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1951-03-06 第10回国会 参議院 法務委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年三月六日(火曜日) 午後一時三十四分開会
—————————————
委員
の異動 二月二十三日
委員鈴木文四郎
君死去さ れた。
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関 する
法律
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
) ○
不動産登記法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
) ○
商法
の一部を
改正
する
法律施行法案
(
内閣送付
) ○
犯罪者予防更生法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
) ○非
訟事件手続法
の一部を
改正
する法
律案
(
内閣送付
)
—————————————
鈴木安孝
1
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
只今
より
委員会
を開きます。 本日は当
委員会
に付託されました六
法案
中、
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
、
不動産登記法
の一部を
改正
する
法律案
、以上は本
審査
であります。
商法
の一部を
改正
する
法律施行法案
、
犯罪者予防更生法
の一部を
改正
する
法律案
、非
訟事件手続法
の一部を
改正
する
法律案
、以上
予備審査
の五
法案
につきまして、
政府
の御
説明
を聽取いたしたいと思います。
高木松吉
2
○
政府委員
(
高木松吉
君)
只今議題
となりました
下級裁判所
の
設立
及び
管轄区域
に関する
法律
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を
説明
いたします。
改正
の
要点
は、次の四点であります。先ず、第一点は、
簡易裁判所
の
増設
であります。
簡易裁判所
は、
基本的人権
を擁護し、
社会秩序
の維持は当る第一線の
裁判所
でありまして、国民の
利害
に
関係
するとこが極めて多いのであります。現在
全国
五百六十五カ所に設置されているのでありますが、その数はまだ必ずしも十分であるとは申されません。その
増設かた
につきましても、
全国各地
から熱心に国会その他に請願や陳情がありまして、その数は数十カ所に及んでいるのであります。併しながら、今直ちにこれらの要望の全部を満たすことは、財政上の
見地等
から見ましても不可能なことであります。それで
事件
の数、
交通
の
状況等
を考慮いたしまして、最も必要と認められる所を選定いたし、
最高裁判所
とも
協議
を遂げまして、今回は次の三カ所、即ち
宇都宮地方裁判所管内
の栃木県下都賀郡小山町、
広島地方裁判所管内
の
広島
県高田郡吉田町及び
徳島地方裁判所管内
の鳴門市に
簡易裁判所
を設置しようとするものであります。 第二点は、
簡易裁判所
の
所在地
の
変更
であります。
土地
の
状況
に鑑みまして、
東京地方裁判所管内
の
品川簡易裁判所
の
所在地
を「
東京
都
品川
区」から「
東京
都大田区」に
変更
すると共に、この名称を「
大森簡易裁判所
」と改め、又
奈良地方裁判所管内
の
吉野簡易裁判所
の
所在地
を「
奈良
県
吉野
郡下市町」から「同県同
郡大淀
町」に
変更
しようとするものであります。 第三点は、
簡易裁判所
の
管轄区域
の
是正
であります。
土地
の
状況
及び
交通
の
便否等
に鑑みまして、
伊勢崎簡易裁判所管内
の群馬県新田郡世良田村及び
綿打
村を
太田簡易裁判所
の
管轄
に移し、
岩川簡易裁判所管内
の
鹿児島
県
囎唹郡財部
町を
加治木簡易裁判所
の
管轄
に移し、
大口簡易裁判所管内
の
鹿児島
県姶良郡
横同時
及び牧園町を
加治木簡易裁判所
の
管轄
に移し、
築館簡易裁判所管内
の宮城県
登米
郡石越村を
登米簡易裁判所
の
管轄
に移そうとするものであります。以上の
簡易裁判所
の
所在地
の
変更
及び
管轄区域
の
是正
につきましては、いずれも
地元市町村
及び
関係官公署
並びに
地元弁護士会
の
意向等
を十分参酌して、
最高裁判所
とも
協議
の上決定いたものであります。 第四点は、
市町村
その他の
行政区画
に
変更
のあつたことに伴うこの
法律
の
別表
の訂正であります。即ち従前の市、町、村が合併又は分離して新たに市、町、村ができ、又
市町村
の一部が他の
市町村
に編入される等、
裁判所
の
管轄区域
の基準と
なつ
た
行政区画
に
変更
のあつたもの等につきまして、この
法律
の
別表
の
記載
を訂正しようとするものであります。 以上、誠に簡單ではありますが、との
法律案
の
要点
について御
説明
申上げました。何とぞよろしく御
審議
をお願いいたします。 次に、
不動産登記法等
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案
の
理由
を御
説明
申上げます。
不動産登記制度
が
権利
の
保護
と取引の安全を図る上に極めて重要な機能を営んでおりますことは、申すまでもないところでありますが、
登記
の
手続
につきましては、なお
改善
を要する点が少くないのでありまして、そのためには、先ず
登記簿
の
様式
及び
調製方法
を改める必要があるのであります。即ち現在の
登記簿
は
用紙
の
加除
ができないことにな
つて
おります
関係
上、一個の
不動産
に関する
登記
が数冊の
登記簿
に亘
つて
なされる等、
登記
の
手続
が複雑となり、
登記簿
の閲覧や
覇務
の取扱に多大の
不便
がありますと共に、他方において、各
不動産
の
登記事項
と
関係
なく、常に一定の
用紙
を編綴することになるため、現に使用中の
登記簿
には全然
記載
のない
用紙
が約三割にも達している
状況
であります。
従つて
これらの
不便
を除き、
用紙
の節約を図るためには、
登記簿
を
バインダー式
の
帳簿
となし、必要に応じて
用紙
の
加除
ができますように、
登記簿
の
様式
及び
調製方法
を改めると同時に、これに即応して
登記
の
