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1951-05-17 第10回国会 参議院 法務委員会 第15号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十六年五月十七日(木曜日) 午前十時四十五分開会 ――
―――――――――――
委員
の異動 五月十六日
委員齋武雄
君辞任につき、 その補欠として二輪貞治君を議長にお いて指名した。 ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
○
会社更生法案
(
内閣送付
) ○
破産法
及び
和議法
の一部を改正する
法律案
(
内閣送付
) ○
住民登録法案
(
衆議院提出
) ――
―――――――――――
鈴木安孝
1
○
委員
長(
鈴木安孝
君) 只今より
委員会
を開きます。 本日は先ず
会社更生法案
を議題といたします。本案につきましては、すでに
提案理由
の
説明
を聴取いたしたわけでございますが、更に
政府
より詳細の
説明
を聽取したいと思います。
野木新一
2
○
政府委員
(
野木新一
君) それでは
会社更生法案
につきまして概略の御説明を申上げます。
法務総裁
からこの
法案
の骨子となるべき点について説明をせられましたが、私からは先ず
手続
を追
つて
一応概略を御説明し、それからお手許に配付してございまする
会社更生法案要綱
というものに基きまして、この
法案
の一番重要な点を別の観点から御説明申上げたいと思います。そうすればこの大きな
法案
の仕組がよく御了解願えることになるのではないかと存ずる次第であります。 先ずこの
会社更生手続開始
の原因といたしましては、
会社
はその
事業
の継続に著しい支障を来すことなしには
弁済期
にある債務を弁済することができないとき、又は
会社
に
破産
の原因たる事実の生ずる慮れがあるときでありまして、このような場合には
会社
から
裁判所
に
更生手続開始
の
申立
ができることにして、商法の
会社
の整理よりも更に原因を広くしているのであります。なおこの説明はお手許に配付してありまする
会社更生法案
の要旨というのに大体則
つて
おります。なお
会社
に
破産
の原因たる事実の生ずる慮れがあるときは、
会社自身
のほか、資本の十分の一に当る金額若しくは百万円以上の
債権
を有する
債権者
、又は
発行済株式
の十分の一以上の株式を有する
株主
も
申立
をすることができるようにいたしております。 次に
手続
が
開始
されますと、
裁判所
は
管財人
を選任するのを
原則
とするのでありまするが、
会社
の債務の額が少いときは選任をしなくてもよく、又
管財人
が選任されますと、
会社
の
事業
の経営並びに
財産
の
管理
及び
処分
をする権限は
管財人
に專属ということにな
つて
おります。
管財人
は一人又は数人置かれ、銀行又は
信託会社
でも
管財人
となることができ、又
管財人
を置かないときは、別に
審査人
というものを置いて
会社
の
業務
の
監督等
をさせることもできることにな
つて
おります。 次に
更生手続開始
の
決定
がありますと、
破産手続
は中止し、
会社財産
に対しされている
強制執行
とか
競売手続
などは
原則
として中止し、
会社
の
財産関係
の
訴訟手続
は中断し、
和議手続
、
整理手続
、
特別清算手続
はその
効力
を失うことにいたしております。 次に
会社
の
債権者
とか
担保権者
は、
裁判所
の定める一定の期間内に
届出
をして
手続
に参加することになるのでありますが、
届出
のあつた
債権
及び
担保権
につきましては、期日を開いてその調査を行い、
管財人
、
届出
をした
債権者
、
担保権者等
に異議がないときは、その
債権
及び
担保権
は確定するわけであります。異議のあるものは訴訟によ
つて
確定し、この確定した
債権
又は
担保権
を有する者だけがこの
更生計画
においてその
権利
を認められる、そういう仕組にな
つて
おります。 次に
株主
も
裁判所
の定める期間内に
届出
をして個々に
手続
に参加して
議決権
を行使することができるわけでありますが、この
更生計画認可
の結果、
株主
に
権利
が認められるときは、
届出
をしない
株主
もその
権利
の分配に與れることにな
つて
いるわけであります。 次に
更生手続開始
後の
手続
でありますが、
更生手続
が
開始
されますと第一回の
関係人集会
が開かれます。この集会では、
管財人
又は
審査人
の選任、
会社
の
業務
及び
財産
に関する事項などにつきまして
関係人
の意見を聞き、
会社
今後の
管理
の方針について審査をいたします。この第一回の
関係人集会
が済みますと、
更生計画
の立案にかかるわけでありますが、
管財人
がある場合には、
管財人
が、
管財人
がない場合には、
裁判所
の命令があるときは
審査人
、その他のときは
会社
が義務的に
計画案
を作成しなければなりません。併し
債権者
や
株主
も
更主計画案
を作成して
裁判所
に提出することができる、そういうことにしております。
更生計画案
の提出がありますと、
裁判所
は、第二回目の
関係人集会
を開いてその案を審理し、その結果修正を要するものは修正を命じ、更に第三回の
関係人集会
を開いてこれを決議に付することになります。而してこの決議のための集会におきましては、
届出
をした
債権者
、
担保権者
及び
株主
は、その
権利
の性質と
内容
によ
つて裁判所
が分類した組に分れまして別々に決議をすることになります。そして可決の要件といたしましては、
担保権者
につきましては
議決権
の総額の四分の三以上、
債権者
につきましては同じくその三分の二以上、
株主
につきましてはその
議決権
の総数の過平数を要する、そういうことにしております。 このようにして可決された
更生計画案
を、
裁判所
は、独自の判断で審査して、法定の要件を備えていると認めるときは、
認可
の
決定
をすることになります。
更生計画認可
の
決定
がありますと、
計画
によ
つて
認められた
権利
及びこの法律で認められた
権利
を除いて、
会社
は、すべての債務から免責されることになります。
更生計画認可
の
決定
により、
計画
はその定める
条項
に
従つて実行
に移されるわけでありますが、この場合
計画
の確実、迅速な遂行を図るため必要な限度で、商法その他の法令及び定款の規定の適用が排除されることにしております。
計画
は、その
実行確保
のため、できる限りこの
手続
中において遂行するものとし、
計画
が遂行されたか又は遂行される確実な見込がついたときに、初めて
裁判所
は
更生手続終結
の
決定
をし、
会社
は
裁判所
の監督を離脱することになります。 次に
更生計画
の
内容
としてはあらゆる形態のものができることとし、例えば、
債権者
、
株主
の
権利
の変更、営業若しくは
財産
の讓渡、出資若しくは賃貸、
事業
の経営の委任、定款の変更、
取締役
、
監査役等
の選任、資本の減少、新株若しくは社債の発行、合併、解散又は新
会社
の
設立等
について定めをすることができることにしていますが、
計画
の条件には、
債権者
、
担保権者
及び
株主
のそれぞれの
権利
の性質によりその間に公正、衡平な差等を設けなければならず、また
計画
の条件は、同じ性質の
権利
を有する者の間では
原則
として平等でなければならないものとしております。 以上が大体
手続
の進行の工合に
従つて
の概略の説明であります。 次にお手許に配付しておりまする
会社更生法案要綱
に基きまして別の観点からこの案の
内容
を御説明申上げます。 先ず要綱の第一点でありますが、これは法律の目的を定めたものであります。時間の
関係
で多少簡單に説明をいたしておきますが、第二は、これはいわゆる
会社更生
に関する
外国人
及び
外国法人
の地位を定めたものでありまして、
無条件平等主義
を採用していることを現わしているものであります。第三は
更生手続開始
の
国際的効力
について定めたものでありまして、いわゆる
属地主義
を採用し、
和議法
、
破産法
の例にならつたものであります。 第四は
更生事件
の
管轄裁判所
を定めたものでありまして、
会社本店
の
所在地
を管轄する
地方裁判所
が管轄するということにしておりますが、特別の場合には、職権で事件を
会社
の他の
営業所
又は
財産
の
所在地
を管轄する
地方裁判所
にも移送できるという規定を、条文の上では設けております。 第五から第七までは、
更生手続
に適用すべき
手続
的な
原則
をきめたものでありまして、これらはいずれも
和議法
の例にならつたものであります。 次に第八から第十二まででありますが、これは
更生手続開始
前の
手続
について定めたものであります。第八及び第九は
更生手続開始
の原因とその
申立権者
を定めたものであります。先ほどもちよつと触れましたが、要するに
会社
に
破産
の原因たる事実の生ずる慮れのある場合に、
会社自身
のほか、要綱の第九に定めた
債権者
又は
株主
から
申立
をすることができ、又
会社
及び
事業
の継続に著しい支障を来たすことなぐ、
弁済期
に弁済することができない場合、この場合に
会社自身
から
手続開始
の
申立
をすることができる、そういうことにな
つて
おります。初めの方の概念は、商法において
会社
の整理の
行使権
として規定されておるものとほぼ同様であります。あとの「
会社
は
事業
の継続に著しい支障をきたすことなく
弁済期
にある債務を弁済することができない」という概念は、アメリカの
連邦破産法
で、
会社更生手続
で認められているところと大体同様であります。その意味は
会社
が
弁済期
にある債務を弁済するには、その
事業
の継続に欠くことのできない
営業用
の
固定財産
を
処分
しなければならないような場合を考えおるわけであります。なおこの
会社
が
申立
をする場合には、通常の
業務執行
の場合と同様に
代表取締役
が
取締役会
の決議に基いてする、そういうことになります。 次に第十でありますが、
更生手続
の
開始
の
申立
があつた場合における
裁判所
による
手続
の
中止命令
について定めているわけであります。
訴訟手続
とか破
算手続
、
和議手続
、
強制執行等
のほか、
租税滞納処分等
の
訴訟手続
の中止を命ずるという強い権限が
裁判所
に認められております。但しこの
租税滞納処分等
の
中止命令
は二カ月で失効するということにな
つて
いるのでございまして、
租税等
について他の
手続
とは特別の取扱をいたしております。 次に第十一は、
会社
の
業務
及び
財産
に関する
保全処分
について定めたものでありまして、
破産法
や
和議法
などについて
保全処分
が認められているのと同様の理由に基くものであります。 次に第十二は
調査委員
に関する規定であります。
調査委員
はその任務が、
和議
における
整理委員
の
和議開始
前の任務に似ておりますが、それと違う点は
整理委員
のような必須の機関ではないという点であります。 次に第十三は、
更生手続開始
の
申立
を棄却すべき場合について定めたのであります。
申立
が適法であり、且つ第八及び第九に掲げるような
更生手続開始
の原因があ
つて
も、この第十三に掲げるような一定の事由がある場合には
更生手続
を
開始
すべきでないので、
裁判所
はこの場合には
申立
を棄却しなければならないことにいたしたわけであります。 次に十四から十六まででありますが、これは
更生手続開始
の
効力
の最も重要なものの一つである
管財人
の設置と、
会社
の
事業
の経営並びに
財産
の
管理
及び
処分
の権限について定めたのであります。
更生手続開始
後は
管財人
が設置されるのを
原則
といたしますが、比較的小規模の
手続
につきましては費用の
関係
もありますので、
管財人
の選任の必要なければこれを選任しなくてもいいことにいたしております。 次に第十七でありますが、これは
更生手続開始決定
の他の
手続
に及ぼす
効力
について定めたものであります。
更生手続
を円滑に進めて行くことができるようにするためには非常に強い
効力
を認めたわけであります。
租税滞納処分等
はあまり長く制限することは適当でありませんので、
決定
の日から六カ月間中止し、必要があればまだ三カ月間だけその期間を伸長することができることといたしまして、その後は
徴収権者
がその本来の権限によ
つて
処置することができることにいたしました。
更生手続開始決定
によ
つて和議手続
、
整理手続
、
特別清算手続等
の競合的な
手続
は
効力
を失いますが、
開始決定
によ
つて
中止した
破産手続
、
強制執行
、
競売手続等
は、
更生計画認可決定
があつたときにその
効力
を失うことにな
つて
おります。 次に第十八は、
更生裁判所
に、他の
裁判所
に係属中の
会社
の
財産関係
の訴訟の移送を求める権限を詰めたものであります。それらの訴訟を
更生裁判所
に集中して、
更生手続
を能率的に進めて行くことができるようにするためのものであります。 次に十九は、
更生手続開始
後の取戻権及び
相殺権
について定めたものであります。大体において
破産法
及び
和議法
の例になら
つて
おりますが、
相殺権
は、
更生手続
が
事業
の
維持更生
のための
手続
である
関係
から、
破産法
及び
和議
の場合よりも制限されております。 次に第二十でありますが、これは
会社
の発起人、
取締役
その他に対する
損害賠償請求権等
の査定の
手続
について定めたものであります。
更生手続開始
の場合には、このような
簡易手続
を認めることが多いと思われますので、商法の
会社
の整理において認められている査定の
手続
にならつたものであります。 次に第二十一は
否認権
について定めたものであります。
否認権
の
内容等
は
破産法
の
否認権
の場合と大体同じでありますが、
管財人
が置かれていないときには、
更生債権者
及び
更生担保権者
にその
権利
の行使を認めたこと、及びその行使の方法として、通常の訴の方法のほかに
簡易手続
を認めたことなどが異な
つて
おります。 次に第二十二から第二十五までは
管財人
について定めております。第二十二及び第二十三は
管財人
の資格について定めました。
管財人
は
会社
の
業務
及び
財産
の
管理
をし、又
更生計画案
の作成及び遂行に当るものでありますから、
事業経営
の
知識経験
を有する者が適任であります。又
利害関係
のないものであることを
原則
といたしますが、数人の
管財人
を選任するときはそのうちの一人は、その
会社
の
取締役等
の
利害関係
のある者でもいいことといたしました。
会社更生
の成否は
管財人
の手腕にかかることが多いので人選には愼重を要するものと思います。法人でも
信託会社
、銀行のうちには、
管財人
として適当なものがあるので、これを
管財人
に選任できることにいたしました。 第二十四は
管財人代理
について定めました。
管財人代理
は費用の前拂と報酬を受けることができることにな
つて
おります。 第二十五は
管財人
の
注意義務
について定めました。
破産管財人
の
注意義務
と同様でございます。 次に第二十六から三十までは、
更生債権
及び
更生担保権
についての規定を設けました。第二十六は
更生債権
の意義を定めました。第二十七は
更生手続開始
当時、
当事者双方
がまだ共に履行を完了していない
双務契約
についての
解除権
と、その解除の効果について定めました。ほぼ
破産法
の規定になら
つて
いるものであります。第二十八は
更生担保権
の意義を定め、更に第二十九は
担保附債権
のうち、実質上その
担保権
