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1951-05-18 第10回国会 参議院 農林委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十八日(金曜日)    午後一時三十分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○家畜伝染病予防法案衆議院提出) ○農林政策に関する調査の件(蚕糸対  策に関する件)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これより委員会を開きます。  最初に御了承を得たいのは、来週の議事日程についてでありますが、お手許に配付した印刷物の通り先ほど理事会の御了承を得たので、同様御了承を得たいと思います。なお五月二十二日の午前に、この印刷には落ちておりますが、国土調査法案について連合委員会があることになつておりますので、御了承をお願いいたします。  それでは本日は家畜伝染病予防法案について、法案内容説明を求めることにいたします。先ず衆議院の園田さんからちよつと御挨拶があります。
  3. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 今日は大変どうもお世話になります。私、逐條説明をいたさねばならんのでございまするが、衆議院のほうで二時から又会議がありまして、私がいなければならん法案がございますので、誠に勝手でございますが、内容につきましては、政府当局齊藤課長から逐條説明をさして頂きまして、暫らくお許し願いたいということを前提にお願い申上げておきたいと思います。どうぞよろしく。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは齊藤衞課長
  5. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) それでは改正の主な諸点を御説明申上げます。これは提案の理由で御説明がありました通り、非常に古い法律でございます。大正十一年からやつております法律で、いろいろとその間に変遷はございましたけれども、現在のいろいろの学問進歩であるとか、民主的立法必要性であるとか、海外事情変遷であるとか、そういうようないろいろの変遷に合わないところがたくさんございまして、それで法文の形を新らしい形に変えますと同時に、いろいろの細かい技術的事項を現在の実情に合うように改めたわけでございます。改めます場合の基本的態度としましては、新らしい憲法規定に忠実であること、それから最近の立法形式に従うこと、又最近の畜産事業に適合させるようにすること、最近の海外伝染病事情、並びに日本が戰前と比べて非常に狭いところに限局されまして、全然海外における家畜防疫上の焦点を失つたこと、それに対して十分な対策を立てなくちやならないという状態にありますので、それの状態に合せましたこと、それからなおシャウプ勧告とかいろいろの事情に基きまして、この中央地方庁事務関係はつきりしません点が従来ありましたので、それをはつきりさせましたこと、こういう基本的態度で新らしい法案の編成に当つたわけであります。改正しました主な点は、従来は家畜伝染病法という法律で定めました特定病気だけの予防でございました。それを特定病気以外の寄生虫病も含めましたものをも加えまして、これを予防するということが一つの大きな点であります。寄生虫病は非常に一般に拡がつておりまして、家畜の能力に非常な影響を及ぼしております。それが土台になりまして、家畜抵抗力とか、そういうものが落ちまして、伝染病も又その一つの誘因となるというような、非常な重要なことになつておりますので、これを今度入れました。  それから第二点は、従来の伝染病予防法というものは、伝染病が出ましてからそれの蔓延防止する方面を重点に置いてやつておりました。それではいつまででも伝染病病気とを追い廻しておるということになりまして、能率的ではありませんので、今度の法律では発生予防という点を非常に重点に置きまして書かれてございます。それから第三点は、従来の旧法では、輸出入検疫條項は、法律には非常に僅かの規定がございまして、当然法律で以て書かなくちやならないようなことも、規則で以て書いてございました。それを必要な事項を全部法律に入れました。それから次は、伝染病にかかりました場合、そのかかつた家畜を殺したり、或いはその伝染病病毒で以て汚染せられました物品等を燒いたり、或いは埋めたりする規定がございます。この場合に手当金を出すのでありますけれども、最近の新憲法規定します個人の財産その他の権利擁護というような意味で、従来の獎励的な手当金と違いまして、多分に損害賠償的の意味を持ちました手当金に変えたわけであります。  こういうような点が主な改正点でございます。で、この要点を逐條的に主な点だけ新旧対象によりまして御説明申しますというと、お手許にお配りいたしました家畜伝染病予防法案新旧対照に、上段が今度の法案下段旧法なつております。