○相馬助治君 私はここに
日本社会党を代表いたしまして、
只今議題に供せられておりまする
警察法の一部
改正案に関し、
吉川君
説明にかかる
日本社会党提案の
修正案に
賛成いたしますると共に、
政府提案を
修正いたしましたるところの
委員長報告にかかる
原案に対しまして反対の意思を表明するものでございます。(
拍手)
昭和二十二年制定せられました
警察法による新
警察の
制度は、戰前の
日本の病根でありましたるところの強大なる中央集権的
国家警察の機構を地方
住民の自治的な機関に還元することによりまして、真に民主的な社会を建設せしめようと意図したものでございます。曾
つての不幸なる戰争によりまして多くの犠牲を拂つた結果、ただ一つかち得た教訓でありまするところの民主主義を守るために、そうして平和の
日本を建設するためにも、この基本的な方針こそは飽くまで我々は
国民として守り抜かなければならないことは、あえて今日論ずるまでもないところでございます。要するに、新らしい
警察制度の根本
精神は、これを政治社会の基底を流れておりまするところの近代
精神の中にこそ求めることができるかと思うのでありまして、(
拍手)曾
つて日本の政治は神の権威の下にあり、それは王者の権威と合体したところの神権的絶対主議政治とな
つて、我々の前に、
警察も、
軍隊も、そうして政治のすべてが民衆の上にのしかか
つて君臨して参つたのであります。この政治社会におきましては、
個人の
尊嚴などというものは問題にされない。
個人の仕合せなどというものは常に捨てて顧みられなかつた。お国のためにというただ一つの美名の下に、
国家の一部
少数の特権階級の下に、それらの人々の必要の範囲内においてのみ
個人は尊重をされて今日至りました。かかる社会においては、その
制度の必然的結果といたしまして、あらゆる
制度というものは、既存の権威を
維持し、これを存続するためにのみ動員されて参つたのであります。(
拍手)従いまして、
警察は常にそれらの支柱としての役割を果して、あの恐るべき戰争に、そうして不幸なる敗戰にまで導き来たつたのであります。繰返して申しまするならば、
軍隊或いは
警察というものが、曾
つて日本においては民衆の味方として或いは
国民の幸福を確保するために存在したのではなくて、封建的なる政治の仕組を支える支柱としてだけ役割を果して参り、(
拍手)常に物理的威力として最大の効力を発揮すべく、時の為政者によ
つて指導されて参つたのであります。(「公式論だ」と呼ぶ者あり)これが皆様、
日本の過去の悲しい歴史の事実であります。安井君はこれを公式論だと言うが、かかる公式論すらも理解されなかつたところに曾
つての
日本の悲劇のあつたことを我々は顧みなければならない。(
拍手)かかる歴史的反省を持つときに、戰いに敗れ、再建の途上にある
日本の将来の運命を思うときに、我々は
昭和二十二年度に作られましたる新らしい
警察制度は軽々しくは変更してならないとする大きな義務感を持つものでございます。而ういたしまして、人類文化の発達ば社会の固定を許さないものでありますると共に、あらゆる科学の進歩は社会経済の実態を時々刻々に変化して参ります。従いまして立法におきましても、或いは時の
政府の政策におきましても、動きつつあるところの、進みつつあるところの社会を現状のままに金縛りに縛ろうとするような、民主主義とはおよそ縁の遠い強権的な作用が行われまするときには、そこに無用の摩擦を生じるばかりでなく、それは民主的なる社会
秩序を破壊することと相成りますることは必定の問題でございます。今般の
警察法改正に当
つてとられましたるところの
政府の心構えを見まするときに、我々は残念ながらかかる懸念を持たざるを得なかつたのでありまして、(「大丈夫」と呼ぶ者あり)不肖私も
委員会におきまして、再三に亘
つてこの点
質疑を試みたのでありまするが、立案者たる
政府側委員の
答弁は、常にこの点に関しましては曖昧模糊、本員を満足せしむるに足るものではなかつたのであります。このことは、
質問いたしまする私どもにとりましても、これを答える
政府にとりましても、極めて不幸なことであつたと存じまするが、この見解の相違というものは一体何に基因するものでございましようか。これは現在の
政府が真実の民主主義を如何に把握しているかという点に問題はかか
つて参ると思うのでありまするが、マツカーサー元帥が累次の書簡の中において指摘いたしましたる中心理念というものも、一言してこれを申しますれば、如何にして
