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1951-02-21 第10回国会 参議院 法務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年二月二十一日(水曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  委員氏名    委員長     北村 一男君    理事      伊藤  修君    理事      宮城タマヨ君    理事      鬼丸 義齊君            左藤 義詮君            鈴木 安孝君            西川甚五郎君            長谷山行毅君            齋  武雄君            棚橋 小虎君            高橋 道男君            西田 天香君            一松 定吉君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   委員の異動 十二月十日委員西川甚五郎辞任につ き、その補欠として山田佐一君を議長 において指名した。 二月一日委員西田天香辞任につき、 その補欠として岡部常君を議長におい て指名した。 二月十日委員高橋道男辞任につき、 その補欠として鈴木文四郎君を議長に おいて指名した。 二月十三日委員左藤義詮辞任につ き、その補欠として工藤鐵男君を議長 において指名した。   委員長補欠 一月二十九日北村一男委員長辞任に つき、その補欠として鈴木安孝君を議 長において委員長に指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件議員派遣要求の件 ○派遣議員報告検察及び裁判の運営等に関する調査  の件  (警察官人権じゆうりんに関する  件)  (青少年犯罪に関する件)   —————————————
  2. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 只今より委員会を開きます。  本日は、議員派遣につきまして、御相談をお願いいたしたいと思います。今回議院運営委員会決定によりまして、本年の三月末までに当委員会に割当てになりました予算額は六万八千九百七十円でございまするが、これを如何に使用しますか、お諮りをいたしたいと思います。なお運営委員会の意向及び当委員会審議予定からいたしますれば、議員派遣を行いまする際は、成るべく今月中にお願いいたしたいと存じます。  なお便宜専門員のほうから派遣目的等、案につきまして説明を聽取いたしたいと考えますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 御異議ないと認めまして説明を求めます。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止
  4. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 速記を始めて下さい。  只今専門員から説明いたしましたようなことを調査のために、当委員会といたしまして、この際議員派遣を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
  5. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 実は私理事かたがたの打合会にその意見を出したいと思つて昨日も考えておつたのですが、理事の打合会に私の考えを述べる機会がなかつたので、今ちよつと申上げたいと思うのですが、私先日第十国会代表質問にも申述べていたのですが、最近やはり講和促進の問題と関連してまあ日本の再軍備というふうな問題から、国内的にもそうでありますけれども、国際的にもやはりこの現在の日本の、まあ警察予備隊などについてのいろいろな疑惑が出て、これは日本新聞紙のみならず、まあアメリカ、特にイギリス或いはその他外国新聞で、これについてのいろいろなまあ報道を伝えられておりまして、アメリカ新聞でもかなり有力な新聞であるUS、ユナイテツド・ステート・レポート・オブ・ワールド・ニユースではかなり、果してまあこういうことがあるのかしらんと思われるような報道が伝えられておるのであります。この問題についてはなかなかデリケートな問題でありまするが、併し予備隊予算の問題なんかについてもこの問題があり、やはり国会として、立法者としてこの現在の警察予備隊現状というものについて、それが実情はどういうふうになつているかということを我々として全然知らないでいることもどうか知らんというふうに考え、そしてこれについての説明法務総裁なり、何なり、政府当局者に求めるということも、あらかじめこれを説明を聞いてから見に行くということもいいかと思うのですが、併しこの前の国会以来たびたび質問をしたんですが、必ずしも直接政府当局として説明するということに困難なところもあり、いろいろたびたび質問を重ねて見ましたら、どうもその点が我々として、やはり至急にその実情を我々自身の目で見て誤解があれば、その誤解を一掃するということが必要じやないかというかうに思いますので、その点もなお理事かたがたの打合の際に、本委員会警察及び検察運営に関する調査目的から、そういう必要があるとお考えがあれば、是非一つそういう調査をも行なつて頂きたいというふうに考えているのであります。これはこの委員会として、法務委員会として、やはりかなり根本的な問題に関することでありますので、実は私たびたび政府に向つて質問した際にも、そのあとにもそう感じておりましたが、先日来、理事会の打合せの際に問題にして頂きたいと思つておりましたが、その機会がなかつたので今お願いいたしたいと思います。
  6. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 羽仁さんの今のお話は、今度の派遣の中にそのことを加えたらいいという御主張ですか。
  7. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 そうです。
  8. 須藤五郎

    須藤五郎君 先ほど專門員のほうから調査目的、又内容をいろいろお話があつたと思うのですが、ほうぼうのまあ裁判所とか、税務署、又いろいろな方面暴力事件が起つているから、それを視察に、調査に行つたらいいだろうという話をしていたですが、ああいうこまごましたことを、ちつぽけなことを一々この法務委員会から調査に歩いて行つたら、これは日本全国そんなことばかりで、しよつちゆう歩かなければならないので、つまらないものじやないかと私は思うので、もつと日本の将来のために大きな問題であるところの少年犯罪の問題、家庭裁判所の問題とか、そういうもつと何というか、非常に大きなプラスになる面をもう少し調査の主眼に置いたほうがいいじやないかと、私は思うのです。それから今、羽仁議員が申されたことも、英国の新聞では日本警察予備隊に対しましては、ニユー・ミリタリー、新らしい軍隊という言葉を使つて行動しておる。何だか我々は警察予備隊思つていても、外国がすでにこれが新らしい軍隊として指摘しているような段階におきまして、そういうことに対しまして、この議会としてもはつきりした見解を持つということが必要だと思いますので、羽仁委員の御意見の採択を一つして頂きたいと、そういうことをお願い申上げたいと思います。
  9. 岡部常

    岡部常君 羽仁さんと須藤さんのお話御尤もです。それで羽仁さんからの御提議がありましたように、その点は理事会でよく御相談して決定して頂いたらどうかと思います。
  10. 長谷山行毅

    長谷山行毅君 私は只今岡部委員の説に賛成いたします。理事会一つその問題を十分御検討になつて決定せられるように希望いたします。
  11. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは羽仁さんの御発議がありまして、それに対する岡部委員の御意見もありますが、それに基いて理事会を開きまして、理事会でとくと協議いたしまして、決定することにいたします。
  12. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今の御決定に別に私異議を申立てるのではありませんが、議員派遣についてはとかくの批評もありますし、予算関係もありますし、できるだけ重点的な重大な意味を持つ深い問題、又長い見通しを持つて立法者として特に全力を集中すべき問題に調査を集中せられることを希望いたしますので、若し願えれば、さつき專門員のかたから、調査員のかたから御報告がありましたような計画が決定される前に、私のお願いも理事会で取上げられて、そうして御決定が願えれば有難い。
  13. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは結局理事会のほうへ諮りまして、理事会で大体案をきめて、又この会にかけることにいたします。
  14. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 次に、先般ございました議員派遣中の靜岡県の部につきまして、報告ができておりますから、この際その報告をお願いいたします。
