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1951-03-29 第10回国会 参議院 法務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十九日(木曜日)    午後二時二十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件検察及び裁判運営等に関する調査  の件  (王子朝鮮人中学校におけるカメラ  マン負傷事件)  (少年院等集団逃走事件)   —————————————
  2. 鈴木安孝

    ○委員長(鈴木安孝君) 只今から委員会を開きます。本日は検察及び裁判運営等に関する調査を議題としたします。幸い田中警視総監が御出席になつておりますから、この際総監に対して御質疑を願います。
  3. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 去る三月七日の王子朝鮮人学校におきまして、警察官ニュースカメラマン負傷させたのではないか、それから無抵抗少年少女たち負傷させたのではないかということの問題なのでありますが、この問題だけでなく、最近各地で警察官がいわゆる国民公僕であるという意識が徹底しないで、国民支配者であるような態度をとつておるというようなことが頻々として起つておるので、この際警察を担当しておられる法務総裁、それから東京都の警察関係して警視総監質問をさせて頂きたいと思うのですが、この間新聞で見たんですが、現代の作家の坂口安吾という方が大阪道頓堀の所を散歩してその記事を書いている。坂口安吾というふうな方ですから極く率直に書いておられるのですけれども大阪道頓堀あたりを歩いて、お巡りさんたちがそこを動いているのを見ると、どうしてもつまり警官国民公僕であるという感じはしない、警官国民支配者であるという顔付きをして又そういう態度で歩いておる。実に不愉快極まるということを書いておられるのです。それを何か雑誌に書かれたものとみられますが、新聞が引用して警察官国民公僕であるという意識においてではなく、むしろ国民支配者としての意識において行動しているんじやないかということを新聞も問題にしていたのです。我々もしばしば残念ながら、敗戦後警察官が民主化されるということに非常な期待を抱いて来たのですが、最近に至つて、まあ国際情勢とか国内情勢とかいろいろな問題があるということは了解しておりますが、併しそういう問題があるからといつて警察官国民支配者のような態度を以て国民に望むということはこれは非常に大きな問題じやないかと思う。問題はつまり二つあるわけです。同じ朝鮮人の場合にも一つ警察官ニュースカメラマン負傷させるということは、言うまでもなくニュースカメラマンなり、新聞記者なりというものは国民の目である。その国民の目を警察官梶棒で打つた国民の目を打つたにひとしい。前例におきましても御承知のように、大正三年に有名なシーメンス事件日本海軍腐敗事件世論の非難を受けて日比谷で国民大会が行われたときに、やはり警察官新聞記者負傷を負わせそれで非常な問題になり内務大臣責任を問うということにもなつた。又大正十二、三年頃でありましたか、大阪で総同盟大会の際にやはり警察官新聞写真班カメラを奪つて、これがやはり政治上の問題にまでなつたことがあります。そういうふうな重大な問題であるというふうに私は考えるのですが、法務総裁はその点についてどういうふうにお考えになつておられましようか。新聞記者或いはニュースカメラマン報道に従事するという人は国民の目である。それを若しも警察官がこれに負傷を負わせる、或いはその報道活動妨害するというふうなことがあるとすれば、法務総裁として責任を感ぜられますか、どうでしようか。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察官につきましては、国家地方警察については、国家公安委員会においてその運営管理をしておられるわけでありまするし、又自治体警察につきましては自治体公安委員会において運営管理をしておられるわけでございまして、その警察官訓練指導又諸般の場合におきまする行動等においては、当該公安委員会において責任を持たれる筋合のものと考えておる次第であります。ただ私自身立場から申しますると、法律的責任は別といたしまして、かような事態につきましての只今羽仁委員の仰せられましたるごとく、二ユースカメラマン社会的機能というものがこれが国民の目であり、耳であるという非常に国民世論を喚起し、或いは国民社会の出来事の真相を知らせる上から申しまして、極めて貴重な機能を営んでおるということは全く同感でございまして、従いましてこれらの諸君がその職務執行せられるに当りましては、警察官諸君はできるだけその活動に便ならしむるよう注意をして行動すべきものである、こういうことを根本的に考えておるわけでありまして、恐らく各公安委員会におかれましてもかような方針の下に警察官教養をなさつておられると存ずるのであります。今回の具体的の事件につきましては、これが果して警察官故意に基くものであるやら、或いは当時集まつておりましたる群衆の行動の結果であるやら、その辺について詳細の報告をまだ受けておりませんような次第でございまするが、若し警察官故意にさような取材妨害というような行動に出たものといたしまするならば、恐らくは公安委員会におきましてこれが是正のための適切なる措置を講ぜらるべきである、かように考えておる次第であります。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 報道に従事しておられる方に対してはお今考え伺つたのですが、警察官梶棒を持ち又ピストルを持つているということは、あれはどういう目的のために持つておるのか、法務総裁はどういうふうにお考えになつておられますか。
  6. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはいずれも一種の武器と見るべきものでございまして、警察官等職務執行に当りまして、自己又は他人の生命身体、財産を保護するために、他に方法なしと認められる場合におきまして、必要の最小限度においてこれは使用すべきものである、こういうこれは法律の規定の趣旨もさようになつておるわけでございまして、この趣旨においてのみ使用を許されるものと考えるのであります。
  7. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 今の御説明のような御趣旨においてのみ用いられているというふうに見ておいでになりますが、そういう趣旨でなく無抵抗国民に向つて使用されてお場合が大分多いということはお気付きになりませんでしようか。
  8. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これはその時その場合におきまして、当該警察官自身とつさの場合に判断して使用するのでございまして、警察当局といたしましては常にさようなとつさの場合においても判断を誤ることなく、その必要な限度を逸脱して使用することのないように教養をいたしておるものと考えております。併しながら何分警察官も多数でございまするし、又平素思いも及ばざるようなとつさの際の行動でございますので、或いはその程度を逸脱いたしまして、本来許されざるような仕方におきましてこれらのものを使用する者もあり得るかと思いまするが、それが故意に行われたと認めまする場合におきましてはこれは明らかに犯罪でございまするからして、それに対しては当然必要な手続をとられつつあるわけでございます。
  9. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 さつきの日映カメラマン負傷したときに、同じ所で十四、五ぐらいの少女がかなりの負傷をしておつた、それが警察官によつて加害されたものだというように考えられる節があるのですが、そういう事実は御承知でしようか。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私としては報告をうけておりません。
  11. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 去る三月七日北区上十條二の二十二番地にございまする朝鮮中高等学校におきます朝鮮人騒擾事件が発生いたしました際に、誠に残念なことでありましたがニュースカメラマン松本久彌君が頭部重傷したのであります、これにつきましてもとより警視庁側といたしましてもかかる事態の起りましたことは誠に遺憾なことでありまして、若しこれが警察官の手によつて本人重傷を負つたといたしましたならば誠に申訳ないことでありまするが、私といたしましても直ちに関係責任者に金じまして、一人々々現場携つた予備隊警察官その他関係者全部について一人々々面査いたしたのであります。ところが誰も該当がないのであります。ただこのことを一つ参考に申上げまして皆様方の御判断を願いたいと思うのでありまするが、警視庁におきましていつも騒擾事件が起りました際に、警察官が殴つたとか或いはその警察官に蹴られたとか、警察官がどうしたというようなことがいつも問題になるのであります。でこれはもう昨年の三月実施いたしました上野におきまする台東会館の接収の際もそうでありまするし、又早稻田大学におきまする騒擾事件の際にもそうでありまして、数回の事例に鑑みまして警察側といたしましては必ずこうした騒擾事件、例えば大量にこれを検挙せねばならないというような事件の場合におきましては、警察自体におきましても或いはカメラを持ちましてその現場撮影いたしたのであります。当日刑事部管轄下写真班が或る二階からその現場写真を写そうといたしまして写真機をかまえておりましたところが、それを見かけました朝鮮人が土足のままその二階にかけ上りまして、そうしてその写真機を殆んどめちやめちやに破壊いたしまして、そうしてその警察官にも或る程度負傷を与えたのであります。そうしてなお他の社のカメラマンも中に入ろうとして撮影をしようと思つてつたのでありまするが、なかなか朝鮮人が頑強にこれを妨害いたしまして、とうとう中に他のカメラマンは入れなかつたのであります。この松本君だけは極めて勇敢にその中に入つて参りまして、いろいろその乱闘の中に入りましてアイモを廻しておられたわけであります。警察側といたしましては、できるだけこのカメラマンなり或いは又写真班撮影に対しましては、公務執行妨害のない限りはできるだけ取材行為の自由というものを認めまして、警察官職務執行に非常に邪魔になる、妨害になる、或いは又カメラマン自体に非常にその生命身体が危険に瀕するというようなことのない限りにおきましては、従来におきましてはそのカメラマン取材行為警察側としてはカメラマン同士のいわゆる良識に待つてこれを活動させるというような態度でやつております。ただ実際問題として警察官がどつと侵入しようとしたときに、その中にカメラマンがおると非常に邪魔にもなるし又本人自身にも非常に危険が生じますので、そういう際には一応他の場所に退避しておつてもらつて適当なときに中に移させると、かような今まで話合をしてやつて参りまして、こうした騒擾事件はもう都内におきましても何回となく繰返されたのでありまして、今回のようなこのカメラマン負傷したというようなことは未だ曾てなかつたわけなのであります。かような点から考えまして、当時出動しておつた警察官がこのヵメラマンに何ら恨らみはありませんし、又絶えず出ておりまする者はカメラマン撮影するくらいのことはみんな知つております。従いましてこれに対して妨害する人も又全然ないのではないかとかように考えております。  それからいま一つ、あのカメラマン松本君が頭部負傷をいたしました際に、警察側の見方としましては非常に苦痛のように見受けられるので一人か二人の警察官がすぐ後から行つてこれを抱上げていたけれども本人は非常に責任観念が強いというのでありまするか、なおアイモを廻しておつたということであります。そこで警察官はこれはいかんというので後から本人を抱えておつたけれどもやがて本人も非常に気力が賜りまして倒れたので、直ちにそれを抱えて教室に入れてそうして直ちに病院の方に運んだわけであります。かような点から申しまして私ども警察官がこのカメラマンを殴るなんということは全然想像も予想もできないことであります。それからなおこのカメラマンめ松本君の傷口を調べたのでありますが、果してこれが岩石のようなものでやられたのであるか、或いは警棒のようなものでやられたのであるかということは、医師の鑑定も非常にむずかしいのであります。その鑑定をお願いしたのでありますが、これも十分に結果を得ないのでありまして、なおこの点につきましてはむしろ警察がかようなことをやるのは、その当面の一人になつておるからして最も公平な立場において一つ検察庁にお調べを願いたい。若し警察官がやつたということになれば、これは我々としても申訳ないのであります。その点は一つ公平の立場において第三者である検察庁十分一つ取調を願えるだろうかというので、検察庁の方にお取調をお願いしておるわけであります。なお当時の医者の言うところによりますというと、傷口附近に泥が附着しておつたということであります。毛の中に、同様に頭部に相当このキヤメラマン以上の重傷を負つた警察官も、同様な傷を受けた警察官も相当おるのであります。これらの傷口を見ますると、やはりその附近に泥が附着しておつたということで、大体警察官の受けた傷と同じような状態のもとに受けておるのであります。かように考えるのであります。又警察官自体が然らば石を投げるかといいますというと、警察官が石を投げるようなことは絶対いたしません。警察官としては石を投げるようなことは事実ないのでありましてこういうことは絶対いたしておりません。それから松本君にあとで一体誰がそばにおつたかということを質問した者があつたのであります。その時に松本記者はたくさんの人に囲まれていろいろ質問を受けたのでありますが、そばに誰がいたのかという質問に対してそば警察官がおつたという答えを本人がしたわけであります。それは暫くして本人が少し気が遠くなつたのでありますが、そこに警察官が後からそれを支えてそうして写真をとつたということでありますから、最後までそこに警察官がおつたことは事実であります。あとから支えられて写真をとらしておつたんじやないかと思いますが、かような点から考えますと、警察官が殴つたということはどうしてもいろいろの事情から考えまして考えられない。併し私ども何分にも多数のことがありますから、とにかく乱戰乱軍の中でやつたことでありますから、これをはつきり警察官じやないと私どもは言い切ることはむずかしいかと思いますが、我々としては誠意を持つて仮に警察官であろうがなかろうが、とにかく警察官がやつたかどうかということを一人々々取調をいたしたのであります。只今のところまでは警察官がやつたという証拠も出ていない、殿つたという現場を見た者もないわけであります。かような状態でありますのでその通り御了承を願いたいと思います。  今一つ少女負傷をした、このなんら無抵抗女子供にまで負傷をさしたのは誠にけしからんという御意見はまさにその通りであります。これは当時の朝鮮学校におきまする抵抗状況はさつき申上げましたが、大体におきまして青年行動隊というのができております。これが大体二百名近く百七、八十名おつたと思います。これは朝鮮学校小学校生徒は入つておりませんので、大体において中学校の男女学生か入つております。主として男でありまするが、当日は中等、高等学校生徒が全部、殊に抗争意識の熾烈な連中でございましてスクラムを組みまして校門に全部頑張つておりまして絶対に通さないと、革命歌を高唱しながらスクラムを固く組みまして警察官の侵入を防止したのであります。それからいつもこの朝鮮人戰術といたしましては、女子供前線に出してそうしてあと抵抗をするのはあとに残つておる者がやる。これが朝鮮人警察官に対する戰術一つであるわけでございまして、当日も高等学校生徒を出しそれから又小学校女子供まで皆前線に出して、そうしてそれを一つの防塞としてその中に又行動隊スクラムを組んでおる。二重三重の防禦態勢をとつておるような状態でありまして、従つてこの警察官が突破するに際しましては、何としてもこの女子供を成るべく怪我をさせないようにこれをひつぱり出して、そうしてこれを全部待避させた上で、頑強なる抵抗線を突破しなければならんということが当時の情勢つたと思います。従いまして女の子をひつぱり出してそいつを外に待避させる際に、とにかく相当混乱しておりますから、或いはその間に負傷したのではないかということもまあ考えられるのでありまして、決して警察官意識的に無抵抗女の子負傷させたというようなことではなくて、はつきりこれも又警察官公務執行意識的に妨害をしておつた者で、止むを得ずそれを待避させるために実力行使をやつたために、或いは負傷したのではないかということも一応考えられるわけであります。まあ当時の状況はかような状況でございまして、決してその警察官意識的にニュースカメラマンを殴るとか、女子供負傷させるというようなことは絶対に私どもとしては考えられないことでごいざます。  それからなおこれはあとで聞いた話でありまするが、松本カメラマンは実は警視庁パトロール制度ニュース映画を作つておりまして、この松本君によくお願いして警視庁警邏制度、パトロールしているところを夜遅く雨の中で実は撮つてくれておつた方なのでございまして、この間松本君が負傷したために、今のパトロール制度ニュース映画カメラ撮影することも今ちよつとできなくなつてしまつております。従つてこの松本自体警察官に悪意を持つてそういうようなことをしたとは私ども全然考えられないのでありまして、まあこうした、その後ニュース映画社とも私どもいろいろ協定いたしまして、危険な場合においてはみずからの判断によつて一つ余り危険な所に出ないようにしてほしい、それからその標識等も十分に一つ協定しようじやないかというようなことで、実は今大体協定をして今後こうしたことのないように、一つお互いにやつて行こうということを話合しておるわけであります。  それからなお警察官指導者意識でありまするが、これは私どもやかましく申しまして、いわゆる指導者原理によるところの、国民の上に立つて国民を指導するとかそういうような意識は全くこれを払拭するようにということでかねがね教育をいたしておりまして、最近におきましては以前よりはよほどそういう観念は薄くなつて参つたと思うのでありますけれども何分にも多数の警察官でありまして、中にはそうした意識を持つて民衆に対してもそういつたようなことをやつておることもあるかと思いますが、この点も十分一つ今後注意いたしたいと、かように考えておるわけであります。
  12. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今法務総裁田中警視総監から詳しく御説明を頂戴して御説明になりましたような御趣旨で現在の警察が運営されているとすれば私も大変仕合せであると安心したいと思うのでありますけれども、例えば御説明の中にも警察官棍棒乃至拳銃を使用するということは、その警察官判断によつて使用されるというように聞える御説明もあつたようですが、それは恐らく私の聞き違いであつて警察官棍棒拳銃等を使用することは客観的にそれよりほかに方法がないと判断されるという根拠がなければ、その警察官の主観的な判断によつて使用されることが許されるということになつてしまつては大変なことだと思うのであります。警察官がとかく興奮の余りに非常に主観的な判断によつて、他に方法があるにもかかわらず、客観的には明らかに他の方法があるにもかかわらず、棍棒を使用した或いはピストルを使用したという例が最近非常に多いのじやないか、王子の場合は不幸にしてその一つではないかというふうに心配するのであります。今、田中警視総監の御説明では王子の場合カメラマンを打つたのは恐らく警官でない、そうは信じられない、又十四才の少女を打つた、これに傷を負わせたということも他に全く方法がないというために棍棒なりそういうふうなことになつたのだろうというふうにおつしやつたが、田中警視総監がそういう意味で警察最高責任はやはり人権の尊重にある、いやしくも人権蹂躙をするような警察官は自分の部下に、或いは所管の警察官に、そういう者は一人もあり得ないというように確信を示されたことには大いに敬意を表するのですが、併し御説明の中にも何分にも多数の警察官だから中にはそういうことをする者があるかも知れないということは、私は警察官の重責にあられる人の御説明とは甚だ受けとりにくい。それは警察最高の指揮に関することであつて、中に一人でも二人でもそういうことがあれば警察官国民の目から、日本警察官は依然として国民に対する専制支配の道具にすぎない、かろがろしく棍棒拳銃を持つて良民を迫害するというように考えられても仕方がない。従つて、あなた、警視総監なり或いは警察関係される法務総裁の名誉にも関係せられることと思うので、一人もそういう警察官がいないような方法是非とつて頂きたいと思うのであります、それでなお御質問いたしますが、幸いにしてこの日映の松本カメラマン負傷させたことが警官でないという場合にも、責任をお感じになる必要があるのではないかというふうに思うのですが、それはこの負傷させた人が如何なる、誰が負傷させた、又如何なる原因によつて負傷したかということはさておいて、この写真などを見ますとこの校内には非常に多数の警察官が入つておられる、そうして殆んど警察官以外の人の姿を見るのに苦しむくらいに警察官が一ぱいに入つておられる。恐らくここに集つてつた人はすでに駆逐されたものだろうというふうに判断するが、そのあとに極く少数の警察官以外の人が入つておる、そういう状況である。警察官が手が放せないというなら別ですが、多数の警察官のいる中で、国民の目となり耳となるべき報道に従事しておる方に重傷を負わせるということは、やはりその警察責任であるというように考えられないでしようかどうでしようか。  それからその点が一つ、第二は、不幸にして若しこれが警察官松本カメラマン負傷させたのであるということが事実として証明された場合には、どうなさるおつもりでありますか。
  13. 田中榮一