によ
つて
担保されていない部分の
権利行使
について定めたものであります。
従前破産手続
におきましても別条件として取扱われて来た
担保権
は、
更生手続
が
開始
されるとこの
手続
によ
つて
のみ行使が許されたることになります。
担保権
を除外しては
会社
の
更生
が困難なことが多いから、
担保権
をもこの
更生手続
に書入れたわけであります。次に第三十は
更生債権
及び
更生担保権
の弁済の
禁止等
について定めました。併し
国税徴収法
、又は
国税徴収
の例によ
つて
徴収することができる
租税等
の
請求権
につきましては、例外の場合を認めております。 次に第三十一から第四十一までは、
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
更生手続
の参加について定めております。第三十一は
更生手続参加
のための
届出
について定めたものであります。
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
は
更生手続
に参加して、
関係人集会
において
議決権
を行使する等、それぞれ
権利
を行使するためには
届出
をしなければならないことにいたしました。第三十二は
更生債権者表
、
更生担保権者表
及び
株主表
について定めました。これらの表にはその
権利
に関する重要な事項を記載させこれに一定の
効力
を認めることにいたしました。第三十三から第三十五までは
更生債権
及び
更生担保権
の調査及びその
確定手続
について定めました。これらの
権利
は
更生手続
において調査、確定すべきものといたしまして、その
確定手続
はおおむね
破産
の場合における
破産債権確定手続
の例に従うことにいたしました。併しいわゆる有
名義債権
でなくても
管財人
に異議のない
権利
につきましては、異議を述べた者から訴を提起しなければならないものといたしまして、
異議権
の乱用の防止を
図つた点等
が異な
つて
おります。次に第三十六は
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
組分け
について定めました。これらの
権利者
は、それぞれその
権利
の性質及び利害の
関係
が異な
つて
おりますので、これを組に分けて
更生計画案
の作成及び
手続
に便ならしめることにいたしました。第三十七は
更生計画
から除外できる
更生債権者
及び
株主
について定めたものであります。
会社
の
財産
を
事業
が継続できるものとして評価して、清算したものと仮定した場合において、
債権
の弁済又は
残余財産
の分配を受けることができないような者は、
更生手続
に参加する実質上の
権利
を有しないということができますから、
更生手続
から除外することにいたしました。このような者は又
更生計画案
の
議決権
をも有しないことにいたしたのであります。第三十八は
更生債権
及び
更生担保権
のうち、
租税等
の
請求権
についての特則を定めました。そのうち
国税徴収法
又は
国税徴収
の例によ
つて
徴収することができる
租税等
の
請求権
は、国又は
地方公共団体等
の財政の基礎をなすものでありますから、徴収の権限を有する者、例えば
税務署長
の同意なくしては、
更生計画
においてその
権利
に影響を及ぼす定めをすることができないことにいたしました。第三十九は
代理委員
について定めました。
更生手続
には多数の
利害関係
の異なる
権利者
が参加して、而も
更生計画案
の作成及び決議のために相互に折衝を行うようなことが多いのであり、利害を同じくする一群の者は、その者の間から数人の
利益代表者
を選任して、或いは共同して特定の第三者を選任し、その者に
権利
を代
つて
行使させる等して、
手続
の円滑な進行を図ることができるようにする必要がありますから、このような
代理委員
の制度を設けることにいたしたわけであります。次に第四十及び第四十一は
社債権者
について定めたものであります。第四十は、この
手続
におきましては
社債権者
を集団的に取扱うということは不適当でありますから、この第四十に定めたようにいたしたものであり、又第四十一は、零細な
社債権者等
で、みずから
手続
に参加する熱意に欠ける者の利益を保護するために考えたものであります。 次に第四十二から第四十五までは
関係人集会
に関する定めであります。第四十二は
関係人集会
のことを定めました。
関係人集会
は
関係人
の
更生手続参加
のための機関で、
裁判所
が招集し指揮します。
裁判所
が相当と認めるときは
関係人集会
並びに
更生債権
及び
更生担保権調査
の各期日を併合することができます。第四十三から第四十五までは
関係人集会
における
議決権
について定めております。
更生債権者
及び
更生担保権者
は、
原則
として
更生債権
及び
更生担保権
の額に応じて
議決権
を有しますが、
更生手続開始
当時期限の到来していない
無利息債権
を有する
更生債権者等
の
議決権
につきましては、特則を設けております。
会社
が
破産状態
にあるときは
株主
には
発言権
を認めるべきではありませんから、
議決権
を有させないことにいたしました。
議決権
の額文は数の
決定方法
は
破産
における
強制和議
の
手続
に準じました。
更生手続
の機会に乗じて不当な利益を得ようとすることは許すべきことではありませんから、そのような目的で
権利
を取得した者には
議決権
を行使させないということができることにいたしたのであります。 第四十六から第五十七までは
更生手続開始
後の
手続
について定めました。第四十六は
会社
の
業務
及び
財産
の
管理状況等
を
裁判所
に報告すべきことを定めました。
財産目録
及び
貸借対照表
も作成してその謄本を
裁判所
に提出すべきものとしております。なお
裁判所
に提出された書類は
利害関係人
の閲覧に供されます。第四十七と第四十八は、
管財人
が置かれない場合の
更生事務
の処理と、これに伴う
会社
の責任について定めました。
管財人
がないときは、
会社
は
裁判所
の監督の下に本来
管財人
が処理すべき事務である
更生事務
を処理いたします。
会社
の
注意義務
は
管財人
と同一でありまするが、
注意義務違反
の責任は、
会社自身
のほか任務を怠つた
取締役
も負うものといたしております。第四十九は、
業務
及び
財産
の
管理方法
の変更について定めました。事情に応じて適当な
管理方法
をとることができるようにしたものであります。第五十は
審査人
のことを定めております。
管財人
を置くまでの必要はないが、
会社
のみに
更生事務
の処理を任せることも不適当なような場合に、
審査人
を選任して
裁判所
の命ずる事項を行わせることができることとしました。第五十一は
法律顧問
について定めました。
更生事務処理
につきましては
法律知識
を要することが多いから、常設の
法律顧問
を置くことができることにいたしました。なお
法律顧問
は費用の前
拂及び報酬
を受け面ことができることにな
つて
おります。第五十三及び第五十三は
更生計画案
の立案及び提出について定めました。第五十二に定める者は義務的に
計画案
を作成、提出しなければなりません。第五十三に定める者はそのような義務はありませんが、
権利
が認められております。広く良案を求める趣旨であります。第五十四は
更生計画案
の排除について定めました。
計画案
の提出がありましてもそれが結局において
認可
できないようなものでありますれば、それについて
手続
を進めても無駄でありますからこのようにいたしたのであります。なお
裁判所
は案の修正を命ずることもできることにな
つて
おります。第五十五は
更生計画案可決
の要件について定めました。
権利者
の頭数は考慮しないことにいたしております。第五十六及び第五十七は
共益債権
について定めました。第五十六に掲げるものは本来の
共益債権
ともいうべきもの、第五十七に掲げるものは、公益上の
理由等
から特に
共益債権
として取扱うべきものについて定めたものであります。使用人の
給料請求権等
についてこのような取扱をするのは、
更生手続
においては特にこのような
請求権
を保護する必要があるからであります。 第五十八から第六十までは
更生計画
の
内容
について定めました。第五十八及び第五十九は
更生計画
の
条項
について定めてあります。第五十八は
更生計画
の
必要的条項
でありまして、このような
条項
を欠く
計画
は不適法となります。第五十九は
任意的事項
でありまして、このような
条項
は必ずしも定めなくてもよいのであります。併し
任意的事項
でありましても、そのうちの一定の
条項
、例えば新
会社
の設立に関する
条項
を定める場合には一定の要件を備えなければならないことといたして、
計画
の
内容
の明確を期し、併せて
計画遂行
の場合における他の法令の適用の排除を可能ならしめるようにいたしました。第六十は
更生計画
の条件についての定めであります。
更生計画
には異
なつ
た
権利
と利害を有する者が参加しておりますので、これを無差別に取扱うことは下都合を生ずることになります。そこで
更生計画
においては、
更生担保権
、次に一般の
先取特権
その他一般の
優先権
のある
更生債権
、次に以上の以外の
更生債権
、次に
更生手続開始
後の
劣後的更生債権
、これは法人の
破産
の場合と同様に
劣後的債権
といたしております。次に
残余財産
の分配に関し
優先的内容
を有する種類の
株主
の
権利
、次にそれ以外の
株主
の
権利
というような順位を考慮して、
計画
の条件に公正、衡平な差等を設けなければならないことといたしました。その結果、例えば
株主
の
権利
よりも
債権者
の
権利
を不利に取扱うような
計画
は不適法となります。又同じ性質の
権利
を有する者の間では、
計画
の条件は平等であるのを
原則
としますが、少額の
債権等
につきましては特別の取扱をしても衡平を害しない限り差支ないことといたしてあります。 次に第六十一から六十九までは
更生計画
の
認可
及びその
効力
について定めました。第六十一は
更生計画認可
の要件について定めております。
計画案
が可決されたときは、
裁判所
は更にその案が
計画
として法定の要件を具備しているかどうかを改めて審査して、要件を満たしていると認めた場合に限りて
認可
の
決定
をすることができるのであります。第六十二は
計画
に不同意の組のある場合の定めであります。
計画
に不同意の組があるときでも、
計画
の
内容
においてその組の者の
権利
が保護されているときは、その同意を得なくても
計画
を
認可
できることといたしまして、
計画
の成立を容易ならしめることといたしたのであります。なおあらかじめ不同意が明らかなときには、当初からその組の者を除外して決議することもできることといたしました。第六十三は
更生計画
の
効力
発生の時について定めました。
計画
認可
の上は速かに遂行する必要がありますので、確定を待たず
効力
を生ずることといたしました。第六十四は
更生計画
の
効力
の及ぶ範囲について定めました。
更生手続
に参加しない
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
にも
効力
が及ぶことになるわけであります。第六十五から第六十七までは、
更生計画
による
更生債権者
、
更生担保権者
及び
株主
の
権利
の変更について定めております。
届出
をしなかつた
債権
、
届出
をしても異議があつたにかかわらず
確定手続
をとらなかつた
債権等
につきましては、
会社
は
計画
認可
の
決定
があつたときにその責任を免れることになります。
株主
は
手続
に参加しなくても、その
権利
に対する分け前には與ることになります。第六十八は、
更生手続開始
によ
つて
中止した
手続
の失効について定めています。
更生計画
の
認可
決定
後は、これらの
手続
は存続させる必要がなく、却
つて
計画
の遂行に支障を来すことになるからであります。第六十九は、
更生計画認可決定
確定後の
更生債権者表
及び更正
担保権者
表の記載の
効力
について定めました。確定した
権利
についてのこれらの表の記載は確定判決と同一の
効力
を有し、
更生手続
終了後はこの表に基いて
会社
等に対し
強制執行
ができることになるわけであります。 第七十及び第七十一は
更生計画
遂行の責任者について定めました。
管財人
があれば
管財人
が
計画
の遂行に当ります。
管財人
がないときは
会社
みずからが遂行に当りますが、
裁判所
が
整理委員
を選任したときは
整理委員
がこれに当るのであります。
計画
によ
つて
新
会社
を設立するときは、これらの者が発起人又は設立委員の職務を行うわけであります。 第七十二は、
更生計画
の遂行に関する
裁判所
の命令について定めました。この命令に違反した者は過料に処せられることにな
つて
おります。 第七十三条は、更正
計画遂行
の場合における他の法令の適用の排除について定めております。
更生計画
の遂行を円滑迅速にするため、例えば商法の規定によれば、本来
株主
総会の決議を要する事項でも、更正
計画
に記載されその
計画
が
認可
されたときには、
株主
総会の決議を経なくても適法にこれを遂行することができるようにいたしました。又例えば
計画
において
更生債権者
、
更生担保権者
又は
株主
に対し、新たに拂込又は現物出資をさせないで株式を引受けさせることによ
つて
新
会社
を設立することを定めたときは、新
会社
は通常の
会社
設立の方法によらず、單に定款を作成し、
更生裁判所
の認証を得た後設立の登記をしただけで成立するものといたしました。なお税法の特例としては、
更生手続
による
会社
の
財産
の評価換又は債務の消滅があつた場合における法人税の軽減、
更生手続
においてする登記登録についての登録税の減免等について定めております。 第七十四は、
計画
によ
つて
新たに
会社
又は新
会社
の
株主
又は
社債権者
と
なつ
た者の失権について定めました。三年間も株券又は債券の交付を請求しないような者は、これを失権させて従来の
権利
関係
を整理し、
会社
又は新
会社
の
更生
を容易ならしめようとするものであります。なお従前
株主
又は
社債権者
であつた者が、新株券又は新債券の交付を請求するには、
原則
として従前の株券又は債券を提出しなければならないこととしております。 第七十五は
更生計画
の変更について定めております。
更生計画
の
認可
決定
後やむを得ない事由によ
つて
計画
をそのまま遂行することができなく
なつ
たが、
計画
を変更すれば遂行が可能になるような場合、
計画
の変更を許して、
更生
の失敗によ
つて
生ずる無駄を省くことができることにいたしました。 第七十六は
更生手続
の終結について定めています。
更生計画
の遂行を確実にするため、
計画
が遂行されたか、又は遂行されることが確実と認められるようにな
つて
初めて終結
決定
をすることができることといたしました。 第七十七から八十までは
更生手続
廃止について定めています。そのうち第七十七から第七十九までは
更生手続
廃止の
決定
をすべき場合を定めました。第七十七と第七十八はいずれも
更生計画認可決定
前の場合で、第七十七は
更生計画
が成立しなかつた場合、第七十八は
更生
の必要がなく
なつ
た場合であります。第七十九は
計画
認可
後の遂行不能の場合であります。第八十は、
更生手続
廃止の
決定
確定後の
更生債権者表
及び
更生担保権者表
の記載の
効力
について定めています。一定の範囲内で確定判決と同一の
効力
を認め、又は
強制執行
ができることといたしました。
更生手続