  15. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 それでは只今委員長が述べられました去る十二月下旬に、本委員会から派遣せられまして、靜岡方面調査を行いましたその報告を、鬼丸理事が、なさるはずでありますが、私が代つて簡單に御報告申上げたいと思います。  昨年十二月二十六日を中心といたしまして、三日間の予定を以て靜岡県に我々が出張いたしまして、先ず靜岡市靜岡地方検察庁国警靜岡県本部などにおいてそれぞれ係官より事情を聽取、それから次に浜松市に参りまして、浜松地方検察庁支部において、支部長以下各係官及び浜松市警、それから袋井町の警察、それから引佐地区国警の各係員から事情を聽取いたしまして、意見の交換を行いました。その詳細につきましては、提出せられました報告書について御覧を頂きたいと思うのでありますが、次に、主な点だけを申上げたいと思います。  この調査は昨年の十一月二十三日に静岡県袋井警察署において、警察職員犯人射殺事件発生しまして、当時この事件は各新聞にも報道され、一般の耳目をそばだたしめた。ところが、この同じ町を管轄いたします靜岡地方検察庁浜松支部管内において、以前にも昭和二十三年八月引佐地区警察署員拳銃盲発事件がございました。又同年九月十二日の浜松警察署員射殺事件がございまして、こういうように引続き盲発事件がありましたので、今度の袋井事件、いわゆる警察職員拳銃使用に対する認識程度人権尊重観念一般的水準の問題を考えさせる一つの事例とも認められましたので、この事件について調査の必要が本委員会において認められたわけであります。  順序に従いまして、この昭和二十三年八月十五日引佐地区警察署発生した同署員拳銃盲発事件、これについて調査をいたしました結果、我々が得ました結論は、これは同じ警察の中で拳銃を取出して、そうして検査しておる際に、不注意にその引金を引いたために、脇におりました警察官にそれが命中して死傷を負わしたという事件なのであります。ところがこれについて調査いたしました結果は、この問題について、警察署においても又検察庁においても、何らの記録を作つていないということが判明したのであります。これは警察内部の問題であるし、そして大体示談になつた問題だからといつて全然記録を作つていない。今度我々が調査をすることになりまして、そして提出要求して提出されました書類も、我々がこれは一体どういうふうにしてお作りになつ書類かと質問をしましたならば、調査の御要求があつたので、それからその警察署にその書類提出を求めた。即ちかなり前の事件を記憶に基いて書類を作成して、そして本委員会に送つてよこされたような事実であります。これはまあ昭和二十三年当時のことであつて、その当時の一般認識というものが低かつたということにもその原因があると考えられますけれども、只今報告申上げましたような点は、却つて警察内部においてこそ、こういう問題について十分愼重に処理するという新らしい民主主義的な観念がまだ殆んど意識されていない、昔ながらに警察内部の問題はそう外部に責任を負わせないで、内部だけで処理してしまうというようなふうに考えられる点があつたのであります。現にその際、拳銃を渡す際に、それを検査するときに一発の彈が入つていたればこそ、それが盲発して別の警官に当つたのでありますが、その彈はどうしてそこに入つていたものであるか。その拳銃の処理、人の人命危險を及ぼすような武器を取扱うその重大な責任が、それにふさわしい意識を持つて考えられていないということが、この第一の事件結論の主なる点でございます。  それから第二の、昭和二十三年九月十二日浜松市に発生した浜松警察職員が、挙動不審の人を射殺してしまつたという事件、これも要点だけを申上げますと、特にその当時重大な事件がその近所にあつたというほどではなくて、ですから一般的な警戒をしておつた際に、夜その警戒をしておる二人の警察官が、一人の挙動不審だと考えられる人に対しまして、その挙動不審だと考えられる人が逃走しようとした、それに向つてピストルを発射した。その係官経済警察関係係官であります。いろいろ私どもが調査をしました結果は、御承知のように拳銃使用するということが認められてある場合、即ち兇悪なる犯人、或いは兇悪なる犯罪がそこで犯されたというふうに推定される場合には少しも該当しないのでありまして、現にその挙動不審の人はどういう人であるかということをあと調査して見ると、前科一つもない人である。それからそのときに、その人が重大なる犯罪を犯したという事実もなく、即ち全然この拳銃使用の場合に該当しない、早くいえば無事の人民が、深夜警察官に尋問されて、そして逃げようとしたので、それに向つて直ちに拳銃で射殺した。併しそのときに、その相手の人は余り背の高くない小さい、むしろ体格もよくなく、年齢もそろそろ老年に入ろうとする人で、こちらは二人の警察官で、而も壯年体格の立派な人たちで、追かければ、これを逮捕することができたにもかかわらず、逮捕することができなくて逃走の虞れがあるというだけの判断で数発の彈丸を発射して、而もそれがいずれも多く上半身に命中して殺されてしまつたのであります。我々が調査した際に、警察官拳銃使用してよろしいというふうに法律によつて定められておる場合についての認識が殆んどない。單に逃げようとしたから射つた。まあヒツトラー時代警察には、よく逃走の虞れがあつたから射殺したというような報告があつたそうでありますが、それに似ておるといつては少し気の毒でありますけれども、そういう感じがいたすのであります。  それからそれに対して警察署長なり或いは監督の任に当る人が、こういう不詳事件が起つておるのに対してとつ処置も、つまり拳銃使用すべき場合、十分なる人権尊重の精神を以て拳銃使用されなければならないということについて、その後にとられた処置が、我々が調査したところでは満足とは考えられないのであります。早く申せば甚だ気の毒なことをしたわけなんで、重大な犯罪を犯した人でない人を理由なくして射殺してしまつた。署長は亡くなつた人の家に謝罪と言いますか、慰めに行かれたようですが、私がその本人に向つて、実はどの程度こういうことを自分の問題として考えておられるかと思いまして、自分理由がなくして殺した人のそのお墓に参られたことがあるだろうかというふうに伺いましたら、ないと言われておられるので、恐らく自分が重大な過失を犯したというところの意識余りないのではないかというふうに考えられたのであります。  それから最後事件は、即ち昨年十一月に袋井町において起りました事件で、これはかなりの前科のある人が逃走しまして、そして約六カ月に亘つて捕われないで指名手配中に、その人が再びこの袋井の町に現われ、そしてその人が、その前に逮捕される原因なつたこの拳銃を不法に所持しておるということを警察に告げたと考えられる酒場の女中さんのところに現われて、そして自分を密告した人として脅迫して、それでその女中さんと、それからその店の主人とが非常に驚いて警察署に逃げた、それを追跡して、その拳銃を持つている前科のある人が警察に乗り込んで来た。そうして警察官のほうがそれに対して十分の準備が勿論なかつたのでありますが、それに対してその拳銃を持つている前科のある人が、警察官、及びその署長から、拳銃を捨てて十分穏かに話合おうじやないかということをたびたび勧めたにもかかわらず、それに応じないで拳銃を擬して警察官を脅かしてそのそのまま逃走しようとした。且つこの人は袋井という余り大きくない町において絶えず善良なる市民を脅かして多くの人の生活をも脅かしていた人であり、それから指名手配中のことであり、且つ又拳銃を擬して警察に入つて来て、警官を脅かして、そうしてそのまま逃走して行くということでは、到底警察として、或いは特に署長としても警察の威信というものを保つことができないというように考えるというような、いろいろの理由から遂にその前科があり、拳銃を持つて警察官を脅かしておる人と、それから警察官との非常に切迫した空気の中でその警察官が発砲して、そうしてその人が殺されてしまつたという事件であります。これについて我我調査しました結果は、なかんずくその発砲してその人を倒した警察官に対して、我々がいろいろお尋ねをしました結果は、木下巡査部長は非常に、一見現在の警察官としては優秀な人であるような印象を受けました。若い人であり、それで知的な容貌を持つており、そうして述べられる際にもかなり相当の深刻な反省を持つて我々の質問に答えておられました。本件については、前の二件の場合のように、特に直ちに拳銃使用についての誤まつたる判断、或いは人権尊重観念が全く欠如しておるというようなことは指摘することはできなかつたように思います。ただ一般的な問題として、これはこの報告書の中には述べて置きませんでしたけれども、私の感じました感じといたしましては、やはり警察がその任務を遂行するために、多くの場合において拳銃使用するということが一般的となつて来ますると、どうしても犯罪を犯す人も必ずみずから拳銃を持つて武装するというようになり、そういうふうになる結果は、私は警察官が正当なる職務を遂行するのに、かなり常に生命危險に身をさらさなければならないという場合が多くなる。