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1951-02-21 第10回国会 参議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)    午前十時十九分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第十五号   昭和二十六年二月二十一日    午前十時開議  第一 両院法規委員辞任の件  第二 元戰傷病者に対する恩給増額請願(四件)(委員長報告)  第三 恩給に関する請願委員長報告)  第四 元傷い軍人の恩給増額に関する請願委員長報告)  第五 傷い恩給改正に関する請願委員長報告)  第六 昭和二十三年六月以前の退官官吏恩給増額に関する陳情委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 佐藤尚武

    ○議員(佐藤尚武君) これより本日の会議を開きます。  公益事業委員会委員長から、一昨日の佐々木良作君の緊急質問に対する答弁のため発言を求められました。この際、発言を許します。松本公益事業委員会委員長。    〔政府委員松本烝治君登壇拍手
  4. 松本烝治

    政府委員松本烝治君) 一昨日の本会議におきまして、佐々木良作君の緊急質問があつたのであります。私ども委員会は、当時緊急差繰りのできない要務がありましたために、午前は遂に伺うことができませんだつたので、速記録によりまして御質問の趣旨を拝見いたしました。これについて今日簡單お答えを申上げます。  御質問の第一点は、この電力事業の再編成決定指令というものは、どうも特定委員の特別の利害関係によつて不公正に言処理されておるようである、殊に人事至つては甚だ不公正のように見えるということであつたと思います。これにつきましては、我々の委員会構成そり他はすでに御承知のことと思いまするが、五人の委員から委員会が構成されておりまして、各委員が各一票の議決権を持つております。常に委員会の行動は多数決によつて決定されるのであります。一人の委員の票は一つしかないのであります。言うまでもないことでございまするが……。而してこれらの委員は、私を除きましてはいわゆる堪能熟達の士とも言うべき人と思います。單に電気事業だけでなく、あらゆることについて相当の判断力を持つておる人ばかりであります。会議におきましては常に愼重に各人の意見が述べられまして、そうして決議によつて決定されて参るということになつておりますので、仮に何か特定委員が特別の利害関係によつて或ることを欲せられましても、他の四人の委員はこれには先ず同意はしないだろうと思われる。そういうことで今までこの委員会は進んで参つておるのでありまして、私の見るところでは今まで曾つて不公正な決定はしたことがないつもりでおります。今後といえども最も公正に、又最も妥当に物事を処理して参りたいという考えでおりますので、この点はどうぞ御心配のないことを望みます。(「心配しておるから聞いておるのだ」と呼ぶ者あり)而してこの人事の不公正ということについて人の名を挙げてのお話もありましたが、この人事決定はまだ実は明後日までは確定的になつておりません。そういう際に各人事についてここで申し上げることは不適当と考えますから、これについては只今は申上げることができません。  それから第二点は、日発株式と各配電会社株式を各一対一として、等価のものとして、同じ値段のものとして取扱つたことは、不適当ではないか、再評価によるところの結果によれば日発財産のほうがよほど多い、それを等価のものと見て株式比率をきめたことは不適当ではないかという御質問つたと思います。これについては、再評価値段で幾らになるということの的確なことは実はしつかりはわかつておりません。再評価はこの再編成後にされることになつております。従つて今はしつかりはわかりませんが、併し質問者のおつしやつたように、日発財産のほうが、全部の配電会社平均して申すと、確かに再評価による結果は財産が多いということになる、割合的に多くなるということと思われます。併し各配電会社の間におきましても財産は決して一様ではない。或いは相当大きな、いわゆる含みを申すと語弊がありますが、大きな、つまり価格以上の、外に現われておる帳簿価格以上の値打のある財産を持つておる会社もあります。又比較的にこれの少い会社もあるのであります。これらの九つ会社日発というものが皆解散をしまして、飽くまで大体において前の九つ配電会社地域において新らしい会社ができるのであります。その際に、この各配電会社株式の属しておるところの会社財産状態は必ずしも一様でないとしますれば、どうしてこの比率をきめ得るか。どうもこれを一対一にするよりほかない。而して株式の先ず値段、この値打というものを最も経済的に見て的確に現わしておるものは、大体において取引所における株式相場言つてよろしいと考えます。その相場から申すと、目先株式値段は大体においてこの各配電会社中の先ず最も安いものよりは高い、併しながら最も高いものよりは安い、丁度中間ぐらいのところにあるのだ、かようにあるところを見ますれば、やはり一対一でこの比率決定するのほかは公平な措置はないと考えて、一対一ということを決定したのであります。ただ日発株主九つ会社に分たれたところの九つ会社の株を持つことになりますので、自然持つておる株式に非常に大きな端株が出て参りますので、大変な不便を感ずるということは、これは事実争われないところであります。よつて、この日発株主の受ける不便と不利益を救済するために、日発株主限つて株式以外に特定交付金を清算に当つて與えるようにしたいということに考えまして、さようにすることにしております。然らば一株に対して幾ら與えるかということについてはまだ愼重に審査中であります。多分今日中には決定し得ると考えております。これを決定するに当つては、我々委員中には相当金融界の事情に通じておる人もありまするが、なお、この金融界及び証券界専門家意見を徴しまして今まで何回となく会合を請いまして研究をいたしております。で、これらの研究により最も確実なる材料一つこしらえて、これによつてしつかりときめたいという考えでおります。  第三の点は、日発にいわゆる含み財産なるものがあつた、そうすると、これから推して見れば、関東配電にも又含み財産があるのではないかという御質問つたと思います。これはただに関東配電だけの問題でなく……目先含み財産が或る程度においてあつたことは事実であります。