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1951-05-25 第10回国会 参議院 農林委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)    午後二時五十一分開会   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○農林政策に関する調査の件  (調査報出書に関する件) ○継続調査承認要求の件 ○森林法案衆議院提出) ○森林法施行法案衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これより農林委員会開会いたします。  最初にお諮りいたしたいことがございます。昨日地方行政委員会より畜犬競技法案について連合委員会を開くことの申出がありました。この件につきまして本日理事会におきまして協議いたしたのでありますが、大体この申出を受けることに意見の一致を見たわけでありますので、本委員会といたしまして地方行政委員会畜犬競技法案について連合委員会を開くことを決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 昨年十二月議長承認を得まして行なつて参りました農林政策に関する調査についてでありますが、本件につきましては未だ調査を終了しておらないのでありますが、報告書を提出しなければならないことになつておりますので一応未了報告書を提出することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議ないと認めます。つきましてはその手続等委員長に御一任をお願いいたしたいと存じます。なお本報告書には多数意見者署名を必要としますので御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     三浦 辰雄  飯島連次郎     江田 三郎  平沼彌太郎     宮本 邦彦  瀧井治三郎     三橋八次郎  西山 龜七     門田 定藏  加賀  操     三好  始  岡村文四郎     白波瀬米吉 池田宇右衞門     片柳 眞吉  小林 孝平   ―――――――――――――
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 次に本調査は各委員も御承知ように諸般の情勢からますます重要性を増して参りましたので、閉会中も引続いて調査を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議がないようでありますからさよう決定いたします。なお閉会中の継続調査につきましては本院規則第五十三條によりまして要求書を提出しなければなりませんので、お手許に配付いたしてありますような内容で議長に提出いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御異議ないと認めます。さように取計らうことにいたします。   ―――――――――――――
  9. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 引続きまして森林法案並びに同施行法案を一括して議題として質疑に入りたいと存じます。ちよつと速記をとめて下さい。    午後二時五十五分速記中止    ―――――・―――――    午後三時四分速記開始
  10. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて下さい。
  11. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 国際価格が非常に高い関係はなかなか輸入は困難と思いますが、ただ今後通商協定等関係で或いは南方地域なり或いはアメリカ大陸等とバーターで入つて来るという話が進んでおるかどうか。これは外務省の所管かも知れませんが、若しわかつておりましたら伺いたいと思います。
  12. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今のところ私どもにわかつておるものはございません。
  13. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 もう一つ台湾ひのき材等について何か具体的の話をしたことがありますか。
  14. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 関係方面日本から丸太で出しますことを極力抑制しております。軍用以外は入れないということになつておつたのでありますが、若し向うから材を入れるということならば、同じ材石台湾ひのきを入れまして、こちらのひばを出すというようなことを認めるというようなことが当初の方針でございましたけれども、最近はそれもいけないということで禁止をされておりますよう状態でございます。
  15. 羽生三七

    委員長羽生三七君) その前にちよつと申上げておきます。総括的の質問を今少し継続して頂きまして、それから後各車別に入つて問題を順次整理して参りたいと思います。御了承を願います。
  16. 小林孝平

    小林孝平君 私は昨日の質問に関連いたしまして、昨日民有林伐採調整方針国有林伐採計画とどういうふうに調整するかという御質問をいたしましたのに対しまして、国有林は一〇%増伐するという答えがあつたのでありますけれども、この一〇%というのは何万石であつて、何年間にやつて、而もこの一〇%程度で大体バランスがとれるかどうかということをお尋ねしたい。    〔委員長退席理事西山龜七君委員長に着く〕
  17. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 国有林成長量は四千六百十万石と推算されておるのであります。尤もその中には制限林に属しまする分が少しございますので、その分は成長量だけと考えております。それで普通林のみについて考えますと、普通林成長量は三千四百七十万石でございまして、これの一割増産をいたしまして、制限林成長量と合せまして、四千七百八十七万石を伐採いたす計画なつております。
  18. 小林孝平

    小林孝平君 何年間でですか。
  19. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) そのことを申上げるのを失念いたしましたが、今後引続き連年この伐採を続けて参る計画でございます。
  20. 小林孝平

    小林孝平君 先ほどお尋ねいたしたのですけれども大体それでバランスがとれるとお考えなつておるのかどうかということをお尋ねしておきます。
  21. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 先ほどお答え申上げておつたのでありますが、自立経済に必要な材石は二億四百九十六万石でありまして、只今国有林伐採をいたします四千七百八十七万石を入れまして、私ども計画いたしております伐採量は一億九千八百三十万石でありまして、大体三千石の二%不足になります。これは用材から丸太を作ります際に末木枝條が二千六百万石ほど出て参ります。それを薪炭林に振向けまして、薪炭林に予定されております分から用材に引上げることによりましてこの三%に当りまする約六百石というものは確保し得るというふうに考えておるのでありまして、でき得るだけ成長量だけの伐採に抑えて参りたいのでありまするが、このためには造林に現在百四十二万石町歩に及びまする未立木地がございまするし、先ほどお話のありました奥地未利用林の開発或いは又木材利用合理化、それから現在民有林生長量は一町歩当り八・三石でございますが、それを実験の結果によりますると二倍半や三倍にすることは毒してそうひどい実現しがたいことでもないようでありまするので、それらによりましてできるだけ成長量伐採量という需給バランスをとつて参りたいと考えておるのであります。
  22. 小林孝平

    小林孝平君 もう一つ昨日の質問に関連いたしまして農林漁業特別会計からの融資の問題につきまして、武田課長は最近の幼齢林伐採面積が……、その前にですね、一年間二万戸を対象にしましておるとこういうふうにお答えになつたのでありまするけれども、二万戸といたしますると五年間にいたしましても十万戸しかならんと、ところが野原議員の御説明ではこの零細なる森林所有者四百万を取上げて考えるというお話があつたのでありまするけれども、この四百万戸と十万戸の関係はどういうことになつているのかお尋ねいたしたいと思います。
  23. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 四百万戸と申上げましたのは森林所有者、かなり大きな所有者まで含めまして五百万戸あるのでありますが、その中で大体山を売つて金融をつけたいというような、いわゆる零細な森林所有者を四百万戸と推定しておるのであります。その人たちの中から現実に金を借りたい人たちが出て参ると思います。従いまして武田課長の申上げましたのは今までの森林立木知払つた実例等から推しまして申上げた数字かと思います。ただその全部を満足さすわけには参りませんけれども、一応この途が開かれてそれらの人たちに対して成るべく多く金融の途を均霑させたいという考え方であります。
  24. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 野原代議士から今お答えがございましたが、数字的な関連において申上げますと四百万戸と申しますのは全部が大体二十町歩程度以下の森林所有者の戸数でございます。私が申上げましたのはそのうちで現実にこの貸出の対象になるものが二万戸乃至それ以上に上るのではないかというように申上げたわけでありまして、全部の現在幼齢林伐採しております零細な森林所有者につきまして全部その伐採が停止されてしまうということではないのでありまして、相当部分方々伐採許可によりましてその立木伐採し得る、そのうちの一部の方々伐採制限を受けると、こういうような勘定になりますので四百万戸の方全部が伐採制限を受けると、そうして金融をつけなければどうにも仕方がないという形に陷るわけではないのであります。
  25. 小林孝平

