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1951-02-21 第10回国会 参議院 法務委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十六年二月二十一日(水曜日) 午後一時四十九分開会
—————————————
委員氏名
委員長
北村
一男
君
理事
伊藤 修君
理事
宮城タマヨ
君
理事
鬼丸
義齊
君
左藤
義詮
君
鈴木
安孝
君
西川甚五郎
君
長谷山行毅
君 齋 武雄君 棚橋 小虎君
高橋
道男
君
西田
天香
君 一松 定吉君
羽仁
五郎
君
須藤
五郎
君
委員
の異動 十二月十日
委員西川甚五郎
君
辞任
につ き、その
補欠
として
山田佐一
君を
議長
において指名した。 二月一日
委員西田天香
君
辞任
につき、 その
補欠
として
岡部常
君を
議長
におい て指名した。 二月十日
委員高橋道男
君
辞任
につき、 その
補欠
として
鈴木文四郎
君を
議長
に おいて指名した。 二月十三日
委員左藤義詮
君
辞任
につ き、その
補欠
として
工藤鐵男
君を
議長
において指名した。
委員長
の
補欠
一月二十九日
北村一男
君
委員長辞任
に つき、その
補欠
として
鈴木安孝
君を議 長において
委員長
に指名した。
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
議員派遣要求
の件 ○
派遣議員
の
報告
○
検察
及び裁判の
運営等
に関する
調査
の件 (
警察官
の
人権
じゆうりんに関する 件) (
青少年犯罪
に関する件)
—————————————
鈴木安孝
1
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
只今
より
委員会
を開きます。 本日は、
議員派遣
につきまして、御相談をお願いいたしたいと思います。今回
議院運営委員会
の
決定
によりまして、本年の三月末までに当
委員会
に割当てになりました
予算額
は六万八千九百七十円でございまするが、これを如何に
使用
しますか、お諮りをいたしたいと思います。なお
運営委員会
の意向及び当
委員会
の
審議予定
からいたしますれば、
議員派遣
を行いまする際は、成るべく今月中にお願いいたしたいと存じます。 なお
便宜専門員
のほうから
派遣
の
目的等
、案につきまして
説明
を聽取いたしたいと
考え
ますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鈴木安孝
2
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 御
異議
ないと認めまして
説明
を求めます。
ちよ
つと
速記
を止めて……。 〔
速記中止
〕
鈴木安孝
3
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
速記
を始めて下さい。
只今専門員
から
説明
いたしましたようなことを
調査
のために、当
委員会
といたしまして、この際
議員派遣
を行いたいと思いますが、御
異議
ございませんか。
羽仁五郎
4
○
羽仁五郎
君 実は私
理事
の
かたがた
の打
合会
にその
意見
を出したいと
思つて
昨日も
考え
てお
つたの
ですが、
理事
の打
合会
に私の
考え
を述べる
機会
がなか
つたの
で、
今ちよ
つと
申上げ
たいと思うのですが、私先日第十
国会
の
代表質問
にも申述べていたのですが、最近やはり
講和促進
の問題と関連してまあ
日本
の再軍備というふうな問題から、国内的にもそうでありますけれども、国際的にもやはりこの現在の
日本
の、まあ
警察予備隊
などについてのいろいろな
疑惑
が出て、これは
日本
の
新聞
紙のみならず、まあ
アメリカ
、特にイギリス或いはその他
外国
の
新聞
で、これについてのいろいろなまあ
報道
を伝えられておりまして、
アメリカ
の
新聞
でもかなり有力な
新聞
であるUS、ユナイテツド・ステート・レポート・オブ・ワールド・ニユースではかなり、果してまあこういうことがあるのかしらんと思われるような
報道
が伝えられておるのであります。この問題についてはなかなかデリケートな問題でありまするが、併し
予備隊
の
予算
の問題なんかについてもこの問題があり、やはり
国会
として、
立法者
としてこの現在の
警察予備隊
の
現状
というものについて、それが
実情
はどういうふうにな
つて
いるかということを我々として全然知らないでいることもどうか知らんというふうに
考え
、そしてこれについての
説明
を
法務
総裁なり、何なり、
政府
の
当局者
に求めるということも、あらかじめこれを
説明
を聞いてから見に行くということもいいかと思うのですが、併しこの前の
国会
以来たびたび
質問
をしたんですが、必ずしも直接
政府当局
として
説明
するということに困難なところもあり、いろいろたびたび
質問
を重ねて見ましたら、どうもその点が我々として、やはり至急にその
実情
を我々自身の目で見て
誤解
があれば、その
誤解
を一掃するということが必要じやないかというかうに思いますので、その点もなお
理事
の
かたがた
の打合の際に、本
委員会
の
警察
及び
検察
の
運営
に関する
調査
の
目的
から、そういう必要があるとお
考え
があれば、
是非一つ
そういう
調査
をも行な
つて
頂きたいというふうに
考え
ているのであります。これはこの
委員会
として、
法務委員会
として、やはりかなり根本的な問題に関することでありますので、実は私たびたび
政府
に向
つて
質問
した際にも、その
あと
にもそう
感じ
ておりましたが、先日来、
理事会
の打合せの際に問題にして頂きたいと
思つて
おりましたが、その
機会
がなか
つたの
で今お願いいたしたいと思います。
鈴木安孝
5
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
羽仁
さんの今の
お話
は、今度の
派遣
の中にそのことを加えたらいいという御主張ですか。
羽仁五郎
6
○
羽仁五郎
君 そうです。
須藤五郎
7
○
須藤五郎
君 先ほど
專門員
のほうから
調査
の
目的
、又内容をいろいろ
お話
があ
つた
と思うのですが、ほうぼうのまあ
裁判所
とか、税務署、又いろいろな
方面
で
暴力事件
が起
つて
いるから、それを視察に、
調査
に行
つた
らいいだろうという話をしていたですが、ああいうこまごましたことを、ちつぽけなことを一々この
法務委員会
から
調査
に歩いて行
つた
ら、これは
日本全国
そんなことばかりで、しよつちゆう歩かなければならないので、つまらないものじやないかと私は思うので、もつと
日本
の将来のために大きな問題であるところの
少年
の
犯罪
の問題、
家庭裁判所
の問題とか、そういうもつと何というか、非常に大きなプラスになる面をもう少し
調査
の主眼に置いたほうがいいじやないかと、私は思うのです。それから今、
羽仁議員
が申されたことも、英国の
新聞
では
日本
の
警察予備隊
に対しましては、ニユー・ミリタリー、新らしい
軍隊
という言葉を使
つて
行動しておる。何だか我々は
警察予備隊
と
思つて
いても、
外国
がすでにこれが新らしい
軍隊
として指摘しているような段階におきまして、そういうことに対しまして、この議会としてもはつきりした見解を持つということが必要だと思いますので、
羽仁委員
の御
意見
の採択を
一つ
して頂きたいと、そういうことをお願い
申上げ
たいと思います。
岡部常
8
○
岡部常
君
羽仁
さんと
須藤
さんの
お話
御尤もです。それで
羽仁
さんからの御提議がありましたように、その点は
理事会
でよく御相談して
決定
して頂いたらどうかと思います。
長谷山行毅
9
○
長谷山行毅
君 私は
只今
の
岡部委員
の説に賛成いたします。
理事会
で
一つ
その問題を十分御検討にな
つて
決定
せられるように希望いたします。
鈴木安孝
10
○
委員長
(
鈴木安孝
君) それでは
羽仁
さんの御発議がありまして、それに対する
岡部委員
の御
意見
もありますが、それに基いて
理事会
を開きまして、
理事会
でとくと協議いたしまして、
決定
することにいたします。
羽仁五郎
11
○
羽仁五郎
君
只今
の御
決定
に別に私
異議
を申立てるのではありませんが、
議員派遣
についてはとかくの批評もありますし、
予算
の
関係
もありますし、できるだけ重点的な重大な意味を持つ深い問題、又長い見通しを持
つて
立法者
として特に全力を集中すべき問題に
調査
を集中せられることを希望いたしますので、若し願えれば、
さつき專門員
のかたから、
調査員
のかたから御
報告
がありましたような計画が
決定
される前に、私のお願いも
理事会
で取上げられて、そうして御
決定
が願えれば有難い。
鈴木安孝
12
○
委員長
(
鈴木安孝
君) それでは結局
理事会
のほうへ諮りまして、
理事会
で大体案をきめて、又この会にかけることにいたします。
鈴木安孝
13
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 次に、先般ございました
議員派遣
中の
靜岡
県の部につきまして、
報告
