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1951-05-09 第10回国会 参議院 本会議 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月九日(水曜日)    午前十一時二十五分開議     —————————————  議事日程 第三十七号   昭和二十六年五月九日    午前十時開議  第一 河川法の一部を改正する法律案衆議院提出)(委員長報告)  第二 経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)(委員長報告)     —————————————
  2. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) これより本日の会議を開きます。  この際お諮りして決定いたしたいことがございます。本日、小川久義君から理由を附して食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。      ——————————
  5. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) つきましては、日程に追加して両院協議会協議委員補欠選挙を行いたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。
  7. 木村守江

    木村守江君 私は、只今両院協議会協議委員補欠選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名されんことの動議を提出いたします。
  8. 高橋道男

    高橋道男君 只今木村君の動議賛成いたします。
  9. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 木村君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつて議長食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員三好始君を、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員前之園喜一郎君を指名いたします。(拍手)      ——————————
  11. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第一、河川法の一部を改正する法律案衆議院提出)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。建設委員長小林英三君。    〔小林英三登壇拍手
  12. 小林英三

    小林英三君 只今議題となりましたる河川法の一部を改正する法律案建設委員会におきまする審議経過並びに結果を御報告申上げます。  本案河川工事によつて必要を生じました他の工事費用負担に関するものでございまして、現行法工事目的でありまする工作物管理者負担原則としておりますのを改めまして、原因者負担原則とし、工作物管理者が特にその工事によりまして利益を受ける場合にはその費用の一部を負担せしめることが負担の均衡を期するゆえんであるとするものであります。  委員会におきましては、提案者のほか、建設省、運輸省及び地方自治庁当局との問に質疑応答を重ねて愼重に審議をいたしたのでありまするが、今その主なるものを挙げますと、工事の必要な原因河川附帶工作物と両々相待つ場合はどうするか。河川改修よりも先に附帶工作物整備を必要とするような実情にある場合の措置はどうするか。本案改正昭和二十六年度予算との関係はどうであるか。改正の結果、私鉄の負担を減じて地方団体負担増加を来たすようなことはないか。本案実施後、これと平衡交付金との関係はどうなるか。又河川法は古い時期の制定にかかり、根本的改正を要すると思うが、特に本案のみの改正を図る理由はどうであるかというようなことであつたのでありまするが、詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。  かく質疑を打切りまして、討論を省略・採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。以上御報告を申上げます。(拍手
  13. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  14. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。      ——————————
  15. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 日程第二、経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。    〔河井彌八君登壇拍手