    小林孝平君 それから新たな質問をいたしますが、もう一つ昨日のパルプの問題に関連いたしまして最近パルプ工場が山の買収に積極的にとりかかつておるのであります。そうしてこれは買収してそのあと伐採いたしまして植林すると言つておるのでありまするけれども、なかなかその植林が実際上うまく行かないという実情にあるのではないかと思うのでありまして、この点どうしても私は政府行政的措置の必要があるのではないか、何か行政的な措置を講じて、この徒らにパルプ原料に乱伐されるというようなことを防ぐというようなことをお考えなつておるかどうかということをお尋ねしてみたいと思うのであります。
  26. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) パルプ会社が相当山を買付けておりまするということは私どもも存じておるのでありますが、相当パルプ会社は従来から山を持って造林をしておる実績もあります。自分工場の所要の資材をみずから確保しようという努力を相当払つておられるようでありまして、必ずしもお話よう自分の山を切り放つしでそのまま放つておるというようなことではないように、私ども今まで承知いたしておるのでありますが、若しお話よう伐採をしてそのまま放つておるよう事態がありますれば、今度の森林法による実施について造林計画によつて造林をさせるようにいたすつもりであります。  なあどうしても造林の必要な所に造林をしないというよう事態が起りますれば、これは何もパルプ会社に限つたことではないのでありますけれども、さよう事態が起りますればこの法律でもきめてございますよう行政代執行造林をいたしますとか、或いは昨年御審議を頂いて成立しました造林臨時措置法という法律がありますがこれによりまして造林地として指定をしまして、若し本人が造林をいたさない場合には第三者に造林をさせるというような途まで講じておるのでありまして、さようなことによりまして造林の必要がある所は極力造林を進めて参るようにいたしたいと考えております。
  27. 小林孝平

    小林孝平君 本日通産省当局から見えられておりますので昨日御質問いたしました点に関連して通産省所見を承りたいと思います。  それはパルプ工場新設が無計画に最近行われておる現状でありまして、治山対策の上から我々は見逃すことができないこういうふうに考えておるのであります。特に中国四国方面の禿山の地帶においてこれが顯著なのでありますけれどもパルプ工場新設制限林野行政の立場からどう考えておるかという点を質しましたのに対して、農林省当局からこれは或る程度必要があると、こういうふうに御答弁なつてこれは通産省所管でありまして、なかなか通産省におきましてもいろいろ干渉いたしておりますけれども、うまく行かないとこういう御答弁があつたのでありますけれども、私はパルプ工業重要性を我々は強く認識する上から考えて、只今ようパルプ原料として山林が乱伐されるということは却つて将来のパルプ工業のためにならんという見地から、特に通産省のこの問題に対する御所見を承りたいと思うのですが。
  28. 小野儀七郎

    政府委員小野儀七郎君) 通産省雑貨局長でございます。このたび森林法改正に相成り、伐採並びに造植林計画的な処置がとられることになるにつきまして、需要方面を担当いたします者といたしまして非常に敬意を表する次第であります。最近御承知よう木材利用関係でございますができるだけ経済的に効率のいいものにして行くという意味合におきまして、パルプ事業等の増強は経済安定本部等自立経済等にもその拡充が取上げられておるわけでございまして、只今計画進行中のものはおおむね自立経済の三カ年計画でありますがそのラインに乗つて進められておるのでございます。従いまして一部新らしい工場が名古屋に一つ、九州に一つその他ここ一両年建設に時期を要します工場中国関係に三カ所あるわけでございまして、御質問にもありましたよう中国関係に多少かたよつておるのでございますが、只今のところ先ほども申しましたように大体今後両三年の原木需要等安定本部と打合せております数字に則つておるわけでありまして、これを制限的に考えて行く段階にはございませんのですが、ただ今度森林法ができまして原木供給等計画的に行われるということに相成りますれば、それに見合つていろいろ原木調達方面の事柄も調整的に考えなければならんと思われるのですが、現在どういう地域でどういう樹種のものがどの程度供給されるかというようなこともだんだん伺いまして、それに見合つた需給計画を進めて行きたいと、かよう考えております。    〔理事西山龜七君退席委員長着席
  29. 小林孝平

    小林孝平君 順序はあれしますけれども大蔵省のかたがお出でになつておりますので、この機会に私は山林関係の税金につきましては全面的にいろいろ考慮をしなければならんと思いますけれども、特にこの林野相続税実情と麗しく離れておると考えておるものであります。それでこの際軽減措置を講ずる意思はないか、意図はないかどうかということについて林野庁大蔵省の見解をお伺いいたしたいと思います。
  30. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 林野庁といたしましては、森林長期事業でもあり、而も二%くらいに当らない極めて低利事業でありますので、一般のものと分けて特別な税制の下に処理をして頂きたいということを熱望しております。相続税或いは所得税についても同様でございまして、只今質問の点私ども常に熱望しておるところでございます。
  31. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 立木及び立木伐採に対しまする相続税或いは所得税課税につきましては、いろいろむずかしい問題が含まれておるのでございます。御承知ように二十五年の税制改革におきまして、従前は所得税におきましては半額課税をいたしておつたのでありますが、これでは勧告に基きまして再評価を行います上で全額課税を行うという方式をとつたのでございます。ところが立木の場合につきましては税の評価額低めであつたために、それに対する再評価倍率を乗じまして出て来た再評価額というものが他の財産の場合に比べましてかなり低めである。そこでどうしても再評価額を越えて讓渡価格が出て参りまして、讓渡所得がかなり多くなるという実情にあるのであります。これらの点につきましては金額課税方式をどうするかという問題があるわけでございます。又相続税につきましては立木評価というものが非常に困難な問題であるわけであります。現在は立木伐採しました発駅の売買価格を基準といたしまして、そこからコストを引いて立木価格を算定するという方式を取つておるのでございますが、これにも各地におきまして発駅渡の価格が違つておりましてかなりその評価には問題があるわけでございまして、むしろ森林を一体として評価する方法を取るべきではないかというようなことも考えられるわけであります。大蔵省といたしましては、所得税及び相続税の点につきまして種々検討いたしたいと思つておるのでございます。ただどういう方向において検討するかにつきましては、御承知かと思いますが、月下米国内国蔵人庁からホール氏がお見えになつておりまして、森林に対する所得税及び相続税課税につきまして或る種の勧告をなされる予定になつております。恐らく今月末或いは翌月早々その勧告があるのではないかというふうに考えておるのであります。私どもとしましてはその勧告を待ちまして適当な改正方法考えたい、かように思つておる次第でございます。
  32. 小林孝平

    小林孝平君 私は今後保安林はだんだん相当増加すべきものと考えておるのでありまするけれども、この点提案者である野原議員の御所見を承りたいと思います。
  33. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 保安林は現在の治山治水事情等から考えましてなるべく殖やしたいと考えております。
  34. 小林孝平

    小林孝平君 そういたしますと、この法案の第三十五條に、「国は、保安林として指定された森林森林所有者その他権原に基きその森林立木竹又は土地の使用又は収益をする者に対し保安林指定によりそのものが通常受けるべき損失補償しなければならない。」こういう難があるのでありまするけれども、極めて具体的にこの三五條補償がどういうふうになるのか政府当局並びに提案者にお伺いいたしたいと思います。
  35. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 三十五條損失補償の問題でございますが、これにつきまして只今どもの方で一応考えております方針を申上げますと、保安林指定されました森林につきまして従来伐採を自由に、自由と申しますか許可制乃至は届出制度の下に伐採できるという状態にありましたものが、多かれ少かれその伐採制限されますことによつて当面のその保安林につきましての価値が減ずるわけであります。併しながらこの問題につきましては、その保安林なりその林地が安定をするとかいろいろな関係毒塗れることも考えなければなりませんし、又保安林の種類によりましてその制限の態様が非常にいろいろと段階があるわけであります。そこで先ず第一に考えられますとことは、適正伐期齢級以上に達しましてなおその保安林につきまして伐採制限をされておるというような場合におきましては、その成長量がむしろ低下しつつある状態において、その林地伐採制限することに相成りますので、そういう森林につきましてはそれを伐採いたしまして更新をする場合と、どの程度成長量なりその土地利用関係としての差額が出て来るかという関係一種の時差と申しますか、関係を算定いたしまして、これを以て第一の損失補償対象考えて参りたいと、かよう考えております。
  36. 小林孝平