    参考人田中榮一君) すべて事件の発生の場合におきまする措置は、これは警察がいたすのでありまして、もとよりニュースカメラマン報道員がその場にいて負傷したということはこれは私ども全体の治安責任者として、東京全体の治安責任者としましても、私どもとしましてはその責任感じておるわけであります。ただああした混乱の場合におきまして考えられることは、やはりこのニュースカメラマン自体といたされましても、或る程度の、どの程度に行つたらば危険であるかということは常に考えられまして、勿論私の方もニュースカメラマンなり報道員身辺に関する警戒その他につきましては十分に考えておる次第でございまするが、ただそうした場合におきましてニュースカメラマン単独行動でいろいろなことをやられる場合において、警察としてどうしても手の届かんような止むを得ないような場合も起るのじやないかと考えられるのであります。恐らく今度の場合は全く混乱の中にありまして、ニュースカメラマン負傷したかどうかということは当初においては警察官自体意識していなかつたようでありまして、やがてニュースカメラマン頭部から血がこんこんとして流れ出た、その外的現象を見て初めて負傷したということがわかつたような状態でありますので、我々としましては今後も十分に一つ報道員並びにニュースカメラマン現場における行動につきましては、身辺警戒警護をいたしますが、同時に又報道員並びにニュースカメラマン自体としても常識によつて一つ自己身辺なりそうしたものの警戒を十分にして頂く必要があるのじやないかと考えております。この点につきましてはすでに先ほど説明いたしましたごとくに、現場における措置その他につきましては、今後如何にして災害を防ぐかということにつきましては、今いろいろお互い話合つて大体話がまとまつたような次第でございます。この点一つ御了承願いたいと思います。
  14. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 もう一つ
  15. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 失礼いたしました。勿論警察官でありましたならばそれによつて適切なる措置をとりたい。本人に対しまして懲戒的な措置をとる必要があるかと考えております。
  16. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今のお答えの点で私ども甚だ納得しないのでありますが、このニュースカメラマンが危険なような所に立ち入るなということは、まさか警視総監として御主張になるわけじやないと思うのですが、ニュースカメラマンはむしろそういう場合によつて身辺の危険を感ずるような場所にこそ国民として知らなければならないということを若し見出したとした場合には、やはりそういう所にも活動の職責があることは十分お認めになることだと思うのであります。恐らく私は先日来から政治上の責任はさておきまして、朝鮮人の学校が接収され、その後の問題というものについては接収された朝鮮の人々としてはどうしても不満があるということは、これはきつと警視総監法務総裁もお察しになられることであると思うのです。仮に我々が日本人として外国においてそういう措置を受けたとすればやはりどうしてもただ默つて引込むわけには行かない。なんとかして返して貰いたい、或いはなんとかして自分たちの目的に一致するような方向にその学校が運営されるように希望するということがあると思うのです。従つてこれに対する取締なりなんなりの際に一体そのどちらが乱暴かということは先日来この委員会でも問題になつていたことであり、挑発されないで警察官が力による取締をやつているのじやないかという疑いが世間にあります、事実。で挑発されないで警察官棍棒なりピストルなりを用いているのじやないかという疑いがだんだん最近高まつておる。それに対して恐らくニュースカメラマンが、それが果して挑発されないで警察官が武力を行使しているのか、それとも止むを得ず客観的な判断からしてその棍棒なりなんなりを用いるよりほかに方法がないということになつて用いているのかということは、我々報道に従事される方の果敢な報道によつてでなければ国民はそれを見ることができない。あなたも現場においでにならなかつたように我々も現場に絶えず行くことができないのです。だからこの際読売なり国際或いは日映、そのほか各社がそれぞれニュース映画を撮られたようでありますが、そのニュース映画班が多数出動してニュースを撮られたということには、この真相、実際の事実というものをやはりニュースカメラマンとして国民報道してそして国民判断して貰おう。若しも朝鮮のかたがたが非常に乱暴であつたならばその警察の処置というものを了承するはずだし、反対にこの警察官行動が非常に行き過ぎであるということであれば輿論の力によつてこれを是正される。良心的な目的に基いて行動されるという場合には今お話のようなことによれば、或いは総監なり警察の方では危険だからここに入らないで貰いたいというような所に、そのために入ることができないということになつてしまつて報道責任が果せないのではないかというふうに思うのです。とかくいわゆる輿論の目の届かない所、暗い所でさまざまな残酷なことが行われることはよく御承知通りであります。留置場の中とか或いは警察官報道に従事される方の立入りを好まない、或いはそれを防ぐというふうな所で若し不当なことが行われているということを国民が知らないということになつては大変だと思う。  それから第二の点で、不幸にして警察官ニュースカメラマンにこのような重大な負傷を負わしたものだとする場合に、私はこういうことが今後根絶されることをお願いしたいと思う。従つて必ずしもその下級警察官に全責任があるものか、それとも警視総監におありになるのか、或いは法務総裁におありになるのか、私は必ずしもそのことを個別的に切離して取上げて問題にするという意思を持つていないのです。そうでなくしてどうか今後こういうことが根絶されるようにどういうふうになさるおつもりであろうかというふうに伺つているのです。恐らくは例えば下級警察官を処罰されても余り意味がわからないのじやないかと思うのです。職務に熱心な余りニュースカメラマンを叩いた、それでこれは首になつた、実に残念だ、同僚もそういうふうに同情しておる。或いはその指揮官、第四方面警視庁予備隊の指揮官というようなかたがたにしても果してどれだけの認識がおありになるのか。つまりどういう意味でどういうふうにしたならばこういうような、若しもこれは警察官によつてなされたものであるとするならばニュースカメラマンに対しても、又無抵抗の人に対して暴力が振われたということに対しても、これを根絶するにはどういうふうにしたらいいかとお考えになるのか。その点法務総裁警視総監のお考えを伺つておきたいと思うのであります。
  17. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 警察の官武器の使用につきましては警察官等職務執行法に如何なる場合に武器を使用し得るかということを明記いたしてございまして、即ち「警察官等は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」こういう原則を掲げてあるわけでございます。私は武器使用についての一般原則としてはこれで十分であるものと考えます。要はこの原則が如何なる場合においても守られるかどうかという問題に帰すると思うのでございまして、それには先ず平素におきましてかような事柄についての警察官教養訓練ということが必要でありますると同時に、その根本におきまして国民の基本的権利というものをどこまでも守るということが警察の根本的な考えであるという、かような警察の根本の考えについても十分なる理解を得られるような措置を講じておかなければならんと思うのであります。かよな方針の下にかような武器の使用が現実に行われまする場合は、先にも申上げましたる通りとつさの場合でございますから、よくとつさの場合においてこの根本原則に基いた行動ができるような判断力というものをつけておかなければならないし、又すべての下級警察官に対しましてこれが期待できないといたしまするならば、特に部隊として行動をいたしておりますような際におきましては、その指揮官或いは指揮官の補助者において適当な統制をとつて武器を使用せしめる。例えば上官の命令があるまでは絶対に武器の使用を許さないというような方法を講ずることも一つ方法ではないかとこう考えるのでございます。恐らく各公安委員会におかれましてはかような考え方に基いて行動せられておるものと確信はいたしておりまするが、先にも申上げましたる通り、多数の警察官の中には十分な教養がついた者ばかりでもないわけでございまして、特に武器の供用等についてはこれは極めて根本的重大な事柄でありまするから教養つて最も力を入れておられるはずではございまするが、併し具体的の場合にとつさの行動として必要の限度を逸脱するという者もないわけではないのでございまして、現にそれがために犯罪として処罰されるという者もあるのでございまして、これは極めて遺憾なことでございまするが、只今申上げましたようないろいろな措置を講ずることによりましてこれを防止するような方法を講ずべきである、かように考えておるわけであります。
  18. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 最初のカメラマン身辺に対する注意義務でございまするが、これにつきましては今までの経験によりまして、大体事件が発生いたしまして何か手入れをしようというような場合に、どうも相手方が相当熾烈な抵抗があるというような場合におきましては、大体カメラマンなり報道班員にここまでは大丈夫だろう、これ以上入ることは非常に危険だという程度のあらかじめの注意は常に与えております。但し御承知のようにカメラマンも各社お互いに競争的に撮影をいたしますので、大体において警察で協定した線を出てまあ撮影をするわけであります。今度の場合におきましても恐らくはかの撮影班は全然入つていなかつたのでありまして、松本カメラマンだけが中に入つてつて撮影してこういう結果になつたのでありますが、この点につきましては将来余り拔駈け的な功名的な、ことで撮影して、みすみすその身辺に危険があるというような場合におきましては警察としてもそこまで飽くまでそのために又警戒をつけねばならんというようなことにもなりまするので、これは一つよく現場におきましてよく協議いたしまして、カメラマンとして取材行為をされる上において危険でない最高限度まで進出して撮影する。あとは若しもそれ以上に進まれる場合においましては警察としてはできるだけ本人生命身体を保護する意味でこれを阻止するほかないのじやないか、かように考えております、但し我々としてはこの取材活動につきましては最大の考慮を払つて尊重いたしたいとかように思うのであります。  それからなお警察官暴行の場合における責任の御質問がございましたが、これはもう最後の責任者としては当然私がこれは責任者となるものと私は考えております。
  19. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 どうもその御説明を伺つてますます不安のよう感じもするのですが、法務総裁なり或いは警視総監というような最高責任に関連しておられる方としては、そういう人がまあ多少は出るのもやむを得ないというふうな事務的な点の御説明よりも、どういうふうにしたらそういう一人も我々国民の基本的人権が危くされるというふうなことが、殊に警察官からそういう危険を感ずるということがないようにするかという、これは大正三年の事件のときにもここに各東京新聞通信社代表の決議で、「警察官吏兇行して無抵抗なる新聞通信記者を傷害したるは、吾人の天職を危くするものなり。その責任者たる内務大臣はこれに対し書面を以て謝罪の意を表明すべし」というふうに言われ、或いは、人権蹂躪問責決議案には「警官人を刃傷し又は一挙多数の良民を抑留してその自由を奪う。これ人権を蹂躪するの甚しきものにして、警官の職責を盡さず帝都の秩序を乱したるの責断じて内務大臣にあり」こういうふうに言われておる。これはいわゆる民主主義になる以前、昔の日本でさえもこれくらいのつまり認識があつたのだと思う。それでニュースカメラマンがその取材活動をする場合に万一警察官から危険を与えられる、警察官がこれに傷を負わしたのじやないかという疑いが多分にあります。而して又そういうふうに判断される証拠もあります。今までは警視総監は恐らく警官でないというふうにおつしやつていますが、警察官が叩いておるというのを目撃した人もある。これはいずれその方面の調査が進められるにつれてこれがはつきりして来るだろうと思う。それから又そのときに各社がうつしたニュースなどを我々が若し見ることができるならばその場の情景というものをもつとはつきり知ることもできると思う。今警視総監松本君だけが入つておるようにおつしやいましたが事実はそうでない。そういう点でまだ十分責任をお感じになり、又お調べになつていないところもあるのじやないかというふうにも心配するのですが、国民の目となり耳となつてこれを国民報道するニュースカメラマンなり、新聞記者諸君が言語道断警察官からの危険を受けるという状態にあるということが若しあるとするならばどうしたらいいか、それを防止するには。又そういう事実が果してあつたのかないのかということは、私は警察なり治安なりの最高責任者として重大な責任をお感じになるはずだと思う。治安を乱すのは決して人民の側でない、警官である。却つて警察治安を乱す。こういうことは実に重大な問題である。そういうことがあつたらば国民は安心して生活することができないし、又ニュースカメラマンも安心して職責を果すことかできない。ところが今ここに問題になつておるのはかなり確かな証拠を以てニュースカメラマン警察官に打たれて負傷したのじやないかというような事件なのです。だから今まで御説明になつたような点ではどうも私としては十分納得することができないのですが、これ以上私から伺つても同じような結果かと思うので私の本日の質問はここで打切ります。
  20. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 羽仁さんの質問に補足する立場から、又関連したことに関しまして少し質問いたしたいと思います。  先ず関連した点から申しますと、松本君のみが危険な所へ立入つたからああいうことになつたというお話ですが、ここに松本君が書いた手記があるのです。この手記を全部読めばすつかりおわかりだと思いますが、その点一カ所を読んでみますとこういうふうになつております。「記者写真班の登つている塀に上ろうと、アイモのボツクスを合に上ろうとすると、塀上の記者と並んでいた見物人と思う人が手を貸して上げてくれた。それでやつと新聞社と肩を並べて撮影をすることができた。警官隊はすつかり学校内に入つてしまつたので、私は新聞社の人々と学校内に入つた。学校の中では警官が校舎の方に走つて行くのが遠くに見えた」というふになつております。これは警官が入つて行つからほかの新聞社は学校の中へ入つたというふうになつていて、決して警官の入つて行くのを邪魔したというふうになつていないのです。先ほどのお話ですと、警官の邪魔になつたからというふうな意味、又松本君一人がそういう危険な所へ行つたというふうにお話になつておりますが、どうも私たちその点了解できない。  それからぶつたの警官でないということを言い、又警官であるかもわからん、その点不明瞭な御答弁ですが、先ほども羽仁さんが、ここに目撃したという証人があるというふうにお話しましたが、サン新聞の仁礼という人が松本君にこういうことを語つている。松本君のアイモ警察官が取つてからもめているところを見た。もめているなと思つていると警察官に殴られたからおかしいと思う。その警官は確かに鉄帽でなく制帽であつたということをサン新聞の仁礼さんが松本君に話している。こういうふうにちやんと生きた証人がここに出て来ている。それからなお松本君はこういうことを言つておる。殴つたのは根棒であると、瞬間ではあるが意識しておる。それは感覚的にも目にもそう感じた。だから石が飛人で来たというようなことは絶対にあり得ない。とにかく棒であることは間違いない。だから警察官であれば鉄帽か制帽かぐらいはわかるだろうと聞かれるが、殴られたあとは目が眩み、足もふらふらして暫しの間目がいうことを利かなくて倒れていたのであるということを松本自身が言つておる。こういう点から見ると、どうも殴つたのはやはり警官ではないではないかということを我々は強く感じられるわけです。  それから先ほど傷跡に土がついていた。だから石ではないかというお話ですが、あの混乱の中で棍棒に土がつかなかつたかということは絶対に言えないない。やはり棍棒にも土はつき得る。だから土がついていたということで棍棒でないということは断定できないと思うのです。そういう点から私たちは警官が殴つたというふうに強く感じられるわけですが、その点どういうふうにお考えになりますか。
  21. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私も終始現場におつたわけでありませんので、具体的にここでその場の状況を御説明申上げることはできないと考えておりますが、一応私の聞いたことだけを申上げます。若干事実に相違しておる点があればお許し願いたいと思いますが、一応そのニュースカメマンも他のカメラマン報道員も学校の中に入つてつたそうです。ところがその朝鮮人の方でこれを全部外へ追出してしまつたということを私は聞いのです。これは今言う通り事実かどうかわかりませんがこうしたことを聞いたことを申上げます。従つて或いは最後に残つたの松本カメラマンであつたかも知れませんが、当初におきましては他の報道員等も中に若干入つたのではないかと思います。それをあとから写真を撮つたときに朝鮮人が外に出ろといつたものだから出た。これは他のニュースカメラマン或いは他の報道員も入つたけれども全部出されてしまつたということを警察官に話しておりますることから察しまして、或いはあなたのおつしやつたように当初は他の者が入つてつたかも存じません。これは私確信を持つて申上げることはできないのであります。  それから今のアイモ警察官が取上げた、それから御本人が、殴つたの警察官である、こう言つたそうでありますが、それは、これも私現場本人から聞いたわけではありませんので、確信を持つて申上げかねるのでありますが、傍におつたの警察官だということを本人が言つたことは、警察官も聞いておりますけれども、ほかの新聞社の方々も聞いておりますから、誰が傍におつたかと言われたときに、警察官がおつたのだということを本人が言われたことは私どもも聞いております。ただ警察官がおつて警察官が……、こういうことを申上げて、さつぱり具体的の証拠もないじやないかと非難されると思いまするが、警察官が今までカメラマンを、如何なる混乱の場合におきましても、随分これ以上に混乱の場合が今まで相当ございましたが、その場合におきましてもいわゆる暴徒にカメラマン写真機を取られ或いは破壊された例はございますが、未だ曾つて警察官ニュースカメラマンを叩いたり写真機を壊した例はないのでございます。又我々も実際第一線に行く者に対しましては、取材活動につきましてはやはり或る程度敬意を払つて成るべく支障ない限り便宜を計らうようにしてもらいたいということはかねがね警察官にも申渡しておりますので、これらの客観的事情を総合いたしまして、私どもといたしましては警察官がやつたのではなかろうということを申上げたのであります。私は今ここで警察官じやありませんと言つているのではないのでありまして、私どもも厳重に一人々々調べておりますがまだ私がやつたという者が出ておりませんし、又第三者の、警察官がやつたのだということの証拠もないのであります。なおこれにつきましては、警察は当面の関係者でありますから私どもが調べてはお手盛だという御非難もあろうと思いますので、この点につきましては、公平な立場において検察庁一つ十分お調べ願いたい。こういうので今検察庁の方へ御調査をお願いしておるわけであります。
  22. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほど法務総裁がおつしやつたように、警棒を使う場合は大体防禦的な立場で使うというようなことを言つておられますが、ところが事実は私たちは棍棒が振られる場合にたびたび接するのですが、我々が見てどうも攻撃的に使つておるというふうに解釈する場合が多いのです。今度でも小さい女の子、十五、六才から十七、八才の女の子がたくさん傷を受けている。羽仁さんの手許には何十通という診断書が出ております。これらを見まして、決して警官棍棒を使つたのは防禦的ではない、攻撃的に使つているということが、必要以上にそれを使つているということが明らかにされると思うのです。又ここにありますこの写真を見ましても、この気絶して倒れている人を棍棒を十字に組んで押えているような状態、この写真を見ましてもどうも防禦的に棍棒を使つたというふうには解釈されない。どうも警官棍棒を使うのに行過ぎが常にあるのではないかということが言えると思うのです。その点私たちはいつもこの法務委員会で心配して注意を促しているのですが、特にこの際警官棍棒使用に関してあなたの方から強く注意を与えるという意思があるかないか伺いたい。
  23. 田中榮一