  16. 河井彌八

    河井彌八君 経済調査庁法の一部を改正する法律案内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申上げます。これは政府提出案でありましたが、衆議院において修正を加えまして、本院に送付せられたのが本案であります。内閣委員会は、委員会を開くこと二回、ほかに休会中に数回の打合会を開きまして、昨日全会一致を以て本案を可決すべきものと議決いたしました。  先ず本案の内容を説明申上げます。第七国会におきまして、経済調査庁法の一部を改正する法律案が成立いたしました。即ち昨年五月十日に公布せられたのであります。その結果、経済調査庁は、その日から起算いたしまして一年間を限つて特別調達庁業務調査を行い、経理監査を行うことになつたのであります。従つてこの調査及び監査権限は本日を以て期限満了と相成るわけであります。政府提出の原案は、法文の「一年間を限り」とあるのを「当分の間」と改めたものでありまするが、衆議院におきましては、この改正案をば「昭和二十六年十二月三十一日までに限り」と修正いたしたのであります。内閣委員会は、かねて行政機構整備に関する調査の歩を進めておりましたのでありますが、経済調査庁特別調達庁業務調査経理監査をいたしましたことについても、又周到なる調査を行なつて参つたのであります。即ち、或いは委員会を開いて経済調査庁並び特別調達庁当局から数回に亘つて詳細な報告を聴取いたしましたり、或いは又地方にあるところの管区地方経済局特別調達局についても実地の調査を行う等、大いに努力いたしたのであります。予算面においては終戦処理費の総額は、二十五年度分が一千九十二億余円、二十六年度分は一千二十七億余力でありまして、特別調達庁において処理いたしておりまする終戦処理費の額は、その大部分即ち九百億円以上になつておるのであります。これは極めて巨額なものとなつておるのであります。これが適正に使われるということは、国の行政上の信用を内外に維持する上からも、又財政経済の上からも極めて重要なことであるのは勿論であります。然るに不幸にして多数の非難すべき事項がありましたことは、会計検査院検査報告書等に徴しても明らかであります。私は今ここにその不正不当の事項を挙げて、又そのよつて来たるところの事由を申述べることは差控えまするが、経済調査庁行なつたこの調査監査によりまして、これが著しく改善せられたことは明らかであります。その際、又特別調達庁自身におきましても、大いにその欠点を是正いたしまして、事務取扱い等を著しく改善せられた事実があるのであります。更に又進駐軍の最高幹部からも、最も理解ある援助をこれに加えられたことも事実でありまして、かく特別調達庁事務はよほど改善せられてよくなりて参りました。そこで、同時に国費の節約せられた額も相当大きなものがあるということを申上げて置くのであります。  委員会において、昨日質疑応答の結果、明らかになりました事項を要約して申上げます。第一には、現行法の「一年間を限り」とあるのを、政府が「当分の間」と改正して提案をいたした理由につきましては、特別調達庁業務調査経理監査は、成るべく早く終結したいということ、政府は一応その期間をば本年末日までを適当とすると考えたのでありまするけれども、万一それで狂いが生することがありてはいけないと考えまして、大事をとつて「当分の間」とするという改正案作つたといういとであります。第二に、然らば衆議院において「当分の間」というのを「昭和二十六年十二月三十一日までに限り」と修正した理由は如何であるかという点でありますが、これにつきましては、衆議院り本会議並びに委員会議事録を見ましても、小しもその説明が登載されていないのであります。衆議院委員会に出席いたしまして、その審議にあずかつた小峯経済安定次官説明によりますと、その理由は、一つの官庁が他の官庁調査をすることは成るべく避けたい。従つて成るべく早くこれはやめたいものである。「当分の間」とは又明確を欠くことであるから、時期を明らかにする必要がある。又経済調査庁は過去一年の実行によりまして、調査監査に習熟して来たのであるから、その期間を半年にいたしてもよろしいと考えるけれども、もう少し延長いたしまして、年末に国会が召集せられ、国会開会期まで継続実行せしめることが適当であるという意味であつたという説明があつたのであります。第三に、過去一年間に調査監査行なつたその効果はどうであるかという意見であります。これに対しては、特別調達庁業務運営上大いなる改善を見た。更に又特別調達庁におきましては、内部機欄改革によりまして一層の整備を加えんとするに至つておるということ、又各事項につきましては、工事関係は問題は少いけれども、需品関係には今なお若干改善を要するものがある。経理関係につきましては、金額に現われたる利益、は明示しがたいという説明でありましたが、この所定の期限経過いたしました後といえども、特別調達庁事務取扱がもう軌道に乗つておりまするから、再びこれは以前のごとき乱脈になる虞れはないという説明でありました。