    小林孝平君 具体的に……、非常に抽象的になりますので、程度などは査定の仕方によつてつて来るということで補償が十分にできない慮れがあるのではないか、こういうことを心配しておるのであります。この点そういう慮れがないか、又予算的に十分そういうこれを補償する確信があるのかどうかというような見込につきまして、提案者野原さんに特にお伺いいたしたいと思います。
  37. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 保安林指定につきましての損失補償は、従来の森林法にも補償の規定はあつたのでありますが、いろいろ調査いたしますというと、禁伐保安林についてたしか一件だか二件極く少し該当したことがあつたのであります。併し普通の保安林につきましては補償された事実が今まではなかつたのであります。従つて殆んど従来は空文であつたと思われます。併しこのたびの森林法改正によりましては、そうして従来の考え方でなしにやはり新らしい時代に国土山林現状等からいたしまして、やはり相当実際問題として補償考えなければならんと考えておるような次第でございまして、一応の三十五條條項は載せておきましたがこれが運営或いは予算化等につきましては、今後省令等によりまして十分実情に即するように計つて頂くという考え方で載せた次第であります。
  38. 小林孝平

    小林孝平君 次は先ほど片柳委員からも御質問がありました輸入の点に関連いたしまして、私は輸出の点を御質問をいたしたいと思うのであります。それは私はこの際政府当局から輸出状況を簡単に御説明を願いたいと思うのでありまするけれども、私はこの現在の状況においては木材輸出というのは飢餓輸出であると考えておるのであります。従つてこれを極力制限すべきではないかというふうに考えておるのでありまするけれども、これに対するお考えをお伺い申します。
  39. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 木材輸出状況につきましてはお手許に差上げました資料の十三ページを御覽願いますると、大体において合板が大部分であります。これは先ほど申上げましたラワンを輸入いたしましてそれを合板に加工いたしまして輸出するものが大部分でありまして、合板そのもので出しまするものもありまするし、或いは茶箱ゴム箱ゴムを入れる箱でありますがさようなものになつているのがございます。なお同様に従来殆んど使われませんでしたぶなの第一の利用がこの合板でございます。そのほかに一番私どもとしては只今お話よう飢餓輸出でないかと考えられるような点は、なら及びぶなインチ板であります。ならのインチ板というものは従来からロンドン市場におきまして北海道ならとして相当の市場価を持つているものでありまして、お話よう飢餓輸出のきらいはあるのでありまするけれども、従来からの取引はずつと何十年という長い歴史を持つているものでありまするので、今直ちにこれを取りやめるというようなことはむずかしいかと思うのであります。なおぶなのインチ板は最近に至りましてエジプトに少し出て参つているのでありますが、これもぶなをもちましてパルプをどんどん作るということに相成りますればその方は歴史も新らしいことでありますので取りやめることができるようになるのではないかとかよう考えているのであります。
  40. 小林孝平

    小林孝平君 この輸出部分に関連いたしまして、司令部関係から話がありまして輸出をしている数量というものはどのくらいになつているのかお尋ねいたしたいと思います。
  41. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 司令部から特に木材輸出を命ぜられたというような指令はございません。天然資源局林業部におきましては極力輸出は圧縮すべきであるという御意見で従来御指導頂いているのでありまして、ただ軍用材といたしまして大体年間三百万石ほど使われておりまするが、この用途は如何ようなつておりまするか私どもにはちよつとわかりかねているのであります。
  42. 小林孝平

    小林孝平君 次に森林投資普通年三分五厘の利廻りであるといわれているのでありまして、先ほど長官は更にこれは二分程度と言われたのでありまするからなお低いのでありまするけれども、こういうことでは普通の産業ペースに到底来らない現状だと私は考えます。こんなことでは日本は百年たつて幾らポスター余計作り緑化運動をやりましても駄目である。こういうふうに思つているのでありまして、どうしても民間造林意欲を増進しなければならん、一般投資を吸収する方針を取らなければならんと、こういうふうに考えておりますけれども、具体的にどういう手を考えておやりになつているのか、又今後おやりになろうとしているのかという点をお尋ねいたして置きたいと思います。
  43. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) お話ように、又先ほど申上げましたように、林業というものは長期であり而も低利事業でありまして、一般産業ペースには到底乗つて参らないのであります。そのために政府といたしましては毎年多額の補助金をいたしましてその奬励に努めているようなわけでありまして、又一種精神運強と申しますか、愛国運動と申しますか、日本国土の回復のためにはどうしても造林しなきやならんというよう運動をしばしば展開いたしまして、でき得まするだけ造林が進捗いたすよう努力もいたしているのであります。  なお最近先ほどお話のございましたように各業界、或いは炭鉱等面接木材を消費する大口の需用考方々に対しまして、それぞれ手持の山を持つて頂くように、できるだけ造林投資をして頂きますように勧奬いたしておるものであります。
  44. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今小林さんの質問についてでありますが、私提案者といたしまして特にこの際その問題について一・二觸てみたいと思います。日本林業の在り方は従来治山治水というような点が非常に強調されておりまして、森林の持つ特殊性と申しましようか国家公益のためには大きな役割を果しておるのであります。併しこれが林業として考えてみた場合に飽くまでも経済と結び付いたものでなければならない。従来森林の経営の利廻りが三分五厘であるとか、或いは五分であるとか、さまざまに言われております。とにかく他の産業と比較いたしまして比較にはならないほど利廻りの悪い産業であつたことは事実であります。そのために林業は振わなかつたのでありますが、今後のあるべき林業の姿というものを考えてみますと、やはり林業は非常に着実な産業として十分引合うものである、そこまで林業の立場というものを引上げませんといけないと我々は思います。実はこの森林法等の中にそういつたものを明確に織込みたいということを実は考えたのでありますが、非常にむずかしいことでありましたのでそういう点は具体的には入つておりませんが、この森林法を通じまして、日本のいわゆる林業の振興、民有林の振興というものを強く打出したい。先ほど小林さんからもいろいろと建設的な御質問ようでありましたが、例えば森林課税であるとか、林業の特殊性を十分尊重された、そういつた特殊な事情というものを十分に考慮に入れた税制でなければならないと思います。いろいろな面で十分考えなければならんと思いますが、日本山林面積が国土の三分の二を占めておるという事実からいたしましても、これが産業として非常に活発に振興されたという場合におきましては、現在の低い成長量から少くも二倍若しくは三倍に将来なり得る。そうなりますと、年間の連年成長量というものは、少くも二千五百万町歩山林といたしまして最小限と見ましても五億石程度の生産というものは将来期待されていい。そこまで我々の日本林業というものを高めるための、これが森林法でありたいということを一つの理想と申しましようか、夢を持つものであります。従つてどもは今までの林業というものが経営的には非常に低い地位であつたけれども、今後は林業は十分そろばんのとれる、まじめにやりさえすれば立派な引合いのとれる産業であるという点にまでこの機会にあらゆる問題を集中して行きたいものである。さよう考えておりますので御参考にはならなかつたでしようけれども私の見解を披瀝しておきます。
  45. 江田三郎