日本の民主主義を守るかの一点にあつたと私は理解するものであります。従いまして、
国民の選良として今日議席を有する光栄を持つ
我我議員たる者は、常にこの点に関して思いをひそめますると共に、民主主義を守るという一点こそが不動の指導理念として我々の胸の中を流れて行かなければならぬと思うのであります。即ち近代民主政治におきまするところの主権在民の概念と申しまするものは、
個人の
尊嚴と福祉の
維持発展ということを飽くまでも基調とするものであります。そのことが、他面において、例えば
警察問題を中心といたしましたときに、
運営上いささかの不便はあろうとも、
運営上の少々なる欠陥はあろうとも、そうしてそのために国自身がいささかの迷惑をこうむろうとも、民衆の
尊嚴と福祉が
維持されるという一点が確保される限りにおいては、それは
国家国民の盛大を
意味するものなのであります。(
拍手)人類社会普遍のこうした理念を我々は飽くまでも中心としなければならないと思いまするときに、
国家があ
つてその下に
個人が附随するのではないということを我々は再確認しなければなりません。かくいたしまして、社会
公共の
秩序と福祉の
維持についても、
国民はそのみずからの権利を以て
公共の福祉に反せざる限り適当なる方策を立て、適当の施策を行い得ることとなるのであります。
地方自治団体の
維持するところの
警察制度の本質的価値というものは、一にかか
つてこの
精神の中に求められなければなりません。たとえ、その運用の面におきまして、いささか支障ありといたしましても、基本的な問題といたしまする場合には、そのこと自身によ
つて、自警の持つ、いわゆる
自治体警察の持つ本質的な価値というものは、いささかも浸せらるべき性質のものでは断じてないのであります。こうした
精神を我々が推し進めることによ
つて、こうした
精神に指導された
法律が成立することによりまして、初めて、
警察は、我々民衆の上に君臨するものではなくて民衆に奉仕するものと相成りますると共に、権威の駆使に甘んじ、その威力に附随して、小さき権力意識の蔭に躍
つて参りましたるところの曾
つての中央集権的官僚機構とはおよそ姿を変えた、
内容を変えた、人民の真の公僕として
警察が我々の前に現われる可能性を我々は考えるのであります。(「
警察講演会だ」と呼ぶ者あり)現在において我が国の
自治警察というものが分散の状態にありまして、
運営上統一的不利の存することは、むしろ却
つてこの間の消息を事実によ
つて、示さんとする教育的措置であると、我々はこの際考えて然るべきものであろうと確信するものであります。(「演説が違うぞ」と呼ぶ者あり)言い換えまするならば、今日
運営上の不便の点におきまして、
自治体警察が世の冷たい批判の前にさらされておりまするが、そのこと自体が
自治体警察の持つ啓蒙的価値を明らかに我々に雄弁に物語るものであることを私は確信するものであります、
警察法の
改正に当りましては、常に以上申述べました角度に立
つて我々が検討することが必要であると思うのでありまして、この点を、私、第一に満堂の諸君と共に確認いたしまして、逐次問題の要点に触れて参りたいと思うのであります。(「時間が切れるぞ」と呼ぶ者あり)
勿論
警察制度においては、当然社会の
治安を
維持いたしまして、
犯罪を最も
能率的に検挙する使命が存ずるのでありまして、現在の
制度がそれを完全に果しているかどうかとなりますると、問題があると言わなければなりません。即ち
財政的基礎の弱い地方のいわゆる弱小
町村が、その
費用の
負担に堪えかねまして、今日むしろ
国警編入を望んでおる事実、或いは
国警と自警とが繩張り争いをし、二階の上と下に巣を構えて、署長を初めとして
一般警察官が睨み合
つておるという痛ましい姿、或いはその自警、
国警の連絡不十分のために起る捜査能力の低下、
人事交流の不円滑から来ますところの
自治体警察職員の意気の銷沈、地方ボスとの容易なる結託、
警官の素質の低下、こういう点におきまして、今日多く問題とな
つておるのでありまするが、
政府が真に善意を以て
警察法を
改正するとするならば、この不備を補うという点を第一点といたしまして、飽くまで
自治警察の
精神を没却してはなるまいと思うのであります。要するに
警察制度が今日一応検討されなければならぬ段階に立ち至
つていることは私どもも認めるところでありまするが、その前提に立つ場合におきましても、新