第四には、講和條約が締結せられるならば特別調達庁は廃止せられるかどうかという問題、これは廃止せられるという説明でありました。その場合に解職せられる者に対する措置はどうかということにつきましては、そのときに臨んで十分最善の手段を盡すつもりであるということでありました。第五に、会計検査院権限内に経済調査庁事務を包含せしめ、広く国の行政費支出監査をなさしめてはどうかという質疑に対しまして、会計検査院の本務は決算の検査確定にある。行政費支出検査を行うことはいたしまするけれども、これは経済調査庁の行う目的とは全く違うものである。けれども、将来機構改正いたしまして、強力なる調査監督機関を設ける必要があるという答えでありました。第六に、委員側から、現今経理が最も紊乱しておるのは公共事業費支出にある、この際強力な行政監査機関設置の必要があるということを痛論したのであります。これらの不正行為の取締は、一方においては検察当局の発動に待つのは、勿論であるけれども、行政上の不正を防渇して適正なる運営を期するためには、会計検査院に一任すべきではない。従つて現在のごとき空白状態は速かにこれを是正する必要があるということを強く言われたのであります。政府はこれに対しまして、周東経済安定本邦長官から、特殊の強力な行政監察制度を設ける考えで、その必要を認めておつて、現にこれは計画中であると答えられました。そうして同時に、公共事業費支出調査監査等経済調査庁になさしむることは効果挙ぐる所以ではなかろうという説明があつたのであります。  大体かような質疑応答を重ねました末に討論に入つたのであります。楠見委員からは、政府委員説明によれば、この期限につきましては、これは期限弾力性があるものであるということであるから、あえて反対する必要がない。従つて本案には賛成である。ただ公共事業費に関する調査監査に関しましては、これは経済調査庁に行わせるということも、経済調査庁設置法によりますれば、それはあえてその性質に反するものではないということを考えるのであるけれども、併しこれは修正案を出すといたしましても、そういう時がない。従つて今後この問題は委員会の他日の研究に譲りたいということで、賛成意見が陳述せられたのであります。次に梅津委員からは、本案には賛成する。公共事業費支出調査に関しては強力な機構を設立するという政府の言明に対して期待を置くものであるという意味でありました。更に郡委員林屋委員からは、本案賛成する。ただ経済調査庁をして公共事業費に関する調査監査を行わせることの是非については疑いを持つておるという意味意見の陳述をいたしまして、政府は適当な措置を講ずるようにという希望を述べられたのであります。かようにいたしまして採決をいたしましたところが、全会一致を以て可決すべきものと議決せられた次第であります。  この段御報告申上げます。(拍手
  17. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案賛成諸君起立を求めます。    〔起立者多数〕
  18. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。  これにて日程は議了いたしましたが、本日午後吉田内閣総理大臣から外交問題について発言を求められておりますので、午後二時まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ——————————    午後二時七分開議
  19. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 休憩前に引続き、これより会議を開きます。  この際、内閣総理大臣の外交問題についての発言を許します。吉田内閣総理大臣。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  20. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) 先頃、日本訪問をせられたダレス特使の使命については、同特使声明或いは演説等において明らかになつておりますが、一応私から御報告をいたします。  米国政府は、連合国最高司令官解任発表の日に、日本政府に対し、マッカーサー元帥解任日本若しくは極東に対するアメリカの一貫せる政策に何らの変更を意味するものでない、又日本側指導者とすでに討議した基礎に基いて、でき得るだけ速かに講和條約を締結する努力を推進せんとするアメリカの決意に毫も影響を與えるものでないという旨のメツセージを日本政府に送り、又ワシントンにおいて対日平和解決重大性に鑑みてダレス特使を特に東京に派遣する旨発表されたのであります。従つてダレス特使日本訪問目的は、日本に対する関係においては連合国最高司令官の再送は対日政策及び対日平和條約を速かに締結する既定方針に何ら変りなきものであることを、日本国民にはつきりさせるにあつたのであります。ダレス特使は滞京中特に公開の演説行なつて、日本国民一般に対しこの点を強調されたのであります。