手続
を簡略化する必要があるのであります。この
法律案
は、右に申上げました
措置
を講ずることを
主眼
といたしまして、
不動産登記法
を
改正
すると共に、これに関連して
工場抵当法
及び
立木
に関する
法律
のうち、
登記
の
手続
に関する
規定
に
所要
の
改正
を加えようとするものであります。以下この
法律案
の
要点
を申上げます。 先ず
不動産登記法
の
改正
におきましては、右に申述べました
登記簿
を
バインダー式
の
帳簿
となし、必要に応じて
用紙
の
加除
を行うことといたします
趣旨
の下に、
登記簿
の
調製
、
登記番号
、
登記用紙
の
閉鎖
、
共同人名簿
、
登記用紙
の
継続等
に関する
規定
を改廃
整備
いたしました。なお
不動産
の
表示変更
の
登記
の
申請手続
を簡易化するため同法第八十
一條等
の
規定
に
所要
の
改正
を加えることといたしております。次に、
工場抵当法
及び
立木
に関する
法律
の
改正
におきましては、
登記
に
関係
のある二、三の
規定
につき、
不動産登記法
と同
趣旨
の
改正
を行うことといたしておりますほか、
立木
に関する
法律
中
所有権保存登記
の
申請
に関する
規定
に不備がありますので、その
整備
をも行うことといたしております。 以上この
法律案
につきまして、
概要
を御
説明
申上げました。何とぞ
愼重御審議
のほどをお願いいたす次第であります。 次に、
商法
の一部を
改正
する
法律施行法案
につきまして、
提案
の
理由
を御
説明
申上げます。 御承知のごとく、昨年五月十日余布せられました
商法
の一部を
改正
する
法律
は、本年七月一日を
施行期日
としておりますが、この
施行法案
は、
改正法施行
のために必要な
経過的措置
を講ずることを
主眼
とするものであります。 次にその
内容
の大略を御
説明
申上げます。 この
法律案
は、
新法
は
原則
として
新法施行
前に生じた
事項
にも
適用
せられ、ただ
新法施行
前に
旧法
によ
つて
すでに生じ
終つた効力
は、これを妨げないこととする
経過措置
の
根本原則
を明らかにいたしまして、
新旧
両法の調和を図りますと共に、この
原則
の
適用
上問題となる
個々
の
事項
につきまして、それぞれ必要な
規定
を設けました。例えば、
新法施行
前に成立した
株式会社
につきましては、この
法律
によりまして、その
定款
に
会社
の存続に必要な
記載事項
の
記載
があるものとみなしまして、これらの
会社
がそのまま小
新法
のいわゆる授権
資本
制度
に移行し得ることといたしましたこと。
新法施行
前に発起人が
株式
の総数を引受け、又は
株主
の募集に着手したものについては、その
設立
は
旧法
に
定め
る
手続
によることとし、その
新法
への移行については、
新法施行
前に成立した
会社
と同様に取扱いましたこと。
新法
が
新法施行
後に成立する
株式会社
について、
株式
の
券面額
を五百円以上としたことに対応いたしまして、
新法施行
前に成立した
会社
につきまして、
特別決議
によ
つて
五百円未満の
株式
を併合して、一株五百円以上のものとすることができる途を開きましたこと。
新法
は
取締役
、
監査役
の
任期
をそれぞれ二年及び一年に短縮しましたが、
新法施行
の際現に在任している
取締役
、
監査役
の
任期
につきましては、なお
旧法通り
といたし、ただ
残任期間
が
新法施行
の首から
新法所定
の
期間
を超える場合には、これを
新法施行
の日から
新法所定
の
期間
といたしましたこと。
資本
の
増加
、社債の
発行等
につきさまして、
新法施行
前にすでにその
決議
がありましたものは、その後の
手続
を
旧法
によることといたしましたこと等であります。 以上のほか、
新法
は
株式合資会社
を
廃止
しましたが、この
法律案
は
新法施行
前に成立した
株式合資会社
につきましては、
新法施行
後も
旧法
によることといたしますと共に、これらの
株式合資会社
及び
現行商法施行
前、即ち
明治
三十二年前に成立したいわゆる旧
商法
上の
合資会社
は、
組織変更等
をしない限り、
新法施行
の日から五年を経過した時において解散することといたしまして、これら
企業形態
としての
存在価値
に乏しい種類の
会社
を
整理
いたしております。 以上がこの
法律案
の大要であります。何とぞよろしく御
審議
のほどをお願いいたす次第であります。次に、
犯罪者予防更正法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御
説明
申上げます。 この
法律案
は、
犯罪者予防更正法
の第十峰第一項に
規定
してある
地方少年保護委員会
及び
地方成人保護委員会
の
組織定員
を改めようとするものであります。
地方少年保護委員会
と
地方成人保護委員会
とは、いずれも
全国
八カ所に設置され、おのおの三人の
委員
で組織されておりまして、それぞれ青少年又は
成人
につきまして、仮
出獄
、仮出場、仮
退院
の
処分
をいたし、又
保護観察
を掌り、その他
犯罪者
の
予防
及び
更正
のため必要な
所掌事務
を遂行しておるのでありまして、その
管轄区域
には
大小
の
差異
がありますために、各
委員会
の
事務量
におのずから
大小
の
差異
を生じておりますことは、或る
程度
やむを得ないところでありますけれども、
関東地方少年保護委員会
及び
関東地方成人保護委員会
におきましては、
委員
の
事務負担
が著しく過重とな
つて
、
所掌事務
の遂行上困難を感ずる
実情
にあります。どの
委員会
でも、仮
出獄
及び仮
退院
の
処分
につきましては、
処分
の決定をする前に、
委員
は
法律
の
要求
に従いまして、みずから
刑務所
又は
少年院
に出向き、
受刑者
又は
在院者
に
個々
に面接して愼重な審理をいたしておるのでありまして、これはその
処分
の適正を期するため欠くことのできないものでありますが、
関東地方
の両
委員会
は
管轄区域
も広く、
刑務所
、
少年院
の数も多く、
従つて面接
を要する
受刑者
、
在院者
の数が他の
地方
に比べて格段に多数に上
つて
おりますために、三人の
委員
でこれを支障なく処理しますると共に、その他の
事務
にも澁滞を生じないようにいたすことは、非常に困難なことでございます。今日までのところ、各
委員
の異常な努力によりまして、辛うじてその困難を凌いで参
つて
いる
