○植竹春彦君 只今上程いたされました
鉄道敷設法の一部を
改正する
法律案につきまして、運輸
委員会における
審議の
経過並びに結果を申上げます。
本
法律案の要点は、日本国有鉄道の鉄道新線の敷設は、国家経済の発達、文化の向上並びに民生の安定に甚大なる影響を及ぼしますので、運輸大臣の諮問機関として運輸省に鉄道
建設審議会を設けまして、今後日本国有鉄道の新線の選定や資金の調達方法等について公正且つ合理的に調査研究せしめて、鉄道新線の敷設に関して万全を期そうという趣旨でございます。
委員会における
質疑に当りまして、菊川
委員より、各種
審議会の存否が検討を受けている現在、その必要性を質し、新線
建設には、かかる機関を設くることを考慮するより、
建設予算の成立に努力するほうが効果的であり、又仮に
審議機関を設くるにしても、現存の
委員会を利用するか、或いは新設する場合も、もつと彈力性のあるものにしたほうがよくはないかという趣旨の質問があり、又鈴木
委員よりも、本
審議会を国鉄の機関とすることの可否等につき質問がありましたが、これらの質問に対し
提案者の代表として衆議院議員岡田五郎君は、鉄道新線
建設の要はすでに国会両院において決議された事項であり、その緊急性と
重要性を深く認識するので、新線の
建設はひとり国鉄又は運輸大臣の判断のみに任せず、あらゆる角度からら公正且つ合理的な結論に基いて予算を獲得し、新線
建設を推進する要がある。この趣旨の機関場として鉄道会議が永年効果を挙げて来た実績もあるので、今回各種
審議会が検討を加えられてお
つても、その必要性を認め、運輸
審議会の
審議事項から特にこの点を外し、別個に常置機関を設けて、専心この事項を担当せしめようとするものである。これを現存機関のみを以て当らせることは、その
目的並びに性格から見て適当ではないとの答弁がありました。
次いで
討論に入りましたところ、菊川
委員より、
一般に
審議会等
審議機関の
制度については批判が加えられている際でもあるから、この鉄道
建設審議会の
委員については、真にその職責を果し得る者を選び、本法の運用の万全を図られたいことを希望して、本
法律案に
賛成の旨、意見の開陳があり、次いで
採決に入り
全会一致を以ちまして原案通り可決することに決定いたしました。
以上御
報告いたします。
次に
道路運送法案、
道路運送車両法案、
自動車抵当法案及び右三法のそれぞれの施行法案、以上六つの法案につきまして御
報告申上げます。
最初に
道路運送法案でありますが、これは
昭和二十二年
法律第百九十一号で
制定されました現行道路運送法を全面
改正するものでありまして、現行法実施以来の経験に鑑みまして、その不備欠陷を是正し、道路運送
事業の適正な運営及び公正な競争を確保すると共に、道路運送に関する秩序を確立することにより、道路運送の総合的な発達を図ろうとするものであります。
今回の全面
改正で特に意を用いてあります点は次の通りであります。第一は、
免許の対象とな
つております自動車運送
事業の種類を、現実の
事業形態に即応いたすように改めました。第二は、運賃料金
制度につき定額制を強調したこと、並びに貨物自動車運送
事業について運賃料金の現拂制を原則といたしました。第三は、従来命令に讓
つてありました従業員の服務、旅客の禁止行為その他の事項を今回
法律に規定し、又は新たに行政処分の基準を
法律で規定し、行政の民主化を図つたこと。第四には、国有鉄道の経営する国営自動車について、国有鉄道が公共企業体になりました事情に鑑み、民営と同じ立場で律する要のあることについては同様の措置をとることにし、民営との調整を図つたこと。第五には、自動車運送取扱業に登録制を布き、
一般利用公衆の保護を図つたこと。第六には、自家用自動車の共同使用、賃貸を許可制にし、自家用車の営業類似行為を取締り、運送秩序の
維持を図つたことであります。次は道路運送
審議会
制度を
改正し、
委員の定数を現在九十七名から四十九名に減じ、その任命方法を都道府県知事の倍数推薦の方法をとることにしたほか、
委員の身分、行為に所要の
修正を加えておるのであります。最後に、車両の検査、整備及び登録に関する事項は、現在、道路運送法で規定しておりますが、今回の
改正ではこれらを別個の單行
法律案として、
道路運送車両法案として提出されたのであります。
即ちこの
道路運送車両法案についてその要旨を申上げますると、この
法律案は最近の自動車の実情に鑑み、車両の保安を強化いたしますために、先ず車両の構造及び装置につき保安上必要な
最低限度の基準を設けると共に、車両検査
制度を整備売笑し、且つ自動車使用者に車両の整備体制を自主的に確立させ、一方又自動車整備
事業を認証して、その発達を図り、車両検査と相待
つて自動車保安の確保とその整備について技術の向上を図ろうとするものであります。なお、この法案におきましては、従来の自動車の登録
制度を整備拡充して、登録を自動車運行の要件とし、且つ登録に私法的効果をも持たせて対抗要件として、自動車の実態把握と盗難防止の徹底を図ることにいたしたのであります。
更に今回登録自動車を抵当権の
目的になし得る
制度を創設いたしましたのが、これが只今最後に申上げまする
自動車抵当法案でございます。この法案は、軽自動車並びに二輪の小型自動車を除いて、登録を受けた自動車を広く抵当権の
目的となし得る途を開こうとするものでありまして、動産抵当の
制度として全く画期的のものでございます。その
目的といたしまするところは、
金融の円滑化を確保して、新車の代替を促進し、以て車両の保安度を高め、自動車輸送の健全な発達を図ろうとすることにあります。この自動車抵当