ダレス特使は今回の会談においても先ず同様の趣意を私に述べ、又リッジウエイ中将も、前任者マツカーサー元帥と同様、早期講和を強く支持するものであることを明らかにされたのであります。ダレス特使前回日本訪問の帰途、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランド等に立ち寄られ、それぞれの政府、議会などの首脳者会談して意見の交換をなし、その意見交換によつて得た結果を斟酌して條約案の起草を了し、これを極東委員会構成国十二万国、これに加うるにインドネシア、セイロン及び韓国を加えて十五七国政府に提示して意見の開示を求めつつあること、及びワシントン出発英国政府から條約案の提示があつたが、近く来米する英国外務省当局者との会談が行われる予定である等の話かあつたのであります。私からは、ダレス特使前回日本訪問以後の我が国一般情勢、特に国民の間に早期講和に対する強い希望が起つて参つたこと、又米国政府の寛大にして公正なる講和方針国民は感謝しておることを申述べたのであります。今回の地方選挙の結果は、この私がダレス特使に述べたところを裏書きするものであり、米国方面の論評もそういう見方をいたしておるようであります。(拍手、「ノーノー」と呼ぶ者あり)最近のアメリカ上院におけるマッカーサー元帥の証言においても又憲法施行記念日に際して連合国最高司令官リッジウエイ中将声明においても、対日講和の問題を特に取り上げており、又アメリカ国民一般のこの問題に対する関心も日々に高まりつつあるようであります。我我としては、この機運に適合して、連合国の好意により対日講和が速かに成立するように努力いたしたく、又諸君の御協力を切に願う次第であります。  なお、リツジウエイ中将は右の声明で、日本が完全な自主権を回復するに備えるため、占領管理を漸進的に緩和するという方針を今後も推し進めて行く旨も明らかにされたのであります。これは講和近きに臨んで最も機宜を得たものであり、政府といたしましても連合国最高司令官の意のあるところを酌みまして、最善努力をいたすつもりでおります。(拍手
  21. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 只今内閣総理大臣発言に対し質疑の通告がございますが、これを明日に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。      ——————————    〔山花秀雄発言許可を求む〕
  23. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 山花秀雄君。
  24. 山花秀雄

    山花秀雄君 私はこの際、労働組合運動弾圧に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
  25. 高橋道男

    高橋道男君 只今山花君の動議賛成いたします。
  26. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 山花君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。山花秀雄君。    〔「総理大臣どうした」「恥かしくていられないのだろう」「ここにおれ」と呼ぶ者あり〕    〔山花秀雄登壇拍手
  28. 山花秀雄

    山花秀雄君 私は日本社会党を代表いたしまして、労働組合運動弾圧に関連いたしまして、皇居広場中央メーデー会場使用禁止の問題、並びに五月三日の憲法祝典会場において引き起されたる不群事件について、我々の又国民の納得のできる釈明を吉田総理初め関係大臣より求めるものであります。(「議長総理大臣がいないぞ」「吉田首相どうした」「副議長やめちまえ」と呼ぶ者あり)  戰後我が国が在来の封建国家より民主国家として再出発したる以上、その国に健全なる民主的労働組合運動育成発展を願う者は、労使双方の当事者だけでなく、政府も、国民も、国家全体を挙げての念願でなくてはならんと我我考えておるものであります。(拍手)然るに吉田内閣の結成以来、その労働行政を見るに、往年の軍閥専制政治時代に見られたような、事ごと労働運動を迫害し、最近に至つては健全なる発達をなし来たつた民主的労働組合に対してすら、何らの見境いもなく圧迫を加えるに至つては、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)国民のうちから反動政府の声が上つて来るのは当然だと思うのであります。  メーデー行事我が国においては永年の伝統になつている労働運動行事であります。戦前我が国を今日の状態に転落せしめた反動政府によつて不幸にも一時中絶の止むなきに至りましたが、終戦後の昭和二十一年復活し、ここに二十二回の伝統を有するに至つたのであります。特に戰後のメーデー行事は単なる労働者のみの行事ではございません。国民的規模における働く者の祭典であります。