実情
にありますので、この際この二つの
委員会
の
組織定数
を改め、その
委員
の数をそれぞれ五人といたして、
犯罪者予防更生法
の所期の
目的
を円滑に遂行する必要があると認めまして、この
法律案
で同法第十條第一項をそのように改めるようとするものでございます。 なお、
犯罪者予防更生法
の
目的
に照らしまして、
犯罪
をした者の
改善
及び
更生
を図りますためには、右のほかにも
改正
を考慮すべき点があるように考えまして、研究をいたしておるのでございますが、差当
つて
は右の点の
改正
が最も必要であると考えましたので、この
法律案
を提出いたした次第でございます。どうか、
愼重御審議
の上、可決を賜りますようお願い申上げます。 それから非
訟事件手続法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を御
説明
いたします。 昨年五月
商法
の一部を
改正
する
法律
が制定公布されまして、同法は本年七月一日から
施行
することと相成
つて
おりますが、更にこれに
伴つて
、
有限会社法
の一部も
改正
されることとな
つて
おります。これらの
法律
の
改正
は、
商法
非
訟事件
及び
商業登記
に関する
手続
にも影響する点が相当ありますので、その
施行
のためには、これに対応して、非
訟事件手続法申
の商事非
訟事件
及び
商業登記
の
手続
に関する
規定
にも
改正
を加える必要があるわけであります。この
法律案
は専ら右の
趣旨
において非
訟事件手続法
の一部を
改正
しようとするものであります。 以下この
法律案
の
要点
を申上げます。先ず、
商法
中、
株式会社
の
設立
に関する
規定
の
改正
に伴い、その
設立登記
に関する
規定
につき
所要
の
改正
を加えております。第百八十
七條
の
改正
がそれであります。第二に、
商法
中、
株式会社
の
資本増加
に関する
規定
が
廃止
され、これに代りまして、
新株発行
に関する
規定
が新設されましたので、これに伴い
資本増加
に関連する
事件
及びその
登記
に関する
規定
を削り、これに代えて
新株発行
に関連する
事件
及び
登記
に関し、
所要
の
規定
を設けました。第百一十九條、第百二十九條の三、第百三十
二條
の二、第百三十三條の二、第百八十九
條等
の
改正
がそれであります。第三に、
株式合資会社制度
が
廃止
されましたので、
株式合資会社
に関する
規定
を削除しました。第百三十
五條
の九、第百三十六條、第百三十
七條
の二の
規定
及び第七節の
改正
がそれであります。第四に、
商法
中、
外国会社
に関する
規定
の
改正
に伴い、
外国会社
に関連ある
事件
及び
登記
に関する
規定
につき
所要
の
改正
を加えました。第百二十六條、第百三十
五條
の九、第一百
二條
から第二百
五條
までの
改正
がそれであります。第五に、
商法
中、
会社
の
解散命令
に関する
規定
の
改正
に伴い、これに関連する
規定
に
所要
の
改正
が加えてあります。第二十六條、第百三十四條から第百三十
五條
の五までの
改正
がそれであります。その他
商法
及び
有限会社法
の
改正
並びに以上の
改正
に関連しまして文字の
整備
その他の
整備
をいたしております。 以上、この
法律案
につきまして、
概要
を御
説明
いたしました。何とぞ慎重御
審議
をお願いいたす次第でございます。
鈴木安孝
3
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 以上の
法案
中に、特に、逐
條等
詳細に
旦つて説明
を御
要求
のものはありませんか……。それでは
不動産登記法等
の一部を
改正
する
法律案
、これについて
政府委員
の
説明
を求めます。
村上朝一
4
○
政府委員
(
村上朝一
君)
不動産登記法等
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、
先ほど提案理由
の中に御
説明
申上げましたほか、又お
手許
にこの
法律案
の
逐條説明書
を差上げてございます。この
逐條説明
に入りまする前、現在の
登記簿
とこの
法律案
において改めようとする新らしい形の
登記簿
との見本をお目にかけまして御
説明
いたしたいと思います。ちよつと
速記
をとめて……。
鈴木安孝
5
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
速記
をとめて……。 午後一時五十八分
速記中止
—————
・
—————
午後二時二十九分
速記開始
鈴木安孝
6
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
速記
を始めて……それでは
説明
を求めます。
村上朝一
7
○
政府委員
(
村上朝一
君) この
法律案
の
要点
につきましては、
先ほど提案理由
の
説明
として申上げました
通り
でありますが、なお逐條につきまして、お
手許
に配付してございまする
逐條説明書
に基きまして御
説明
申上げます。 先ず第一は、
不動産登記法
の
改正
であります。この中で第九條第二項を
改正
しておりますが、これは
既登記
の
不動産
の
所在地
の
登記所
の
管轄
が変つた場合の
規定
でありますが、
バインダ—式
になりますと、その
管轄転属
になりました部分だけを
甲登記所
から
乙登記所
へそのまま移送することができますので、その
趣旨
に改めたのであります。次に、第十四條でありますが、これは
登記簿
の分設区画に関する
規定
でありまして、
バインダー
・
システム
といたしますと、いわゆる
土地
については
地番区域
と申しますか、
地番
を付ける
区域
を單位として設けることが適当であると思われますので、その
趣旨
に改めたいと思うのでありますが、細かい
規定
になりますので、これは
施行細則
で
規定
するということにいたしまして、削除いたしたのであります。次に、第十
五條
でありますが、これは十四條の
改正
に伴う
整理
。次に第十六條、これは
登記用紙
に関する
規定
でありますが、現在の
登記簿
におきましては、初めて
登記
した
順序
に
従つて登記用紙
を設けまして、その
順序
を
登記番号
として
登記用紙
に
記載
することにいたしております。
登記簿
を
バインダー式
の
帳簿
にいたしますと、必ずしもその
順序
に
従つて登記用紙
を綴り込む必要はなくなりますのみならず、むしろ