    参考人田中榮一君) お答え申上げますが、警棒使用につきましては、やはり警棒使用の心得というものができておりまして、この警棒につきましては勿論その正当防衛の場合もございまするし、急迫不正の侵害に対しては自己又は他人の身体財産を保護するというために、防禦的な立場において使用させる場合もございまするし、又一面におきまして、兇悪なる犯人がおりました場合におきましては、積極的にこれによつて警棒を行使するという場合も一応考えられるのであります。特に警棒使用の心得というものが大体きまつておりますからしてこれを十分徹底さしてそれで差支ないのではないか、これで人権の保護の目的は達することはできると確信しております。
  24. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういう事件は今回に限つたものでないので、昨年から、たくさん発生していると思うのです。昨年の五月三十日の新宿の職安の問題、又電業社の問題その他たくさん起るのですが、そのたびに告訴の手続をとつているのですが、いつも告訴が取上げられないという状態にあるわけです。若しも今度この事件本人が告訴するならばこの告訴は取上げられるかどうか、法務総裁の御意見を伺いたいと思います。
  25. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 加害者が明らかになればこれはもう当然起訴すべきものだと思います。現実に又警察官が必要以上に武器を使用したということが明らかになりましたならば、これは当然刑事問題として成立し得るものであると、かように考えます。
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それから少し質問が庭るのですが、これを朝鮮人騒擾事件と最初からきめてかかつていらつしやるように感じられるのですが、事実は二月二十八日の学園事件、そのために或る一人の人が或る嫌疑を受けたために、その学校が非常に蹂躙されたということ、それに関しまして三月七日にPTA大会が行われるということになつて、政府は合法的に認めていらつしやつたということを伺つているのですが、どうでしようか、三月七日の大会に関して。
  27. 田中榮一