でこの新らしい法律は第一章から第六章までございまして、第一章に総則、第二章が発生予防、第三章が発生しました病気蔓延防止、第四章が輸出入検疫規定、第五章が雑則、第六章が罰則になつております。全体で六十六條でございます。第一章の総則には、この法律目的、それから用語の定義が書いてございます。でここで第二條伝染病と申しますのは、ここにあります表の上段に掲げてございます病気で、而もその下段家畜関係のあるものをこの法律伝染病という、この旧来のものに比べまして三つ、第四番目の流行性感冒、第九番の出血性敗血症、それから第二十六番のニユーカツスル病が新らしく入つております。この新らしいもので旧来伝染病を削りましたものは、下の二頁に書いてあります豚疫と豚のパラチフス、それから疥癬のうちで以て馬の疥癬、これを削つてございます。疥癬は緬羊だけを新らしい法律では対象としてございます。これは流行性感冒は、昨年、一昨年非常に大流行をいたしまして、なお且つこの日本特有の、まだほかの外国でもこういりような報告がない病気でございます。一昨年以来いろいろ研究いたしました結果、大体の原因もつかみまして、予防…まだワクチンを現在作ることについて研究に専念いたしておりますが、新らしい病気でございます。そうして昨年も一昨年も旧法の、緊急の場合には伝染病を指定しまして、この法律の一部或いは全部を適用ができるという條項に従いまして、一応法定伝染病で、昨年も一昨年も扱つたものであります。今回改正に伴いまして、正式にこの法定伝染病の中に入れたわけであります。新法の九番の出血性敗血症でございますが、これは現在内地では、日本では発生がございませんけれども、従来ともこの我々のこれから輸出入貿易関係ございます各地区相当発生を見ておりますので、これを差加えました。それから二十六のニユーカツスル病、これは従来二十五の家禽ペストというものの中に含まれて行つておりますが、最近の学問研究状況に見ますというと、一応ニユーカツスル家禽ペストを別に取扱つております。而もこの三月に従来日本にありませんでしたニユーカツスルアメリカにたくさん発生しております、型の全然新らしい病気が最近に発生しております。そういう関係で、二十六番に新らしく入れたわけであります。削りました豚疫、それから豚のパラチフス、それから疥癬、これは共に学問進歩に伴いまして法定伝染病として扱つて予防するほどの重要な疾病でなくなりました。発生も非常に少い、又発生しましても容易に地区的に予防ができるというようなことで、これを一般伝染性疾患として扱うということにいたしました。なお新らしい法律では、法定伝染病以外に……、これに指定しますもの以外の疾病は、伝染性疾病と申しまして、発生予防のほうで以てすべて対象なつております。それから第二章の第四條は、これは届出の問題でありますが、第二章は伝染性疾病発生予防でありまして、これはこの第二條に書いてございます指定されました伝染病も勿論のこと、すべてそれ以外の伝染性疾患を全部含めて対象にしてございます。こういうもの発生する前の予防手段が第二章に全部書いてございます。予防手段としましては、その発見届出、それから発見をするための手段であります検診発見しましてからの隔離であるとか、消毒であるとか、そういうものが各條にずつと書いてございます。それでこの章で以て重要な改正点は第五條であります。第五條は従来の法律としまして、二十條ノ二に、この下段に書いてありますような形で出ております。この各県が防疫の行政上の單位に現在なつておりまして、地方都道府県知事が各都道府県責任者としまして、伝染病予防事務を扱うのでありますが、それぞれの家畜移動します際に、病気のものがよそのほうに出ては困りますので、よそへ移動します場合には健康である、伝染病にかかつていないという証明書を持つているものでなければ、これをよそへ出してはいけないというのが根本であります。この証明書を出します場合に、屠場に直行するような場合は、従来ともそういうような証明書がなくても屠場に直行するという証明書だけで出していたのでありますが、その他に試験研究のために、研究所のほうに病気のものを材料として持つて行くとか、或いは輸出入のために検疫所に入りまして、検疫所から更によそへ、仕向地まで参りますときに証明書がやはり必要だつたわけであります。従来の規定にはそういうものはなかつたわけであります。試験研究とか、検疫で輸入した場合のものであるとか、そういう新らしい規定を入れました。それから又従来はこれを出しますものが都道府県知事又は都道府県知事の指定する獸医師なつておりましたが、これを都道府県知事又は獣医師ということにいたしまして、獣医師ならば全部誰でもこれを発行できるということにいたしたわけであります。それからその発行の基準としては、農林省の省令で定める基準で出してもらわなければ困るということにいたしたわけであります。それでこの区域は結局伝染病の現状によつて左右せられるものでありまして、伝染病予防が非常にうまく行きまして、非常な一定地区に限定されるとか、或いは殆んどなくなるとか、そういうような場合にはこれを一県々々出さなくても、或る特定のもつと大きな單位ブロツク東北地区であるとか、関東地区であるとか、或いは北海道地区とか、そういうふうな単位でも防疫上の目的に可能な場合が出て来るわけであります。