警察制度の持つ理想
精神を否定することなく、法
改正によりまして
運営上の不満なる点を矯正すべきでありまして、仮にも、
警察能率の
向上であるとか、朝鮮事変がどうだとか、或いは
治安確保がどうだとかいうような名の下に、好機逸すべからずとして
国警を強大ならしめ、中央集権的
警察制度の復活を図り、或いは
警察官僚機構の拡大を招くことによりまして、再び
国家警察へ逆行するような意図を含むところの
政府原案に対しましては、生長の過程にある
日本の民主主義を守るためにも、民主社会にふさわしい
警察制度の確立を望む立場からも、我が
日本社会党は声を大にしてこれに反対せざるを得ないのであります。同時に、先ほど
吉川君
説明の
通り、我が党の
基本精神に則りまして
修正案を上程せざるを得なかつた
理由というものは、一にかか
つてこの不備なる
政府原案に胚胎しておるのであります。即ち
政府原案は、
国警捜査権の拡大、
国警における
自治警察への優位の確保、或いは小
自治警察の廃止、
国警定員の増加などを骨子としたものでありまして、新
警察制度の企図いたしまする
警察の
民主化、地方分散、或いは
警察が
地方自治の
真義に則つた
国民に属する
民主的権威の組織であらねばならないとすること等とは、全く相反しておるものでありまして、要約して申しまするならば、
政府原案は、第一に、地方分権による民主主義育成の政策をいささかも講ずることなく、單に
能率的立場に名を借りまして、民主主義的地方分権主義の圧殺を図らんとすると言われても一言もないところであろうと思うのであります。第二には、現在の
国内情勢からして
警察制度を再検討するとするならば、当然、予備隊であるとか、或いは海上保安隊、或いは法務府特審局等、一連の
関係において調整いたしまして、根本的検討を加えるべきであつたと思うのであります。本問題に関しましては、私どもは二三度に亘りまして大橋君に対しても水を向けたのでありまするが、一応この
改正で以て当分は足りるとの答えは我々を誠に悲しませたものであります。従いまして、かようなことを怠つた片手落ち
法案でありますると共に、新
警察法の
基本精神でありまするところの、
警察官だけが
警察であるという考えでなくて、市民みずからの
警察であるとするところの市民
自治警察の
精神に反するところの反動的なる
内容を持つものであろうと我々は理解したのであります。従いまして皆様、民衆の喜びを喜びとし、民衆の悲しみを悲しみとしないと言われるところの反勤労者的性格を持つ現
政府の反動政策の先駆をなすものが本
法案であります。ここに
日本社会党は全
国民を代表して、(笑声)敗戰
国民当然の責務として、諸君は笑うけれども、そんな悲鳴はやめ給え。とにかく我々は自信を以て今日
政府原案に我が党は反対するのであります。なおこの際一言申したいことは、
国民民主党並びに
緑風会より
修正案が上程されております。これは
政府原案の持つ不備に対しまして、第四十條においてこれを
修正し、市に
隣接する
町村においては、
住民投票により当該市と
組合警察を作り得ると
規定しておるのでありまして、少くともこの点だけに関しましては、その
精神に対して
我我は敬意を表するにやぶさかではありませんが、楽屋裏において行われたことは、先ほど
吉川君が痛烈に発表の
通りであろうかと思うのと同時に、先ずこの問題につきましても、かかる部分的一部
修正を以てしては、
政府原案の持つ欠陥を救うことの断じてできないことは、恐らく良識ある
緑風会の皆様、
民主党の皆様御自身がこれを御了解であろうと思うのであります。従いまして、かかる局部的
修正案の上程が、道義的には極めて善意に満ちた皆々様のその意思というものが、結果からいたしまするというと、逆に吉田内閣及びその與党である自由党の諸君に断乎たる勇気を與え、そうして
民主党並びに
緑風会諸君の良心的な政治意図すらが遂には反動的な
政府原案を成立せしめる片棒を担ぐことに相成
つておるということは、
国家の悲劇であると断ぜざるを得ないのであります。(
拍手、「
ノーノー」と呼ぶ者あり)従いまして、我が党は、
緑風会並びに
民主党の諸君苦心の結果に成つたのでありましようところの(「さようであります」と呼ぶ者あり)この折角の
修正案に対しまして、その不備な点を衝きまして、これ又断乎として反対せざるを得ないのであります。同時に、
修正案第四十二條二の
規定によりまするというと、「前項の