然らば他の配電会社にもあるではないかという或いは想像をすることはできようかと思いますが、併しながらこれは只今まで調べましたところでは発見することはできない。何か的確なる資料によつてかようかようのものがあるではないかということでなければ、含み財産があるものとは信じないと言うのほかはありません。尤も日発及びその他の会社は近く全部解散されるのであります。そしてその財産は全部新らしい会社に行くのでありますから、若し含み財産なるものがあつても、その含み資産なるものが新らしい会社以外の所へ若し漏れて行つてはこれはいけん。これに対しては十分に一つそういうことのないように取締らなけりやならんと考えております。併しそのあとの会社に全部の財産が行くならば、必ずしもこの際この財産の一々……或いは再評価額によれば大変な額の財産になると思いまするが、そういう財産を一々調査してやるということは、この際、時も許しませず、人の数も力もこれを許さないのでありますから、(「おかしいぞ」と呼ぶ者あり)專ら含み財産があつても(「おかしいよ」と呼ぶ者あり)他にこれが漏れることのないようにする、(「何のための公益事業委員会だ」「不公事委員会」「やめろ」と呼ぶ者あり)そうするつもりでおります。  これで大体この前の佐々木良作君の御質疑に対する答弁終つたつもりでおります。(「終らない」「了解できない」と呼ぶ者あり、拍手)    〔佐々木良作発言許可を求む〕
  5. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 佐々木良作君、何でしようか。
  6. 佐々木良作

    佐々木良作君 只今の御答弁につきまして、私の御質問したことと、日にちが違つておる関係もあり、少し私の質問と違つたような印象を受ける所もありますので、その点をちよつと質さして頂きたいと思いますが……。
  7. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) よろしゆうございます。但し成るべく簡單にお願いいたします。    〔「しつかりお願いいたします」「ゆつくりやれ」「しつかり」「佐々木はつきりするまでやれ」と呼ぶ者あり〕    〔佐々木良作登壇拍手
  9. 佐々木良作

    佐々木良作君 只今松本委員長から一昨日の私の質問に対する御答弁を頂きましたが、私は御質問を申し上げました一番中心点は、決して人事一つ一つ、或いは株式等価比率一つ一つ、或いは又含み資産があるかないか、この三つが具体的に私が言つた通りであるかどうか、その問題だけを質したのじやないんです。この再編成が、今のところ日発配電会社を解体をしまして、新らしい会社九つ作るようになつておるが、新らしく作る会社は、今ある日発配電を最も公平に、平等に一緒にして、九つ会社ができるように公正に扱われつつあるか、これに対して非常に大きな疑問がある。その例として、私は先ほどの三つ或いはそれ以上になつたかと思いますが、その具体的な事例を示したわけであります。今、私が示しました三つの事実につきましては、松本委員長が言われたのを決して十分だとは考えないのでありまして、それに対する反駁材料も十分に持つております。例えば含み資産の問題にしましても、等価比率の経済的な、或いは資産内容の問題にしましても、持つておりますが、併し時間が許しませんから今質そうとはしません。ただ私が申上げたいのは、この人事問題につきましても、名前は挙げられなくつても二十三日に確定と、こういうふうにおつしやられましたが、そうして言われるのは、公益事業委員会の運営は五人おつて、仮に一人が勝手なことをやろうとしてもできない組織になつてつて、公正に運営されておるから、そのはずはないのだと、こうおつしやる。そういう私は手続の公正、不公正を聞いたのではないのであります。そうでなぐて、現実にこれだけの人間が社長になつておる。なることになつておるではないか。これは現実配電社長連中ばかりではないか、ずらつと。そうすると片手落ちになるのではないかということを私は質問しておるわけであります。これを若し今の松本さんのような御答弁で、法手続的にはこれで妥当なりというふうに言われるのであるならば、私はこれは重大問題でありまして、それならば一番元へ帰りまして、公益事業委員会自身が、本来再編計画をやる仕事公益事業委員会仕事ではなかつた集排法に基きまして持株会社整理委員会が主としてこれに当り、そうして一定の時期から公取が当つてつた。それを適時適当な部分をこの公益事業委員会に委任するという形で行われておつた。その過程におきましては、今言われましたような手続規定につきましてはいろいろな矛盾撞著がたくさんあるわけであります。だから今私はその矛盾撞著を洗おうとしておるのではなくて、そういう矛盾撞著を越えて運営されなければならない革命的な変革が今行われておるから、それが実質的に公正に行われつつあるかということを質問しておるわけであります。特に私は今のこの問題に関連して質して置きたいと思いますのは、今日の新聞でも……恐らくこれは私の前の質問に関連してお答えになつたかのごとく、今日の新聞にも、「毎日」にも出ておりますが、今の手続の問題と絡みまして新らしい電力会社の首脳は、この公益委員会の独自の見解を貫く方針であるとか、或いは更に聽聞会だの、或いは国会でどんな意見が述べられようとも、人事だけは変らないだろうといつたように言われております、松本委員長が……。更に又甚だしきに至つては、松永委員は、小坂さんが何と言おうとも、こちらは政府立場にあるのだから対等という言葉は当らない、従つて日発公益委員会が対立しておるということはないはずだ、やるんなら陳情という形でやるはずだというふうに言われておる。これは公益委員会自身性格を私は間違えられておるのではないか。松本先生は言うまでもなく大先生でありますから、レギユラトリー・ボデイのレギユラトリーということは十分御承知のはずです。だから、この公益委員会は一種の権限に基いて権限発動を常にする機関ではなくて、或いは最高裁判所的な性格、或いは交通巡査的な性格、そういう性格を持つてレギュレーシヨンをやる仕事性格としてあるはずです。それであるのに、何か二十三日までに人事決定して任命するかのごとき方法をとつておられる。そうして、その内容が、今の日発配電とを見たならば、甚だしく片手落ちになつておる。私が言つた通り人事が、私が言つた通り毎日の新聞にずつと出ておるでしよう。そうしてまだ今は時期にあらずと言われましたけれども、具体的に名前が出ておる。そこを私は十分に御答弁願いたい。レギユラトリーレギユラトリーでなくなつてつて命令機関になりつつある。