で、そういうような場合を予想しまして、この区域政令で以て伸縮ができるようにしてございます。  それから次に、本章で主なものは第十條でございます。伝染病蔓延します原因はいろいろございますが、結局死体処置とか、汚れたものの処置とか、こういうものが非常に重要な一つ伝染病蔓延させる原因になりますわけであります。それで従来はへい獸取扱場厚生省環境衛生の部面から、その建設制限或いはその建設をする場合の環境衛生から見ました制限だけでございます。これが各伝染病予防上の見地からも、このへい獸取扱場というものを一応取締らなければならない状態なつたわけであります。それからそれと同様に化製場というものがございます。家畜死体や何か、骨肉皮毛類を原料としまして油だとか、肥料であるとか、或いは膠であるとか、そういうものを取る設備でございます。こういうものもやはり厚生省公衆衛生並びに環境衛生の上から取締るだけであつたわけであります。例えば豚コレラのようなものを設備の不十分な化製場で取扱いましたために、そこから病毒を出しましてその辺一帶に病気を散らばしたというような実例もございますので、発生予防の点からこの十條、十一條においてこれに関する取締規定を設けたわけでございます。それから第十二條にございます家畜集合施設に関する取締規定でございます。で、これは従来は実畜市場法というものがございまして、そこには一定施設及び獸医師を置かなければならないような規定なつておりましたが、家畜市場法が廃止されまして現在何らの規定がないわけであります。それでそのほかに家畜市場以外の動物の集ります競馬であるとか、或いは家畜共進令等いろいろ動物が集りまして、いろいろの催しものをします際に、えてして伝染病がこれによつて散らばるという事例がたくさんございます。現にこの間の神奈川県の全国の乳牛の共進会伝染性下痢症北海道に持つて行つたというような事例もございます。こういうような競馬場でございますというと、伝貧伝播競馬を主体として近畿地区蔓延した、こういうような例がたくさんございますので、この家畜集合施設についてのいろいろの制限を新らしく設けたわけであります。以上が発生予防の点から見ました、又発生家畜法定家畜伝染病特定病気以外の伝染病も含めまして、発生予防の点からいろいろとやります防疫措置規定した要綱でございます。第三章は、今度第二條で挙げてございますこういうような法定伝染病、ここに挙げてあります伝染病は皆急激にはやりますというと、非常に大きな損害をもたらす可能性のある病気だけでございます。こういうものに対して、それが発生しましたときのその拡がるのを防ぐための規定でございます。  十三條が届出であります。これは今までと大した差はございません。届出をしまして、それが届出されまして又第十四條で隔離義務を負わせる。隔離してよそへ行かないようにいたします。そうして必要があります場合には、例えば牛疫であるとか、そういうような場合には交通遮断の必要が出て出るわけであります。それは旧来の十六條の二項にございまして、相当期限も切らずに重大なことのできるようなふうになつておりますが、現在の状況としましては、それも非常にひど過ぎるという感じもございまして、四十八時間を区切つて特定病気の場合だけに通行遮断ができるということに直してございます。そうしてこういう病気が出た場合にこの病源をなくするということが先決問題でございまして、殊に非常に急性な、急激な、激甚な病気になりますというと、これを殺してしまうということがどうしても防疫上必要な場合があるのでありまして、こういう場合に十六條で屠殺の義務を書いてございます。これは大体旧法と同じであります。十六條は絶対的な殺す義務が出て来てしまう病気でありまして、十七條は状況によりましてこれを殺すことを命ずることができるという種類のものでございます。内容は大体旧法と同じであります。そうして殺すもの、或いは死んだもの、そういうものの措置が二十一條規定してございます。これも原則としまして病源をなくすためには燒くか、埋めるかが最も適切な方法なのでありまして、ただできるだけ防疫支障のない範囲内においてはこれを資源確保のために利用をしたいというので、原則としてはこういうような二十一條にあります第一項の一号、二号というような病気はこれを埋却すると、併し場合によつてはこれを利用することもできるというようなことに変えてございます。で、ただ病性鑑定の場合、或いは研究目的のためであるとか、或いは省令で定めるケース、その省令で定めるケースと申しますのは、この利用する場合であります。例えばこの前に出て参りました一定施設基準従つた化製場利用して、いろいろと肥料であるとか、油であるとか、そういうものを取るとか、或いは伝染病予防土支障のないような場合にはこれを利用し得るというふうな規定なつております。  次に重要な改正は二十八條でございます。これは旧法にはなかつたわけであります。で、こういうような病気を持つた、或いは病気の疑いのあるもの、或いは病気にかかるという虞れのあるもの、そういうものには標識を付けて置いてはつきりしたい。いろいろと標識を付けませんというと紛らわしくて、或いはそれを病気と知つておりまして転売とかいろいろなことがございます。