において適法に確定されたものである以上当然であります。 第八十一から第八十六まではその他の点について定めております。第八十一と第八十二は、
破産
宣告前の
会社
について
開始
された
更生手続
が不成功に終つた場合における
破産手続
及び
和議手続
との
関係
について定めています。
更生手続開始
の原因は
破産
原因より広いので、
更生手続
が失敗しても必ずしも
破産手続
に移行しないのは当然であります。
破産手続
又は
和議手続
に移る場合は
更生裁判所
が破算
裁判所
又は
和議
裁判所
となります。第八十三と第八十四は報酬及び報償金に関する定めであります。第八十三に掲げる者は当然に費用の前拂と報酬を受けることができます。但し
裁判所
の許可なくして
会社
の株式を売買する等の行為があつたときは、費用及報酬の支拂を受けることができません。第八十四は、ここに掲げる者が特に
更生
に貢献した場合のことであります。報酬を支拂うべき者にはその職務と責任にふさわしい十分な報酬を支拂い、
更生
に貢献した者には報償金を支拂うというようにいたしまして、この面からも
手続
が円滑に進むように考慮しております。第八十五は行政庁の
更生手続
への関與について定めております。
更生手続
は
関係
行政庁の密接な協力を得て行われなければ目的を達することが困難なので、
関係
行政庁に対し
更生手続
の進行について通知し、又
更生計画
について意見を述べさせること等してこれを
手続
に関與させることにいたしております。第八十六は罰則についてであります。
破産法
、
和議法
等の例に準じて規定を設けました。 以上で大体
会社更生法案要綱
の御説明を終ります。 ――
―――――――――――
鈴木安孝
3
○
委員
長(
鈴木安孝
君) 次に
破産法
及び
和議法
の一部を改正する
法律案
について
政府
の逐条
説明
を伺います。
野木新一
4
○
政府委員
(
野木新一
君)
破産法
及び
和議法
の一部を改正する
法律案
につきまして、お
手許
に配付しておりまする印刷に基きまして逐条
説明
をいたします。 先ず
破産法
の改正から申上げます。第六条第三項、これは昭和十年
法律
第十五号民事
訴訟
法中改正
法律
により同法第五百七十条に第二項及び第三項の
規定
が追加せられ、従前の第二項の
規定
が第四項に繰り下げられたのでこれに伴う
整理
をしたものであります。第十八条から第二十一条まで、今回免責制度を採用する
関係
上、これらの条文に掲げる
債権
の全額を
破産
債権
として
取扱
う必要があるのでこれを削除することにいたしました。なお第二十条後段の定期金
債権
については、
債権
額と評価額との間の差額の観念が認められるかどうかについて疑いがあつたので、これを第二十二条後段に移すことにいたしました。第二十二条の改正は、第二十条後段の
規定
を本条後段に移しかえたものであります。第三十八条は、免責制度を採用する
関係
上、本条に掲げる
請求権
を全部
破産
債権
として
取扱
う必要があるので改正することにいたしました。右の
請求権
中
破産手続
参加
の
費用
についてだけ積極的な
規定
を置くことにしたのは、その他の
請求権
は、元来
破産
債権
即ち
破産
宣告前の
原因
に基いて生じた
財産
上の
請求権
だからであります。第四十六条、第十八条から第二十一条までを削除し、第三十八条を改正することとしたことに伴い、ここに掲げる
請求権
を劣後的
破産
債権
とすることにいたしました。改正条文の第五号から第七号までの
規定
は、
債権
額と第十八条から第二十条前段までの
規定
により定まる額との差額の
請求権
を直接的に表現したものにすぎません。第五十二条、これは第十八条から第二十一条までの
規定
を削除することとしたことに伴い法文の
整理
をしたものであります。第百二条、これも第十八条から第二十条までの
規定
を削除することとしたことに伴い法文の
整理
をしたものであります。 第百五条、第百六条及び第百七条第一項の改正、
裁判所
法の施行により区
裁判所
が廃止されると共に、右各条の
規定
は、
裁判所
法施行令により「区
裁判所
」とある部分を「
地方裁判所
」と
変更
して
適用
せられていたのでありますが、今回その字句を
修正
したものであります。第百十三条、
裁判所
法の制定及び民事
訴訟
法の改正により、
破産
事件
の抗告
裁判所
は高等
裁判所
となり、抗告
裁判所
の
決定
は、最高
裁判所
に対する特別抗告の有無にかかわらず直ちに確定することと
なつ
たので、本条を削除することにいたしました。第百十六条本条中「出張所」とあるのは法文上
地方裁判所
の出張所と解するほかないのでありますが、現在
地方裁判所
の出張所は、全国に一カ所しか設置されてないので、「出張所」が
裁判所
法施行前は区
裁判所
の出張所を指していたものであることから考え、これを簡易
裁判所
に改めた。「市役所、町村役場」を改めたのは、地方自治法の制定に伴う字句の
修正
であります。 第百三十三条第一項、「産業組合」を削ることとしたのは、産業組合法が消費生活協同組合法第百三条によ
つて
廃止せられたからであり、「
株式
合資
会社
」を削ることとしたのは、
商法
の一部を改正する
法律
によ
つて
株式
合資
会社
に関する
規定
が削除されることと
なつ
たからであります。「相互保險
会社
」を「相互
会社
」に改めたのは保險業法の用語と一致させることとしたものであります。第百四十六条、保險業法の改正
法律
により相互
会社
の社員の
責任
は、すべて保險料を限度とする有限
責任
とすることに改められ、又組合員が無限
責任
又は保証
責任
を負担する産業組合その他の
法人
は、すべて
関係
法律
の改廃によ
つて
もはや存在しないので条文の
整理
をしたものであります。第百四十九条第二項、第百五十一条第二項、これは警察法の制定に伴い法文の
整理
をしたものであります。 第百八十一条、改正
法案
第四十六条に掲げる劣後的
破産
債権
に属するものは、従来その
届出
のあつた事例は極めて少く、又これらの
債権
に
議決権
の
行使
を認める実益も少いので、
手続
を簡易にするため第五項を設けたわけであります。第百八十六条第一項、第百八十七条、第百八十八条、これらは「
裁判所
書記」は、
裁判所
法等の一部を改正する
法律
の施行により「
裁判所
書記官」と読み替えられていたものであり、「執達吏」は
裁判所
法施行令により「執行吏」と読み替えられていたものであるが、今回その字句の
修正
をすることにいたしました。第百九十七条、経済事情の変動に応じ金額を
修正
したものであります。 第二百七条後段、保險業法第三十六条第二項において、相互
会社
の基金の拂込について準用している株金の拂込に関する
商法
第百七十七条第一項の
規定
は、
商法
の一部を改正する
法律
によ
つて
改正せられた結果、相互
会社
の基金についても一時に全額の拂込を要することと
なつ
たのでありますが、他面右改正
法律
附則第六条は、同改正
法律
施行の際すでに
設立
されている相互
会社
の基金の支拂については、なお従前通り分割支拂の
方法
を認めているので、本条後段の
規定
は一応現在でも
適用
の余地があるはずであるけれども、現存の相互
会社
には基金の未拂にな
つて
いるものがなく、本条後段の
適用
をみることがないのでこれを削除することにいたしました。第二百八条から第二百二十四条まで、第百四十六条について
説明
した通り、無限
責任
又は保証
責任
の相互
会社
、産業組合その他の
法人
は現存しないのでこれに関する
規定
を削除することにいたしました。 第二百二十八条第一項、第二百二十九条、第二百四十条第一項、第二百四十一条第二項、現行法では、改正
法案
第四十六条に掲げる
請求権
は
原則
として
破産
債権
とされていないのであるが、先に述べた通り今回これを劣後的
破産
債権
とすることとしたので、現行法が
破産
債権
のうち
一般
の
先取特権
その他
一般
の
優先権
のあるものにつき、その
権利
の
届出
及び
債権
表への記載を必要とし、且つ、
債権
調査
の
期日
に
異議
がないときは、その
優先権
も確定することとしていることに対応して、劣後的
破産
債権
についてもその
届出
及び
債権
表への記載に当
つて
はその区分を明確にすべきこととしたほか、
債権
調査
の
期日
に
異議
のないときは
劣後的債権
の区分も確定することとしたわけであります。「
裁判所
書記」について字句の
修正
をしたのは、第百八十六条第一項において
修正
したのと同趣旨であります。 第二百四十五条但書本条但書を削除したのは、
破産
事件
の
管轄裁判所
が
地方裁判所
に改められた結果、本条但書の
規定
を存置する必要がなく
なつ
たからであります。第二百五十三条附帶私訴の制度は、刑事
訴訟
法を改正する
法律
によ
つて
なく
なつ
たので本条を削除することとしたのであります。第二百五十四条第一項、第三十八条及び第四十六条を改めたことに伴い法文の
整理
をしたものであります。第二百五十五条第一項「行政
訴訟
」という用語はもともと行政
裁判所
の裁判権に属する
訴訟
を意味するものであ
つて
、日本国憲法施行後においてはこのような意味の「行政
訴訟
」は存しないから字句の
修正
をすることとしたのであります。第二百五十八条第二項第二百二十八条第一項及び第二百二十九条及び第二百四十条第一項の改正と同趣旨の改正であります。第二百七十一条第二号、第二百八十条第三号、第二百五十五条の改正と同趣旨の改正であります。第三百二十二条、第百八十六条中「
裁判所
書記」について字句を
修正
したのと同趣旨の改正であります。 第三百五十三条第二項、第百四十六条の改正と同趣旨の改正であります。第三百五十八条第一項、第三百五十九条第一項及び第三百六十条経済事情の変動に伴い罰金額の引上を行うものであります。 第三百六十六条ノ二、第一項前段は免責の
申立
についての
原則
的
規定
であ
つて
、同項後段は同時廃止のあつた
破産
者のため免責
申立
の機会を與えるための
規定
であります。第二項から第四項までは、第三百六十六条ノ十二に
規定
する免責の
効力
との
関係
から、免責の
申立
と、
強制和議
の提供又は第三百四十七条の
規定
による
破産
廃止の
申立
とを、競合的に認めるのが妥当でないので、これを避けるためのものであります。第四項は、免責の
申立
の追完を認めたものであります。第三百六十六条ノ三、本条は、免責の
申立
をする
破産
者に対し、
債権者
名簿を
提出
すべき
義務
を課したものであります。この名簿は、
裁判所
が次条の
規定
により審訊
期日
を
定め
る
決定
を送達すべき
債権者
を知る一つの資料となるもので、
破産
者が知りながら
債権者
名簿に記載しなかつた
請求権
については、
債権
著が
破産
宣告のあつたことを知
つて
いる場合を除き、免責の
効力
が生じないばかりでなく、
破産
者が虚僞の
債権者
名簿を
提出
したときは、免責不許可の事由となるのであります。第三百六十六条ノ四、本条は免責の
申立
をした
破産
者の審訊
期日
についての
規定
でありまして、この
期日
において第三百六十六条ノ九に
定め
る免責不許可の事由の有無が
審査
せられるわけであります。免責の
申立
については、後に
説明
するように第三百六十六条ノ七に掲げる者が
異議
の
申立
をすることができることとしたのでありますが、これらの者に対し審訊
期日
を知らせるため、本条第二項及び第三項の
規定
を設けたのであります。第三百六十六条ノ五、
裁判所
は、免責の
申立
について裁判をするため、免責不許可事由の有無を自ら職権で
調査
することができるのでありますが、本条は、
裁判所
が必要により
破産管財人
に
調査
をさせ、その結果の報告をさせることができることにしたものであります。第三百六十六条ノ六、本条を設けたのは、免責の
効力
を受けるべき
破産
債権者
等
破産
者の免責の
申立
について、
利害関係
を有する者に本条に掲げる書類を閲覧して免責不許可事由の有無を調べる機会を與え、次条の
規定
による
異議
の
申立
をすることができるようにする必要があるからであります。第三百六十六条ノ七、第三百六十六条ノ八、免責を許すべからざる者に対しで免責を許すようなことがないようにするため、免責の
申立
に対して本条に掲げる者から
異議
の
申立
をすることができることといたしました。
異議
申立
期間
内に
異議
の
申立
があると、
裁判所
は、
破産
者及び
異議
申立
人の意見を聞き、
異議
申立
を
理由
ありと認めたときは免責を許可せずとの
決定
をし、
異議
申立
期間
内に
異議
の
申立
がないか、又は
異議
の
申立
があ
つて
もその
理由
がないと認めるときは、免責許可の
決定
をすることといたしました。第三百六十六条ノ九、
破産
者に対しては
原則
として免責を許すべきであるが、本条に列挙するような事由のある場合にも常に免責を許すことは行き過ぎであるから、このような場合には免責の
申立
があ
つて
も許可しないことができることとしたのであります。第三百六十六条ノ十、免責の
申立
をしながら、正当の事由なく審訊
期日
に出頭しなかつたり出頭しても陳述を拒否するような不誠実な
破産
者に対しては、強いて免責の
手続
を進める必要がないから
申立
を却下できることにいたしました。第三百六十六条ノ十一、免責の
手続
には、後記のように第三百六十六条ノ二十で第百八条を準用することとしたので、免責の
手続
でなされる
決定
は、確定を待たないで執行力を生じ得ることとなるのでありますが、免責の
決定
が上級審で取消されることにより生ずる煩雑を避ける必要があるので本条を設けたわけであります。第三百六十六条ノ十二、本条は免責の
効力
についての
規定
であります。「
破産手続
二依ル配当ヲ除キ……其ノ
責任
ヲ免ル」というのは、
破産
者の
責任
を
破産
財団の限度にとどめる意味であります。配当すべき
財産
がないときは、配当なくしてその
責任
を免れることになります。
破産
者が
責任
を免れた
債務
は一種の自然
債務
となるわけであるが、
破産
債権者
は、これを自働
債権
として
破産法
上の
相殺権
を
行使
することは
差支
えありません。併し
破産
債権
のうちには以上のような免責の
効力
を與えるに適当でないものがあるので、これを但書に列挙して免責の
効力
が及ばぬこととしたのであります。なお本条但書の
請求権
中「租税」とあるのは、第四十七条第二号の財団
債権
でない租税で、例えば関税、屯税、登録税のようなものを指すのであります。第三百六十六条ノ十三、免責は、
破産
者を
更生
させるためその
責任
を限定するに過ぎないのでありまして、免責によ
つて
本条に掲げた者の
責任
までを軽減するものでないのでこの趣旨を明かにしたものであります。第三百六十六条ノ十四、免責は、
破産
債権者
の
権利
に重大な影響を與えるばかりでなく、後に述べるように免責の
決定
が確定すると
破産
者は
法律
上当然復権することになるので、第三百七十二条の
規定
になら
つて
公告についての
規定
を設けました。なお確定
債権
についての
債権
表の記載は、
一定
の
条件
の下に
債務
名義となるものでありますから、免責の
決定
が確定したときはこれを明らかにする必要があるのでその旨を記載させることとしたのであります。第三百六十六条ノ十五、免責の
決定
が一旦確定しても本条に掲げる事由があることが後に判明したときには、免責を取消すのが相当であるから免責取消の
決定
をすることができることとしたのであります。なお本条後段の場合については、不安定な
権利
関係
を成るべく早く除去する趣旨から免責取消の
申立
期間
を制限することにいたしました。第三百六十六条ノ十六、免責取消の裁判をするについては、少くとも
