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1951-05-26 第10回国会 参議院 文部委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(土曜日)    午後二時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○民間学術研究機関助成に関する法  律案衆議院提出)   —————————————
  2. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより本日の委員会を開会いたします。  本委員会に付託になつておりまする衆議院議員若林義孝君外八名提出民間学術研究機関助成に関する法律案を日程に載せます。この前に提案理由補足説明を承わりましたのでありますが、これより質疑に入りたいと思います。御意見のおありのかたは……。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 民間学術研究機関は今どのくらいございますか。その数を一つ承わりたいと思います。
  4. 佐藤重遠

    衆議院議員佐藤重遠君) 專門員をして説明させます。どうぞ御了承願います。
  5. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 民間学術研究機関は全国で約二百でございます。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その二百に対して従来どのくらいの予算で、一研究所当どの程度補助があつたか、過去の実績を承わりたい。
  7. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 只今お答えいたしました二百と申しますのは、法人民間研究機関でございますが、そのうち三十六機関に対しまして、平均大体百二十万程度機関によつていろいろ大小ございますが、助成いたしております。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では今度これを今まで行政的にやつてつたのを法制化しようとするわけですが、今までの補助実績では、到底この民間学術研究機関が十分その目的を達することはできないということをよく言われているわけですが、この法案の成立と共に、予算を画期的に増額するとかいうような点について、何か政府当局と交渉が持たれておりますかどうか。その点について発議者のほうに承わりたいと思います。
  9. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 只今今年度の予算に四千万円、その中で学術振興会議に参ります分を除きまして、極く狭い意味に申しますると三千六百五十万円でございます。これで最小限の用を弁じさしておるのでありますけれども、なお将来の希望として、是非今後の予算で拡張して頂きたい、拡張したいというお話合いは相当に進んでおります。ただ数字的にどうこうというまでのことは、まだ予算編成に至つておりませんので、具体的には行つておりません。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 民間研究機関は、提案理由にも書いてありますように、非常にお気の毒な状況にあつて学術産業振興のために非常に遺憾な状況にある。私も全く同感でありまして、先般の予算委員会におきましても、これらに対しまして大蔵大臣質問もし、大蔵大臣のこれに対する所見も承わつたのでありますが、非常に消極的な答弁を頂いた次第でございます。結局これは予算が取れなければ問題にならないと思うのでございますが、こういうような法的措置を講ずることによつて、一歩たりとも前進するというのが発議者の真意でございましようか、どうでしようか、その点のところを承わりたいと思います。
  11. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) お説の通りでございまして、従来予算措置だけは講じられておりましたが、法律的の裏付がありませんから、或いはいつこれが消えるかも知れないという研究所側においても著しい不安があつたのであります。この法案が幸いにして通過いたしますれば、その不安がなくなるだけでも非常な前進であります。更になお最後のとろにございます住民税及び固定資産税の免除という点については、財政的にも当事者には非常な恩典になる次第であります。従つて機関も非常にこれを熱望いたしておられるのであります。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員にお尋ねいたしますが、この二百からある法人研究機関の中に、私はのクラスをつけられておるだろうと思うのですが、文部省として眺めた場合に、こういう研究機関に是非とも助成して育成したいというような研究機関が相当数あるだろうと思うのですが、その数をどのくらいに蹈まれておるか、なおその助成補助金額というものをどの程度最小限必要とするか、適当と考えるか、それらについて何か資料を持たれておると思うのですが、それを承わつて置きたいと思います。
  13. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この二百の団体のうち、申請して参りましたものにつきまして学術会議にそれを諮問いたしまして、結局その結果Aクラスと見られますものが四十九、Bクラスが十九、Cクラスが四十八となるわけでございます。このうも、A・Bに対しましては、我々といたしましては助成の必要のあり、又その価値のあるものだと考えております。併しながら予算範囲がございますので、先ほど申しましたように三十六機関のみに補助し得るのであります。勿論この数も増したいと思いまするし、単価も増したいと考えておりますが、大体この予算は二十二年度におきまして七百六十万円くらいから出発いたしまして、年々累増いたして参りまして、本年度四千万円に至つたわけでございますが、我々といたしましては少くとも一億五千万円程度は念願いたしておるわけであります。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 Bは幾つですかね。
  15. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) Bが十九でございます。Cが四十八、Aが四十九。
  16. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) ほかに総括的な御質問はございませんですか。それでは逐條審議に入つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは第一條
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 政府委員のほうにお尋ねいたしますが、言葉のことでございますが、よく学術文化という言葉を聞くのでございますが、ここには「わが国の学術及び産業」とありますが、こういうような文化が入ると入らないとでどう違いますか。研究機関にもそういう文化というのを入れたような研究機関が相当あるやに私は思うのですが、普通は学術文化と言つておりますが、どういうふうに違うか。特に文化という言葉を落されておるのは何か意味があるのかどうか。政府委員答弁の次に発議者にも承わりたいと思います。
  19. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) ここで書いておりまする学術は、恐らく一般に慣用しております言葉によつて解釈いたしますれば、基礎的及び応用方面を含めての学術であると考えております。従いまして一般科学技術と申しまするよりは、基礎が入つておるという点について明瞭に表現しておる言葉だと考えております。お話文化学術文化とよく言われております面は、これはもつと広汎なものであろうと思います。文化と申しますれば芸術等も入つて来ると考えておりまするが、この法律の狙いどころは、応用及び基礎学術研究の場合であるという面に限局されたものだと解釈しております。
  20. 若木勝藏

