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1951-07-18 第10回国会 参議院 文部委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年七月十八日(水曜日)    午前十一時二十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育及び文化に関する一般調査の件  (教育予算に関する件)   —————————————
  2. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 二、三の点についてお伺いしたいと思いますが、公務員給与改善について最近の物価上昇の現状から見まして、近く改善勧告があるものと期待しておるのですが、その大体の時期及びどの程度ベース・アツプを行う考えでおられるか、そういう点について先ずお知らせを願いたいと思います。
  3. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 給与ベースにつきましては人事院として始終調査をしておることは御承知の通りであります。そうして生活費なんかを考えましても大体勧告をすべきものであるというふうには私も考えております。その時期につきましては次期の国会が開かれるときに補正予算を提出されるでありましよう。その予算に組み込むことのできる操作に間に合うように勧告をしたいと思つております。それでその額は、私ども考え方は御承知のように新憲法の下でば公務員国民に対してサービスをするのだ、だからして国民がこれのサービス料公務員に払うのだという立場に立つておるのでありまして、殊に公務員には御承知のように労働争議の権利がありません。それで人事院といたしましては納税者である国民にも納得が行くように、そうして又公務員にも十分納得が行くような数字を見つけるわけであります。ということは公務員生活水準国民全体の生活水準に合して行こうというので細かに計算をしておるわけであります。それで前の旧憲法時代のように、二千円上げるとか、千円上げるとかといつたような行き方ではないのでありまして、一々カロリー計算がどうだ、それから民間給与はどうだということをすつかり考えまして、積み上げて行つて最後幾らになるかということになるのでありますから、どれだけの額を勧告するかということは最後に決定されることであつて、大体の予測はできないのでございます。併し民間比較するものは、公務員と同じような仕事をしておる民間の人の給料を調べましてやるのでありますが、大体の見当としては恐らく全産業、或いは工業の一般平均、これは方々で種々出ておりますから、それと大差はないものであろうということだけはお考え下さつて結構だと思います。
  4. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 只今お話ですと、大体時期は予算編成に間に合うような時期において勧告したい、こういうことであります。御尤もであると思いますが、大体予算編成は七月一ぱいにはいろいろ考慮されると思いますが、そういう関係から考えますと大体七月中に勧告がなされる、こういうふうに解して差支えございませんでしようか。それが一つ。それからべースをどの程度にするかということは、やはり生活実態調査というものがなされておると思います。それで今の八千円ベースのときの生活指数と、今日の、最も最近の生活指数とどれくらいの上昇を来たしておるか、そういう点について調査の結果が若しございましたらお話願いたいと思います。
  5. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 時期につきましては七月末だろうとおつしやるのでりありますが、それはそうかも知れません。できるだけ早く間に合うようにやろうと思つております。間に合うということは、十分に予算を編成する人が我々の基礎数字の出るところを十分に理解する余裕を持つということでありますから、当らずといえども遠からずかも知れません。それから生活指数の問題につきましては、今ここで資料がございませんから、これは方々ですでに発表されておる数字でございますから、あとからお届けいたします。
  6. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大体時期の関係から見まして最近の様子を見ると、米の値段も相当上るんじやないかと思われます。そのほか交通費燃料費、そういつたものも最近上げられるんじやないか、こういうふうに考えられるのであります。そうすると現在勧告されるものはそういうものを見込んでなされるのか。私の考えでは恐らくそういうものは見込み得ないんじやないか。こういうふうに考えておりますが、そういうものを見込まない場合はその後の処置はどういうふうにすべきであるというふうにお考えになつておりますか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  7. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 米とか燃料交通費、そういうものが上るだろうということは新聞で承わつておりますが、これは給与水準を出しますときに御承知のように二つの原則に立つておる。その一つは何かと言いますと、理論生計費によつて摂取カロリーその他から独身者、例えば十八歳の男子、独身者生活をするのに国民平均生活水準におるとどれだけ必要であるかということを先ず出す。それですからその中には無論米だとか何かは影響をいたします。いたしますが、我々の考えはそれが一つと、それから今度成るべく民間給与に合すという点が一つある。その点が先劾申しました理論生計費から出したものよりも下廻ればこれは困る。それですから最低賃金のような気持で私どもは扱う。ただ世の中で言う最低賃金というものはそんな細かなものでなしに、のんきに折衝その他によつてきめておりますが、そういう意味でなくて、独身国民と同じ生活水準を維持するのに幾ら要るのかということ、それたけは出します。それに対してはそれを下廻らんようにしたい。併しそれは米の上る値段が入つておるかどうかという問題につきましては、我々は初めからやつておりますことは予想しない、すべて過去の実績に基くという立場に立つておるのであります。併しその一点の中に、米はどういう影響を持つか、それから輸送費はどういう影響を持つかということははつきりすぐ出て来ますから、それをその予想の下で必要があればその中へ入れて見まして、そうして検討するということができるのであります。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そこでベースの問題についてはもう一点伺いたいと思いますが、公務員関係の組合では大体一万二千円べースというものを出しているわけです。私どもは十分な資料を持つておりませんけれども、大体民間給与との関係、或いは八千円ベースを決定された当時からの物価上昇工合、無いては生活指数上昇、こういうものを勘案するときに、大体その程度になるのじやないか。まあ計数的に、科学的に数字を弾き出せばその程度になるのではないかというふうに概略考えておるのですが、人事院勧告も大体それに近いものかどうか、大体の見通し、そういう点について若しお話を伺うことができるなら、一つお話を願いたいと思います。
  9. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 先刻申しましたように、私どものは大ざつぱでなくて、一つずつ積み上げて行くというのだから、合計して最後に出て来る数字でございまして、今予測をどうも申上げかねるのでございます。責任を持つておるものとしまして、この際一万円を超えるとか超えないとか、それが二千円になるとか千円だろうとかいうようなことを若し申しますと、それによつて疑いを、疑惑を招く虞れもありますから、それはその数字は御承知のように内閣と国会と、新聞発表と同時にするということを私どももやつております。それでこれは国民に訴える、納税者に訴えるのだという立場でありまして、その基礎数字はここから出ているのだと、細かく皆資料もと計算もとを発表することになつております。そのときまで御猶予願いたいと思います。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ベース・アツプの問題、私が今質問したのは単なる予想をお聞きしているのではなく、人事院は十分な資料を平素から調査しておられるか、その資料に基いて民間給与との関係、或いは生活内容関係、そういう科学的な調査ができておるか、こういうものの基礎に立つて近く勧告したい、こういう段階におかれては、科学的な基礎に立つた大体の、大体と言いますか、もう目安が出ているのではないか、こういうふうに思つたの質問したのですが、それは只今お話で重ねて質問することをとどめます。  それから次にお伺いしたいのは、これは三年来問題になつている教職員別表の問題です。これは前に文部大臣教員の待遇を改善する方法として別表を作成したいということは、当委員会において述べられたところでございます。又聞くところによりますと、人事院においても先般来から鋭意この問題について御検討を願つているということを聞いておるわけなんですが、先ず初めにこの別表大臣か我々に言明せられたような趣旨に基いて作成しておられるのか、或いは人事院はそれに拘泥されることなく進めておられるのか、どういう考えでこの別表の問題を進めておられるか、先ずお伺いしたいと思います。
  11. 山下輿家