これは公益を守る立場にある公益事業委員会であり、そうして特別なその任務を持たした公共事業令に真つ正面から私は背くものである。精神的に背くものである。その点を背かないようにしてもらいたいし、しておらないという御答弁を頂きたいわけです。この再編計画書記載事項にいたしましても、今の人事の問題も、等価比率の問題も含みまして、再編計画書記載事項というものは、本来ならば集操法再建整備法に基いて記載事項がきちつときまつておる。御存じ通りでしよう。それが今度の場合は公益事業委員会というような妙なものから(「簡單片々」と呼ぶ者あり)ぼうつとした恰好でただこういうふうに指示しておる。そうして法できめられておる以上の記載を要求されたり、(「簡單片々」と呼ぶ者あり)或いは又それを残されたりしておる。これはどういう権限に基いてそれをやられるか。本来ならばその再編計画に関する手続規則を制定する権限公益委員に移つたか移らないかという問題と絡んでやらなければならん。だから、この問題に疑問があるから、あのままにしておいて、実質的に日発配電命令をしてその結果を出されようとしておる。その辺を私ははつきりと法規に基いて公正に、従来の勝つた負けたの慣例にとらわれずにやつて頂きたい。そうして、そのやつて頂きたいがやつておられないという疑問が現在出て来ておるということを申上げたのであります。(「簡單簡單」と呼ぶ者あり)例として……まあ簡單といわれますから私やめますが、但し無駄口を省きます。やめて申上げますが、一口だけ最後に言いたいのです。  これが公益事業委員会でやつていられることは一つ法律に基いていない。正式に言えば法律に基いていなくても、これは、こういう革命的なことが行われる場合には或る意味では止むを得んと思う。それを第三者から見ても公正だと思われる立場でやられる場合には止むを得んと思う。それがそうでなくなつてつて現実日発も騒いでおるし、業者も騒いでおる、新聞も騒いでおる。現実に今紛糾事態を起しておること自体が、これがそのまま公益事業委員会、最初の公益事業委員会責任であり、同時に公益委員責任であるわけであります。このことを千分に私は考えてもらいたい。そうでなければ、発足しました公益事業委員会は、まだ公益事業委員会としての仕事をせぬ前に不公平委員会になつてしまう形勢を持つている。そうしてこれはあちらから言われておるくらいの意味でのレギユラトリー委員会ではなくして、完全な命令機関としての仕事しかできなくなつて、それならばこの再編成を行うための再編成令による機関ではなくなつてしまう。電気事業の再編成が公正に行われなくなるということを言つたわけであります。それを不公正に行われつつあるということを言つたわけであります。  そうして最後一つだけ言つて置きますが、人事でも又今の株式比率の問題でも決定と言いましたが、聽聞会或いは異議申立で十分言い得るか、言い得ないか。それが事由があることならば公益委員会はそれを聞かれますか、聞かれませんか。ただそれだけでもおしまいに聞いて置きたい。これで若し聞かれないとするならば全然委員会でなくなると思いますから、最後にそれだけでも聞いて置きたいと思います。    〔政府委員松本烝治君登壇
  10. 松本烝治

    政府委員松本烝治君) 只今佐々木君の再質問お答え申上げます。只今いろいろ新聞紙上に出ておる記事についてお話がございました。御承知のように新聞記事というものは、私が言わぬことでも出るのです。又言つたことも違つた形で出るので、これは多分御承知と思う。今仰せられたようなことが若し出ておつたとすれば、私不肖といえども委員会性質も幾らか研究をして委員長になつておるつもりで、委員会性質に反するようなことを新聞記者に言うことはないと思つております。どうか一つ新聞記事を余り私が言つた言葉としてでなくお取扱いを願いたいと考えております。  それから今仰せられたところでは、何かこの公益事業委員会法定権限以外のことをしておるというようなお話のように聞えますが、具体的にどういうことをしたかということについては何ら仰せられない。私は法定権限を超越してやることは絶対にやつていないということをここで申上げます。而うして若しそういうことがあるならば事実を指摘しておつしやつて頂きたいと思うのです。(「指摘しているじやないか」と呼ぶ者あり)  それからレギユラトリー・ボデーということのお話がありましたが、勿論公益事業委員会軍閥時代統制機関とは違う(「その通り」「その通りつておるじやないか」と呼ぶ者あり)調整機関に過ぎません。調整ができておるかできていないか、いろいろ御意見もありましようが、我々調整の範囲を超えることは一つもございません。(「逸脱しているよ」と呼ぶ者あり)どういうことをやつておるか事実を挙げて言つて頂きたい。(「会社から出ておる今度の再編計画書には……」「敷つて聞け」と呼ぶ者あり)ちよつと私語を禁じて頂きたい。
  11. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 灘南にお願いいたします。
  12. 松本烝治

    政府委員松本烝治君) (続) 何を言われるか知りませんが、権限をこの持株会社整理委員会から委譲を受けるということは、法律に書いてあるこの規定に基いて委譲されたことをやつておる。何ら法定権限を超えたことなんぞやつておりません。若しやつておれば勿論私ども責任をとらなければなりません。そういうようなことはやつておりませんから、何かどうも誤解の御質問とのみ考えます。(「了解」と呼ぶ者あり)何か法定権限でも超えた悪いことでもしたということならば、責任は勿論回避しません。このことを申し上げます。(拍手)      ——————————
  13. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 日程第一、両院法規委員辞任の件。  昨日鈴木直人君から両院法規委員を辞任いたしたい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて両院法規委員辞任の件は決定いたしました。      ——————————
  15. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) つきましては、この際、日程に追加して、欠員となりました両院法規委員補欠選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。
  17. 高橋道男