で買つたほうも非常に迷惑するというような場合もありますので、必要があつた場合日には標識を附することができるという規定が新らしく入つております。で、この予防手段一つとしまして、検査をしたり、注射をしたり、或いは薬浴、例えばめん羊疥癬のような場合には、薬をたくさん溜めまして、その中に突込みまして薬浴をするような場合があります。これは三十條に規定してございまして、これは前と大体同じでございます。それから検診をいたします場合、従来年一回必ずしなければならないというようなことは法律で定めなかつた次第でありますが、この重要な病気であります結核病と馬の伝染病貧血については、毎年少くとも一同実施するように新らしく規定を設けてございます。  それから家畜移動伝染病蔓延させる一つの大きな原因になるのでございまして、必要があります場合には、どうしても制限しなければならないのでございます。三十二條にその家畜移動制限が書いてございます。これは従来は旧法の十六條に規定してございまして、この十六條の規定は、ここに書いてございますように、伝染病病毒伝播の虞れある物品の運搬の停止、その他必要なる事項を命ずることができるという形になつておりまして、非常に広汎な規定なのであります。伝染病予防上必要な事項が殆んどできるようなことになつておりまして、非常に広汎過ぎるのでありまして、できるだけこれを具体的にしまして、個人のいろいろな権利とかそういうものの保護をはつきりとさせたい、こういうわけで三十二條はその一つ具体的事項はつきりとしたわけでございます。これは都道府県知事規則を定めて制限しますものと、それから伝染病種類によりましては、都道府県單位では非常に狭過ぎる、例えば昨年の牛の流行性感冒は一月の間に長崎から兵庫まで飛んでしまつたわけであります。その間非常に短い。各県單位でやりますと、なかなかうまく防疫効果を挙げるのに都合が悪い場合があります。それでそういう場合には、農林大臣全国的の関係を睨みましてできるような規定を第二項に入れたわけでございます。  それから三十條の家畜集合の催し物の制限は、これは従来もございまして、又三十四條の放牧等制限は、これは従来の十六條の「其ノ他必要ナル事項」でできたわけですが、これも具体的に二十四條に書いたわけでございます。  第四章は、今度外国から入つて参りますものの病気を阻止する方法と、それからいろいろ、と国際貿易が盛んになつて参りまして、日本からもいろいろと畜産物並びに家畜外国に出て参ります。国際連合のF・A・〇であるとか、或いは国際防疫事務局であるとか、国際協約によりまして、お互の家畜防疫上におけるいろいろの申合せをやつております。それに従いまして輸出入検疫を、家畜伝染病予防上、又国際的の伝染病予防上いろいろときまりましたものを法制化しておるわけでございます。従来は十九條に一項ございまして、この上に書いてありますような細かい事項は全部省令に定められていたわけでございます。それを省令法律事項に挙げまして、第四章の輸出入検疫の章ができ上つたわけでございます。これは飛行機によります検疫も勿論含めております。又郵便物によります輸入の検疫も全部含めてございます。それから又第四十五條は、輸出する場合の検査を定めてございます。これで以て伝染病発生した場合の蔓延防止と、それから対外的の輸出入検疫のいろいろな規定が終つたわけであります。  第五章に、雑則といたしまして、従来これはなかつたのでありますけれども、四十七條で以て、農林大臣が必要な事項都道府県知事指示ができる規定を設けてございます。その指示範囲も、ここにございます第六條、第九條、第十七條、第二十九條から第三十一條まで、第三十二條第一項、第三十三條、第三十四條、この事項に関しまして農林大臣が実施を指示することができるということにいたしました。そうして全国防疫体制責任者としての政府のこの国務の執行を完全にする。それから又四十八條では都道府県との間の協力関係規定いたしました。又四十九條では、その意味におきましていろいろワクチンであるとか、血清であるとかいうものを讓與をしたり、或いは必要な器具類を無償、或いは低い値段で以て貸付けるという規定を新たに入れてございます。それから又五十條はいろいろの薬、動物ワクチンであるとか、血清であるとか、或いは動物病気を診断いたします診断液であるとか、そういうものが勝手に使われますというと、家畜防疫の上に非常に支障がある種類のものがございます。例えばニューカッスルの生菌、生きた菌を、毒を使いまして作りました、予防液がございます。これはアメリカのようなニューカッスルが常在しておるような所にはきくのでありますけれども、日本のように今までなくつて、今年の去る三月に初めて入つたというような場合には、そういう生きた毒の入つておりますワクチンを使われますというと、それからどんどん広まつてしまうという危険があるのでございます。そういうような種類につきましては、農林大臣が指定いたしまして、その使用の際に必ず防疫責任者であります都道府県知事の許可を受けて使用しなければ次ならんということを新らしく入れたわけでございます。これは従来なかつたわけでありまして、従来は指導のような形でいろいろとやつておりましたけれども、なかなかそうも行きませんので勝手に輸入しまして危險な薬を個人的に用いられるような場合がございます。