    説明員山下輿家君) この別表の問題でございますが、私どももあれが法律に謳われているということも承知しておりますし、十分研究をしておりますが、なかなか複雑なものでございまして、ちよつとすぐは結論に達しなかつたので、今までぐずぐずしておつたわけでございます。併しそれは怠つてつたわけではないので、十分研究しておつたのでありますが、その結果結局根本に別表に出すと得をするのだという考え方は我々はとつておらないのであります。別表というものはあの切替えるときにうまく合わなかつたから仕方なしに別表で出したのであつて別表で出したものは必ずしも得だということは絶対にないのでありまして、できるだけ別表は減らすのが正しい行き方だと思つております。併し別表法律に謳われている以上これを出さないという意味ではないのでありますが、研究をしました結果、実質的には別表でなくても人事院細則で扱えるということがわかりましたので、十分これを研究しましたあげく作りましたのが、本年の三月の人事院細則9の8の2というので発表しております。それは教育職員級別資格基準表というのでございます。これを御覧下さいますと相当程度に御満足行くようになつていると思うのでございます。例えば平均推定級別推定年数平均二年間短縮した、或いは二十六年度の予算の上でも一千万円程度の増額になつております。そういうことで一応はこれはいいと思うのです。併し近く給与準則を出します。そのときには十分その給与準則に織込んで発表することになつておるのであります。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうしますと別表は必ずしも作る考えはない、こういうふうに了解して差支えございませんでしようか。
  13. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 若しもたれが給与準則のときに一緒になつてしまいますと、給与準則の中の別表……にそれがなろうかとも思います。
  14. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は今人事院のほうでいろいろ御研究をなさつておるということを聞いて、もう少しその御研究内容をお伺いしたい、かように思うわけなのです。今お伺いいたしますと、給与準則というものを出したい、その中で教員別表も考慮したい、こういうことであります。そうすると給与準則というものはどういう構想でお考えになつているのか、そういう点もお伺いしたいと思いますが、これは全般的な問題でもあり、今日は相当ほかの時間的制限もありますから、これは先ず省きまして、教員別表について私はこういうことを聞いたわけなのです。それは学校種別によつて差をつけてもいい、こういう考え方があるということを聞いたのです。これは私は納得できない問題なんです。というのは、例えば中学校に勤めておる教員と、それから高等学校に勤めておる教員と、同一学歴で同一経験年数を持つてつても、勤める学校が違うことによつて、そこに給与に差がある、こういう考え方ですね。これは理論的にいろいろこれを問題にすれば、それはいろいろ考え方が成立つと思います。併し現在の実情からいえば、新制中学か設置された場合に、その教員を確保するために、今の高等学校から相当多数のかたがたが中学校行つているわけなんです。そうして中学校教員をとにかく充足しておつたのです。そういう関係からいえば、そういう学校種別によつて同一資格或いは同一学歴を持つておる者が、中学校高等学校に行くことによつて給与に差があるということになれば、こういうことはできがたいことになるわけです。又新らしい免許法によりますと、例えば四年制の学芸大学を卒業する、そうして或る者は中学校単位をとる、或る者は高等学校単位をとる、同じ学歴を持つておりながら中学校に行けば給与が低い、高等学校に行けば給与が高い、こういうことになれば、私は教員の確保について大きな問題が起るのじやないか、こういうふうに考えておるわけなのです。併し私はこういう学校間の種別考えておられるということを直接聞いたことはないわけなのです。幸い今日は山下人事官も見えておりますから、直接そういうことについて我々の聞いておることが単なる杞憂であるかどうか、そういう点を一つ明らかにして頂きたいと思うのです。
  15. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 私荒木さんからもお話がありましたが、私が先刻申しました細則教育職員給別資格基準表というものの中には、大学とその他ということで高等学校とそのほかのものとの差別は今のところつけておらないのであります。併し差別をつけるべきはつけるべきではないかということについては今いろいろ議論もありましようし、私自身の考えとしても実はわからないのでございます。ということは教育の実質から申しますと、高等学校でも、中学校でも、小学でも同じだろうし、却て小学校のほうが高等学校よりも重要だとも考えられる、又小学校よりも幼稚園のほうが重要だとも考えられる、それよりも又家庭教育のほうが重要だ、そういうようにも私は考えます。若ければ若いほど、小さければ小さいほど教育の効果というものは多いようにも思われる。併しその問題はむずかしいから、一応差はないものと仮定して、又一方の面からほかの面を眺めて見ますと、一体高等学校とほかのものと差別をつけるべきかつけるべきではないかということは、その本質論ばかりでなしに、一体高等学校教員になるほうがほかの面と比べてむずかしいかどうか、即ち選択するのに非常にむずかしければ、質のよいものが自然に入つておるわけではないだろうかというようなふうにも思われるのでございます。その点は今のところはつきりいたしません。そうして今の基準表を今度は変えるかどうかというようなところはまだ審議しておりませんのです。これは人事院の中の会議にまだ持出されておらないのでございます。ですから何とも申しかねるのでございます。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ほかのかたの御質問もあると思いますから、もう一点伺つておきたいのですが、先ほどちよつとお伺いした結果によると、大体このために特別の予算を計上して、そうして別表を作る、こういう考えがあるようにも聞こえるわけなのです。そういう考えであれば私は非常に結構だと思うのです。言うことはないのですが、この予算の枠内でベース・アツプが行われれば別ですけれども、そうでない場合に予算の枠内で新らしい給与の体系を若し考え出すということになれば、私は実際上非常なここに混乱が起きるのじやないかということを心配しておるわけです。これは勿論この国家公務員に対して行われるものなんですが、やはりこれは地方教職員にも準用せられるわけなのですから、その影響するところは非常に大きいと考えておるわけなのです。従つてども見解としては実質的に給与改善する、こういう結果を招来するような別表であれば、私は進捗して頂きたい。そうでないものであれば徒らに混乱を起すかも示れない、そういう心配のあるものについてはよほどの御考慮をお願いしたい、こういうふうに考えておるわけなのです。
  17. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 私どもはこう思つておるのです。給与のことは今までは旧憲法によつてつておる。今度は新憲法の下では、あれは全部切替えて行くつもりでおります。御承知のようにもとの履歴によつてその人がどこを出たとか出なかつたとかということによつて給与はきめるべきものでない、どこまでもその人のやつておる仕事によつてやるべきものだというのが一般公務員に対する我々の考え方でありまして、職階制によつて全部それに切替えて行くつもりでおるのであります。ただ今の給与の表は、これは例えばどういう学校を出た者は何年先はどこになるだろうかというようなそのような表でございますから、これはいわゆる新らしい憲法の下では不適当だと思うのであります。それでそういう意味においてこれを新らしい憲法に適用させるように変えるのでありまして、給与を上げるとか下げるとかというために別表を使うのでもなければ、組替えをするわけでもない。それはベース・アツプベース・アツプ、その組替えは組替え、そういう全然別個の考えでおるのでございます。この際これは釈迦に説法でございますけれども、一応教職員給与一般公務員とどれだけ違つておるのかということをちよつと申上げたいのであります。非常にいい状態、もう殆んど一般公務員比較にならぬほどよくなつております。それはどういうことかと申しますと、同じ大学を出た人が何年でというようによそと比べて見ますと、大して得でもないということになるかも知れませんが、教職員の特色は、全部のものが十二級までは年と共に必ず上るということ、ところが一般公務員のほうはそうではなくて、たつた七級までしか上らないのでございます。普通に行きますと七級しか上らない。それでそれからあとは、係長になりますと八級乃至九級になる。それから課長補佐になりますと十級になる。それから課長級でありますと十一級又は十二級になる。併し課長になるという人は非常に選ばれた者でありまして、全体の数からして非常に少いのでございます。それであるのに教職員の全部が十二級までなれる。そういう大きな特長があります。それから今度は初任給になりますと、御承知のように我々は六級職、五級職という試験を全国的にやつております、それによつてその大学卒業生は六級一号になるのです。然るに教職員のほうは六級五号になつておりまして、そこに四号の差が出て来る。即ち二三年は少くとも違うだけの号俸の差があるのであります。それから専門学校になりましても、五級職というあの試験をやりまして、我々が採用する者は五級の一号になる。それが教職員は五級の五号になり、やはり四号そこに違つております。それからしてもう少し時間を借りて申しますと、十五級、一番上の十五級は、これは御承知のように各省次官であります。たつた次官しかないのであります。ところが旧制大学の学長は全部これが十五級になつておりますから 現在十八人ある。それからその次の十四級これは各省では局長の中のたつた一人か、たまに二人しか十四級にはしないのであります。ところが大学教授の中では、六百五十人も十四級の人があります。それからその下の十三級は、各省では局長でございます。局長は御承知のように非常に選ばれた者であるが、ところが教授の中には二千人も十三級の人があります。それから結局一般職と、一般公務員は選ばれて、落し落しして最後の人が局長なつたり課長なつたりする。ところが教職員の人はずつと年をとると共に皆上つて行くようなかつこうになつておりまして、バランスの上から言うとひどくアンバランス状態でございます。そこでそれだけを一つお認め願つておかないと困る……。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私、今の山下人事官の御意見は、まあ一課長とか、技術を扱つている人が言つておられる見解ならば私は十分お聞き上ます。併し少くとも一国の給与問題の責任地位にあるかたが……、やはり私十分考えて頂きたいと思う点もあるわけであります。それは教職にある者の地位ですね、そういうものをどういう工合に評価するか、こういう観点に立つてまあ山下人事官はお考えになつておると思います。ただ技術的にそういうお話をなさつたのであると私は了解しますけれども、やはりそういう大きな観点に立つて考えになつていると思いますが、一つ十分御考慮願いたいと思います。
  19. 山下輿家

