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矢嶋三義君 私は
梅原委員が代表して提案されました修正案並びに修正部分を除く原案に対して賛成の討論をいたすものであります。
先ず第一番にこの
法案の国会にかかるや、
教育界において数百万の運動費をこの
法案推進ために集めた、而もその費用は一部には生徒の手を通じて生徒の父兄、即ち生徒の頭割によ
つて算出されたということについて私は遺憾の意を表明するものであります。
教育の第一線において施設不十分のために或いは
教員の定員不足のために、なさんとするところの
教育がなし得ないところの苦境にある
教育者に対して私は衷心からお気の毒に思うものでありますし、その
教育者をして数百万の金を集めて而もこういう
教育立法の運動をしなければならない段階に
教育者を追い込んだことにつきましても、私立法府におる一員といたしまして責任を
感じておるものであります。
次にこの
法案につきまして
審議の過程において最も問題となりましたところは、現在の新
学制におけるシステムとの
関係でありまして、この点に関しましては、責任の
文部大臣から現在のシステムというものを堅持するのである。而もそのシステムは十分であり、このシステムを育成、
指導する
意味においてこの
法案の運用よろしきを得なければならない、こういう
意見を確認できまして、その点については満足の意を表明するものであります。併しながらここに注意しなければならないことは、
我が国の
国家経済並びに
国民経済が貧弱である現段階におきましては、できるだけ税金を安くしたい。そのためには学習年限を短かくしたい、こういうふうに
考えて来るのは当然であります。そうして新
教育は人間としての育成を先ずや
つて、そうして人間として作り上げられた者に対して、教養の高い人間に対してその上に専門
技術を教授して行くという新
教育の理念から、手取り早いところともかく鋤の使いかた、ハンマーの振いかた、そういう人間を早く作
つて、そうして
産業経済の高揚にその人的資源をここに確保して、そうして
経済の再建、或いは資本主義の再建を図ろう、こういうふうに
考えるということも又私は予想されると思うのであります。そこにもたらされるものは、いわゆる人間性を無視したところの徒弟
教育であります。曾
つて我が国が軍国主義時代には明らかにそういう
教育があ
つたということを我々は反省しなければならないと同時に、この
法律の成立したあげくにおきましては、
運営にその点特に戒心しなければならないということを、私はここに声を大きくして申上げたいと思うのであります。
更にこの修正案において私は最も明確にされて結構である点は、それは現在のシステムを認め、而も
学校教育の不十分を先ず第一義的にこれを充足する。即ち
学校教育においてなすところの
産業教育を
趣旨にいたしまして、そうしてその充実された施設を以て
社会教育を
振興する、こういうふうに種々の
関係を
はつきりと打立てるべく修正された点は、この修正案の最も骨子をなすものでありまして、その点非常に賛成を表明するものであります。
次に私はこの法が成立した暁において最も重大なる点は、やはり
財政の問題だと思うのであります。この
審議の過程におきまして、七カ年問に二百億、そのうちの百億は国庫でやるが、その費用については現在の
教育予算の枠外である、決してこれは六三
予算あたりにしわ寄せをするものではないということを
発議者からも承わり、又確保するということを
文部大臣からも承わ
つたわけでありますが、飽くまでもこれに要するところの
予算というものは、決して現在の天野文政のみの
予算にしわ寄せをするものではない、枠外に
予算を確保すべきものであるということを、これ又私は強く要望いたすものであります。更に申上げることは、本修正案においてこの
法案の第四条、第五条、第六条を削除したのでありまするが、この第四条、第五条、第六条というものは、
産業教育の
振興の上から重大なる問題であるということは、本
委員会の
審議の過程におきまして論議されたところでありまして、ただ法文上こういうところに集めなくても、その
技術的
運営において他の
方面においてなされる、こういう立場から第四条、第五条、第六条は削除されたのでありまして、行政府としてはこの
趣旨を十分行政の面に活かされるよう、更に
委員会において質疑応答の結果確認された点につきまして努力されることを要望するものであります。
次にこの
法案の
運営に当
つて重大な点として更に申上げなければならない点は、
中央産業教育審議会の性格並びにその
委員の
構成でありまして、これを飽くまで助言と
指導の機関たらしめるべく将来やる立場に立たせなければならない、更にその
委員の
構成を民主的にするために、
先ほど梅原委員から適切なる修正案が提示されたわけでありますが、最終的
任命の責任者は
文部大臣であります。飽くまでも私は
文部大臣に対しましてこの修正の
趣旨を体し、各
関係各層から最も公平にして適切なる
委員の
構成に責任を持
つて大臣が努力せられることを要望いたしまして、私は
梅原委員の修正案並びにその修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。