又ツベルクリン検査のような場合には、ツベルクリン検査をやります四十日以内に、ツベルクリンをやられますというと、その後の検査の結果がはつきりとしなくなるわけであります。混乱するわけであります。そういうようなわけで、防疫の必要上五十條というものが入つたわけであります。その次の重要な問題は五十八條でございます。これは手当金交付であります。従来はここに書いてございますように三十九條の下の欄に書いてありますように、伝染病にもうすでにかかつて殺される場合には、評価額の三分の一の手当金であるとか、それから病気が何だかわからないので一応殺してみるという、いわゆる鑑定のために殺すという場合には、この評価額の五分の三であり、牛疫とか、牛肺疫とか、口蹄疫だとか、そういうような特殊の伝染病に接触して発病の虞れがあるというような家畜とか、或いは予防注射をやつたり、或いは薬浴をやる。そういうようなために、それが直接原因で死んだ場合には評価額の五分の四を手当金として出すのでございます。今度は伝染病にかかつたものに対しては、評価額の三分の一というのは同じでございますけれども、その中の一伝染性貧血と牛の結核病にかかりました場合には三分の一でなくて、五分の一を出す。こういうように変えてございます。それから鑑定のために殺してみるという場合には、五分の四になつております。それから注射したり、予防注射をしたり、或いは薬浴をしたり、そういうために死にましたもの、或いは死産をしたり、流産をしたりしたもの、そういうものに対しては評価額の全額を補償する。こういうようなことになつております。それからなお家畜以外に物品伝染病予防のために埋めたり、焼いたりいたします。そういう場合には旧法では二分の一でございます。三十頁の下段の第四に書いてございます二分の一でございますが、今度はその上段の五によりまして五分の四、八割を出すということにしてございます。従来はこの三分の一、病気にかかつたものを殺して三分の一手当金として出すというのが一番多かつたわけであります。これに対しまして三分の一でありますから、大体において手当金をもらいまして、いろいろ死体利用したり何かいたしましても評価を超えるということは殆んどなかつたわけでございます。でありますから、従来の手当金を出しますのは三分の一そのまま出しまして、その死体の肉を利用しようが、しまいが、全然考慮をしていなかつたわけであります。今度の手当金交付は、全般としまして死体利用しました場合には、その利用価額評価額から差引いて、そうして手当金を出すということになつております。二十九頁の五十八條の上のほうに書いてございます。又その手当金の額も、従来は最高金額が九万円を超えない範囲内において政令の定むるところによつて出すという形になつておりますが、今度は最高金額をきめますのは、この上段の第一項の一号、二号だけでございます。評価の三分の一で、殺します場合には一般のものと、それから結核性のものと、伝染性貧血にかかつたために殺したものは五分の四の最高金額を決めまして、あと鑑定のために殺した場合には、そのまま評価額の五分の四と最高金額をきめません。又予防注射をやつたり、或いは薬浴をやつたり、或いは投薬をやつたりしたために事故を起して死んだというような場合も、評価額をそのまま見まして、それの八割をやるということになつております。この三、四は実際問題としては非常に数も少いことでございますし、又第四條の場合のように、注射をしたために死んだというのは、本当ならば全額補償するのが当り前だというので、こういうふうに変つたわけでございます。  それから費用の負担が六十條に書いてございます。この法律によつて定められました仕事をすることに定められました者が結局負担をするという、全般を通じましての考え方でありまして、そのうち家畜防疫員の旅費の全額、それから殺します場合、或いは燒却、埋却します場合の評価人の手当及び旅費の全額、それから都道府県家畜防疫のために雇い入れました獣医師に対する手当の二分の一、それから牛疫血清の購入費又は製造費の全額、これは牛疫という病気日本には全然今ないのでありまして、而もその牛疫が入る可能性が非常に多い。而もこの病気は非常に劇甚な病気でありまして、明治時代に朝鮮を経由しまして、現在の中華民国地区、満州方面から入りまして、非常な畜産上の損害を與えた病気でございます。そういうものは国家的な單位で以て防疫をしなければなりませんから、それに対しては全額、その他の血清類につきましては二分の一の補助、それから第六の消毒薬品であるとか、それから寄生虫の駆除の薬品であるとか、そういうような農林大臣の指定する薬品の購入費の全額、こういうものは国が持つて、その他は結局この法律で以てやることを義務付けられました者が負担する。で、旧法規定は国の費用の負担、それから市町村の負担、それからその他個人の負担を、こういうもので定められてないものは全部都道府県の負担、こういうようなきめ方になつております。併し今度の法律によりますと、大部分が都道府県と国の負担になりまして、個人負担というものが非常に少くなつております。それから六十一條家畜保健衞生所長の事務の委任がございます。家畜保健衞生所法というものが、昨年法律ができまして全国に五百カ所に家畜保健衞生所というものが今年中にできることになつております。