    説明員山下輿家君) それは、私がそう言いましたが、非常にアンバランスだから下げるとお考えになれば、これは大変なことでありまして、決してそういうことを毛頭考えておるのではありません。ただ一般公務員との比較はこうなつておりますという事実を申上げたのでありまして、その間に私の気持一つも入つておらない。よければいい、非常に結構だと私は思つております。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私もこの際少しお伺いいたしたいと思いますが、さつき荒木委員質問の結果からそれに関連して少しお尋ねするのでありますが、今度人事院勧告しようと現在作業を続けておられるところの資料というものは何月の資料でございますか。それを先ずお聞きしたい。そして勧告には実施の時期をいつと勧告されようとされておるのか、その点を先ず……。
  21. 山下輿家

    説明員山下輿家君) その今の問題はですね、勧告を出すときに発表するのでございまして、今私どもは発表する自由を持ちません。という意味は、こういうことでございます。我々かはくあるべきものだ、給与というものはかくあるべきものだということを言うのであつて、必ずしも何月からやれとか何とか言いますと、これは国家財政に我々は関与するということでありまして、これは財政財政、我々の主張するのは公務員立場を、利益を保護するために立場はつきりするのであつてあと国会、即ち国民代表者国会が判断されるべきものだと私は思つておるのであります。それで結局そのときに発表するのは、これは何月の基礎によつて発表しておるかということをはつきりいたしますから、それから先は、そこへ遡及するなりしないなりされることは、国家財政によつてきまると思います。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実施の時期とか金額は国会できまることは十分わかつております。私は現在作業を続けておられるのは、資料というものに基いて作業を続けられるということははつきりしておるのでありますから、その時期がいつの資料に基いてやられておるか。そうして更に人事官は米の消費価格が変ればその米の消費価格の高騰による影響というものも、大体価格的の率等もわかるし、いつでも修正できるというお話もあつた。ともかく私がお聞きしておるのはいつの資料に基いて取りあえず作業を進めておるかということをお伺いいたしたい。
  23. 山下輿家

