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江田三郎君
只今委員長の
お話にありましたように、
米価、
麦価の
決定の問題は、あらゆる角度から非常に
重要性を持
つておるわけでありまして、そこで我々としましてもこの問題については十分に
検討したいというので、先般三
大臣の
出席を、
相当余裕を持
つた時日で
出席をお願いしたわけでありますが、当日になりまして肝心の
農林大臣が、連絡によりますと、自分の家へ帰られてしま
つたというふうなことで
出席上なか
つたということはどういう
事情があるのか、我々としましては非常に遺憾に堪えない次第であります。幸い今日御
出席がありましたからして、御
質問いたしますけれども、とにかくその前回御
出席にならなか
つたという
態度というものが私は腑に落ちないものがあるわけであります。
そこで肝心な
質問に入るわけでありますが、本
年度の
米麦の
価格の
決定に当
つて、
特別加算額の
取扱をどうせられるかということであります。この
特別加算額については、昨年
決定されました当時の
事情は
政府の
食糧庁長官その他の
説明によりますと、過去における
農家の
所得を
維持する、こういう
見地から
決定されたものであ
つて、そうして本
年度の
予算案においても
パリテイ指数を一九五として昨年同様の一五%の
加算を計上されておられるということなんであります。若しそうでありますならば、私は現在この一五%の
加算額というものを殖やすことは必要であ
つても、これを減ずべき
理由というものはどこにもないと思うのでありまして、この
取扱を一体どうするかということが第一の問題であります。もともと過去における
農家の
所得を
維持するという
見地から一五%というものが出たということは、これは
パリテイ米価そのものの不
合理性があるわけでありまして、
基準年次の取り方の問題、或いは
自家労賃の問題、
資本利子の問題、
公租公課の問題、そういうところからして、
パリテイの計算だけでは十分に
農家が
生産費を償い得ないというところから、
政府にしても
供出に対しまして或いは
早場米奨励金を付け、或いは又
超過供出の
奨励金を付けておられたのでありまして、これを過去の
所得を、そういうような
負担金だけでは十分に
農家がや
つて行けないというので、特別に
奨励金等がありましたものを、その過去の
所得を
維持して行こうというならば、私はやはりこの際にもごの
加算額というものは一五%でなければならんと思うのであります。一説には、この一五%というものを
パーセントで表わさないで、新に
加算したところの絶対
金額で行こうというような
考え方もあるやに
新聞等では伝えられております。これは誠にナンセンスな話でありまして、
所得の
維持ということは、絶対
金額の
維持ということではなしに、
購買力の
維持でなければならんと思うのであります。
物価が値上げにな
つておればそれに
従つてこの
所得を
維持するという
見地から行きますならば、やはり一定の
パーセントのものを加えて行かなければならんのでありまして、これを新
加算したところの絶対
金額というようなことは誠に筋の立たないナンセンスであると思うのでありまして、飽くまでこの
加算額というものは一五%、或いはそれ以上でなければならんと思うのであります。ただこういうようなことを
決定します場合に、
消費者の
立場ということも出て来るわけでありますけれども、併しながら
消費者の
立場というものを
考えた場合に、これを
農民だけの
犠牲において、
消費者の
立場を守
つて行くということは、これ又筋が立たないわけであります。而も現在の
米価というものが、仮に予想される
パリティ指数に一五%の
加算額を加えましたところで、現在の
国際価格を上廻るということではないのでありまして他の
物価が殆んど
国際価格或いはそれを上廻
つているときに、
米価だけが
国際価格にまだ到達していないということから
考えますならば、この
消費者の
立場を
考えた場合に、これを
農民だけの
犠牲において
消費者の
立場を
考えて行くということは、これ又国の大きな
政策という
見地から見まして、当を得ないと思うのでありまして、これについてはやはり国が
財政的に
補給金或いはその他の処置によ
つて措置すべきものである、こういうふうに私は解釈するのでありまして、その点今
年度の
米麦価の
決定に当りまして、一五%