現在二百六十カ所できております。これが結局県の更に下の出先機関となりまして、いろいろの伝染病予防は勿論のことでございますけれども、そのほかのものも実施するわけであります。その衞生所が知事から事務の委任を受けまして、届出の受理であるとか、いろいろのことができるようにしてあるわけであります。大体家畜の多寡によりますが、大体一郡に平均一カ所ぐらい、家畜の多いところでは、畜産の地帶では、大体一郡に一カ所、勿論家畜が非常に多いところになりますと一郡のうちに二カ所、三カ所というものもございます。六十二條は、これは従来もございましたけれども、この法律の冒頭にきめてあります病気並びに家畜以外のものにつきまして、新らしい病気が出たり何かしまして、緊急に何らか措置をしなければならん、こういうような場合に、一定期間、一年なら一年以内を限りまして、この第三章の蔓延防止規定全部或いは一部というものを準用できるという規定なつております。これは従来の規定と大体同じでございます。  以上が大体法律の大体骨組と、それから重要な改正点でございます。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 先ほども御承知の通り、発議者のかたが中座されましたので、便宜政府説明員から説明を求めたわけでありますが、只今政府側からは局長も出席されましたので、この際発議者はおりませんけれども、政府側に対して御質問のあるかたはお願いいたします。
  7. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 どこかにありますか知れませんが、防疫員というものは一体何人ぐらいおるか。
  8. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) ここの差上げました資料に表が……家畜防疫員任命状況、第十一表にございます。それで現行の家畜防疫員と申しますのは、市町村吏員であるとか、それから県の吏員も勿論でございます。獸医師であるとか、そういうものから府県知事が任命することになつております。今度の法律によりますというと、これは獸医師を主体として任命いたします。必要があつた場合にはその他の学識経験者も任命できるということになつております。ここに書いてございますように、五千二百六十二名が一応任命されてございます。結局家畜防疫員がこの法律の施行の実施者になるわけでございます。
  9. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 大部分法律が直つて来ておるようでありますが、実は今日は時間もなくて、これから三時になつたら行かなければならんのでお流れになるような心配がありますが、(「簡單」と呼ぶ者あり)簡単です。大したことはありません。伝染病予防については、病気発生してからの予防は随分あります。併しながら発病の予防というのは至つて少い。例えば牛の肺結核、馬の伝染性貧血、これが一年に一回は検査するとあります。これは発病の予防だと考えれば、あと発病に対する予防というのは、勉強が足らないので見付からんかも知れませんが、見付からないわけであります。そこで問題は実に罰則が多い。問題はそこで防疫員がこの罰則をないように指導するのかと思いますが、家畜主そのものが、これを会得して、こうなればこの罰に触れるという考えを持つておる人は、私は一人もおらんと思う。悪いかいいかはよくわかります。これをこのままに放つて置けばいいとか悪いとかということはわかりましようが、ここに書いてあるような罰則にこうすれば触れる、こうすれば触れんという区別をつけられる人は少いと思いますが、併しながらただ家畜主であつて、獸医とか或いはその他の技術を修得している人はそうでありますまいが、普通の家畜主などにおいてはそういう人はないと思うのですが、獸医そのものの罰則はありません。併しながら殆んど三十條に余る罰則が書いてあります。重いのは三年以下の懲役、十万円以下の罰金、一年以下の懲役、五万円以下の罰金、こういうふうに書いてあります。それを指導するのは防疫員がやるがか、それから又村で獸医がいろいろ判断をし、私に言わせると非常にむずかしいものと見えまして、例えば伝染性貧血だという疑似馬が出て、その疑似馬を一人で判断ができなくて、三人も立会つて、その判断をやつて、その結果がいけないということになつて殺処分する、こういうことになつておるのですが、あれは獸医が勝手というわけじやありませんが、病馬が出て、行つて見て、獸医そのものが伝染性貧血であるという断定をすれば、それで結構であるのか、やつぱり防疫員がいなければ駄目なのか、一つ聞きたいと思う。