土地登記簿
は
土地
の
番号順
に、
建物登記簿
は
家屋番号順
に綴り込むほうが便利でありますから、さように改める考えでありますが、そうなりますと、
登記番号
というものは残して置く必要がなくなりますので、これを
廃止
することにいたしたのであります。次に、十
八條
でありますが、これは
登記簿
に
用紙
の
加除
を一切認めない建前の
規定
であります。
バインダー
・
システム
にいたしますと、この
規定
も削除することになるわけであります。次に、十九條でありますが、これは見
出帳
の
規定
でありまして、現在
登記番号
の順に綴じてありますために、
登記番号
と
土地番号
又は
家屋番号
との関連を付けるために見
出帳
が必要なのでありますが、
バインダー
・
システム
になりまして、
土地
の
番号
又は
家屋番号
の
順序
に
登記用紙
を設けるということになりますと、見
出帳
を必要としなくなりますのでこれを削除することにいたしました。次に二十條でありますが、これは見
出帳
及び後に申上げます
共同人名簿
を
廃止
することになります
関係
上、それに伴う
整理
でございます。次に、二十四條ノ二でありますが、現在では
登記用紙
を
閉鎖
しましても、
登記簿
にそのまま残して置くのでありますが、今後は
閉鎖
した
登記用紙
は
登記簿
から外しまして、
閉鎖登記簿
として別に保存することにし、
保存期間
を三十年と
定め
たのであります。次に、五十
一條
でありますが、これは
共同人名簿
の
規定
でありまして、今、後
バインダー
・
システム
になりますと、
権利者
の多数ある場合にも、多数の人の
名簿
を
関係登記用紙
の直後に綴り込むことができるようになりますので、
共同人名簿
として別に
帳簿
を設ける必要がなくなります。その
趣旨
において五十
一條
を削除いたすことになりました。次の六十條は
登記番号
の
廃止
に伴う
整理
でございます。六十
七條
も九條の
改正
に伴う
整理
。六十八、七十一、七十二、七十四條、いずれも以上申上げました
改正
に伴う
整理
であります。次に、七十六條でありますが、いわゆる
登記用紙
の
継続
の
規定
でありまして、現在の
登記簿
におきましては、一個の
不動産
の
登記用紙
は、その
不動産
に関する
登記事項
の多少に
関係
なく、三枚一組と限られております。その中にある欄に余白がなくなりますと、別の
登記用紙
を以てその
継続用紙
とすることにな
つて
おります。その結果一個の
不動産
に関する
登記
が数冊の
登記簿
に亘
つて
なされるような場合を生ずるわけであります。併し
登記簿
に
用紙
を追加することができるようになりますと、
継続
ということは不要になりますので、この
規定
を改めるわけであります。
改正
後の
本條
におきましては、
登記用紙
の枚数が多くなりまして取扱いが
不便
となりました場合には、その
登記
を新らしい
登記用紙
に移すことができるようにいたしたのであります。次の七十六條の二は、七十六條の
改正
に伴う
整理
であります。次の七十九條、八十條も
同様整理
であります。八十
一條
は現在の第一項を削りまして、現在の第二項の字句を
整理
して、それを残したのでありますが、第一項を削除いたしました
理由
は、現在の第一項は
土地
の
表示変更
の
登記
を
申請
する場合に、
申請書
に
所有権
以外の
権利
の
登記名義人
の
承諾書
又はこれに対抗することができる裁判の謄本の添附が必要だということにな
つて
おりますが、この
規定
は現在殆んど必要が認められません上に、
却つて
敢なく
承諾
を拒むような弊害もありますので、これを削除することにいたしたのであります。八十
二條
、八十四條、八十
五條
、八十六條、いずれも
登記番号
の
廃止
に伴う
整理
であります。九十
一條
、九十
一條
は、後に申します百條の二の
改正
に伴う
整理
であります。九十三條は先ほど申しました八十
一條
と同
趣旨
の
改正
であります。九十四條、九十
五條
は、
登記番号
の
廃止
に伴う
整理
であります。百條の二は、現在の
規定
によりますと、
土地
及び
家屋番号変更
の
登記
につきましては、
変更
が
行政区画
又は字の
変更
に伴う場合には、
登記所
が
職権
で
変更
の
登記
をいたしますが、その他の場合は
所有者
の
申請
によ
つて
することにな
つて
おります。併し
土地台帳
、
家屋台帳
の
所管庁
である
登記所
が、
土地
の
番号
とか、
家屋番号
の
変更
をも所管することになりますので、この
登記
のすべての場合を通じて
登記所
が
職権
ですることにして
関係者
の
便宜
を
図つたの
であります。百
一條
、百
二條
の三、百
八條
、百一十九條、百三十
一條
、百三十
七條
、百六十三條はいずれも
整理
であります。 次に、
工場抵当法
の二十條と、
立木
に関する
法律
の十
二條
、十四條の
規定
でありますが、このいずれもは、先ほど申上げました
不動産登記法
の
改正
による
登記番号
の
廃止
と歩調を合せた
整理
でございます。最後に、
立木
に関する
法律
の十六條でありますが、これは
昭和
十七年
法律
第六十六号によ
つて不動産登記法
百六條が
改正
になりました際に
改正
すべきであ
つたの
でありますが、
改正漏れ
にな
つて
おりますので、このたびこれを
整理
することにいたしましたのであります。 以上を以ちまして
不動産登記法
の一部を
改正
する
法律案
の
説明
を終ります。
鬼丸義齊
8
○
鬼丸義齊
君 これはまだ我々も深く研究しなければなりませんから、この
説明
の
程度
で一応
打切つた他
のほうに一つ入
つて
頂きたいと思います。
鈴木安孝
9
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
鈴木安孝
10
○
委員長
(
鈴木安孝
君) それではそう取計らいます。
—————————————
鈴木安孝
11
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 次に、
商法
の一部を
改正
する
法律施行法案
の
政府
の
逐條説明
を求めます。
野木新一
12
○
政府委員
(
野木新一
君) それでは
商法
の一部を
改正
する
法律施行法案
につきまして、逐條的に概略の御
説明
をいたします。 第
一條
でございますが、
本條
は
商法
の一部を
改正
する
法律
(
昭和
二十五年
法律