    高橋道男君 只今両院法規委員補欠選挙につきましては、成規手続を省略して、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  18. 木村守江

    木村守江君 私は只今高橋君の動議に賛成いたします。
  19. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 高橋君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議長両院法規委員岡部常君を指名いたします。(拍手)      ——————————    〔森崎隆発言許可を求む〕
  21. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森崎隆君。
  22. 森崎隆

    森崎隆君 私はこの際、勤務地手当に関しまして緊急質問をすることの動議を提出いたしたいと存じます。
  23. 小川久義

    小川久義君 只今森崎君の動議に賛成いたします。
  24. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 森崎君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。森崎隆君。    〔森崎隆登壇拍手
  26. 森崎隆

    森崎隆君 只今から暫らく時間を頂きまして、浅井人事院総裁に御質問を申上げたいと思います。  勤務地手当につきましては、御存じのごとく昨年末一般職員給與法改正によりまして、基本の事項は一応決定されましたが、これが支給地域の区分については、未だ人事院よりの勧告がなされていないのであります。只今政府案による五分引、三段階の暫定措置が現在とられておるのでありまして、この勤務地手当につきましては、昨年八月九日でありましたが、人事院総裁勧告案説明の中に、読んで見ますと、「勤務地手当扶養手当とは、若干の意味の違いはあるが、共に現実生活に即して給與調整することを目的とするものであつて給與水準上昇伴なつて漸次俸給に繰入れられるべきものである」云々と書いてございます。この説明は誠に当を得たものであると思います。即ちこれを要約いたしますと、第一には、現実生活に印して給與調整するということ、第二は、給與水準上昇伴なつて基本給の中に繰入れられるべき性質を持つておること、この二つになるわけでございます。  即ちこの一の場合は、公務員各自が勤務しておる地域の諸條件に即応いたしまして給與調整するということでございまして換言いたしますれば、公務員がその勤務地において国民への奉仕の義務を十分に果し得るための最低の文化的・健康的な生活を保持するために、現行給與のあの劣惡性を補正する目的を持つことであります。特に現行の七千九百八十一円という給與水準は、御存じのごとく幾多の矛盾と不合理を包蔵しております。その実施に当りましては、人事院の発した指令第一〇〇号並びに一〇一号を以てしましても、到底その欠陷を完全に補うことはできない。而も一方におきましては、民間給與との大きな落差を現在生じております。私の記憶では、給與ベースにつきましても、現在確か本年の一月の全銀連の調査を思い出しまするが、六大銀行に働いておられる大体三十歳に達する行員の人々の平均が一万六千円程度だと私記憶しております。又日本船舶の全体の給與ベースが大体これも一万六千円、公務員給與べースの大体倍になつております。特に三越なんかにおきましては一万八千円ベースになつておる。平均公務員の倍を上廻ること二千円になつておると私記憶しておりますが、こういうふうな物凄い落差を現在生じております。結局公務員最低生活を現在保証できない。こういう今日におきまして、この勤務地手当の持つ意義というものは現在ほど大きいときはないと私は考える次第であります。  更に二について、給與水準上昇伴つて本給に繰入れられるべき性質のものであること、これは当然でございます。ただここで大切なのは、給與水準上昇ということはどういう意味であるかということをはつきりと見なければならないと思います。勿論、終戰以来、二十一年三月のあの六百円暫定措置を初め、数度に亘りまして、現在まで給與ベース改訂がなされて来たのでございまして、一応これは形の上では上昇、いわゆるベース改訂ということはなされておりまするが、これは飽くまで私たちから申しまするならば形式的な改訂意味するものにほかならないのであります。即ち言い換えまするならば、若し経済が安定いたしまして、物価がはつきりと固定いたした、そういう基礎の上に立ちましてベース改訂されまするならば、このベース上昇ごとにこの勤務地手当というものがその比重をだんだん逐次下げて行きまして、いつとはなしにこれは自然消滅への道を迫ること、これは誠に結構だと私は考えるわけなんであります。これまでのごとくペースの上昇のこの勧告政府の手によつて平然と無視されて参りましたり、又ベース改訂した頃には、早や物価自身が先に上昇を示しておる。そういつたような状態におきましては、この物価の騰貴に追い付き得るだけの大幅な給與水準を確保できない限りは、勤務地手当はこの場合も更に強い意義を保持しなければならないと私は考えます。 (拍手)特に昨年六月以後、朝鮮の戰乱及び世界的な軍備拡充の煽りを食いまして、いつも大蔵大臣におかれましては自慢されておりますあの健全財政という、あの基本線に立ちまして諸施策をされておるにもかかわりませず、国策の基本的な錯誤より生じたインフレの高進しつつある現在におきましてむしろこの種の手当の増額をすること自身が昨年浅井総裁がなされました八月の勧告案の御趣旨の線に合致するものであると私は考えるわけなのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)我が社会党が最高三〇%六段階案を貴職に要請いたしまして、少くとも昨年末まで実施されておりましたあの既成の比率の上に良心的な補正を加えられまして、それに伴う予算措置も併せて政府に要望いたしましたのも、実に人事院勧告の基本的な意義の上に立つての良心的な我々の決定なのでございます。質問に先立ちまして、賢明なる浅井総裁に、このように長々と長口上を申上げましたのは、別に他意があるわけではございません。勤務地手当の真の意義を、又その正しい使命をはつきりと再認識いたしまして、一方ではすでに政治問題化いたしておる。更には、さる政党の或る人々の手によりまして選挙運動にこれが惡用されんとしておる。(「どこの党だ」と呼ぶ者あり)他方においては全国各地より熱烈なる要望が現在集中されておる。