  10. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) 発生予防でございますけれども、予防のできます病気に対しましては、全部でき得る限りにおいて発生予防手段をとる。例えば予防注射で以て予防できますものは、全部予防注射をいたしますし、又予防注射のないような場合には、結局伝染病にかかりますのを防ぐのには、個体の抵抗性をつけるというのが先決條件でございますので、その基底になりますものは、どうしても寄生虫が非常な感染源になるわけでございます。寄生虫にかかりますというと、御承知うに非常に栄養も悪くなります。栄養が悪くなりますというと抵抗力が非常に鈍つて参ります。そういうような方面からも今度の発生予防規定によりましていろいろの方策がとれるわけでございます。従来の規定ではなかなか広く解釈いたしますというと、伝染病予防上必要があればということになつておりますから、できたわけでありますが、現実にはやはり発生したものを予防するというような趣旨の法律の建前でございまするので、なお予算関係がありましてできなかつたわけであります。今度の法律によりますと、そういつた方面でも立入つてどんどんできるような形になつておるわけででございます。それから罰則は非常にたくさんあるのでございます。これは法務府のほうに相談しましたときにも、非常に多いということは言われました。いろいろ相談したが、そうかと言つて罰則なしというわけにも行きません。結局指導によりまして、すぐと届出がなかつたら、これは非常に嚴罰に処するとかそういうことでなしに、指導をしながら悪質のものについては、勿論これを適用する。又その他不起訴とか、或いは猶予とか、いろいろなものがございますので、そういうのをよく運用しまして、できるだけ指導的にやつて行きたい、こういうふうに法務府のほうとも相談をしてございます。  それから殺処分の場合でございますけれども、これは結局殺処分を出します場合には、この特定病気が出ましたときには、それを殺処分しなくちやいかんという限定された病気と、それから情勢によりまして殺処分を命ずることができる場合と二つございます。特定病気と申しますのは、牛疫とか、牛肺疫とか、口蹄疫とか、こういうような病気でございまして、これはもう法律できめまして絶対にこれが出たと確認されたと同時に、殺処分する義務が所有者に負わされるわけでございます。そのほかの一般病気に関しましては、家畜防疫員が検査をしまして、伝染性貧血ならば伝染性貧血と決定いたしますというと、その防疫上の見地から見まして、これをこのまま飼つて置きますというと、よそへ伝播の虞れが非常に多い、そういうような防疫の実情を睨みまして、知事が殺命令を下すわけであります。でありますから、山の中にぽつんと一軒ございまして、全然他と隔離されておるような状態にある場合に、全然ほかのほうに伝播の虞れがないというような場合には、殺命令を出さない場合もあるのであります。又トリコモナスとか、そういうようなものが出ました場合にも、種附禁止だけをしておけば、ほかに移る可能性がないというような場合には、勿論殺処分はしませんし、又法律にも殺処分をし得る病気対象にしてございません。
  11. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 これは非常に疑問ですから、専門家によく聞きたいと思うのですが、例えば一つの川を間にして村が三つある。そうして真中の村に非常に伝染性貧血発生した。ところが上も下もさつぱりその気がない。そうして聞いてみると、いや、やつたら大変なんで、百姓が困る。だから俺の所はやらんのだ、こういうことはどうも困ると言つていると、隣の川上のほうの村が、それじややろうかと、やつたところが同じ村に六十頭も七十頭も出る。それでも下の村はとうとうやらずに済んだ。その割に死んだようでもなければ……、それからどうもその正体がわからんので、そこで伝染性貧血というものは、成るほど非常に重病なのは、これは当然なんにもならんわけですが、そうでなくて感染をしておつても時期が来れば一体治るものかどうか。それからその次は牛の結核が恐らく嚴重に検査をすれば、例えば東京都の附近のようなところの牛は殆んど全部かかつておるのではないかということも言える、そこでこれもやり始めると非常に大変なことで、一カ所に百五十頭も二百頭も出ますが、そうするとそこの農家は非常に困る。そうで、なく、あるなんといつてもやらずにおけば、気候の関係、或いは日時の関係で治るかどうか、一つ聞きたい。
  12. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) 馬の伝貧も、牛の結核も、殆んどもう治癒の見込は現在の学問におきましてはないということになつております。それで一応伝貧の病勢から見まして、非常にむずかしい病気なのでございます。診断のほうも一応現在の学問の程度ではございますけれども、それも一〇〇%ではありませんが、又治療のほうもこれは一〇〇%どころか、大変な治療の方法がないという状態なつております。又予防注射とか予防方法も勿論これもない、結局問題はそれは放つて置くとどのくらいの実害があるかという問題になるのでございます。伝貧も結核も同じようにかかりまして、非常に大事にしまして、人間が結核になりましたときのように、うまいものを食わせまして、そうして大した労働もせず、立派な家に入つて看病が届きますというと、動物の結核でも、動物伝貧でも、非常に長生きするのであります。ところが非常に管理、使うのが非常に過ぎたり、或いは栄養が落ちたり、或いは気候的に非常に不順であつたり、そういうようなことになりますというと、すぐと又出て来るわけであります。