第六十七号)に必要な
経過的措置
を
規定
するにつきまして、
便宜
のため設けた
経過規定
であります。ここに
商法
と申しますのは、
明治
三十二年
法律
第四十八号を指します。従いまして
商法
の一部を
改正
する
法律
の
施行
の日から
効力
を失う同
法附則
第二項の
規定
、
商法
三百四十三條の
特則
になるわけでありますが、それにつきましては、特に
旧法
中に入れる
趣旨
を明らかにする必要があるわけであります。次に、第
二條
でございますが、第一項は
新旧
両法の
適用
についての
基本原則
を掲げたものであります。
商法
につきましては、
明治
四十四年及び
昭和
十三年の
改正
に当
つて施行法規
はいずれもこの
原則
によることを明らかにしておりますが、今回の
改正
に際しても、又これらの先例を踏襲したわけであります。他にこの
原則
に立つものといたしましては、最近の
民法改正
の際の
経過規定
などがございます。第一項に掲げるところはこの
法案
における
経過規定
の
原則
でありまして、その
具体的適用
につきましては、解釈上疑義を生ずる場合もありますので、この
法律
は以下の各條におきまして、それらの必要な場合について
個々
に
規定
を設け解決を図
つて
おります。第二項は、第一項の
原則
である
新法遡及主義
から当然のこととも考えられるわけでありますが、これを明らかにするために設けた
規定
でありまして、ここにいう
新法
に抵触する
定款
の
定め
の例といたしましては、
株式讓渡
の
制限
、裏書の禁止に関する
定め
、
商法
第二百四十
一條
の
規定
によ
つて株主
の
議決権
に関する
定め等
があり、又契約上の
條項
といたしましては、
新法
による
株式讓渡
の
制限
の撤廃を無意味ならしめるような特約の
内容
などが挙げられるものと思います。次に、第三條でありますが、
本條
は
裁判所
のその
解散命令
についての
経過規定
であります。即ち
新法施行
前に
裁判所
が
請求
を受け、又は
職権
によ
つて
着手した
解散命令
に関する
事件
につきましては、
新法施行
後も
旧法
によることとして、
旧法
第五十
八條
の
定め
る
事件
及びその
事件
に関連する同條に
定め
る
事件
といたしましたのは、第五十
八條
に
定め
る
事件
には本文と
会社財産
の
保全処分
とがありますが、そのいずか一方について
請求
又は着手があれば、他の一方についても
旧法
によらしめようと、こういうためでございます。なお
請求
を却下された
利害関係人
の責任についても、
請求
が
新法施行
前にされたものであれば、これを
旧法通り
といたしました。次に、第四條でございますが、
本條
は
解散命令
の
請求
又は
商法
会社
編上の訴の提起について供すべき担保に関する
規定
は、
新法施行
前にすでに供した担保についてのみ
新法施行
後もなお
適用
することといたしまして、担保提供
請求
権者の取得利益を
保護
することにいたしました。
従つて
本條
は前條や第二十三條及び第二十九條に対しては一面限定的
規定
ともなるわけであります。
本條
が「
新法施行
前に供した担保に関してのみ」とい
つて
おるのはその
趣旨
を示したものであります。次に、策
五條
でございますが、
本條
は
株式会社
の
設立
についての
経過規定
であります。
設立
手続
が
新法施行
前、すでに発起人による
株式
総数の引受、又は
株主
募集の段階に達したものに対しては、既定の
法律
関係
を尊重する観点から、
新法施行
後もその
設立
については
旧法
を
適用
することといたしました。
従つて
発起人、
取締役
及び
監査役
の責任につきましても、特別の
規定
がない限り
旧法
が
適用
されるわけであります。第一項本文の場合で、
新法施行
後に
設立
の
登記
をします場合には、
会社
は
旧法
によ
つて
成立するものでありますが、第六條及び第二十
一條
の
適用
によりまして、
登記事項
については
新法
に従うことが可能でございますから、
本條
に但書を設けたわけでございます。次に、第六條でございますが、
新法施行
前に成立した
株式会社
又は
新法施行
後
旧法
によ
つて
成立した
株式会社
が、
新法施行
後文はその成立後存続するためには、その
定款
に絶対的
記載事項
として
新法
の
要求
する
会社
が発行する
株式
の総数の
定め
がなければならないわけであります。
本條
第一項は、前者につきましては「
新法施行
前に発行した
株式
の総数」が、後者につきましては「
設立
に際して発行する
株式
の数」が、それぞれ「
会社
が発行する
株式
の総数として、
定款
に
定め
られているものとみなす。」ことによりまして、これは
旧法
によ
つて
成立した
会社
が
定款
の
変更
を要せずして、
新法
の
施行
後存続し得ることにいたしたわけであります。
本條
第二項は種類株についての同
趣旨
の
規定
でございます。次に、第
七條
でございますが、「
新法施行
前に成立した
株式会社
」については、
会社
が発行する
株式
の総数、発行済
株式
の数の容認、
新法
の
施行
によ
つて
当然新たに
登記
すべき
事項
を生ずるのでありますが、
本條
はその
登記
に関する
規定
でございまして、第一項はこれらの
事項
の
登記
の
期間
を特に六カ月としたわけであります。なお代表、
取締役
の
登記
につきましては、第二十
一條
第三項を御参照願います。次に、第
八條
、第九條でございますが、いずれも第
五條
に対する特別
規定
でありまして、第
八條
は
新法施行
後、
旧法
によ
つて
会社
が成立した場合及び
新法施行
後に
株式
の申込が取消された場合の発起人の填補責任について、又第九條は発起人、
取締役
及び
監査役
の
会社
の
設立
に関する責任の
新法施行
後における免除及び追及の訴について、今回の
改正
の
趣旨
に則り特にそれぞれ
新法
によることとしてございます。 次に、第十條でございますが、
商法
の一部を
改正
する
法律案
附則第四項は、
新法施行
前に成立した
株式会社
についてのみ
株式
の金額を
旧法通り
としておりますが、木條第一項は、
新法施行
後
旧法
によ
つて
成立する
株式会社
についても同様に取扱いました。第二項は、
新法
が
株式
の
券面額
を引上げたことに鑑みまして、
株式
の金額について
旧法
の
適用
を受ける
株式会社
につき、特に
特別決議
によ
つて
株式
