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1951-05-11 第10回国会 参議院 本会議 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十一日(金曜日)    午前十時三十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十九号   昭和二十六年五月十一日    午前十時開議  第一 弾劾裁判所裁判員予備員選挙  第二 食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議委員議長報告     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、彈劾裁判所裁判員予備員選挙  森下政一君の議員辞職により彈劾裁判所裁判員予備員に欠員を生じましたので、その補欠選挙を行います。
  4. 江田三郎

    江田三郎君 只今彈劾裁判所裁判員予備員補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議提出いたします。
  5. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 江田君の只今動議に賛成いたします。
  6. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 江田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長彈劾裁判所裁判員予備員松永義雄君を指名いたします。      ——————————
  8. 佐藤尚武

  9. 野溝勝

    野溝勝君 只今から食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議会審議経過並びに結果につきまして御報告申上げます。  両院協議会の本院側議長といたしましては不肖私が、副議長には片柳眞吉君がそれぞれ互選されました。なお衆議院側議長には石田博英君。副議長倉石忠雄君でありました。本協議会は去る三月三十一日抽薦によりまして私が議長となりまして第一回の協議会を開会いたしましてから五月十日まで四回に亘り開会したのであります。愼重協議いたしましたのでありますが、その詳細は会議録に讓ることにいたしまして、以下簡單にその経過並びに結果を御報告申上げることにいたします。  先ず衆議院側より、政府提出案に関する衆議院賛成理由について次のような説明がありました。即ち供出統制農民にとつて非常に苦痛であること、食糧事情好転により「いも」類及び雑穀はすでに自由になつていること、麦については配給辞退が相当あること、統制を外しても現在の程度輸入があれば価格は安定するし、食糧としての消費量は確保し得る見通しも付いておる。又万一の場合においては強制買入ができる仕組になつていること等の理由によつて政府原案を可決したとのことでありました。  次いで本院側からは、食糧問題、特に麦の統制については、農林委員会において特に小委員会を設け、愼重検討した上で政府申入れ行なつたこと、日本経済の自立の上から見ましても、国外食糧依存政策国内自給度向上政策に切替えるべきであること、麦の対米比価は極めて低く、統制廃止の場合は、飼料、工業用原料としての需要により、食糧としての流通量が減少する虞れが大きいこと、米産地帯農民に対する比重が重くなること、状況変化による再統制規定政府食糧政策に自信が欠けていることを現わすものであること、事、食糧問題については、より安全な方策をとるべきであること等の理由によりまして、政府原案を否決した旨の説明があつたのであります。  右の後、懇談に入りまして、種々意見の交換が行われたのでありますが、結局今直ちに結論を得ることは困難であり、なお情勢研究することといたしまして、第一回の会議は散会したのであります。  次いで五月七日再開と共に再び懇談に入りました。本協議会の運営について協議を行いましたところ、衆議院側より、両院それぞれ二、三名程度の小委員を設けて妥結点の有無について懇談してはどうかという発言があつたのであります。これに対して本院側より、本院の否決した当時の情勢と現在のそれとの比較が根本であり、若し変化があるとするならば議論の転換も可能であるが、現在のところでは変化しているとは考えられない。従つて小委員を設けることは不必要ではないかという意味発言がありました。次いで衆議院側より、情勢判断がどうしても必要であるから、政府よりその後の情勢について具体的な資料の提出を求めて説明を聞いて、更に協議をしてはどうかという提案が繰返しあつたのであります。本院側も一応これを了承することにいたしました。右の決定に従いまして、五月の八日、廣川農林大臣及び政府委員として安孫子食糧庁長官より、食糧輸入状況食糧需給見通し等について説明を聴取したのであります。その後、質疑を行いました。たまたま八日付の読売新聞に、ガリオア資金の残額を四十万トンの食糧輸入に当てることは許可にならなかつた旨が黄田使節団長から入電があつたという記事が報道されておつたのであります。この点について本院側より政府にその真偽を質しましたところ、廣川農相より、直接使節団から連絡を得たのではないが、司令部を通じて事務当局のほうに連絡があつた旨の答弁があつたのであります。政府当局説明並びに右の事情等よりいたしますれば、本年四月以降六月までの食糧輸入は勿論、七月以降につきましてもその見通しは全く困難に見られたのであります。食糧情勢好転は以上申したことく全く望み得ないという結論に到達せざるを得ないのでありまして、本院側といたしましては、麦に関する統制撤廃は時期尚早であるとの意見をますます強くいたした次第でございます。ここに衆議院側食糧需給の安定、食糧輸入計画達成の可能なること等よりいたしまする統制廃止主張とは全く相分れまして、遂に成案を得るに至らなかつた次第でございます。  右簡單でございますが経過を御報告申上げる次第でございます。(拍手)      ——————————    〔千葉信発言許可を求む〕
  10. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉信君。
  11. 千葉信