    若木勝藏君 第一條のところで、これは政府委員のほうに伺つたらいいかと思うのですが、これまでの民間研究で、どういう方面にどういうふうないわゆる功績があつたか、そういうふうな事情について聞きたいと思います。
  21. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お手許に書類を御参考にお目にかけておるかと思いまするが、大体この財団法人して存置いたしておりまする民間研究機関は、会社等に存置せられまするものと相対する一つの群をなすものと考えております。即も会社方面に設置しておりまするものは、主として応用方面抜術方面研究機関が多いのでありますが、この民間研究団体として法人としてありまするものは、主として基礎的な学術研究の面が多いのがその特色であると考えております。で内容人文関係一に対して社会科学関係二くらいな割合になつておるわけでございます。
  22. 若木勝藏

    若木勝藏君 特に産業方面について功績のあつたというふうなことはありませんか。
  23. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 個別的に名前を挙げることは、或いはいろいろな関係におきまして愼重考えなきやならんかと思つておりまするが、例えば従前労働科学研究所として知られておりまする今日の労働医学心理学研究所でありまするとか、三菱経済研究所とか大原農業研究所とか、小林理学研究所等は相当歴史もあり、研究業績もあり、規模も大きい例でございます。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 今まで補助の申請をして来たものはどういうふうな方面が多いのでしようか。
  25. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 今まで参りましたものはこの人文及び自然の両面に五つておりまして、文部省所管として文部大臣において認可いたしました方針範囲でございます。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 終戦後この占領政策とかそういう方面によつて整理されたというような方面があるものについて……。
  27. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 主として航空関係につきましては、終戦いろいろな情勢によりまして活動を中止いたしております。
  28. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういうものは今どういうふうなものに転換しているか。
  29. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 法人としてありましたものは解散したように承知いたしております。ただ学術研究の面におきましては、一般に関連する流体力学その他の関連のある学術研究等に転換したり、或いは又そちらに偏つて研究を続けられている面があろうかと考えております。
  30. 岩間正男

    岩間正男君 産業振興上ということを謳われているのですが、この産業の、今の日本の置かれている体制を見ますと、これは平和産業或いは軍需産業というふうに考えられるのですが、この含む範囲はどういうことになるのですか。この点伺いたい。これは提案者から伺いたい。
  31. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 特別にそういう特殊の考えを持つておるのでございませんので、この前或いはちよつと申上げたかと思いますが、二百の現実にございます民間研究所法人の内訳の中に、一番多いのが百四十が文部省所管でありまして、続いて農林省の三十、通産省の十五。厚生省の十五、その他が一括いたしまして十、こういうようなことになつておりまして、文部省の立場で申しますると、基礎学術研究というものがむしろ実質上大部分を占め勝ちでございますから、文部省範囲でも応用面が決してないのではございません。更に農林省通産省厚生省現実から申しまして、この産業という言葉が入つて参つた次第でございます。
  32. 岩間正男

    岩間正男君 その建前が今の御説明だけでは非常に不明瞭だと思うのですが、将来これは情勢変化によつて、殊に応用部面におきましてそういうような軍事的な生産部面のほうの研究にだんだん持つて行かれる、こういう体調が相当起り得る可能性もあると考えるのでありますが、こういうような面について現在どういうふうな措置考えておられますか。立案者趣旨としては、飽くまでもこれは平和産業の面においてこれを助成すると、こういうのが趣旨なのであるか、或いは又それらを引括めた形においてまあ産業という漠然とした言葉が使われておるのでありますか。ここのところを明確化して置くことが非常にこの法案にとつて重要だと思うのでありますが、この点についてはどうお考えになつておられますか。
  33. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) お話のように、只今各省で手がけております現実から、又その精神から申しまして平和産業に関しておるということは御想像の通りでございます。なお先刻申しましたように、多分に各産業の面の研究所と申しましても、何と申しますか、濃厚に基礎学問的な、基礎学術的な面が強いものでございまして、今の軍需産業とか何とかいうものを狙つたら或いはそちらに行くかも知れんという考えは毛頭ございません。
  34. 岩間正男

    岩間正男君 そういう意思を持つておられても、情勢変化によつてはやはりそういう情勢の要求に応じまして役割を果すというのが、日本の今までの研究所なんかのあり方であつたと思うのであります。そこでこの法案においてはやはりそういうような軍事的な性格というものの研究に対してはこれは協力しない、これは日本憲法建前からしては当然だと思うのでありますが、この法案でそういうことを明確化する必要がないか、こういう点にまで立案者考えておられなかつたのであるか、こういう点どうお考えになられておりますか。
  35. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 実際の運営につきまして、一番重要な役割を果します日本学術会議というものが、只今民主的な方法によつて構成をされております。又従つてそういう人々によつて運営せられておりますここに、それらの具体的の運営に必要な基本になる問題をすべてお諮りをするということになつておりまして、そこらの危険はないものと確信いたしております。
  36. 岩間正男