を併合し、一株五百円以上のものとすることができる途を開いたものであります。次に第十
一條
でございますが
本條
は
新法施行
前にされた記名
株式
の移転について、その
効力
、讓渡の方法、対抗要件等、
旧法
によることを明らかにしたものでありまして、第
二條
第一項の
原則
から当然のこととも考えられますが、ただ
旧法
によれば讓渡が無効である場合は、当然に同項但書により無効と解せられる株につきましては疑義を生ずる虞れがありますので、こり
規定
を設けたわけであります。
新法施行
後に名義書換の
請求
があつた場合に、その讓渡が
新法施行
前のものか、
新法施行
後のものか判然としない場合があり得ますので、
本條
但書は、その場合にはいわゆる
新法
第二百
五條
第二項及び第三項の
規定
の
適用
を妨げないことといたしました。次に、十
二條
でございますが、
新法
によれば、
株式
の額面、無額面の別は
株式
名簿
の
記載事項
であ
つて
、これを形式的に解すれば、
旧法
によ
つて
成立した
会社
についても、額面、無額面の別の
記載
は、第四百九十
八條
第一項及び四百九十九條に該当する株の疑いが生じますので、木條を設け、実務上の負担を省いたわけであります。次に、第十三條でございますが、
新法
に違反する
株主
名簿
の
閉鎖
期間
及び基準日の
定め
につきまして、実際の
便宜
から経過的にその
効力
を認め、
新法
の
施行
と共に特に
定款
の
変更
をする必要がないようにいたしました。即ち
本條
によ
つて
、一般には
新法施行
後最初の定時総会においてこの点に関する
定款
の
変更
をすれば足りることとなるわけであります。次に、第十四條でございますが、株券の
施行
前の取得に関しまする
経過規定
でありまして、第
二條
第一項の
原則
から当然とも考えられるのでありますが、第十
一條
について述べたと同様な
理由
から
本條
を設けました。なお
本條
但書、本文が
新法施行
前に一度裏書によ
つて
株券が取得されると、その株券の裏書による取得については、
新法施行
後もすでに
旧法
第二百二十九條第二項の
適用
があるごとく解せられる点を慮
つたの
でありまして、当然の注意
規定
でございます。次に第十
五條
でございますが、
新法
によれば、
監査役
は総会招集権を有しませんが、
本條
は
新法施行
前すでに
監査役
よ
つて
総合招集の通知が発せられている場合には、その臨時総会については
監査役
は招集の権限を維持する。総会の招集を適法にする
趣旨
の
規定
でございます。次に、第十六條でございますが、
新法施行
前に少数
株主
による総会招集の
請求
があつた場合に、これによる総会を
新法
に
規定
する少数
株主
の招集による総会とするための
経過規定
であります。これによ
つて
新法施行
後に開かれる総会招集の費用は、
請求
株主
の負担とすることができないことになるわけであります。次に、第十
七條
でございますが、
新法施行
前に総会招集の通知が発せらられ、又は公告があり、その総会の
決議
は
新法施行
後になされる場合につきまして、その
決議
の定足数、
決議
要件等は新
旧法
のいずれによるべきかの疑いをなからしむるための
規定
が
本條
第一項でございます。第二項は、
新法
の
施行
によ
つて
議決権
を有することと
なつ
た
株主
に対しては、右の総会については招集の通知及び公告を要しないとして、
新法
の
施行
により経過的に総会の開催に支障なきことを期したわけであります。第三一項は、或る種の
株主
の総会にこれらの
規定
を準用したものであります。次に、第十
八條
でございますが、
新法
第二百四十
五條
第一項の
規定
は、主として
株式
買取
請求
権の行使との関連において、
株主
の利益
保護
のために設けられた
規定
でありますから、
本條
は総会招集の通知又は公告が同法の要件を欠いた場合でも、総会招集を不適法とせず、
株主
が
株式
買取
請求
権を行使することができるようにしたのでございます。次に第十九條でございますが、総会の
決議
取消の訴えの出訴
期間
の尊重に関する
経過規定
でありまして、
新法施行
の際、
旧法
に
定め
る一月の
期間
が経過していない場合には、
改正
の
趣旨
に則
つて
新法
を
適用
することといたしました。 次に、第二十條でございますが、
新法施行
の際、現に在任する
取締役
の
任期
については、その既得的地位を尊重し、且つ
会社
業務運営の円滑を図るため、
新法施行
後も
旧法通り
といたしました。ただ
残任期間
が
新法施行
の日から二年を超える場合は、
新法
の
施行
の日から二年を経過した最初の定時総会終結の日までといたしまして、
新法
との調和と実際の
便宜
とを図つたわけであります。次に、第二十
一條
でございますが、
新法
は
取締役
会
制度
を採用し、その下に代表
取締役
なる必要的機関を設けましたが、
本條
は
旧法
によ
つて
会社
を代表する権限を有する
取締役
を経過的に
新法
の代表
取締役
とみなすことによ
つて
、新
制度
への移行を容易にいたしました。第三項はその場合における
登記
の
便宜
的取扱いを
規定
したものであります。 次に第二十
二條
でございますが、
取締役
の
新法施行
前における行為の責任について第
二條
第一項の
新法所定
の
原則
を貫くことは、
取締役
にと
つて
酷な結果を生ずる嫌いがありますので、
本條
第一項はかような行為の責任につきましては、
新法施行
後も
旧法
によることを明らかにいたしました。ただ第二項及び第三項において、この
旧法
によ
つて
発生した責任を
新法施行
後に免除又は追及しようとする場合には、いずれも
新法
に
定め
る方法によらしめることといたしまして、
新法施行
後における免除及び追及について、
新法
の
取締役
の責任強化の
趣旨
を貫いたわけであります。次に第二十三條でございますが、
新法
は
旧法
二百六十
七條
第一項又は第二百六十
八條
第一項の
取締役
に対する訴えに代えて、いわゆる代理訴訟を認めましたが、
本條
は
新法施行
前にすでに
取締役
に対する訴えの提起があつた場合には、第
二條
第一項但書の
趣旨
に
従つて
、その訴えにつきましては、
新法施行
後も
旧法
によることといたしました。訴えの提起を
請求
した
株主
の責任についても同様でございます。次に第二十四條でございますが、
新法
は
旧法
第一青七十
二條
の認めた非
訟事件手続法
による
取締役
の職務執行の停止又は職務代行者の選任の
制度
を
廃止