    ○江田三郎君 ちよつと大蔵省政府委員の人にお伺いしたいのでありますが、先ほど森林に対するところの相続税、或いは所得税の問題について、これは改正を必要とするということは認められておられるようでありますが、ただどういうふうにせられるかということにつきましては、はつきりしなかつたのでありまして、近くアメリカの何とかいう人が勧告をされるらしいということでありますが、大体我々が考えますところによりますると、もはや講和を前にいたしまして日本の問題は日本考えて行かなければならないというようなときになつておる。そこでこれは、アメリカのほうから勧告があるらしいからというようなことで解決を付けられるというのは非常に腑におちない点があるのです。それで一体大蔵省としてこの課税問題について根本的には今どういうことを考えておられるかということをもう少しはつきりしてもらいたいと思うのであります。特に今回の森林法改正によりまして山というものの価値というものが大きく変つて来るわけでありまして、例えば山を持つておりましたところでこれを自由に伐ることはできないというようなことになると、その経済的な価値というものは相当違つて来るわけであり、勿論その間に融資を受けるというような途がありましたところで、すぐにその融資というものがとても先ほど五億石とか何とか言われましたけれども円滑に行われたことがないと思う。そうなつて来ると、相続するところの山の価値が違つて来る。或いは所得の而てから見てただ山を伐つて売つた、売つてもすぐにその代り植林に使わなければならん、植林というものは一つの強制的なものになつて来る。植林というものは先ほどから問題になつておるように、二%、三・五%というようなそういう金利しか廻らんというようなことになると、植林というものが一つの大きな犠牲になつて来るわけでありまして、そういうときに一体植林費、造林費は必要経費に見込んで行くのかどうか、いろんな問題がこの森林法改正に当つて出て来ると思うのです。そういうときに大蔵省として勿論研究しておられると思うのですが、アメリカの見解でなしに大蔵省の見解を聞かしてもらいたい、それが第一の問題であります。  第二の問題はこの森林法によりまして、森林組合なり、或いは連合会というものが林道その他の施設或いは又防火線その他森林保護に関する施設を行うことができることになるわけでありますが、そういうときの費用というものは国なり地方公共団体からの補助金というものと、それから組合員なり或いは受益君というものからの負担金で賄われるということになるわけでありますが、その一体負担金というものは損失補償を起すことができるのかという問題であります。この林道にいたしましたところで或いは防火線の他の施設にいたしましたところで、これは公共的な性格が非常に強いものでありまして、これをいつまでも資産としてバランス・シートの上に載せておくことは必ずしも妥当ではないと思うのです。そのことについて、法人税法の施行規則第十二條にありますところの電気事業とか、ガス事業とかその他については、かような受益者の負担金というものを経費として、損失として見込むことができるようなつておると私は解釈するのでありますが、この森林法改正に伴いまして、この只今申しました林道なり或いは防火線その他施設に対するところの負担金はどのように扱つてもらえるか、その点をお伺いします。
  46. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) お答えいたします。先ず第一点でございますが、大蔵省でどういうふうに考ええておるかという点につきましてはまだ決定いたしておりませんので申上げかねるのでございます。ただ大体の方向といたしましては、先ほど申上げましたよう所得税の場合におきまして全額課税方式はやめたがいいではないか、それを前の額課税方式に廃すか、或いは額課税をした上で更に現在認めておりますような変動所得としての取扱をするのがいいかと、こういつた点を検討いたして参りたいと思います。  それから相続税につきましては、先ほどお話のございましたように、今度の森林法が若し成立いたしますれば伐採制限を受けることになるのでございます。従いましてこの現在評価方法をとつておりますやりかたでは必ずしも適正な価額というものが出て参らないことになるのであります。併しその場合百にどういう評価方法をとるか、山を全体として眺めて見て幾らになるということでは適正な評価価額というものはなかなか出て参りません。そこでどういう評価方法をとるかということをいろいろ検討いたしておるのであります。勿論アメリカの内国歳入庁から来られておるホール氏の言のことを全面的に聞くというふうに私は申上げたのではないのであります。ホール氏は十五年間森林評価及び森林立木に対する課税の問題に従事しておられますのでそういつた專門家の意見一つの参考にしたい、こういうふうに申上げた次第でございます。  ただあらかじめお断りしておかなければなりませんことは、この森林立木伐採いたしましたときの全額課税方式というのは、シャウプ勧告に基いてでき上つておるのであります。これを変更するということは現在のところ司令部承認を得なければできがたい事情にありますことを御了承になつて頂きたいと思います。  次は植林費を資産に挙げてあるの大ありますが、これを経費として落す意思はないかという御意見でございます。    〔委員長退席、理事片柳眞吉委員長席に着く〕 この森林、或いは立木の場合におきまして植林費をどういうふうに計算するかということは、この立木伐採の所得というものが長年月に亘つて実現したものが伐採によつて一時に現れて来るというところに問題のむずかしさがあるわけでございます。従いまして、これをいろいろ検討いたして参りたいと思つているのでありまするが、只今までのところは植林費を経費として映すことはなかなか困難だろう思つております。ただ伐採いたしまして植林費を要するわけでありますが、その場合の一定額を経費として落すということは或いは可能になるのではないかというふうに思うのでございますが、何分にもどの程度を経費として認めるかどうかということについては、只今のところ確定的に申上げるわけには参りません。  それから林道などにつきましても同様でございます。
  47. 江田三郎

    ○江田三郎君 シャウプ勧告の話が出ましたけれども、シャウプ勧告の一番終りにこの勧告自分は固守するものではなしに自由な討議によつて決定してもらいたいということが掲げてあつたと思うのでありまして、もつとそういうことによつて高い立場から検討していいのじやないかと思います。それはとにかくといたしまして、いずれアメリカからどういう勧告があるかも知れませんが、我々は日本の農業の問題についてはアメリカの勧告で非常に深惑をした面があるわけでありまして、アメリカのような農業、アメリカのよう森林経営をやつている人が、日本の零細農業、森林経営をやつているところに対して必ずしも適切な意見を出すとは限らないのでありますから、そういう人が税制改革をやるとするならば、そのときには日本森林の学識経験者の意見を尊重してその改正をされるかどうかということをお尋ねいたします。  それから第三番目にお尋ねした問題については、ちよつと答えが余り簡単過ぎてわからんでありますが、この森林組合なり連合会なりが新らしい法律が林道なり防火施設その他設備をした場合に、国や地方公共団体から補助金をもらう、同時に受益者から負担金を取るという場合にこれは補助金の問題は当然経費をして、損失として書上することを税務署で認めているようでありますが、問題は地方の負担金の問題なんでありまして、これを先ほど申しましたように法人税法の施行規則の第十二條により、電気事業や、ガス事業、地方鉄道事業についてはそういうものをまあ損失として落すことを認めているように私は解釈しているのでありまして、そうであるならば林道とか防火施設というような非常に公共性の多いものについては、これは当然同じような取扱があつて然るべきじやないかと思うのでありまして、そういうよう改正をなさる御意図はないかということなのであります。
  48. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) 初めに第一点にございましたシャゥプ勧告の一番あとには勿論仰せのように書いてあるのでございますが、あの当時の事情におきましては、ちよつと速記をとめて頂きたいのですが。
  49. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  50. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  51. 泉美之松