この際、人事院が毅然たる態度を以て、公務員給與責任者として、適正なる御研究、御措置をされまして、その使命を果されんことを熱望するからにほかならないのでございます。  質問第一、経済情勢の現在のこの状態におきまして又勤務地手当の前述の意義と二つを考え合されまして、我が党の最高三〇%六段階案を支持勧告される御意思がありましようか。ありとすれば結構でございまするが、若し他に意見がありますならば、その反対の理由をお聞かせ願いたいと思います。  質問の第二、勤務地手当給與水準のうちで占める比率は、六千三百七円ベースの実施当時では大体一一・五%、平均で七百二十六円でございます。これが二十四年九月十五日現在昇格等によりましてだんだんこれが高くなりまして、この二十四年九月十五日現在では一二・二%、平均金額一人当り七百九十五円になつております。更に二十五年度の予算においては、一般職につきましては九百五十一円を組んでおる。これが昨年の八月の勧告案におきましては、いわゆる八千五十八円水準におきましては八・九%に引下げられて、平均七百二十四円になつておる。更にこれが現行政府案によりますあの暫定措置におきましては、七千九百八十一円水準で八・八%、七百円にぐつと切下げられております。この数字を見まするならば、人事院勧告は八千五十八円水準において地域給の大幅の切下げを断行しておるのであります。而もその基礎は昨年六月以前の資料に置かれております。そうしてこの勧告案は昨年八月上旬に出されましたが、国会の議決がなれさましたのは昨年の十二月十六日でございます。この長い期間の間には御承知のように日本経済に大きな変動がありましたにもかかわりませず、勧告案にはその後これに何らの修正がなされなかつた。即ち人事院は結果より見まして、決してお気持を申すのではございませんが、結果から申すならば、勤務地手当についての人事院御自身の主張を、その怠惰と薄弱なる意思のために、みずからの手によつてこれを蹂躪している結果になつておると私は考える。更に政府は計画的に第九国会を年末に延期いたしまして、そこで出された政府案は、暫定措置という名の下に五分引平均七百円と切落しております。これはまさに無謀なるやり方でございまして、私は時流への反抗であり、公務員生活実態の無視であると私は考えます。而もこれには何らの正当なる理由が見出されないのであります。当時の提案理由の説明におかれましても、人事院案を認めた上で、支給地域の区分が法律決定されるまでは暫定的に五分引とするというだけなんで、資本蓄積政策の犠牲の一環として公務員給與予算を減額する目的以外には何ら根拠がないでたらめな措置であつたと私は考えております。若し人事院勧告案が七月国会で実施されていたと仮定いたしまするならば、丁度今頃、この二月、三月頃には、日本経済の大変動に即応いたしまして、新らしい良心的な勧告がなされるべき時期であると私は考えます。これと逆に公務員立場から申しますならば、この長い間の時間のズレの結果、全国の公務員の受けた損害は実に甚大なるものがあると私は考える。この五分引案というものは一日も早く断ち切られなければならないときに当りまして、聞くところによれば、人事院の原案である七百二十四円すら、政府の圧力の下において七百円へと切下げられる修正がなされつつあると心配している向きもたくさんあるのでございます。毎日々々上昇するところの物価と、而も現在の俸給のこの状態とより考えまして、遅れ馳せながらも上述の地域給の意義に徹して、最少限度平均八百円程度に引上げる措置が最も至当であると私たちは考えるのでございますが、浅井総裁は、特に去る十日の人事委員会におかれまして、調査資料及び請願陳情等を十分に考慮して、すべての人の納得の行く勧告をするとはつきりと申されましたようでございますが、それは前述の我々の主張する平均八百円程度の線を確保できるような改善をなされる意味でありますかどうか。御返答を承わりたいと思います。  質問の第三、総理府統計局が実施いたしました二十四年十一月並びに昨年の五月の特別消費者価格の調査報告書は、この支給地域の区分決定に最も重大なる又重要なるフアクターとして考慮されておるように伺いまするが、これは各地区よりの多数の陳情請願者が異口同音に不満を表明しておりまするごとく、幾多の欠陷を持つて不正確のものであると私は思いまするし、これは貴職自身も認めていられるところでございまするが、然らばこれに代りまして正しい健全なる基礎資料といたしまして何を採用されるお考えでございまするか。又現在各地の再調査をなされておるようでございまするが、勿論これは朝鮮戰乱以後の影響を検討せられるためであると私は考えておりまするが、如何なる範囲までこの調査を進められまして、又どの程度にこれが盛り込まれるように計画されておりまするか。これもお伺い申したいと思います。  質問の第四、これは第二、第三の質問にも関連いたしまするが、公正妥当な勧告のためには、第十四次で打切られまして現在に至るまで実施されておりまするところの支給地域の区分、これに追加いたしまして、これと同等の事情又は同じ條件にある他の地域を生かして持つて行かなければならないと私たちは考えます。これまで随分こうした矛盾の犠牲を忍んで来た地域がたくさんございます。記憶を辿つて二三申しますならば、例えば愛知県の岡崎市と不離一体の関係にありますところの岩津町が全然脱落しており、又香川県の丸亀市と坂出市との間に挟まれた宇多津町という町がございますが、物価指数、生活水準、物資の交流等、全くこの町を挟んでおる二市と同じような條件にある地域が全く無視されておる。更には又別のフアクターでありますが、三重県の四日市のように繊維工場とか金属工場が多数あります、この都市におきましては、現在のこれら工場の凄い景気によりまして物価はだんだんと吊上つておりまして、その煽りを食つておるものは誰か、実に公務員自身であります。こういう地域に対して特別の考慮が早急に而も強力になされなければいけないと思います。人事院はこれらの実態を正しく把握されまして善処されることだと私は信じますが、特に総裁の御意見のほどをお聞きいたしたいと思います。  質問の第五、これは昨年末にも山下人事官より、支給地域区分に関する勧告はできるだけ年内にいたしたいと言明がありましたし、又総裁その他の人事院の係のかたがたから、第八国会以来継続審議中もしばしば至急善処方を約されて参りましたが、第九国会も終り、本国会開会後二ヵ月を経たる今日、なお勧告がなされていないのは一体どういうわけでございますか。はつきりと御答弁を願いたいと思います。