    岩間正男君 それはやはり日本の実態から見ますと、必ずしもそう言い切れないんじやないか、これは我々もニ、三その例を聞いたのでありますが、最近におきましては戦車の鋼の分析を命ぜられた、これに対して断わつた工学部もある。或いは又飛行機の風洞の研究、そういうような研究などというものがこれは要請されておる。こういうことが大学研究機関のほうでは起つておる。そうしますと民間におきましては、もつとこれはそういう制限がなくなつて来るのでありますから、只今の御説明だけでは、そういうものを学術会議に任しておるからいいと、こういうことだけじや十分にそれを抑え切れないものがあるのじやないか、これに対してはつきり、若し立案者趣旨が飽くまで平和産業にこれは資するためにやるんだというのだつたら、それを明確化する必要があると私は考えておるのでありますが、この点どういうふうに立案者としては考えておられますか。この点改めてお伺いしたいと思います。
  37. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 憲法において国の大方針戰争放棄という下にすべての制度が組まれて参ります。この法律もその憲法の下に従属する一つの法文という問題で、殊更それをそうしなくつてもその精神の上に当然立つておるものだと、(「その通り」と呼ぶ者あり)私ども考えております。
  38. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことは、これは一応法案説明にはなるかも知れませんが、今までの戦争前のあり方、或いは最近の動向を見ておりますとそう言い切れん。そういう非常に心配される面が実際出て来ている。私が例を挙げたそういうことも、すでに大学研究機関におきまして始まつている。そういうことがあるとすれば、これに対してこの法案はもつとそういう点をやはり明確化する必要があるのじやないか。若しそういうことがない、これは憲法建前でそういうことを明らかにする必要がないということでこの法案が仮に通過を見るということになりまして、さてこの法案運用面において内容が変えられて行く、こういう点について、それなら誰がそれを保証するか、こういう問題は非常に重要な問題であると思うのでありますが、若し立案者が飽くまで平和産業に資するのだという趣旨立案をされておりますならば、こういう点についつまで考慮するということが私は必要だと思うのでありまして、只今説明だけでは一つ形式的説明だけだというふうに思うのでありますが、その点如何ですか。
  39. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 形式的だけに響きましたと存じまするが、そうだとすれば甚だ遺憾でありまして、私は決して形式的にかく申上げているだけでなしに、初めからその肚でこの問題を起案したものでありまして、日本の現在の憲法下においてすべてその建前を大前提としてのみ考えるということにいたしております。
  40. 岩間正男

    岩間正男君 まあその辺は議論に亘つてしまいますからこの辺にいたしまして、それから平和産業軍需産業にということを私は申したのでありますが、この区別もなかなかつかなくなつて来るのが実情じやないかと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)いろいろ範囲が混濁して来る面があると思うのでありますが、こういうような面についてもこの法案の面においては十分にこれは愼重措置をして置くことが必要だと私は考えるわけであります。そうでないと、だんだん時勢が緊迫して来て、そういう要請が非常に多くなつて来る。そうするとそういう方面研究機関だけが膨脹して、そうしてその方面だけやはり量的に多く出て来る、そういうふうに考えられるのです。それは先ほどの質問者質問の中にも出て来たのですが、由来日本研究機関というものになりますと、文化面に対する研究助成というものは非常に少い。ここでも学術産業という面だけ特に謳われているのでありますが、この立案者としまして、これを立案されるときに文化面に対してのことが相関的に当然これは頭の中に浮んで来たと私は考えるのでありますが、これはどういうふうに処理され、又この法案の中から特にそういうような面の研究助成については切り捨てられたのでありますが。その点明らかにして頂きたいと思います。
  41. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 先刻政府側からお話がございましたように、決していわゆる文化面人文面を切り捨てたのではございません。それも対象にいたしております。現実に現存している各研究所全貌を見て、そうしてその上から出ている結果が大体二と一という比率になつているということをお話しなつたことと思います。
  42. 岩間正男

    岩間正男君 先ほどの稲田局長説明では、学術面に対してそういう人文面ということを言われたのだと思うのでありますが、これは例えばもつと文化面関係した演劇であるとか音楽であるとか、舞踊であるとか、そういうような研究所もあるわけですね、その中でも日本文化のために非常に重要な役割を持つている法人、これは設立の條件として法人をとつているかどうか、或いはとつておりとつておらないものもあるかと思うのでありますが、併しそういうようなもののほうが、例えば今お話の平和を飽くまで守りそうして文化を進展するのだというようなら、こうほうこそが当然重要視される必要があると思います。少くともこういうような商業に寄与するような学術面補助ということに重点を置いて考えるならば、同時にその面に対してもこれは私は考えるということが日本産業、あなたのお話なつたところの憲法精神からいえば非常に重要じやないか、こういうふうに感じます。学術的な研究機関じやなくて文化面で、私が先ほど申上げましたようにいろいろもつとあると思います。今私の頭に浮とぶころだけではそんなもんでありますが、こういうような面に対する補助というものをどうして同時にお考えにならなかつたか、この点をお伺いしたい。
  43. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 将来の理想とし目標としては、お話通りにもつと広くできるだけ参りたいと思うのであります。現存のものでも、先刻政府側から御紹介もありましたように二百のうちで三十幾つ、四十足らずというようなところにしか手が届いていないのであります。而も実情から申しますと、その一つ一つが経営を維持する上においても決して十分でない金が行つている次第でありまして、これは将来この法案を通して頂きましたならば、一層予算の面においても、又そういう面において実質上豊かに一つ国として助成を与えて行くようにいたしたい。それのスタートを切る意味においての足がかりという法案として立案をいたした次第でございます。
  44. 岩間正男