    参考人田中榮一君) そもそもこの朝鮮人学校騒擾事件の発端は、或る一名の朝鮮人学校生徒が二月の二十三日に国電田端の駅の構内におきまして、警察官職務質問を受けましてその際に何故か本人は速かに国電の中に遁走したのであります。怪しいと見て直ちにその警察官が追尾いたしまして国電の中でこれをとらえまして、その持物を検査しようとしたところが、それを窓外に、電車の窓に放り出したのであります。その後国鉄公安官の手によりまして二十六日にこの品物が出て参つたのでありまするが、その中は反米思想普及の物凄い文書であつたのであります。本人を直ちに尋問いたしました結果、朝鮮人学校生徒であり又朝鮮人学校の寄宿舎に本人が住んでいるということが分つたので、二月の二十七日に検察庁の押収令状を取りまして寄宿舎を検索いたしまして、相当な宣伝ビラその他を発覚、押収したのであります。それに対しまして朝鮮人学校がこの二月二十七日の検索押収は不当である、そこでPTAの大会を開くということになつたのであります。元来学校におきますPTAの会合につきましてはもとよりこれは政治的集会でございませんから、これは学校当局者の任意に任しております。従つて都條例によるところの公共の場所における集会でございませんので許可の必要もございません。これは任意に学校長の責任において純然たるPTAの会合でありまするならばどこでやろうがこれは任意であります。ところがこの三月七日におけるPTAの会合は純然たるPTAの会合とは認められんのであります。何となればこれにつきましてはすでに三月の六日にPTAの大会の名をかりまして政治的な集会をやるということを或る所で決議をいたしまするし、又当日は方々に宣伝ビラ等を撒きまして、他の外廓団体の集合を促しておるような状況であります。いやしくもPTAの会合でるあならば、その学校の生徒の保護者、父兄という者が集会すべきが当然であるにもかかわらず、他の日傭労働者或いは一般の人々に呼びかけまして集会を求めるということは、而も又或る一定の目的のもとにこれを求めるというのは、私どもとしましてはこれを純然たるPTAの会合と認めることはできないのであります。従いまして、これに対しまして無許可の集会と事実を認定いたしまして、解散を命じたのであります。然るに警察の解散命令に従わずに集会をなお決行しようといたしましたのでここに実力行使になつたのであります。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 こういうことが言われておるのであります。PTAの大会をやるのが真意であつた、ところが人民抗議大会をやるというようなビラが撒布されて、ところがTTAの招集状にはちやんとPTAの責任者が印を捺して招集をしておる、ところがビラにはPTAの署名も何もない、印もないようなビラが多数に撒かれている、これは明らかにスパイの行動であつて、PTAのやつたことではない、本旨ではないということが言われているのですが、その点調査なすつたかどうか。
  29. 田中榮一

    参考人田中榮一君) その辺の調査は私どもはまだいたしておりませんけれども、純然たるPTAの会合であるといたしましたならば、まだ会合の終らんうちにいろいろ宣伝ビラが、校庭において実力行使いたしましたのは午後一時三十分から実力行使をいたしたのでありますが、すでに午後十二時半頃相当なこうしたビラが警察官の手によつて押収されておるのでありまして、私どもはこうしたビラは恐らく前日に用意されまして、その日に実力行使以前にビラがすでに配布になつているところを見ますと、私はこれは純然たるTTAの会合とは認定できないと思うのであります。
  30. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちがいつも心配する点は、なかなか単純じやないと思うのです。こういう場合PTAが、本当のPTA大会をやろうとしているときに、或る反対の立場に立つている人たちが、そのPTA大会を混乱させるために、壊すために、悪意を以てそういうビラを撒布する場合が往々にしてあるということを皆さんが承知していらつしやるか、認めているかどうかという点をお聞きするわけなんです。そういうことが往々にして現在行われているということが訴えられているわけなんですが、それに関しましてこれがPTAの目的とする、とにかく抗議大会であつたというふうに、あなたたちがすぐ断定なさることがすでに非常に無理があるのじやないか、そういうふうに私らは心配するわけなんです。その点をよく判断なさつて、そうしてPTAの責任者はつきりその点をお確かめになつて、ああいう行動に出られたのかどうか、もつと悪く言えば最初から弾圧する意図の下においてそういうビラを撒かしたというように、或る方面では弾圧を受けた側からは判断もする場合が起つて来るわけなんです。その点を私は心配して御質問しておるわけなんです。  それから出動なすつたのは、これは管轄は王子署の管轄だと思うのですが、王子署が最初出動したのですか。警視庁が最初出動なすつたのか、伺つておきたいと思うのであります。
  31. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 最初王子署が出動いたしまして、それから後に警視庁予備隊が出動いたしたのであります。
  32. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 間違いありませんか。
  33. 田中榮一