これは私は警察官に対して甚だ国家或いは社会がそれだけのことを期待するというような方向に向つて行くべきものであるかどうか、現状はさておきまして、我我の国或いは社会警察に対して警察官が常に拳銃に手をかけ、自分生命を賭してでなければ正常な警察職務を遂行することができないというような方向に持つて行くことが、果して社会の進歩に副うものであるかどうかという点については、かなり重大な問題があるように思います。それで現にこの場合に射殺された人が拳銃をどうして手に入れたかと言いますと、この拳銃敗戰当時に恐らく軍から流れ出た拳銃であつたろうというふうに推察されるのでありますが、その他の場合には、警察官拳銃が失なわれて、そういう人々の手に入るということもあります。それでこの射殺ざれた人もいずれも前科があるというけれども、大した前科ではないのです。非常に凶悪なる人ということもない、従つてピストルを持つておるということも、ピストルを持つてでなければ為し得ないというような凶悪なる犯行を為しておるわけではない。ちよつとした犯罪者ピストルを持つて、そうして警察官ピストルを持つてこれと相対しなければならないという場合が多くなつたようなことがあるならば、これは非常に問題ではないかという感じを抱いたのであります。  以上が我々が調査いたしました三つの事件についての主な点と、それから皆さんに特に考えて預きたいというふうに私の考えました点であります。なお詳細はこの調査報告書に述べられておりますので、それについてお考えを願いたいと思うのでありますが、結論として我々の得ましたものは、この報告書にも書いて置きましたが、引佐地区警察署員拳銃盲発事件については、その発生岩本警部補の不注意によるものであり、その行為は明らかに刑法の業務上過失傷害罪に該当するものである、本件について警察及び検察庁のとりたる措置は、いずれも妥当を欠くものである。  又浜松警察署員挙動不審者射殺事件については、山下巡査射殺行為警察官の正当なる職務執行行為を逸脱せる越権行為である。本件について警察のとりたる爾後措置は妥当であるけれども、検察庁のそれは適当と認めがたい。  更に最後袋井警察署員犯人射殺事件については、木下巡査部長射殺行為及び本件について警察並びに検察庁とつたる爾後措置はいずれも適切なるものと認められる。  以上の通りであります。  国家地方警察靜岡本部説明によれば、昭和二十一年一月十日、連合国司令部警察射殺権に関する覚書が出た当初、国警では大体警察官六名につき一挺当り拳銃が渡されており、自治体警察においてもほぼ同様であつたが、銃砲等取締違反の押收などで、署によつては多少多かつた所もある。拳銃使用訓練は、警察官等職務執行法施行以前においても、右覚書及び大正十四年の内務省訓令武器使用規程によりこれを行なつていたが、職務執行法施行後は訓練を強化している。訓練用彈丸は年間一人二十発となつているが、うち十五発は基礎訓練使用しており、この基礎訓練は二十五時間行うことになつている。なお拳銃使用訓練自治体警察職員についても国警でこれを行なつているとのことである。更に警察官等職務執行法施行昭和二十三年七月十二日)以来、二カ年間の靜岡県下における拳銃事故発生件数は、国警において八件、自治警察において約十件であり、昭和二十五年八月二十三日よりは警察官全員に対して拳銃が配付されたが、事故防止には国警県本部においても万全の措置を講じているとのことでありました。  引佐地区署事件及び浜松市警事件は、警察官等職務執行法施行なつたばかりのときに発生したものであつて、当時と現在とでは、警察当局及び警察官一般拳銃取扱に対する訓練も又認識も相当異なつているものとは考えられますけれども、併し最近新聞等においてしばしば取上られる警察官拳銃事故は、更に一層その取扱い愼重を期さねばならないことを示唆するものであります。殊に現在は当時と異なり、警察官全員拳銃を所持し、而も日常にこれを携帯しているのでありますから、その取扱いには、特に留意しなければならない、殊に拳銃使用は最も貴重なる基本的人権たる人命に直接侵害を及ぼすものであるから、当局としても單なる技術的訓練にとどまらず、進んでその使用に際しての心がまえ、特に緊急なる事態に対処すべき状況の判断力を養わなければならないのでありましよう。そうして拳銃は軽々しくこれを使用すべきではない、伝家の宝刀として最後の一線においてのみ使用し得るものとの観念警察官全員に植付けることが必要であると考えられる。  特に拳銃使用する場合、ここにも述べて置きましたように、基本的人件の中の最大のものである人間の生命というものに対する尊重観念というものの徹底なくして、拳銃使用するということが行われているのではないかという印象を、我々はこの調査において得ましたことは甚だ遺憾な事実でございます。
  16. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 只今の御報告に対して御質疑はございませんか……。御質疑がないようですから、昨日宮城委員から申出がありました青少年犯罪に関する諸事項についての御質問に移りたいと思います。
  17. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 少年法関係のことについて伺う前に、只今靜岡地方を視察しました報告書に関して述べました問題についても、ちよつと今見ておられる政府委員かたがたからお答えが願えれば、ちよつと伺つて置きたいことがあるのですが、法務府のほうのお考えと、それから最高裁判所のほうのお考えと両方伺つて置きたいと思う。拳銃使用することについて、特にその問題と関連して基本的人権に関する警察官の、その拳銃使用することを許されておる人の基本的人権に関する教育というものはどの程度に行われておるのですか、その点を伺いたいと思います。
  18. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) 只今質問の点でございますが、検察当局といたしましては、直接警察官を、そういうピストル使用ということで指導する地位にはないのでありますけれども、その使用の適正を期することにつきましては、常々注意いたしておるつもりでおります。更に拳銃暴発事件が起きました際には、そういう事件人権尊重の観点から非常に重要視いたしまして、原則として事件を臨検してその取調を愼重にいたしまして、それが犯罪を構成するかどうかということを十分究明して世間の疑惑を解くという方針をとつておりまして、この方針は常に警察官のほうに明示しているのであります。ちよつと本日は数字を持つておりませんで、はつきりしたことは申上げられませんけれども、警察官の暴発事件として起訴した事件も、昨年中におきまして五件くらいあつたと記憶いたしております。検察官としてとり得る措置はそういうところでございますが、この上とも飽くまでも真相を究明して事犯の適正な処理を期したい、こういうふうに考えています。
  19. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今説明の点についても何ですが、それ以外に警察官に対する基本的人権に関する認識を高める意味の教育ということについては、どういうふうにお考えですか。
  20. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) これは警察官の捜査方法一般の心がまえといたしまして、常にあらゆる機会におきまして、警察官に対して人権尊重観念を徹底しなければいかんということは申しておるつもりでございます。
  21. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 その点について、ときどき新聞なり、その他の機会に、検察庁関係かたがた基本的人権尊重ということと、検察なり、警察運営ということとは矛盾するようなことを、そういう思想を述べられる場合が散見しますが、こういうような考え方が相当新聞なり、雑誌なりに、自分の所見を公けにされるような、責任のある人においてすら、そういうような見解を持たれるということに私は相当の問題があると思う。基本的人権尊重ということの前提なくしては、民主主義的な検察もなければ、警察もないのであります。それは同じレベルで以て、犯罪を防止するということと基本的人権尊重ということとは、同じレベルで衝突するような考え方がかなり指導的な地位の人にもおありになるのじやないか、それは従つて警察官などの場合には非常に間違つた判断に陷つてしまうのではないか。いわんや警察官拳銃使用しようとする際に、なかなか自分自身も沈着冷靜で、状況の判断を誤まらないということは、すべての人に望むのはむずかしいので、自分も相当おつかなびつくりになつておりますから、そういう場合には基本的人権尊重という自覚があるかないかという、結果は全く逆の結果になつてしまう。つまりどちらかを選ぶというような関係になつているとすれば、その瞬間にはこれはしようがない、射つてしまえということになつてしまうものだと思う。そういう点も十分にお考え願いたいと思う。それから極く最近新聞報道された東京都内において少年に向つて警察官が発砲した事件については、どんなふうにお考えになつているのですか、法務府では……。では、その間に最高裁判所のほうでは今の問題について御説明下さることはないですか。
