが、恐らくは向うにおきます肥料の生産は、非常に生産設備の破壊によつて支障を来たしておるのではないかと、さように考えます。
  91. 藤野繁雄

    ○藤野繁雄君 今お話の通りといたしますというと、アメリカからも窒素肥料の輸入は考えていない。朝鮮の窒素肥料もどうかわからないということだつたならば、東南アジア及び日本の食糧増産に最も必要なところの肥料というものは、日本で生産しなければいけないという、こういうふうになると思われるのでありますが、東南アジアその他において必要であるところの窒素肥料というようなものを日本で造るとしたならば、どういうふうな程度まで製法能率を上げたらばいいのであるか。又上げるとしたならば、可能であるか、可能でないか。こういうふうなことを一つお尋ねしたいと思います。
  92. 長村貞一

    政府委員(長村貞一君) お話のように、この東洋地域におきまして、硫安工業として大規模な工場を持つておりますのは、日本だけであります。従いまして單に国内供給するだけでなく、東亜諸地域におきましても、日本が大きな一つの供給源にならざるを得ないというような情勢なつておるわけであります。御承知のように、或いは電力の面、或いはパイライトの面から、いろいろと生産上の制約もある、それらの点を考えまして私どもといたしましては、実行可能なる一つの生産計画といたしまして、先ほど申しました百六十万トン程度生産というものを実現いたしたい。これによりまして第一に国内供給いたしまして、残つたものを必要な地域に輸出したい、かようなことであります。
  93. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) 別にございませんか。  ちよつとお諮りしますが、繊維局長の近藤君も見えておるのですが、繊維の問題は非常に重要な問題でございますし、更に先ほど次官の説明の中にありました中小企業の問題或いは産業資金、特に長期資金の調達の問題等、非常に重要な問題が残つておりますので、これらの問題を改めて適当な機会に更に審議することにいたしまして、本日はこれで一応打切つたら如何かと思いますが……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 佐多忠隆

    理事佐多忠隆君) それじや本日はこれで打切ります。散会いたします。    午後四時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            佐多 忠隆君            伊達源一郎君            藤野 繁雄君            櫻内 義雄君            東   隆君            岩間 正男君    委員           池田宇右衞門君            大島 定吉君            小野 義夫君            安井  謙君            山本 米治君            山縣 勝見君            岩崎正三郎君            内村 清次君            加藤シヅエ君            下條 恭兵君            永井純一郎君            山田 節男君            高良 とみ君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            前田  穰君            鈴木 強平君            堀木 鎌三君            矢嶋 三義君   政府委員    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    委員経理長   中川 哲郎君    大蔵省主計局次    長       石原 周夫君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    纖維局長    近藤 止文君    通商産業省通商    化学局長    長村 貞一君    通商産業省通商    鉄鋼局長    中村辰五郎君    資源庁炭政局長 中島 征帆君   事務局側    常任委員会專門    員       野津高次郎君    常任委員会專門    員       長谷川喜作君