    説明員山下輿家君) それは四月の半ばから始めまして五月に亘つて調査をいたしました。民間調査をいたしました。それによることになる。それは最も近い資料についてやる。併し御承知のように統計をとるにはなかなか時間がかかりますが、これでも随分骨を折つておるのでありますから、えらい前じやないかということはお叱りを受けないように願います。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことを責めるつもりはありません。そこでお伺いいたしたいのは昨夜のラジオ閣議で米の生産者価格なり……生産者価格最終決定はされなかつたけれどもラジオで聞いたところによりますと、大体閣議の意向というものが司令部の了承を得られて本日更に閣議が開かれる。個々の生産者価格消費者価格、それに伴うところのベース上げというものも大体方針がきめられるやに私ラジオで聞いたわけなんですが、而もそれは八月一日から米の消費者価格を上げる、それに伴うところの生計費のはね返りを考慮したベース・アツプも用意なさるやに大体想像されるわけですが、そうなりますと四月から五月にかけての民間給与に基いて現在作業を続けられておるその勧告を、補正予算に間に合うように一日も早く出されたいということを答弁されておるわけですが、そうなりますと、この指数勧告されるのか、或いは今日中にも決定されるのか、或いは今日中にも決定されるであろうところの政府の物価政策に伴うところのその影響というものを、現在続けられておるところの資料を、その数字を修正して勧告される予定なのか。その点一つ伺いたい。
  25. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 先刻申上げますように、我々の基礎は過去の事実において基礎付けるのでありまして、将来を予測いたさないのであります。それで米価が上るために民間給与がどれだけ上るかという事実を見つけましたら、そのときに民間給与に合わして行くという操作があるわけであります。それで何月から米が上るから幾らになるというような、目のこ算用のことはできない。ただ併し先刻も申しましたように、最低保障の賃金がありますから、そのところだけはですね、米がこれだけ上つたらこれだけになるだろう、米の値段だけはこうなる、ああなるだろうということは予測できます。併し大体の見当は最低の保障を多少上廻つているだろうということを、上廻るだろう、民間の賃金というものは最低の、我々の考えの最低保障よりも上廻るだろうということを考えますから、影響があるとも言えるし、ないとも言える。そのときになつて計算をして見てでないと申上げられません。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 結局現在公務員生活水準が低下して苦しんでおるのですが、折角公務員の利益擁護の立場にある人事院勧告されるわけですが、その勧告はいつも大体遅れがちだ、この際は特にいわゆる八月一日から最も生活にぴんと響く米価の消費者価格が上るということになると、今度の勧告というものはよほど考慮された勧告でなければ、公務員生活水準引上げには又時を得ずして再勧告をしなければならんという事態がはつきり招来されると思うのですが、そう了承してよろしいですか。
  27. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 先刻申上げましたように我々は民間給与に比例して行くわけでございまして、米とか何とかいうことでなくて、米によつて民間給与がどう影響するかという、その価格に合わして行くわけです。その点から言いますと民間給与が上れば又勧告しなくちやならん。併しそれが一本。もう一つ最低賃金の線は理論生計費で抑えられますからそれはどこへ行くかということは計算できますということを申上げた。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点、話の方向は変りますが、私はさつきも荒木委員か、一事務官の発言ならば了承できるか、一国の人事官として発言されたことについては了承しかねるというような発言がございまして、それに対して人事官はただその事実を、こういう差があるという事実を自分は公表しただけで、自分の考えは入つていないと、こういうようにお話になつたわけですけれども、あれだけ仔細に事実を調査されているところに、私は是非お伺いしなくちやならないとこう考えてお伺いするわけですが、先ずこの人事官にお伺いいたしたい点は、曾つてのこの小学校から大学までの教員は、大学教員が一番偉くて、次が高等学校、それから中等学校小学校の先生が一番質が悪いんだと、偉くないのだと、こういうふうに国民考え、生徒も考えておつたところに私はその大きな誤りがあつた。それが終戦後の給与体系あたりから、国民も、それから被教育者もそういう考えが取られつあるという点は私は非常な進歩だと思つて喜んでおつたわけですが、先ほどこの人事官の御発言の中に、上に行くほどセレクトされるから質のいい人がおる。だから給与が高くていいじやないかという御見解であると、こういうふうに一応見解を承わつたのですが、私ここでお伺いいたしたい点は、例えば高等学校から小学校まで取つた場合に、教員というのはその優秀な順序でなくて向き向きで、幾ら優秀でも小学校向きの人は小学校高等学校の向きの人は高等学校、その個人の適性によつて向けらるべきではないか。そういう立場から給与体系というものを考えるのが教員に対するところの給与体系の立案としては適正ではないか。優秀なのが高等学校行つて篩から落ちて残された者が中学校小学校へ逐次行くんだという考えからこの給与体系を作られるのは私は間違いじやないかと思うのでございますが、それに対しての人事官見解を承わりたいと思います。
  29. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 私が先刻申しましたのは、そういう見方もあるということを言つたのでございまして、そうするのだ、今は差をつけなくちやならんのだということを毛頭言つた覚えはないのであります。ただ見方から言うと、小学校教授よりも家庭教育のほうがまだ上ではないかということをしよつちゆう言つておるのです、座談のときには。それほど若いときの教育が大切だということは私自身強調しておる。併しそうかといつて、それじや百人で一人しか行けないところと、それからして十人で一人行けるところとでは行けたものの質はどうかと言われると、それはどうも選択がむずかしかつたところのほうが質がいいと考えるのが常識ではないかと申したので、必らすしもそれを主張するわけでも何でもないのですから、見方によればどつちからでも見られる。もともと大した違いもないものなのだからと、こう思つておるという意味は、一方から、本質論からこう言つた、今度は選択のほうからこう言つたと言つて議論するほどの問題でもない。両方をつき混ぜて考えればうまく行くものではないだろうかとちよつと今思つただけでありまして、私の決心を申上げたのでもなければ、人事院の結論を申上げたのでもないのであります。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 まあその程度に承わつておけばいいと思います。  次にこれはやはり教員各個の立場に関連する問題でございますが、やはりこの点を承わつておかなければならんと思うのでございますが、人事官はさつき官吏、官吏と言うと語弊がありますが、教職員でない公務員と、それから教職員の場合の今の実態の比較を詳細に御発表になつたわけですが、教員とそれから教員でない公務員生活の実態、さつき給与比較をされましたが、この実態というものをどういうようにお考えになつていらつしやるか。まあ例を取りますと大学教授が十四級のものが六百五十人からあるとこういうように御発表になりましたが、その大学教授生活の実態と、その級と前後しておるところの国家公務員、地方公務員生活の実態というものをどういうようにお考えになつていらつしやるか、お聞きしたい。
  31. 山下輿家