そのことは、集まる大衆が毎回中央におきましては五十万人を超える事実がこれを明らかに証明しておるものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)全国的にも働く者が町から村に至るまで何百万という動員実数政府当局は熟知しておるはずであります。若し政府民主政治の何たるかを理解し、時代進展に即応する政策考えるならば、当然これら働く者の祭典行事にあらゆる便宜を與えるべきが至当であると考えるものであります。(拍手)五十万人以上の大衆が集まり得る場所東京においては皇居広場しかありません。終戦後この場所において五回引続きメーデー行事が行われたのであります。これは場所的に当然のことであります。然るに政府はこのたび突如何らの理由なく広場使用禁止措置に出たことは、我々はどうしても納得できません。併し今年度のメーデー行事の一切の責任を負う主催者は総評議会と聞いておるのであります。総評議会は、終戦時の混乱と動揺に乗じて一部の極左分子我が国労働運動を誤まれる方向べ導かんと狂奔した、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)その中にあつて、あらゆるデマと妨害とを排除して、これらの極左分子破壊勢力と執拗に鬪い、ここに国際的にも信用を得た立派な民主的労働組合として結成された労働組合が総評議会であります。このことは私のみならず国民の誰しもひとしく認めているところであります。政府皇居広場以外の広場を斡旋する便宜を與えるようになつていると、こういうように言つておるのでありますが、併し私の見るところでは、他の替地の広場では、交通の便からも收容人員の点からも求め得るような場所はないと思うのであります。従来五回に亘り何らの事故もなく行われたるメーデー行事を、健全なる労働組合評議会がこのたび主催せんとしているのに、何の理由によつて禁止したのであるか。その真意を質したいのであります。国民公園管理規則第四條には、集会又は示威行進許可に関する取扱については、一、政治的又は宗教的目的を有すると認められる集会及び示威行進、二、社会の安寧秩序を紊す慮れありと認められる集会又は示威行進、三、国民厚生利用を阻害し又は管理上支障を来たすと認められる集会又は示威行進となつておるのであります。取扱條項に示されたることによつては、何らの禁止事由は我々には見出すことができないのであります。メーデー行事が今日では国民的規模における労働祭典として挙行されるこの時代に、国民公園管理規則という單なる取扱規定によつてこれを禁止するに至つた政府真意は、健全なる労働組合運動をも圧迫せんとする時代錯誤反動政策であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)殊にこの問題に関してわざわざリツジウエイ最高司令官見解発表を見るに至らしめたことは、我々は全く遺憾とするところであります。何故に総司令部の手を煩わすことの事態に至らしめたかについて、政府は十分に反省すべきであります。若し政府にして、民主的にして進歩的な労働政策をとるならば、このような不手際なことは発生しなかつたであろうと考えますと、返す返すも遺憾の意を私どもは表したくなるのであります。(拍手)  リツジウエイ最高司令官見解発表一節にも、この問題につき最高司令官として声明を発したが、併し公教集会権利を保護し、日本の自由な民主的な労働運動の健全な成長を奨励して行くことは、最高司令官の心から切望するところである。このように見解発表一節には言われておるのであります。この切望は、最高司令官切望というよりも、我が国民主国家として育成発展して行く上に絶対必要なことであり、国民のひとしく切望するところであります。  この問題に関して私の吉田総理保利労働大臣にお尋ねしたいことは、その第一点は、総司令部リツジウエイ最高司令官見解による、公衆の集会権利を保護し、日本の自由な民主的な労働運動の健全な成長を奨励しなければならないということに、メーデー行事を実質的に禁止したこのたびの労働行政は、リツジウエイ最高司令官見解と一致しておると考えておるかどうかという一点であります。その第二点は、自由にして民主的労働組合として結成された日本労働組合評議会について、政府は如何なる考えを持つておられるや、これを一部に見られたような破壊的労働組合として見られておるや否やの点であります。その第三点は、この問題に関しわざわざ総司令部見解発表に至らしめた事態について責任を感じておるや否やという点であります。その第四点は、日本労働組合運動が良識ある指導者によつて折角健全に発展途上にあるとき、総評議会主催メーデー会場使用を拒否するごときは、勢い労働者政府との衝突は激烈なものになると我々は考えられるのでありますが、これは決して緊迫せる国際情勢において好ましいことでないと我々は考えるのでありますが、政府はこのような事態進展についてどう考えておるか。これらの諸点について、この問題を重視しておる国民大衆が十分納得でき得るような答弁を要望するものであります。  