○
国務大臣(
大橋武夫君) 今回の
商法の
改正につきましては、これが従来の我が国の
会社制度から見まするというと、根本的な
改正でありまして、
改正の規模といたしましてはまさに画期的であると存ずるのでございますが、特にこの
改正法につきましては、その公布から
施行までの期間が、従来この種の
改正を実施いたしまする場合と比較いたしまして、非常に短かか
つた。それから又
内容におきましても株主の権利を著しく強化いたしておるという
ようなことから
考えまして、予定
通り七月一日から
施行するということが非常な経済界に混乱を生じはしないかという点はかねてから憂えられてお
つたところでございます。
政府といたしましては
改正法の
国会における
審議に際しましても、公布後これが
関係方面に対する周知徹底かたを強く要望せられておりましたので、この
法律の重要性に鑑みましてパンフレツトを頒布いたしますとか、或いは商工
会議所、
弁護士会、
関係官庁等に
内容の
説明をいたし、或いは呼び掛をいたし、全国に亘りまして主要都市約四十カ所において普及講演会を開催いたしまする等、でき得る限りその普及徹底に
努力を重ねて参
つた次第であります。と申しますのは、民間の実業団体におおきましても、すでに一昨年八月の
法律案要綱発表以来、
改正案について熱心な研究をなす
つておられるのでありまして、又学者研究家の
改正法に関する著書、論文等も頗る多数に上
つておるのでありまして、
改正法の趣旨並びに
内容、又これが運用について必要な知識等は一応普及滲透を見ておるものと
考えられるのであります。従いまして大体この案を、この
法律を
施行いたしまする際において、企業経営の
立場からい
つて如何なる点に混乱が生じて来るか、又それに対する対策としてはどういう点の留意が必要であるかという
ような点につきましても、或る程度経営者の諸君の間におかれましても御研究ができておる。こういうふうに
考えておる次第でございまするし、殊に
施行法の
立案に際しましては、でき得る限り既存の
株式会社が制度の改変によ
つてこうむりまする不便、不都合等を除去することに努めておる次第でありまして、これによ
つて我が国の産業界がどういう影響をこうむるか、無論多少困難を増大するという面もありますが、又一面におきましてこの
改正商法の利益、恩恵に浴するという面もあるのでございまして、かれこれ
考え併せまするというと、この
法律を実施したことによ
つて我が国の産業に対して非常な悪影響をもたらすということは十分に予防できるというふうに
考えておる次第でございます。又この
法案の主たる動機が外資の導入であるかという御質問でございまするが、特に外資の導入ということを最大の理由として本案の
施行が必要であるというふうには
考えておらないのでございまして、やはり今日の世界経済並びに
日本の経済の新らしい環境という
ようなものを
考え合せまして、時代の趨勢としてやはりその
ような
改正が必要であろう、こういうふうに
考えておる次第であります。なおこれが公布より
施行までの間の
準備期間というものが比較的短かか
つたのでありまして、これを延長するということは産業界、経済界の受入れ態勢を一層十分にする上から申しまして必要であると存じましたので、
政府といたしましても或る程度この実施の延期を希望いたしまして、できるだけの
努力はいたしたのでありますが、併し
関係方面等の意向もございまして、
原則的にこれが
施行することにつきましてはやはり七月一日ということに相成
つたわけであります。