  22. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 私最高裁判所の家庭局の宇田川でございますが、今の問題につきましては、係が違いますので、ここに御意見申上げる用意を持つておりません。ただ人権尊重の問題につきましては、最高裁判所といたしましては、強くこれを保持することを常に考えておりますということだけをこの際申上げて置きます。
  23. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 極く簡單な問題なんで、お互い人間として考えているか、それとも人間として考えるということがどこかにいて、犯罪者としてだけ考えて来るかというような点だと思うのです。決して深遠な哲理でもなければ、何でもない、人間の普通の感じですが、併し過去の日本警察なら警察においては、とかく相互に人間であるというような考え方がどうかすると忘れられてしまつた場合が多い。それが今日残つているので、そう困難なことではない。適当の方法をとり、努力して頂けば、必ずそういうふうに実現できることだと思いますが、法務府或いは最高裁判所では十分努力して頂くようにお願いしたいと思います。
  24. 須藤五郎

    須藤五郎君 今羽仁委員ピストル使用に対する質問に関連しますが、ピストルのことは大体今の御返事でわかりましたが、棍棒の使用警察官の持つている棍棒はどういう場合に使用するというふうにされているのですか。
  25. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) この点は我々といたしまして、棍棒もやはり武器の一種であるということで、警察官等職務執行法第七條に従つて使用すべきものであるというふうに考えております。
  26. 須藤五郎

    須藤五郎君 相手かたが警官に反抗する、暴力を振つて反抗する場合にのみ使用するのですか、どうですか。
  27. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) その点はちよつと今第七條の関係を詳しく覚えておりませんが、反抗する場合ばかりではないと思います。それから又その使用方法につきましても、それで叩くとか何とかいうようなことになりますと、七條の條件を十分守らなければいけませんので、警察官自分自分の身を守るというような場合もありますから……。
  28. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじやあなたの見解を伺いますが、今日警察官が棍棒を使用している場合、常に自分を守る場合にのみ使われているかどうか。
  29. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) そういう場合だけではありません。第七條の條件に合えば使えると思います。
  30. 須藤五郎

    須藤五郎君 その場合をちよつと挙げてもらいたいと思います。
  31. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) 警察官等職務執行法第七條によりますと、「警察官等は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に対し合理的に必要と判断される限度において、武器使用することができる。」と、こうなつております。
  32. 須藤五郎

    須藤五郎君 私たちが往々棍棒使用の場合に接するとき目撃しますのは、この第七條に該当しない場合が非常に多いのです。私は或るところの会合で警官が棍棒を使用したのを目撃しましたが、それはこういう場合です。或る会が解散を命ぜられた、そのときに皆がじつと坐つておる。その解散をさせるために棍棒を振つて、何にも抵抗しないで着席したままでいる婦人たちにまで棍棒を振つて毆る、毆ることによつて解散をさしておる、そういう場合に往々接するのですが、それは七條に該当しますかどうですか、あなたの見解を承わりたい。
  33. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) 今おつしやつたことを前提として考えますと、これは該当しないと思います。
  34. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういうことを警官がやつた場合にどう処置なさいますか。
  35. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) それはやはり違法と思います。
  36. 須藤五郎

    須藤五郎君 違法として警察官を処罰なさいますか。
  37. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) そういう事実があれば取調べることになると思います。併しそういう事実が警察官全部にわかるかどうか。わかればすぐ……。
  38. 須藤五郎

    須藤五郎君 若しも警察官がそういうことを、棍棒を使用する自分行為に対する責任を知らずに使つておるとすれば、やはりあなたたちの手落だと思うのです。ですからそれをはつきり警察官認識させる必要があるのです。今日我々はそういう場合にたくさん接しておるわけです。何ら反抗しないのに毆られる、毆られるのが痛いかも、会場から退席するという場合をたくさん見ておるわけです。若しもそういうことが今後行われて、警察官行為に対して責任をはつきりあなたがたが追及なさるならばとにかくそういうことを知らん顔して、警官がそういうことを知らないのだというふうなことで放つて置くとしたら問題だと思いますが……。
  39. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) そういう事実があれば、我々のほうとしましては、法に照して処置するということになるかと思います。
  40. 須藤五郎

    須藤五郎君 この七條によりますと、棍棒は攻撃の武器というよりも防禦の武器だと思う。ところが警官が棍棒を振つておるのは攻撃の武器というところに重点が置かれておるというふうに感じて仕方がないのですが、ですからあの棍棒を非常に皆がいやがるわけなんです。ピストルに対しましては非常にまあ取扱い愼重かも知れませんけれども、棍棒に対しては取扱い方も非常に不注意だと思いますので、若しもあなたのおつしやるような意味でしたら、棍棒の取扱いに対して警官にも十分注意を喚起してもらいたいと思います。
  41. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) その点は機会がありましたら、必ず注意することにいたします。   —————————————
  42. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは只今質疑はこれで打切りまして、宮城委員のほうからお申出でのありました青少年犯罪に関する事項についての御質疑を願います。
  43. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私がお伺いしたいと思いますことは、少年法の年齢制限解除に伴いますいろいろな問題についてでございます。今年の一月に各関係当局がお集まりになりまして、ブロツク会議をお開きになつた、その内容についての詳しいことが知りたいと思つてお願いいたしました。その書類を私まだ参りましただけで、十分拜見しておりませんけれども、一番私が問題にしたいと思つておりましたことは、そのときに御相談になつたと聞いておりました少年審判規則の第八條三項の「送致書には、少年の処遇に関して、意見をつけることができる。但し、事件を終局させる決定に関する意見をつけることはできない。」という、この但書が除けられましたために、保護事件につきます検事の意見書が付くという問題でございますが、一体これは家庭裁判所のお立場で、どういう御意見でこういうことになつたのでございましようか、ちよつとお伺いいたしたいと思います。
  44. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 御承知のように少年審判規則第八條の第三項には「送致書には、少年の処遇に関して、意見をつけることができる。但し、事件を終局させる決定に関する意見をつけることはできない。」、こういうふうに改正前は規定されておつたのでありますが、元来この但書が制定された理由は、少年審判における保護処分その他の処置については、家庭裁判所の裁判官が独自の見解でこれを処理すべきであつて警察官或いは検察官等の意見に左右さるべきものでない。言換えますと、少年の審判事件の審判については、司法警察官検察官の意見に影響されてはいけないという、そういう趣旨でできたのであります。ところが仮にかような但書があつてもなくても、言換えますと、終局処分に関する司法警察官検察官の意見があつてもなくても、裁判所のほうといたしましては、裁判の本来の性格から独自の見解の下にこれを処理することは当然でありまして、むしろ裁判所といたしましては、警察官意見も、検察官の意見も、或いは保護者の意見も、場合によれば学校の先生の意見も、あらゆる人の意見を聞いて、その上その意見にこだわることなく、独自の見解に従つて審判すべきである。こういうような趣旨からして、意見を聞かないということは、却つて審判を誤まらす虞れがあるというような意味において、この但書をこのたび削除したのであります。なおこの但書の削除については、家庭裁判所の裁判官のほうからの要望もあり、又検審庁、法務府の検務局等の強い要望のあつたことを申し添えて置きます。
