○
政府委員(青柳確郎君) お申入れの趣旨は三項目に亘るのではないかと私ども考えておるのであります。
一つは蚕糸業の
一つの目標を出したらどうかということであり、
一つは閉鎖機関に
なつておりまする蚕糸統制株式会社並びに蚕糸業会の残余財産の処分をどうするのかという点であります。
一つは指導員の身分の安定をどうや
つて図る考えか、こういう三項目のお申入れのように思われます。
それで一番初めの蚕糸業のつまり目標を総合的に考えて
一つ立てて見たらどうかというのに対しまして、今度はお
手許にお配りしましたような案を農林省の省議並びに
関係の各業者の大体同意を得ましたので、こういう案を一応御提示するわけであります。それで一応私読み上げて見たいと思います。読み上げましてそれを敷衍して参りたいと思います。
蚕糸業振興緊急対策要綱
第一
目的
日本経済の自立達成のため、蚕糸業の安定を図り生糸の生産を確保し、輸出を増進して国際收支の改善に寄與するとともに、養蚕業の生産力高揚により農家経済の安定を期することを
目的とする。
第二 目標並計画
これがため
政府は、昭和三十年における桑園面積二十五万町歩、産繭額三千三百万貫、生糸製造高三十万俵、生糸輸出十五万俵を目標とする蚕糸業振興五カ年計画を策定し、その完遂を期するものとする。
年次別計画は別表によるものとする。
第三 対策
右計画の完遂を期するため左の対策を必要とする。
1 桑園生産力の向上
イ 桑園の拡充
ロ 桑苗生産の確保
ハ 優良桑品種の普及
ニ 桑園能率の増進
2 優良蚕品種の普及
3 養蚕共同化の普及
イ 稚蚕共同飼育所の新設並改修
ロ 稚蚕共同桑園の設置
4 蚕桑病虫害の防除
5 蚕業扱術指導の強化
イ 蚕業技術指導所の拡充
ロ 蚕業技術指導網の強化
6 産繭処理の合理化
イ 乾繭引の普及
ロ 協同組合製糸の育成
7 購繭資金の確保
8 製糸
設備の近代化
9
海外における生糸の消費宣伝
10 繭糸価格安定制度の確立
第四
措置
政府はこれが実施を強力に推進するため予算的並びに資金的
措置を講ずるものとする。
次は、この各対策につきまして融資並びに業者の出資、並びに予算というようなものでどういう方向でこれをや
つて行くかという点をそれらの三項目に分けてこれを書いてあるわけです。その次の「蚕糸業振興五ケ年計画」の案、これは五カ年に亘
つてこの程度の桑園の面積を拡充して参りまして、繭の收量はこの程度になり、生糸の生産目標はこういうような形にしたい、こういうことであります。その次のものは生糸の需給の推定表であります。これだけの生糸が生産されました場合に、輸出という問題が起るわけであります。そういう場合に輸絹並びに内需はどのくらいのものになるかということを表示した計数でございます。これに基きまして一応お話し申上げます。
こういう案を策定いたしまする際に我々として考えましたことは、結局今後の目標をどこに置くかということが一番大切な問題になるわけであります。それは内地の消費は勿論のこと、
海外におきまする消費の目安はどの程度になるかということが一番大切なことであるわけであります。とにかくこの蚕糸業の一番基盤であります養蚕は、永年作物を相手にしておりまするだけに相当その目標が
はつきりしたものでありませんというと、不当に養蚕家に対して御迷惑になるのではないかというような考えからいたしまして、この目標の策定に当
つてはいろいろ
海外の業者とも十分連絡をいたしまして、実は昨年の十月、ニユーヨークへ参りました際、又本年の四月にヨーロツパ及び
アメリカの絹業の人たちが
日本に見えました際にいろいろと折衝しました結果、とにかく三十万俵程度ぐらいが一番よくはないかというようなことを言われておるわけであります。それで我々といたしましては、差し当り五カ年間に三十万俵程度のものを
一つ目標にして行こうじやないかというように決定したわけであります。次に問題になりますることは、これに即応して如何に桑畑を殖やして行くかという問題でございまするが、それに対しましてはやはり現在の情勢から我々が常に考えなければならんことは、食糧の増産との間の均衡を如何にしてとるかということが問題になるわけであります。それでその均衡の問題につきましては、この三番目の表を