    参考人田中榮一君) さようでございます。王子署外附近の数署から若干名の応援を得まして、王子署が中心になつて出動したことは間違いありません。
  34. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは私直接王子署に参つて調べたことでありませんからわかりませんが、聞きますところによりますと王子署では誰が来たかさえ知らないと言つておるということを伺つたわけなんです。それで私はこういう質問をあえてしたわけなんです。そういうことは全然ありませんか。
  35. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 誰が来たか知らんというのはどういう意味でございましようか。ちよつと理解できないのですが。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 警視庁の誰が出動したかすらもわからない。即ち若しも王子署が先に行つてそこにいれば、後から警視庁が来れば、王子署の指揮の下に行動がなされるのではないかと私は解釈するのですが、その王子署の責任者が、警視庁の誰が来てそうしてやつたか知らないという意味のことを言つているということを伺つたのです。
  37. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 警視庁の予備隊が参りましたときには、その地域を担当しておりまする方面本部長手柴警視正が王子警察官に出動いたしまして、そこに本部を置きまして部下を指揮いたしておりますので、警察側で誰が来たかわからんというようなことは絶対にあり得ないと思います。王子署を根拠にいたしまして指揮をいたしました。
  38. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それからもう一つ警視庁の出動なさつた隊長はどなたでしたか。
  39. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 責任者といたしましてはちよつと私番今号は忘れましたが、責任者として出動いたしましたのは手柴警視正が出動いたして指揮いたしました。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それからその日出動なさつた部隊は何部隊、何人出動したか、ちよつと伺つて置きたいと思います。新聞ではいろいろ伝えておりますので正確なことを伺つて置きたいと思います。
  41. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大体千五百名以内と考えております。正確な数字は只今わかりませんが、千五百名以内と思います。
  42. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうして何部隊なのですか。
  43. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今ちよつと詳しい数字を持つておりませんので。
  44. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほど伺つておりますと、警視庁のほうでも写真班が出動なさつて写真を撮つていらつしやるということを伺つたのですが、若しその写真班が出動していらつしやるならばその写真を私たちは見たいと思いますので提出をお願いいたじたいと思いますが。
  45. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 先ほど説明申上げましたごとく、警視庁写真班写真を撮ろうといたしましたところが、朝鮮人が多勢来まして写真班写真機を破壊され遂に撮ることができなかつたのでございます。
  46. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最初に申しましたようにカメラマンでは松本君のみが深入りしたというふうにおつしやつておりますが決してそうじやない。松本君が朝鮮人と特に親しいために深入りしたという話になつているらしいのですがそうではない。方々の写真班が出ていると思うのですが、その方々の写真班写真を私たちは見たいと思うのです。
  47. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私が申上げましたのは、松本君が朝鮮人に親しいというのではなくて、むしろこれは松本君が取材行為に熱心の余り勇敢に取材行為をしたものと考えます。従つて私は朝鮮人松本君が親しいという意味で申上げたことはないと思います。  それからなお他の社の写真はこれは私の方からでなくて、むしろ若し御必要とするならば参議院の法務委員会のほうから一つ御要求頂いたら如何かと思います。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に法務総裁に大い六に政治的に解決をお願いしたいと思うので私の希望を申上げたいと思うのですが、先ほど羽仁議員も申されましたように今日の状態ではこの種の事件がしよつちう起ると思うのです。そうして法務委員会はそのたびごとに煩わされなくちやならんと思うのですが、法務総裁は政治家としましてこういう問題を解決するために、学校問題は朝鮮人の自主的な立場において民族的な教育をすることを認めるように御努力をなさる御意思があるかどうか伺いたいと思います。
  49. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この学校のうちにおきまする教育内容をどうするかという問題でございますが、これにつきましては文部大臣からお聞きを願いたいと思つております。
  50. 伊藤修

    ○伊藤修君 先ず第一に伺つて置きたいことは、先ほど警視総監から検察庁の手を以て調べて貰うような手続をしているとかおらんとかという趣旨のお話がございましたが、それは手続になつておるのか、なつているとすればどの程度行つているかということ。  それからいま一つ警察官の出動は千五百人と伺つたのですが、相手方のほうはどのくらいの集団であつたか。  それからいま一つは、先ほど田中警視総監棍棒で殴つたか石で傷ついたのかちよつとわからんと医者が言つたといのですが、一体その医者はどこの医者か。現在の日本の法医学から見れば、傷跡が鈍器のものであるか、或いは鋭利な刃物であるか、或いは角のある石でやられたかということは日本の法医学では判定できると思うのですか、その医者の名前を挙げて頂きたい。その三点を先ず伺いたい。
  51. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この事件につきましては、東京地検におきまして捜査を現にいたしております。その状況につきましては検務局長から御説明をすることをお許し願いたいと思います。
  52. 高橋一郎

    ○政府委員(高橋一郎君) 三月七日の松本カメラマン負傷に関する事件といたしましては、当時金鐘久という朝鮮人がその傷害の現行犯として逮捕されまして、ほかの公務執行妨害の被疑着と一緒に検察庁に三月九日に送置になりました。検察庁の方で調べて見まると逮捕した警察官も殴つていた現場を実は見たのではないので、負傷したときに、その場に立つて襟首に手をかけておつたというようなところを現認した程度でありまして、且つ負傷のほうはどうも棒のようなんでありますけれども本人はそれに相当するものを持つておらなかつたといつたようなことからこれは拘留いたしませんですぐ釈放してございます。そういうことで松本事件というものは現に検察庁において事件として受理されて調査中なんでありまして、その後も松本君の傷が大分回復して参りましたので、富田検事を主任といたしまして、その被害者本人なり或いは現場におりました他のば三者などもいろいろ調べまして、愼重にこれを明らかにしたいと、こう思つておるのでございす。まだ結論を得るには至つておらないのでございます。
  53. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 当時現場におりました朝鮮人の数はこれははつきりいたしておりませんが、外部と内部と合計いたしますとまあ大体千八百名ぐらいになろうかと思つております。学生を入れて他の外郭団体が全部集まつて来たのも入れまして千八百名内外じやないかと思つております。それから松本カメラマンを収容いたしましたのは、上十條の二丁目二番地の岸外科病院に直ちに本人を収容いたしまして治療をいたしたのであります。
  54. 伊藤修

    ○伊藤修君 法務総裁がお急ぎのようでありますから法務総裁の分だけをお伺いいたします。先ほど法務総裁警察官等職務執行法についての原則をお述べになりましたが、原則の次に書かれてある第一号及び第二号から見ましても、我々は少くともこの法律を制定する当時におきましても法務委員会としては絶対反対した。他の委員会においてかろうじて採択されておつたのでありますが、当時すでに我々といたしましてもこの警察官の武器の使用について非常に危惧の念を抱き、殊にピストルの使用につきましては、我々としてこういうような職務執行法を作る場合において往々にして逸脱する場合が予見される。当時において強くその点は指摘いたしましたのですが、当時田中さんもおいでになつたのですが、或いは国家警察本部長官もいらつしやいまして、警察官としてはいわゆる立法趣旨を十分体して、濫りに使わないという御趣旨つた。ところが最近におきまして御承知通り全国で以つて六十数件のいわゆる発射事件があつて人命が傷害されておる。殊に東京都内で田中さんの責任の範囲内で起つた事犯といたしましても、窃盗犯人が逃走した場合に四発の実弾を発射して死に至らしめたというような事犯がある。こういうような点から見ますと、折角憲法が二十数カ條、三十カ條近い基本的人権に関する保障の規定を設けておりましても、それを行うべきところの国家の公務員の諸氏がすべて……。
  55. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 実は討論が終つて採決に入つておりますので誠に申訳けありませんが失礼さして頂きます。
  56. 伊藤修

    ○伊藤修君 ……これに対しまして、皆が何ら憲法の趣旨を少しも実行されていないがごとき国民に印象を与える。我々といたしましてはこの立法の精神というものをもう少し皆さんにおいてよく把握して頂きたいと思う。それで最近において逸脱行為が往々にしてある。あるにもかかわらずそれはいつも不問に付されるという傾向がある。それで先ず今のこの間の窃盗犯人の射殺事件についてどういうふうになつているか、その経過を一つお伺いいたしたいと思います。法務総裁か見えておりませんから……。
  57. 高橋一郎

    ○政府委員(高橋一郎君) 本件につきましては新聞に出ました当時、早速総裁からこれはどうもよく検察庁の方で独自に調べて置いた方がよかろうという話がありまして、その旨をすぐに東京地検のほうに通知したのでありますが、地検の方ではそれよりも前に主任検事が現場行つて独自に捜査をやつております。検察庁の方としてもこれにつきましては適正なる処置をする見込でございす。
  58. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今の池上に起りました窃盗犯人の逃走射殺事件につきまして、当時の概況をちよつと御説明いたしたいと思いますが、丁度或る民家に窃盗が入りましてそうしてそれは現行犯であります。家族に騒がれまして、そうして現行中を発見いたしましたので騒がれましてそうして逃走いたしたのであります、丁度折よくそこへ警邏中の巡査が参りまして附近の者二名と三人がかりで現行犯として逮捕いたしたのであります。そうして現行犯として逮捕いたしまして、その容疑者を本署に連行途中におきまして、いきなり本人警察官を突きとばしまして逃走いたしたのであります。従いまして警察官といたしましては、この容疑者を直ちに追跡いたしまして、若し逃げるならば撃つぞということを再三再四連呼いたしたのでありますがなお容疑者は逃げますので、止むを得ず本人は一、二発威嚇発砲をいたしたのでありますが、それでも本人はなお逃走を続けましたので止むを得ず射殺をいたしたのであります。
  59. 伊藤修

    ○伊藤修君 そういたしますと、それは警察官等職務執行法の何條によつてつたのですか。
  60. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 第七條の規定によつてつたのであります。勿論発射いたしました際には射殺が目的ではございませんで、犯人の逃走を防止するのが目的でありますからして、できれば致命的な負傷を負わないような方法を以てやることが建前になつております。ただとつさの場合でございますので、そうした致命的な負傷は与えないように発射については注意はいたしておりますが、とつさの場合でありましたのでそれが急所に当つて本人は死んだものと考えております。
  61. 伊藤修

    ○伊藤修君 第七條の第一号ですか、第二号ですか。
  62. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 第七條の第一号に該当するものと考えられるのであります。
  63. 伊藤修

    ○伊藤修君 そうすると長期三年以上という罪に入るものとして確認しておやりになつたのですか。
  64. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大体さような見解でございます。
  65. 伊藤修

    ○伊藤修君 そうすると窃盗犯人は常に射殺しますか、結局。
  66. 田中榮一

    参考人田中榮一君) そういうことはございません。
  67. 伊藤修

    ○伊藤修君 我々は当時立法の際においてその点は強く指摘した。兇悪犯罪を例示的にできておりますね、兇悪犯罪を主として、そういうものに対する措置としての発射である、而もそれは威嚇にとどまるというようなことを仰せになつております。そうすると今日ではこのいわゆる文字解釈だけ以て常に職務執行をなさつておいででしようか。
  68. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 私どもが部下に命じております。ことはこの職務執行法第七條が仮にあるといたしましても、要は犯人逮捕が目的でありますからしてできるだけ拳銃は使用してはいかん、仮に身辺に危険を感じても、できれば職務執行法の限度によつてこれを防止する。或いは又他の方法によつてやれ、かようなことでいつも部下には十分趣旨の徹底を図つておるのでありますが、この際におきましてはこの方法をとる以外に方法が他になかつたものと一応考えられるのであります。
  69. 伊藤修

    ○伊藤修君 今僕は具体的事案については詳細でありませんが、少くとも新聞に現われておる事実によりますれば、いわゆる四発も発射しておるということは、もう優越しておるということが考えられることは当然でありましようが、少くとも検察庁として処置はとられると思いますが、いわゆる人命の致命傷に値するようなところに発射するということはもはや逃走予防の趣旨ではないと思います。で私の申上げたいことは、警察官拳銃を持たせる以上は、拳銃に対するところのもう少し訓練を与えなくちやいかんと思うのですが、これはアメリカあたりでは百発百中狙う所を間違えないように訓練しておる。日本警視庁においてそういう訓練が行届いておるかどうか。そういう未熟な人であるとするならばあぶなくて却つて渡しておいては困ると思いますがね。そういう点をあなたの方はどうお考えになつておりますか。
  70. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 誠に御尤もなお説であります。警察官拳銃訓練につきましては絶えずこれを一定の計画の下に実施をいたしておりまして、例えば空射ちの訓練を常時いたしまして、それからときに相当な施設をもちまして実弾発射の訓練をやらしておるわけなんであります。これは今回の事件におきましても恐らく発射した本人は致命的な打撃を与え得ぬものと考えて発射をしておるものと考えておりますが、とにかく追尾中の出来事でありましたので、不幸にして容疑者の身体にこれが当つたのではないかと、こういうようにまあ考えられるわけであります。
  71. 伊藤修