  45. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 御説明で表面の理由は納得できるようでございますけれども、そのことが少年法の精神に逆行する結果になりはしないかという点を私は虞れるのでございます。実は今度の改正法案に出ております。これは家庭裁判所のほうでお認めになつておるのかどうかわかりませんが、四十一條によりますと、今までは子供の事件の罰金以下のものは、もう検察庁に送らないで、皆家庭裁判所警察官のほうから送られておりましたのが、今度は警察官に何と申しますか、その裁量を任せて、罰金以下のものでも、警察官がこれを家庭裁判所に送らないで、検察庁に送ることができるようになつておるように解釈しておりますが、その点如何なんでございますか。
  46. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 四十一條は、罰金以下の刑に当る犯罪については、宮城委員のおつしやる通りに、検察庁を通らずに家庭裁判所のほうに送致せられておるのでありますが、これは元来罰金以下の犯罪については、少年法の第二十條の規定によりまして、起訴することができないということになつておりますので、結局起訴することができでないような事件であるならば、検察庁を通す要がないというようなことから、四十一條が設けられておるのであります。
  47. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 ところが今までは十八歳以下のものは検察庁に廻さないで、すぐ家庭裁判所のほうにやつたのでございますね。ところが今度年齢引上になりましてからは、罰金以下のものでも警察官考えによつて検察庁に送ることができるようになつたのじやございませんか、改案でございますけれども……。併しそれは家庭裁判所が、それでもと納得なさつておいでかどうかということを、この年齢引上げ、それからこの検事先議の点なんかいろいろ考え合せますときに、ちよつと参考までに聞いて見たいと思つておる点なのでございます。
  48. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 只今のは、最近まで私どもと法務府との間でいろいろ協議を続けております少年法の一部改正の問題のように存じますが、この点につきまして、先ず第一に罰金以下の刑に当る犯罪についても、十八歳以上の者については少年法第二十條の「検察官への送致」ができるということにこのたびの改正でなることに一応協議は遂げられたのであります。その理由は罰金以下の事件について起訴ができないということになりますと、特別法、例えば道路交通取締法違反のような事件について全く処罰されることがないということになりますと、現在十八歳以上の者について自動車の運転の免許等が交付になつておりますが、さような十八歳以上二十歳までの少年について、道路交通取締法の一部について如何に違反しても罰する手がないことになりまして、それでは治安が保てないというようなことから警察検察庁その他の方面の強い要望がありまして、新聞紙上などでもこれは少年法の盲点じやなかろうかというようなことが論ぜられておるくらいに大きな問題になりましたので、少年について、たとえそれが十八歳以上でも罰金を科するということは原則としては我々は好まないのでありまするけれども、以上のような特別の事情がございますので、而もこれを科すると科さないとは、今の建前でありますと、裁判所がこれを決定するということでありますので、私ども同意したようなわけであります。そこでかようなことになりますると、罰金以下の事件でも起訴することができるようになりますと、これについては一応検察庁のほうで起訴事件については統制と申しますか、これを警察方面の指導その他に必要といたしますので、従来の十八歳未満の罰金以下の事件のような、全く起訴のできないというような事件と異なつ取扱いが必要であるという意味において、十八歳以上の事件については、警察官のほうで必要な場合には検察庁のほうへ送致して、そうして検察庁のほうから家庭裁判所に送致するというように相成つたのであります。
  49. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 少年法の精神から申しますと、できるだけ子供をほうぼうでいじくり廻さないで、そうしてどうしても刑事処分しなければならない子供はやむを得ないとしまして、それは極く僅かなものでございますが、そのほかの子供はその精神から申しますと、実は警察官にも預けたくないし、検事にも調べさせたくないし、できるならば少年法制定以来、やかましく言われておりますこの保護司の報告や、一般人の通告事件というものを非常に尊重されましたということは、結局はそういう專門家の、而も警察の頭を以てされるようなことを避けたい。だから家庭からなり、それから保護司の手から、それから一般人の手からすぐ家庭裁判所に持つて行きたいというのが少年法の一番の狙いであると思つてるのでございますが、いろいろお話を伺つて見ますと、つまり、大体ことごとくの者を信用することができない、警察官が一番先議権を先ず持つておるといつたようなことが認められて来て、だんだん逆行するような感じで、こういうふうでございましたら、一体子供はどういうことになるか。それでこれはそうなるなら、今度一番問題になりましようかと思う検事先議の問題なんか、これはもう何でもないことで、警察で調べられ、又検事局で調べられ、そうして調査官に調べられ、裁判官に調べられ、又少年院で調べられるといつたように、その犯罪事実についても、もう何遍も何遍も子供が答えなければならない、取調べを受けるというようなことになるように私は思つておるのでございますが、今の初めに申しました少年審判規則の第八條第三項の但書なんか削られましたというようなことも、何か私どもには納得できないような感じがするのでございます。それに連関しまして、私は今通告のことを申しましたからでございますが、その点についてもう一つつて見たいと思うのございますが、実は私が口を開けば、少年審判について不開始が多い、不開始が多いということを申しておるのでございますが、不開始も、いつか家庭局のほうの説明によりますと、これは極く軽い、つまり旧少年法の一号、二号、三号処分の軽い訓誡に相当するものがたくさんあることなのだという説明も一応は納得いたしましたけれども、ここに出ております。これは家庭裁判所のほうからの資料で出ておりますのでございますけれども、二十四年度の事件が十万六千件はございます。その中で司法警察員からの送致と、それから検察官の送致が殆んど大部分でございます。そうして一般人からの通告や、少年保護司の報告というものは、極く極くその中の本当に千件、十万六千件もございます中の千件にも当らないくらいなものでございまして、そうして大部分は検察官や警察から送つておるのでございまするが、今度は又別表によつて見ますと、その中の不開始というもの、つまり七万二千八百五十件の中の五万二千という、殆んど大半が不開始処分事件になつておる。このことは折角家庭裁判所に送られて、そうして保護処分を受けていい按排だと思つております子供たちが半分以上が野放しになるという結果になつておるのじやないかと思つております。而も野放ししてもいい子供を野放しにされるのはよろしいのでございますけれども、実はこれは検察官や警察官へ送られている事件で相当なものかと思つております。これは家庭保護司から送られているものとは違つております。そういうものはどうして網の目をくぐつて、折角保護処分を受けさせたいと思うのに野放しが半分以上ということは、これはどういうことだか、この点について非常に苦慮しておるのでございますが、御当局は如何でございましよう。