次に、五月三日皇居広場会場として行われた憲法記念日祝賀式典において、その式典に招待され出席いたしましたところの総評議会議長である武藤武雄氏外三十六名が検挙されるという、このような不祥事件が突発いたしましたことは、我々は誠に遺憾な出来事というのみで、これを等閑視することは断じてできないのであります。我が国の再出発は言うまでもなく昭和二十二年五月三日より施行を見た日本国憲法によつてその基礎が確立したのであります。全国民がこの施行日を記念日として祝典を行うことは当然であります。あらゆる各界各層の代表者と国民大衆が渾然一体となり新憲法を讃え集うこのおめでたき祝典式場の内外に、約五千名に及ぶ武装警官の動員と、六百名に及ぶ私服警官の警戒裡にこの祝典が行なわれたということは、実に民主国家の現代の日本として遺憾の極みであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり、拍手)これらの警察官諸君が、当日式典に招待され出席した総評議会関係労働運動指導者及び一般労働者大衆を取締の対象として動員されたことは、否めない事実であろうと我我考えざるを得ぬのであります。而もその式場において警察官諸君は、全く常軌を逸した行為により、招待されし出席者が逮捕検挙されるというがごとき事件の発生を見たことは、目前に追つた講和條約成立に対しても悪い影響を與え、且つ又国際的不信を買つたことは否めないのであります。政府はみずからの排発的行為によつて生じたその非を蔽わんがため、当日出席した被招待者を初め当日検挙した三十七名に対し、政令三百二十五号違反容疑で送検すると新聞紙上に報道せしめておりますが、如何なる根拠に基いてかかる重大なる法律違反容疑者としてこれを問題にしたかであらます。  私のこの問題についてお尋ねしたき諸点は、憲法施行記念祝典において、而もその会場において、全く憲法無視の数々の行為が政府みずからの手によつて行われたることは、断じて許されるべき行為ではないのであります。(拍手)それらの諸点について政府責任を追及すると同時に、如何に憲法無視の行為が行われたかについて吉田総理や大橋法務総裁に質問するものであります。この問題についても我々や国民が納得できるお答えを願うものであります。  質問の第一点は、この不祥事件の発生は明らかに挑発行為によつて発生したことは、次の諸点で明瞭であります。僅か二千名程度の総評議会関係労働組合員がこの祝典に参列したにもかかわらず、武装警官五千名も動員し、検挙用のトラックを随所に配置し、なお且つ私服警官を式列にある労働者の間に分散配置し、当日招待を受けた総評議会幹部にはその周囲を包囲攻撃のような態勢で備えるという、全く野蛮極まる警戒準備を行なつたのであります、(「そうだ」と呼ぶ者あり)これらの私服警官の中には、その多くは労働組合員のみが脚に付けることのできる俗にいう組合員バツジ、更に民擁同のバッジ、それを付けて労働者群の中に入り、盛んに挑発行為を行なつたのであります。その事実の一例は、そのために一人の私服警官は仲間の私服警官から誤まつて検束され(笑声)手錠をかけられ、警視庁まで連行されたと言われているのであります。このような挑発行為を何のために行なつたかという点、(「そうだ」と呼ぶ者あり)これは明らかに労働組合運動弾圧の一例であります。これらの挑発的数々の行為に対して責任ある答弁を願うものであります。  質問の第二点は警察官の暴力行為であります。それぞれの検挙された者は、戦前の検束風量にも見ることのできない、各人に忌わしい手錠をはめて検挙したのであります。又参加組合員に対しては、やたらに警棒を揮つて毆打したのであります。警棒使用に関しては明らかに警察官服務規程が定められているはずであります。これは、警察官に対して反抗し、その警察官の身体に迫害を加えられる場合にのみ、自衛上止むなく使用を許されたるものと存じておるのでありますが、このたびの警察官の行為はその服務規程に違反せる行為であることは明らかであります。これらの警察官の暴力行為によつて万世橋署に留置された海員組合の土屋誠一君は内出血で倒れておるのであります。これら一連の野蛮的暴力行為が権力を背景とて行われたのであります。憲法祝典式場において悲しむべきこの警察官の行為に政府は如何なる責任をとろうとするものであるか。明確なる答弁を願うものであります。  質問の第三点は、被検束者釈放に際してこれらの全部がその非を認めて責任をとる態度に出るため、これを釈放したと新聞紙上に報道せしめて、自己の挑発行為の隠蔽を図らんとしておるのであります。誰一人政府の言う責任を認めた者は被検束者の中にはありません。かかるデマを報道し、問題の真実を曲げんとする行為は、明らかにこれはスパイ政治の行為であります。同時にこれによつて国民の真実に対する誤まつた認識を與える結果となり、且つ又これによつて政令三百二十五号違反事件として事件を成立せしめんとする全くの労働組合運動彈圧の陰謀政治の現われであると断定せざるを得ないのであります。(拍手)又当局は五月一日メーデーリツジウエイ最高司令官見解発表を五月三日の憲法祝典に延長解釈しているような報道をたびたび新聞紙上に発表しておるのであります。