規定により共同で
警察を
維持することのできる
町村は、
政令を以てこれを告示する。」と書いてありまするが、極めて問題は大であります。
国会みずからがかかる重要なるポイントを
政令に任せるということは何でありましようか。結局これは
国会審議権の放棄であり、立法府に連なる我々議員みずからの権威を失墜せしむるものとして、諸君に猛省を促してやまないところであります。(
拍手)次に
政府原案の
條項に
従つて重要なる数点を指摘いたしまするならば、先ず
国家地方警察並びに
自治体警察の名称に関してでありまするが、先ほど
吉川君が該博なる知識を傾けてこれを述べました、この
国警の語源はナシヨナル・ルーラル・ポリスでありまするが、(笑声)ナシヨナル・ルーラル・ポリスを不用意にも
国家地方警察と訳したところに今日の問題があります。
社会党時代にそうしたことをしたのではないか、お前らそういうことを言うことは怪しからんというならば、これは論理学の一頁をも知らぬものである。なぜならば、過まちを改むるに憚ることなかれであります。(笑声、
拍手)従いまして、問題は、我が国におきましては、有識者を含めまして
一般民衆が持
つておりまする
国家というものの概念が極めて特殊だ。幾らこれをアメリカ人なんぞに
説明しても彼らにはわからない。我々
日本人においては、今日においても、ヘーゲルの哲学を中心といたしまする旧来の
国家至上主義観念が根強く我々の胸の中に巣を食
つておる。インテリと言われる者ほどこれがひどい。
個人のために
国家が存するにあらず、
国家のために
個人が存するというようなへーゲルの言葉を、残念ながら我々は長い間肯定して今日に至つた。彼はその著述を通じて、
国家の
制度のうち、立憲王制が理念の発展及び実現の最高理想の姿であると述べておる。このヘーゲルの考えが我が国に導入されまするというと、結局するところ、王制という特権階級が保有しまするところの権威に対する絶対の服従を強要する哲学と化けました。こうして、曾
つてホツブスが説いたように、
国家というものは社会契約であると共に服従の契約であるということと本質的には何ら差異を認め得ないものとなりまして、これらの思想によ
つて、或いは
日本の幇間的なへーゲリアンの指導によ
つて、明治以降最近まで、
日本の思想界というものは徹底的なる奴隷的根性に養われて参つたのであります。(「同感」と呼ぶ者あり、
拍手)戰いに敗れた今日、我々がこのことを思いまするというと、誠に燦然たるものを感じますると共に、今にして目覚めなかつたならば、
国民の不幸これに過ぎるものなしと断ぜざるを得ないのであります。要するに
国家という語は最高の権威を伴う特別な
内容を持つものであると、これは議論を抜きにして常識的に
国民に思い込まれておる。問題はここにあります。
従つて国警の諸君が自警の諸君より偉いと考えて来るに至りました。又
一般国民も、
国警は自警に優越するという、名称より来たる錯誤観念を持つに至りまして、この観念をこの際徹底的に是正することなくしては断じてならないのでありまして、私は
社会党修正案の
通り、啓蒙的
意味を含めまして、言語の意義を明確にいたし、法文
規定の実質に即応いたしますように、前者を全国村落
警察と名付け、後者を都市
警察と
修正することにしまして、名は体を現わすという
日本の言葉を思い浮べながら心から
賛成するものでありますと共に、諸君の御賛同を少くともこの一点に賜わりたいと存するものであります。次に
定員の問題でありますが、
政府原案によりますと、弱小自警の廃止によりまして、当然それだけの自警の
定員が
国警に流れ込んで来る。うつかりあの
政府原案を見ますというと五千人だけ
定員が増加すると感違いをするのでありますが、何ぞ測らん自警の
定員は無制限である、即ちこの自警のほうは
定員の枠が外されていることを忘れてならぬのであります。従いまして現在自警と
国警と合せて十二万五千人、
国民六百人が一人の
警官並びにその家族を食べさせているということになる。これで足りなくて、なお又
定員を増す。我々は
国家治安のためという
説明を聞きましたけれども、今日
警官の少なきを悲しむ者はない。むしろ月給が安くて、教養が低下して、質の悪い
警官が余りに市中に多いことを我々は悲しんでおる者が多いのではなかろうかと思うのであります。(
拍手)従いまして、特別なる
国家擾乱には
警察予備隊のあります現在、私ども、この官僚組織が持つところの、特有でありますところの、何とかしてみずからの陣容を拡大