勿論真摯に請願陳情を取上げて検討中であると申されるかも知れませんけれども、良心的な補足的改訂誠に結構でございまするが、その場合といえども時日には限度があるのでございます。現在全国各地区より必死の請願陳情がなされておりまするが、押し付けられた劣惡なる給與の下でインフレの苦しみと闘つておる全公務員が、如何にこの支給地域の区分決定に重大なる関心を持ち、更にたつた一つ頼るところの人事院へ大いなる期待を持つているかは、総裁自身がよく知つておられることだと私は思います。彼らが零細な醸金を集めまして、彼らの総意を託した陳情団のあの一人々々の人々が皆旅費を使つてつて来ておる。この旅費は実に莫大なるものでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)一日この決定が遅れまするならば、その経費は実に重大なものとなりまして、延いてはこれが末端の苦しい、たださえ苦しい公務員一人々々の台所へ響いて行くことをはつきりと御認識願いたいと思う。この黙視できない事実は、皆さんがたは或いは何でもないとお考えかも知れませんけれども、この大きな努力を続けておられる、彼らが必死の問題として、これを今給與改善のたつた一つの希望としてこれを掴んでおる、この点を特に御認識頂きたいと思います。現状のまま放置することは由々しい問題でございまして、更には来年度予算案の審議がすでに衆議院では終りそうになつている現在、一日も早くこの善処方を私は願いたいのでございます。大体勧告の期日はいつ頃の御予定でございましようか。  更に附け加えまするが、若し万一にも人事院勧告の遅延の動因が他よりの圧力のためであるというようなことが若しあるといたしまするならば、まさに人事院の権威の問題でございまするし、公務員給與責任者たる資格なしと、これは断ぜざるを得ないことになると思います。(拍手)  更に人事院勧告原案の漏洩等につきましても随分の流説が横行しております。私は信じたくございません。更には四月選挙と絡みまして、この公務員にとりましては嚴粛なる問題が選挙運動に惡用されておる。そういうような意図で以てこの問題を取扱つているところの国会議員があるといつたような話も私は風の便りに聞いておる。これは皆人事院総裁が適切なる手を適切なる時に打たなかつたためであると私あたり考える。今こそ人事院がその本来の正しい姿を堅持いたされまして、あらゆる不正な圧力を排除されまして、一日も早く、誰のためでもない、公務員のために公務員勤務地手当に関しまする最も適切なる勧告をなされまして、以てあらゆるデマや又惡質なる政治的利用者の手を排除いたされまして、人事院の権威をはつきりと確立されますることを希望いたしまして、簡單でございまするが、人事院総裁への質問を終えたいと思います。私は更に大蔵大臣にいろいろ御質問を申上げたいと実は思つて準備しておりましたのでございますが、どういうことか、事前通告してございましたが、大蔵大臣が見えておられません。多分大事な本国会におきまして、本会十議におきまして答弁するより以上に重大な使命の下に欠席されておるのだろうと私は信用いたしまするが、御本人のおらない所でいろいろ御本人にお問い申しましても、返事がない限りは私は今したくないと存じます。これは又、日を改めまして大蔵大臣の御出席を求めた上でいたしたいと思います。本日はこの点は預かりたいと思います。  以上簡單でございまするが、私の質問を終ります。(拍手)    〔政府委員浅井清君登壇拍手
  27. 浅井清

    政府委員(浅井清君) 只今森崎さんから御熱心なる御質疑を頂きましたことを、人事院といたしましては非常に感謝をいたす次第でございます。以下御質疑の点につきましてお答えを申上げまする。  人事院只今用意いたしておりまする勧告は、最高二五%即ち二割五分から五段階でございまする。このことは社会党の御主張と違うやにも存じまするけれども、元来物価の地方差はだんだん少くなつて参る現状にございまする。換言いたしますれば、どこもここも高くなつてつたとも言うべきでございまするならば、むしろこれは給與ベースを引上げることによつてやるべきであつて、(「それをやれ」と呼ぶ者あり)地域給の扱いまする範囲はむしろ漸次これを少くするということが正しいように思つておりまする。(「その通り」と呼ぶ者あり)殊に最近国会において御制定になりました給與法に二五%を最高とする五段階となつておりまするならば、人事院といたしましてはこれを国会の御意思と考え、誠実にこれを施行するよりほかはございません。よつて勧告は二割五分を最高とする五段階になつておるのでございます。  第二点といたしまして、特別消費者価格、特別CPSのみを基礎とするやとの御質疑が、ございましたが、必ずしもさようではございません。それがために種々なる調査をいたしておりまするために、かようにだんだんと遅れて参つて誠に恐縮にも存じまするが、我々といたしましては成るべく地方の実情に即したものにいたしたいと思うからでございまする。  第三点といたしまして、現在の支給地域に追加するものがあるかというような御質疑がございましたが、それは追加するものもあり、上るものもあるであろうということは想像できるのでございます。ただ問題は、科学的な調査を離れまして、現在すでに何ほどなりとも支給されておりまするものを削除いたすことができるか。すでに暫定措置において相当切下げられたものを更に切下げることができるかどうか。科学的な問題と離れまして、これは給與政策の問題であり、勤務地手当におけるむしろ最高の政策問題であろうかと思います。この点はもとより最終の御決定は国会にお任せをいたすわけでございまするが、人事院といたしましては、この点をも十分考慮して、各地方の実情に即したいと思う次第でございます。  第四点といたしまして、提出の遅れた理由についていろいろと御質疑がございましたが、第一に申上げたいことは、内閣若しくは政府與党等より圧力或いは申入れ等のあつたということは全然ございません。又仮にさようなことがありといたしましても、決して人事院はその態度を変えませんことは、この給與問題に関する我々の同志とも言うべき森崎さんの十分御了解下さることであろうと存じておりまする。ただ問題は、森崎さんの御質疑中にもだんだんと御指摘になりましたが、非常に各地方から熱心なる陳情等もございまするが、これは選挙運動その他というような問題ではございませんで、いずれも各地方の公務員のその実情の切実なる訴えでございまする。従いまして人事院といたしましては、決して特別消費者価格だけを基礎といたしませんで、かような陳情がありました場合は、決して一つもこれを無駄にすることなく、再調査或いは実地調査をいたしておる次第でございまする。そのようなわけで、今頃まで何をしておるかという仰せでございまするが、むしろ人事院といたしましては完全にその職責を果したいために遅れておるわけでございまして、十分調査の上で、できるだけ速かにこの勧告をいたしたいという気持は当初より少しも変つていないのでございまする。  最後に、地域給八百円平均を維持するかどうかという仰せでございましたが、これはその支給地域がきまりまして、さて幾らが確保できるかという問題でございまするから、ここで何ほどの額に相成るかということは御答弁いたす段階になつていないのを残念と考えております。(拍手)      ——————————