    ○伊藤修君 この種の警察官の職権濫用に類するところの、殊にいわゆる人命に関するような事案に対しましては、先ほど警視総監の公正な御意見もあつたようでありますが、そういう事案を知つたならば直ちに検察庁は先ずみずから率先して、その措置に当るというような方法をとられたいと、こう思うのです。たまたまこの事案につきましては東京検察庁は手をおつけになつたようですが、全国の各事案を見てみますと皆警察の間でもつてうやむやになつておる慮れがある。実にこれは国民といたしましては非常な危険な状態に置かれておる。ただ一警察官の認定に基きましていつでも射殺される慮れがあり、夜おそく歩いておりまして醉つばらつたとか、或いは多少風体の悪いなりでもつて彷徨しておりますと射殺される虞れがあるといたしますと、実に国民生活としてこれほど危険なことはないと思いますが、こういう点に対しましては十分御注意を賜わりたいと思うのです。  それからもう一つ法務総裁を待つておりましたが参りませんから聞いておきますが、一体あなたは警視総監、あなたの場合ですがね、東京都庁でもつて衆人環視の前でもつて窓から突き落されて死んだ事件がありました、橋本事件ですか、こういうように殊更に衆人環視の前で行われた事件というものがいつもうやむやになつてしまう。而もその殺人行為、傷害行為というものが判明しないのです。その事案にはいつも警察官がやつたかどうかという疑惑が投げられておる。こういう点は、私は日本警察制度として遺憾の点、足らざるところではないかと思うのです。衆人環視の前でやつたならば、一目瞭然、そういうものはすぐ結果の得らるべきものではないかと思うのです。随分むずかしい事件でも割り出されておるのですから、そうでない白晝公然と行われておるものをいつもあいまい模糊とじて納められるということは我々としては納得できないのです。それで本件の只今羽仁君炉質疑されておりましたこの事案でも片方は千八百人、片方は千五百人のこれだけの多数の中であるのですから、その事案に対して何人かが認識しておるはずです。たがひとり拉致された被疑者を解放するがけでこの事案を済ますという理窟はないと思います。その他にたくさんの関係者があると思います。これを一々主任検事のかたが取上げる、事件を掘下げて究明すべきであると思います。そういう処置をとらないとすれば、いわゆる警察及び検察の捜査に対するところの国民の疑惑というものが深まつて来ると思います。これは由々しいことと思います。これに対する将来の方針、現在のこの問題に対するお考えを承わつておきたいと思います。
  72. 高橋一郎

    ○政府委員(高橋一郎君) 警察官の特に拳銃によります事故につきましては誠に御尤もなお話でありまして、実は法務府の方といたしましても、先日全国の検察庁に対しまして、この種の事件は従来実際上調査をいたしまして犯罪の嫌疑がないとしてそのままにしておる事例がありますので、特にこの種の事件はやはり事案を立てて正式の捜査をいたしまして、且つこれは中央の方に報告すべきことというふうな通牒を発しましてそれによつて取扱つているわけであります。特に愼重なという取扱をいたしておるわけであります。それから前の東京都庁におきまする橋本命次氏の死こした事件、これは東京地検におきましても一生懸命真相を割り出そうとして当時苦心をしたのでありますけれども何分にも的確な証拠というものが遺憾ながら探し出せませんので今日そのままになつておる次第でありまして、今回の事件につきましては先ほども申上げましたように一生懸命な調べをしておるわけであります。決して送られて参つたところの、いわゆる現行犯人の処置だけで能事終れりとしておるわけではありません。これは私どもの方からも地方検察庁のほうにも念を押してありますことでありまして、その点御了解を願いたいと思います。
  73. 伊藤修

    ○伊藤修君 どうかそういう御方針ならなお更結構でありますが、少くも検察庁はこの種の事件に対しましては刑事訴訟法の百九十一條、これを完全に運用して頂きまして、みずから進んで世間の疑惑を受ける前にやつて頂きたいと思います。これは先ほど田中警視総監が公正の御意見で、自分の関係したことは自分で調べるのは好ましくないから検察庁の手を煩わしたと言われましたが、そういう申立を待たずして、むしろ或る程度検察庁はみずから進んでそういう事件を捜査なさるという御方針になつて頂きたいと思います。  それから捜査の面につきまして、私のお願いしておきたいことはすべて従来の聞込みとかそういう、面でなくて、本件のごときは現実に四週間とか五週間とかいう重傷を負つた現実があるのです。先ずこの傷口に対しまして法医学的に鑑定いたしますれば大体の犯人は割出せると思うのですが、先ほど田中警視総監は十條の何某とかいう町医者の診断を御指摘になりましたが、警視庁には鑑識課に人もおいでになりますし、検察庁には東大の法医学とか或いは科学捜査を十分御利用なさることもできると思います。先ず基本を突き止めて、そうしてやられるのが当然の措置ではないかと思います。それをもなさずしてやつておられることはそれ自体が本件に対してあいまいに、従来と同じように結局黙つてわからなかつたから事件を不起訴にしたというような結果になると思いますが、そういうことに対する御処置はどういうふうになつておるのですか。
  74. 高橋一郎

    ○政府委員(高橋一郎君) 松本君がまだ加療中でありますので、まだ十分精密な法医学的な鑑定をしておりませんけれども、今お話の通りにそれは是非やつて見なければならんとこう思います。
  75. 伊藤修

    ○伊藤修君 それから私は先ほどからの質疑応答をお聞きしておりますと、何らかニュースカメラマンとか或いは新聞記者というものがこういうような騒擾事件に対して邪魔者のような印象を受けるのですね。勝手に商売上やつているのだというようなお取扱のように見えるのです。少くとも私は昔の法律のない旧時代におきましては、いわゆるどう扱つたかは存じませんが、少くとも今日ではニュースに属する人々の仕事というものは国民全体に対しての事実を知らしめるという公けの仕事であると思います。それから警察官も公けの仕事をおやりになつておる。それはあらかじめ最初は打合せて、その公けの仕事を完遂せしむるようにお取扱あることが当然のことと思います。そうしてその仕事を完遂させるためにあらかじめ危害あるべきことも想像されるのですから、その危害を未然に防ぐということは私は第一線に立つていらつしやる警察官諸氏のお仕事であり責任ではないかと思います。そういう、危険の所だから当然危険を冒しておるのだから本人が気を付けなければならんというお考えは私はどうかと思います。むしろそういう危険に立入るような仕事に、而もそれを公けのためにやるという場合におきましてはこれを保護してやる、災害の起らんように措置をおとりになることがまさに第一線の職務をお扱いになる方の責任ではないかと思います。そうでなかつたなら、我々は、例えば我々としての、議員としてのあらゆる危険な仕事を行う場合においてもこれを保護して頂かなければ、本人は安んじて国家のために御奉公ができないと思います。それから一新聞記者及び一カメラマンというものがそれは私の営業であるからかまわんというお考えならばこれは別ですけれども私はそうは考えない。今日の我々の生活の上におきましてはひとしく公けの仕事をしておるという場合におきましては、これに対するところの身分の保障いわゆる生命財産の保障ということはまさに皆様のお仕事の責任の範囲内ではないかと思います。これなくては彼らの仕事というものは全うできない、又我々の仕事も全うできないと思います。この点に対するところの御決意を伺つておきたいと思います。
  76. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 只今の御意見誠に結構な御意見と存じております。従来警視庁といたしましてはニュースカメラマンなり報道員の方々とは少くとも他よりはもつと密接に連携ができているものと私は確信いたしております。殊にこうした騒擾事件におきます写真班並びにニュースカメラマンに対しましては、警視庁としては非常にこれらの方々の過去におきましても非常な協力を願つている面が多々あるのです。例えばいろいろの事件がありました際も警視庁写真班の技術は拙劣であります。逆にニュースカメラマンなり写真班の技術の優秀なために、むしろその写真警視庁として利用させて頂くという場合も従来においてあつたのでありまして、かような意味から申しまして私は少くもこの写真班なりニュースカメラマンに対しましては、現場における警察官としては可能の範囲において便宜の供与は今まで図つてつたと私は考えているのであります。ただ今度のような場合におきましても、とつさのことであり混乱の中にありましたので、警察官としても十分に保護できなかつたということはこれは誠に残念だと思うのでありまするが、今後は十分一つ写真班なりニュースカメラマンとも十分現場において連絡をとり反適切な措置をとつて、双方危険のないようなことにおいて又而も取材活動が十分できるような方法をつ考えまして何とかうまくやつて行きたいと考えております。
  77. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の質疑と応答を承わつていて私いよいよどうも納得しにくくなつて来たのですが、殊にこの委員会でこの問題について皆さんどういうふうにお考えになるかによるのですが、特にこの事件についてはそのニュース社でニュースを撮られたことでもありますし、この委員会の皆さんが是非そのニュースを見てそうして判断しなければならないと思うのです。それから又検察庁のほうのお調べというものも必ずや公正に進行するであろう、その過程において又明らかになつて来る問題もあると思うのです。ただ一つ警視総監或いは法務府のかたに伺つておきたいのは、今も伊藤委員のおつしやつたような検察或いは警察最高の名誉に関係をして来るのじやないかと思うのです、こういうことは。警察官が無筆の人民を殺傷し、又人民の耳目となるべきニュースカメラマン或いは新聞記者というものに傷を負わせるなどというような疑いをしばしば受けられる。この間実は我々静岡県でしたかにおいて発生した警察官拳銃暴発事件調査に参つたのですが、これも今お話の、拳銃を取扱うことについて設けられている法律の、今伊藤委員が指摘されたような全く立法の精神を逸脱して、決して重大な犯人でも何でもないその人がただ逃げる、人間だから多少悪いこともしたこともあるかも知れないが併し普通の常識でいう無事の良民です、それが逃げるというだけでほかに方法がないのじやない。向うは一人こちらは警官が三人もいてほかに方法があつたにかかわらずこれを撃つて殺してしまつた。その殺してしまつたお巡りさんに私はお尋ねしたのですが、あまりそのことを大変なことをしたというふうにお感じになつていないようなんです。私はこうして田中さんのお顔を拝見していると文明を理解しておられる、決して国民支配者だというような思い上つた御了見ではないというふうに感ずるのです。又今の問題は静岡県で警視庁とは関係ありませんけれども、併し私どもは電車の中でお目にかかるお巡りさんなり警視庁の中でお目にかかるあなたの部下のかたで、私のような者でも恐怖の念に襲われるような人相をしておられる方もないじやない。これは警察のさつき申上げた最高の名誉に関することであつて国民の税金によつて月給を頂戴しておりながらその国民に向つて傲然睥睨するというような態度は残念ながらまだ決して漸減しつつあると認められないのです。最近ではむしろ逆にそういう傲岸無礼な態度は増大しつつある。私は警視庁なり各警察でも鏡をもつと備え付けて警察官諸君がもつと自分の顔を見る必要があるのじやないかと思うのです。それでこういう重大な疑いを受けて、警察最高の名誉に関する、国民を保護するのじやなく国民を圧迫するものである。この不幸な戰争や敗戰の経験というものをもうすつかり忘れちやつて又もとのようになりつつあるというようなことであるならば、これは全部最高の名誉に関係することだ。どうか警視総監として特にやはり私はその実際は第一線の警察官の待遇が非常に悪いということも関係があると思う。だから立派な教養を持つということもできないのじやないか、基本的人権の尊重ということも文字の上では読んでも実行においてそれを認識されるということは非常にむずかしいのじやないか、そういう点の問題も是非解決して頂きたい。警察官諸君の待遇をもつと改善してそして少しは小説ぐらい読んで人生というものが如何なるものであるかというふうなことも認識されて、もう少しヒユーマニズムというか、やわらかい人生観に立たれるということが必要じやないか。人民を見れば敵のごとくに見るというようなふうじやないか。この間も王子朝鮮人学校でも中に救護班があつてそれで救護班の方が、その指揮者ですか指揮者の所に行つて若しけが人ができるといけないから救護班を作つてやりたいと思つて言われたときに、その指揮者のかたがそんな呑気な話じやないというふうなことで受付けない、もうその場に臨むときに昔の日本の軍国主義的精神というかなかなか敢闘精神に燃えちやつて、どうして平和的な方法で以てその事態を収拾するかというような冷静な気持じやどうもないようです。私はそういう点も古い時代と今とでは反対の考え方じやないかと思うのです。古い時代は場合によつては激発してでも徹底的に取締るという断乎とか決意とかいうことであつたようですが、現在はたとえ相手が相当暴行的に出て来ようとしてもこれを平和的に収拾するということが立派な警察官の名誉だと思うのです。ところがどうも先日の場合もそうでないようなふうの印象も与えられているのです。どうか待遇の改善とかそれから絶えず教育の上において、あなたの所管のそれぞれの責任者の方が何よりも人権の尊重ということなくして現在の警察というものはないのだということが徹底せられるように、御努力願いたいと思うのですが如何でしようか。
  78. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 大変に御尤もな御意見でございまして、私どもの方も全くこれは羽仁委員の御意見に同感でございます。警視庁といたしましても何分多数のことでございすので中には本当に民主警察の精神をわきまえない者もなきにしもあらずということを考えまして、只今では訓練々々々々とすべて現任教養に重点を置きまして一回ほど受けました者も更に現任教養をやる。これは勤務にある者も全部現任教養を受けるということもやつているのでございます。それからなおいわゆる教養の点につきましてもできるだけ人間的な修養を積む必要があるために法律だけを解釈するとか法律によつて執行するということじやなくて、いわゆる温か味のある人間的な感覚を持たせるようなこともいろいろな方法を以てやつているわけでございます。御趣旨の点は全く私どももその通りだと考えおりますが、今後も更に教養その他はつきましては努力を重ねて行きたいとかように考えております。
  79. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 警視総監にちよつと伺います。これは法律論じやありませんけれども、一体警察官に護身用としてあんな混棒を持たせたりピストルを持たせておりますことは、実際日本全体で一年に何かその必要があるような事件が起つておりますでございますか。警察官の護身用にあんなものを持たせなければ国民からやつけられるといつたような事件が事実ございますのでしようか。
  80. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 現在の戦争後の措置といたしまして、一応警察官といたしまして、警棒と拳銃を持つという警察制度の上においてかような決定をいたしたのでございます。現在然らば拳銃を持つているからその必要があるかどうかということにつきましては、私どもとしましてもここにあるともないともお答えできないと思いますが、一応警察官の服装といたしまして他の諸国の例もございまするし他の諾国においてもやはり警察官は全部拳銃を携帯いたしております。従いまして警察官の必要なるものとして警棒と拳銃只今携帯いたしております。
  81. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 事実においてはその必要を感じたような事件はございませんでしようね、今のところは。
  82. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 事実といたしましては拳銃の必要を感じたこともございます。現に警察官が非常な、逆に若し拳銃を発射しなかつたならば本人生命があぶなくなつたというような事例が、これは東京のみならず全国にもそういう例が多々あると考えております。
  83. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 先ほど私は初めから法律論でないということを申上げたのでありますが、そういう数字が又こういう事例が明らかになつておりますものがございましたら一つお示し願いたいと思います。それから今つはピストルをあんな裸で下げていなければならないわけはどういうことなんでございましようか。
  84. 田中榮一