    千葉信君 私はこの際、給與ベース地域給について緊急質問をすることの動議提出いたします。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は只今千葉君の動議に賛成いたします。
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 千葉君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。千葉信君。    〔千葉信登壇拍手
  15. 千葉信

    千葉信君 私は、今日ますます窮乏のどん底に追い込まれつつある公務員論君の生活を、どうしてもこの際一般国民生活水準引上げることが刻下の緊要な問題であるばかりでなく、又、国としての行政能率全般にも至大な影響を及ぼす結果を憂え、ここに公務員給與引上げ並びに地域給に関し、政府と特に人事院に対し緊急質問を試みる次第であります。  先ず第一に吉田首相に対して御質問申上げます。本年一月、休会明け国会において政府は次のごとき公約国民に與えていることを想起せられたいのであります。即ち周東安本長官は、昭和二十六年度においては国民生活水準昭和九乃至十一年の基準年度に対して八三%に引上げるということを約束されたのであります。もとより公務員諸君は、国家公務員たると地方公務員たるとを問わず、全体の奉仕者であるという立場から、国民としての固有の権利諸種制約を余儀なくされております。かかる事実からすれば、当然の結論として、その制約の代償としての賃金労働條件が考慮され、常に実行されていなければならないことは、あえて欧米の例を徴するまでもなく、この理念に承服しない国民は一人もないはずであります。然るに我が国の現状は明らかにこれと背馳し、常に公務員の待遇は、一般国民生活水準を遥かに下廻らざるを得ない俸給給料に釘付けされ、一般労働賃金の七割以下に押えられて来た状態であります。一体首相は、国民生活水準八三%の生活をさせるという公約公務員諸君を含むつもりか。それとも公務員諸君に対しては、麦を食え、麦を、というおつもりであるか。更に又諸種制約があるという事実に鑑みて、当然一般労賃に比して高い水準において処遇しなければならないという理念をお持ちであるかどうか。この二点について明確な御所見を承わりたいのであります。  次に御質問申上げたいことは、去る四月十四日共同通信の報ずるところによりますれば、首相みずからが大蔵大臣に対して、公務員給與を二千円程度引上げる必要があるから、その財源その他について検討しろということを命ぜられたという、その真意についてでございます。勿論そのお人柄からいつても、又平素のお考えからいつても、これは全く只事でないという感銘を国民に與え、一時国民は戸惑いをいたしましたけれども、併し時あたかも地方選挙期間中だつたので、(笑声)すぐ国民は思い当るものがございました。(「ごまかしだ」と呼ぶ者あり)ただ併し納得できない点が一つ残りました。それは何かといえば、御承知のごとく現行給與基準なつた昨年五月から本年四月十日までに国内物価が七割二分はね上つております。これは安定本部の発表でございます。消費財はそれほどではないといたしましても、これは生計費高騰の重大な要素でございます。加うるに国民生活水準二十六年度八三%という公約があります。すでに日程に上つて来ておるところの人事院勧告が、これらの條件を考慮いたしますならば、少くとも二千円程度引上げ勧告では納まらない段階に参つておるのでございます。この見地からすれば、首相の言う二千円程度引上げ云々は、人事院勧告すべき金額に対する牽制というあくどい狙いを待つておることは明らかでございます。第一が、給與の体系なり水準に対して何らの識見さえも持たない首相自身が、不用意千万にも唐突にこういう言説をなすということ自体が、公務員法無視人事院軽視という非民主的な態度であると論難せざるを得ないのだが、この際、首相は、目下用意されつつある人事院勧告を主体として、先ずこれを尊重し、改めて、ものの順序に従う態度をおとりになるつもりはないか。地方選挙も済んだことであるし、第一の目的はもう終つたのであるから、第二の人事院勧告水準牽制するという態度はこの際放棄する意思があるか否か。お答えを承わりたいのであります。  次に人事院総裁に対して御質問申上げます。淺井総裁人事院最高責任者として、国内に横行する人事院無用論をどうお感じになつているかは知るよしもありませんけれども、併し少くともこれには相反する二つの考え方があるようでございます。その一つは、激化する反動的傾向に便乗して政府公務員中立的機能を抹殺し去らんとする無用論、もう一つは、人事院自体業績に対する不満と、延いては公務員法第一條に言う職員の福祉及び利益を保護し得ない無力な存在であるという理由従つて人事院設置によつて代行されると考えられた基本的な権利をこの際取り戻す以外に途はないという立場に立つて無用論であります。