特別加算額をどう扱われるかということをお尋ねしたいのであります。
更に
麦価の問題につきましては、一体
麦価に
基準になる
米価は、
特別加算をしたところの
米価であるか、或いは
特別加算をしないところの
米価であるかということ、いま
一つは、対
米価比率をどこへ持
つて行くかという点であります。昨
年度の
麦価は
特別加算のないものに、
小麦の場合に八一・三%をかけたのでありますけれども、併しながら、だからと
言つて今年の
麦価を
決定する場合に
特別加算をしないものに所定の対
米価比率を掛けたらいいという
答えは出ないのでありまして、それはなぜかと言えば、昨年の
麦価を
決定する場合には、まだ麦の
超過供出に対する
特別買上の制度が
残つてお
つたわけでありまして、その後において
超過供出、或いは
早場米奨励金等が減らされて
特別加算というものが生まれたわけでありますからして、
従つてこのいきさつから行きまして、私は当然これは
特別加算を加えた
価格を
基準にして、そこに対
米価比率を掛けて行かなければ
辻棲が合わないと思うのであります。それから更に対
米価比率のきめ方は一体何を
根拠にするかということでありまして、これについて
政府のほうでは、例えば
小麦の場合には六四%というような数字を一時発表されたことがありましたが、一体今度の場合にどういうような
比率で行かれるのか、その
比率をきめる
根拠になるのは何に基いているかということでありまして、ただこの
比率をきめます場合に、例えばCPSから見ましたところの
消費者の
実効価格から行くということだけでは、私はうまく行かないと思うのであります。それはなぜかというと、
現存麦はやはり
生産増強をして行かなけりやならんのでありまして、何としましたところで三百万トン近いものを輸入しておるという状態では、例えば
日米経済協力にいたしましたところで、その他の問題にしましたところで、
日本の
経済の自立にいたしましたところで、いつまでた
つたつて軌道に乘りはしないのでありまして、どうしても今足らない食糧を増産して行かなけりやならん、増産して償
つて行かなけりやならん、その
立場が十分にとられなけりやならんのでありまして、
従つて而もなお米の場合と同じように、
国際価格との釣合いから見ましても、現在なおこちらのほうの
価格が下廻
つておるわけでありまして、若し今伝えられますところの五十万トンの
国際小麦協定加入という問題が解決付きますれば、接近することになりますけれども、併しながらこれは全体の
輸入量の中の三百万トン近いものの中の僅か五十万トンだけについてそういうことが言えるのでありまして、総体的に見ると、
国際価格を下廻
つておるわけでありますから、この際はもつと
生産増強という
立場から
考えて、ただ
消費者の
実効価格等だけから
考えるべきではないと思うのであります。更に
消費者の
実効価格にいたしましたところで、これ又東京だけというようなもので
答えが出るわけではなしに、季節的に、或いは地方的に非常な差異があるわけでありますからして、そういう点から
考えて、我々がどうしても
生産増強という
立場、即ちその
立場から行きますならば、少くとも
生産費を償
つて行かなきやならんという
立場から行きますならば、
特別加算を加えた
価格に対しまして、昨年同様の
小麦の場合の八一・三%、あの
比率を掛けて行くことが妥当であると思うのであります。そういうような
米価並びに
麦価の
生産者価格に対しまして、
政府のほうがどういう見解を持
つておられるかということであります。更に
生産者価格の
改訂に、当然
消費者価格の
改訂が出て来るわけでありますが、最近の
マーカツト声明を見ましたところで、
インフレにしてはいかんということが非常に出ておりますが、この
インフレを抑えるために、今の
政府のやり方というものは、
米麦の
生産者であるところの
農民、或いは賃銀で働いているところの
労働者、或いは
俸給生活者、そういうものの
犠牲において
インフレを抑えようとしておるのじやないかという気が非常に強くいたしますのですが、その点は、一体この
消費者価格の
決定は、どういうような
決定をなさろうとするのか、或いはこれに関しましては、例えば
消費者價格を据え置きにいたしまして、現在
特需景気あたりで
相当べらぼうな儲けをしているところの、そういう人々に対しまして、特殊の
利得税とかというような新らしい税金をかけ、新らしい財源を得て、これを解決するというようなお
考えはないか、こういう点についてお尋ねいたします。