ができておりますから、この際その
報告
をお願いいたします。
羽仁五郎
14
○
羽仁五郎
君 それでは
只今委員長
が述べられました去る十二月下旬に、本
委員会
から
派遣
せられまして、
靜岡方面
の
調査
を行いましたその
報告
を、
鬼丸理事
が、なさるはずでありますが、私が代
つて簡單
に御
報告
申上げ
たいと思います。 昨年十二月二十六日を中心といたしまして、三日間の
予定
を以て
靜岡
県に我々が出張いたしまして、先ず
靜岡市
の
靜岡地方検察庁
、
国警靜岡県本部
などにおいてそれぞれ
係官
より
事情
を聽取、それから次に
浜松
市に参りまして、
浜松地方検察庁支部
において、
支部長
以下各
係官
及び
浜松市警
、それから
袋井
町の
警察
、それから
引佐地区
の
国警
の各係員から
事情
を聽取いたしまして、
意見
の交換を行いました。その詳細につきましては、
提出
せられました
報告書
について御覧を頂きたいと思うのでありますが、次に、主な点だけを
申上げ
たいと思います。 この
調査
は昨年の十一月二十三日に静岡県
袋井
町
警察署
において、
警察職員
の
犯人射殺事件
が
発生
しまして、当時この
事件
は各
新聞
にも
報道
され、
一般
の耳目をそばだたしめた。ところが、この同じ町を管轄いたします
靜岡地方検察庁浜松支部管内
において、以前にも
昭和
二十三年八月
引佐地区警察署員
の
拳銃盲発事件
がございました。又同年九月十二日の
浜松
市
警察署員
の
射殺事件
がございまして、こういうように引続き
盲発事件
がありましたので、今度の
袋井事件
、いわゆる
警察職員
の
拳銃使用
に対する
認識
の
程度
、
人権尊重
の
観念
の
一般的水準
の問題を
考え
させる
一つ
の事例とも認められましたので、この
事件
について
調査
の必要が本
委員会
において認められたわけであります。 順序に従いまして、この
昭和
二十三年八月十五日
引佐地区警察署
に
発生
した同
署員
の
拳銃盲発事件
、これについて
調査
をいたしました結果、我々が得ました
結論
は、これは同じ
警察
の中で
拳銃
を取出して、そうして検査しておる際に、不注意にその引金を引いたために、脇におりました
警察官
にそれが命中して死傷を負わしたという
事件
なのであります。ところがこれについて
調査
いたしました結果は、この問題について、
警察署
においても又
検察庁
においても、何らの
記録
を作
つて
いないということが判明したのであります。これは
警察内部
の問題であるし、そして大体示談に
なつ
た問題だから
といつて
全然
記録
を作
つて
いない。今度我々が
調査
をすることになりまして、そして
提出
を
要求
して
提出
されました
書類
も、我々がこれは一体どういうふうにしてお作りに
なつ
た
書類
かと
質問
をしましたならば、
調査
の御
要求
があ
つたの
で、それからその
警察署
にその
書類
の
提出
を求めた。即ちかなり前の
事件
を記憶に基いて
書類
を作成して、そして本
委員会
に送
つて
よこされたような事実であります。これはまあ
昭和
二十三年当時のことであ
つて
、その当時の
一般
の
認識
というものが低か
つた
ということにもその
原因
があると
考え
られますけれども、
只今
御
報告
申上げ
ましたような点は、
却つて警察内部
においてこそ、こういう問題について
十分愼重
に処理するという新らしい民主主義的な
観念
がまだ殆んど
意識
されていない、昔ながらに
警察内部
の問題はそう外部に
責任
を負わせないで、
内部
だけで処理してしまうというようなふうに
考え
られる点があ
つたの
であります。現にその際、
拳銃
を渡す際に、それを検査するときに一発の彈が入
つて
いたればこそ、それが盲発して別の
警官
に当
つたの
でありますが、その彈はどうしてそこに入
つて
いたものであるか。その
拳銃
の処理、人の
人命
に
危險
を及ぼすような
武器
を取扱うその重大な
責任
が、それにふさわしい
意識
を持
つて
考え
られていないということが、この第一の
事件
の
結論
の主なる点でございます。 それから第二の、
昭和
二十三年九月十二日
浜松
市に
発生
した
浜松
市
警察職員
が、挙動不審の人を射殺してし
まつ
たという
事件
、これも要点だけを
申上げ
ますと、特にその当時重大な
事件
がその近所にあ
つた
というほどではなくて、ですから
一般
的な
警戒
をしてお
つた
際に、夜その
警戒
をしておる二人の
警察官
が、一人の挙動不審だと
考え
られる人に対しまして、その挙動不審だと
考え
られる人が
逃走
しようとした、それに向
つてピストル
を発射した。その
係官
は
経済警察関係
の
係官
であります。いろいろ私どもが
調査
をしました結果は、御承知のように
拳銃
を
使用
するということが認められてある場合、即ち兇悪なる
犯人
、或いは兇悪なる
犯罪
がそこで犯されたというふうに推定される場合には少しも該当しないのでありまして、現にその挙動不審の人はどういう人であるかということを
あと
で
調査
して見ると、
前科
も
一つ
もない人である。それからそのときに、その人が重大なる
犯罪
を犯したという事実もなく、即ち全然この
拳銃使用
の場合に該当しない、早くいえば無事の人民が、深夜
警察官
に尋問されて、そして逃げようとしたので、それに向
つて
直ちに
拳銃
で射殺した。併しそのときに、その相手の人は
余り
背の高くない小さい、むしろ
体格
もよくなく、年齢もそろそろ老年に入ろうとする人で、こちらは二人の
警察官
で、而も
壯年
で
体格
の立派な
人たち
で、追かければ、これを逮捕することができたにもかかわらず、逮捕することができなくて
逃走
の虞れがあるというだけの
判断
で数発の
彈丸
を発射して、而もそれがいずれも多く上半身に命中して殺されて
しまつたの
であります。我々が
調査
した際に、
警察官
が
拳銃
を
使用
してよろしいというふうに法律によ
つて
定められておる場合についての
認識
が殆んどない。單に逃げようとしたから射
つた
。まあ
ヒツトラー時代
の
警察
には、よく
逃走
の虞れがあ
つた
から射殺したというような
報告
があ
つた
そうでありますが、それに似ておる
といつて
は少し気の毒でありますけれども、そういう
感じ
がいたすのであります。 それからそれに対して
警察署長
なり或いは監督の任に当る人が、こういう
不詳事件
が起
つて
おるのに対して
とつ
た
処置
も、つまり
拳銃
を
使用
すべき場合、十分なる
人権尊重
の精神を以て
拳銃
が
使用
されなければならないということについて、その後にとられた
処置
が、我々が
調査
したところでは満足とは
考え
られないのであります。早く申せば甚だ気の毒なことをしたわけなんで、重大な
犯罪
を犯した人でない人を
理由
なくして射殺してし
まつ
た。
署長
は亡くな
つた人
の家に謝罪と言いますか、慰めに行かれたようですが、私がその本人に向
つて
、実はどの
程度
こういうことを
自分
の問題として
考え
ておられるかと思いまして、
自分
が
理由
がなくして殺した人のそのお墓に参られたことがあるだろうかというふうに伺いましたら、ないと言われておられるので、恐らく
自分
が重大な
過失
を犯したというところの
意識
も
余り
ないのではないかというふうに
考え
られたのであります。 それから
最後
の
事件
は、即ち昨年十一月に
袋井
町において起りました
事件
で、これはかなりの
前科
のある人が
逃走
しまして、そして約六カ月に亘
つて
捕われないで
指名手配
中に、その人が再びこの
袋井
の町に現われ、そしてその人が、その前に逮捕される
原因
と
なつ
たこの
拳銃
を不法に所持しておるということを
警察
に告げたと
考え
られる酒場の
女中
さんのところに現われて、そして
自分
を密告した人として脅迫して、それでその
女中
さんと、それからその店の主人とが非常に驚いて
警察署
に逃げた、それを追跡して、その
拳銃
を持
つて
いる
前科
のある人が
警察
に乗り込んで来た。そうして
警察官
のほうがそれに対して十分の準備が勿論なか
つたの
でありますが、それに対してその
拳銃
を持
つて
いる
前科
のある人が、
警察官
、及びその
署長
から、
拳銃
を捨てて
十分穏
かに
話合おうじ
やないかということをたびたび勧めたにもかかわらず、それに応じないで
拳銃
を擬して
警察官
を脅かしてそのそのまま
逃走
しようとした。且つこの人は
袋井
という
余り
大きくない町において絶えず善良なる市民を脅かして多くの人の生活をも脅かしていた人であり、それから
指名手配
中のことであり、且つ又
拳銃
を擬して
警察
に入
つて
来て、
警官
を脅かして、そうしてそのまま
逃走
して行くということでは、到底
警察
として、或いは特に
署長
としても
警察
の威信というものを保つことができないというように
考え
るというような、いろいろの
理由
から遂にその
前科
があり、
拳銃
を持
つて
警察官
を脅かしておる人と、それから
警察官
との非常に切迫した空気の中でその
警察官
が発砲して、そうしてその人が殺されてし
まつ
たという
事件
であります。これについて
我我
の
調査
しました結果は、なかんずくその発砲してその人を倒した
警察官