  28. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際、日程第二より第五までの請願及び日程第六の陳情を一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。先ず委員長報告を求めます。内閣委員長河井彌八君。     —————————————    〔審査報告書は都合により第二十一号に掲載〕     —————————————    〔河井彌八君登壇拍手
  30. 河井彌八

    ○河井彌八君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、内閣委員会の審査並びに議決の結果を報告申上げます。  五つの請願及び陳情でありますが、それを内容から見まして二つに分けて説明を申上げます。即ち日程第二、第四及び第五のこの三つを一団といたし、第三及び第六を一団といたして説明を申上げたいと思います。  先ず第二、第四、第五の請願についん申上げます。これはいずれも戰傷病を受けた元の軍人に対する恩給増加の請願であります。これば細かいことにつきましては多少違つておりまするけれども、要するに戰争によつて不具癈疾となつた人々即ち元の戰傷病者は、終戰後に極めて悲惨なる生活を営んでおりまして一般公務員に対する恩給はその後物価の騰貴に応じましてそれぞれ増額されておるにかかわりませず、これらの人々に対しまする現在の恩給は何ら増額されておらない。余りにも少額でありまして、最低生活を営み得ないような状態にあるのでありまするから、せめて最低生活が保持せられまするように増額して頂きたいという悲痛な要請であるのであります。而して請願書に署名しておりまする請願人の数も随分多数でありまして、ちよつと計算いたしまして二万三千四百余人という事実であるのであります。そこで元来この戰傷病者に対する恩給は、昭和二十一年の勅令第六十八号、これは即ちポツダム勅令であります。それの第五條及び第六條に規定せられておるのでありまして、増加恩給について申上げまするならば、この勅令の別表第一号表には、上は大将から下は兵に至るまでの各階等の基準俸給の月額が定められてあるのであります。そうしてその癈疾の程度の重い、いわゆる特別項症から第六項症までの者には、別表第二号において、その癈疾の程度によつて定められておるところの月数をかけた金額の五十割に相当するる増加恩給が給せられるということになつております。かように申しますと甚だおわかりにくいと思いますが、兵であつた者がどのくらいこの恩給を受けるかと申しますると、両眼が全く見えなくなつておるとか、或いは病床に就いたきりどうすることもできないというような、癈疾の程度の一番重い特別項症の者でありまして、それらの者がどれほど国から恩給を頂いておるかと申しますると、只今申しました規定によつて計算いたしまして僅かに三千二百円、これが年額であります。こういう悲惨な、僅かの金で以て、どうしてこの今日の経済状態の下におきまして生活を維持して行くことができるでありましようかという、これが請願人が訴えておる点であります。なお、これらの請願人は、これらの人たちは身体の自由を失い、起居も自由でない。人の助けを受けなければならん。勿論職業に就くこともむずかしいというような人々でありまして、ほかから別に收入を受ける途というものは全くないという者と見なければならんのであります。内閣委員会におきましては、恩給局当局からこの点について説明を求めたのであります。その説明といたしましては、連合国最高司令官から昭和二十年十一月四日附で以て政府に覚書が出ております。その覚書によりまして、元軍人軍属の傷痍に基く恩給は、非軍事的な原因に基いて生じた同じ程度の一般傷病癖者に対する補償金の最低割合を超えてはいけないという趣旨であるのでありまして、現在これらの人たちの恩給額は厚生年金額を標準として定められておるのであります。厚生年金額が増額せられない限りは恩給のほうだけを増額することは覚書の関係で困難であるということになるのであります。この国会におきまして、一方では陳情第十四号でありまするが、この厚生年金支給額の改定に関する陳情が出ております。又他方、この厚生年金保險法特例法案が近く提出されることになるのでありまして、その厚生年金の増額が実現せられると我々は考えておるのでありまするが、若しそういう立法措置が講ぜられましたならば、政府といたしましても当然これに伴いまして元軍人軍属の増加恩給等の増額を実現する法的措置をとるということを政府は申しておるのであります。ここに厚生年金保險法の特別要綱案というものを私は持つておりますが、それによりますと、障害年金が二倍に引上げられるということであります。もとよりこれは案でありますから、今後確定までにはその通りになるかどうか知りませんが、先ず大体さような見込であります。でありますから、これが通過いたしましても、なお、この悲惨な人々の生活を保証してやるという上におきましては、多大なここに努力が残つておるということを申さなければならんのであります。日本憲法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障の向上と増進に努めなければならない」という趣旨が規定せられてあるのでありますが、我が国民の一部に今述べましたような最低生活を営むことのできない不幸な人がたくさんある。これらに対しまして十分なる社会保障の途が講ぜられておらないというようなこの現状のままをこれで放置しておくことは、決して健全な国民思想を涵養し、国家の安全を図るゆえんではないかと考えるのであります。(拍手)内閣委員会におきましては、この点について十分なる考慮を拙いまして、熱心な質疑応答を重ねました。そうして政府に対しましても、この請願の趣旨の実現に極力努められますことを切望するという意味で以て、これを採択いたしました次第であります。