  50. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 第一点の少年事件を成るべく警察官若しくは検察官の手を経ずして処理すべきである。従つて今度法務府のほうで論議せられておるところの警察官が罰金事件についても一応検察庁に送致する場合を設けようという改正は、少年法の精神に悖るのじやないかという御質問のように承わつたのでありますが、これについては私現在の少年法を離れて、理想論的に考えて宮城さんのお説に大賛成であります。各機関でいじくり廻した結果、而も犯罪が行われたときから相当の時間がかかつて家庭裁判所に来まして、これを処理するときには、その処理が何といつてもうまく行かないというので、成るべく他の機関の関係しないような立法を講じて、そうして少年に適切な保護を加える。これは私どものかねがね主張しているところでありますし、今後も立法の改正を行なつても、さような方向にして頂きたいと常々念願しているところなのであります。併しながら現在の少年法を一覧いたしますと、先ほど宮城委員の申されたように、検察官に送られて家庭裁判所事件となる場合は極めて多いのであります。甚だしい例は、少年法におきましては、十六歳未満の少年については検察庁ではできないということになつております。その十八歳未満の事件でも、禁錮以上の事件については必らず検察庁を通らなければいけないというような不都合さえあるのでありますが、これは少年法の建前といたしましては、いやしくも犯罪である以上は成るべく検察庁のほうでこれを統制するというような建前がありますので、かような結果に陷つたものと思うのであります。そういうような趣旨におきまして、率直に申しますならば、十八歳以上の少年について罰金を科する場合に、その事件警察官検察庁を通して家庭裁判所に送る、この点の改正については只今の問題もあつたのでありまするが、現在の少年法の建前がそういう建前でありますので、私どもいろいろな疑問がありましたが、同意したような次第であります。次に通告事件が少いではないかという御質問でございますが、御説の通り検察官からの送致、司法警察官からの送致に比べますと、通告事件は非常に少いのであります。これは日本裁判所の性格が何と言つてアメリカのような社会性を持つておらんというような歴史的な事実から、かような結果が起つておるのではないかと、常々考えておるのであります。積極的に社会に呼びかけない。少年に呼びかけないというようなことから、かような結果が起つて来ると考えております。と同時に、何といたしましても、家庭裁判所はまだ発足して二年にしかなりませんので、そこまで手が延びないというような点もあるのであります。けれども私どもはこの制度の運用については今後十分注意を拂つて、この制度の健全な育成を期したいと思つております。
  51. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今の不開始の事件の子供たちでございますが、これはその不開始されて許されました結果、どういうことになつたかということについては、なかなかおわかりじやございませんでしようね。もう一つは、その中でどのくらい住所不明のものがあるために不開始になつたか、そういうものもございませんかと思いますが、如何でございましよう。
  52. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 不開始になつたものがその後どうなつたかということについては、現在家庭裁判所にそれらの調査をするようにお願いしておるのでありますが、まだ統計等は出て来ておりません。けれども東京あたりの実情をお聞きしますと、御承知の通り少年審判所当時でも、一時処分、現在の不開始処分と同じ取扱いものが六〇数%ある。現在の少年事件の不開始処分が六〇数%、これは全く私ども同じと考えておるのであります。而もこの不開始処分については学校の先生を呼んで学校の先生に引渡したり、或いはどんな場合でも必らず保護者に引渡して、そうして保護者に懇々と今後の教育的な措置等について論ず等の適宜な処置を常に講じておりますので、宮城委員の言われますように、ただ野放しするとかいうようなことはないと考えております。併しながら最近少年保護委員会の保護観察の制度もだんだんと充実して参りましたので、私どもといたしましては、成るべく不開始処分というようなことをせずに、少年保護委員会の保護観察に付したら如何かというような意見を常に申しておるような次第であります。
  53. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 昭和二十四年度でございますが、この表を見ますと、保護処分を受けております者の中の地方少年保護委員会の保護観察に付された者は一万七百九人、教護院又は養護施設への送致を受けた者が七百十八人、それから少年院に参りました者が五千三百四十八人、そうして不開始処分になりました者が五万二千三百四十二人おります。そうするというと、この不開始処分になりまして、保護処分を受けました者は、その中のそれこそ五分の一ぐらいになるのじやないかと思つておりますが、そうすると、あとの者はやはり野放しになつておるのじやないのですか。
  54. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 野放しと言われますと、多少語弊があるのじやないかと思うのでございますが、私どもといたしましては、保護の方法に少年院送致もあれば、教護院送致もあり、養護施設送致もある。又少年保護委員会の保護観察に付する処置もございますけれども、旧少年法当時のように保護者に引渡すというような、又訓戒を加える、又は宣誓書というような、そうういうような現在の少年法の建前では、保護処分にいたしていない保護の手段を旧少年法当時と同じように講じておるのであります。でありますからして、家庭裁判所の側といたしましては、決してこれを野放しにしているというような気持は全くないのであります。たださような方法では多少手ぬるいのじやなかろうか、少年保護委員会の保護観察に付するのが適当ではなかろうかというような御意見であるならば、これは私どもこれを了承することができるのであります。
  55. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 この問題については、私ももう少し研究いたしまして、時を改めてお伺いいたします。今度はこの少年法の五十五條、つまり判事の決定によつて家庭裁判所のほうに送られるということでございますが、これは一体どのくらい今までこの決定処分かされておるでございましようか、統計に出ておりませんでしようか。少年法の五十五條でございましたでしよう。普通の裁判所から家庭裁判所決定送致……。
  56. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 只今統計を手許に持つておりませんが、私の記憶するところでは、その数は非常に少いものだと記憶しております。
  57. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでは重ねて家庭裁判所の建物が独立し、それから兼務でない裁判所長並びに職員が整備されますのは、どのくらいなお見込でございますか。予算措置はどういうふうになつておりましようか。ちよつとお伺いします。
  58. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 職員の整備につきましては、現在国会で審議されております予算案、又当参議院の法務委員会でも審議されておると思つております裁判所の定員法でも明らかでございますように、家庭裁判所関係といたしましては、約六百数十名の増員が大蔵省のほうで認められまして、七月からこれらの職員を増員することに相成つておるのであります。この職員が採用されますと、家庭裁判所のほうも相当強力になるのではないかと思うのであります。建物の問題につきましては、現在独立して運営しておるものは十数カ所でありますが、本年度も相当数建築することになつておりますが、まだ予算が通つておりませんので、その実行計画は私承知いたしておりません。
  59. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 大体家庭裁判所が整備されますのは、まあこれから二年先とか、三年先とかいうような大体のお見込はございませんのでございます。
  60. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 理想的に整備されるのは、それは十年先か二十年先か、私はわからないとさえ思つておるものでありますが、併し現在の仕事を運営するのに、さして差支えないというような見地の下にこれを論ずるならば、今でも何とかやつておるというふうに申上げ得るのじやないか、こういうふうに思うのであります。
  61. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それでは今で十分だという仰せなのでございますか。私が伺いたいのは、そういう理想的という永遠の理想という意味でなくて、せめて建物が独立し、そうして兼務の裁判長でなくして、家庭裁判所所長が独立したかたができ、会計が別になり、そうして職員がとにかくまあまあ最低にしても、手を揃えるというのが大体いつでございましようか。予算措置も勿論ございますけれども、どのくらい経てば、それだけくらいな最低のものにしたいという家庭局の望みでいらつしやいますか。
  62. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 專任の所長が置かれるのはいつかという御質問でありますが、これについては、実は昨年度中に相当数の專任の所長ができるように、一応さような計画の下に進めておつたのでありますが、訴訟促進の問題が起つたので、專任の所長を任命するには、どうしても高等裁判所又は地方裁判所の有力な裁判官を以て当てなければならないということで、訴訟促進の終了するまで一時見合せるというようなことで、只今專任されていないような次第であります。今年中には、数はまだ確定いたしませんで申しかねますが、相当数の任命があるものと考えております。建物は先ほど申上げましたように、本年度相当額の予算をとりましたならば、相当の数になるのではないかと考えております。