    岩間正男君 文化面について現在どうなつておりますか、この点伺います。実際の様子、それからそういう助成がされているかどうか、されているとすればどれだけの機関においてされておるか。こういう面について一応伺つて置きたいと思う。
  45. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 先ほどお答え申上げました点を多少補足して申上げますれば、この学術という用語のうちには勿論これは人文科学自然科学研究を含める意味考えておるのであります。これに対しまして科学芸術と申しますると、ややもすれば人文科学が入らないきらいがありますので、そういう面で立案者はに特に学術という文句を使つたと思います。対象法人であります関係上、この学術団体基礎的な学術研究を行いますものを対象とする自然の勢いがあるように考えられるわけであります。従いましてそれが応用面に関連して参りました場合に、延いて各種の応用的な面及び又産業振興に裨益するところがあるというのがこの法律の御趣旨であろうと思います。只今の御質問につきましては、お手許に御配付申上げております公法人研究機関要覧というものがございますが、その初めのほうに挙つておりますのが主としてこの人文科学団体でございまして、そのうち例えば日本民俗学協会民俗学研究所というような人文科学団体助成が参つております。
  46. 岩間正男

    岩間正男君 私はその人文科学というふうに一つの学的なものだけでないと思うのです。文化研究機関、今聞きますと民俗学とか、そういうような学的なものだけに限定されて考えておるきらいがある。そこに問題があると思う現実にもつと具体的な、文化芸術に連なつた、そういうような研究所もあるわけです。こういうようなものに対してはどうなつておるか。この点を私伺つておるのでありまして、人文科学については、自分でも現在の助成の状態についてはわかつておるつもりです。そういうようなことはどうなつておるのですか。
  47. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 従来科学研究費のうちにございます民間学術研究機関に対する助成対象となつておりましたものにつきましては、お話のような団体までその助成が及んでいないのでございます。又ここに立案されておりますものを拜見いたしましても、差当りこれは直接学術研究団体に限られているように承知いたしております。お話のようなものに対する助成も必要だとは考えられまするけれども差当りこの法案の念願しておられる点は、学術関係において非常に重要なことだと私ども考えております。
  48. 岩間正男

    岩間正男君 私は憲法で……非常に説明の中で、飽くまで平和を守るんだ、平和の裏付になるのはこれは文化であります。そういう点で説明されましたので、その文化の面についての助成を同時に考えないで只今のお説からすれば、その面を同時に考えてこういう助成考えなくちやならない。ところが先ほど来私が申しました危険を持てば持ち得るところの面の学術とか産業とか、そういうような面を考えられてこういうような立案をされて行くということは食い違いがあるのではないか。私はそう考えるのでありまして、当然この面を取止げて行くならば、もつと広い憲法の上に立つならば、平和を飽くまで保障するというなら、そういうような芸術に関する問題とかそういうような研究もあるのです。同時にこういうものが頭に浮んで来、これを解決するということは、これは当然課題に上らなければならん、こういうふうに考えるのであります。どうも只今お話では、これだけを先に取上げる、そういう緊急性もわかりますけれども、同時にそういう点についてはどういうふうにお考えになるか、そうして又その現状はどうかと文部省にお聞きしますと、そういうようなものは人文科学についてはある。併しながらもつと実際の芸術面或いは文化面をお考えになつて民間のそういう面に起つておる研究、そういうものについては日本文化芸術というような政策の面から、実際の進歩に伴つて継続が困難になつておる面がたくさんある。そういう面については殆んど頭が及ばない。そうして当面この問題を取上げておるところに先ほどの説明食い違いがないか。これを質しておるのでありまして、これはもう少し十分な御回答を頂きたい、こういうふうに思います。
  49. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 本法律案に直接しておらないことでございますから、少し申上げることは如何かと御遠慮をいたす気持もあるのでありますが、只今の御質問がございましたから申しますが、やはり別個の法案として、議員立法として只今お話文化芸術の面についてもやろうというお考えを持つておられるかたがたもあります。それについて私ども材料その他の準備をいたしておる内幕もある次第であります。これだけをどうこうという意味ではなく、当面これを先ず一つ審議を願いたい。準備のできたものから御審議を願いたいという意味法案であると了解をいたしております。
  50. 岩間正男

    岩間正男君 立案者は同じかたでありますか。こういう準備をされておる……。大体今持つておられる構想を同時に伺つて置きたい。この法案審議する上にこの法案だけをやられて、それから審議する上において……。これは憲法とも関連して私は伺つておるのでありますが、どんな試案を持つておられますか、お伺いしたい。(木村守江君「議事進行」と呼ぶ者あり)只今説明がありましたので、只今説明に対しまして当然私たちは同時にこれの全貌を伺つて置いて、そうしてこの案を審議して行くということが重要になつて来る。
  51. 木村守江