一つ御覽置きを願いとうございます。「蚕糸業振興五ケ年計画」というこの表を見ますと、一番最後に五年後において桑園面積が十四万九千八百三十町歩になるわけでございます。ところが現在どれくらいの桑園面積があるかと申しますというと、十八万三千二百八十三町歩あります。これは昨年の十二月初めの桑園面積でございます。従いましてそうすると五カ年間でどのくらいの桑園面積が全体的に増加するかと申しますと、絶対増加が六万六千五百四十七町歩くらいになろうかと思います。それでその場合にここに「その他」という項目がありますが、「既耕地」、「その他」ということに
なつておりまするが、この六万六千五百四十七町歩というものを、既耕地を潰して桑畑に転換するということが一番問題になるのでございますので、この「その他」というのが約九千町歩くらいあります。約一万町歩くらいありますが、これは例の林野の
関係で、現在造林なり或いは又治山治水の面で
政府で
施設しておいでになります。これらの面でできるだけ桑園に
利用し得らるる部分は
一つ利用しようということと、それからいま
一つ今後開拓されまする開拓地におきまして、経済的の面から、営農の面から取り得られる部分だけは
一つ取入れて参ろうという見解からいたしまして、約九千町歩のものはそれらの面に充てて行こうということでありまするので絶対的に既耕地を潰す部分は従いまして五万七千町歩ばかりになろうかと思うのでございます。併し五万七千町歩の増加を年々どういう程度に増加して行くかということになりますと、二十六年、二十七年の初めの二カ年間は急速に成るべく増加をするということを避けまして、勿論これは桑苗の確保という問題もございまするが、むしろその増産のために二十八年、二十九年、三十年の時代においてその増産を進めて行こう。既耕地の面積を進めて行こうという点を考えておるわけであります。
次に考えますることは、この計画案で最も心配いたしてありますことは、これだけの桑園を確保しまするために如何にして桑苗を作らせるか。又作
つた桑苗を如何にして植え付けさせるかという面でございまして、これを單に養蚕者だけの気持に任すとそうことではなかなか困難であります結果、これを或る程度国としてはこういう計画が輸出産業を維持する上においては必要であり、而も将来の
日本の農村の経済から見て、いわゆる現金收入の
一つの何としてこの養蚕を取入れて行く建前からしますならば、或る程度そこに
重点を置くということが必要ではないかということを考えておりまするので、後ほど予算の面で
説明いたしまするが、主としてこの五カ年外画で我々として予算を使いたいという
意味は、この桑苗の生産とこれを植え付けるという面、これらの面に焦点をおいて参りたいと、こう考えておるわけでございます。そして而も我々といたしましては、生糸自体の面について幸いに現在は競争者は余りございません。中共などのごときものがありまするが、
アメリカにおきまする消費数量を見まするというと、
アメリカの消費数量五のうち中国糸といいまするものは約一割くらいのものでございます。而も十二月以降におきましては激減しておるというような
状況でございまして、ただ我々として心配しておりまするのは、競争繊維との間の確執でありまして、従
つて生糸は独占的な商品でないという形になりまするので、この競争繊維とやはり或る程度確執して行くためには、この際若しこういう増産を進めて行くという場合におきましては、今後におきまする養蚕の合理化の面、成るべく生産費を低めて安い繭を作るという面からいたしまするならば、この際桑園の改良ということも積極的に考えて行く必要がありはせんかということを考えておるわけでございます。それでこの案を御覽になりまするというと、五、六行目に改植面積というのがありますが、二十六年度九千町歩、二十七年度七千町歩、そして三十年で合計四方町歩ばかりに
なつておるのでございます。この面積は、この改植というのはどうかと申しますと、現在桑園に
なつておる部分を新たに植え替える。能率のよい桑畑に植え替えるという
意味にこれを解して頂ければ結構だと思うのであります。そういう
意味でございまして、現在荒廃桑園、つまり経済年数以上に達しております桑園の面積はどのくらいであろうということを推定して参りますというと、現在の桑園面積十八万町歩のうち約八万町歩くらいがもうすでに経済年数の経
つた、つまり老朽桑園と思わるるものでございます。従いましてこの際我々といたしましては、この老廃した桑園面積の八万町歩のうち約四万五千町歩くらいのものは、これを新たな生産力の余計な桑畑に替えて参りたいというような気持を持
つておるのでございます。この際やれますものならば養蚕家としての合理化を、桑園の面積においてもこの際一気にやり遂げておくために五カ年計画の中においてや