に対して、我々がいろいろお尋ねをしました結果は、
木下巡査部長
は非常に、一見現在の
警察官
としては優秀な人であるような
印象
を受けました。若い人であり、それで知的な容貌を持
つて
おり、そうして述べられる際にもかなり相当の深刻な反省を持
つて
我々の
質問
に答えておられました。
本件
については、前の二件の場合のように、特に直ちに
拳銃使用
についての誤
まつ
たる
判断
、或いは
人権尊重
の
観念
が全く欠如しておるというようなことは指摘することはできなか
つた
ように思います。ただ
一般
的な問題として、これはこの
報告書
の中には述べて置きませんでしたけれども、私の
感じ
ました
感じ
といたしましては、やはり
警察
がその任務を遂行するために、多くの場合において
拳銃
を
使用
するということが
一般
的とな
つて
来ますると、どうしても
犯罪
を犯す人も必ずみずから
拳銃
を持
つて
武装するというようになり、そういうふうになる結果は、私は
警察官
が正当なる
職務
を遂行するのに、かなり常に
生命
の
危險
に身をさらさなければならないという場合が多くなる。これは私は
警察官
に対して甚だ
国家
或いは
社会
がそれだけのことを期待するというような
方向
に向
つて
行くべきものであるかどうか、
現状
はさておきまして、
我我
の国或いは
社会
が
警察
に対して
警察官
が常に
拳銃
に手をかけ、
自分
の
生命
を賭してでなければ正常な
警察
の
職務
を遂行することができないというような
方向
に持
つて
行くことが、果して
社会
の進歩に副うものであるかどうかという点については、かなり重大な問題があるように思います。それで現にこの場合に射殺された人が
拳銃
をどうして手に入れたかと言いますと、この
拳銃
は
敗戰当時
に恐らく軍から流れ出た
拳銃
であ
つた
ろうというふうに推察されるのでありますが、その他の場合には、
警察官
の
拳銃
が失なわれて、そういう人々の手に入るということもあります。それでこの射殺ざれた人もいずれも
前科
があるというけれども、大した
前科
ではないのです。非常に凶悪なる人ということもない、
従つてピストル
を持
つて
おるということも、
ピストル
を持
つて
でなければ為し得ないというような凶悪なる犯行を為しておるわけではない。
ちよ
つとした
犯罪者
が
ピストル
を持
つて
、そうして
警察官
も
ピストル
を持
つて
これと相対しなければならないという場合が多く
なつ
たようなことがあるならば、これは非常に問題ではないかという
感じ
を抱いたのであります。 以上が我々が
調査
いたしました三つの
事件
についての主な点と、それから皆さんに特に
考え
て預きたいというふうに私の
考え
ました点であります。なお詳細はこの
調査報告書
に述べられておりますので、それについてお
考え
を願いたいと思うのでありますが、
結論
として我々の得ましたものは、この
報告書
にも書いて置きましたが、
引佐地区警察署員
の
拳銃盲発事件
については、その
発生
は
岩本警部補
の不注意によるものであり、その
行為
は明らかに刑法の業務上
過失傷害罪
に該当するものである、
本件
について
警察
及び
検察庁
のとりたる
措置
は、いずれも妥当を欠くものである。 又
浜松
市
警察署員
の
挙動不審者射殺事件
については、
山下巡査
の
射殺行為
は
警察官
の正当なる
職務執行行為
を逸脱せる
越権行為
である。
本件
について
警察
のとりたる爾後
措置
は妥当であるけれども、
検察庁
のそれは適当と認めがたい。 更に
最後
の
袋井
町
警察署員
の
犯人射殺事件
については、
木下巡査部長
の
射殺行為
及び
本件
について
警察
並びに
検察庁
の
とつ
たる爾後
措置
はいずれも適切なるものと認められる。 以上の通りであります。
国家地方警察靜岡
県
本部
の
説明
によれば、
昭和
二十一年一月十日、
連合国
総
司令部
の
警察射殺権
に関する
覚書
が出た当初、
国警
では大体
警察官
六名につき一
挺当り
の
拳銃
が渡されており、
自治体警察
においてもほぼ同様であ
つた
が、
銃砲等取締違反
の押收などで、署によ
つて
は多少多か
つた
所もある。
拳銃使用
の
訓練
は、
警察官等職務執行法施行
以前においても、
右覚書
及び大正十四年の
内務省訓令武器使用規程
によりこれを行な
つて
いたが、
職務執行法施行
後は
訓練
を強化している。
訓練用彈丸
は年間一人二十発とな
つて
いるが、うち十五発は
基礎訓練
に
使用
しており、この
基礎訓練
は二十五時間行うことにな
つて
いる。なお
拳銃使用
の
訓練
は
自治体警察職員
についても
国警
でこれを行な
つて
いるとのことである。更に
警察官等職務執行法施行
(
昭和
二十三年七月十二日)以来、二カ年間の
靜岡県下
における
拳銃事故発生件数
は、
国警
において八件、
自治警察
において約十件であり、
昭和
二十五年八月二十三日よりは
警察官全員
に対して
拳銃
が配付されたが、
事故防止
には
国警県本部
においても万全の
措置
を講じているとのことでありました。
引佐地区署
の
事件
及び
浜松市警
の
事件
は、
警察官等職務執行法
が
施行
に
なつ
たばかりのときに
発生
したものであ
つて
、当時と現在とでは、
警察当局
及び
警察官一般
の
拳銃取扱
に対する
訓練
も又
認識
も相当異な
つて
いるものとは
考え
られますけれども、併し最近
新聞等
においてしばしば取上られる
警察官
の
拳銃事故
は、更に一層その
取扱い
に
愼重
を期さねばならないことを示唆するものであります。殊に現在は当時と異なり、
警察官全員
が
拳銃
を所持し、而も日常にこれを携帯しているのでありますから、その
取扱い
には、特に留意しなければならない、殊に
拳銃
の
使用
は最も貴重なる
基本的人権
たる
人命
に直接侵害を及ぼすものであるから、
当局
としても單なる
技術的訓練
にとどまらず、進んでその
使用
に際しての心がまえ、特に緊急なる事態に対処すべき状況の
判断力
を養わなければならないのでありましよう。そうして
拳銃
は軽々しくこれを
使用
すべきではない、伝家の宝刀として
最後
の一線においてのみ
使用
し得るものとの
観念
を
警察官全員
に植付けることが必要であると
考え
られる。 特に
拳銃
を
使用
する場合、ここにも述べて置きましたように、
基本的人件
の中の最大のものである人間の
生命
というものに対する
尊重
の
観念
というものの徹底なくして、
拳銃
を
使用
するということが行われているのではないかという
印象
を、我々はこの
調査
において得ましたことは甚だ遺憾な事実でございます。
鈴木安孝
15
○
委員長
(
鈴木安孝
君)
只今
の御
報告
に対して御
質疑
はございませんか……。御
質疑
がないようですから、昨日
宮城委員
から申出がありました
青少年犯罪
に関する諸事項についての御
質問
に移りたいと思います。
羽仁五郎
16
○
羽仁五郎
君
少年法関係
のことについて伺う前に、
只今靜岡
県
地方
を視察しました
報告書
に関して述べました問題についても、
ちよ
つと今見ておられる
政府委員
の
かたがた
からお答えが願えれば、
ちよ
つと伺
つて
置きたいことがあるのですが、
法務
府のほうのお
考え
と、それから
最高裁判所
のほうのお
考え
と両方伺
つて
置きたいと思う。
拳銃
を
使用
することについて、特にその問題と関連して
基本的人権
に関する
警察官
の、その
拳銃
を
使用
することを許されておる人の
基本的人権
に関する教育というものはどの
程度
に行われておるのですか、その点を伺いたいと思います。
神谷尚男
17
○
説明員
(
神谷尚男
君)
只今
御
質問
の点でございますが、
検察当局
といたしましては、直接
警察官
を、そういう
ピストル
の
使用
ということで指導する地位にはないのでありますけれども、その
使用
の適正を期することにつきましては、常々注意いたしておるつもりでおります。更に
拳銃暴発事件
が起きました際には、そういう
事件
は
人権尊重
の観点から非常に重要視いたしまして、原則として
事件
を臨検してその取調を
愼重
にいたしまして、それが
犯罪
を構成するかどうかということを十分究明して世間の
疑惑
を解くという
方針
をと
つて
おりまして、この
方針
は常に
警察官
のほうに明示しているのであります。
ちよ
つと本日は数字を持
つて
おりませんで、はつきりしたことは
申上げ
られませんけれども、
警察官
の暴発
事件
として起訴した
事件
も、昨年中におきまして五件くらいあ
つた
と記憶いたしております。
検察
官としてとり得る
措置
はそういうところでございますが、この上とも飽くまでも真相を究明して事犯の適正な処理を期したい、こういうふうに
考え
ています。
羽仁五郎
18
○
羽仁五郎
君
只今
御
説明
の点についても何ですが、それ以外に
警察官
に対する
基本的人権
に関する
認識
を高める意味の教育ということについては、どういうふうにお
考え
ですか。
神谷尚男
19
○
説明員
(
神谷尚男
君) これは
警察官
の捜査方法
一般
の心がまえといたしまして、常にあらゆる
機会
におきまして、
警察官
に対して
人権尊重
の
観念
を徹底しなければいかんということは申しておるつもりでございます。
羽仁五郎