    参考人田中榮一君) その数字は警視庁だけのものでございすれば私の方にございますから後日調査いたしましてお手許に差上げたいと思います。  それから拳銃のサツクでございますが、御承知のように拳銃を使用する場合におきましては、大体におきましてとつさの場合、或いは急を要する場合があるのでございまして、一々あれを鞄に入れそうして錠をかつたり何かしておりましたならば、とつさの場合に間に合いませんので直ちに拳銃を持つて発射できるような装置になつておるわけであります。
  85. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 実はこの間バスに乗りましたら丁度私が腰をかけている前にお巡りさんが大きなピストルを裸でしておりますから、私自身でも気持が悪くて嫌な気持がしておりましたら、そこにお母さんが小学校の一、二年ぐらいの男の子を煙れて乗りまして男の子はとてもそのピストルに興味を持ちまして、お母さんあれに弾が籠つているかどうかということを一生懸命聞いてお母さんはそんなことは言いなさんなと言いますけれども子供は興味を持ちましてあれを撃つたら直ぐ人が死ぬかとか誰を射つのかとそのことばつかりを聞いておりましたが、そうしたらお母さん最後に困つちやつてつていなさい、そんなことを言つたら今にお前が撃たれてしまう(笑声、「笑いごとじやない、本実だ」と呼ぶ者あり)ということを言つておりました。私は実際に教育上大変面白くないと思いました。実は私今年の一月に各デパートで一番何の玩具が売れたかといつたならば劔だつたそうでございす。私はそれを聞きましてからそれは由々しい問題だというので三越だけを皆調べて見たのですが本当にそうだつたのです。そうすると今年のお正月ですか、お正月頃になりましたら今度は鉄砲、ピストルというようなものが玩具で出て行くということになりはしないか、これを憂えておるのでございます。実は新聞にもよく出ておりますガスコイン夫人が動物議の法律を作れ作れというのでこれは日ならずして婦人議員の立場で何とかしなければならないと思つておるのでありますが、このガスコイン夫人の話を聞いておりますと私どもの感覚と違うことおびただしいほど違うので、例えば高島屋の屋上に象を飼つております、その象に子供たちがお魚を与えるために、そこにプールを作つてそこにお魚を入れて、そのお魚を子供たちがすくつてデパートが儲けるのでございましよう、商売だと思いますけれどもそしてそれを象の餌にやられたそうでございすが、それをガスーイン夫人がたまたま御覧になつてそこにお魚の「うろこ」が一杯おちていた。お魚が苦しんでぴちぴちしているうちに「うろこ」が落ちる、こんな死に方を魚に与えていいか、それこそ魚の権利とでもいいましようか、こんな惨酷な殺し方をしてたとえ象の餌といえども与えることはならんといつて大変動物愛護という精神でやかましく言われました。高島屋はそのプールも止めるし象も止めてしまつたということなのでございます。それはガスコイン夫人に話を聞きますというと、こういうことをしていることが本当に日本人が戦争が好きだという結論になるのじやないか(「そうだ」と呼ぶ者あり)、だから今後の人はもつとよく考えて見てどうぞして法律を作つてくれというのが私どもに大変強く要求をされておることなのでございす。そのくらいな感覚で見ましたら私はあんなに鉄砲を子供が非常に興味を持つように丸出しにしておきまして、そうしてどこを引けば弾が出るかとかあのはがねはどうなつているんだとかいろいろ研究していることを見まして、折角私どもの家庭からは全部武器を、取上げられてしまつている今日、やつぱりああいう世の中で電車の中でも道でもああいうものを子供に見せるということはどうかと思います。而しそうでもしなければどうしても護身上困るという事例がございますれば私ども国民に納得する事例があれば私ども納得しますけれども、その意味で私は質問いたしたのでございます。何とかできることなら教育の立場に立ちまして一つ考えて頂きたいと思います。
  86. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ほど伊藤委員の御質問の途中中座場をいたしまして失礼いたしました。御質問趣旨は前年行われましたる東京都庁構内におきまする傷害致死事件、又この度のカメラマンに対する傷害事件、このいずれに対しましても現在までのところその原因を与えたものがはつきりしないこういうことでは誠に不安であるので、どういう措置考えておるかという御質問であつたそうでございます。前回の東京都庁構内におきまする事件につきましては、相当長年月を経ておるのでございまするが未だに事件としては未済になつております。この事件につきましていつ解決するかという見通しも立つていないような状況でございます。甚だ遺憾に存じておる次第でございまするが、今回のカメラマン事件につきましては現に捜査進行中でございまして、今折角努力をいたしておるわけでございす。果して併しこれも乱鬪の中の事柄でございまして十分な確証を持つてその真相を捕捉し得るかどうか、今からは約束することはできませんが、併しでき得る限りの資料を収集いたしましてこの真相の解決に努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。どうぞ御了承願います。
  87. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 実は私も今度の事件については、例えばさつき伊藤委員も言われたように言論報道の点から非常に重大だと思つて多少調べて見たんですが、ところがこういう結果があるんです。それはどうも目撃者でおられる方がはつきりしたことをおつしやらない、それに関係された新聞社なりニュース会社などでそういうことを余り荒立てて欲しくない、それでニュース会社なり新聞なりの仕事がやりにくくなると困るからというようなうことをおつしやいます。そういう印象を受ける。一般に新聞などでも又法務府でも指摘されておると思うが、日本国民の中に証言をすることを好まない面が未だに随分強いということは法務府も大変問題になさつておるようですが、その原因がどこにあるかということを十分伺いたいと思います。国民が何らの恐怖を感ずることなく自分の見た事実を証言するということができるような日本にして頂くことが法務総裁最高の使命であり、又警視総監最高の使命ではないか、併し現状は日本国民はうつかりしたことを言うとあと警察でいじめられる、あとでいろいろ仕事を邪魔されて仕事ができなくなる、そういうフエアーでない卑怯な庄迫を受けるという恐怖を持つておられるのじやないか、そのために実はなさるべき証言もなさらないことが多々あるのではないか。これは十分我々国民としても、殊に国会としても非常に恥辱でありますから、そういう点を今後十分御注意になつて堂々と男らしく過ちがあつたらその過ちを明らかにしてそれを改める方向に持つて行つて頂きたい。そういう警察乃至検察関係に不利の証言をしたりする人があると、そういう関係の仕事を妨害するというようなことは私は根絶して頂きたいと思います。
  88. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 少年院の集団逃走についての責任問題をちよつと法務総裁に伺いたいと思います。先ずその前に数日前に横浜の保土カ谷の少年鑑別所から又集団逃走しましたように新聞で見ましたが、あれはどういういきさつでありましたか、ちよつと簡単に御説明願いたい。
  89. 古橋浦四郎