こんな三百代言的延長解釈をしなければならない政府の無方針には驚き入るが、リツジウエイ最高司令官見解発表は飽くまでメーデー問題に関する見解発表であります。これを、憲法祝典式場に参加し、平和憲法を讃えんとした労働者の心からなる平和憲法礼讃の行為を、徳川幕府時代の古くさい陰謀政治を以て弾圧せんとする行為は、およそ民主主義とは縁遠いスパイ政治の考えが、これらの諸点について明確になつておるのであります。我らはかかる問題について政府の明らかな答弁を願うものであります。  最後に申上げたいことは、国際情勢は緊迫し、特にアジア情勢は朝鮮動乱を契機として、我が国の立場は誠に複雑な立場に立つているのであります。卒直に申上げますと、再び恐るべき悪魔のような戰争が我が国の頭上に蔽いかかつて来る危険性を我々は感じておるのであります。只今こそ日本の民主化を一段と促進し、その日本の民主化の原動力と言われておる労働者を自由にして民主的な労働組織の中に包容せしめ、立派な労働組合育成発展せしめて世界の平和に協力せしめる国内態勢を築くことが、現在の日本に課せられたる最大の任務であると我々は考えておるのであります。(拍手日本国憲法はその任務遂行の基礎であります。これからの日本の生き方を教えた光明であります。労働者がこの平和憲法を守れと叫び、軍国主義の芽出しに鬪つている姿は、世界の民主主義国家のひとしく認めているところであります。然るに吉田内閣労働組合運動彈圧の現われとして五月一日メーデー労働祭典を圧迫し、越えて平和憲法を守らんとする労働者に牢獄の刑罰を與えんとするもののごときに至つては、およそ時局認識の欠如した労働政策の貧困、曾つて軍閥が行なつた反動政治と何ら異なるところがないのが只今のあり方であります。(「ノーノー」「フアツシヨだ、フアツシヨだ」と呼ぶ者あり)今度の政府の反動的なもろもろの労働政策は、国際的には我が国信用を落し、講和條約に多大の悪影響を與え、国内的には階級鬪争を激化せしめる結果を生ぜしめたことは疑う余地はございません。かかる不手際をたびたび露呈した吉田内閣は、自己の政治力欠如を国民の前に陳謝し、その責任を明らかにせられんことを要望し、私の質問を終えたいと思うのであります。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇〕    〔「吉田はどうした」「吉田を出せ」「総理を出せ」と呼ぶ者あり、拍手、「良心的な答弁を願います」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり〕
  29. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 只今の御質問に対してお答えを申上げます。  五月一日の中央メーデーの開催場所として問題になりました皇居国民公園の使用問題に関してでございますが、御承知のように昨年の五月三十日にあの同じ広場におきまして集会が行われました際、大変不幸にも進駐軍軍人に対する不祥事件が起きまして、それを動機といたしまして、この国民公園の管理のあり方について各方面から非常な論議が行われました。政府といたしましても、場所柄でございますから、(「どういう場所柄だ」「黙つて聞け」と呼ぶ者あり)この管理につきましては特に慎重な考慮をいたしました結果、国民公園管理規則について所要の改正を行いまして、先ほど御指摘のようにあの広場を政治的目的乃至宗教的目的のためにする集会或いは示威行進(「労働大臣の所管ではない」と呼ぶ者あり)又は社会の安寧秩序を乱す慮れのある集会示威行進は、将来使用を許可しないようにいたすという決定をいたしておつたのであります。(「賛成」「それが反動なんだ」と呼ぶ者あり)そこで、今回総評議会主催者となられて、中央メーデーを岡場所において行いたいという申出があつたのでございますけれども、只今申しますような方針に照しまして……山花さんは純然たる労働者祭典であると、私も無論今回のメーデー主催者の総評議会の幹部のかたがたが、従来の、とかく相当の批判があつたメーデーのあり方について深く検討をせられて、醇乎たる文化的な労働祭を持ちたいということを(「その通り」と呼ぶ者あり)熱心に苦心をせられておりましたことにつきましては、(「よく聞いて置け」と呼ぶ者あり)私もよく承知をいたしておつたわけでございますから、従つて皇居広場を用いなくても、先ほどお話にございましたように、政府といたしましては皇居広場の使用規則はそういうふうに使用方針はいたしておりますから、明治神宮の外苑等、最もこの祭典を行うのにふさわしい場所の斡旋もいたし、何とか労働者祭典として、賑かな、そして意義あるメーデーを持つて頂くように、政府といたしましては誠意を盡しまして総評議会の幹部のかたがたにお勧めをいたしたのでございますけれども、(「冗談でしよう」と呼ぶ者あり)遺憾ながらこのことができませずして、中央メーデーを持たれなかつたということに対しては、私は非常に遺憾に存じております。