しましたが、
新法施行
前すでに同條によるその
請求
があつた場合については、前と同様の
趣旨
による
新法
の
適用
を直接認めたわけであります。次に、第二十
五條
でございますが、
本條
は
新法施行
の際に、現に在任する
監査役
の
任期
についての
経過規定
でありまして、その
趣旨
は第二十條において述べたところと同様でございます。次に、第二十六條でございますが、
監査役
は、
新法
においては、一時
取締役
の任務を行う権限を失いましたが、
新法施行
前までに、かかる
監査役
が
定め
られた場合には、
新法施行
後もその権限を保持せしむることといたしまして、
新法
の
施行
によ
つて
生ずる摩擦を避けた
規定
であります。次に、第二十
七條
でございますが、
新旧
両法は、
会社
と
取締役
との間の訴について
会社
を代表するものを異にしておりますが、
本條
は、
新法施行
前に、すでに訴の提起がある場合には、
新法施行
後も
旧法
の
定め
る代表者の代表権を存続させる。ただ
会社
が
新法
によ
つて
会社
を代表すべき者を
定め
た後は、その者をして代
つて
訴訟を遂行せしむることといたしました。次に、二十
八條
でございますが、
新法
による
監査役
の権限の縮小に伴う経過規程でありままして、
新法施行
前に
監査役
がその権限に基いて訴の提起等をしておる場合には、
新法施行
後も引続き、その
手続
きを遂行せしめようとするものであります。次に、第二十九條及び第三十條でございますが、
取締役
に関する
経過規定
中必要なもものを
監査役
に準用したもので、
監査役
に対する訴に関する
規定
を第二十九條に別條として置いたのは、
商法
の
規定
の体裁と倣つたに過ぎません。 次に、三十
一條
でございますが、第三十九條の
規定
により
旧法
によ
つて
資本
を
増加
する場合において
株式
発行費用の額の経理の処理につきましては、新
旧法
のいずれによるべきか多少の疑いが生ずるので、この額については、
新法
第二百八十六條の二を
適用
することを明らかにしたものであります。次に、第三十
二條
でございますが、第
五條
の
規定
によ
つて
新法施行
後に成立する
株式会社
又は第三十九條の
規定
により
新法施行
後
旧法
によ
つて
資本
を
増加
する
株式会社
が、額面以上の価額で
株式
を発行する場合の額面超過額について、前條と同様の
理由
から
新法
二百八十
八條
の二の
適用
を明記したものであります。次に第三十三條でございますが、第一項は
旧法
によ
つて
積立てた準備金は、準備金に関する
旧法
における取り扱いを参酌いたしまして、
新法
の利益準備金として積立てたものとみなしました。併し
会社
によ
つて
は、経理上の必要から
新法
の
資本
準備金に当るものを区分していることが考えられますので、特に第二項を設けたものであります。次に第三十四條でございますが、
新法
は授権
資本
制度
の採用に伴う、いわゆる建設利息に関する
規定
について
所要
の
改正
を加えておりますが、
本條
は
旧法
により建設利息に関する
定め
をしている場合に、そのまま
新法
に移行し得るための
経過規定
を
定め
たのであります。次に、第三十
五條
でございますが、
新法
二百九十三條の五の
規定
は、いわゆる附属明細書について毎決算期から四カ月内に作成、備え付けを命じておりますが、その起算点を明らかにしたものが
本條
でございます。次に、第三十六條でございますが、
本條
も又
監査役
の権限縮小に伴う
経過規定
でございます。次に、第三十
七條
でございますが
新法
は社債の発行を
取締役
会の
決議
事項
といたしましたが、
新法施行
前に、すでに社債募集の
決議
がある場合には、その総会の
決議
を尊重する
趣旨
において、その社債の募集につきましては、
新法施行
後も
旧法
を
適用
することといたしました。次に、第三十
八條
でございますが、社債権者集会に、
株主
総会の
決議
に関する第十
七條
第一項を準用した当然の
規定
でございます。次に、第三十九條でございますが、
新法施行
前に、すでに
資本増加
の
決議
がある場合に、その後の
手続
を
新法
の
新株発行
の
規定
によらしめることは、株一年の所期するところとも反すると考えられますので、この場合には
新法施行
後も
旧法
によることとしました。ただ
登記
につきましては、第
五條
但書について述べたと同
趣旨
で、
旧法
の
登記
に代えて
新法
による
株式
発行の
登記
をすることといたしました。かように第一項によ
つて
資本増加
は、
旧法
によるのでありますが、ただ
新法
第二百八十條の三に
規定
する新株の発行條件に関する均等の
原則
は、かような経過的な
資本増加
の場合においては、これ無視するのは妥当ではないので、第二項は特に株金の拂込期日が
新法施行
後であるような
資本増加
については
新法
第二百八十條の三の
規定
を
適用
することといたしました。第三項は第一項の
資本増加
の場合には、第六條の
規定
によ
つて
定款
に
定め
られているものとみなされた
会社
の発行する
株式
の総数が当然
増加
するものとみなすこととしました。第六條と共に
定款
の
変更
を要せずして
新法
に適合させるための
規定
であります。次に、第四十條でございますが、
新法施行
前に、
会社
が特定の者に将来の増資の場合に、新株引受権を與うべきことを約定している場合に、
新法施行
によ
つて
、その者の利益が害せられることのないように、
新法
によ
つて
要求
される新株弘受の
定め
をする場合には、その者に新株引受権を與えることを
定め
なければならんことといたしました。次に、第四十
一條
でございますが、第三十九條の
規定
する
資本増加
の場合の
取締役
の填補責任について、
設立
における発起人と同様に取扱つたものであります。次に、第四十
二條
でございますが、
新法施行
前に、すでにいわゆる転換
株式
の発行を
定め
た場合は、
旧法
による
資本増加
の場合でありまするから、
本條
第一項は発行の
手続
、転換の
請求
及び
効力
発生時等、
旧法
によることといたしました。第二項は、
新法施行
後転換があつた場合、それによ
つて
生ずる各種の
株式
の数の増減を、第六條によ
つて
定款
に
定め
られているものとみなされた
会社
の発行する各種の
株式
の間の数の増減とみなすことによ
つて
、
旧法
による
株式
の転換を
新法
の授権
資本
制度