つて行つたらどうかというような気持からいろいろ考え方をしておるわけであります。従いまして予算的な
措置といたしましても、でき得る限りこの桑園の確保という問題、桑苗の生産という問題、この問題に主力を注いで予算を立てて参りたいと、こう考えておるわけであります。
それで一応対策の点をお話し申上げますというと、第二番目に書いてあるのでございまするが、その対策の
内容は、第一番目の桑園の生産力の向上という面でございまするが、その中の桑園の拡充及び桑苗生産の確保という問題につきましては、桑苗生産確保の予算的
措置を講じたいという点を我々のところでは考えておるわけでございます。併し従来の予算の編成方針から申しますというと、これはどういうような形を我々は今考えておるかと、こう申しますというと、今考えておりますこの予算的のやり方は、養蚕の団体が自分で桑苗を生産いたしまする場合、或いは又桑園苗業者に委託いたしましてます。併しこの面は非常に従来の予算の立て方の面からいたしまして、なかなか大蔵省との面におきましては相当のフリクシヨンもあろうと思いますが、この面を或る程度解決しないというと、この増産計画というものも甚だ厄介なことになるのではないかと我々は考えておるわけであります。次に優良桑品種の普及でございますが、これはすでに二十五年度から我々として計画しておる予算的
措置であります。これは先ほどもお話ししましたように、今後の養蚕家として経済的に有利にすりためには、やはり立派な桑園を保持して行かなければならん。立派な桑園のためには桑品種の優良なものが必要だという
意味合いからいたしまして、優良品種の育成という面につきまして府県に補助をいたしまして、府県の試験場で桑苗の生産をや
つておるわけであります。この面の予算的の
措置でございます。次の桑園の能率の増進でございまするが、現在桑園の能率が落ちておりまする部分の中を検討して見ますると、非常に酸度が高いという面が非常に多いのでございます。現在考え見ますというと、約十八万町歩のうち約四万町歩くらいが非常に酸度の高土壌だという面からいたしまして、この土地改良も是非や
つて参りたい。これをやりまするというと増産になりまするし、又一方單作の安定も期せられるという面からいたしまして、この面の予算的
措置としては強力にや
つて参りたい。これ
はつまり酸性土壌を変えまする
意味で石灰を買いまする
一定の購入費に対しての補助の面を考えておるわけであります。それから優良蚕品種の普及でございまするが、これは現在もや
つておりまする
措置でございまして、そうして一方蚕種製造
設備の新設資金の融資
措置と書いてありますが、これは結局
設備に対する融資でございまして、この面は例の農林漁業資金融通法に基きまして現在まだこれは未解決に
なつておりまするが、我々といたしましてはこの部面についてできるだけあの便宜な金融
措置をこの際
一つ利用さして頂きたいということで、これが折衝を進めておるわけでございます。それから養蚕共団化の普及でございますが、この稚蚕共同飼育普及の予算
措置、これは金額は、今のところ考えておりますることは桑園の能率の増進の場合とか或いは桑苗生産の確保の面から見ますると非常に少いものでございまして、稚蚕共同飼育所の新設なり或いはその面の指導なりという面の予算的の
措置でございまするので、これは單に旅費なり或いは
施設なりの所要の面の予算を今のところ我々考えております。それでこの中の一番大きなものは稚蚕共同飼育所新設資金の融資
措置でございまするが、これは現在の蚕糸業の情勢を見まするというと、増産も漸次とにかく現在の情勢からいうと進んでおります。今年度のごときはすでに農林統計から申しますれば、生産のあれから申しますると春蚕が一二%以上も増産されはせんかというようなことを言われております。全体的に見ますればもつと増加するのではないか、こういうような感じがいたしますので、つまり現在製糸家が繭に対する希望條件といたしましては、まあ重より質の問題に順次移行しておるようなことでございまして、やはり繭質を改善して行くということが今後の蚕糸業の面においてはたくさん取上げなければならん問題だろうと思うのであります。それに即応する
意味合いから稚蚕共同飼育所というものの普及を図
つて参りたい。現在相当その気運は横溢しておるのでございます。ただ資金がないというような