(「お世話の方向が違うぞ」と呼ぶ者あり)併しこれを以て、政府労働組合乃至労働運動を弾圧のためにかような措置をとつたと言われることは、(「その通りじやないか」と呼ぶ者あり)誠に不本意でございまして、御指摘のように、(「社会党頭が悪い」「お前のほうが悪い」と呼ぶ者あり)国家再建の大目的を達して参りますためには、労働者の自発的な蹶起と協力なくして国家再建の困難なることは(「その通り」と呼ぶ者あり)当然のことであるわけでございますから、従つて自由にして民主的な労働運動、特に労働者のための労働運動が健全に発展いたして参りますことは、吉田内閣一貫しての方針として、その結果が、(拍手発言する者多し)その結果が、一時相当日本労働運動が一部の破壊勢力に左右せられるという虞れがあつたその域から脱しまして、真に自由にして民主的な健全な労働組合運動の方向を辿り、それが総評議会の結成となつて、今日将来を期待せられるようになつているものと考える次第でございます。(「お世辞を言うな」と呼ぶ者あり)私ども決して労働運動を抑圧するなどという意図は毛頭ないことを重ねて申上げて、御了解を得ておきたいと思います。  なお最高司令官見解発表について政府が何らか関與いたしたようなふうに聞えるようなお話もございましたけれども、(「ひがんでいる」と呼ぶ者あり)さようなことは絶対にございません。その点は特に(「そういうことを聞いておるのじやない」と呼ぶ者あり)御了解を頂きたいと思う次窮であります。(拍手)    〔国務大臣大橋武夫君登壇拍手
  30. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 五月の三日に警視庁におきまして三十七名の労働組合諸君を逮捕いたしたのでありまするが、これは憲法記念式典の執行中、参列者の一部の者が集団を組みまして、突如労働歌を高唱いたし、赤旗を振つてデモ行進を開始し、或いはビラを式場内に撒布する者を生じましたので、直ちに東京都公安條例及び占領目的阻害行為処罰令違反の現行犯として、これらの集団行動の指導者と認められる岩及び検挙を腕力によつて妨げる者等を逮捕するに至つたのでございます。これらの事案につきましては、現に検察当局において捜査中でございまするが、このような行動は決して正当な労働運動と認めるわけには参りませんので、(拍手)、「挑発したのだ」と呼ぶ者あり)これを逮捕いたしましたことは、警察として(「わかりませんね」と呼ぶ者あり)当然の処置であり、労働運動に対する彈圧ではございません。(「もつと勉強して来い」と呼ぶ者あり)  次に憲法記念の式典には数万の国民の参集が予想せられまして、参集者に対しましては東京都特別区公安委員会から、銃器その他の危険物及び国旗以外の旗、プラカード類を会場に特ち込むこと、及び集団行進又は集団デモに亘らないようにというような條件が附せられておつたのでございまして、これらの條件を守つて式典を平穏に執り行うためには当然相当数の警察官を必要といたしたのであります。当日式場及びその周辺の警備に当りましたる警察官は、警視庁所属の約二千名でございまして、この程度の人員は決して過大とは考えておりません。(「その通り」「知能的犯罪には何名要るか」と呼ぶ者あり)又これらの警察官の行動につきまして、或いは挑発的行動があつたのではないか、或いは暴力行為があつたのではないか、こういう御質問がございました。この点は私只今承知いたしておりませんが、併し発言は極めて重大であると考えまするので、(「本当だ」と呼ぶ者あり)直ちに調査をいたしまして事実を明らかにいたしたいと考えるのであります。(「今日始まつたことじやない」と呼ぶ者あり)  次に五月の四日に三十七名の諸君を釈放いたしておりまするが、(「当り前じや」と呼ぶ者あり)この釈放いたしましたのは、捜査上勾留の必要がないという理由で釈放いたしたのでございまして、これは決して関係者が容疑の事実について認めたとか認めないとか、そういうことは別に理由になつておるわけではございません。全く捜査上勾留の必要がないという理由によつて釈放をいたしたのであります。事実は今なお捜査中に属していることを附言いたして置きます。(拍手
  31. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 内閣総理大臣の答弁は他日に留保されました。    〔山花秀雄君「只今の問題に再質問」と述ぶ〕
  32. 三木治朗

    ○副議長三木治朗君) 再質問の時間はございません。(「やれやれ」「時間なし」「質問の要なし」と呼ぶ者あり)  次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、食糧管理法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員及び日本国有鉄道法の一部を改正する法律案両院協議会協議委員辞任の件  一、両院協議会協議委員補欠選挙  一、日程第一 河川法の一部を改正する法律案  一、日程第二 経済調査庁法の一部を改正する法律案  一、外交問題に関する内閣総理大臣報告  一、労働組合運動弾圧に関する緊急質問