(「その通り」と呼ぶ者あり)恐らく総裁はそのどちらにも、くみし得ないのでありましよう。私も又その総裁の意向を諒といたします。併しながら総裁並びに人事官諸君は、その人事院無用論のよつて来たるところに深く省察し、果してこれをはね返すだけの確乎たる存在理由主張おできになるでありましようか。省みで甚だ心許ないのであります。例えば昨年七、八月の八千五十八円べース勧告当時における殆んど彈劾に値する態度地域給におきましては政府の圧力に屈し、その勧告を棚上げして、徒らに與党の食い物になることに手を拱き、遂に今日までこの切実な問題を不誠意至極にも延引延引を重ね来たつた態度、(「その通り」と呼ぶ者あり)更に又本月八日社会党の申入れに対して、給與ベース引上げについては目下研究中と答えておられますが、一体総裁は、吉田首相が二千円程度引上げの談話を発表したことを人事院最高責任者としてどうお考えになつておられ、どう責任をお感じになつておられるのであろうか。殊に吉田首相がすでに大蔵当局財源検討を命じたということが若し事実だと仮定するならば、給與に対する理念を履き違えた政府の方針というものが如何なる影響と害毒を流すかということにつきましては、昨年十二月政府原案に対して倍率の増大と調整号俸切下げに明白に総裁自身が反対された経験に徴してもすでに明らかなことであります。そのためにも、この際、人事院としては一日といえども勧告に時を稼ぐべきではないのであります。三月二十日、総裁記者団との会見で、人事院としては事務的関係から四月中にはベース引上げ勧告は行わないだろうと言明されました。裏を返せば、併し客観的事態勧告の時期に来ているという立場に立つての言明であるという了解の上で、公務員諸君はこの総裁談を諒といたしております。而も総裁は今日なお依然として研究中に藉口され、総裁は再び昨年の八千五十八円ベース勧告の轍を踏んで、この国会終了まで目下研究中を続けられるおつもりでおるかどうか、御答弁を承りたい。  又更にお尋ねしたいことはその金額でございます。昨年五月以降本年四月までに物価は七割二分の値上り、昨年五月といえば現行賃金基礎なつた月であります。仮に消費財はそれほどではないにしても生産財との循環は時日の問題であります。加うるに国際的軍拡気がまえと、分けても六百億ドルを超えるアメリカ軍事予算の実行から来る爆発的インフレの脅威も、ミスター・ドツジの番頭さんの好み如何にかかわらず足下に押寄せております。問題となる消費者価格は昨年五月一二六・三に対して本年二月一四二・二、この値上り率一割一分一厘、本年三月までには一割大分の驚くべき上昇振りでございます。勿論標準生計費においても一万一千九百五十九円という三月の実情が判明した今日、公務員法第二十八條にいう五分程度物価の変動とはおよそ比較にならない桁違いの様相を呈しているのであります。だが、最も問題となることは、政府公約する国民生活水準公務員賃金ベースとの関係であります。若し公務員国民のうちに考えるならば、当然公務員賃金はその水準生活が可能な賃金でなくてはならないのであります。基準年次における公務員は月収の三五%以下を食糧費に充当して参つております。今はその食糧費に八〇%を支出しているのが公務員の実態であります。基準年次の八三%という水準に置き換えるためには、少くともその食糧費に支出する割合が収入の五二%であつてはならないのであります。現状においては公務員諸君は八千円の賃金のうちから六千三乃至四百円を食糧費に支出しております。今次勧告において人事院はこの政府公約を実行せしむる用意を怠つてはならないのであります。そうして又大事なことは、八千五十八円ベース勧告があらかじめ八千円前後という枠をはめられたために不当な水準勧告をしたあの人事院の悪評をこの際一掃するためにも、少くとも二千円程度などという首相牽制や圧迫に屈せず毅然たる態度を堅持することこそ、横行する人事院無用論を一蹴する唯一の方途であると考えるものであります。この点につき総裁の明確なる決意と金額積算基礎見通しとを承わりたいゆえんでございます。  最後にお尋ねしたいことは地域給の問題であります。地域給の問題については今更私はこれを論難する気力を持ちません。今日まで延引したことに対してただ不愉快千万であると申上げるほかないのであります。ただお願いしたいことは、この問題をめぐつて巻き起されて来た全国的混乱に対する人事院責任を痛感されて直ちに勧告されること、そしてこの際その時日並びにその内容を具体的に御答弁頂きたいのであります。  以上を以て私の質問を終ります。(拍手)    〔政府委員岡崎勝男登壇拍手
  16. 岡崎勝男