破産
者及び免責取消
申立
人の意見を聽くのが相当でありますからその旨を
定め
たものであります。第三百六十六条ノ十七、第三百六十六条ノ十一の
規定
と同趣旨で設けた
規定
であります。第三百六十六条ノ十八免責後その取消までの間に
破産
者と取引した者は、免責のあつたことを考慮に入れて取引をしたのでありますから、その者の
債権
が免責の取消のあつた後、これにより復活する
破産
債権
や免責前文は免責取消後の
原因
に基いて生じた
債権
と同等の地位におかれることになりますと不測の不
利益
を受けることになりますので、本条を設けました。「他ノ
債権
ニ先チテ」というのは、
債務
者の総
財産
から
弁済
を受けるべき他の
債権
に先だつという意味で特別の
先取特権
、質権、抵当権等で担保されている
債権
にまで優先するものではありません。第三百六十六条ノ十九、第三百六十六条ノ十四に対応する
規定
であります。第三百六十六条ノ二十、免責
手続
は、
破産手続
ではありませんので復権の章の第三百七十三条の
規定
と同様の
規定
をおいたわけであります。第百十八条の
規定
をも準用したのは、公告と送達とを共にすべき場合があるからであります。第三百六十六条ノ二十一、免責の制度を採用した以上は、本条第一項に列挙する事由のある場合にも、なお
破産
者に対し身分上の制限をしたままにしておくことは当を得ないので、右の事由のある場合には、
破産
者は、当然に復権することにいたしました。本条第二項中「……復権ハ将来ニ向ツテ其ノ効ヵヲ失フ」とあるのは、免責取消又は
強制和議
取消があ
つて
も、復権していた間の身上の効果にまで影響を及ぼさない趣旨であります。第三百六十七条、前条の
規定
を新設することとしたことに伴い法文の
整理
をしたものであります。 第三百七十四条第四号、第三百七十五条、第三百七十七条第一項、第三百八十条第一項、第三百八十一条第一項、第三百八十二条第一項、「
裁判所
書記」についての字句の
修正
は前に
説明
したところと同趣旨のものであり、罰金額を改めたのは経済事情の変動に応じたものであります。 次に
和議法
の改正について申述べます。第十一条は
破産法
第百十三条を削除することとしたことに伴う法文の
整理
であります。第四十四条ノ二から第四十四条ノ四まで、これは
破産法
第十八条から第二十条までの
規定
を削除することとしたことに伴い、
和議法
第四十五条において準用していたこれらの
規定
の
内容
を直接
規定
することが必要と
なつ
たため、これらの条文を設けたものであります。第四十五条、右に述べた通り
破産法
第十八条から第二十条までの
規定
を削除することとしたことに伴う法文の
整理
をしたものであります。第六十八条第一項、第六十九条第一項、第七十条第一項、いずれも経済事情の変動に伴う罰金額の
修正
であります。 附則、第一項、この
法律
の施行
期日
を
定め
たものであります。第二項、この
法律
施行前に
破産
宣告のあつた
事件
に対する、ここに掲げる改正
規定
の
適用
に関する経過
規定
を
定め
たものであります。第三項、本項前段は、改正法施行前に
破産手続
の解止のあつた
破産
者に対し免責
申立
の機会を與えるための
規定
であります。本項後段は、改正法施行の際、
裁判所
に係属中の
破産
事件
の
破産
者が、免責の
申立
をする機会を失うことのあることを考慮したものであります。第四項、本項は、前項の
破産
者のために免責の
申立
の追究をすることができることとしたものであります。第五項、第三百六十六条ノ二十一、第一項第二号から第四号までに掲げる事由が改正法施行前にあつた
破産
者の復権について
規定
したものであります。第六項、前項の
規定
による復権について第三百六十六条ノ二十一第二項の
規定
と同趣旨の
定め
をしたものであります。第七項、華士族平民身代限規則(明治五年太政官布告第百八十七号)等により身代限の
処分
を受け、又は家資分散法(明治二十三年
法律
第六十九号)により家資分散の宣告を受けた者も、第五項に
規定
する
破産
者と同様に
取扱
うことが相当であるから本項を設けることにいたしました。 以上で
破産法
及び
和議法
の一部を改正する
法律案
の逐条
説明
を終ります。
鈴木安孝
5
○
委員
長(
鈴木安孝
君) この程度で休想いたします。午後は、
委員
室を
変更
いたすかも知れませんが、
変更
いたしました際は
決定
次第掲示でお知らせいたします。一時三十分より開会いたします。 午後零時六分休憩 ―――――・――――― 午後三時十九分開会
鈴木安孝
6
○
委員
長(
鈴木安孝
君) 午前に引続き
委員会
を開きます。
住民登録法案
を議題といたします。これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は御発言願います。
左藤義詮
7
○左藤義詮君 市町村当局が多年戸籍法の改正を要望して来たという御
説明
でございまして、どういうような具体的な動きがございましたか。
鍛冶良作
8
○衆議院議員(鍛冶良作君) この問題は戸籍法でなく居住に関する点です。
左藤義詮
9
○左藤義詮君 市町村当局が寄留の制度の改正を要望じて来たというのですが、どういうようないきさつがございますのですか。
鍛冶良作
10
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今までの寄留は本籍地から変
つて
、住所も変りまするとやるという建前にはな
つて
おりましたのです。な
つて
おりましたが、実際において是非それを
届出
なければならんような事実が起
つて
来ない限りはや
つて
おらないわけなんです。従いまして寄留簿というものと住民票というものが本当に一致しておらんという実情であります。
従つて
本当に住民として
取扱
うときにはどれによるかという問題にな
つて
来るわけであります。ところが近頃配給制度ができましたものですから所帶台帳というものがありこれが一番住民というものを知る基礎にな
つて
おりますが、これは
法令
でできたものでも何でもないのでこれらの点から、並びに行政上住民として
取扱
うべきいろいろ
法律
上、事実上においての必要がたくさんありますから、そこで実際問題と寄留と一つにな
つて
法律
上ぴしつと住民を披握できるものを作ろう、こういうことが本法制定の根本趣旨と考えております。
左藤義詮
11
○左藤義詮君 これに対して市町村当局が多年要望して来たというのですが、例えば
決議
をいたしますとか、国会に請願したとかどういう今まで経過を……。
鍛冶良作
12
○衆議院議員(鍛冶良作君) 事実上出て来ましたのは昭和二十五年十一月二十八日に第九回全国市長会議の
決議
による陳情書、それから昭和二十五年十二月一日に第十四回関東市会議長会議の
決議
による陳情書で同趣旨のものが出ておる事実がございます。
左藤義詮
13
○左藤義詮君 この制度を実施しますための
費用
の
関係
はどういうふうになりますか。
小木貞一
14
○衆議院專門員(小木貞一君) この寄留の点は非常にこの
法案
を施行する上に誠に重大な問題でございまして、昭和二十四年度にこの寄留の
事務
とそれから世帶台帳の
事務
に、どのくらいのものが経常費として出ておつたかを調べてみますると、寄留
事務
につきましておおむね四億二千万円くらい、それから世帶台帳の
事務
につきまして約十五億六千万円くらい、合せて十九億八千万円近くのものが出ておるようでございます。この住民登録制度は
提案理由
のところにも申しましたように、寄留と世帶台帳二つの長町をと
つて
総合したものでございますので、経常費としてはこの十九億八千万円程度より以上に亘るわけではないだろうと思うのであります。ただこの制度を最初に実施いたします際に、初年度の臨時費が相当かかるものだと思われるのです。それで臨時費につきましては国家においてこれを負担する。例えば臨時費と申しますと、この住民登録票の用紙であるとか、或いは印刷代であるとか、或いは
調査
する人の手当であるとか、或いは市町村主任者の会議、連絡旅費であるとか、或いは通信費であるとか、そういつた種類の臨時的なものは国家においてこれを負担する、こういうような方針で進んでおるのであります。ただ現在寄留
事務
につきまして、平衡交付金の中でこの寄留
事務
の点が出てはおるのでありますがはつきりいたしておりませんので、この住民登録制度が確立されまする場合には、住民登録の
事務
につきまして地方財政平衡交付金の行政費目の中にどうしてもこれを明確にして、経常費についてもこの点を考えて行かなければならんというような方針をと
つて
おるのでございます。
左藤義詮
15
○左藤義詮君 昭和二十七年七月一日までの間において施行
期日
を政令で
定め
るとありますが、提案者は大体どのくらいの予定をしておられるのでありますか。
鍛冶良作
16
○衆議院議員(鍛冶良作君) 大体七月一日で施行してよろしいのではないかと思います。相当準備
期間
が要りますから。
左藤義詮
17
○左藤義詮君 それに対して大蔵省当局と大体打合或いは見通しが付いておりますかどうか。
鍛冶良作
18
○衆議院議員(鍛冶良作君) 大体大蔵省と打合の上これを出しましたので、昭和二十六年度には今專門員の申しました準備費として千八百万円出ることにな
つて
おります。昭和二十七年度は今までの……。
左藤義詮
19
○左藤義詮君 それは補正予算で……。
鍛冶良作
20
○衆議院議院(鍛冶良作君) いや、二十六年度の予算に組んであるはずであります。
左藤義詮
21
○左藤義詮君 組んでありますか。
鍛冶良作
22
○衆議院議員(鍛冶良作君) 準備費で。
左藤義詮
23
○左藤義詮君 準備費が千八百万円といたしまて、いよいよ昭和二十七年度にかかりますときに、もうそろそろ予算の編成期にな
つて
おりますが、臨時費はどれくらい御要求になる御予定でございますか。
小木貞一
24
○衆議院專門員(小木貞一君) 先ほど申しましたような構想で、大体ああいう費目につきましてこれはまあ大ざつぱな数字でございますが、おおむね四、五億程度の臨時費が計上されることになるのではないかと、こういうふうに考えております。これは大体の予想でございます。
左藤義詮
25
○左藤義詮君 大蔵当局との間に御了解がついておるというのですが、数字を商売としておる大蔵省との間に四、五億というような非常にはつきりしていない、そういうまあ漠然たるものでいいかどうか。殊にこの
法律
そのものの中には経費の負担のことは書いてございません。
要綱
の中にはあとに成るべく何か国が財政の許す範囲においてというようなことが書いてあるのでありまして、財政の許す範囲において臨時費で市町村の
費用
を負担するということを備考に書いてある程度でありまして、その点が非常に不安だと思うのですが、その点を大蔵当局とどこまではつきりした打合ができておるか。若し何ならばこの
委員会
で大蔵当局の出席を求めて
説明
を聞いてもいいと思うのですが、殊に先ほど平衡交付金のお話がございましたが、今まで漠然と寄留の
費用
を平衡交付金からこれだけということがはつきりしていない。今度いよいよこういう
法律
を出して市町村がその
事務
を負担することになりますと、その点を大蔵当局なり或いは地方財政
委員会
なりともう少しはつきりして頂きたいと思うのですが、これに対して今までの経過なり或いはお見通しはどういう工合にな
つて
おりますかお聞きしたいと思います。
平賀健太
26
○
説明
員(平賀健太君) 只今の点御
説明
申上げます。実は法務府といたしましては昨年に昭和二十六年度の予算といたしまして、住民登録の実施に要する経費を要求したのでございます。ところが昨年はいろいろな都合で全額を認められるに至りませんで、先ほど衆議院のかたから御
説明
ございましたように千八百十三万八千円が計上されたのでございます。
左藤義詮
27
○左藤義詮君 それは二十六年度ですか、二十五年度ですか。
平賀健太
28
○
説明
員(平賀健太君) 本年度の予算です。
左藤義詮
29
○左藤義詮君 昨年は要求しなかつたのですか。
平賀健太
30
○
説明
員(平賀健太君) 昨年要求しましたが、駄目になりましたので、本年初めて千八百幾らが出たわけなのです。本年度二十六年度予算の内訳を申上げますと、そのうち約千二百四十万四千九百円というものは、この
法案
の中に出ておりますところの戸籍の附票の用紙代、印刷代なのでございます。それから残りが約六百万円あるわけでございますが、これは旅費たとか会議費なんかの全くの準備
費用
でございます。二十六年度においては市町村には何ら負担をかけないわけでございます。で法務府といたしましては、当初この住民登録は二十六年度から実施する予定で予算を要求いたしたのでありますけれども。
左藤義詮
31
○左藤義詮君 どれくらい要求したのでありますか。
平賀健太
32
○
説明
員(平賀健太君) これは一番当初いろいろな折衝の経過がございまして、相当多額の経費が要るものでございますから一番最初は約八億要求いたしたのでありますが、だんだん折衝いたしました結果結局千八百万円という先ほど申上げた数字に
なつ
たのでございます。これでは到底実施ができませんのでこれは準備
費用
ということにいたしました。ただ戸籍の附票だけでは本年度において作
つて
そうして市町村に配布するということで、実施は更に一年延ばそうということに
なつ
たのでございます。で結局実施に要する経費といたしましては、来年度の予算要求の際に更に今度は出さなくちやならん。それが先ほど小木專門員から御
説明
ありましたように極く大雑把な計算で、正確に計算してみなければ何とも申上げかねるのでありますが、大体四、五億程度ではないかという見当をつけております。
左藤義詮
33
○左藤義詮君 八億要求したのが四、五億でいいのですか。
平賀健太
34
○
説明
員(平賀健太君) 八億と申しましてもこれは実施の
方法
によ
つて
非常に違
つて
来るわけであります。一例を申上げますといろいろな実施
方法
があると思うのですが、一番完全な
方法
をやるといたしますと、全国一齊に丁度国勢
調査
と同じような工合に市町村の方で
調査
員というのを選びまして、その
調査
員を各戸に訪問させてそうして登録して行く。これが一番いいやり方なんでありますが、その
調査
員をどういうふうに使うか、
調査
員が記入をして行くようにするか、或いは各戸に紙を配
つて
各戸で書かせるかというようなことで以て、
調査
員に対する手当の問題がそれで非常に違
つて
参ります。
調査
の
方法
によ
つて
、一番最初の一軒
調査
の
方法
によりまして経費が相当動いて来るのでございます。去年八億要求いたしました際は、非常に嚴重な
方法
丁度国勢
調査
と同じような
方法
でやるという構想の下にやつたのであります。と申しますのは、この
調査
員が各戸を訪問いたしまして世帶員の住民票の記載
事項
全部を
調査
員が
調査
いたしましてそれを
調査
いたしましてそれを
調査
票に記入する、それを今度は市町村役場におきまして住民票に更に移し換える、そういうような構想で八億という数字を出したのでございます。ところが国勢
調査
とは違いまして、住民票の記載
事項
もそう複雑ではございませんし、結局各戸に住民票の用紙を配りましてそうして各戸においてこれを書いて貰う、それを更に取集めるということになりますると
手続
が非常に簡易化されまするし、それから
調査
員のやりまする仕事も便利になります
関係
で手当なんかも少くて済むのではないか。そういう
方法
でやりますと約四、五億あつたらいいのではないかと考えておるわけでございます。ただ何分これは二十七年度の予算に組まれる
関係
で以てこの二十七年度の予算の折衝がまだ始まらんままですから、大蔵省当局が果してどの程度法務府の要求を入れてくれるかちよつと現在のところはまだなんとも申上げられない、そういう段階でございます。