20
○
羽仁五郎
君 その点について、ときどき
新聞
なり、その他の
機会
に、
検察庁
関係
の
かたがた
が
基本的人権
の
尊重
ということと、
検察
なり、
警察
の
運営
ということとは矛盾するようなことを、そういう思想を述べられる場合が散見しますが、こういうような
考え
方が相当
新聞
なり、雑誌なりに、
自分
の所見を公けにされるような、
責任
のある人においてすら、そういうような見解を持たれるということに私は相当の問題があると思う。
基本的人権
の
尊重
ということの前提なくしては、民主主義的な
検察
もなければ、
警察
もないのであります。それは同じレベルで以て、
犯罪
を防止するということと
基本的人権
の
尊重
ということとは、同じレベルで衝突するような
考え
方がかなり指導的な地位の人にもおありになるのじやないか、それは従
つて
警察官
などの場合には非常に間違
つた
判断
に陷
つて
しまうのではないか。いわんや
警察官
が
拳銃
を
使用
しようとする際に、なかなか
自分
自身も沈着冷靜で、状況の
判断
を誤まらないということは、すべての人に望むのはむずかしいので、
自分
も相当おつかなびつくりにな
つて
おりますから、そういう場合には
基本的人権
の
尊重
という自覚があるかないかという、結果は全く逆の結果にな
つて
しまう。つまりどちらかを選ぶというような
関係
にな
つて
いるとすれば、その瞬間にはこれはしようがない、射
つて
しまえということにな
つて
しまうものだと思う。そういう点も十分にお
考え
願いたいと思う。それから極く最近
新聞
で
報道
された東京都内において
少年
に向
つて
警察官
が発砲した
事件
については、どんなふうにお
考え
にな
つて
いるのですか、
法務
府では……。では、その間に
最高裁判所
のほうでは今の問題について御
説明
下さることはないですか。
宇田川潤四郎
21
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 私
最高裁判所
の家庭局の宇田川でございますが、今の問題につきましては、係が違いますので、ここに御
意見
を
申上げ
る用意を持
つて
おりません。ただ
人権尊重
の問題につきましては、
最高裁判所
といたしましては、強くこれを保持することを常に
考え
ておりますということだけをこの際
申上げ
て置きます。
羽仁五郎
22
○
羽仁五郎
君 極く簡單な問題なんで、お互い人間として
考え
ているか、それとも人間として
考え
るということがどこかにいて、
犯罪者
としてだけ
考え
て来るかというような点だと思うのです。決して深遠な哲理でもなければ、何でもない、人間の普通の
感じ
ですが、併し過去の
日本
の
警察
なら
警察
においては、とかく相互に人間であるというような
考え
方がどうかすると忘れられてし
まつ
た場合が多い。それが今日残
つて
いるので、そう困難なことではない。適当の方法をとり、努力して頂けば、必ずそういうふうに実現できることだと思いますが、
法務
府或いは
最高裁判所
では十分努力して頂くようにお願いしたいと思います。
須藤五郎
23
○
須藤五郎
君 今
羽仁委員
の
ピストル
使用
に対する
質問
に関連しますが、
ピストル
のことは大体今の御返事でわかりましたが、棍棒の
使用
、
警察官
の持
つて
いる棍棒はどういう場合に
使用
するというふうにされているのですか。
神谷尚男
24
○
説明員
(
神谷尚男
君) この点は我々といたしまして、棍棒もやはり
武器
の一種であるということで、
警察官等職務執行法
第七條に従
つて
使用
すべきものであるというふうに
考え
ております。
須藤五郎
25
○
須藤五郎
君 相手かたが
警官
に反抗する、暴力を振
つて
反抗する場合にのみ
使用
するのですか、どうですか。
神谷尚男
26
○
説明員
(
神谷尚男
君) その点は
ちよ
つと今第七條の
関係
を詳しく覚えておりませんが、反抗する場合ばかりではないと思います。それから又その
使用
方法につきましても、それで叩くとか何とかいうようなことになりますと、七條の條件を十分守らなければいけませんので、
警察官
が
自分
で
自分
の身を守るというような場合もありますから……。
須藤五郎
27
○
須藤五郎
君 それじやあなたの見解を伺いますが、今日
警察官
が棍棒を
使用
している場合、常に
自分
を守る場合にのみ使われているかどうか。
神谷尚男
28
○
説明員
(
神谷尚男
君) そういう場合だけではありません。第七條の條件に合えば使えると思います。
須藤五郎
29
○
須藤五郎
君 その場合を
ちよ
つと挙げてもらいたいと思います。
神谷尚男
30
○
説明員
(
神谷尚男
君)
警察官等職務執行法
第七條によりますと、「
警察官
等は、
犯人
の逮捕若しくは
逃走
の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な
理由
のある場合においては、その事態に対し合理的に必要と
判断
される限度において、
武器
を
使用
することができる。」と、こうな
つて
おります。
須藤五郎
31
○
須藤五郎
君 私たちが往々棍棒
使用
の場合に接するとき目撃しますのは、この第七條に該当しない場合が非常に多いのです。私は或るところの会合で
警官
が棍棒を
使用
したのを目撃しましたが、それはこういう場合です。或る会が解散を命ぜられた、そのときに皆がじつと坐
つて
おる。その解散をさせるために棍棒を振
つて
、何にも抵抗しないで着席したままでいる婦
人たち
にまで棍棒を振
つて
毆る、毆ることによ
つて
解散をさしておる、そういう場合に往々接するのですが、それは七條に該当しますかどうですか、あなたの見解を承わりたい。
神谷尚男
32
○
説明員
(
神谷尚男
君) 今おつしや
つた
ことを前提として
考え
ますと、これは該当しないと思います。
須藤五郎
33
○
須藤五郎
君 そういうことを
警官
がや
つた
場合にどう
処置
なさいますか。
神谷尚男
34
○
説明員
(
神谷尚男
君) それはやはり違法と思います。
須藤五郎
35
○
須藤五郎
君 違法として
警察官
を処罰なさいますか。
神谷尚男
36
○
説明員
(
神谷尚男
君) そういう事実があれば取調べることになると思います。併しそういう事実が
警察官
全部にわかるかどうか。わかればすぐ……。
須藤五郎
37
○
須藤五郎
君 若しも
警察官
がそういうことを、棍棒を
使用
する
自分
の
行為
に対する
責任
を知らずに使
つて
おるとすれば、やはりあなたたちの手落だと思うのです。ですからそれをはつきり
警察官
に
認識
させる必要があるのです。今日我々はそういう場合にたくさん接しておるわけです。何ら反抗しないのに毆られる、毆られるのが痛いかも、会場から退席するという場合をたくさん見ておるわけです。若しもそういうことが今後行われて、
警察官
の
行為
に対して
責任
をはつきりあなたがたが追及なさるならばとにかくそういうことを知らん顔して、
警官
がそういうことを知らないのだというふうなことで放
つて
置くとしたら問題だと思いますが……。
神谷尚男
38
○
説明員
(
神谷尚男
君) そういう事実があれば、我々のほうとしましては、法に照して
処置
するということになるかと思います。
須藤五郎
39
○
須藤五郎
君 この七條によりますと、棍棒は攻撃の
武器
というよりも防禦の
武器
だと思う。ところが
警官
が棍棒を振
つて
おるのは攻撃の
武器
というところに重点が置かれておるというふうに
感じ
て仕方がないのですが、ですからあの棍棒を非常に皆がいやがるわけなんです。
ピストル
に対しましては非常にまあ
取扱い
も
愼重
かも知れませんけれども、棍棒に対しては
取扱い
方も非常に不注意だと思いますので、若しもあなたのおつしやるような意味でしたら、棍棒の
取扱い
に対して
警官
にも十分注意を喚起してもらいたいと思います。
神谷尚男
40
○
説明員
(
神谷尚男
君) その点は
機会
がありましたら、必ず注意することにいたします。
—————————————
鈴木安孝
41
○
委員長
(
鈴木安孝
君) それでは
只今
の
質疑
はこれで打切りまして、
宮城委員
のほうからお申出でのありました
青少年犯罪
に関する事項についての御
質疑
を願います。
宮城タマヨ
42
○
宮城タマヨ
君 私がお伺いしたいと思いますことは、
少年
法の年齢制限解除に伴いますいろいろな問題についてでございます。今年の一月に各
関係
当局
がお集まりになりまして、ブロツク会議をお開きに
なつ
た、その内容についての詳しいことが知りたいと
思つて
お願いいたしました。その
書類
を私まだ参りましただけで、十分拜見しておりませんけれども、一番私が問題にしたいと
思つて
おりましたことは、そのときに御相談に
なつ
たと聞いておりました
少年
審判規則の第八條三項の「送致書には、
少年
の処遇に関して、
意見
をつけることができる。但し、
事件
を終局させる
決定
に関する
意見
をつけることはできない。」という、この但書が除けられましたために、保護
事件
につきます検事の
意見
書が付くという問題でございますが、一体これは
家庭裁判所
のお立場で、どういう御
意見
でこういうことにな
つたの
でございましようか、
ちよ
つとお伺いいたしたいと思います。