    ○政府委員(古橋浦四郎君) 今月二十六日の午後九時四十五分頃でございました、南寮の二階六号室におりました少年十一名のうち八名が洗面器を壊したもので扉を叩き壊しまして外に出まして、そうして更に隣りの五号室の扉を外から壊して内におりました五人を誘い出しまして、そうして他の扉を叩き破りまして表に出まして、高さ約九尺の塀を乗越えて逃走してしまつたという事件でございます。原因といたしましては特段なものは認められないのでございますが、その少年のうち首謀者と認められるものは一人六号室におりまして、その後多摩の少年院に送致の決定を受けておりましたが、病気のためにまあ自分は太く短く生活したいというようなことを日頃洩らしておつたそうでございます。突発的にその扉を壊すことを仲間に話しましてみんなの賛成を得て始めた仕事でございまして、そのうち六名がいずれも十八歳以上の少年それから七名が十八歳未満という振合いになつておりまするが、その首謀者は十八歳以上の少年でございます。なおこの鑑別所は定員百名でございまするが当日百二十八各の現員になつております平生のここの職員の観護の状態を申上げますると、観護課の職員は課長及び課長補佐を除きまして八名ございまするが、そのうち四名が当直いたしまして二名ずつ別れて前半夜、後半夜の当直勤務をしておりました。その時その前半夜の二名の教官が勤務中の事故でございます。以上が原因並びに概要でございます。
  90. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 六尺の塀をどう越えて出ましたのですか、どういう方法で。
  91. 古橋浦四郎

    ○政府委員(古橋浦四郎君) 約九尺の塀でございまするが少年たちが肩車をしてそれで飛び出して行きました。
  92. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 極く最近には四国の少年院に集団逃走が何遍もございましたが、そういう場合に誰かが責任をとらなければならない建前になつておりまするか。
  93. 古橋浦四郎

    ○政府委員(古橋浦四郎君) それは過失の有無、程度によりましてその責任ある者が負うことになつております。
  94. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 そういたしますと、最近のまあ四国にしましても今度の保土カ谷にいたしまして、四国は九十五人定員のところに二百人以上収容されている。又保土カ谷は百人のところへ百二十人もいたんでございますね。で、もう超満員で、私は残念ながら保土ヶ谷鑑別所はまだ拝見していませんのですけれども、設備が非常に不備だというような場合に、一体誰がこの責任を負えばいいかということは私非常に問題だと思うのでございますけれども、実際としては誰がお叱りを受けておりますか。
  95. 古橋浦四郎

    ○政府委員(古橋浦四郎君) 施設が不十分であつたためということになりますれば、その施設をやりましたことについて過失がありましたならばその人が責任を負うことになるわけでございます。その施設を作りました者、従いまして若し施設が非常に不十分であつたためにこの事故が出たということになりますれば、その現場の職員は責任を負わないことになりますが、併
  96. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 そういたしますと、四国少年院の場合はどういうことになりますか。
  97. 古橋浦四郎

    ○政府委員(古橋浦四郎君) 四国の問題につきましてはまだ現場の管区のほうで調査中でございまして詳細は届いて参りませんけれどもいずれ向うで調査の結果を大体上申して参ることと思つております。
  98. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 そうすると何か事件がございましたときは必ずどこかにけが人が出るのでございすか。管区それから院長か、職員か或いはその建物を建てた、そうなると建設省の誰かということになるのでございすか。どうなるのでございますか。私どもちよつと考えますとこれはだんだん責任をとつて行きますと局長で、その次は警視総監、その次は法務総裁、その次は私は総理に行くんじやないかというふうに考えておるのでございますが、如何でございますか。
  99. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この当時の事件につきましては、一般の刑務所においてもままあるのでございまするが、特に少年院或いは少年鑑別所等はその施設の性質といたしまして刑務所のごとく厳重な設備を備えておりません関係上、最近におきましても相当逃走という厄にあつておるわけでございます。従いまして只今質問のようなこれに対する責任はどうかということになると存じますが、現在のところは少年院にいたしましても設備そのものが出来が十分でないというよりはその収容力が不足しておる。従いまして定員以上の人を収容する。その結果は設備としても不足を見まするし、又これに従事いたしておりまする観護その他の職員の手不足という点もございまするので、この逃走についての責任ということに相成りまするというとなかなか各方面の要素を考えませんというと、軽々に何人の責任だということは言えないと思いまするが、要するにかような設備の不足いたしておりまするということはこれは予算の折衝におきまして法務府として十分の力がなかつたということも言えまするし又或いはそれよりも更に大きな立場から国の各方面の支出に比して収入が不十分であるという点もやはりそうしたことの原因の一つに相成ろうかと思うのでございまするが、全般といたしましてはとにかく政府が何にいたしましてもこの全体についての責任を負わなければならんわけでございます。私どもといたしましてはかような事件につきましては現場においての直接の担当者の個々についてもとより責任をとるということはこれは必要なことではあるとは存じまする。併しそれ以上にやはり全般の設備を十分にしてそして収容力を殖やして行くということ、そうして又職員の数を殖やすというようなことが根本的なやはり解決の一つであるとこういう考えを以ちまして折角努力をいたしておるというような次第でございますが。
  100. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 私の一番心配いたしておりますことは、もう逃走することはどうしても必然だと思いますような設備と職員の不足と、それからもつと言えば不慣れな職員で保護矯正の事業がされております場合にこの責任現場の職員に負わせるということになりますと、大変この仕事のために仕事を阻害されるんじやないかということを心配しておるのです。実はこの大部分の今の少年院長なんかから聞いてみますというと、もう粒々辛苦それこそ何年もの間年期を入れてやつて来た方が、何か事故がありますとみんな首になりはしないかということで若しも恐れておりますようなことがございましたら、私はこの仕事は発展して行かないと思つております。まあ子供を逃がすということはいいことではございませんが、子供のためにも逃げたことは大変マイナスになりますけれども、でも私はこの刑務所の建前として、これから少年院の建前或いは鑑別所の建前というのはまるで違つておりますから、一方は教育的にやつているのでございますからそこが非常に考え方を違えて頂きたいと思つております。手錠の問題なんかもそれに連関することなんでございますが、逃さないためには手錠も止むを得ないというような説明を聞いて一応は納得いたしますけれども、併し教育に手錠が必要であろうかということを私ども考えたいと思うのです。それで余り逃げることをやかましく言われますというと、鑑別所にしましても少年院にしましてもだんだん刑務所の色が濃くなりまして、仕方がないから塀を高くしてそれから扉にはみんな刑務所と同じ、刑務所の独房と同じような錠を降しまして、そうして職員の取扱も自然にそういうことになつて来るということと、つまり刑務所的の取扱を子供があの中で受けるということと、それからたまたま逃げてもそれはもう国家としても問題ではございますけれども、それを天秤にかけて見たら私はやはり逃げても仕方がない、もう少し教育的に考える施設としたらもつともつと私はやり方があるのじやないか。そうして自然に手錠やめます、それから何かもつと自由を与えるということにいたしますと、やはり逃げる率は多いと思いますけれども、そういう場合にどうかよくお調べ下すつて、本当に逃走によつて現場の職員が脅威を感じるというようなことはできるだけ少くして頂きたいと思うのでございますが、法務総裁の御意見は如何でございましようか。
  101. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) だんだんと宮城委員のお説を承わりましたが、私どもも全く仰せられました点につきましては同感に存ずるところでございまして、今日少年院はその施設につきましてもその施設の目的の性質から見まして、刑務所の、ごときものであつてはならないし、又その内部におきまする少年の処遇におきましても、やはり教育的な見地から意を用いることが必要であると存じまして、さような趣旨をもちましてこれの運営をいたしておる次第でございます。その半面におきまして非常に逃走が多いということは遺憾でありまするが、併し仰せになりましたるごとく、逃走を防止することの余りに刑務所のほかに少年院が設けられてある趣旨を没却することのあつてはならないという考えを以てやつておるわけでございます。従いまして逃走の際の責任問題というようなものの取扱につきましても、刑務所の場合と少年院の場合とは全くその程度を異にいたしておるわけでございまして、現実に少年院におきまするかような場合の責任の問いただし方ということに相成りまするというと、先ずよほど大きな事件でなければ現実に懲戒処分をいたすということはいたしておりません。又懲戒処分をいたすという場合におき罰しても、できるだけ行政上の訓告即ち注意を促すというような方法によりまして、将来を戒めるということをできるだけやる。よほどひどい場合において初めて懲戒の措置をとる。その場合におきましても極めて転い懲戒を行うのが実情でございまして、現在のところ逃走を防ぐことによりまして職員がそれに一生懸命になりまして、少年院の本来の使命を没却させるというようなことになつたり、或いは教育の面におきまして萎縮をするというような憂いはないものと確信をいたしておるのでありまする、が、併し今後におきましてもこの種の問題の取扱いにつきましては、只今お述べになりましたところの趣旨は全く同感でございますので、さような趣旨を以ちまして取扱をいたして参りたいと、かように存ずる次第であります。
  102. 宮城タマヨ

    ○宮城タマヨ君 この逃走の責任者というようなものは私は今まで見て廻りました少年院、或いは鑑別所の設備その他から申しますというと、本当は私は政府に責任を取つて頂きたいと思つております。それで現場の者は、一カ所で逃走などございますというとあの院長はどういう処分を受けるだろうかということが全体の少年院の職員の問題になつておるというようなことも聞きまして大変心寒い思いをいたしているのでございます。それといま一つ少年院に入れるということは一番わかりよいし、そのためにのみ皆勢力を集中され職員が要るというような感じでございますので、実は私がこれは本委員会から派遣されて行かない場合に、それこそそつと私が行脚などをして見まして感ずるのでございすけれども、もつともつと手を届かして貰いたい面は逃げることに戰々兢々とする、併し本当に子供がどういうものを着ているかということは本気で私は職員が考えているだろうか。或る所で見ましたら朝起きましたときに洗面いたしますときに着物で拭いているんです。どうしてそんなことをするといつたら手拭がないからさという。着物でこういうふうにして拭いている。歯磨はどうだ、それからだんだん調べて見ますというと実にみじめな生活をしている。これはどうしたと聞くと配給しておりますという。表面は配給したことになつている、職員の手が届いていない。こういつた面も監督して頂きたいというようなことを考えておるものでございます。それでその点もでございますけれども、ああいうふうに集団逃走がございますというと全く世間的にもこれは申訳ないことでございますし処分の上からも大変問題だと考えております。一つ何とかして建物の方の関係も一日も早く完備して頂くように層法務総裁に私はお力を拝借したいということをお願い申上げて私の質問を終ります。
  103. 伊藤修

    ○伊藤修君 本日の松本カメラマン事件についてなお我々知りたいと思いますから、各ニュース社で映している、それが上映禁止になつたということは本則でできるかどうか、非公式の上映禁止だろうと思うけれども、これを委員長においてこちらに取寄せ、どつか官庁から取寄せて本院の映写設備で我々に見せて頂くことを私は要求したいと思います。なお法務府に対しては事件の趣きも今後御報告つてこれを要求いたしておきます。今の点を御決定願つておきます。
  104. 鈴木安孝

    ○委員長(鈴木安孝君) 伊藤委員の何は皆さん御異議ありませんか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  105. 伊藤修

    ○伊藤修君 できるだけ早く願います。
  106. 鈴木安孝

    ○委員長(鈴木安孝君) それではそのように取計らいます。
  107. 伊藤修

    ○伊藤修君 その集める方法は委員長に然るべく。
  108. 鈴木安孝

    ○委員長(鈴木安孝君) 本日はこの程度で、明日は午後一時から開会いたします。散会いたします。    午後四時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 安孝君    理事            伊藤  修君            宮城タマヨ君            鬼丸 義齊君    委員            左藤 義詮君            長谷山行毅君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            岡部  常君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   国務大臣    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    法務府検務局長 高橋 一郎君    法務府矯正保護    局長      古橋浦四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川 宏君   参考人    東京警視総監 田中 榮一君