左藤義詮
35
○左藤義詮君 先ほどのお話では大体大蔵省との打合ができておるというようなお話だつたのですが、今の法務府の御
説明
を聞きますと、要求する額も四、五億という程度ではつきりしていない、それがどういうふうになるということもわからないというのですが、実情はどういうことですか。大蔵省とも先ほど話合がついておるというのはどの程度までついておるのですか。いずれこの
委員会
に大蔵省の主計局長なり大蔵省の
責任
者を一度お呼び頂いてその点を明らかにしたいと思います。
鍛冶良作
36
○衆議院議員(鍛冶良作君) こちらの方で二十六年度に施行するとして最初に要求したのですが、それで予算の都合上いかんというので本年は準備費だけを出す、こういうことに
なつ
たそうでありますから、あとは来年やるということは大蔵当局においては十分承知の上で準備費を出した、こういう実情であります。
左藤義詮
37
○左藤義詮君 只今の御
説明
で八億で
計画
をしたけれどもそれはいけないので四、五億程度で行くような
計画
をしておるということでありますが、その
費用
の出る、出ないということは
法案
そのものには
関係
ございませんか。八億の大体予定で準備に
なつ
た
法案
と、今回
提出
されておるものと何も
内容
には変化はございませんか。
鍛冶良作
38
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは
法案
そのものには変化はありません。ただ実際に登録する
事務
の違いだけであります。
左藤義詮
39
○左藤義詮君 只今大蔵省とのお話をお尋ねしたのですがもう一度、はつきり私が了解できないのですが、地方財政との
関係
はどういうようなお話合ができておりますか。
鍛冶良作
40
○衆議院議員(鍛冶良作君) 先ほど專門員から
説明
しましたように、今まででも寄留並びに世帶台帳で相当金が要
つて
おりましたが、その上にかかるものは平衡交付金で出すべきものだというので、地方財政
委員会
にもその意を伝えているはずであります。
左藤義詮
41
○左藤義詮君 はずとおつしやいますが……。
鍛冶良作
42
○衆議院議員(鍛冶良作君) 法務府からそういうことでや
つて
もらいということで……。
左藤義詮
43
○左藤義詮君 地方財政は了解しておりますか。
鍛冶良作
44
○衆議院議員(鍛冶良作君) 額はまだきま
つて
おりません。
左藤義詮
45
○左藤義詮君 世帶台帳との
関係
はどうなるのですか、登録法がいよいよ実施されると。
鍛冶良作
46
○衆議院議員(鍛冶良作君) 世帶台帳は勿論要らない、前の寄留簿も要らないことになります。
左藤義詮
47
○左藤義詮君 二十四年度に寄留世帶台帳に十六億五千万という非常に巨額の
費用
が要
つて
おるようなお話ですが、この
法案
が実施されますと四、五億の程度で行けるのですか、それとも臨時費だけがそれだけで経常費はもつと沢山要るのですか。
小木貞一
48
○衆議院專門員(小木貞一君) 四、五億程度というのは臨時費だけでございます。それを合せて十九億何ぼと申しましたのは二十四年度における経常費を実は言つたわけであります。その四、五億程度は概算でございますけれどもこれは国庫で負担しよう、こういう構想だということでございます。
左藤義詮
49
○左藤義詮君 経常費は全部地方費の負担という御予定ですね。
小木貞一
50
○衆議院專門員(小木貞一君) そういうことです。
左藤義詮
51
○左藤義詮君 そうしますと、両方で二十億ほどの寄留と世帶台帳ですか、それが一本になるとどれくらい節約できる予定でございますか。どうもはつきり勉強してないようですね。
平賀健太
52
○
説明
員(平賀健太君) 実はこの制度を実施しますにつきましては経費が一番問題になると思います。昨年法務府の出先
機関
でございます法務局と地
方法
務局を使いまして、全国のまあサンプル的に市町村を選びまして実情
調査
をやつたわけでございます。で各都道府県に人口五千ぐらいの町村、人口一万前後の町、人口五万前後の市、人口十万前後の市と平均各都道府県に四市町村を選びまして、住民登録実施の暁において影響があると思われます行政
事務
につきまして経費その他の
関係
を実情を調べたのでございます。でこの寄留に要する経費の四億、世帶台帳に要する経費の十五億というのも実はそのサンプル
調査
の結果を全国に引直してこういう数字を得たわけでございます。その際併せて、この住民登録が若し実施に
なつ
たならばその他の行政
事務
で果して経費の節減になるかどうか、若しなるとすればどのくらいの節減になるだろうかということをまあ調べたのでございます。でそれを法務府の方で全国的な集計をいたしました結果、約一億八千万円ぐらいの経費の節約ができるのではないか。その主な経費の節約面は選挙人名簿の調整、学齢簿の調整、予防接種法の施行の
関係
で、市町村では予防接種の記録を作
つて
おるのであります。これを通俗に予防接種台帳と申しておりますが、予防接種台帳の経費節約、これが主な面じやないかと思われるのでございます。その選挙人名簿、学齢簿、予防接種台帳、こういうものの調整に住民登録というものを利用いたしますと、一億八千万円という経費の節約が一年間に出来るという数字を得たわけでございます。併しながらこれはまあ各市町村の実際の行政の運用についてそういう数字が出ましたのを集計いたしましたので、果して実施の暁正確にそのまま現われるか、或いはこれより減るか殖えるか、これは何とも申しがたいのでありますけれども、一応そういう数字にな
つて
おります。
左藤義詮
53
○左藤義詮君 法務府自身でも御自信のない御
調査
のようですが、それを地方財政の方では大体そのサンプルで
調査
なさつたのに対して
同意
をいたしておりますか。地方財政ではまだ別途の計算を持
つて
いますかどうか。
平賀健太
54
○
説明
員(平賀健太君) 地方財政
委員会
でも特別にこのために
調査
をなす
つて
いないようであります。
左藤義詮
55
○左藤義詮君 あなたの方で
調査
したのを地方財政では了承して話はついているわけですか。
平賀健太
56
○
説明
員(平賀健太君)
調査
の
方法
はいろいろあります。併し結果はこういう結果になるということを向うに伝えてありますけれどもこれを承認しているとは言えない、又併し承認しないとも言
つて
おりませんので、これはやはり地方財政
委員会
でも別途にこういう
調査
をすべきじやないかと思いますが、各方面からやはり
調査
いたしてみませんと正確に言えないのじやないかと思うのです。
左藤義詮
57
○左藤義詮君 これは国会に御提案にになるについては、大蔵省並びに地方財政
委員会
とももう少しそれぞれ十分な基礎を固めてお出しになるべきです。今伺
つて
見ますとですね、法務府が若干の
調査
をなすつたが地財委はしていないと、それならば法務府の
調査
を了承するかというとそこまで行
つて
いない。そうすると地方財政
委員会
に又聞いて頂いていろいろや
つて
貰わなくちやならんということで、我々の審議に手間を要する。もう少しはつきり固めて提案になることはできませんでしたか、殊に昨年から準備しておられて。
平賀健太
58
○
説明
員(平賀健太君) 地方財政
委員会
とは、つとに連絡いたしておるのでございまして、昭和二十三年の十一月に寄留制度改革審議会というものを作つたのであります。その以前から寄留制度の改正ということが問題にな
つて
おりまして、二十三年の幕に寄留制度改革審議会というものを法務府内に設置いたしまして、それには地方自治庁、地方財政
委員会
事務
局、それから全国選挙
管理
委員会
事務
局、そういう地方行政に密接な
関係
のある庁からも
委員
並びに幹事を出して頂きまして、その
委員会
で共同で討議いたしまして、二十四年の二月に寄留制度改革審議会の答申ができたのでございます。それを寄留制度改正
要綱
といいまして法務府の民事局で作りまして、お
手許
に差上げてあります住民登録に関しまする資料の中に人づております。その
要綱
に基きまして実はこの
法案
の原案というものができたわけであります。でありますから、その当時からこの経費の点は、つとに問題にな
つて
おりまして、只今申上げましたこの寄留の経費が幾ら、世帶台帳の経費幾らというこれだけの数字、節約できる数字が幾らという最後の数字については、地方財政
委員会
といたしましても賛否の意見はなかなか表しがたいと思うのでありますが、当初から結局、今の寄留の世帶台帳を廃止する、それから
事務
の
実質
を見ましても寄留と世帶台帳とを合せたものにほぼ匹敵する。人員も寄留の人員と世帶台帳の
作成
に従事しておりますところの多数の職員とを合せれば、住民登録の
事務
というものはほぼ賄えるのではないか。それから
事務
量からいたしましてもやはり寄留と世帶台帳の
事務
を合せたものとほぼ匹敵いたしますが、極く常識的に大ざつぱに考えましても、今の寄留と世帶台帳の経費があれば賄えるのじやないかということも常識的にいえるわけなんでございます。でありますから、その
事務
のことにつきましては地方財政
委員会
も了承いたしておるわけです。ただこの数字をピシヤリと出してこれが果して正確かどうかということになりますと、これは全面的にそのまま直ちに賛成できる、できないということは、これは地方財政
委員会
としてもちよつと無理、困難ではないかと思いますけれども、大体においてはそういう方針並びにその経費の大体のことと、これについては地方財政
委員会
も了承いたしておるのであります。
左藤義詮
59
○左藤義詮君 選挙人名簿との
関係
はどうなりますか。
鍛冶良作
60
○衆議院議員(鍛冶良作君) 直接の
関係
としては
法律
にはありませんが、選挙人名簿を作るときの住居の基礎はこれによ
つて
定まるわけです。だから非常にその
関係
が深い。
左藤義詮
61
○左藤義詮君 今の御
説明
に、選挙人名簿、学齢簿或いは予防接種の基礎になる帳簿とういうものとの重複が非常に避けられるという、それは技術的にはどういうふうにな
つて
いますか。
鍛冶良作
62
○衆議院議員(鍛冶良作君) いや、選挙人名簿は、そういうものはこしらえんでもいいというわけでじやありません。
左藤義詮
63
○左藤義詮君 寄留を基礎にしてや
つて
いるよりは、この登録ができると一億八千万ほど節約ができるという今の御
説明
がありましたが、それはどういう
関係
で……。
鍛冶良作
64
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今のその世帶台帳と寄留簿と両方動いておりますのでそれで金が要るのです。
左藤義詮
65
○左藤義詮君 いや選挙人名簿の
関係
をお話なりましたね、選挙人名簿を作るとき、登録簿ができておると便利で節約ができるというお話なんではないですか。
鍛冶良作
66
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはそうです。
平賀健太
67
○
説明
員(平賀健太君) 選挙人名簿を作ります際には、いろいろ市町村の作り方によ
つて
方法
があるところでございますが、これはたしか九月十五日の現在で抑えることにな
つて
いるのですが、その数カ月前から市町村では係員が管内を廻られまして戸別
調査
なんかや
つて
おる所もある。それから場所によりましては配給世帶台帳を基礎にしてや
つて
おる、それを参考にして選挙人名簿を作
つて
おる所もあるのであります。いずれにしましても、この市町村でその職員を使いまして各戸を廻らせてやるということになりますと、職員の数もたくさん要りますし経費もかかるのは勿論でありますが、世帶台帳を基にいたします際に、本籍が不明であつたり、それから殊に年齢が正確でなかつたりする
関係
上本籍地に照会すると、そういうようなことにやはりいろいろ
調査
費用
がかか
つて
いるのであります。それから選挙人名簿を作ります際には、選挙人名簿基礎台帳というのがございまして、台帳ができておる所が多いのであります。それは移動ごとに差し替えたりしまして台帳ができております。それらの台帳の調整費が相当かか
つて
いるのであります。住民登録ができますと選挙人名簿のために別にそういうことをすることがなくなる、年齢なんかも戸籍と照合をしてはつきりしたものが載
つて
おりますのでそういうものが全然必要がなくなる、更に選挙人名簿の基礎台帳というようなものも必要がなくなるのであります。ただ選挙人名簿だけは別に作る必要があると思うのです。そういう面で経費の節約ができると思います。
左藤義詮
68
○左藤義詮君 選挙人名簿の基礎台帳というものは
法律
的なものじやない、市町村が便宜的にや
つて
おるのですか。
平賀健太
69
○
説明
員(平賀健太君) さようでございます。今選挙人名簿基礎台帳は東京都なんかでは作
つて
おります。全国の市町村で作
つて
おるのじやなく、かなり経費がかか
つて
おるようであります。
左藤義詮
70
○左藤義詮君 最初の御
計画
では八億、節約すると……、今度節約しても四、五億という臨時費でお始めになるわけですが、国勢
調査
をいたします際に、同時に
調査
員というような制度を活用して発足しますれば、非常にその臨時費が少くて済むのであります。折角国勢
調査
制度があるのだから、それを機会にこの
法律
を出発させるという点についての何か御工夫はなかつたのでございますか。
平賀健太
71
○
説明
員(平賀健太君) 実は昨年の十月一日に国勢
調査
がございまして法務府でもそれを考えまして、国勢
調査
の
責任
庁であります総理府の統計局と折衝いたしたのであります。ところが統計局の方とは、
調査
項目が大体同じようなことではありますけれども、かなりやはり違
つて
おるのであります。それからこちらで考えております住民票、向うでは国勢
調査
の
調査
表、個表と申しますか、にな
つて
おりますが、記載
事項
が大分違うのであります。統計局では
調査
事項
と記載が違うのでこれを一緒にやられると、国勢
調査
の
調査
員が頭が混同しまして、国勢
調査
の施行そのものが正確性を非常に欠いて来ることになる。それで同じ
調査
員を使
つて
住民登録の
調査
員にすることはいいけれども、これを時期をずらしてやるべきであるという意見がありました。これは成るほど国勢
調査
の正確な統計資料を得るという
目的
からいいますとその点尤もでありますので、同時に施行するということは無理がある。時期をずらしますと結局同じことでありまして、国勢
調査
で
選任
された
調査
員をこちらでも利用する、併し手当はやはり別に拂わなくてはならんというようなことになりますので、経費の点では全然節約にはならないのであります。そういういきさつがあつたものですから、国勢
調査
と一緒にやるということは一応考えたのでございますけれども、実行できなかつたという次第であります。
左藤義詮
72
○左藤義詮君 セクシヨナリズムと申しまか、いろいろの役所からいろいろな仕事が結局末端ではあれもこれもみんな皆負い込まされて困
つて
おるという実情でありますが、私実際
調査
を受ける国民としてもそうだと思いますが、今のお話を伺いますと統計局の立場もございましようが、もう少しその間の調節を保
つて
国勢
調査
には
目的
がございましようけれどもその間を調節すれば、現実に住民登録されているそれを基礎にして国勢
調査
をするということが、私は国勢
調査
の趣意にも、又登録を活かすという意味においても意味があると思うのですけれども、只今伺いました御
説明
だけでは一緒にやろうという熱意が足りなかつたのじやないか。或いはもう少しその間にお互いに国民の立場を考えて工夫をなさるべきでなかつたか。今の法務府の立場としてはどうしても内閣の方も承知しないし、あなたの方も承知できない。これはどうしても喧嘩わかれで別々にやるのだ。何とかその間にもう少し歩み寄
つて