    政府委員泉美之松君) それから第二点の林道を敷設いたしました場合に政府補助金を出す、或いは負担金を利用者から取るということになるのでございます。次にこの政府から補助金をもらいました場合には、現在の法人税法及び所得税法の規定に基きまして圧縮記帳をすることになつておりまして、政府補助金は所得として計上しなくてもいいことになつているのでありますが、負担金の部分につきましては私まだどういうふうな形になるのか十分拝見しておらないのでございまするが、電気工事の場合の負担金と同じような事情のもとにあるのでございますれば、同様な取扱いをいたすよう考えて参りたいと思つております。
  52. 江田三郎

    ○江田三郎君 只今申しました点、それから将来の森林関係課税改正の問題については、これはまだ十分に検討して頂きたいと同時に、先ほど私が申しましたように、国内の日本人の関係者の意見を十分に聽収されて決定して頂きたいということを希望として申述べておきます。
  53. 小林孝平

    小林孝平君 全国にはいわゆるぼい山、ぼい山と申しましてもおわかりにならんかも知れませんけれども薪炭林で以て親指程度の太さにしかならないというような極めて貧弱な薪炭林でございますが、これが非常にたくさんあるわけでございまして、特に新潟県のごときは非常にこの面積が多いのでございます。それでこんな細かいものを伐採して使つてつたのでは非常に効率が悪いと、こういうことでありますから特別政府が指導奬励をいたしまして、こういうぼい山を育成して立派な薪炭林にするというようなことをおやりになる意思はないのかどうかということをお尋ねいたしたいのであります。それで私はどうも林政上こういう点が非常に等閑視されているということを痛感いたしているのでございまして、特に政府が今後特別こういう点に努力を払われることを希望すると同時に、その対策がありましたらお伺いしたいのであります。例えばこういう地帶には薪炭が非常に不足いたしているのでございますから特別に他の地方から薪炭を入れまして、そういういわゆるぼい山を伐採しなくてもいいというような手段をとるとか、或いはその他いろいろの方法を講ぜられればこういう山もかなり立派なものになると考えるのでありますので、特にお尋ねいたしたいのであります。
  54. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) ぼい山というようなことは新潟の方面であるようでありますが、親指ぐらいの太さの山がございまして折角成長がよくなりかかるであろうというときに採伐をしてしまうというよう実情は私どもよく存じているのでありまして、案は昭和十三年に私は新潟県当局に対しまして、ぼい山の改善こそ林業上農も重要な事柄であるということを申上げたと記憶いたしておるのであります。最近にも林務課長に対しては急速にぼい山の改善をなすべきであるという意見を申述べまして、幸いにして新潟県では研究所を作りまして、いよいよ研究にとりかかつたようでございます。なぜあのぼい山というようなものがあるかと申しますと、小林委員は御承知かとも思いますが、木を大きくいたしますと雪崩の被害を非常にひどく受けるという迷信があるのであります。これは私迷信であろうと思うのでありますが、この迷信の打破をするためにどうしても試験地というようなものを急速に設定いたしまして、如何に森林の合理的取扱が住民の方々に利益をもたらすかということを現物でお示しをいたしたいと思つておるのでありまして、近く林野庁の幹部も現地に参りまして打合をお願いする運びになつております。  なおその間薪炭の不足はよその地方から持つて参りまして補つてやることなども考える必要があるんじやないかという御意見でございますが、農家の只今実情ではなかなかよそから持つて来た薪炭を買うというような余力がないのではないかと私想像いたしておりますので、その改善に当りましては矮林の斫伐という方法がございます、その小さい林を除伐りいたすことによりまして成長量も相当増加いたしまするし、幸い私どもの方で全国に千百二十名の技術普及員を置いておりますので、それらの人々が活躍いたしますればこの問題は解決し得るのではないかと思つております。特に新潟県では熱心に取上げて研究をいたしておるところであります。
  55. 小林孝平

    小林孝平君 長官の非常に熱心な御指導を受けて新潟県も一生懸命やつておるようでございますけれども、私は一番大事なのはこの地帶に対して融資を行うということは必要じやないかと思うのでありますけれども、この点そういうことをお考えなつておるかどうかお尋ねいたします。
  56. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今の制度ではああいうような若い小さな林に対しまして融資を行いますることは、ちよつと困難でないかと思います。
  57. 小林孝平

    小林孝平君 只今状態では非常に困難だというお話でございまするけれども一つ今後簡単に諦めないで御努力をお願いしたい次第であります。  次に終戦後日本に行われました農地改革は世界にその例を見ないほどの赫々たる効果を上げたのでありますけれども、この農地改革に対しまして、一部頑冥固陋なる、これは憲法の違反であると違憲論を唱えて騒がれた例があるのでありまするけれども、私はこの法律に対しましては、勿論いろいろ御質問いたしておりますけれども、この法律の非常に画期的な、進歩的な内容については全面的に賛成いたしておるのでありますけれども、この農地改革に関連いたしまして、この法案の第七條の伐採制限が個人の財産権の侵犯であるということで、憲法第二十九條に違反しておるということが今後言われやしないか。又現に一部そういうことを言つおる人たちがあるのでありまするけれども、私はこういう頑冥なる人たち意見を何も聞く必要がないのでありまするけれども、この点につきまして特に私は提案者野原議員の御所見を承りたいと思います。
  58. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 森林が常に国家公益の非常に大きな役割を持つておることは勿論森林の特性であります。特に最近のように非常に水害等が年々激しくなつて参りますこの状態を思うときにおきましては、特に森林の持つ社会公益的な立場というものは十分に考えられなければならぬと思うのであります。そのために林業につきましては特別な保護を与えるということは当然であり、又その所得に対しましても十分この点まで考えた税金等も軽減されて然るべきものであるということを考えます。その一面におきましてはやはりこの国家社会の公共の目的のために十分なる役割を果さなければならないのでありまして、山林でありましでも当然過伐乱伐は避けるようにして行こう、行政庁が定めるところの基本計画或いは実施朴直等に基きまして適正なる伐採を行なつて頂きたい、行うようにしなければならぬという規定になつておるのであります。その伐採制限をするのでございますが併しこれは全部についてやるのではないのでありまして、いわゆる適正伐期齢級以上のものに対しましては届出によつて伐れるわけであります。又適正伐期にまだ達しないものでもありましても、いわゆる利用伐期以上のものにつきましては認可制度によつて伐採が許されるのであります。適正伐期齢級まで幼齢樹林を守るということは一面におきましては制限でありますが、これはむしろ大きな目で見るならば山林を所有されておる方たちのために非常に利益になる、つまり林木成長の最短時期まで山林伐採を待たせる、その代りに或る程度金融の途も講ずるというよう法案なんでありまして、必ずしも制限のみを事とするのではないでありまして、大きな親心が盛られておるという点では所有者に対して保護を加えているものであります。ただ山林の経営は五年、十年長い将来にそういう利益がある、今日只今自分自分の山だかと伐りたいのだと、若し伐りたい者に対してはそれはあなたが将来適正な伐期まで待つておればあなたが利益になるから、この際は切らないようにと言つて許可しないことなんでありますが、決してこれは世にいうところの単なる私有財産権を拘束するというふうにだけ解釈することは当らないとさよう考えておるのであります。
  59. 横川信夫

    ○政委員横川信夫君) この森林法におきまする事業計画を取りまとめ法制局とも随分意見を闘わしたのでありますが、全民有林につきまして極端なる使用制限を与えるということは、必ずしも憲法違反であるとは言い切れないけれども憲法違反である疑いが非常に濃厚に出て来るというような御意見があつたものでありますから、適齢伐期以上に到達いたしました森林は単なる届出によつて伐採をすることができるというようなふうにいたしたのでございまして、法制局の專門家の御意見等によりましても現在取りまとめておりまするこの森林法につきましては、違憲の疑いというものは全然ないであろうという見解のようでございます。
  60. 小林孝平