    説明員山下輿家君) ちよつとはつきりしなかつたのですが、実態なるものはどういうことでございましようか。価値付ということでございますか。それとも実態という……。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 生活の実情ですね。
  33. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 実情と言いますとどういうことでございますか。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 生活程度と申しますか……。
  35. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 給与給与でございますから……。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 平たく言えばどんな暮しをしているか。人事官はわかつてつてとぼけておると思いますが、私はこれ以上追及しませんが……速記をとめて下さい。
  37. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  38. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 速記を始めて。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次にこれとやはり関連するのでありますが、さつき人事官のこの言葉は非常に私は重大に考えるのでありますが、官庁なら官庁に入つた人々は、次々に節にかけられて行つて、極くセレクトされたものが局長になり、或いは課長になるのでありますが、係長にもなれない人もある。こういうことですが、ところが教員の場合は皆上に行けるようになつておる。こう言われますが、これは如何でしようかね。私は官庁というものは非常に優秀な局長から、失礼ですが余り優秀でない、係長にもなれないような人もいなければ、私は官庁というものはうまく行かんのじやないか。それが実体じやないか。ところが教育界だつたら十級以上になれないような人間もある。それから十一級、十二級になれるような人間もある。こういうような能力差のあるような職員構成であつては適当でない。皆同じように優秀なものでなければならん。そういうような教員を確保しなければならない。それに副つたところの給与体系を考えなければならない。ここが教育機関なんかに勤めておるところの公務員の質的な構成と、それから官庁の構成とが非常に違うと私は考えるのであります。従つて教員なつた人が私は或る年限が来て皆がずつと上級の格付ができるようにせられておるということは私は当り前であり、そうしなければ私は教育の振興もない。こういうように私は考えるのでございますが、その点について人事官はどういうようにお考えになつておるか。私は非常に重大だと思いますが、それだけ伺つて私の質問を打切りたいと思います。
  40. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 前は、旧憲法時代には我々は高文を通つた人とか、そういうものを特権扱いをいたしまして、それが上に上るようにすることが必要であつたのでありますが、それをやる方法といたしましてはどういうことをしたかというと、いろいろ違つたかも知れませんが、私ども自身がやつたことは、結局百人欲しいと思うとこるを先ず十人くらいにしておきまして、そうして資格変更が楽なように扱つて、そうしてあとは質のずつと落ちたものを入れる、それで賄つてつたのであります。ところが新憲法下にはそんなことは許さない、どこの大学を出ようが問題ないということで今の六級職なり五級職なりの試験というものを見ますと、やはり大学は出たら何でもいいということは……驚くべきことは大学の数です、そんなにあるかと思うほど、びつくりするのでありますが、百何十というような大学の種類があります、それでえらい人が随分揃うわけであります。そういうものが今入つておる、同じ試験をしてそれで入るときは正しいと認めて入つた、それをいろいろ段をつけるということ自体が間違いじやないかと言われれば、これは間違いかも知れませんが、おつしやるようにいろいろ段階がありますから、毎日同じような仕事をしなければならんところもあるし、頭を始終使わなければならんところもあるから、それを割振つて行くのでございますから、仕事からいうと、ずつと上つておると思います。現に私ども手前みそのことを申しますけれども、今のような採用の仕方で以て人事院は全部採用した、その結果は、それは課長以下全部課員ももう相当いい質のものが揃つております。これはもうよそと比べものにならんほど大きい違い方でございます。併し将来は公務員は全部そうなるべきものであろう、そういうふうに考えております。そうして又公務員として仕事をします上に、それだけの教育を持ちますと非常に発達する、もう一、二年たちますと大変な発達をする、それを非常に喜んでおるような次第であります。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今質だけ申しましたのですが、併しそ給与考えるときには、もうそれは人事官の専門のところで、職務の難易と、その責任の差によつて給与というものは支給される。教育界においては、どの学年を受持つておろうが、その難易なり或いは責任の度合というものは差はない。ところが官庁だつた局長責任の度合と、それから雇傭人、或いはそれに近い人のそれとは大いに差があるわけです。そこらあたりにも私はやはり教職員給与一般公務員との特殊性というものは当然考慮されて然るべきである。今までは或る程度は考慮されて来たと思うのですが、そういう点も人事官は十分御承知でしようが、しつかりこれは頭に入れておいて頂いて、そうして擁護機関としての御使命をお果し下さいますように私は切望しまして、私の質問を終ります。
  42. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほどの荒木君並びに矢嶋君の質問の中で、今度のベース・アツプの問題、この中で再勧告の必要が出て来るのではないかという話に関連してでありますが、人事官の御答弁では、大体まあ米価並びに国鉄運賃、それから燃料というものの値上げが民間生活実態に反映する、それでその反映を見たあとでそれを織込んで考えるというような御答弁だつたと思うのであります。そこで今人事院でとられておる理論生計費民間給与との睨み合せの二本建によつて勧告の案を決定する、こういうような方針をとられておることが今話されたのでありますが、そうしますとこの民間給与との睨み合せというのはどのくらいにこれは重要に考えておりますか。それと私は関連して聞きたいのは、今までこれをどの程度参考にされたか、随分、今までの勧告の中には民間給与との間に相当開きがあつたと思うのでありますが、そういう開きは本当になくするように努力しておつたかどうか。こういう点が非常にあいまいであります。この点はどうですか。
  43. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 民間給与は全般的に全産業を通じたようなものを種種発表されておりますから、それも無論考えますが、我々の最も注意しておりますところは、民間の中で公務員と同じような業務に従事しておる会社を選びまして、そうしてそれの実態調査をしておるのでございます。そうしてどういう上り工合、下のほうからのだんだん上り工合はどうか、又全体の平均はどうかということを詳しく調べまして、それに合わすようにしております。それですからこの米価その他の問題は、これは生活ができるかできないかという問題であります。それも考える、併しそれは最低賃金として考えまして、民間給与のほうが最低賃金より上廻つておれば、当然上廻つたほうに行き、最低賃金よりも下廻らないという保障に使うだけでございます。それですから民間給与に全く一致するという……、少し下かも知れません。それは何故かというと、公務員等の関係はいろいろな点が違いがありますから、ということは、恩給その他、いろいろなことを考えに入れまして、殆んど同じところへ持つて行こうというのが目標でございます。
  44. 岩間正男

