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矢嶋三義君 この問題についてはもうこれ以上お尋ねいたしませんが、併しただこの
地方公務員の保護をするという立場を重視すれば、公営企業体の
職員の取扱をするところの
特例法というようなものは、私はここではこれ以上申上げませんが、
政府としては一刻も早く出すということが私は至当だと思うのです。そういう立場から言えば、
政府がこれを未だに
提案されないということは私は
政府の怠慢だと、こういうふうに考えるのですが、ここでこれを主題とすることは当を得ませんので、この点の
質問は打切りまして、次にお尋ねいたしたいと思います。
それはここに
教育公務員特例法の
改正案が
提案されたわけでありますが、これの及ぼす影響というようなのは私は非常に大きいと思うのです。どういう
意味においてそれが大きいかと申しますと、例えば
大学教授の
教職員の任免、
懲戒それらの取扱方が変つたとか、或いは
教職員の団体である
教職員組合の取扱方が変
つて来る、非常に簡單なようでありますけれども、変
つて来るということですね。それが国民に及ぼす影響というものは私は非常に大きいと思う。もう少し
はつきり申しますと、講和も控えて我が国の文教政策というものはどう行くんかという大きな筋金をここに私は見せなくちやならないんじやないか。どうもこれは天野文政に対する
質問になるかと思うのでありますが、一貫性がないんじやないか。曾
つては保護し、こういう取扱をして、労組に対してこういう取扱をして来た。ところがこういうふうに変
つて来ますと、次々に今後こういうふうに変わるのだと、こういうふうな印象を私は国民に與えるということはこれは重大な問題だと思う。そういう立場から私はこの際に我が国の文教政策というものはどういう筋金で行くんだ、講和を結ぶまではこういう態度で臨む、講和もこういうところで行くんだという
はつきりした筋金を国民に明示し、そうして
教育者は勿論のこと、国民も安んじてついて行くというような私は態勢というものをここに確立することが大事じやないか。そういう点を
はつきりしないで、こういう
特例法の中の重要な点が変わるようなことが
提案されるということは、私は国民に及ぼす影響は非常に大きいとこういうふうに考えるわけなんです。勿論日本の政治というものは、世界情勢に左右されることはいたし方ないし、又日本の政治の一環としての日本の文教政策というものもその影響を受けることはいたし方ないとは考えますけれども、私はこの一国の文教政策というものだけは、
一つの流れ、その波に余り私は簡單に乗
つて行
つてはならないと思う。それは曾
つてのいわゆる東條の施政に
はつきりと現われております。当時私は、日本の
教育者、或いは学者というものが本当に自由を堅持できて、そうして責任あるところの、信念あるところの行動をとり得たならば、今日の日本の悲境というものはもたらされなかつたのじやないか。そうして現在朝鮮事変あたりをきつかけといたしまして、我が国におきましても軍国調が非常に高ま
つております。事大主義的な国民というものは、その波に乗り勝ちです。このときに私はこの文教政策が簡單にそれに乗
つてはならないのじやないか。例えば南原総長が講和の問題について、或いは学内の問題について、あの人の信念のあることを発表されるというと、政治家が南原は怪しからんというような輿論を作る。それでもまあ南原さんみたいな信念のある人はそれに邁進しますけれども、大部分の人間というものはそういう外部からの不当な圧力によ
つて自分の信念というものを抂げる、それでは私は再び我が国は誤りを侵すのじやないか。国民の間には
新制大学ができたけれども、これが短期
大学に又なるらしい、
高等学校は、総合高等制というものは無理であつたけれども、ぐんぐん又分立して行
つておる。学校名はかくかくでなくちやならん、こういうけれども、次々に又元の名前に変
つて行
つておる。或いは
教育の
機会均等から
高等学校には学区制というものを布いて、そうして学校差というものをなくしようとしたけれども、学区制は次々に乱れて行
つておる。
特例法も又変
つて来る、修身が復活するというし、柔道は来年の四月から復活する。又劍道とか、或いは弓道も来年の四月から復活するそうだ。君が代も歌つたらいいんだ、国旗も立てたがいいんだ。それじや年の初めの歌を歌おうかと言つたら、それはまかりならんと、こういうふうに来た。こうしたことでは私は清和でも結んだら現代の日本の新
教育制度は又バツクするのじやないか、六・三制というものも消えるのじやないかといつたような地につかないような気持で日本の国民がおり、
教育者が携わ
つているということでは、いやしくも文化国家を私は標榜している我が国として、ましてやこの講和を前にした我が国の文教政策としては、私は非常に遺憾だとこう考える。先ほどから
特例法の
五條に関連して
大臣の異常な決意も見られたわけでありますが、結局国内情勢の分析というものが人によ
つて意見が違
つて来るのじやないか、こういうふうに考えます。その立場から私はこの際
大臣は日本の文教政策というものはこうして行くのだと、講和に臨むに当
つては飽くまでも自主自立の日本の文教政策を堅持して行く。講和が結ばれた後といえども我が国の文教政策というものは
変化がないのだ。具体的に言えば新
教育制度というものは変りがないのだ、飽くまでも民主々義というものを育成して行くことには変りがないのだというような点、そういう点を私はここで
はつきりと責任ある立場において、表示することが必要ではないか。それに対する
大臣の
見解、それから更に私がお伺いいたしたい点は、
大臣が
大学は一生懸命研究するところにいたしたい、本当に研究するようにしなければ学術の向上というものはないのだという気持はよくわかります。併し現在の私は
大学を
大臣がどういうふうに把握されているかということを、お伺いいたしたい。昨年学生運動というものが随分問題を起しましたが、その後の学生運動はどうな
つておるか、
大臣はこれをどう把握されておるか。
それからいわゆるレツド・パージと呼ばれたものがそのままにな
つておるわけですが、
大臣はやはりレツド・パージは必要だと考えておられるのか。やろうとされておるのか、それとも吉田総理は衆議院の予算
委員会で共産党員といえどもこれは日
本人である。だから反省の
機会を待
つておるのであ
つて、必ずしも共産党を非合法化するというような考えはないというように私は答弁されたと聞いておるのでありますが、現在の
学園が静穏化した現在においては、そういうものは必要でないというふうに情勢を分折されておられるかどうか。そういう点をお伺いいたしたいと思うのであります。