    木村守江君 ちよつと委員長にお伺いしますが、今一般質問も終つて逐條審議に入つたはずであります。而も今第一條逐條審議をしておるのでありまして、今の岩間君の質問は、私は一般質問に属する問題であつて逐條審議として取上げて来る問題ではないと思いますのでどうぞ議事進行上…。岩間君、いい加減にしろよ。
  52. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 第一條の定義を審議する上において必要な質問ですから審議を続けて行きましよう。(木村守江君「答弁の必要なし」と述ぶ)
  53. 石井勗

    衆議院專門員石井勗君) 只今申上げました問題は、最初にお断りを申上げました通り文化芸術の面も続いて法案化そう、国家的な施策を講じようという考えを持つておられるかたがたがあつて、それを我々が旨を受けて準備をしておる革もあるということを申上げた程度でありまして、それ以上私どもとして具体化しておりませんので御説明申上げる材料がございません。
  54. 岩間正男

    岩間正男君 私はなぜこういうことをお伺いしておるかというと、口では文化を尊重するとか、平和を尊重すると言いながら、実際いつでもその面が減らされておる。実質的に政治的なそういう要請とか、それからいわば何といいますか、火急なものだけ、こういうものだけは最上げられて、そういうもののために片ちんばということが起つておるのです。日本の」いろいろな情勢の中におきましても……。そういう点から私は質問しておるのでありまして、非常に不満足な御答弁であります。私はできたらこういう面を明らかにして頂いて、そのうちにおけるところの学術、殊に産業に繋がつておるところの学術に対する助成の問題を我々は検討したい、こういうふに考えておるのでありますが、只今の御答弁では非常に不十分でありますけれども、これは止むを得ないと思いますので、この程度で第一條質問は終ります。
  55. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それでは第二條御質問ございませんか……。それでは三條から六條まで関連しておりますから……。
  56. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 昭和二十二年より民間研究機関補助金として交付されておるように稻田さんの書かれたものに書いてございますのですが、その場合には……。委員長、六條までとおつしやいますのですが、少しよそへ跨がつてもよろしうございますか。
  57. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) よろしうございます。
  58. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その場合にどういうような形で、例えば第五條のこういう基準を設けておやりになつてつたと思いますが、この五格の一、二、三の項目に該当するような基準でおやりになつてつたのかどうか、その点を一つ……。
  59. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 従来のやり方でございますので、私どものほうからお答えいたしますが、大体ここの法案に書いてありますのと同様なところでございまして、学術会議において基礎的な御方針を承わりまして、それによつて交付いたしておるわけであります。
  60. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 続いてなお経理の面、第八條になるわけですけれども、こういう第八條の経理の面、或いは第九條の公表の義務であるとか、或いは第十二條にかかつて来るようなこと、こういうようなことをずつと二十二年度からやつておいでになつたかどうか、その点も……。
  61. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 補助金交付の場合の傑作といたしまして、大体こういう調査でありますとか報告等を御約束して交付いたしております。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 稻田局長にお伺いしますが、従来民間学術研究機関補助というのはあなたの局のほうで扱つてつたのですね。
  63. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 職制に変更がございまするが、文部省内の学術関係所管する局において取扱つておりました。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従つて大学学術局でやつてつたのですね。
  65. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 前に科学局であるとかいろいろな関係があるのであります。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨年あたり補助した金額は申請額の何パーセントだつたのでしようか。民間研究所から補助を申請して来て、何パーセントぐらい補助されておりますか。
  67. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 扱いといたしまして金額の申請をとらないわけでございます。限られた範囲民間学術研究機関、つまり法人として認可されております機関がわかつておりますから、その機関について学術会議で御審査につて、A、B、Cをつけて頂きまして、そうしてこちらの予算と睨み合せて、上のほうから金額を按分いたしたわけでございます。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第五條で二行目に、「備えていると認めたときは」と、こうあるわけですが、文章からいえば主務大臣がそれを認めることになつておるのでございますけれども、今まではこれは認めるのは学術会議のほうで認めておつたわけですか。更に又ここは今後は誰が認めようとするのでございますか、実質的には……。
  69. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 対象の範を学術会議のほうで答申して来られますから、それを基礎にいたしまして予算と睨み合つて補助金を按配いたします。従つて対象からは幾ら頂戴したいという申請は出て来ないわけでございます。補足いたしますれば、我々のほうで予算、決算、その他の資料を取ります場合に、その団体の経理がわかつて参ります。およそこのぐらい補助すれば十分だろう、こういうふうに見るわけであります。
  70. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それをあの文牽からいえば主務大臣がやるわけですがね、実質上はどういう機関で今までやつてつたか、今後どういう機関でやらんとするかといこうとをお伺いしたいのです。
  71. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 従来やつておりますることは、学術会議に諮問いたしまして、申上げましたようにA、B・Cという標準を以て答申がありますが、今度はそれを配分する上におきまして、これは法律には載つておりませんけれども文部省に御相談申上げる委員会を設けまして、委員会の御意見を聞いて配分額を決定するわけでございます。
  72. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従来そうですか。
  73. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) さようでございます。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員会としてはどういうふうな構成ですか。
  75. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 学術会議のほうから各分野に在りまして人選をお願いいたしまして、そのかたに文部省にお集り願つて御相談するわけでございます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では発議者にお伺いしますが。今後はどういうふうにやられる予定でございますか。何か腹案でもございますか。
  77. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 今までの行政庁でやつておられる方法が適当であると思いますから、同様なことを予定いたしております。
  78. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 この法案を出された大きな趣旨は、会社とか或いは個人より特恵的な俊助を受けてやつておるのが非常にあつて、自主的な研究ができでないから補助をするというような点、私はこれが一つの大きでな狙いじやないと思うわけであります。そこでお聞きしますと、昭和二十六年度のときには三千六百五十万円ですか、それで大体この法案を出されるときに、二十七年度のことについて或る程度大蔵省などと折衝をしておられるかということについてちよつと私ども発議者にお尋ねしたいと思うのであります。
  79. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 最初の御質問と申しますか、御解釈から出た御意見であつたか知りませんが、民間のこれらの研究団体が大会社或いは個人から金を相当出してもらつて、それの影響を受けるからとかいうお話であつたようでございますが、さほどに豊かに金を出してくれる途があればまだ結構でございますが、事実はないのでございまして、非常に小口の寄附金のようなものを集めたり、非常に四苦八苦して而も不十分な金しかやらない、こういう状況でございます。その点一つ御了承を願つて置きたいと思います。それから今年度は三千六百五十万円というものがそされに充当せられるべく既定予算に入つております。来年以降におきましては、少くともこれを下ることのない、それ以上にできるだけ増して頂くというような話合いで、大蔵省側も心からこの法案のできさましたことについて賛成を頂いております。
  80. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 稲田政府委員は何か一億というようなことを先ほど申されましたが、その一億というのはどの線から大体出たものかということを、根拠があるなら一つ……。(「一億五千万だよ」と呼ぶ者あり)
  81. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 非常に概算でございまするが、例えば大学等において研究いたして参ります状態等と睨み合いまして、従来この予算の御審査を願う学術会議の委員とか或いは文部省でお願いする委員がたの間において、およそ一億五十万円もあれば一応は十分なんだというお話も承わつておりますから、(「大丈夫ですか」と呼ぶ者あり)二十六年度は三千六百五十万円しかございませんが、どの程度まで、差当り最小限度増額するかということについては、一億五千万円程度という話が出ております。併しながらこの科学研究費五億という額はそのままでありますから、その中においてほかに食い込むわけに行きません。これはまあ別の問題として考えられるわけでございます。
  82. 岩間正男