関係からいたしまして、これ又先ほどもお話しました農林漁業資金の融通法に基きましてこれはこの資金の、我々は恐らくこの次の議会に出るのではないかと、こう思われるのでございますが、
法律的にはこの方面に融通するということはすでに皆さんの御了解を得て
法案に
なつておるはずでございます。それからその次の蚕桑病虫害は、これはすでに予算的の
措置は講じられておりますし、それから蚕業技術指導所の拡充、蚕業技術指導網の強化というのは、これは第三の問題で申入れがございまするので、その面はその点で
一つ御
説明を申上げて参りまして、ここでは避けて参りたいと思います。
それからその次の蚕繭処理の合理化でございまして、乾繭取引及び組合製糸のこれは育成でございまして、この部分の新設、改設、補修及び増設の問題につきましてはこれ又他の場合と同様に、まだ農林漁業資金の融通法の中にはこれが認められておりませんが、今後こういう
関係は是非
一つ資金の融資も認めてもらいたいという考えでおります。その次の購繭資金の確保でございまするが、これは一昨日
日本銀行で大体これに対する態度が発表されまして、業界といたしましてもあの
日本銀行の
措置に対しては非常に好感持
つておる程度の條件で解決を見ておるわけであります。その次の製糸
設備の近代化でございまするが、これは例の見返資金をこの方面に
一つ使
つて参りたい。これは自動操糸機のようなものをこれは考えておるわけでございまして、この面に実は見返資金の融資をしてもらいたいということでや
つておりましたが、非常に時期が遅れました
関係もありまして、見返資金が困難でございましたが、その後の例の開発銀行の資金を優先的に取扱
つてもらうというようなところへ現在来ておるわけでございます。まあこの方面の改善も我々としては製糸部面においては推進して参りたいと、こう考えておるのでございまして、非常に最近製糸の部面も昨年の生糸年度におきましては幸いに相当利益金も計上されておるような
関係もございますので、これに或る程度購入資金を注入いたしまして、極力合理化の線を徹底して参
つたほうが今後の蚕糸業の方面のためにはよろしくはないかと、こう考えておるわけでございます。その次は
海外におきまする生糸の消費宣伝、今度のこの増産計画を立てましたものが、養蚕家側からいたしますれば、増産すれば値が下がるのじやないかというような懸念もありましたのでございまするが、この最後に二十六年度蚕糸業界醵出による消費宣伝費と、こう書いてあります。これはすでに養蚕、製糸、それから輸出問屋と、各業界の人たちが挙
つて宣伝費を醵出しよう、現在すでにまとま
つておりますことは輸出問屋、それから製糸家のほうでは昨年の七月以来すでに醵出をしております総額は約五千七百万円くらいこの五月末までには積立てられるのではないかと、こう考えられるのでございまして、今後そのほかに養蚕家側にも積立てに協調して頂くということに
なつておりますので、この四月に
海外の業者が参りました際に、我々側としては向うに一応そのめどをすでに提示しておりまして、又それの金額に基いて
海外側では宣伝の計画を進めて参るというふうに、起ち上りの形勢はすでにできておるわけでございます。従いまして我々としてこの際すでに消費の部面においてもこういう手を打ちました以上、増産の面につきましても或る程度の手を打ちましても大して困難ではないのじやないかというような、気持からいたしまして、この増産計画はできておるわけであります。それから次に繭糸価格の安定制度の問題でございまするが、これはまだ実はこの第二項の申入れの
事項にも関連しまするので、その際に御
説明申上げたいと思います。その次は計画の推進でございまするが、これも非常に予算の金額としては少いのでございまして、つまり
農林大臣のいわゆる表彰的の
措置を講じまして、この計画を推進して参りたいという程度でございまして、予算的の金額としては非常に少いものでございます。大体こういうような方向で農林省としては進めて参りたいという気持を持
つておりまするが、
政府部内と申しまするか、大蔵省の面との予算的の折衝ということになりますというと、まだ未解決でありますので、今後できるだけ皆さんがおよろしいということでありますならばこの線に沿
つて極力予算的の折衝も進めて参りたい。こう考えておる次第であります。
それからその次の問題は、これは先ほども申しましたように閉鎖機関に
なつております。
日本蚕糸統制会社並びに
日本蚕糸業会の清算の剰余金、或いは
日本蚕糸統制会社には繭糸価格安定資金というのが約一億くらいございます。それから