    政府委員岡崎勝男君) 千葉さんの御質問お答え申上げます。  生活水準の問題につきましては政府としても極力努力いたしております。無論公務員たると他の一般国民たるとを問わず、できるだけ水準を向上せしめたいという意味で努力しておるのであります。  それから政府人事院勧告をあらかじめ牽制するようなことは毛頭考えておりません。この点もはつきり申上げて置きます。(「選挙宣伝か」と呼ぶ者あり)  なお地域給の問題につきましては人事院総裁からお答えのあることと思いまするが、政府としましては、人事院から勧告がありましたならば、これを審査いたしまして、できるだけ早い機会に、間に合えば本国会法律案提出をいたしたいと考えております。  なお給與ベース自体につきましては、これは政府としても只今検討中でございます。(拍手、「答弁になつていないぞ」と呼ぶ者あり)    〔政府委員淺井清登壇〕    〔「卒直に回答しろ」「遠慮するな、遠慮するな」「遠慮するような柄じやない」と呼ぶ者あり〕
  17. 浅井清

    政府委員浅井清君) お答えが前後するかも知れませんが、勤務地手当地域給支給区域につきましては、給與法規定によりまして人事院において国会及び内閣に対し勧告をする義務を負うておりますことは御承知通りであります。そこで人事院は相当の長い時間を費しまして鋭意その調査研究を進めて参つたのでございますが、漸くこれを完了いたしまして成案を得ましたので、最近にこの勧告をいたす運びになつております人事院といたしましては、できる限りこの国会において御審議を願うことを希望いたし、そのつもりで準備を進めておるのでございます。  次に給與ベース改訂の問題及びそれに関し人事院態度についてだんだんと御批判がございましたが、要するにこれは結果論でございまして、人事院業績によつて判断を願うよりほかはいたしようもございません。ただ人事院といたしましては、この給與ベース改訂につきましても、最近の物価及び民間賃金上昇について絶えず注目をいたしておりまして、給與ベース改訂について研究をいたしております。ただ千葉さんのお挙げになりましたデータその他については、或いは若干所見を異にしておることがあろうかとも思つておりますが、ただその勧告内容、時期等につきましては、今日までのところまだ申上げる段階には達しておらないのでございます。 (拍手、「それだから無用論が起るのだ」と呼ぶ者あり)      ——————————
  18. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、お諮りして決定いたしたいことがございます。厚生委員長から、医師法歯科医師法及び薬事法の一部を改正する法律案審査の参考に供すると共に社会保障制度の確立に資するため、医薬分業問題に関する多数国民意見を聴取し併せて地方実情を調査するため、宮城県、山形県及び福島県に中山壽彦君藤原道子君、谷口弥三郎君を本月十七日より五日間、愛知県、岐阜県及び三重県に石原幹市郎君、河崎ナツ君、藤森眞治君、松原一彦君を本月十八日より五日間の日程を以て派遣いたしたいとの要求がございました。これら七名の議員を派遣するごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。  次会議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時十一分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 彈劾裁判所裁判員予備員選挙  一、日程第二 食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議委員議長報告  一、給與ベース地域給に関する緊急質問  一、実地調査のため議員派遣の件