強化せしめんとする習癖に対抗しますためにも、この
定員増加に反対してやまないものであります。(「同感」と呼ぶ者あり)要するに、この場合において
定員増加の
費用というものは
警察官の給與に廻し、
警察官が命がけで後顧の憂いなくその職務に勉励できるようにいたしますと共に、近代的な
装備をするところの
費用に充当せしめるべきであろうと考えるものであります。第二十條による
都道府県知事に対する新たなる権限付與の問題は、
吉川君の
説明の
通りでありますが、仮にも
公安委員会の権限を、我々の否定しない限りにおいて、
公安委員会が自動的に或いは他動的にその機能を失つたとき以外には、絶対にかかる措置はとるべきではないと考えるものであります。次に弱小自警廃止の問題でありますが、これは
財政的問題より今日弱小自警の存在が問題とな
つておりまするが、我々といたしましては、最終的結論といたしますれば、将来
自治体警察を
都道府県及び
人口十万以上の都市に置くこととし、
国警は全部これに吸収せしめるべきであり、今日自警を潰して
国警をふくらますというのは我々は反対である。こういうことをすることによりまして、又一方、中央には、
国家的規模の特殊
犯罪を取締り、且つ
警察通信施設、
犯罪鑑識施設、
警察教養施設、統計等の事務を掌るアメリカのFBIに近い機構を設けるべきであると共に、
北海道のごとき特殊地域については別にこれを考慮することによりまして、且つ又
警察予備隊の任務を明確ならしめることによりまして、真に理想的なる
警察制度を確立すべきであろうと思うのであります。
住民投票の問題に関しましても、
住民投票というものは民主的なる一つの方法であることには間違いはないけれども、一体今突如として……、皆様の国の状態を考えて下さい。自警を廃止する、
住民投票をやる、一体どういう結果がこれは起きて参りますか、(「なぜ
賛成したんだ」と呼ぶ者あり)思い半ばに過ぎるものがあるのでありまして、我が党はこれに対して反対せざるを得ないのであります。従いまして、その
意味におきまして、これは大幅な
組合警察の設置を期待する我が党の
修正案は
警察法の根本を生かすものであるとして、私は心から賛意を表するものであります。次に本
法案は予算の裏付けを今日いたしておりません。勿論これはこの場合止むを得ないとする一つの口実もありますが、延長又延長のこの
国会におきまして、一体この
定員増によりまするところの予算は如何相成るか。これは確信があるということを
政府側からは聞いたのでありまするが、当初二万人を
要求した
法務総裁の
要求が、池田蔵相の裁断によつたのでありましよう、五千人に削られた。如何に今日何と抗弁いたしましても、こういう私は内部のからくりを新聞を通じて残念ながら知
つております。従いまして、且つ又廃止せられまする自警側の
平衡交付金問題に対しましても、
政府の
答弁では極めてあいまいであります。
従つて、私は予算の面よりいたしましても、本
法案は不備なりと断ぜざるを得ないのであります。以上私は、極めて概括的ではありましたが、問題の所在を明らかにしまして、何が故に
委員長報告にかかる
原案に反対し、何が故に
日本社会党提案の
修正案に
賛成するかを申上げたのでございまするが、諸君、
警察制度なるものは、
警察の性格なるものは、誠に国の性格にかかる重大問題であります。延いては一国の運命にかかる問題であります。
本案は衆議院におきましては多数を以て
政府原案が可決に
なつたはずでございまするが、我が参議院は二院
制度の妙味を発揮いたしまして、是非とも新たなる角度に立
つてこれを眺めなければならない義務感を私は持つのでありますが、諸君は如何でございまするか。
国民を代表する我々議員が、民主主義を守るためにも、今日こそ比類なき勇気と良識を持たなければならない。こういう
意味におきまして、私は殊に
民主党の諸君、なかんずく現在の反動的なる吉田内閣の内政に批判的でありまする健全なる
民主党の諸君、(笑声)それから是々非々を以て常に天下に聞えておりまするところの良識ある
緑風会のゼントルマン諸君、(
拍手、笑声)そうして第一クラブの諸君(「そうだ」と呼ぶ者あり)及び小会派の諸君は、今日こそ、この
改正に当
つて、勇気と良識とを必要とするのであるということを、私は
日本社会党を代表して心から訴えまして、私の
討論を終る次第であります。(
拍手)