    岩間正男君 どうも今伺いますと、今までの四倍くらいになるのですが、非常にやはり額としては少ないと思うのですが、そこで現在何とか予算範囲内でやると、今までもそうなんですが、どの程度までやつておりますか。例えばここに「維持運営に要する経費の一部」というのですが、何%が最大で、最小はどの程度か、今度予定されておるのはどのくらいまで補助するということを考えておられるか、この点を一つ
  83. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 現在のところ平均いたしますと、維持経営費の三〇%乃至四〇%程度でありまして、決して十分とは考えておりません。
  84. 岩間正男

    岩間正男君 大体そんなものですか。最高で四〇%……。
  85. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) さようでございます。およそのところでございます。
  86. 岩間正男

    岩間正男君 これはまあ最高で四〇%というのですが、実際この研究をやらせるためにもつとこれは高額な補助をしなければならない、こういうような研究機関も或る程度あると思うのですが、これはどの程度まで運用できるのですか。或る場合においては八〇%或いは全額しなければつぶれるというような、そうしてこれは非常に日本学術並びに文化の上に重要だという、こういう機関もあり得ると思うのですが、これは運用によつて相当、ときには具体的な、実質的な融通がきくんですか。この点はどういうふうになつているのですか、この点を伺いたい。
  87. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) お話のように非常に経常に困つている機関も現在あるわけでございます。A級四十九、B級十九の中にも非常にそういうものがあるわけでございますが、一面科学研究業績とか或いは科学研究施設等も睨み介せまして、三十六機関を決定しているわけでございます。
  88. 岩間正男

    岩間正男君 さつきの一億五千万円というのは、平均何%くらいになりますか。
  89. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 先ほどお断り申よげましたように、非常なこれはもう概算でございますので、明年度予算を要求いたします場合におきましては、もつと詳細に考え合せますると共に、従来この以外に振り向けられておりまする科学研究費……、科学研究交付金とか科学試験研究費、これらの増額の必要も考えておりますので、これらの経費等も考え合せて具体的な概算要求を決定いたしたいと思つております。
  90. 岩間正男

    岩間正男君 五條の三号に「補助を必要とする相当な事由」というのは、これは内容として大体どういうような点を考えておられますか。
  91. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 主としてこの戦後の経済事情の急変からこの途を講ぜざるを得なくなつたのでありますから、従つて、ここにはそこの研究団体の財政状況が主たる理由と考えております、一口に申しますると、今の財政的事情ということになりまするが、同じ財政的事情と申しましても、自然的にいわゆる果実から上つて来る収入と、それは幾らもないけれども、いろいろ努力をして維持会員のようなものを持つてつておられれば、狭い意味の財政的事情としては相当な……現実、仮に昨年はそういう意味で相当程度まで潤つてつたというような問題がありますれば、それもこの事情の中に人づておるわけであります。一口に申しますると、広義においての財政的事情というように考えております。
  92. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御意見ございませんか……。それでは七條から十三條まで関連しておりますから一緒にやります。
  93. 岩間正男