    ○岩間正男君 それはどういうのですか、実際公務員と似たような民間給与の見当ということは、具体的にはどういうことになりますか。どういうのを調べるのですか。
  45. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 今ちよつとその調べを持つておりませんが、御必要であればあとから提出いたします。
  46. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう一点、どうもあいまいで御答弁が明確にされないので御質問するのですが、今どういう民間給与に、物価の今度値上げのはね返りを見て、それによつて考えるというのですか。それとも事前に今度の勧告案の中にそういうものを予想して、そうして織込んで考えるというのですか。この点が先ほどからどうも不明瞭なんです。
  47. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 予想は許さんということを初めからの建前に私どもしております。決して予想は許さないで、現実の事実を見つけて、それによるのですから、どうもこういうインフレのときには遅れがちになつて来るのであります。デフレになれば或いはこつちのほうが、遅れたほうが得かも知れませんけれども、とにかく今のところ、少くとも事実によつて、それですからこれがお米ならお米が上るために、民間給与にどうはね返つたということで又される、それはどういうことかと申しますと、公務員法には現在の給与の五%以上の変化ということを認めた場合にはこれを勧告しなければならんということになつておるのでありますから、その法律従つておるわけであります。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 そこが、最後お話なつたところが非常にこれは重要な問題で、前国会から問題になつておると思います。そして又山下人事官から、過日人事院の存在理由について、必要性について私たちパンフレツトを頂いたのであります。必要性があるかどうかということを我々十分検討しなくちやならん段階に来ておる。それで大体この前の国会におきまして、非常に問題になつたのはやはり五%、すでに朝鮮事変の、この前の値上げ以後五%は愚か、五%の何倍かの値上げがもうすでに実際出ておる。これはまあ東京都の卸売物価指数なんか見ましてもはつきり出ておるわけです。今年の大体三月頃で五〇%から六〇%の値上げ、そういうことがあつて国会でも要求されたのでありますが、これが出されなかつた。そうしていて今度はいよいよ何だか政府のほうに先鞭付けられて、人事院勧告するというような形がここに出て来ると思うのでありますが、而もその勧告そのものがどういうことになるかというと、今問題になつていて当然我々の生活を脅かすであろう電力料金初め米価、国鉄運賃、こういうものの値上げが起つて来る、そういうことなのでありますが、こういうことが絶えず起つて来る。殊にまあインフレ要素を孕んでおる時代にはこういう事態が非常に起つて来る、こういうものに対する何とかこれを補正するような方決というのは、これは必要ないのですか。実際どうなんですか。実際この適用を受けておるのは生きておる公務員なんです。そうしていつでもこれが勧告が遅れて来る。その給与のズレというものは非常に生活に響く、これがいろいろ社会不安の原因になつておるということは免がれがたい事実なんです。これに対して人事院としてはこういう問題をどういうふうに考えておるか。この問題は、非常に人事院が必要である。どうも我々は今まで絶えず盲腸だと言つて来たのでありますが、この盲腸がだんだん内部腐敗を起しそうな段階に、こういうものは切らなければならない段階になつて来ておるかも知れない、こういうことは非常に関連があるのですが、これはどういうようなお考えを持つておりますか、山下人事官の御意見を聞きますことは非常に今問題になつておるところのベース引上げの問題と、当然必要なる人事院の運命と関連して重要な問題だと思います。この点はつきりお伺いしたいと思います。
  49. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 今五%くらい上げなくちやならんと思うときに、世の中の情勢に関係なしにどんどんと勧告だけしておるということだと誠に楽だと思います。いつでもこれはやれることだと思います。ただ勧告した以上はそれが何とかして実施されるように努めなくちやならん、それだから国会が開かれるとき、そしてそれに又必ず補正予算が出るということがはつきりしたら、その補正予算に組込んでもらうようにこちらがタイミングをして、そして勧告をするということが当然だろうと思います。なぜかというと、丁度それに組込んでもらうに適当な資料、それにもつと新らしい資料を織込んで申上げるわけでございます。それだから私どもは決してそういうものを怠つてつたわけでもないし、又将来勧告をするということは、補正予算がでぎそうだと思つたら必ず勧告をして行きます。ただ人事院の価値論になりますと、これは御承知のように公務員がストライキをして政府に反対をするということはできないのでありますから、それで何か中に入つて、そうして公務員も満足する、それから又納税者も満足するものをきめなければならん、それが人事院立場だと私は思つておる。そういうものは新憲法下には必ず要るものであります。陛下からお金を出してもらつて、はいと言つて受取る時代と違うのだから、新らしい憲法実施するには必要欠くべからざるものだという自信の下にあるのですから、それを皆さんが認めるか、認めないかどうか、それはその人の御勝手と思います。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ人事院の価値論はここでやる気持はないのであります。今の現実した問題と関連してこそお伺いしておるのですが、大体我々国家公務員法の第一回の提案されたときから審議しておるのでありますが、大体人事院というのはもつと政府から独立した機関である、これは国会でもそういう牲格が非常に問題になつた点なのです。そういう点から見ますと、無論現実的な考慮、政治的な考慮というものも全然なくてもいいということはないのですけれども、大体五%も物価の変動があつたときにやるということなどというものは本当に現実的に守られていない、そしていつも遅い、そうして私は国会あたりの要求があつて、しばしはこれは山下人事官なんかも煩わして壇上に立つて頂いたことだと思うのです、併しそれがいつも遅れてズレがあるのです。そのズレについて、人事院がそのまま存在するか、その個性について考えなければならない段階ではないかと思うのです。こういうふうに思うのですが、その段階についてどう思うか。この点は御説明ないですなあ、この点は改めて御意見を漏らして頂きたい。
  51. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 結局調査した基準の月と、それからそれが実施せられるまでの間の赤字をどうするかということの御質問だと思いますが、私どもも理論的に申しますと、それたけの赤字は遡及すべきものだというふうに思います。併しそこへ来ますと今度は国の財政がどうか、予算面とどうかというところへぶつかるのでありますから、これは何とも申上げかねるのです。遡及すべしと言つて、それを必ず遡及しなくちやならんと言えばこれはフアツシヨでありますから、そういうフアツシヨの行き方はしたくない、それは国会でよくお取上げになつて御審議願つて、そうしてこれは遡及すべきものだ、予算上うまく行くということならそういうふうにせられることが私は結構だと思います。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうも人事院の独自性というものは現在で非常に失われて、あれは政府機関の幇間的存在じやないか、このことが人事院の存在価値を問題にしておる原因だということを山下人事官がもう少し肚をきめてお考えになる必要がある、こういうことを今の御説明で感じたのです。併しこの問題は残しますが、先ほどの教員別表の問題ですが、これにつきまして、大体別表を作らなくちやならないということになつた。こういうことになつたというのは、これは今までの歴史的過程というものを人事官十分に御認識頂けておると思うのです。これはどうでしようか。別表を特に作るということは教員の待遇が現実的にはやはりほかの公務員なんかよりも劣つて、何と言いますか、個人と、もう一つ教員そのものの職能から来る面としまして研究費しか、それから自分の絶えず向上のためにそういう予算が必要である、或いは特に文人の師表として立つのであるから体面を維持する必要があるのだ、こういうような観点からこれに対しまして特別、教員を待遇するという観点において別表を作成すべきであると、こういうことが私は研究されておると思うのであります。もう一つ、これははつきり千九百四十八年だつたと思うのでありますが、必ずこれはこの給与の問題で闘争が起きたり、中労委もこれに対する裁定の中に末弘会長からはつきりそのときやれ、こういうような教員については特別その待遇の点についてこれは考慮すべきである。大体私が以上挙げましたような理由が理由になつておると思うのでありますが、そういう点からはつきりこれは伝えられていた、そういう精神の延長として別表というものがはつきり浮び上つておるのだということを、これは人事官は御認識でありますかどうか、はつきり伺いたいと思います。
