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政府委員(
野木新一君) お説のように
簡易裁判所は、
基本的人権を擁護し、社会の秩序に
任ずる第一線の
裁判所でありまして、国民と接触する面が非常に広い
裁判所でございます。従いましてこの
裁判所の
裁判官も昔の
区裁判所などの頃と違いまして、できるだけ優秀な人を配置したほうがよいということは誠に尤なお
考えと存ずる次第であります。而して
現実におきましては
簡易裁判所が急速にできました
関係上、いわゆる
特任の
裁判官と申しましようか、多年
司法事務に従事しておる
裁判所書記の中から老練な優秀なものから採用しておるのもお説のようにございます。今昨年の十一月十五日当時の
調査を手許に持
つておりまするから、それについて申してみますると、当時六百十二人
簡易裁判所裁判官がおりましたが、そのうち
判事から
任命されたものが百十九名、
判事補から
任命されたものが九十名、検察官から
任命されたものが十名、それから
弁護士から
任命されたものが百十二名、
選考による
任命が二百五十九名、そのほか二十二名とありまして、その
選考による
任命というのが、いわゆる
特任の
裁判官と言
つているものでございます。その二百五十九名のうち三百三十六名くらいですか、これは大体
裁判所書記から特に
選考されたもののようであります。申すまでもなく、
裁判所書記と
裁判官とはその
任務職責が異なりまするので、
裁判書記として優秀であつたものが、すぐ
裁判官として優秀であるかということは、必ずしも言えないわけでありまするが、
最高裁判所におかれましても、私
どもが伺いますところによりますれば、こういう
特任の
裁判官につきましては
一般の要望に反しないように、特にいろいろの
研究の機関を設けまして、すでに
昭和二十二年度におきましても、各
高等裁判所管内ごとに特別の
研究を行わせてその資質、
知識の向上に努めておるのであります。二十三年度も同様に行い、各年行
つておりまて、期間はだんだんと、初めの頃は二週間でありましたが、二十三年度は一カ月、二十四年度は一週間、二十五年度は四週間ということに
なつております。こういうように特別の
研究を施して新らしい
法律の
知識とかこういうものについての
研鑚を行うことに
なつております。而して今後におきましては、だんだんと
裁判官の中から停年で退職するものなどは
年齢の
関係で
簡易裁判所裁判官に
任命できますので、漸次そういうほうに多くして行きたいというお
考えのように承
つておりまするので、
政府側といたしましても、
最高裁判所に連絡いたしまして、御
趣旨のあるところはよくお伝えして一層よい
裁判所にして行きたいと存じておる次第であります。