制度の大要は、抵当権の
目的たる自動車の同一性の確保については、前に申上げました道路運送車両法の登録
制度によるものでありまして、この法案では、抵当権の公示、効力など、抵当権に関する事項を規定しております。即ち抵当権は当該登録原簿にその得喪変更を登録いたしまして対抗要件としており、抵当権の効力については、民法の規定中援用すべきものについては本法に相当の規定を置いておりまするほか、質権設定の禁止など、特例を置いておるのであります。以上三法案の大要を申上げましたわけであります。
次に以上三法案のそれぞれの施行法案につきましては、これらのそれぞれの本法を施行いたしますために必要な
経過措置、
関係法令改廃並びに調整について規定したものであります。
以上がこの六つの厖大な
法律案の要点でございました。
これらの六つの
法律案は、何分にも厖大な
法律案でありますので、三月三十日運輸
委員会に予備審査として付託されましてから熱心に審査を進め、
道路運送法案及びその施行法案については地方行政
委員会と連合
委員会を、
道路運送車両法案及びその施行法案並びに
自動車抵当法案及びその施行法案については法務
委員会と連合
委員会を開き、本
委員会においてはその意見を尊重しつつ
審議を進めました。又
道路運送法案及びその施行法案については五月二十二日公聴会を開催して広く
関係者の意見を聴取いたしました。公聴会には各自動車
事業者団体の役員、全国知事会代表及び全日本交通運輸労働組合協議会の役員が出席しましたが、その意見はいずれもおのおのの立場より法案を批判したものでありまして、結論はいずれも
賛成意見でありました。
各
委員会における
質疑と公聴会における批判の主なるものを申上げますと、第一は、道路運送法施行の場合の行政事脇の再配分の問題でありまして、シヤウプ勧告に基き、道路行政とも関連し、中央官庁の権限を地方に配分し、国民の日常生活と直結さすべきであるというのでありまして、なお、との点については、運輸
委員会と地方行政
委員会との連合
委員会におきまして、地方行政
委員長より具体的に同
委員会の強い要望が述べられたのでありました。運輸大臣はこの問題について、行政事務の地方再配分の方針は尊重するけれども、一方、交通の特殊性に基く総合交通行政の必要のある旨も併せて答弁されたのでありました。次は、一地方における路線による営業者の数及び業態を限定せずに、公正な競争によ
つて交通の総合的な発達を期待ぜんとする意図なりや否やを質問したに対しまして、
政府委員は、自動車運送
事業の設定、即ち
免許は、交通の需給等
免許の基準によりなすべきもので、その結果、複数営業となり得ることもあるけれども、
免許に際しては同種又は異種交通
事業者間の調整も当然考慮に加うべき要素である旨の答弁があつたのであります。次は貨物自動車運送
事業の
事業区域に関する質問でありますが、自動車運送の発達に伴
つて、この区域の定め方が妥当でないと実情に反するのでありますから、その取扱方について
質疑がなされたのでありました。それについて
政府委員は、
事業区域は府県のごとき行政区画にこだわらずに、その自然の経済圏を尊重する旨の答弁がありました。次は道路運送
審議会
委員を現行程度に増員することの適否について
質疑がなされたのでありますが、
政府委員の答弁は、右
委員は必ずしも府県代表という意味ではないのであ
つて、少数精鋭主義が適当であり、又予算の上から見ても増員の余地はないという答弁でありました。次に自動車抵当の点でありますが、これは新らしい動産抵当の
制度を創設しようとするものでありますので、法務
委員会との連合
委員会において活溌な
質疑が重ねられたのであります。その主なる事項は、自動車より分離した物件についての抵当権の追及力、債務者が任意に用途を
廃止し登録の抹消をした場合の債権者保護、抵当物件とな
つている自動車に対する侵害行為の処罰等、主として容易に分離し容易に消耗する自動車のごときものについて、悪徳な債務者に対する配慮及び自動車抵当についての強制執行の方法が主なる事項でありました。これに対して
政府委員よりは、公示技術の可能な限りにおいて物件を特定し、同一性を確保したのであり、罰則は刑法第二百六十二條により、又強制執行の手続は最高裁判所の親則による旨一応答弁がありましたが、なお、この点については、
委員会において法務
委員会の伊藤理事より、前記各項目のほか、滌除につき特に十分に検討すべき旨の強い希望が述べられたのであります。その他、道路運送
事業につきまして、特定市区内のハス路線の
免許等について首長の意見を徴する点、運賃定額制及び現抑制の実施の能否、運賃原価に織込むべき適正利潤、従業員の資格制限、自家用車の使用等、各項目に亘り、各
委員より質問がありましたが、それらの
質疑応答は
速記録を御覧願いたいと思います。
以上を以て
質疑を打切り、
討論に入りましたところ、菊川
委員、小酒井
委員、岡田
委員及び高大
委員より、それぞれ飛躍的な発展の過程にある道路運送に関する行政の迅速なる確立と自動車抵当
制度の創設は適切なる措置として
賛成の旨、意見の開陳があり、特に菊川、岡田両
委員より、これらの
法律の実施に当
つては、地方行政
委員会及び法務
委員会における意見を尊重して過誤なきよう努めるべき旨の強き希望が述べられたのであります。かくて
討論を終結して
採決に入りましたところ、
全会一致を以てこの六つの
法律案については
衆議院送付案の通り可決すべきものと決定せられた次第でございます。
右御
報告申上げます。(
拍手)