  53. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 別表の問題につきましては、これは私どもあれは優遇の別表とは思つておらんのであります。できるだけ普通の表の中に入れるということにして、それが優遇は別の問題でございます。その表は表であり、又優遇はいろいろな点で、例えば先刻申しましたように、初任給をどうするかとか、それから昇給期間をどうするか、それから級別定数をどうするかというようなことが優遇する途でありまして、別表それ自身は、あれは尺度であります。差しと同じことであつて、何でも差す。要するにこのものを優遇するかどうかというようなことは差しによつちやきまらないのでありますから、これはほんの技術的な問題だ。優遇をすると言われるならそれは優遇するのが当然ですし、今は不満も相当来ているが、優遇するのは誠に結構だと私は思う。優遇するために別表を作れということは、あれは今まであつたのがはまるうまいものがなかつたから、止むを得ずあれはやつただけの話で、あれがなくなつたから優遇をやめるということは毛頭ないのです。そんなことは全く別問題です。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 別表なんというのは、そういう精神でなければ作る必要はないのじやないのですか。併しそれを特に作らなくちやならないという現実的な理由は、或いは要請は、それは今言つたように教員の待遇については特段にこれは考慮する必要がある、こういうような中労委の裁定によつてその精神が活かされて、いろいろなその後の動きがあつたものだと私は解釈しておるのでありますが、こういう精神についてこれは人事院は継承しておるかどうか。こういう問題についてお伺いしておるのですが、表の問題とは分離してほぼ純粋理論的なお話になつたのでありますが、そういうことは抜きにしましても、教員のそういう優遇についてそういう精神というものは継承されているかどうか、この点を伺いたい。
  55. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 先刻申しましたように、教育職員級別資格基準表というのを御覧になつても、今申上げたような優遇ができている。別表はできてなくても優遇はできております。併し今度給与準則を作りますときには、教員別表でしなくちやならんかどうかということは別に考慮いたします。併し優遇如何の問題になるとこれは又別でございまして、当然優遇すべき問題だと私は思つております。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 別表の問題について天野文部大臣と話合つたことがあるかないか。大臣に意向をお聞きになつたことがあるかないか。その点承わつておきたいと思います。
  57. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 私直接会つたことはありません。併し伝え聞いているんですが、併しそれはどうも別表というものは優遇だと、こう思つておられるところがたくさんあるのであります。それはそうじやないのです。これを是正しなくちやならん。優遇の途は別にあるということをお考え下されば全部解決するのであります。併し別表を作らんとは申しませんよ。別表としても作らなければならなくなるかも知れません。ほかのものと形態が違うと、それは優遇如何の問題とは違いますということを申上げているのです。
  58. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の問題に関連ないというような形式的にお話になつていると、それがないというふうにも解釈がつくのでありますが、現実的にはそうでない面があると思います。それは細かにここで申上げません。何でしたら資料を我々はお互いに検討し合つて、この点について問題点にしたいと思うのであります。併し今のお話だとこれはやはり今までの精神は継承された上に立つ、こういう意味で、例えば別表が今度のこの給与準則の中で必要かどうか、優遇問題はまだ決定されていない、仮に作るとすればそういう精神を活かすような方向にこれは使われる。荒木君からの要請もあつたわけでありますが、当然そうだと我々は解釈しているのであります。こういうような面で先ほどから両君からも話があつたのですが、教員生活認識、優遇というものは、現状で優遇されたとすでに山下人事官はお考えのようでありますが、これは随分実態把握という面において、成るほど表の上とかそういう面では一応形式的なものの上ではされているように見えますけれども、もつと実態把握を人事院をして煩わしたいと思う。例えば日本の大学教授の俸給がフランスの大学教授の十二分の一である。それからイタリアやドイツに比べてもこれは八分の一とか、六分の一であるというような、こういう生活、その実態がどうなつているかという、こういう問題、これは大学教授だけではありません。大学教授においてそうでありますから、これは小、中学校においてはましておいておやであります。こういう実態が出ている。こういう実態を把握しなければならん。それから先ほど局長とか、大学教授の資格がありましたけれども、これは現実的にお考えになつてもおわかりたと思います。それだけに、官庁の局長の場合は自分で一室を持つています。そしてちやんと秘書も持つている。自動車も持つている。それから何人かのそれに直属する何もあります。いろいろ我々は細かく中までよく知らないのでありますが、それに対する機密に使えるような費用なんかもあるのじやないか。こういう点から考えますと、更に教員がこれに比べてどうですか。大学の一体総長でも自動車の実にあるのはぼろぼろでこういうものに乗つてつているのが現状であります。まして教授諸君のごときはこういうところに来ていない。それから超過勤務手当のような問題でありますが、こういうような超過勤務手当のごときは、これは殆んど教員はまだこれに対してはつきり予算措置がとられていないという問題があります。現実に給与の問題について我々が証拠を挙げることかできる。こういう実態を全部押えて、そうして要するに問題は表というようなものを出して、この表によつて実態を逆にごまかすような、まあそういう意図はないでしようか、現実はそうなつておる。そういう形でむしろ現実を糊塗するためのベールとして使われておるというところに、やはり私たちはどうも人事院の先ほどからの疑問というものが頭にこびりついておる。こういう点をもつと実態を押えて、そういう点を解決するという点がやはり人事院の当然の機能じやないか。公務員のような、そういうような一つの味方として、争議権を奪われた、反対給付としての人事院の本当の機能を果すというところはそういうところにあるのじやないか。こういうふうに思うのですが、その教員生活が何か優遇が現実にされておる、どのように現われておるか、細かく先ほど例を挙げられたのですが、これに対しては今申上げましたように、やはり一部でありますけれども、私の反証もまだたくさん挙げることもできる。こういう点について十分御検討を頂いたか、どうですか。今後の大勢として承わりたいのが一つと、それから別表というものが仮に作成されるとすれば、飽くまでも最初中労委から継承された精神でなさるべきであるということが一つ、更に先ほどの学校種別の差によつてこの別表を作るのじやないかというようなことも我々は聞いておるのでありますが、こういうような問題については、文部当局の意見を今まで徴したことがあるか。はつきり責任者の意見を徴して文部当局のごときはどう考えておるか。人事院の独断ではきまらないと思うのでありますが、これに対して文部省としてはどう考えておるか。こういう点についても意見をはつきり徴されたことがあるかどうか。それからないとすれば、これに対して徴する用意があるかどうか。こういうような点について一応伺つておきたいと思います。
  59. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 文部当局と交渉したことがあるかとおつしやると、しよつちゆう交渉しておるのです、始終……。そればかりでなく、人事主任官会議というものがありまして。……
  60. 岩間正男