    小林孝平君 只今質問に対しまして私は野原議員から非常に進歩的な力強い御意見を承りまして非常に我々は喜んでおる次第でございますが、次に最後にお尋ねいたしたいのは、只今長官の御説明にもありましたように、この法案伐採制限規定は伐採適齢期に達したならば自由であるというふうにお話にもなり、又法案を読みますとそういうふうになつておりますけれども、そういうふうに解釈してよろしうございましようか。
  61. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 届出によりまして伐採許可して参る、伐採ができるというふうになつております。ただ奥地林などを開発いたしまする際に相当の設備をいたしますので、その山を一年で伐つてしまう、如何に適正伐期齢級以上であつても一年で伐つてしまうというようなことが起りまする場合には、行政指導によりましてでき得るだけ長い間かかつて森林の大きさにもよりますけれども十分その施設を活用するようにという御指導は申上げるつもりであります。
  62. 小林孝平

    小林孝平君 私は、この法案政府が基本計画を立ててそうして総合的に消費の合理化を勘案しながら、需給増大の国民経済的要請を治山対策という国家目的のために犠牲にするというのが、本法案の画期的な意義だと考えておるのであります。ところがこの適齢期に達した立木は届出という極めて実際上は無力な方法で以て他に何ら制限がないということでありますれば、この総合計画と非常に矛盾して来るというふうに考えるのでありまして、この進歩的な非常に画期的な法案のこの一つの大事な点が欠けておることによつて、全面的にこの法律が無力というのはどうかと思いまするけれども、これがこの法案の重大なる盲点だと私は考えておるのでありまするけれども、この点はどういうよう政府当局並びに提案者はお考えなつておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  63. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今お話ように、従来御相談を申上げておる経過の上におきましても、かような制度を設けておることは底拔けではないかというきつい御批判を頂いておるのであります。先ほど申上げましたように、適正伐期齢級以上のものも伐採制限するというようなことになりまするというと、憲法違反の疑いも非常に濃くなるというようなことも言われておりまするし、又この法律が恒久立法でもございまするので技術的にはさよう制限もときには必要であろうと思われるのでありますけれども、恒久的立法においてさような特に憲法の違反の疑いがあるというよう法案を出しますることは如何かと思いまするので、御指摘のような点は誠に底拔けの法案になるわけでありますけれどもように取りまとめをいたしたわけであります。
  64. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 長官の御説明で大体盡きておりまするが、現在の日本山林現状からいたしまして、実は適正伐期齢級以上の山林というのが余り多くないのであります。従いまして、いろいろとこのたびの森法によりまして事業者側等ではいろいろと心配をされておる向きもあるのであります。せめて適正伐期齢級以上のものは届出を以て伐らせたい、又それによりまして当面の木材需要等のアンバランスがどうやら救われるのではないか、勿論将来必ず太いものを伐つてしまいますと所得の問題におきましていろいろと心配される向きもあるのでありますが、それに対しましては極力造林を推進する、或いは林道の開設によつて奥地開発がどんどん進められて行くということになりますれば、そこにおのずから利潤関係も調整されるだろうというようなことも考えまして、その点に関しましても一応適正伐期齢級以上のものに対しましては届出によつてこれを許すという建前にしたわけであります。
  65. 小林孝平