    岩間正男君 この七條の「目的以外の目的に使用してはならない。」というのでありますが、これは友字上の解釈になりますと、学術又は産業振興、これが目的ということになるわけですか、そういう意味ですか。
  94. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 第三條にございますように、「維持運営に要する経費」とございますので、その研究機関の維持運営費ということに考えております。
  95. 若木勝藏

    若木勝藏君 第九條の「補助金の交付を受けた研究機関は、その研究の成果を公表しなければならない。」、この公表する一つの何か組織がありますか、全く任意なものになりますか、その点伺います。
  96. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 通常その道における学会というものが一番代表的なものと思います。或いはその関係の専門雑誌、或いは特別の単行本、その他特に方法を限定いたしては考えておりません。
  97. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうすると全くこれは自由な形式で発表ということになりますね。このために特に機関はないと、こういうことになりますね。
  98. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) さようでございます。社会的に大体途がございますから、適当にそれによりさえすればよいと、こういう考えであります。
  99. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 その十一條の「主務大臣は、必要があると認めるときは、」とありますが、これを入れておかれる意味は、何か意地悪いわけではありませんか。
  100. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) これはきまつて定時に必ず毎年というようなほどの必要もないと……、さほどにやれば双方が煩雑であるということを予想いたしましたがために、随時にと申しますか、臨時にそれこそ必要があつた場合だけにと、こういう程度の気持に過ぎないのでございます。
  101. 成瀬幡治

    ○成瀬幡治君 大体その必要だということは、ここで申しますと、使われた金が目的以外に流用されておるというような疑いのあつたときにやると、そういう意味だけですか。
  102. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) まあ大体そういうようなことが主になるかと思います。或いは研究の進行状況ども聞きたいというようなことも言えるかと思います。
  103. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 十條、十一條、十二條、十三條、よろしうございますか。
  104. 岩間正男

    岩間正男君 この第十二條の「毎会計年度、収支決算書を作製し、主務大臣に提出しなければならない。」、こういう條項からしますと、これは継続的に多年に亘るわけですか、それは年度年度に更新されることになるのですか、どうですか。
  105. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 年度々々の更新で参ります。
  106. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) よろしうございますか。
  107. 岩間正男

    岩間正男君 更新をするでありましようが、大体の方針としては、やはり長年のやつを継続的に認めるというような方針、そういうのもあるのでありますか、そこはまあ表面的にしていないのかどうか、これはどうですか。
  108. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 俄かに事情が著しく急変するということはちよつと想像いたしかねますから、大体においてそういう方向のほうが多いと思います。
  109. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御意見ございませんか……。それでは附則を全部一括して……。
  110. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三十六年度に入りまして、補助対象とか或いは補助の率などはまだ決定しておりませんですね。
  111. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) この法律案が計画されていることを伺つておりますので、この推移を待ちまして、まだ今日決定しておりません。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 従つて公布の日から施行するということになれば、この法案成立と同時に本年度の予算はこの法によつて、法に準拠して取扱われるわけでございますか。
  113. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) お話通りでございます。
  114. 若木勝藏

    若木勝藏君 さつきちよつと聞き落しましたが、一億五千万円というものはすでに二十六年度の予算に組んであるわけですか。
  115. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 二十六年度の予算中三千六百五十万円程度この方面に振り向けられる金が用意してあるばかりであつて、一億五千万円というものは、従来の学術会議等におきまして、この審査に当りまして、そのくらいもらえば十分だがというお話があつたということを基礎として私どもは漠然と考えておる数字でございます。
  116. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、この法律趣旨に基きますと、奨励の意味から考えて追加予算で以てこれを更に必要な分を要求することになりますか。
  117. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) これは各法人の毎会計年度の経常費の補助でございまするから、年間の支出におきましては追加予算ということも不適当だと考えておりますし、又一双の学術研究機関予算の増額等も明年度以降において考えなければなりませんので、それらを睨み合せまして、それらの一環といたしまして、我々といたしましては増額を希望いたしております。
  118. 若木勝藏

    若木勝藏君 手続上不備なことがなかつたならば、こういう法律が通過するというようなことになつたならば、当然私は補正予算を要求して、そうして法律精神を活かすのが文部省建前じやないか、そういうように希望するものです。
  119. 岩間正男

    岩間正男君 附則の第二項の「民法第三十四條の法人学術研究を目的とするもの、」これはどこかで認定することが必要なのですか。
  120. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 民法第三十四條によります学術研究を目的とする法人でございますれば、これは文部大臣所管事項でございまして、文部大臣が認可するときにはつきりと認めて規定いたしますから、そこで区分ができると存じます。
  121. 岩間正男

    岩間正男君 今の問題で、認可されるときはそういうような目的でやつていても、その後事情が変更されるような事態があつたときは取消しになるのでしようか。そういうところまで目が届かないということもあり得るだろうと思う。こういう実態はどうですか、文部省においては……。
  122. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 申すまでもなく法人は首的の範囲内において能力を有するのでありますから、認可せられました際に掲げました目的以外に亘つてつた、変更をやつて行くことはあり得ないと思います。
  123. 岩間正男