  63. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 これをまあどれだけ正確なことかわかりませんですが、大体から申しますると、家庭裁判所少年係の判事さんになることをお嫌いになるかたが多いということがございませんですか。そこで私はまあやつて御覧になれば、きつと普通の判事さんの仕事よりも面白いには違いないのですけれども、どうも格が下るような気がして、家庭裁判所のほうには余り希望者がない。そのためにいまでもこの單独の判事ができないというようなことも聞いておりますので、それでまあ、その成否はどちらにいたしましても、結局私はやはりこの家庭局あたりで、一つレフエリーを採用するというような方向一つ考えを進めて参るというのも一つの途ではないかと考えておりますが、局長のお考えは如何ですか。
  64. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) レフエリーの問題は、昨年のたしか参議院の法務委員会でも御質問を受けたのですが、その後アメリカの制度等を研究いたしておりまして、この問題はなかなか裁判所の構成全体に影響する大きな問題というので、研究はしていますが、直ちにこれが計画を実行に移すとか、又計画を立てるというような段階に達していないということを申上げたいと思います。
  65. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 もう一つ最後に、これはちよつとむづかしい問題かも知れませんが、まあざつくばらんにおつしやつて頂きたいと思いますことは、今家庭裁判所でおきめになりました保護処分を、実際保護少年を保護処分して入れます容れ物について、何かいろいろ御不便の点がございますと思いますが、それを忌憚なく聞かして頂くわけには行きませんでしようか。
  66. 宇田川潤四郎

    説明員(宇田川潤四郎君) 法務府の所管に関する少年院とか、少年保護観察施設に対する批判のようなことに相成るので、甚だ申しにくいのでありますが、私ども決して現在の施設を以て満足すべきものでないと考えております。その施設の点においても、数の点においても、大きさの点においても、いろいろな面において不満なものを感ずるのでありますが、併しながら一昨年家庭裁判所が発足した当時の少年院と、現在の少年院と比べますと、格段の相違があります。又その少年院における教育効果も、家庭裁判所から見てもすばらしい進歩があるということを私は率直に認めておるので、この調子で少年院或いは少年保護鑑別所が育成されて行くならば、誠に少年のために喜びに堪えないと思つておる次第であります。
  67. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 今度は恐れ入りますが、法務府のかたに少しお尋ねいたしたいと思いますが、年齢が引上りまして、いろいろ收容施設につきましての問題が起つて来ましたのでございますが、この少年保護鑑別所に……。この鑑別所がございませんような所では、拘置監をお使いになつておると思いますが、その拘置監はどういうふうにまあお手当をなさつて準備なさつたのでございましようか、ちよつとその点をお伺いいたしたいと思います。
  68. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) 年齢が引上げになりましてからは、全国の拘置所、拘置監において一応少年保護鑑別所の代用をすることにいたしたのでございまするが、予算的の措置、職員的の措置は講ずることができませんので、各拘置監の長に対しまして、その庁の予算その他の行政の運営上において十分注意して、少年の保護鑑別所にふさわしい取扱いをするような通牒を発して、この事態に対処して来ておるのでございます。但し大きな都市の拘置監におきましては、或る程度の施設の改善をその庁の費用でいたしまして、或る程度改善されておるのでございます。但し全体的に申上げますれば、旧拘置監の施設を一部分割いたしまして、そうして処遇その他について成るべく自由に、又明るい気分を出すように工夫をいたした程度でございます。
  69. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そういたしますと、この職員はどういうことになつておりますか、あの拘置所はまあ教官じやないのでございますが、教官が新たに任命されましたのでございますか。
  70. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) 東京、大阪等につきましては、観護少年の数が多いために、特に少年保護鑑別所の職員の定員を割きまして、教官を任命しておるのでございます。その他の全国の各拘置監についてはやつておりません。
  71. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それはやはり看守が子供を見守つておるのでございますか。
  72. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) その通りであります。
  73. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そうすると、その子供の処遇は、看板こそ少年保護鑑別所でございましようが、中はそれでは拘置監と何ら違わないということなんでございますね。その点は如何でごさいましようか。
  74. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) 何ら違わないと申上げることは私は申上げないつもりでございまするが、御覧になりますれば、非常にその点は近いものが多々あるのでございます。
  75. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それは見まして私が心配しておるのです。どうも折角子供たちはやれやれとして送られて参りましたときに、これでまあ保護されるんだなんと思つてつて見たら、やつぱり刑務所だつたということで、非常に私子供たちが気の毒だし、悪影響があるというように考えておるのでございます。併し今のところこのどさくさまぎれにどうも仕方がないのでございますが、どうかしてこれは何とかこの手の打ちようはないものかというように考えておるのでございますけれども、一つ考え願いたいと思います。それから引続いて伺いますけれども、少年院、つまりこの特別少年院が急にできませんものですから、少年刑務所の一部分が当てられているようでございますね。今度それが今と同じことを私伺いたいのでございますけれども、一体そこに、この特別少年院へ入りました子供の処遇と、少年刑務所に入りました子供の処遇とは一体どういう違いがあるのでしようか。
  76. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) お答えいたします。少年刑務所の一部に收容いたしまする特別少年につきましては、これは全く少年院の一種の施設といたしまして、全部これは少年院の教育方針に則りまして教育もいたしまするし、又処遇もいたして参るのでございます。昨年初めに少年刑務所の一部をこれに当てました当時には、收容少年の数が非常に少なかつた、職員がまだ慣れなかつた等のために、宮城委員の御覧になりました当時は、非常に刑務所の色彩が強かつたかと思うのでございまするが、最近になりまして、数次の会合をいたしまして、これら指定されました特別少年院の長といろいろ打合せをいたしまして、その点については非常な改良をいたしましたので、この次御覧下さいますれば、少年院のうちの一種の特別少年を入れた教育施設という工合になつておると思うのでございます。なおこの際ちよつとお断わり申上げたいことは、先ほど申上げました拘置監を代用いたしまする少年保護鑑別所の收容少年につきまして、家庭裁判所当局と打合せの上、ここへ收容いたしまする者は、将来少年法二十條によつて身柄を検察官のところへ送致して刑事処分に移されるという見込みの者を、それも主として十八歳以上の者を收容することにいたしておるのでございます。そうしてその中の処遇も食糧の規定或いは処遇の規則等によりまして、細かい注意を與えてやつておるのでございまするが、一般の未決拘禁者の処遇とは相当に変つておるわけでございます、その点改めて申上げます。
  77. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その特別少年院は、それでは教官その他の職員は全然少年刑務所のほうと兼務している人はございませんね。まあ例えば服装のことについて全然別個のものになつておりますか。