    小林孝平君 今野原議員は適正伐期以上のものは余り多くないと、こういうふうにお答えがあつたのでありまするが、それで私は昨日の最初にこの適正伐期というのは一体どの程度考えておるのか、具体的の例を示して頂きたいというので資料の提出を求めたのでありますが、昨日ちよつとお聞きしましたように、赤松三十一年、から松二十一年とこういうよう程度におきめになれば我々は素人で余りくわしくわかりませんけれどもそう全然ないということは言われないのじやないかと、こういうふうに考えております。この点はお答えを願わなくともよろしうございますが、もう一つ長官はこれは恒久立法であるから考えられない、こういうことでありまするけれども、更に御研究になつて臨時的にも期間を限つてそういうこと行うという点も今後御考慮になつて頂きたいと、こういうふうに考えておるのでありまするから、一つどうかこれは私も希望でありますが、憲法問題と関連いたしまして十分御研究の上更に将来法律改正等の準備をして頂きたいとこういうふうに考えておるのであります。  以上を以て私の総合的な質問を終ります。
  66. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  67. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。それではなお総括的な御質問の続行もあると思いまするが、それは時間がありましたならば更に御質問願うことにいたしまして、又各章別の御審議の際にもこれは当然出て来ると思いますのでこれから各章別に御審議を頂きたいと思います。先ず第一章の総則、第一條から第三條までに入つて御審議を願います。
  68. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この第一章で、こういうふうに森林というものは国有林を含めたことに定義をしておるのでありますが、これは総括的な問題に関連がありますけれども、この国有林関係というものは以下、或いは森林計画、そういうものについてどういう関連においてこれが実施されるお気持を持つておられるか、この点を一つ承りたい。
  69. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 第一章におきまして、特に国有林、民石材を併せて定義をいたしておりまするし、なお基本計画までは国有林民有林を一緒に総合的に運営をして行くという計画を立てております。森林区実施計画につきましては、民有林だけにつきまして計画をいたしまするが、国有林につきましても基本計画に示されまするこの方針に則りまして運営をして行くというふうに規定をいたしておるのであります。
  70. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) 第一章につきましてはその他御質疑でございませんか。なければ本日或いは終らんかも知れませんが、第二章の営林の助長及び監督、第四條から第二十四條に至るまで、これにつきましてどうぞ御質疑がありましたら。
  71. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 どうも衆議院で非常に急いで御審議になつようでありますから、私はこれをやや法律に基いて一つ運用との関連或いは法律自身の解釈の問題を明らかにして置きたいと存じます。  先ず第二章、営林の助長及び監督でありますが、この助長という言葉がこれを読んで見ましてもどうも現われていないと思いますが、それをどういうふうに解釈をされるか、これを一つ
  72. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) お話ように第二章におきましては、営林の助長というよう條項は表面には出ておらないのでありますが、ただ合理的な施業によりまして、森林所有者が相当なる援助を受けるという点で助長ということでありまするが、この法律全体が森林所有者を相当、すべてが制限條項なつておるのでありまするが、これを運用して参りまするに当りましては、常に森林事業を助長するという精神を忘れずに運営をして参るようにという、特に片柳議員の発言もございまして助長という字を入れたわけであります。
  73. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 どうも納得が行きませんが、政府、行政側の心がまえとして助長という字を特に入れたとするならば、そういう意味で伺いたいのでありますが、特に併し考えたいのは、今度の政府案というものは従来のいわゆる森林所有者が作る施業計画を行政官庁系統が認可して行つたということと違つて、その骨格は国上計画的な線からいわゆる政府の責任においてこれを下へ流すということになつている。併しそれの実施の円滑を期するためには所有者の希望又実情等を入れることはもとよりでありまするがともかくそういう構想になつておる。それであるのに施行法等を見ますると、従来の施業案の編成等について国が負担していた額以上を決して出そうということはない、今までの法律の範囲内で以てやるということと同じでございます。これはすでに看板に余りに偽りの多い関係で、これもそういつた法律にはなつていますけれども成るべく早い機会にもつと国の助成を多くするというよう努力をするという答えだろうと思いますけれども、答えだけでなしに実際にこれを実現するようにお願いしたいということと。  それからこれを見ますると、従来の大面積所有者は個人の施業案を組んでいる。ところが前提的に今組んでおる施業案をそのまま踏襲されることは施行法に明らかでございまするが、将来個人の大山持の施業計画についても国の責任において組ませる施業案でありますから当然補助が行くだろうと考えますが、その点をどうお考えでありますか。
  74. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) お話ように地方公共団体に対しまして、施策案編成の二分の一の負担をすべき旨規定しておるのでありまして、この補助率の引上ということにつきましては御承知のごとく再々努力を続けて来ておるのでありまするけれどもはなかなか実現をいたしておりません。従来は只今お話の通りに森林組合が編成をいたしまして都道府県知事の認可を得てということであつたのでありますけれども、それを今回は国及び都道府県の責任において施業案を編成するということになつた。そういうことでありまするので、当然補助率は引上げるべきであるという考えも出るのでありまするけれども、施業案によつて影響を受けまするのは当然都道府県も相当のものがあるのでありまして、一応は従来の通りの国庫負担ということにしておるのであります。お話ようにできるだけ努力をいたしまして補助率の引上ということも実現に努力いたしたいと考えております。大森林所有者等も従来は自分で施業案を編成しておつたのでありまするけれども、これも今回は国において、都道府県の責任において実施をいたしまするので同じく補助の対象となるわけであります。ただ大森林所有者一つ森林区のみに森林を持つておりません、県内或いは他県にまたがつて森林を所有しておる場合もございますが、それは今度の新らしい森林区において一応施業案の仲間入をするというふうにお考えを願いたと思います。
  75. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この第四條の五項によると、「農林大臣は、森林基本計画を定めようとする場合において必要があると認めるときは、あらかじめ中央森林審議会の意見を聞くことができる。」という條項がありますが、別途この中の説明にありますように、森林基本計画地区は四百、それからもう一つ森林区施業計画はその五倍の二千なんぼかになつておるようでありますが、これは相当大きい問題だと思うのであります。そこでこういうものを早速中央森林審議会を開いて先ず意見をお聞きになり、又併せて第十條のところに、「農林大臣は、森林の現況、経済事情等に著しい変更があつたため森林基本計画の実施」云々というふうにございますが、現在は前々から話が出ておりますよう森林資源と需要というものが非常にアンバランスである。このこと自体がいわゆる平常帯の場合でないと思う、その平常でない場合に当つて、こういういわゆる森林の伐探の画期的な或る程度計画を図ろうとするならば、その出発自体がどういう線から出発すべきか、つまり需要と供給の面からどういう程度からこれを出発するかということは、すでに私は問題があると思うのであります。そういつた今日の新らしくしようとする森林基本計画、或いはもう一つその下の森林区施業計画こういうものと、需給関係或いは経済の状況からどういうふうな態度でこれを出るか、基本的な問題でありますが、それを中央森林審議会というものを開いて意見をよく御聽取になつてから出発される用意があるのかどうか、この点。
  76. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 一応急速に中央森林審議会を開催いたしまして基本計画の問題等御審議を願うつもりであります。  なお第十條の只今お話の経済事情に著しい変化のあるというようなことは、原則といたしまして実施中において森林計画の変更を要すべき事項であると考えておるのでありまするが、只今も御意見がございましたように現在の状態成長量伐採量と非常にアンバランス状態なつておりますので、一応その状態を深く認識する意味合におきましても、当然この問題につきましても中央森林審議会の御意見を十分承わろうと思つておまりす。
  77. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 第七條の第四項の四については、前の小林委員からも触れられたことでありまするけれども、要するに適正伐期以上の立木は、森林区施業計画について知事が定める事項の中の伐採量には関係なく行くということになつております。第七條の四項の四号、まあこれはいろいろ事由があつてこういうふうになつたことも了承はできますけれども、施業計画自身からいえばそのいわゆる適正伐期の分についても成長量その他の、いわゆる正規の伐採量見積りはされるのだろうと思うのですが、ところが知事さんがお定めになる、いわゆる施業計画の中の事項にはその数量には言及しない。そうすると見方によると適正伐期以上のものは施業計画対象にならないというふうにもいえるのでありますが、この点はどういうふうになつているか非常に疑問が多い点だと思いますが、御説明を願いたいと思います。
  78. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 先ほど来申上げましたように、この適正伐期以上の伐採はフルであつて、林学の常識から申しますると、施業計画というものとは極くかけ離れたよう状態なつておるのでありますけれども先ほども申上げましたように憲法に反というよう関係もございましてかよう措置を取つたのでありまして、成長量と見合う伐採をして頂くことが最も望しいことでありますので、技術指導によりましてできるだけそういうふうに森、林所有者に協力して頂くように指導をして参りたいと考えておるのであります。法的にはやはり伐るというものを伐らさんという途はないのであります。
  79. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 その次に第八條に参りますと、森林区実施計画については、五カ年のうちの毎年一カ年ごとに出すようなつておりますが、この実際上の運用について折角同じ政府が指導助長しようという森林組合との関係はどういうふうになられるか。私は森林組合というものを特別の組織法にしないでこの法律に入れたということは、せめて実施計画の場合たおいては森林所有者の大部分が恐らく参加するだろう団体との関係において相当円滑なる、そうして或る程度信頼をする態度においてこの運用が期待されると思うのでありますが、その点はどうでありますか。
  80. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) その点に関しましては、森林区実施の運用の面では、森林所有者の団体である森林組合というものの存在なり又意義に対しまして、できるだけ森林組合の意見を聞き、或いは又森林組合を中に入れてそれらの実施計画をさせるようにしたいと最初から考えておつたのでありますが、はつきりと都道府県知事の責任において行うべきものを、森林組合いわゆる加入脱退の自由な組合であるところの森林組合に法的に関連を持たせることができなかつたのであります。運用の面では三浦委員お話のごとく信託組合という機関を十分に活用してやるようにいたしたいと考えております。
  81. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それに関連いたしまして第十六條を御説明頂きたいと思うのであります。第十六條の第一項に二行目でありますが「制限林又は普通林立木(風倒木、枯損木、前條の規定により代採の届出をしなければならない立木その他省令で定める立木を除く。)」私は、その他立木という、殊に省令等でお定めになつて実施計画に入つてつて森林組合関係のものならば一括されるからすでに個々の承認はいらないと、こういうふうな扱いにすることが妥当だと思うのでありますが、その点についての考えは如何でございましようか。
  82. 武田誠三