宇田川潤四郎
43
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 御承知のように
少年
審判規則第八條の第三項には「送致書には、
少年
の処遇に関して、
意見
をつけることができる。但し、
事件
を終局させる
決定
に関する
意見
をつけることはできない。」、こういうふうに改正前は規定されてお
つたの
でありますが、元来この但書が制定された
理由
は、
少年
審判における保護処分その他の
処置
については、
家庭裁判所
の裁判官が独自の見解でこれを処理すべきであ
つて
、
警察官
或いは
検察
官等の
意見
に左右さるべきものでない。言換えますと、
少年
の審判
事件
の審判については、司法
警察官
、
検察
官の
意見
に影響されてはいけないという、そういう趣旨でできたのであります。ところが仮にかような但書があ
つて
もなくても、言換えますと、終局処分に関する司法
警察官
や
検察
官の
意見
があ
つて
もなくても、
裁判所
のほうといたしましては、裁判の本来の性格から独自の見解の下にこれを処理することは当然でありまして、むしろ
裁判所
といたしましては、
警察官
の
意見
も、
検察
官の
意見
も、或いは保護者の
意見
も、場合によれば学校の先生の
意見
も、あらゆる人の
意見
を聞いて、その上その
意見
にこだわることなく、独自の見解に従
つて
審判すべきである。こういうような趣旨からして、
意見
を聞かないということは、却
つて
審判を誤まらす虞れがあるというような意味において、この但書をこのたび削除したのであります。なおこの但書の削除については、
家庭裁判所
の裁判官のほうからの要望もあり、又検審庁、
法務
府の検務局等の強い要望のあ
つた
ことを申し添えて置きます。
宮城タマヨ
44
○
宮城タマヨ
君 御
説明
で表面の
理由
は納得できるようでございますけれども、そのことが
少年
法の精神に逆行する結果になりはしないかという点を私は虞れるのでございます。実は今度の改正法案に出ております。これは
家庭裁判所
のほうでお認めにな
つて
おるのかどうかわかりませんが、四十一條によりますと、今までは子供の
事件
の罰金以下のものは、もう
検察庁
に送らないで、皆
家庭裁判所
に
警察官
のほうから送られておりましたのが、今度は
警察官
に何と申しますか、その裁量を任せて、罰金以下のものでも、
警察官
がこれを
家庭裁判所
に送らないで、
検察庁
に送ることができるようにな
つて
おるように解釈しておりますが、その点如何なんでございますか。
宇田川潤四郎
45
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 四十一條は、罰金以下の刑に当る
犯罪
については、
宮城委員
のおつしやる通りに、
検察庁
を通らずに
家庭裁判所
のほうに送致せられておるのでありますが、これは元来罰金以下の
犯罪
については、
少年
法の第二十條の規定によりまして、起訴することができないということにな
つて
おりますので、結局起訴することができでないような
事件
であるならば、
検察庁
を通す要がないというようなことから、四十一條が設けられておるのであります。
宮城タマヨ
46
○
宮城タマヨ
君 ところが今までは十八歳以下のものは
検察庁
に廻さないで、すぐ
家庭裁判所
のほうにや
つたの
でございますね。ところが今度年齢引上になりましてからは、罰金以下のものでも
警察官
の
考え
によ
つて
検察庁
に送ることができるようにな
つたの
じやございませんか、改案でございますけれども……。併しそれは
家庭裁判所
が、それでもと納得なさ
つて
おいでかどうかということを、この年齢引上げ、それからこの検事先議の点なんかいろいろ
考え
合せますときに、
ちよ
つと参考までに聞いて見たいと
思つて
おる点なのでございます。
宇田川潤四郎
47
○
説明員
(宇田川潤四郎君)
只今
のは、最近まで私どもと
法務
府との間でいろいろ協議を続けております
少年
法の一部改正の問題のように存じますが、この点につきまして、先ず第一に罰金以下の刑に当る
犯罪
についても、十八歳以上の者については
少年
法第二十條の「
検察
官への送致」ができるということにこのたびの改正でなることに一応協議は遂げられたのであります。その
理由
は罰金以下の
事件
について起訴ができないということになりますと、特別法、例えば道路交通取締法違反のような
事件
について全く処罰されることがないということになりますと、現在十八歳以上の者について自動車の運転の免許等が交付にな
つて
おりますが、さような十八歳以上二十歳までの
少年
について、道路交通取締法の一部について如何に違反しても罰する手がないことになりまして、それでは治安が保てないというようなことから
警察
、
検察庁
その他の
方面
の強い要望がありまして、
新聞
紙上などでもこれは
少年
法の盲点じやなかろうかというようなことが論ぜられておるくらいに大きな問題になりましたので、
少年
について、たとえそれが十八歳以上でも罰金を科するということは原則としては我々は好まないのでありまするけれども、以上のような特別の
事情
がございますので、而もこれを科すると科さないとは、今の建前でありますと、
裁判所
がこれを
決定
するということでありますので、私ども同意したようなわけであります。そこでかようなことになりますると、罰金以下の
事件
でも起訴することができるようになりますと、これについては一応
検察庁
のほうで起訴
事件
については統制と申しますか、これを
警察
方面
の指導その他に必要といたしますので、従来の十八歳未満の罰金以下の
事件
のような、全く起訴のできないというような
事件
と異
なつ
た
取扱い
が必要であるという意味において、十八歳以上の
事件
については、
警察官
のほうで必要な場合には
検察庁
のほうへ送致して、そうして
検察庁
のほうから
家庭裁判所
に送致するというように相成
つたの
であります。
宮城タマヨ
48
○
宮城タマヨ
君
少年
法の精神から申しますと、できるだけ子供をほうぼうでいじくり廻さないで、そうしてどうしても刑事処分しなければならない子供はやむを得ないとしまして、それは極く僅かなものでございますが、そのほかの子供はその精神から申しますと、実は
警察官
にも預けたくないし、検事にも調べさせたくないし、できるならば
少年
法制定以来、やかましく言われておりますこの保護司の
報告
や、
一般
人の通告
事件
というものを非常に
尊重
されましたということは、結局はそういう專門家の、而も
警察
の頭を以てされるようなことを避けたい。だから家庭からなり、それから保護司の手から、それから
一般
人の手からすぐ
家庭裁判所
に持
つて
行きたいというのが
少年
法の一番の狙いであると
思つて
るのでございますが、いろいろ
お話
を伺
つて
見ますと、つまり、大体ことごとくの者を信用することができない、
警察官
が一番先議権を先ず持
つて
おるとい
つた
ようなことが認められて来て、だんだん逆行するような
感じ
で、こういうふうでございましたら、一体子供はどういうことになるか。それでこれはそうなるなら、今度一番問題になりましようかと思う検事先議の問題なんか、これはもう何でもないことで、
警察
で調べられ、又検事局で調べられ、そうして
調査
官に調べられ、裁判官に調べられ、又
少年
院で調べられるとい
つた
ように、その
犯罪
事実についても、もう何遍も何遍も子供が答えなければならない、取調べを受けるというようなことになるように私は
思つて
おるのでございますが、今の初めに申しました
少年
審判規則の第八條第三項の但書なんか削られましたというようなことも、何か私どもには納得できないような
感じ
がするのでございます。それに連関しまして、私は今通告のことを申しましたからでございますが、その点についてもう
一つ
伺
つて
見たいと思うのございますが、実は私が口を開けば、
少年
審判について不開始が多い、不開始が多いということを申しておるのでございますが、不開始も、いつか家庭局のほうの
説明
によりますと、これは極く軽い、つまり旧
少年
法の一号、二号、三号処分の軽い訓誡に相当するものがたくさんあることなのだという
説明
も一応は納得いたしましたけれども、ここに出ております。これは
家庭裁判所
のほうからの資料で出ておりますのでございますけれども、二十四年度の
事件
が十万六千件はございます。その中で司法
警察
員からの送致と、それから
検察
官の送致が殆んど大部分でございます。そうして
一般
人からの通告や、
少年
保護司の
報告
というものは、極く極くその中の本当に千件、十万六千件もございます中の千件にも当らないくらいなものでございまして、そうして大部分は
検察
官や
警察
から送
つて
おるのでございまするが、今度は又別表によ
つて
見ますと、その中の不開始というもの、つまり七万二千八百五十件の中の五万二千という、殆んど大半が不開始処分
事件
にな
つて
おる。このことは折角
家庭裁判所
に送られて、そうして保護処分を受けていい按排だと
思つて
おります子供たちが半分以上が野放しになるという結果にな
つて
おるのじやないかと
思つて
おります。而も野放ししてもいい子供を野放しにされるのはよろしいのでございますけれども、実はこれは
検察
官や
警察官
へ送られている
事件