日本蚕糸業会の清算剰余百金というのが約十二億八千万円ばかりの金額が現在あるのでございます。これらのものを一体どうする考えかというお考えかとも思うのでございまするが、この面につきましては衆参両院の皆さんの非常な御努力によりまして、実は今これにつきまして司令部と
法案を現在折衝しておるわけでございます。その
法案の
内容をお話し申上げますというと、議員提出でこれは出して頂くことに現在
なつているわけでございます。これはこの閉鎖機関の
日本蚕糸業会の残余財産と申しまするというと、これは株主に分配しなければならん形に
なつているわけでございます。そうすると株主に分配いたします前に特別法人税がかかるわけでございまして、これが約三割五、六分ぐらいから四割近くのものになるのじやないかと思うのでございますが、この程度のものの税金がかかるわけでございます。従いましてこの洪業の
内容といたしましては、これらの税金を免除してもらいたい、免除してもらいまして、そして自分たちの取り分を一緒にしてこれを
政府に寄附をする。ただ無條件で寄附するわけではなしに、これを蚕糸業の振興のために将来使うという形でや
つてもらいたいというようなことで、一応の案を作りまして、今司令部に折衝をして頂いているわけでございます。それは参議院のほうは、ここの席においでになります白波瀬さんから司令部に折衝して頂き、それから
衆議院のほうは八木代議士からや
つて頂いているわけでございます。
それからその次の養蚕農家の技術指導員、つまり養蚕指導員の身分安定、
一般農業普及員という者との間の待遇を成るべく同じにしたらどうかというような御趣旨じやないかと思うのでございます。これも前回お話がありました際に、蚕糸局といたしましてもできるだけ、この方面は一番蚕糸業といたしましては厄介な問題でございますし、又これをやりませんというと、なかなか蚕糸業の振興という面につきまして、とにかく自給自足の経済をや
つている養蚕農家を引連れて増殖なり或いは品質の改良なりに邁進するというためには、この末端の農家に接触しておいでになるこの指導員の身分安定ということが一番取上げられるべき重要な
事項ではないかと思うのでございます。ところがこれは従来の行き方から申しますというと、この身分は普通の農業改良指導員とは違いまして、養蚕農家、養蚕の団体に身柄をおいておるわけでございます。なぜそういうような形をとりましたかと、こう申しますというと、とにかくこれは
一般農業改良と違いまして、養蚕改良は消費地の意向によりまして、とにかく急速度にそれに対応して態度を変えて行かなければいかんというような面からいたしまして、過去においてもそうでございましたが、やはりそういう場合に指導員を完全に指揮して行くためには、やはりその利益団体である養蚕の団体がその身柄を持
つて、全責任を負
つて指揮して
行つたほうがむしろうまく行きはせんかというような考えからいたしまして、
一般の農事のような農業改良助長法に基きまして指導員の身柄をいわゆる公務員というような形をとりませんで、民間団体に身柄をおいて来たわけでございます。それで現在も我我といたしましては、やはりその方向をとるのが一番いいのじやないかというような考えからいたしまして、実はこの二十六年度の予算の編成の際に当りましても、ほかの予算よりも先ずこれを充実して参らなければいかんということで実は折衝して参りましたが、とにかく二十五年度には六百万円くらいしか認められなか
つたわけでございますが、二十六年度におきましては二千四百万円くらいのものが認められておるわけでございます。併しこれを以て我々としては完全だとは考えておりませんのでございまして、実は補正予算なり或いは又追加予算というような機会がありますれば、成るべくその機会にはできるだけこの方面の解決をして参りたい、こう考えておるわけでございまして、合同のそういう施策の中に、予算的の
措置といたしまして産業技術指導網の拡充と、こう書いておりますが、これは実は産業技術指導員の身分安定のつもりでございまして、そ用の
内容といたしましては、我々としては
一般農事の人たちと同様な程度の、つまり給料俸給の面につきましては大体同様な程度の予算的な
措置を国及び県で
一つ見て参りたいというような気持で予算は用意しておるわけでございまして、成るべくその趣旨に副
つて我我としてはこれを進めて参りたい。こう考えておる次第でございます。余り長くなりますのでこの辺で何して頂きまして、御質問がありましたら……。