    説明員武田誠三君) 今の御質問でありますが、第十六條の括弧の中の「その他省令で定める立木」の中には、今お話ような点につきましては実は考えておらないのであります。これはごく例外的に被害木等のものをこれから除外をして行く立木として考えて行きたい、かように思つております。
  83. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私は別途農漁業協同組合再建整備等に林業を入れて非常にお骨折を頂いていることを感謝するわけであります。その森林組合の発達助長をさせる意味からいつても、又一つ一つの煩銷な事務を発止して行政の円滑を期する上からいつても、お考えなつていないとおつしやいましたけれども私はそういう取計らいを是非お考えを願いたいという希望を強くここで申上げるのであります。  ついででありますからこの十六條に関連してでありますが、すでに大きな伐木業者諸君が山を買入れている、そうしてすでに伐採に着手している。これは十二月の施行令で十二月の末までに終るものならば結構でありますけれども、御承知の通りに相当まとまつております山についてはそう簡単には行かない施行法の第三條第二項との規定であります、年度をまれがることは勿論ございましよう、そういつたようなものはこの省令において改めて許可を受けなくてもやつてもいいという総括的ないわゆる許可をなさる気があるのかどうか、一つこの点をお伺いしたい。
  84. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 適正伐期齢以上の森林でございますれば一般の取扱になるのでありますが、適正休期齢以下のものでありますれば、やはり許可を受けて頂くより仕方がないのであります。
  85. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 適正伐期にならないならば勿論これは問題ないのでありますが、適正伐期に達しないいわゆる小径木業者或いはパルプ業者のような小径木を以て事足りるような需要側においてすでにやつているという状況については、改めて許可を必要とするという解釈でありますが、この場合なんかもつと便利に、それは機械的に一応次にかかつているのだから許可する、こういうような運用方針であるか、もう一度聞きたいのであります。
  86. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 特に重要産業でありまするパルプとか炭坑の坑木とかいうようなものにつきましては、でき得ますだけ許可を与えるように指導いたして参りたいと考えております。
  87. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 すぐ円滑に許可をしてくれるということを聞いて是非そういうふうにお願いをしたいと思うのであります。若しそうでなければここに事業者にとつてもいわゆるはからざる打撃というものがありましようし、又そこを職場として働いている労務者がにわかに職を失つてしまうという社会問題も地域的に起ることは予想が十分つくのであります。私はそういう点を是非言葉だけでなしに、いわば機械的にさえこの隊取扱つて頂きたいことを強くお願いを申上げます。  もう一つ第十六條の第六項に「許容限度」という言葉を使つております。その許容限度ということの括弧を見ますと「第二項但書の場合には、その増加部分」というふうに特に限定されております。第二項但書というものは御覧になりまする通り、この森林計画を実施している途中で知事さんが或いは需給、経済状況から見て変更する必要があるとした隊に変更させる項目でございますが、その項目について例えば今までその地区の伐採量が十万石というのが十二万石となつたとするならば、この括弧の表現で見ると二万石についてだけがいわゆる増加分であると解釈されます。そうすると、そういう森林計画の変更を見ない場合においては二割までを許容してもらえるし、たまたま変更があつた場合には変更によつて殖えた分だけの二割というふうに解釈されるのでございますか、その点はどういうふうにこれをとりますか、御説明願いたい。
  88. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今お示しになつた具体的例について申上げますれば十万石の初めは許容限度であつた、更に二百石殖えたということになりますれば十二万石が許容限度に相成るというふうに解釈を願いたいのであります。
  89. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私もそういうふうに解釈しなければ筋が合わないと思う、けれども、この書いてある法案自身を見ると非常に誤解されやすいのではないかと思う。是非それはこの運用の際にはそういう誤解のないようにお願いをして頂きたいと望むものであります。時間の指定があるようでありますし、今私の聞きたい点は以上で終ります。
  90. 江田三郎

    ○江田三郎君 第七條の意見を述べたときの「勘案し」というのと第八條の意見を述べたときの「尊重し」というのは言葉が違つているが、どういうような違いが具体的にあるわけですか。
  91. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) ただ気持の問題でありますが、ただ考えるというのと大いに尊重してできるだけ取入れるという、結局において同じ結果になると思うのでありますけれどもちよつと言葉を使い分けた次第であります。
  92. 江田三郎

    ○江田三郎君 使い分ける必要がないのでありまして、同じように尊重するなら両方とも尊重すると書けばよいのでありまして、勘案するというと馬鹿にされたような気がするのでありますが(笑声)そんなことはないのですか。
  93. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) できるだけやはり尊重して参るつもりでおります。
  94. 江田三郎

    ○江田三郎君 そこでこの問題について昨日もちよつと質問したわけでありますが、実際上に尊重するというのならばこういうときに審議会というものを十分に活用して頂きたいと思う。そういうことは十分やつて頂けますか。
  95. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) できるだけ審議会を活用するつもりでおります。
  96. 江田三郎

    ○江田三郎君 第七條の意見を述べたときにも、九條の異議の申立をするときにも審議会にかけるとか、その跡始末をどうするということは法文的には書いてないのでありますから、その点を運用に当つて十分にやつて頂きたいのであります。  これは法案の面接の條文的の問題じやございませんが、ただこの中に伐採制限をするということになりますと、そこにどうしても生産量が少くなり従つて消費規正ということが起るわけでありますが、その消費規正の問題について昨日小林さんからもちよつと聞いておりましたが、将来消費の合理化なり規正のために何か立法措置でもなされるというようなことは林野庁ではお考えなつておるかどうか。
  97. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) この森林法を組立てます際に、お話ような消費規正の立法的措置が必要なんじやないかというよう意見も出まして、一度林業関係の方たちの懇話会におきまして、建築用材特に土台あたりには五分材を使え、或いは鉄道の枕木、一部分の坑木等、或いは電柱には防腐剤を注入したものでなければならないというよう法律の一応素案を作つたことがあるのでありますが、まだ実現に至つておりませんのでありますが、できるだけ行政指導と相待ちまして、若し必要がありますれば研究いたしましてさよう措置を講じて参りたいと考えております。
  98. 江田三郎

    ○江田三郎君 この点はとにかくこれで伐採量は少くなるわけでありまして、少くも政府はどう考えているか知りませんが、昨日提案者はこれによつて木材の統制などはやらないというようなことを、これは提案者が言われたので、政府の方ではやるかも知れませんが、そういうお話があつた。そうして片一方において消費現正等についてもはつきりやらぬということになると、今度どうしても私はそろばんが合わぬようなことになると思うのであります。長官は何億とかいろいろなことを言われましたけれども、得てしてそろばんというのは合わぬ面が出て来てどつかに破綻を来たすわけでありますから、統制はしないものなら消費現正というものについてはつきりとした立法措置でもやらないならば、ただ指導だけではとてもできないと思うのでありますが、この点を一つ要望して置きます。  それからもう一つ。間伐の問題が出ておるわけでありますがこの間伐というものが民有林について十分に行われない。それはやつぱり民有林というものが単位面積が少いからして、間伐したものが十分商品化されないというようなことが出て来るわけですが、そういうときに一体これはまああとの森林組合の問題かも知れませんけれども、間伐あたりを共同作業化する場合に、それが国が必要な助成補助等をやつてもつと間伐を奬励するというようなことはお考えになられますかどうか、これは林野庁のほうからお答え願いたい。
  99. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 以前は間伐の奬励金が予算的にあつた時代もあるのであります。今後はお話ように研究をしてできるだけこれを実現するよう努力して参りたいと思います。
  100. 江田三郎

    ○江田三郎君 もう一つ、この條文的の問題ですが、自家用林の場合に五反歩と書いてあるのは、これは一人の森林所有者について五反歩でありますか、一つの単位面積が五反歩ということですか、どちらなんですか。
  101. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 一人の森林所有者について五反歩でございます。
  102. 小林孝平

    小林孝平君 先ほど適正伐木についての数量ですね、それは非常に少いというお話でございましたので、多分資料があると思いますからその資料を一つ林野庁のほうから出して頂きたいと思います。こういうようにお願いいたします。
  103. 片柳眞吉

    ○理事(片柳眞吉君) それでは第二章はなおまだ質問が残つておるかも知れませんが、本日はこれで散会をいたします。    午後四時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            飯島連次郎君            加賀  操君            三好  始君            三浦 辰雄君   衆議院議員    野原 正勝君   政府委員    大蔵省主税局調    査課長     泉 美之松君    林野庁長官   横川 信夫君    通商産業省雑貨    局長      小野儀七郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    林野庁経済課長 武田 誠三君