すでにこの請願は、これと同一の趣旨のものが第八国会におきましても本院において採択せられたのであります。で、委員会におきましては、今回も又同じ趣意におきまして、而してもつと一層強い力を以ちまして、この請願の趣旨が徹底しますように、改めてここに本院の議決を経ましてこれを内閣に送付せらるべきものであると決定をいたした次第であります。(拍手)  次に、恩給に関する請願、それから昭和二十三年六月以前の退官官吏恩給増額に関する陳情、この二件を併せて説明を申上げるのであります。これは先に恩給法臨時特例が改正せられまして、恩給が増額せられました。全国の恩給受給者は感謝しておるのであります。ところが、その後又物価が騰貴いたしまして、その騰貴した状態に比べますと、この恩給額がやはり少い。従つて生活恩給受給者が困難をしておるという実情でありますから、請願考及び陳情者の要求は、現在の恩給受給者の既得権を確保して欲しい、それと共に、昨年改正せられました恩給法臨時特例による恩給額と最近の退職者の恩給とを比較すると、恩給を受領する額に不均衡があるから、これを国家公務員に対する給與ベース改訂の都度、現在の恩給受給者の仮定俸給額をもこれに並行して改正して欲しいという趣意であります。陳情におきましては、昭和二十三年六月以前に退職した国家公務員恩給受給額と二十六年一月以後に退職する国家公務員のそれとの差が甚だしいから、昭和二十三年六月以前に退職した国家公務員恩給受給額を給與ベース改正に応ずるように増額せられたいというのであります。  この請願及び陳情につきまして、内閣委員会では、恩給局当局の出席を求めまして詳細な審査をいたしました。恩給局当局は、恩給制度は將来如何に変更せられましても、又恩給機構が今後内閣の手を離れて人事院の手に移るということがありましても、恩給受給者の既得の恩給権の尊重せられることは疑いがないということを言明しておつたのであります。次に、恩給法臨時特例につきましては、昨年の国会で恩給法等の一部を改正する法律が成立いたしまして、昨年の五月に公布せられました。それで二十三年の十二月分から国家公務員給與改訂せられましたので、この法律ではそれに応じて将来の恩給受給者の仮定俸給額も改訂せられたのであります。ところが、その後、物価の高騰に伴いまして国家公務員給與が本年一月分から更に改訂せられたのであります。これは諸君御承知通り、この給與改訂に応じまして恩給受給者の恩給改訂せらるべきものであるということは、これ又当然であるのであります。なお、恩給局当局の説明によりますると、この恩給額の改訂を見越しまして、昭和二十六年度一般会計予算におきまして約十五億円がそのために計上せられておるということであります。又恩給法臨時特例等の恩給法規改正案もこの国会に提出される予定になつておるのでありますから、すでに財源がここにきまつており、そうしてその法律案もすでに用意されておるという実情でありまするので、この陳情の趣旨は近く実現せられるものであると信ずるのであります。  内閣委員会におきましては、この請願陳情とを愼重に審査いたしましたが、これは極めて妥当なものと認めまして、これを本院の議決を経まして内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。  これを以て報告を終ります。(拍手
  31. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。これらの請願及び陳情委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔総員起立〕
  32. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。      ——————————
  33. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) この際お諮りして決定いたしたいことがございます。  地方行政委員長から、平衡交付金の配分と地方税收入等による府県の財政状態及びこれが地方自治の円滑な運営に対して與える影響について実地調査するため、福島県及び茨城県に小笠原三三男君、岩木哲夫君を、愛知県及び富山県に石村幸作君、西郷吉之助君を、明日より七日間、  郵政委員長から、郵政事業の運営実情を実地調査するため、愛知県及び三重県に大野幸一君、三木治朗君を、本月中三日間、大阪府及び京都府に柏木庫治君、中川幸平君、石坂豊一君を、本月中四日間、  予算委員長から、公共事業費の使用状況を実地調査するため、群馬県に佐多忠隆君、大島定吉君、櫻内義雄君、深水六郎君、東隆君、平岡市三君、山田節男君、菊田七平君を、栃木県に吉川末次郎君、岩間正男君、伊達源一郎君、石坂豊一君、藤野繁雄君を、本月二十四日より三日間、  決算委員長から、昭和二十三年度決算検査報告の非難事項を実地調査するため、廣島県及び山口県に岩男仁藏君、前之園喜一郎君を、山口県に仁田竹一君を、本月二十五日より七日間、香川県及び愛媛県に小林亦治君、村尾重雄君、千田正君を、本月二十六日より七日間の日程を以て、それぞれ派遣いたしたい旨の要求がございました。  これら二十八名の議員を派遣することに御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣の件は決定いたしました。      ——————————
  35. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 次に議員派遣変更の件をお諮りいたします。  一昨日決定いたしました食糧需給、農業倉庫、肥料、飼料及び森林関係等の実地調査のための議員派遣中、岩男仁藏君を三橋八次郎君に変更いたしたい旨、農林委員長から申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 佐藤尚武

    議長佐藤尚武君) 御異議ないと認めます。よつて議員派遣変更の件は決定いたしました。  次会の議事日程決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十八分散会 ○本日の会議に付した事件  一、佐々木良作君の質問に対する答弁  一、日程第一 両院法規委員辞任の件  一、両院法規委員補欠選挙  一、地域給に関する緊急質問  一、日程第二乃至第五の請願  一、日程第六の陳情  一、実地調査のため議員派遣の件  一、議員派遣変更の件