で相当なものかと
思つて
おります。これは家庭保護司から送られているものとは違
つて
おります。そういうものはどうして網の目をくぐ
つて
、折角保護処分を受けさせたいと思うのに野放しが半分以上ということは、これはどういうことだか、この点について非常に苦慮しておるのでございますが、御
当局
は如何でございましよう。
宇田川潤四郎
49
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 第一点の
少年
事件
を成るべく
警察官
若しくは
検察
官の手を経ずして処理すべきである。従
つて
今度
法務
府のほうで論議せられておるところの
警察官
が罰金
事件
についても一応
検察庁
に送致する場合を設けようという改正は、
少年
法の精神に悖るのじやないかという御
質問
のように承わ
つたの
でありますが、これについては私現在の
少年
法を離れて、理想論的に
考え
て宮城さんのお説に大賛成であります。各機関でいじくり廻した結果、而も
犯罪
が行われたときから相当の時間がかか
つて
家庭裁判所
に来まして、これを処理するときには、その処理が何
といつて
もうまく行かないというので、成るべく他の機関の
関係
しないような立法を講じて、そうして
少年
に適切な保護を加える。これは私どものかねがね主張しているところでありますし、今後も立法の改正を行な
つて
も、さような
方向
にして頂きたいと常々念願しているところなのであります。併しながら現在の
少年
法を一覧いたしますと、先ほど
宮城委員
の申されたように、
検察
官に送られて
家庭裁判所
の
事件
となる場合は極めて多いのであります。甚だしい例は、
少年
法におきましては、十六歳未満の
少年
については
検察庁
ではできないということにな
つて
おります。その十八歳未満の
事件
でも、禁錮以上の
事件
については必らず
検察庁
を通らなければいけないというような不都合さえあるのでありますが、これは
少年
法の建前といたしましては、いやしくも
犯罪
である以上は成るべく
検察庁
のほうでこれを統制するというような建前がありますので、かような結果に陷
つた
ものと思うのであります。そういうような趣旨におきまして、率直に申しますならば、十八歳以上の
少年
について罰金を科する場合に、その
事件
を
警察官
が
検察庁
を通して
家庭裁判所
に送る、この点の改正については
只今
の問題もあ
つたの
でありまするが、現在の
少年
法の建前がそういう建前でありますので、私どもいろいろな疑問がありましたが、同意したような次第であります。次に通告
事件
が少いではないかという御
質問
でございますが、御説の通り
検察
官からの送致、司法
警察官
からの送致に比べますと、通告
事件
は非常に少いのであります。これは
日本
の
裁判所
の性格が何と言
つて
も
アメリカ
のような
社会
性を持
つて
おらんというような歴史的な事実から、かような結果が起
つて
おるのではないかと、常々
考え
ておるのであります。積極的に
社会
に呼びかけない。
少年
に呼びかけないというようなことから、かような結果が起
つて
来ると
考え
ております。と同時に、何といたしましても、
家庭裁判所
はまだ発足して二年にしかなりませんので、そこまで手が延びないというような点もあるのであります。けれども私どもはこの制度の運用については今後十分注意を拂
つて
、この制度の健全な育成を期したいと
思つて
おります。
宮城タマヨ
50
○
宮城タマヨ
君 今の不開始の
事件
の子供たちでございますが、これはその不開始されて許されました結果、どういうことに
なつ
たかということについては、なかなかおわかりじやございませんでしようね。もう
一つ
は、その中でどのくらい住所不明のものがあるために不開始に
なつ
たか、そういうものもございませんかと思いますが、如何でございましよう。
宇田川潤四郎
51
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 不開始に
なつ
たものがその後どう
なつ
たかということについては、現在
家庭裁判所
にそれらの
調査
をするようにお願いしておるのでありますが、まだ統計等は出て来ておりません。けれども東京あたりの
実情
をお聞きしますと、御承知の通り
少年
審判所当時でも、一時処分、現在の不開始処分と同じ
取扱い
ものが六〇数%ある。現在の
少年
事件
の不開始処分が六〇数%、これは全く私ども同じと
考え
ておるのであります。而もこの不開始処分については学校の先生を呼んで学校の先生に引渡したり、或いはどんな場合でも必らず保護者に引渡して、そうして保護者に懇々と今後の教育的な
措置
等について論ず等の適宜な
処置
を常に講じておりますので、
宮城委員
の言われますように、ただ野放しするとかいうようなことはないと
考え
ております。併しながら最近
少年
保護
委員会
の保護観察の制度もだんだんと充実して参りましたので、私どもといたしましては、成るべく不開始処分というようなことをせずに、
少年
保護
委員会
の保護観察に付したら如何かというような
意見
を常に申しておるような次第であります。
宮城タマヨ
52
○
宮城タマヨ
君
昭和
二十四年度でございますが、この表を見ますと、保護処分を受けております者の中の
地方
少年
保護
委員会
の保護観察に付された者は一万七百九人、教護院又は養護施設への送致を受けた者が七百十八人、それから
少年
院に参りました者が五千三百四十八人、そうして不開始処分になりました者が五万二千三百四十二人おります。そうするというと、この不開始処分になりまして、保護処分を受けました者は、その中のそれこそ五分の一ぐらいになるのじやないかと
思つて
おりますが、そうすると、
あと
の者はやはり野放しにな
つて
おるのじやないのですか。
宇田川潤四郎
53
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 野放しと言われますと、多少語弊があるのじやないかと思うのでございますが、私どもといたしましては、保護の方法に
少年
院送致もあれば、教護院送致もあり、養護施設送致もある。又
少年
保護
委員会
の保護観察に付する
処置
もございますけれども、旧
少年
法当時のように保護者に引渡すというような、又訓戒を加える、又は宣誓書というような、そうういうような現在の
少年
法の建前では、保護処分にいたしていない保護の手段を旧
少年
法当時と同じように講じておるのであります。でありますからして、
家庭裁判所
の側といたしましては、決してこれを野放しにしているというような気持は全くないのであります。たださような方法では多少手ぬるいのじやなかろうか、
少年
保護
委員会
の保護観察に付するのが適当ではなかろうかというような御
意見
であるならば、これは私どもこれを了承することができるのであります。
宮城タマヨ
54
○
宮城タマヨ
君 この問題については、私ももう少し研究いたしまして、時を改めてお伺いいたします。今度はこの
少年
法の五十五條、つまり判事の
決定
によ
つて
家庭裁判所
のほうに送られるということでございますが、これは一体どのくらい今までこの
決定
処分かされておるでございましようか、統計に出ておりませんでしようか。
少年
法の五十五條でございましたでしよう。普通の
裁判所
から
家庭裁判所
に
決定
送致……。
宇田川潤四郎
55
○
説明員
(宇田川潤四郎君)
只今
統計を手許に持
つて
おりませんが、私の記憶するところでは、その数は非常に少いものだと記憶しております。
宮城タマヨ
56
○
宮城タマヨ
君 それでは重ねて
家庭裁判所
の建物が独立し、それから兼務でない
裁判所
長並びに職員が整備されますのは、どのくらいなお見込でございますか。
予算
措置
はどういうふうにな
つて
おりましようか。
ちよ
つとお伺いします。
宇田川潤四郎
57
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 職員の整備につきましては、現在
国会
で審議されております
予算
案、又当参議院の
法務委員会
でも審議されておると
思つて
おります
裁判所
の定員法でも明らかでございますように、
家庭裁判所
関係
といたしましては、約六百数十名の増員が大蔵省のほうで認められまして、七月からこれらの職員を増員することに相成
つて
おるのであります。この職員が採用されますと、
家庭裁判所
のほうも相当強力になるのではないかと思うのであります。建物の問題につきましては、現在独立して
運営
しておるものは十数カ所でありますが、本年度も相当数建築することにな
つて
おりますが、まだ
予算
が通
つて
おりませんので、その実行計画は私承知いたしておりません。
宮城タマヨ
58
○
宮城タマヨ
君 大体
家庭裁判所
が整備されますのは、まあこれから二年先とか、三年先とかいうような大体のお見込はございませんのでございます。
宇田川潤四郎
59
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 理想的に整備されるのは、それは十年先か二十年先か、私はわからないとさえ
思つて
おるものでありますが、併し現在の仕事を
運営
するのに、さして差支えないというような見地の下にこれを論ずるならば、今でも何とかや
つて
おるというふうに
申上げ