実際の国民の生活に即したものを作り、又国民自身も応接にいとまなからしめるようなことのないように、そういうような御親切はございませんですか。
鍛冶良作
73
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは私も左藤さんのお説は大賛成なんですけれども、実際からいいますと仕事をする官庁が違
つて
内容
が違つたらや
つて
くれないのです。この国勢
調査
には氏名、年齢、男女の別、それから世帶主くらいまではいいかも知りませんが、第一戸籍、本籍の表示、それから移
つて
来た年月日、そういうようなことになりますると、国勢
調査
では必要でないものも入
つて
来るものですから、お前のところでやつたらついいじやないか。これは実際は役所が違うとや
つて
くれない実情です。これはやるのが当り前です、みんな公務員なんだから。けれどもなかなかそういうわけにはいかんのが今までの実際のやり方と思いますが、国勢
調査
は現在……。
左藤義詮
74
○左藤義詮君 どれくらい食い違いますか。
平賀健太
75
○
説明
員(平賀健太君) 国勢
調査
となりますと、日本国内におる人間を
一定
の時点におさえまして全部やるわけであります。この住民登録はその市町村の住民を把握するというので、その市町村に住所を持
つて
おる者を登録する。これは行政
事務
の便宜からいいますと、住所を持
つて
おる地方自治法にいうところの住民を把握すれば足りるというので、大体においては範囲は似ておりますけれども、やはり若干
適用
の対象が違
つて
来るのでございます。 それからもう一つありますのは、国勢
調査
の結果作られますところの
調査
表、これは市町村の行政
事務
には使えないことにな
つて
おるのであります。全国的に集計をして数字だけは公表してこれを出すけれども、誰が世帶主で誰が世帶員であるという個々のものは表に出してはいけない、公表してはいけない、
従つて
又市町村でこれを行政
事務
に使用するというようなことはできない建前に統計法上な
つて
いるのであります。これは統計の正確を期するために
調査
表と申しますか、個表は行政的には利用できない。
従つて
国勢
調査
で作りました
調査
表は全部統計局に集めまして、市町村や都道府県には置いていないはずであります。従いまして住民を把握するということになりますと、誰がどこの住民であるか、本籍はどこ、年令は幾つという工合に個個的に個人的にはつきりしなくちやならんのでありますから、国勢
調査
では全然そういうことができない建前にな
つて
おるのであります。ところが国勢
調査
と住民登録と一緒にやりますと、やはり市町村としては同時にやりまするので、どうしても対照をする。国勢
調査
の
調査
表と住民登録の住民表と対照する、そうして果して正確であるかどうかということを対照するというようなことになりまするというと、国勢
調査
の
調査
を受けましたところの国民は、どうせ市町村で対照されるのだつたらこういう点がバレてはいけないというので嘘を書くというようなことで以て国勢
調査
の正確性が失われる。そういうようなことも考えられるわけであります。でありまするからやはりどうしても統計法に基きまして国勢
調査
によ
つて
できましたところの
調査
表というものは行政
事務
には使えない。そういう面からもどうも一緒にやるのはまずいのじやないかと、これは何も統計局と法務府との間に意見の対立があつたわけでなくて、統計法の趣旨を尊重しまして法務府としてもこれは一緒にやるべきものじやないという結論に達したわけであります。
左藤義詮
76
○左藤義詮君 鍛冶議員非常に私の意見に御賛成を頂いたのですが、なかなか役所の事情でむずかしい。今役所の事情については法務府のほうからお話がございましたが、国会としては若しその点を調整する意思があるならば統計法を改正することもできるわけでありまして、こういうようなセクシヨナリズムをできるだけなくして行くことが我々国会の
任務
だと思うので。
鍛冶良作
77
○衆議院議員(鍛冶良作君) 御趣旨は賛成ですが、ちよつとやはりいかんと思います。国勢
調査
の対象とこの対象は対象が違うわけであります。ただ一致するというところがあるだけなんで、旅行者でも警察までも国勢
調査
は調べるのでしよう。たまたまそこへ来てお
つて
もやる。これはもう住所があるというだけでやるのですから、だからもうそれは別にしてやらなければならん問題があ
つて
ちよつとやはり一致しないように思います。ただ一致するところも大分ありますけれども、やはり狙いが違うわけですからちよつと工合が悪いのじやないかと思います。趣旨はもうそうあれば一番いいのです。二枚持
つて
行
つて
やればいいじやないかという、そうできれば言うことはありませんがそれはなかなか容易にやれないのじやないですか、殊に素人を使
つて
やりますから。
左藤義詮
78
○左藤義詮君 私は二枚持
つて
行
つて
や
つて
、官庁吏員が、登録は国勢
調査
は全国一齊にやるのですが、その一齊に二枚やらしてあとを
調査
員がだんだんと補填して行けばいいので、私は同じ
調査
員を使
つて
折角国勢
調査
をやるときに同時に出発するということが便宜でもあり、受ける国民側も一つでありますから、経費その他の点においても又国民にこれを周知せしめて協力させる点からも工夫次第によ
つて
はできるのではないかと思いますが。只今伺つただけの
理由
ではそれは不可能だと法務府も投げてしまう、又国会も投げてしまうほどの強い
理由
はないように思うのであります。
鍛冶良作
79
○衆議院議員(鍛冶良作君) もう一つだんだん考えて来まして工合いが悪いのは、ここに住所があ
つて
もおらなければつけないのです、国勢
調査
では。ところがこれはおらんでも佳所があればつけなければならない。そこに大変な違いが出て来る。さつきのはおる者について、これは旅行者でも何でもこれは除かれなければならない、今度はこの町におらんでも国勢
調査
ではつけんでもいいが住民登録はつけなければならん。そういう差異が出て来ますから。
左藤義詮
80
○左藤義詮君 それはどのくらいのパーセンテージが出て来ますか。そういうことはあとからいくらでも補填して行けるので、訂正して行けるので、画期的なこういうものをやるのに国勢
調査
と一緒に出発するということは国民に協力させるという点からも意味があると思うのであります。まあ伺
つて
みると、役所の
事務
的の不便だけのために国民に二度手間をかけさせる、もう少し私は親切に、いろいろむずかしい点もありましようがその点をまあ法務府と内閣と話合
つて
一つ……、若しどうしてもいけないということがあれば統計法そのものの
修正
もできると思うのであります。もう一つ私は努力が足りないように思うのであります。
平賀健太
81
○
説明
員(平賀健太君) 只今の点は結局技術的の問題でございまして、
調査
員というものは結局住民票と国勢
調査
と
取扱
の
方法
を使い分けなくちやならない、それが非常にむずかしい。で、
調査
員もいろいろな資質を持つ人がなるわけですがそこがうまく使い分けが行かない。それでどちらも正確を欠くという点をやはり統計局も恐れ、私どもの方でも恐れたわけであります。やればできんこともないし、国民の側からいえば一遍で済むからいいということもありますが、どちらも正確を欠いて来るということもありますし、まあ国勢
調査
におきましては
一定
の時点におきます総人口数字というものに非常に重きをおきますので、そこに誤差がありますと国勢
調査
をや
つて
も何にもならんのでありまして、数字の正確を期するという点からむずかしいのじやないかと思うのであります。
左藤義詮
82
○左藤義詮君 只今のお話は両方一緒にや
つて
マイナスが出るというのですが、私は又両方補い合
つて
正確を期するということもあると思います。果して今おつしやつた意味でどこまで一〇〇%確実かどうかということについてはこれは問題があろうと思います。住民登録という恒久的なものと相補
つて
やはりそのために又正確を期するプラスの面も出て来るのじやないかと思いますが、これは私の意見ですが。 それからこれは今ちよつと忘れたのですが、統計法十五条ですが、「何人も、指定統計を
作成
するために集められた
調査
票を、統計上の
目的
以外に使用してはならない。」とおつしやつたのですが、その第二項に「前項の
規定
は、統計
委員会
の承認を得て使用の
目的
を公示したものについては、これを
適用
しない。」とあるのですが、先ほどの御
説明
についてはこの第二項を
適用
すれば不都合はないと思います。統計法を私は場合によ
つて
は
修正
してもいいと思いましたが、あえて
修正
しなくてもいいようにな
つて
いるのです。
平賀健太
83
○
説明
員(平賀健太君) 問題は二項を活用いたしまして、国勢
調査
で使いました
調査
表を住民票と同じように活用できれば、これはもう申分ないのでありますが、そこまでに飛びますとやはり統計が成果を達せない、第一項の
目的
上するところが全然達せられなくなるのじやないか。それで
調査
票を住民票と同じような
目的
に使うということは統計局にも相談したのでありますが、ちよつとそれが実際問題として不可能だということだつたのであります。
左藤義詮
84
○左藤義詮君 それは統計局の
事務
当局ですか、統計
委員会
とのお話合でございますか。
平賀健太
85
○
説明
員(平賀健太君) 統計局の
事務
当局との話合であります。
左藤義詮
86
○左藤義詮君
委員会
にお話して
委員会
としてこれは困つたということがあつたのですか。
平賀健太
87
○
説明
員(平賀健太君) これは常識上相談するまでもないことと私どもは考えます。統計
委員会
に正式に書面で以て聞いたことはございませんけれども、統計の常識上これは当然のこととして了解されていいのじやないかと私は思います。
左藤義詮
88
○左藤義詮君 そうするとこの第二項はどういうことですか。殆んど死文になるのじやないですが。
平賀健太
89
○
説明
員(平賀健太君) 具体的にどういう場合ということになりますとちよつと私も今直ぐ思い付きませんが極く限られた場合だと思うのであります、一項の
目的
というものがそういうふうに行政上使われるということになりますと、どうしてもやはりその
調査
員に対して嘘の申告をする。それを防ぐのが一項の
目的
なんでありまして、その
目的
からい
つて
調査
票を行政
事務
にどんどん使うということになりますと、これは統計の正確性を非常に害されるのじやないかと思うのであります。
鍛冶良作
90
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは何ですね。今までの研究の結果を報告しておられますが、これは施行に当
つて
の実際の
方法
ですからして、まだ一年余りもありまするし、なおそういう機会があつたら今一遍一つ法務府なり何なりで研究させることにして、御注意は十分伝えることにして行きたいと思います。
左藤義詮
91
○左藤義詮君 そうしてそういう努力によ
つて
次の国勢
調査
を早めるとか、次の国勢
調査
の機会までその実施の附則の方を国勢
調査
の機会までとめるようにするか、そういう御意思がおありなんですか。
鍛冶良作
92
○衆議院議員(鍛冶良作君) 私の考えでは二十七年の七月一日ですから、それまでにそういう機会でもありますれば……。
左藤義詮
93
○左藤義詮君 それはもう国勢
調査
はきま
つて
いるのですからそれに合うようにこれをお出しになるか、或いは国勢
調査
をずらすようにその努力をなさるか、四年ですから……。
鍛冶良作
94
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうすると、ちよつとないですね。
左藤義詮
95
○左藤義詮君 去年済んだのですからもうあと二年お待ちになる意思があるかどうか。
平賀健太
96
○
説明
員(平賀健太君) それはちよつと困りますね。今この
法律
を急いでいるのはいろいろな
関係
で、準備
期間
として一年置いているのですから、そういう機会でもあればもう一遍研究させるということを考えます。
左藤義詮
97
○左藤義詮君 一昨年からいろいろ、もつと遡
つて
言えば二十三年ですか、法務府に審議会を作
つて
からの問題なんでありますが、それから現在に及んでいるのですが、それをもう二年ぐらい、次の国勢
調査
までどうしても讓れない緊急性があるというふうにお考えになりますか、提案者は、折角私に御共鳴下す
つて
いるようだが、四年に一遍ということをお聞きにな
つて
からにわかにむずかしく
なつ
たようですが。
平賀健太
98
○
説明
員(平賀健太君) 緊急とい
つて
も今日明日ではないのですが、これはやはり一日も早い方がいいのですが、若しそういう機会があるならばと言いましたが、機会ということはどうもそういうことは受け合い兼ねますが。
左藤義詮
99
○左藤義詮君 それでは私は一先ずこれで終ります。
伊藤修
100
○伊藤修君 先ずお尋ねする前に、この
法律
でしばしば使われているところの住民の意味と世帶の意味というものを先ず伺
つて
おきたいのですが、それから住所と三つ
鍛冶良作
101
○衆議院議員(鍛冶良作君) 第一番に住所の意味からですが「これは旧来の民法に使
つて
おります意味と同一に解釈しております。
従つて
その町村に住所を有している住民と、こういうことになるわけでございます。それから世帶は、これは事実問題でありまして、生活を一緒にしている一つの団体と、こういうふうに解釈しております。
伊藤修
102
○伊藤修君 そうするとこの住所は、あなたの今の
意義
からいうと、民法にいうところのいわゆる生活の本拠をいうということにそれは適応する、こうおつしやるわけですね。
鍛冶良作
103
○衆議院議員(鍛冶良作君) その通りです。
伊藤修
104
○伊藤修君 そうすると、この住所というものに対するところのこの住民登録法によるところの住所というものが
決定
された場合には、他の
法律
にいう住所として同一に
取扱
つて
差支
ないわけですか。
鍛冶良作
105
○衆議院議員(鍛冶良作君) そう言われると面倒になるが。(笑声)
伊藤修
106
○伊藤修君 面倒ですから聞くのです。
鍛冶良作
107
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはそういうことにならなければならんと思うが。
伊藤修
108
○伊藤修君 ならなければならんではいかん、信念を伺
つて
置かないと。
鍛冶良作
109
○衆議院議員(鍛冶良作君) やはり何というても直接住民と接触しておる市町村で認めた住所というものが一番基礎と思います。併しそれは違うのだとい
つて
法律
上争うことになれば
裁判所
で
決定
してもらうということになるのであります。民法に基いて住所と認めた、その認めたものがその者のおるところの町村である。そうして見ればその町村が一番有力なものであるからこれが優先する。こう解釈せざるを得んと思います。
伊藤修
110
○伊藤修君 私のお尋ねしようというのは、それだから先に
意義
を聞いたのです。先ほど来
説明
を伺
つて
おりましても、この住所というものに法的公証力といいますか信憑力というものを與えておるがごとき御
説明
のようでありますが、例えば選挙法の問題の場合にも、その他の
法律
の場合においても、この住所に対してどの程度の公証力というか法的根拠を與えるのか、その点をはつきりさして頂きたいと思います。お説のようにただ参考という程度にこれを見ていいのか。折角住民登録法というものをお作りにな
つて
そこに住所というものをはつきりここに確定しようという御趣旨であろうと思うのです。ただ参考だけに住所というものをお書きになるということでは寄留と何ら変らないと思うのです。又裁判でこの住所が争われるというようなことは、いわゆる反証なき限りは、いわゆる住所と推定するというぐらいまでの観念がなくちやならんと思うのです。