    ○岩間正男君 特に学校差によつて差別をつけるかどうかという問題です。例えば高等学校と小、中学校差別をつけるかどうかという問題について、その問題で文部省側の意見を徴された事実がありますかどうか。
  61. 山下輿家

    説明員山下輿家君) それは事務当局としては始終あると思います。それから又人事主任官会議というのが毎週ありまして、それにも又非常にたくさんな委員会があります。もう給与の問題でもその他いろいろな待遇の問題についても密接な関係をとつてつておるのでございます。決して独断ではやりません。何の細則が出ましても、人事院規則が出ましても必ずそれをそういう会議を通して出しておるのであります。我々は独断では決していたしておりません。
  62. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、当然文部省側の意見というものはおわかりになつておるわけですか。これはどうお掴みになつておりますか。今まで連絡を緊密にやつておられるのでありますから、それは当然お掴みになつておると思います。
  63. 山下輿家

    説明員山下輿家君) それですから今の高等学校を入れるとか入れないとかいう問題では、まだ私どもの議に付されておらないのでございますから、これから先考えるけれども資料としてはもらつておきたいと思うのです。
  64. 岩間正男

    ○岩間正男君 当然お聞きになるという御意見でございますね。そういう点はそういうことになりますね。それと教員の基本的なあれですが、人事院として教員の実態をもうすで心研究されたかどうか。この点如何ですか。
  65. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 教員の実態と申しますよりも恐らく……。
  66. 岩間正男

    ○岩間正男君 生活実態……。
  67. 山下輿家

    説明員山下輿家君) 今おつしやつた局長その他の実態を調べるほうが本当かと私は思うのであります。
  68. 木村守江

    ○木村守江君 教職員給与に関する別表についていろいろ御説明があつたようですが、人事官の御説明は、実際この給与別表のできたときの精神と、それによつて受けた実態とはちよつと違うのじやないかと思うのです。実際別表によつてその教職員給与が上つたという事実は、これは否定できないのじやないかというように考えるのでありますが、その後になつて別表がなくなつて人事院規則ができました、教職員級別推定表ができたからそれでいいのだというお話でありますが、その別表によつて優遇をされるということでなく、優遇の方法は初任給の引上げとかその他のいろいろな方法でいいのだということでありますが、することだけで、教職員給与というものが今後別表のようなものを作つて優遇しなくてもいいと考えていらつしやるのでしようか、御意見を伺いたいのであります。
  69. 山下輿家

    説明員山下輿家君) どうも別表というものの本体が私ども考えておるのと、お受取りになつておるのとが違うだろうと思います。それでなかなか、私が変なことをごまかしておるように思われるだろうと思いますが、私どもはあの表というものは本当の尺度だと思つておるのです。それは給与の何号俸によつての上り工合を指し示したものがあれで、それを今度はどのものに当てがうときの当てがい方によるのだと思う。当てがうときには今の例えば課長のところはこうだとかという当てがい方もありましようし、課長でなくても年限によつてここまで行くという行き方もありましよう。それから又初任給のここからスタートするということもありましようし、それから一級ずつ上つて行く時期の問題もありましようし、いろいそそういうものが別表でなくてそれに付随した行き方で優遇も何も皆できると思う。その点はもう少し詳しく申しますとおわかりになるだろうと思います。
  70. 木村守江

    ○木村守江君 私も人事官が言われるように別表なんというものを作らずに、もつと優遇できる考案があるべきだ。そういう考えであります。別表なんかを作つて、特にそんなものでもつて給与を引上げて待遇をよくしてやらなければならんというのは変則だというような考えを持つておりますが、実際問題として教職員給与というものが別表によつて引上げられておつたという事実は否定することができないと思うのです。それでこれは人事官はその問題に全然タツチしておりませんし、又それによつて実際給与を行なつたことはないのであります。これから別表を作るという問題でありまして、その人事官が言われておるのはこれから作る別表というものが今までのような別表ではないだろうと思うのであります。併し今までの別表というものは本当の尺度であつた、尺度であつて、当てがえられて、当てがい方によつてきまつたというのですが、別表がないと尺度もないし、当てがい方もないのです。いつになつても上らないのは、この別表があつたために上ることができたので、その尺度も、当てかい方もないのだからそのままずつと引張つて行くというのが、別表なんという変則的なものができざるを得なかつた状態からできたのじやないかということは否定でき得ないものであると思うのです。それで人事官が先ほどから別表はそういうものであつてはいけないというお話はよくわかります。そうしてその別表に替えるべきような教職員の級別推定表というものを人事院細則にきめてあつて、これによつて補正できるのだというようなことがありますので、私はそれを了承いたしておきます。但し別表を作る場合に向い側の皆様がたは非常に学校種別によつて別表を作ることに反対だと言われますが、私は学校種別によつて別表を作ることに賛成いたします。やはりそうせざるを得ない状態になつて行くのじやないかと考えておりまして、その点は若しも作るような場合には私は賛成いたしておきます。(「さつき要らないと言つてつたじやないか」と呼ぶ者あり)
  71. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) 山下人事官に対する質疑はこれで終了いたします。  昨日要求いたしました文部大臣以外は、文部政府委員は全部見えておりまするので、文部大臣の質疑は明日にいたして、あとの政府委員は監理局長、初等中等教育局長、初等中等局の庶務課長、会計課長がお見えになつておりますが、政府委員に対する質疑を始めようと思いますが、予算の問題などで十分に御意見をお互いに打合つて話合いたいと思いますから、懇談の形式に移したいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 堀越儀郎

    ○委員長(堀越儀郎君) それじや、これより懇談に移りたいと思います。それではこれを以て委員会を閉じます。    午後零時四十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     堀越 儀郎君    理事            加納 金助君            木内キヤウ君    委員            川村 松助君            木村 守江君            荒木正三郎君            高田なほ子君            山本 勇造君            櫻内 辰郎君            矢嶋 三義君            岩間 正男君   事務局側    常任委員会専門    員       石丸 敬次君   説明員    人事院人事官  山下 輿家君