    岩間正男君 あり得ないというのは、それは形式上そうなるだろうと思いますが、どうなんですか。そういうことが実態的に起つて、脱税にこれを実際は使うつということもあり得るわけですね。名前だけは研究所にしておいて……。
  124. 稻田清助

    政府委員稻田清助君) 若しお話の目的を変更するということであれば、勿論首的に掲げた以外のこととして行動することでありましたら、それは効力のないことでありますから、そうしたことはあり得ないと、こう申上げておるのであります。
  125. 岩間正男

    岩間正男君 あり得ないというのはおかしいな、大いにあり得るんだ。(笑声)
  126. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか。
  127. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は繰返して念のためにお伺いして置きますが、学術研究のために、私は気にかかつてさつきから質問申上げたわけですが、重ねて念を押して置きます。それは第五條あたりで対象範囲をきめているわけですが、例えば生理学研究所とか政治経済研究所とか、そういう部類ですね、こういうものは対象範囲内に入るわけですね。さつき局、長あたりの説明からそういうふうに了承して差支えありませんね。
  128. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) その通りでございます。
  129. 加納金助

    ○加納金助君 政治経済というような純文化的のものがやはり入ると思うのですが、どうですか。
  130. 石井勗

    ○衆議院専門員(石井勗君) 入ります。
  131. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言ございませんか……。それでは本案に対する質疑疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議なしと認めます。それではこれより討論に人わます。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  133. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本法案に賛成の意を表するものでございます。我が国の民間研究機関の実態というものは、戦前においても貧弱でありしまたが、戦後特に貧弱である。この民間学術研究機関助成ということは、私は学術会議の民主化という立場からも極めて重要なものと把握いたしておるものでございます。歴史があり、相当の功績を残し、而も特色ある研究をやつているところの機関で、現在さらにつぶれようとしているような研究機関もあるわけでございますが、今日まで十分の助成かでできずにこれは遺憾に思つておりたものでございまするが、このたび市町村民税並びに固定資産税の免税、これは各研究機関で非常に切なる要望のあつたところでございますが、それが実現のできることと、更に今まで行政的措置においてなされておりましたところの補助というものが、ここに立法化されて、法的措置が講ぜられるということは、我が国の民間学術研究機関の実態からして極めて適切なものである。こういう意味において賛成申上げるものでありまするが、ただ希望を申上げまするというと、私のひがみからいたしまして、どうも学術及び産業振興、こういうようなところから自然科学を非常に重視して、人文科学を継子扱いにするのではないかというような気持がいたします。更にこの文化国家の再建を標傍しておる我々として、この軍事化或いは基礎科学、そういうものの興隆、助成、延いては軍事産業に携わるものに流れる慮れがありはしないか、こういうような危惧を抱くものでありまして、文化国家の再建を標榜しておる我が国として、断じてそういう運営に陥らないように私は切なる要望をいたすものであります。更に次に要望いたす点は、先ほどからも若干予算の問題が出ましたが、極めて我が国の実情と一致したところの適正なる予算が確保されるということが大事でありまして、行政当局において十分の資料を整え、適正なる予算が確保されるように努力することを要望すると共に、最後に私はこの法案において、特にこの運営に要望する点は、第五條のところでございます。第五條の第二項に、我が国の学術国会とも申すべき日本学術会議に諮問して審査の方針及び対象範囲をきめる、学術会議の意見を尊重するということが書かれておりますが、この運営をこの條文に謳われておる通りに行うということは、私はこの法案立案趣旨を十分達成する意味におきまして最も大事なことと考えるものでありまして、その点特に強く要晒して賛成の意を表するものであります。
  134. 岩間正男

    岩間正男君 私はこの法案に賛成理由は、先の論者が述べたところと殆んど同じことであります。ただこの法案が将来我々が心配する方面に使われるようなことがあつた場合には、断じてこの法案を粉砕するということを前提として賛成する。(拍手)
  135. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 他に御発言はございませんか。御意見も盡きたようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれより採決に入ります。民間学術研究機関助成に関する法律案、本案を可決することに賛成のかたの御起立を願います。    〔総員起立〕
  137. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 全会一致でございます。よつて民間学術研究機関助成に関する法律案は全会一致可決することに決定いたしました。なお本会議における委員長の口頭報告の内容は本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の御承認を経なければならないということになつておりますが、これは委員長において本案の内容及び当委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することにいたしまして、御承認を願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とされるかたは順次御署名願います。多数意見者署名加納 金助 成瀬 幡治若木 勝藏 木村 守江平岡 市三 荒木正三郎高田なほ子 波多野 鼎山本 勇造 大隈 信幸矢嶋 三義 岩間 正男
  139. 堀越儀郎

    委員長堀越儀郎君) それではこれを以て本日の委員会は散会いたします。    午後三時五十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            成瀬 幡治君            若木 勝藏君            木内キヤウ君    委員            木村 守江君            平岡 市三君            荒木正三郎君            高田なほ子君            波多野 鼎君            山本 勇造君            大隈 信幸君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   衆議院議員            佐藤 重遠君   政府委員    文部省大学学術    局長      稻田 清助君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君   衆議院事務局側    常任委員会専門    員       石井  勗君