鍛冶良作
111
○衆議院議員(鍛冶良作君) その意味ならば公証力があると思います。ただそうでないという争いがあつた場合に絶対かと言われれば、これは事実なんですから、生活の本拠があるかないかということの事実について争いがあるならば、これは
裁判所
で
変更
しようけれども、市町村がここに住所ありとして証明を出せるのですから、その証明には
一定
の今言う証明力を持
つて
おるものと解釈して
差支
ないと思います。
伊藤修
112
○伊藤修君 そうすると、その住所の証明力に対して今鍛冶さんの御
説明
によると相当の信念があるようでありますが、例えば選挙法の場合において、住所の移動によ
つて
被選挙権が喪失する場合がある、その場合において他に証明がない場合においてはこれを以てその基礎とすることができると思いますがね。
鍛冶良作
113
○衆議院議員(鍛冶良作君) 一応基礎とせざるを得んと思います。
伊藤修
114
○伊藤修君 そうすると、これに対して選挙権の有無ということは、住民登録法によ
つて
作ればいいことになるものでありましようか。先ほどただ参考というふうに御
説明
があつたのでありますが、そうすると、今の御
説明
によれば、この住民登録によ
つて
選挙人台帳というものを作ればいいことになるのですか。
鍛冶良作
115
○衆議院議員(鍛冶良作君) 勿論参考というかこれを基礎にして選挙簿を作る、
従つて
選挙簿ができました以上は一応それで確定しておることになります。ただやがてそれは実際にそこになかつたのだ、移転の時期が違
つて
来たのだ、こういう事実に対して争いがあれば別ですが、一応それに対する
法律
上の効果は現われなければならんと、こう解釈しております。
伊藤修
116
○伊藤修君 くどいようですが法務庁の御意見どうですか。
平賀健太
117
○
説明
員(平賀健太君) 同じように考えております。
伊藤修
118
○伊藤修君 そうするとあらゆる他の法規にいうところの住所というものにつきまして、この
法律
の住所を基礎とするということにいうて
差支
えないわけですね。
鍛冶良作
119
○衆議院議員(鍛冶良作君) いいです。絶対とは申しませんけれども。
伊藤修
120
○伊藤修君 それは絶対か絶対でないかということは事実問題で、ただ
法律
観念において、いわゆる生活の本拠というものは住民登録法による住所を指すのだ、こう言い換えてもいいわけですね。
鍛冶良作
121
○衆議院議員(鍛冶良作君) そこまで言われると、言い換えるとなると、住民票に記載されておるものは一応そこに住所ありと認めて
差支
えない、こう答えますが、逆にそれでは載つた以上は必ず住所ありと認めるかと言われたならば、或いはこれは事実が違
つて
おるかも知れない、人間の認定ですから。そこまでは言われませんが一応そこに認定力を持つ、証明力を持つ、而うしてその
法律
上の効果を認めて
差支
えない、こう言わなければならんと思います。
伊藤修
122
○伊藤修君
法律
上の効果を認めて、ここで折角
法律案
を作られて、住所という意味を格付けされる言い方ですから我々そうありたいと思います。この法文の中に住所地という表現がなされておるのですが、これは場所を指すのですか。例えば第六条第三項に、他の
法律
の用語例から行きますと、地というのは私が御
説明
申上げるまでもなく最小行政区画を指すというふうに解釈が殆んど通説にな
つて
おりますから、ここに住所地という言葉を改めて用いられたのですがそういう場合と大いに異なるものだと思う。
鍛冶良作
123
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今の場合ちよつと具体的に、第六条ですか。
伊藤修
124
○伊藤修君 第六条の第三項でもよろしい。その他もたくさんあります。都市の行政区画を指すものにあらずして場所を指すものと我々は読みますが。
鍛冶良作
125
○衆議院議員(鍛冶良作君) 第六条の第三項の場合、これはやはり地は市町村行政区画でございます。
従つて
行政区画が変らなければこの必要はないことになります。
伊藤修
126
○伊藤修君 そうするとたくさん出て参りますが、この法文中に地とあるのは土地の最小行政区画を指すものと解釈したらいいですか。
鍛冶良作
127
○衆議院議員(鍛冶良作君) そう害われるとどこかに工合の悪いところがなかつたかな。(笑声)
伊藤修
128
○伊藤修君 私もよく見ていなかつたけれどもたくさん出て来ます。
鍛冶良作
129
○衆議院議員(鍛冶良作君) 地は大体それでよろしうございます。
伊藤修
130
○伊藤修君 なお精読してみますがそう伺
つて
置きましよう。 それからこれに附票とか住民票とか票という文事が使われているのですが、この形式は結局カード式ですか。
鍛冶良作
131
○衆議院議員(鍛冶良作君) カード式になるのだそうで書式も参考資料に出ておるはずですが。
伊藤修
132
○伊藤修君 いわゆるそのカードに公証力を持たせるわけですか。
鍛冶良作
133
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは参考についておりますが、こういうものがついております。
伊藤修
134
○伊藤修君 これは公文書の中ですか。
鍛冶良作
135
○衆議院議員(鍛冶良作君) そういうことです。
伊藤修
136
○伊藤修君 カード一枚々々が公文書、今までの戸籍法、寄留法と同じような、これに対して市町村で何か認証されるのですか、その票が公文書になるのですか。
鍛冶良作
137
○衆議院議員(鍛冶良作君) これには
責任
者の印を捺して公証力をつけることにな
つて
おります。
伊藤修
138
○伊藤修君 そうすると、カード一枚一枚に市町村長の署名捺印が入るわけですか。
鍛冶良作
139
○衆議院議員(鍛冶良作君) 判を捺させる。
伊藤修
140
○伊藤修君 誰の判を捺させる。
鍛冶良作
141
○衆議院議員(鍛冶良作君)
取扱
人。
伊藤修
142
○伊藤修君
取扱
人の判でも
つて
その市町村の公文書になるのですか、それに基いて今度証明書が発行されるのですから。
平賀健太
143
○
説明
員(平賀健太君) 最初の実施の際にはこれを各戸に書かせるというふうに考えております。それを市町村に集めて参りまして、そうして市町村で
内容
を検討しましてこれでいいということになれば、やはりこれは最初だけは市町村長の職印を捺させる、それで最初は本人が書いたものだけれどもすべて市町村の正式に作つたということにしよう、そういうふうに考えております。それから市町村に今の戸籍簿、寄留簿でもそうでありますが、記載をいたしますと記載のあとに、戸籍や寄留でありますと、市町村長の職印或いはその代理者の印が捺されるわけです。この住民票におきましても、やはりその後、
事項
欄とありますが
事項
欄に記載をいたしまして、そのあとに市町村長の職印にしますか、或いは認印にいたしますか、ここはまだ
決定
いたしておりませんけれどもとにかく印を捺させよう、そういう方針で考えております。
伊藤修
144
○伊藤修君 私のお尋ねしたいのは、結局その住民票というものは住民が書いて出すのですから、いつ公文書にか
つて
来るかということが問題にな
つて
来る。それが仮に抜き差しされた場合においてどうなるのか。それから公信力というものは一体基礎があやふやじやないか。殊にカード式ですから抜き差しは自由ですから、今法務府の御
説明
は、現在は帳簿にな
つて
おるのですからそれはもう明らかに公簿と認証できる。ところが伝票ですから一枚々々に認証がなければ、私はそれに対するところの公信力というものは保たれないと思う。
従つて
公文書というそれに基いて発行した証明書はどういう結果になるか、これによ
つて
法的に疑義が起
つて
来るわけでありますから御
説明
では満足できない。
鍛冶良作
145
○衆議院議員(鍛冶良作君) やはり
責任
をとるものがこれに公証力を持つだけの署名なり、捺印が必要と思う。どうあ
つて
もそうなくちやならんと思う。
伊藤修
146
○伊藤修君 そうすると、本法においていわゆる住民票の要式行為を明記する必要があるのじやないでしようか、それは政令、そういうものに讓るべきものではないと思いますよ。基本的なものであるから法文の中に明らかにする必要があるのじやないでしようか、基本的なものですから。それは何もかも政令に委ねるということは余りよくない。それは今のは帳簿だからカードというのは想像していない。この頃は官庁はよくカードを使用したがるですが、カードは公簿とての何かの形式をはつきりさせて置かなければいかんと思うのですよ。
小木貞一
147
○衆議院專門員(小木貞一君) 現在戸簿法の百二十五条で、やつぱり戸籍の要式につきましてはこれを
命令
に委ねておりまして、戸籍法施行規則というものでその要式をきめておるわけであります。同じ
方法
で同じような考え方でこの住民登録の場合も第三十四条によりましてこれを政令に委ねて要式をきめようという考え方をと
つて
おります。 それから先ほどのこれはカードにな
つて
いるから取りはずしが自由にな
つて
非常に困りやせんか、いろいろな弊害が起りやせんかというお話でございますが、これはとじて鍵で施錠しまして抜き差しできんようにしておきます。現在登記のやつ、あの
方法
をとろう、こういうふうだそうでございますから御了承願います。
伊藤修
148
○伊藤修君 今の引用になりましたいわゆる戸籍法の制定の場合は、いわゆるカード式を予定していないのです。いわゆる帳簿を予想しているからそういう
規定
にな
つて
いるのですけれども、ここでは住民票という一つの新らしい形式を打出しているのですから、
従つて
住民票の何ものたるかということを私は基本的に明示する必要があるのじやないかと思うのです、それが親切じやないかと思う。それはいわゆる予防の問題ですが、予防の問題はわかります。
鍛冶良作
149
○衆議院議員(鍛冶良作君) 登記簿にもそういうことは出て来るわけです。やつぱりそれらになら
つて
嚴重に政令できめるようにやりたいものだと思います。
伊藤修
150
○伊藤修君 登記簿には一葉々々署名があるでしよう、署名がたしかあつた。これは本法中に簡單な形式だけは明らかにすればいい。住民票の
作成
法を明らかにするとかどちらかにせんというとこの漫然市町村の条例に委ねたり、何かすると……。
小木貞一
151
○衆議院專門員(小木貞一君) それは政令に委ねてあります。
伊藤修
152
○伊藤修君 三十二条と三十三条のこの過料と刑罰との比重ですね、これはどういう根拠から出て来るのでありますか。
鍛冶良作
153
○衆議院議員(鍛冶良作君) この三十二条のはいわゆる懈怠に対する過料なんです。三十三条になりますると、これは妨害した行為で罰則といたします。その意味で異
つて
おるのであります。それからあとその
内容
はほかの
法律
との均衡をと
つて
きめたはずでございます。
小木貞一
154
○衆議院專門員(小木貞一君) お
手許
に先日お配りいたしました逐条
説明
の所にもちよつと書いてございますが、三十一条、三十二条のはそこに書いてございますように、戸籍法の大体百二十条と百二十三条と同趣旨にこれはきめたものでございます。三十三条はこれはほかの
法律
にならいまして、例えば労働基準法百二十条、兒童福祉法の六十二条、統計法の十九条その他たくさんございますが、若し御必要でございましたら表をお
手許
の方へ配りたいと思います。
伊藤修
155
○伊藤修君 市町村吏員の質問に対し陳述を拒んだだけでこういう重い罰金に処することがあるのですか。
鍛冶良作
156
○衆議院議員(鍛冶良作君) あるのです。たくさんの例があります。
伊藤修
157
○伊藤修君 市村町の吏員の質問に対して陳述を拒んだだけで五万円の罰金に処せられる。
鍛冶良作
158
○衆議院議員(鍛冶良作君) 市町村の吏員に対してと言われると何ですが、こういうことでほかの
法律
でや
つて
おるのはこの事例がいくつもあります。
伊藤修
159
○伊藤修君 こういうことで……。
鍛冶良作
160
○衆議院議員(鍛冶良作君) 労働基準法、兒童福祉法、統計法、船員法、漁業法、地方公務員法、国家公務員法とか……。
伊藤修
161
○伊藤修君 それは市町村吏員に対してですか。
鍛冶良作
162
○衆議院議員(鍛冶良作君) そうではありません。
伊藤修
163
○伊藤修君 これは市町村吏員を軽しと見るわけではないのでありますが。
岡部常
164
○岡部常君 先ほどのと関連したことで住民票の
作成
ですが、この
作成
は初めは住民から
提出
させるということでございましたが、それはやはり一齊に同日にやらすのでありますか、丁度国勢
調査
と同じようにやらすというおつもりですか。大体その
期日
というようなことは予定されておるのでありますか。
平賀健太
165
○
説明
員(平賀健太君) 七月一日ということに予定しております。
岡部常
166
○岡部常君 施行
期日
と一緒になるのでありますね。その
費用
が八億とか。
平賀健太
167
○
説明
員(平賀健太君) 去年要求いたしましたのは八億でありました、当初要求いたしたのは。
鍛冶良作
168
○衆議院議員(鍛冶良作君) 統計法はこれは
調査
員に対する不申告の場合ですがこれは五千円ですけれどもちよつと前の
法律
ですから、それで均衡をと
つて
五万円にしたのですが、「第五条の
規定
により申告を命ぜられた場合申告をせず、又は虚僞の申告をした者」「命ぜられた
調査
につき申告を妨げた者」検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、
調査
資料を提供せず、若しくは虚僞の
調査
資料を提供し、又は質問に対し虚僞の陳述をした者」、こういうことにな
つて
おります。
伊藤修
169
○伊藤修君 作為の場合でなく、質問に対して陳述をしないという不作為の場合は。
鍛冶良作
170
○衆議院議員(鍛冶良作君) これにあります。
伊藤修
171
○伊藤修君 質問に対し陳述しないということがあるがどうか。
鍛冶良作
172
○衆議院議員(鍛冶良作君) それでこれは衆議院では
修正
したのです。今の黙
つて
おるのは罰しないことに
なつ
たのです。
伊藤修
173
○伊藤修君 黙
つて
おれば不問ということですね。
鍛冶良作
174
○衆議院議員(鍛冶良作君) そういうことです。そういうことに訂正した。刑事
訴訟
ですらそうや
つて
おるのにいかんじやないかというので訂正したのであります。
伊藤修
175
○伊藤修君 質問しても黙して語らざる場合はこの罰に該当しないというわけですね。
鍛冶良作
176
○衆議院議員(鍛冶良作君) 原案は「質問に対し陳述をせず」とな
つて
おつたのを、「陳述を拒み、忌避」……。
伊藤修
177
○伊藤修君 黙して語らない場合は三十三条によ
つて
処罰されないわけですね。
鍛冶良作
178
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは仕方がない。その代り
調査
の
方法
がありますから如何にでも認定できるからというのでこの点は訂正したわけです。
長谷山行毅
179
○長谷山行毅君 四条の第二項の、条例でそのほかのことは記載
事項
を
定め
ることができるとい
つて
、これで予想しておるものは大体どんなようなことを予想されるのでありますか。
鍛冶良作
180
○衆議院議員(鍛冶良作君) 随分議論もあつたのですがやはり必要があろうというので残しましたが、大体今までの研究の結果必要があるだろうといわれておりまするのは印鑑証明のための印鑑、それから選挙権の有無とか学齢兒童がどうであるとかそういうようなことを載せた方が便利であろう、こういうことで結局それを載せることにしたわけであります。
長谷山行毅
181
○長谷山行毅君 条例ではそのほかいろいろなことが