得るのじやないか、こういうふうに思うのであります。
宮城タマヨ
60
○
宮城タマヨ
君 それでは今で十分だという仰せなのでございますか。私が伺いたいのは、そういう理想的という永遠の理想という意味でなくて、せめて建物が独立し、そうして兼務の裁判長でなくして、
家庭裁判所
所長が独立したかたができ、会計が別になり、そうして職員がとにかくまあまあ最低にしても、手を揃えるというのが大体いつでございましようか。
予算
措置
も勿論ございますけれども、どのくらい経てば、それだけくらいな最低のものにしたいという家庭局の望みでいらつしやいますか。
宇田川潤四郎
61
○
説明員
(宇田川潤四郎君) 專任の所長が置かれるのはいつかという御
質問
でありますが、これについては、実は昨年度中に相当数の專任の所長ができるように、一応さような計画の下に進めてお
つたの
でありますが、訴訟促進の問題が起
つたの
で、專任の所長を任命するには、どうしても高等
裁判所
又は
地方
裁判所
の有力な裁判官を以て当てなければならないということで、訴訟促進の終了するまで一時見合せるというようなことで、
只今
專任されていないような次第であります。今年中には、数はまだ確定いたしませんで申しかねますが、相当数の任命があるものと
考え
ております。建物は先ほど
申上げ
ましたように、本年度相当額の
予算
をとりましたならば、相当の数になるのではないかと
考え
ております。
宮城タマヨ
62
○
宮城タマヨ
君 これをまあどれだけ正確なことかわかりませんですが、大体から申しますると、
家庭裁判所
の
少年
係の判事さんになることをお嫌いになるかたが多いということがございませんですか。そこで私はまあや
つて
御覧になれば、きつと普通の判事さんの仕事よりも面白いには違いないのですけれども、どうも格が下るような気がして、
家庭裁判所
のほうには
余り
希望者がない。そのためにいまでもこの單独の判事ができないというようなことも聞いておりますので、それでまあ、その成否はどちらにいたしましても、結局私はやはりこの家庭局あたりで、
一つ
レフエリーを採用するというような
方向
に
一つ
お
考え
を進めて参るというのも
一つ
の途ではないかと
考え
ておりますが、局長のお
考え
は如何ですか。
宇田川潤四郎
63
○
説明員
(宇田川潤四郎君) レフエリーの問題は、昨年のたしか参議院の
法務委員会
でも御
質問
を受けたのですが、その後
アメリカ
の制度等を研究いたしておりまして、この問題はなかなか
裁判所
の構成全体に影響する大きな問題というので、研究はしていますが、直ちにこれが計画を実行に移すとか、又計画を立てるというような段階に達していないということを
申上げ
たいと思います。
宮城タマヨ
64
○
宮城タマヨ
君 もう
一つ
最後
に、これは
ちよ
つとむづかしい問題かも知れませんが、まあざつくばらんにおつしや
つて
頂きたいと思いますことは、今
家庭裁判所
でおきめになりました保護処分を、実際保護
少年
を保護処分して入れます容れ物について、何かいろいろ御不便の点がございますと思いますが、それを忌憚なく聞かして頂くわけには行きませんでしようか。
宇田川潤四郎
65
○
説明員
(宇田川潤四郎君)
法務
府の所管に関する
少年
院とか、
少年
保護観察施設に対する批判のようなことに相成るので、甚だ申しにくいのでありますが、私ども決して現在の施設を以て満足すべきものでないと
考え
ております。その施設の点においても、数の点においても、大きさの点においても、いろいろな面において不満なものを感ずるのでありますが、併しながら一昨年
家庭裁判所
が発足した当時の
少年
院と、現在の
少年
院と比べますと、格段の相違があります。又その
少年
院における教育効果も、
家庭裁判所
から見てもすばらしい進歩があるということを私は率直に認めておるので、この調子で
少年
院或いは
少年
保護鑑別所が育成されて行くならば、誠に
少年
のために喜びに堪えないと
思つて
おる次第であります。
宮城タマヨ
66
○
宮城タマヨ
君 今度は恐れ入りますが、
法務
府のかたに少しお尋ねいたしたいと思いますが、年齢が引上りまして、いろいろ收容施設につきましての問題が起
つて
来ましたのでございますが、この
少年
保護鑑別所に……。この鑑別所がございませんような所では、拘置監をお使いにな
つて
おると思いますが、その拘置監はどういうふうにまあお手当をなさ
つて
準備なさ
つたの
でございましようか、
ちよ
つとその点をお伺いいたしたいと思います。
古橋浦四郎
67
○
政府委員
(古橋浦四郎君) 年齢が引上げになりましてからは、全国の拘置所、拘置監において一応
少年
保護鑑別所の代用をすることにいたしたのでございまするが、
予算
的の
措置
、職員的の
措置
は講ずることができませんので、各拘置監の長に対しまして、その庁の
予算
その他の行政の
運営
上において十分注意して、
少年
の保護鑑別所にふさわしい
取扱い
をするような通牒を発して、この事態に対処して来ておるのでございます。但し大きな都市の拘置監におきましては、或る
程度
の施設の改善をその庁の費用でいたしまして、或る
程度
改善されておるのでございます。但し全体的に
申上げ
ますれば、旧拘置監の施設を一部分割いたしまして、そうして処遇その他について成るべく自由に、又明るい気分を出すように工夫をいたした
程度
でございます。
宮城タマヨ
68
○
宮城タマヨ
君 そういたしますと、この職員はどういうことにな
つて
おりますか、あの拘置所はまあ教官じやないのでございますが、教官が新たに任命されましたのでございますか。
古橋浦四郎
69
○
政府委員
(古橋浦四郎君) 東京、大阪等につきましては、観護
少年
の数が多いために、特に
少年
保護鑑別所の職員の定員を割きまして、教官を任命しておるのでございます。その他の全国の各拘置監についてはや
つて
おりません。
宮城タマヨ
70
○
宮城タマヨ
君 それはやはり看守が子供を見守
つて
おるのでございますか。
古橋浦四郎
71
○
政府委員
(古橋浦四郎君) その通りであります。
宮城タマヨ
72
○
宮城タマヨ
君 そうすると、その子供の処遇は、看板こそ
少年
保護鑑別所でございましようが、中はそれでは拘置監と何ら違わないということなんでございますね。その点は如何でごさいましようか。
古橋浦四郎
73
○
政府委員
(古橋浦四郎君) 何ら違わないと
申上げ
ることは私は
申上げ
ないつもりでございまするが、御覧になりますれば、非常にその点は近いものが多々あるのでございます。
宮城タマヨ
74
○
宮城タマヨ
君 それは見まして私が心配しておるのです。どうも折角子供たちはやれやれとして送られて参りましたときに、これでまあ保護されるんだなんと
思つて
行
つて
見たら、やつぱり刑務所だ
つた
ということで、非常に私子供たちが気の毒だし、悪影響があるというように
考え
ておるのでございます。併し今のところこのどさくさまぎれにどうも仕方がないのでございますが、どうかしてこれは何とかこの手の打
ちよ
うはないものかというように
考え
ておるのでございますけれども、
一つ
お
考え
願いたいと思います。それから引続いて伺いますけれども、
少年
院、つまりこの特別
少年
院が急にできませんものですから、
少年
刑務所の一部分が当てられているようでございますね。今度それが今と同じことを私伺いたいのでございますけれども、一体そこに、この特別
少年
院へ入りました子供の処遇と、
少年
刑務所に入りました子供の処遇とは一体どういう違いがあるのでしようか。
古橋浦四郎
75
○
政府委員
(古橋浦四郎君) お答えいたします。
少年
刑務所の一部に收容いたしまする特別
少年
につきましては、これは全く
少年
院の一種の施設といたしまして、全部これは
少年
院の教育
方針
に則りまして教育もいたしまするし、又処遇もいたして参るのでございます。昨年初めに
少年
刑務所の一部をこれに当てました当時には、收容
少年
の数が非常に少なか
つた
、職員がまだ慣れなか
つた
等のために、
宮城委員
の御覧になりました当時は、非常に刑務所の色彩が強か
つた
かと思うのでございまするが、最近になりまして、数次の会合をいたしまして、これら指定されました特別
少年
院の長といろいろ打合せをいたしまして、その点については非常な改良をいたしましたので、この次御覧下さいますれば、
少年
院のうちの一種の特別
少年
を入れた教育施設という工合にな
つて
おると思うのでございます。なおこの際
ちよ
つとお断わり
申上げ
たいことは、先ほど
申上げ
ました拘置監を代用いたしまする
少年
保護鑑別所の收容
少年
につきまして、
家庭裁判所
当局
と打合せの上、ここへ收容いたしまする者は、将来
少年
法二十條によ
つて
身柄を
検察
官のところへ送致して刑事処分に移されるという見込みの者を、それも主として十八歳以上の者を收容することにいたしておるのでございます。そうしてその中の処遇も食糧の規定或いは処遇の規則等によりまして、細かい注意を與えてや
つて
おるのでございまするが、
一般
の未決拘禁者の処遇とは相当に変
つて
おるわけでございます、その点改めて
申上げ
ます。
宮城タマヨ
76
○
宮城タマヨ
君 その特別
少年
院は、それでは教官その他の職員は全然
少年
刑務所のほうと兼務している人はございませんね。まあ例えば服装のことについて全然別個のものにな
つて