  78. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) これは大体において兼務の形式をとつております。そうして又專任で刑務官として教官をやつておる者がありまするし、又教官だけの身分を持つておる者もありまするが、現在のところでは共通の身分を持つておるのでございます。と申しまするのは、実はこの職員定員の数のやりくりから、そういう工合にしたのでございまして、少年刑務所の職員或いは少年刑務所の教官の数は、全体の矯正保護職員のうちの刑務官としての非常なたくさんの数の中で操作ができるのでございまするが、少年院の教官は二年前に千人余りの收容少年時代にありました定員が漸次殖えましたけれども、今日六千三百人の少年に対しまして、僅かに百人ばかりしかないのでございます。そのためにその間の身柄の操作をいたしておりまするから、重複しておる数も殖えておるわけでございますし、この少年刑務所のうちの特殊なものは、殆んど特別少年院としての実態に切換えるような方法でやつておるのでございます。姫路の少年刑務所、愛知の少年刑務所等は非常に切換えが早く進んでおるのでございます。なお只今予算で御審議下さいまする定員増等が認められますれば、その間更にはつきりした定員が配置できるかと思うのでございます。
  79. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そうすると、やつぱり刑務官が着ておりますような、ああいう服装で子供を取扱つておる所もあるのでございますね。兼務でございますと、そこはどういうことになつておるのですか。
  80. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) その通りでございます。なお刑務官の服装と少年院の教官の服裝とは、制服は今日あまり根本的に違つた服裝ではないのでございます。非常に似かよつた点があるのでございます。ただ階級章その他がございませんだけで、同じダブルの背広になつております。帽子と階級章がない点が違つております。
  81. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 そこでまあ大した違いはないとおつしやつておりますが、子供のほうから申しますというと、やつぱり刑務所だつたというような、先の拘置監のところと同じような感じを受けるのでございますが、それよりもこの問題は刑務所の職員が囚兒を扱いつけたその心持がおのずと取扱いに滲み出て参りまして、参りました子供たちから見ると、やつぱりここは少年刑務所だつたなというような感じだろうと思つておりますが、私はそこで少年刑務所の一部分を看板だけ塗り変えて、特別少年院ということを書くくらいだつたら、いつそのこと向う側を消してしまつて少年刑務所というものをもうみんな塗り潰して、この際特別少年院というものに少年刑務所をみんなお変えになるほどの飛躍したお考えはないでございましようか、如何でございましようか。
  82. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) 只今ございます少年刑務所の大部分は、何と申しましても前からございまする刑罰の執行の場所としてでき上りました施設でございまして、特別少年院の施設としては私ふさわしいものではない、かように考えているものでございます。今日窮余の一策で使用しているのでございますから、これは将来においては一刻も早く努力いたしまして、特別少年院といえども、もう少し少年院としてふさわしいものの建築をいたさなければならんと思つているのでございます。只今のところも、すべての少年刑務所の看板を塗り変えて特別少年院にするということについては非常な疑問を持つているものでございます。
  83. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私も一遍にそこに飛躍するということについては、どうかということを思つておりますけれども、併し私をしてそう言わせることは、今何ら特別少年院らしいものがちよつともない、これじや少年刑務所に入れられたほうが却つて子供はさつぱりするのじやないか、それでございますから、看板を塗り変えて二つこう併置して置きましても、中の処遇というものについては、私は格段の違つたものを是非作つて頂きたい、そうでなければ、私が今申しますように、片一方の少年刑務所を塗り潰したほうがいいんじやないか、そして実際は少年院については、もともと教育を土台にした嚴格なものがあつてもいいんじやないかというような極端なことを言うほどになつたものなんでございます。それからいま一つ岩国少年刑務所と、それから新光学院とか、一部分やつぱり特別少年院になつておりますのでございますね、私はこういう所は、例えば新光学院は全部特別少年院にして、岩国少年刑務所はやつぱり岩岡少年刑務所として、そこにみんな入れるようにする、全国みんなそういう理窟には行かないかも知れませんけれども、二つの処遇を置くことになれば、同じ年齢の者を一緒に置くということはどうだろうか、まあ新光学院と岩国少年院とは近うございますから、一つ固めで置いたほうが子供たちのためにならんかという考えを持つておりますが、如何でございましようか。
  84. 古橋浦四郎

    政府委員(古橋浦四郎君) この御質問の二つの刑務所の特別少年收容につきましては、いろいろ議論がございまして、只今御指摘のような意見も相当強かつたのでございますが、現地の事情等を考慮いたしまして、一応両方とも入れ得る態勢にしたのでございます。なおその問題につきましては、中央でも考慮いたしておりまするし、その收容区分について差支えがなかつたならば、一カ所にしたいのでございます。その程度しか只今申上げられませんが、御了承願いたいと思います。
  85. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 それから今一つ。問題の検事先議ということが若しなるといたしましたら、東京あたりは問題はございませんと思いますけれども、地方ではどうでございましようか。少年係の検事というものは置かれます事情にございましようか、どうでございましようか。
  86. 神谷尚男

    説明員神谷尚男君) 昨年来全国に少年係検事を配置いたしております。現に昨年十月にも少年係検事の会同をやつております。従いまして少年係検事であるという自覚を持つて仕事をしておる検事が各庁にあるわけであります。併しそれは地方検察庁の本庁に現在おるだけでありまして、この支部のほうには目下のところはおりません。
  87. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 まだたくさん質問がございますが、私は今日これだけで打切つて置きます。又次のときに私の質問を続けたいと思います。
  88. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 皆さん御質疑はございませんか。先ほど羽仁委員からのお申出でがございましたので、本委員会議員派遣目的及び派遣地につきましては、委員長及び理事の打合会において今日決定したいと思うのでありますが、派遣議員の日程、人選その他についてお申出でのかたから、委員長において選定及び決定いたすことにして御異存はございませんことにして、更にこの委員会にお諮りをせずに、委員長理事の打合会決定した通りにして御賛成を願いたいと思いますが、如何でございますか
  89. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 只今委員長の述べられましたようで異議ないのでありますが、その際理事会におきまして先ほど私が述べました点を十分御考慮願いたいと申うのであります。他にもいろいろ重要な問題もありますけれども、警察予備隊に関する国際的な世論に対しで、現在日本政府は外交上の実権を持つていないので、僅かに我々国会がその問題について或る意味においては責任を負わなければならない。又は負い得る立場にもあるのでありますので、この問題に関する現在の国際的な世論というものに対して我々の責任を果す意味から、勿論次の機会ということもありましようけれども、できるだけ早く、若し可能ならば今回の議員派遣の際にそういうことを十分御考慮……御無理を申上げるつもりはございませんが、十分御考慮下さるということをお考えつて只今の御決定のようで異議ございません。
  90. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 承知いたしました。それでは御異議がないと認めまして、委員長及び理事の打合会決定いたしまして、派遣期間等につきましては、委員長において派遣議員かたがたといろいろ御都合を図りまして決定いたしたいと思いまた。それで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 御異議ないと認めます。  本日はこれで散会いたします。    午後四時一分散会  出席者は左の通り。    委員長     鈴木 安孝君    理事            伊藤  修君            宮城タマヨ君    委員            長谷山行毅君            山田 佐一君            齋  武雄君            岡部  常君            羽仁 五郎君            須藤 五郎君   政府委員    法務府矯正保護    局長      古橋浦四郎君   事務局側    常任委員会專門    員       長谷川 宏君   説明員    法務府検務局刑    事課長     神谷 尚男君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局家庭    局長)    宇田川潤四郎君