規定
できると思いますが、そういう場合に個人のいろいろ名誉に関することやなにかの場合があり得なくもないと思いますけれども、そういう場合に今のこの罰則との
関係
で嫌な問題を記載
事項
にしてやつた場合に、何か条例で
規定
することに対して、何といいますかこれを
監督
するというか勧告するというか、そういう条例でもそんなことをきめるのでは不適当だというふうな
方法
が何かどつかに
規定
がありますか。
鍛冶良作
182
○衆議院議員(鍛冶良作君) どれだけの効果があるかということになると問題ですが、二十九条はそのために設けてあります。これは主として成るべく全国に統一的なものを作りたいという意味と、それからそういうものは積極的、消極的に聞きに来るならばなおですがそういう意味でこの条文を残したわけであります。
長谷山行毅
183
○長谷山行毅君 これは勧告した助言ですから、そういうことを
規定
していけないというところまではできないわけでしようね。
鍛冶良作
184
○衆議院議員(鍛冶良作君) それはそういうことは面白くないと思うだけは
差支
えないでしよう。但し聞かなんだらどうするかということはちよつと
方法
はないですが、もう一つ附け加えて御
説明
申上げますが、これは衆議院で一番議論のあつたところなんですが、地方自治法の第十四条の第一項で、「普通地方公共団体は、
法令
に違反しない限りにおいて第二条第二項の
事務
に関し、条例を制定することができる。」これがあるからこういうものを置かんでもいいじやないかという議論が大分やかましく
なつ
たのですが、これがあ
つて
やろうというか知らんが、市町村でこの住民登録に関しての特別の関連のあるものをどうせやれるならや
つて
残して置いた方がよかろうということで残しましたわけであります。
左藤義詮
185
○左藤義詮君 今例を挙げられたのは、選挙権の有無、学齢兒童の有無でありましたが、それだつたら別に地域的な特殊なものでなくて全国一齊のものなのでありますから、取上げられた例がらすればむしろこれが必要ならば八の次に挙げられればいいので、特にこうして相当ゆとりを持
つて
挙げると、今長谷山
委員
の御心配に
なつ
たようなことも条例で入れるようなことになりはしないか。結局そうしてそれが又罰則へ繋が
つて
行く。こういうことになるのですが、これをいつそ今三つお挙げに
なつ
た例が是非必要ならば、記載
事項
にお入れになればいいし。
鍛冶良作
186
○衆議院議員(鍛冶良作君) この第四条は、住民登録制度というものにどうしても必要であるというものをここへ列挙したわけであります。今の言うのは市町村だけが特に必要だとすれば、それを利用してや
つて
もよろしいというだけであ
つて
、住民登録制度としては第八までは必要である、これは欠けてはいかんのである、こういう意味であります。
左藤義詮
187
○左藤義詮君 そうすれば市町村みな同じにしてこんな第二項を設けないで置いたらどうですか。罰則があるから私は非常に心配するのですが。
平賀健太
188
○
説明
員(平賀健太君) 第二項のような
規定
は市町村で非常に要望いたしておりまして、行政
事務
に便宜なように市町村で記載
事項
をきめることができるようにという要望に基いてこれは入れられたのでございますが、この条例で住民票に記載すべき
事項
をきめた場合に、それが全部が全部
届出
事項
になるとは限りませんので、選挙資格の有無とか学齢兒童の有無というものは
届出
を持たなくても年齢がわか
つて
おります。それから住居
期間
もこの住民票の記載自体でわかりますので
届出
を要せずしてわかることで、要するにこの選挙人名簿を作つたり或いは学齢簿を作つたりする場合に簡單に発見できるという、そういう便宜のために選挙資格の有無であるとか学齢兒童であるとかいうようなことを書いたらどうかということなのであります。でありますからして、必ずしも書かなくても住民票を見れば当然わかることでありますから、或いは書かなくてもいいという市町村もありましようし、書いておきたいという市町村もありましようし、これはやはり市町村の便宜に任したらどうかという事柄でございます。
左藤義詮
189
○左藤義詮君 市町村の便宜のためにこの第二項を設け、而も
法律
を見ますと罰則はやはりこれにひつかかるように読み得るのですが、それを救うものとしては二十九条とおつしやいますが二十九条も絶対のものでないといたしますれば、むしろ
法律
の第二項はのけてしまつたらどうですか。或いは罰則の
規定
の場合に第二項に関してはこの
規定
は
適用
しないとか、何かそこをしないと町村が条例できめてそれに対して陳述を拒んだという場合にすぐこれが罰則にかか
つて
来る。而も法の趣旨からいえば、ただ市町村の便宜のためにおくものが罰則にひつかかる慮れがあるということは、それは非常に警戒しておかなければいけないと思うのです。
平賀健太
190
○
説明
員(平賀健太君) これは先ほど長谷山さんからも質問がありましたように、地方自治法の第十四条の一項で
法令
に違反しない限りにおいて条例を制定することができるので、市町村としてはやはり条例で罰則も作れるわけでありますが、こちらでできないことになりますと、やはり市町村として是非それが必要となればその地方自治法に基いて地方条例でそういう罰則を作るという結果にな
つて
来るんじやないかと思うのであります。でこれは勿論乱用は飽くまで防止されなくちやなりませんので、ただ的確な乱用防止の措置は地方自治法の建前でできないのでありますけれども、要するに余り条例で以て細かい記載
事項
を
定め
て全部それを
届出
に待つということにいたしますと、これは
届出
が結局励行されないということになります結果、住民登録の全体の成績が悪くなるという結果になりますので、市町村としてはやはり条例できめますものは十分その点を考えて、住民の
届出
の
義務
の負担と、それからやはり
届出
が正確に行われるかどうか、住民票の記載の正確性を如何にして保証して行くかという、そういう点から条例の記載
事項
、これを又
届出
にするかどうかということも市町村としては愼重に考慮しなくちやならん。本当に住民登録に真に熱のある市町村でありましたら、まあむちやなことはきめないのじやないかと想像されるわけであります。又余りにむちやなことが行われましたら、二十九条の
規定
はそれを防止するに完璧とはいえませんけれども実際上相当の役割を果すものじやないかと、そういうふうに考えております。
左藤義詮
191
○左藤義詮君 只今の御
説明
では地方自治法で幾らでも条例で罰則をきめられるという話ですが、これは地方が地方自治法によ
つて
やればこれは止むを得ませんが、我々は国で作る
法律
の中に罰則に
適用
されるようなことを予想するものをこのままで入れておくということは、少し筋が違
つて
来ると思うのです。 それから又第二十九条というものは勧告を聞かなかつた場合はどうなるかということは少しもないわけですから、そういうようなことが常識がなくて若し問題が起るような場合には、もうすでに勧告が行われるような場合も予想しなければならん。若し常識で行くならば、この二十九条なんかは入れなくてよろしいわけです。
平賀健太
192
○
説明
員(平賀健太君) 市町村の条例と申しましても、やはりこれは市町村の住民の代表者であるところの市町村の議会がきめるものでありまして、我我といたしましてはやはり市町村の議会というものを住民の代表として信頼していいんじやないか。住民の
利益
にひどく反するような立法を条例が制定するということは先ずないのじやないかと思うのであります。これは国民全体の代表としての国会というものと大小の差はありますけれども市町村の議会といえどもその点においてはやはり住民の代表であります。住民の
利益
を無視した条例というものは一応できないであろう、しないであろうということを我々は信用してもいいんじやないか、そういうふうに大体考えております。
左藤義詮
193
○左藤義詮君 ちよつと私の質同趣旨と違うのですが、地方自治法のことを申上げておるのではなくて、地方自治法で罰則を含んだ条例を作ることは今おつしやつた通りなんですが、ここへ条例で住民票に記載すべき
事項
が幾らでも附け加えられる、まあこの
法案
からいいえば。而もそれがこの
法律
で八つ数えたと同じように、若しそれを拒否した場合に罰則が
適用
されるということは、無論その条例をきめるときには罰則なんかも考慮して地方議会がきめるとおつしやるかも知れませんが、そこに若干の食い違いが出て来るのではないか。地方議会の
責任
においてきめるということはこれはおつしやる通りなんです。それは地方自治法を認める以上は当然なことなんですが、ここで条例で住民票に記載すべき
事項
は幾らでもきめておいて、それが自動的にこの
法律
の罰則にかかり、国が今きめる八つの
事項
と同じように若し拒否した場合には、やはり五万円以下の罰金になるということは少しそこの筋が違
つて
来ておるのではないか。こういうことを申上げておるのです。
鍛冶良作
194
○衆議院議員(鍛冶良作君) それではその議論は出ますが、これがなくてもこの自治法の十四条でこういうことができるのですだから自治法できめれば同じ効果にな
つて
来るわけです。こんなものがなくてもいいのじやないか、こういう議論が多かつたのです。この十四条がいかんことにな
つて
おるのです。
左藤義詮
195
○左藤義詮君 十四条と言
つて
おるのじやないのですよ。
鍛冶良作
196
○衆議院議員(鍛冶良作君) 十四条できめればこれと同じものがきめられるのです。だからわざわざそういうものを入れてはいかんというなら十四条をやめなければいがん。十四条がある限りはこれをのけてはいかんということは……。
左藤義詮
197
○左藤義詮君 条例として作る場合と国があらかじめ作る
法律
にゆとりを作
つて
貰うということとは、そこに若干の軽重ができて来ると思うのです。私の言うことを逆に言えば今おつしやつた十四条のようになるのです。十四条でできることをわざわざ入れて、而もこれが自動的に罰則にかかる国のきめたものと同じ項目になるということに対してはですね。
鍛冶良作
198
○衆議院議員(鍛冶良作君) 罰則は十四条できめればここへ入るんですよ。ただ問題は十四条があるからやめたらいいのじやないか、あれはそういう議論なんです。その議論で初めやめるということも衆議院で案も作
つて
みたのですが、ただ強いて言えばこの十四条は
一般
の行政全般に亘るものである、ここへ書けば住民登録に
関係
があるものだということが明らかになる。これは十四条は何でもないのですから、ここにあるのは住民登録に最も
関係
の近いものという意味から書いてもよかろう。こういう意味でこれは公聽会の意見を聞いた方がいいという、こういう議論が多かつたわけですからこれを入れたわけです。
左藤義詮
199
○左藤義詮君 若しそういうことならば、例えば東京都で世帶票の条例をや
つて
おるのですが、それと同じように条例で各市町村に必要があればお書きになればいいのですね。この二項にこういうことを書くことによ
つて
従来の
法律
全体の罰則にからんで来るので非常に私は嫌な気持がするのですが、だからそれならば十四条に任しておいたらいいんじやないか。これは住民票の問題だからここへこういう項目を入れておいたというが、入れたらすぐ自動的に最後の罰則と関連して考え得るいろいろな場合々々が、質問されたように、いやがるような条例でもここへ入れてそうしてすぐこの罰則が
適用
されるという私は慮れがあると思う。
平賀健太
200
○
説明
員(平賀健太君) 三十三条の
規定
と申しますのはこれはやはり住民票、住民登録の正確性を保障しますところの最後の担保なのでございまして、こういう
規定
をどんどん発動するというようなことは実際問題としてはそう考えられないことなのであります。併しながらやはり最後の正確性の担保としてはやはり他の
法令
にもこういう
規定
がございますので、必要であるというので入つたのでございます。 それから四条の第二項で以て市町村が条例で記載
事項
を
定め
ることができるとした以上は、その記載
事項
はこの第一項の一号から八号までほど正確でなくてもいいということは言われませんので、いやしくも住民票の記載
事項
がそれぞれ公証力があるとする以上は、やはり一号乃至八号と同じ正確度を保つ必要があるのではないか。そういたしますというと、この記載
事項
の正確を担保するための保障でありますところの三十三条の
規定
というものは、その条例に
定め
る記載
事項
についてもやはり
適用
があると見るのが、これはり住民票というものの公証力を保障する以上は建前上そうなくちやならないと思うのであります。この第二項の
規定
に条例による記載
事項
というのを特に掲げたのは、住民票というものが市町村本来の
事務
である以上は、やはり市町村の自主性というものを重んじなくてはいけないのじやないか、本来地方自治法でできることでありますけれども、特にここに掲げるというのはやはり市町村の自主性を重んずる、市町村が熱意を持
つて
この
事務
を
遂行
して行くということに何らかのやはり貢献があるのではないかということだと思うのであります。本来こういうことが
法律
上できないということになりますと、やはり地方自治法の第十四条も問題にすべきものと考えております。
法律
上は地方自治法の第十四条で条例で罰則をつけることもできることにな
つて
おります、
法律
上できる。当不当の問題になりますと、今申しましたように、いやしくも住民票の記載
事項
と
なつ
た以上は、その正確性を担保するための三十三条の
規定
は、条例の記載
事項
についてもやはり
適用
があるとするのが妥当であると、こういうふうに思うのであります。
左藤義詮
201
○左藤義詮君 最初の御
説明
とちよつと変
つて
来たようで、町村の便宜上つけておるということであつたが、非常に町村に熱意を持たせるために、やはり町村に自主性を持たせるためにこの十四条があるのだというので、さつきの御
説明
と変
つて
来たようでありまするが、第三十三条は殆んど伝家の宝刀で最悪の場合で滅多にやらない、事実上問題になるのは変な抜き方をした場合で、我々が
法律
を出すときにはやはりとにかくこの最悪の場合を考えなくちやならんので心配いたすのでありますけれども、自主性を持
つて
おるから条例でやれる、極端に言えばどんなことでも住民票に
関係
がないことはない、住民票に
関係
があることならどんなことでも記載
事項
をきめられる、そうして条例の場合にはそれが前の八と同じように罰則の対象となるということは、滅多にないとおつしやるかも知れませんが、私どもは最悪の場合を心配する余地が多くあると思うのですが、その点は如何ですか。
鍛冶良作
202
○衆議院議員(鍛冶良作君) それは三十一条の第一項で除外してあるのです。「市町村の当該吏員は、住民登録の正確な実施を図るため、第四条第一項に
規定
する
事項
について、事実に反することを疑うに足りる相当な
理由
があるときは、事実の
調査
をすることができる。」、こうな
つて
おります。この
調査
に関してのみその
適用
があるのであります。
鈴木安孝
203
○
委員
長(
鈴木安孝
君) 他に御発言がないようでありますから本日はこの程度で……。
伊藤修
204
○伊藤修君 質問はなお保留しておきますから。
鈴木安孝
205
○
委員
長(
鈴木安孝
君) なお次回に質疑を続行いたします。 本日はこの程度で散会いたします。 午後四時十九分散会 出席者は左の通り。
委員
長 鈴木 安孝君 理事 伊藤 修君 鬼丸 義齊君
委員
左藤 義詮君 長谷山行毅君 岡部 常君 一松 定吉君 衆議院議員 鍛冶 良作君
政府委員
法務府法制意見 第四局長 野木 新一君
事務
局側 常任
委員会
專門 員 長谷川 宏君 衆議院
事務
局側 常任
委員会
專門 員 小木 貞一君
説明
員 法務府民事法務 長官総務室主幹 平賀 健太君