に適合させたものであります。第三項は転換があつた場合の
登記
を
新法
下の
登記
に適合させるための
規定
であります。次に、第四十三條でございますが、
本條
は、いわゆる転換社債に関する
経過規定
であ
つて
、立案の
趣旨
は、大体において前條について述べたところと同様でありますが、ただ転換
株式
の場合と異なり、第二項におきまして、
新法施行
後、転換によ
つて
発行すべき株数を、あらかじめ第六條の
規定
によ
つて
定款
に
定め
られているものとみなされる
会社
の発行する株数に加えるものといたしてつ第三項において、その数は転換に備えて留保せしめることといたしました。いずれも授権
資本
制度
に適合させた
規定
であります。次に、第四十四條でございますが、
本條
は、合併後存続する
会社
又は合併によ
つて
設立
する
会社
が
株式会社
である場合について
規定
いたしました。第一項は合併の一方の当事者たる
会社
について、
新法施行
前に、即ち
旧法
による合併契約書の承認があつた場合には、相手かたの
会社
は、合併契約書の承認を
新法施行
後にする場合でも、その合併については
旧法
を
適用
することとし、ただその
登記
は
設立
及び
資本増加
におけると同
趣旨
で、
旧法
の
登記
に代えて
新法
の
登記
をすることといたしました。併し
株主
の
権利
を強化しようとする
新法
の立場から見て、
新法施行
後に合併契約書の承認をする
株式会社
につきましては、
株主
に
株式
買取
請求
権を認めるのが妥当と考えられますので、第二項の
規定
を設けました。 次に、第四十
五條
でございますが、この
法律
自体に必要な
規定
を清算人に準用したものであります。次に、第四十六條でございますが、
新法
は、
株式合資会社
の
制度
を
廃止
しましたが、
本條
はこれに伴う
経過規定
でありまして、第一項は、
新法施行
前に成立した
株式合資会社
について
新法施行
後も
旧法
の
株式合資会社
に関する
規定
を
適用
することとし、ただ第二項において、これらの
株式合資会社
が
新法施行
後に合併するときは、存続
会社
又は新設
会社
は
株式会社
でなければならないとして、第一項の
規定
に
制限
を設け、更に第三項において、
新法施行
の日から五年を経過したときに現存をする
株式合資会社
は、そのときに法理上当然に解散をするものといたしました。即ちこれらの
規定
よ
つて
、これら企業能として
存在価値
の乏しい
会社
の
整理
を企図したものであります。次に、第四十
七條
でございますが、
新法
によ
つて
、日本において
継続
して取引しようとする
外国会社
は、営業所を設けてその
登記
しなければならないことに
なつ
たわけであります。
本條
はこの
登記
に関する
規定
で、第一項は
新法施行
前に支店設置の
登記
の存する場合、第二項は支店設置の
登記
のない場合について
規定
したものであります。 次に、第四十
八條
でございますが、
外国会社
の支店の
閉鎖
命令に関する
経過規定
を準用したものであります。次に、第四十九條でございますが、第一項は
新法施行
前にした行為に対する罰則の
適用
について
施行
法の一般
原則
によつたもの。第二項は
新法
が罰金及び科料の額を引上げたことの権衡上、この
法律
において
旧法
を
適用
したという
規定
の場合において、
新法施行
後の行為に
旧法
の罰則の
規定
を
適用
するときは
旧法
の罰金及び科料の額を
新法
と同額に引上げて
適用
しようとする
規定
であります。 次に附則に入りますが、附則第一項は、この
法律
の
施行期日
に関する
規定
で附則第二項及び第三項の
規定
を除く他の
規定
は、
商法
の一部を改を
改正
する
法律
の
施行期日
たる
昭和
二十六年七月一日から
施行
することといたしました。次に第二項でありますが、
新法施行
前に成立した
株式会社
について、
新法施行
前にあらかじめ
新法施行
の日に
効力
を生ずる
定款
の
変更
をし得る。これにつきましては、理論上多少の疑義を生ずる虞れがありますので、本項は
新法施行
前に成立した
株式会社
の
新法
への移行を円滑にするため、かような
定款
の
変更
を認めることを明らかにしたものであります。次に第三項でありますが、第
五條
の
規定
によ
つて
、
旧法
によ
つて
設立
手続
中の
会社
について、その
設立
の経過において
新法
に適合するよう
定款
を
変更
することを認め、実際の
便宜
のだめに第
五條
の
規定
に弾力性を與えた
規定
であります。第二項及び第三項は、右に述べたように既存又はすでに
旧法
によ
つて
設立
手続
中の
会社
につき、
新法施行
前に
新法
へ移行のための準備を可能にする
規定
でありますから、その
施行
を、この
法律
を公布の日といたしております。次に、第四項及び第五項でございますが、
商法
施行
前に
設立
した
合資会社
は、
商法
施行
法(
明治
三十二年
法律
第四十九号)第三十
八條
によ
つて
商法
施行
後も存続を認められたものでありますが、
商法
の認める種類の
会社
とは一種別な構造を持つ
会社
でありまして、現在は殆んどないに近いと思いますが、今後そのままこれを認めることが必ずしも適当でないと考えられますので、今回
株式合資会社
と同様、これを
整理
することといたしました。即ち第四項は他の種類の
会社
への組織
変更
の途を開いた
規定
であり、第五項は
新法施行
の日から五年を経過したときに現存をするこの種類の
会社
は、その時に解散をするものとした
規定
であります。 以上で簡單ながら逐條的な
説明
を終ります。
鈴木安孝
13
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
速記
をとめて……。 〔
速記中止
〕
鈴木安孝
14
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
速記
を始めて下さい。本日はこの
程度
にいたしまして、明日午前十時より
委員会
を聞きます。今日はこれこて散会いたします。 午後三時三十一分散会 出席者は左の
通り
。
委員長
鈴木 安孝君 理事 伊藤 修君 鬼丸 義齊君
委員
長谷山行毅君 山田 佐一君 齋 武雄君 岡部 常君 一松 定吉君 羽仁 五郎君 須藤 五郎君
政府委員
法務政務次官 高木 松吉君 法務府法制意見 第四局長 野木 新一君 法務府民事局長 村上 朝一君
事務
局側 常任
委員会
專門 員 長谷川 宏君