おりますか。
古橋浦四郎
77
○
政府委員
(古橋浦四郎君) これは大体において兼務の形式をと
つて
おります。そうして又專任で刑務官として教官をや
つて
おる者がありまするし、又教官だけの身分を持
つて
おる者もありまするが、現在のところでは共通の身分を持
つて
おるのでございます。と申しまするのは、実はこの職員定員の数のやりくりから、そういう工合にしたのでございまして、
少年
刑務所の職員或いは
少年
刑務所の教官の数は、全体の矯正保護職員のうちの刑務官としての非常なたくさんの数の中で操作ができるのでございまするが、
少年
院の教官は二年前に千人
余り
の收容
少年
時代にありました定員が漸次殖えましたけれども、今日六千三百人の
少年
に対しまして、僅かに百人ばかりしかないのでございます。そのためにその間の身柄の操作をいたしておりまするから、重複しておる数も殖えておるわけでございますし、この
少年
刑務所のうちの特殊なものは、殆んど特別
少年
院としての実態に切換えるような方法でや
つて
おるのでございます。姫路の
少年
刑務所、愛知の
少年
刑務所等は非常に切換えが早く進んでおるのでございます。なお
只今
予算
で御審議下さいまする定員増等が認められますれば、その間更にはつきりした定員が配置できるかと思うのでございます。
宮城タマヨ
78
○
宮城タマヨ
君 そうすると、やつぱり刑務官が着ておりますような、ああいう服装で子供を取扱
つて
おる所もあるのでございますね。兼務でございますと、そこはどういうことにな
つて
おるのですか。
古橋浦四郎
79
○
政府委員
(古橋浦四郎君) その通りでございます。なお刑務官の服装と
少年
院の教官の服裝とは、制服は今日あまり根本的に違
つた
服裝ではないのでございます。非常に似かよ
つた
点があるのでございます。ただ階級章その他がございませんだけで、同じダブルの背広にな
つて
おります。帽子と階級章がない点が違
つて
おります。
宮城タマヨ
80
○
宮城タマヨ
君 そこでまあ大した違いはないとおつしや
つて
おりますが、子供のほうから申しますというと、やつぱり刑務所だ
つた
というような、先の拘置監のところと同じような
感じ
を受けるのでございますが、それよりもこの問題は刑務所の職員が囚兒を扱いつけたその心持がおのずと
取扱い
に滲み出て参りまして、参りました子供たちから見ると、やつぱりここは
少年
刑務所だ
つた
なというような
感じ
だろうと
思つて
おりますが、私はそこで
少年
刑務所の一部分を看板だけ塗り変えて、特別
少年
院ということを書くくらいだ
つた
ら、いつそのこと向う側を消してしま
つて
、
少年
刑務所というものをもうみんな塗り潰して、この際特別
少年
院というものに
少年
刑務所をみんなお変えになるほどの飛躍したお
考え
はないでございましようか、如何でございましようか。
古橋浦四郎
81
○
政府委員
(古橋浦四郎君)
只今
ございます
少年
刑務所の大部分は、何と申しましても前からございまする刑罰の執行の場所としてでき上りました施設でございまして、特別
少年
院の施設としては私ふさわしいものではない、かように
考え
ているものでございます。今日窮余の一策で
使用
しているのでございますから、これは将来においては一刻も早く努力いたしまして、特別
少年
院といえども、もう少し
少年
院としてふさわしいものの建築をいたさなければならんと
思つて
いるのでございます。
只今
のところも、すべての
少年
刑務所の看板を塗り変えて特別
少年
院にするということについては非常な疑問を持
つて
いるものでございます。
宮城タマヨ
82
○
宮城タマヨ
君 私も一遍にそこに飛躍するということについては、どうかということを
思つて
おりますけれども、併し私をしてそう言わせることは、今何ら特別
少年
院らしいものが
ちよ
つともない、これじや
少年
刑務所に入れられたほうが却
つて
子供はさつぱりするのじやないか、それでございますから、看板を塗り変えて二つこう併置して置きましても、中の処遇というものについては、私は格段の違
つた
ものを是非作
つて
頂きたい、そうでなければ、私が今申しますように、片一方の
少年
刑務所を塗り潰したほうがいいんじやないか、そして実際は
少年
院については、もともと教育を土台にした嚴格なものがあ
つて
もいいんじやないかというような極端なことを言うほどに
なつ
たものなんでございます。それからいま
一つ
岩国
少年
刑務所と、それから新光学院とか、一部分やつぱり特別
少年
院にな
つて
おりますのでございますね、私はこういう所は、例えば新光学院は全部特別
少年
院にして、岩国
少年
刑務所はやつぱり岩岡
少年
刑務所として、そこにみんな入れるようにする、全国みんなそういう理窟には行かないかも知れませんけれども、二つの処遇を置くことになれば、同じ年齢の者を一緒に置くということはどうだろうか、まあ新光学院と岩国
少年
院とは近うございますから、
一つ
固めで置いたほうが子供たちのためにならんかという
考え
を持
つて
おりますが、如何でございましようか。
古橋浦四郎
83
○
政府委員
(古橋浦四郎君) この御
質問
の二つの刑務所の特別
少年
收容につきましては、いろいろ議論がございまして、
只今
御指摘のような
意見
も相当強か
つたの
でございますが、現地の
事情
等を考慮いたしまして、一応両方とも入れ得る態勢にしたのでございます。なおその問題につきましては、中央でも考慮いたしておりまするし、その收容区分について差支えがなか
つた
ならば、一カ所にしたいのでございます。その
程度
しか
只今
申上げ
られませんが、御了承願いたいと思います。
宮城タマヨ
84
○
宮城タマヨ
君 それから今
一つ
。問題の検事先議ということが若しなるといたしましたら、東京あたりは問題はございませんと思いますけれども、
地方
ではどうでございましようか。
少年
係の検事というものは置かれます
事情
にございましようか、どうでございましようか。
神谷尚男
85
○
説明員
(
神谷尚男
君) 昨年来全国に
少年
係検事を配置いたしております。現に昨年十月にも
少年
係検事の会同をや
つて
おります。従いまして
少年
係検事であるという自覚を持
つて
仕事をしておる検事が各庁にあるわけであります。併しそれは
地方
検察庁
の本庁に現在おるだけでありまして、この支部のほうには目下のところはおりません。
宮城タマヨ
86
○
宮城タマヨ
君 まだたくさん
質問
がございますが、私は今日これだけで打切
つて
置きます。又次のときに私の
質問
を続けたいと思います。
鈴木安孝
87
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 皆さん御
質疑
はございませんか。先ほど
羽仁委員
からのお申出でがございましたので、本
委員会
の
議員派遣
の
目的
及び
派遣
地につきましては、
委員長
及び
理事
の打
合会
において今日
決定
したいと思うのでありますが、
派遣議員
の日程、人選その他についてお申出でのかたから、
委員長
において選定及び
決定
いたすことにして御異存はございませんことにして、更にこの
委員会
にお諮りをせずに、
委員長
理事
の打
合会
で
決定
した通りにして御賛成を願いたいと思いますが、如何でございますか
羽仁五郎
88
○
羽仁五郎
君
只今委員長
の述べられましたようで
異議
ないのでありますが、その際
理事会
におきまして先ほど私が述べました点を十分御考慮願いたいと申うのであります。他にもいろいろ重要な問題もありますけれども、
警察予備隊
に関する国際的な世論に対しで、現在
日本
の
政府
は外交上の実権を持
つて
いないので、僅かに我々
国会
がその問題について或る意味においては
責任
を負わなければならない。又は負い得る立場にもあるのでありますので、この問題に関する現在の国際的な世論というものに対して我々の
責任
を果す意味から、勿論次の
機会
ということもありましようけれども、できるだけ早く、若し可能ならば今回の
議員派遣
の際にそういうことを十分御考慮……御無理を
申上げ
るつもりはございませんが、十分御考慮下さるということをお
考え
願
つて
、
只今
の御
決定
のようで
異議
ございません。
鈴木安孝
89
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 承知いたしました。それでは御
異議
がないと認めまして、
委員長
及び
理事
の打
合会
で
決定
いたしまして、
派遣
期間等につきましては、
委員長
において
派遣議員
の
かたがた
といろいろ御都合を図りまして
決定
いたしたいと思いまた。それで御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鈴木安孝
90
○
委員長
(
鈴木安孝
君) 御
異議
ないと認めます。 本日はこれで散会いたします。 午後四時一分散会 出席者は左の通り。
委員長
鈴木
安孝
君
理事
伊藤 修君
宮城タマヨ
君
委員
長谷山行毅
君 山田 佐一君 齋 武雄君 岡部 常君
羽仁
五郎
君
須藤
五郎
君
政府委員
法務
府矯正保護 局長 古橋浦四郎君 事務局側 常任
委員会
專門 員 長谷川 宏君
説明員
法務
府検務局刑 事課長 神谷 尚男君
最高裁判所
長官 代理者 (事務総局家庭 局長) 宇田川潤四郎君