御承知のように、今競馬の方面で以て伝貧が非常に問題になつております。これは二、三年前からの問題でありまして、殊に近畿地区競馬馬に大分伝貧が出ておりまして、我々やかましく言つて検診を励行さしたり、いろいろの防疫対策の励行を言つたのでありますけれども、持主がなかなか協力をしてくれないわけであります。併しまあ一応強行しまして、この馬は怪しい、勿論もうはつきりきまつたものは殺処分はいたしております。併しやはり検診をいたします場合にも、怪しいというやつと、はつきりするやつと、全然その病気で、ないというやつと、まあ三段階がありますが、その怪しいといつたようなものについて見ますというと、二、三カ月の間に殆んど全部死んでおるのであります。それは競馬の疾走が御承知のように回数が多いもので、非常に殆んど休みなしに走つてお出る。こういうような状態つたもんですから、こちらのほうでこれはどうも臭い、従つて注意しなさいといつたやつが大抵二、三カ月たつと死んでおります。そういうような関係で、非常に理解して参りまして、現在では向うで進んで近畿地区競馬関係のかたがたは進んでその検診を頼んで参りますし、又多少怪しいというやつはすぐ処分しております。そういうような関係で収益とか、そういうような相対的條件が非常に高まるというと、どうしても出て参ります。ただ場合によりますというと、やはり期間が相当長くなるのであります。併し長くなりましても、やはりこれが全然、注意すれば治つてしまうということはもう殆んどないのであります。で、今お話のありましたような、片一方やつて、片一方やらんというような場合でありますけれども、これは実際に申しますというと、我々のほうとしても全部これをやつてはつきりするようなふうに指導はいろいろとやつていたのでありますけれども、殺処分の手当の金が少いとか、いろいろの関係でそれが各県当局としましてできなかつた事情があるのであります。でこの二、三年以来全国的に拔取調査をいたしまして、伝貧蔓延状況その他を調べました表が、この十六表の二に書いてございますけれども、大体において全国で以て五%くらいの検出率になつております。それをよく話しまして各県の農民にいろいろと話しまして、最近では農民のほうから自発的に検査をしてくれ、こういうようなことを各県のほうに申出て来るような情勢になつておりまして、昨年は青森の一部でやはり共済組合関係で以て、これはとても近頃のような死亡率が高くちやとても困る、何らか一つ調べてもらいたいと言い、そこで調べましたところが、実は伝貧が非常に多かつたわけであります。今までそれが検診が何故できなかつたかと申しますと、今お話のありましたような関係で以て、その持主が非常に逡巡していたわけで、県のほうとしても強行ができなかつた。そういうようなことでこのまま放つておいたんじや共済組合も潰れてしまう。何とかしてはつきりした、きれいなものにしてしまつて、あと悪いものを入れないようにして、計画的に予防をやつてもらいたいということで、昨年は二万何千頭ですか、検査をしまして、相当の頭数を淘汰いたしたわけであります。北海道も昨年九八%ばかりの検診をいたしまして、大体私どもの調査に基きまして五%の検診率も出しております。それも計画的にだんだん淘汰して行くというような計画を持つております。どうもいろいろの治療法が戰前はされておりますけれども、すべて殆んど衞生試験所その他で以て、これはよかつたと思われるような方法は全部やつておりますが、今のところこれならば治るというような方法はないのであります。
  13. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 私どもは去年までは、相当暑くなつて虻と蚊が出るようになるまでは、伝染性貧血は起らないと思つてつた。去年まではそうだつた。ところが、去年は虻も蚊も出ない先からどんどん出て困つたわけですが、これは虻とか、蚊が媒介するということもあるんですか、どうですか。
  14. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) 御承知の通りに虻が主体になつて媒介するということになつております。これは日清戰争でしたか、日露戰争でしたか、日清戰争の後であつたと思いますが、その後軍馬改良のためにいろいろ外国種を大分輸入いたしました。そのために恐らく持つて来たんだろうと思いますが、大きな問題になりまして、日本で全部著名な研究者を集めまして、媒疫調査委員会というものができまして、それまでは殆んど世界にもちやんとしたデータがなかつたのでありますけれども、その媒疫調査委員会というようなところで、いろいろ厖大な試験をいたしました結果、虻が媒介するということに決定的なデータが出まして、各国の研究者もそれを認めております。現在でもそれはアメリカでも最近新らしい試験をやりまして、それを確認しております。
  15. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 実は私どものほうは馬の産地なものですから、北海道が生れた二歳、三歳馬が内地のほうへ出てから非常にそれが多い。こういうのでこれをなくするということは容易でないと思うんですが、そこで去年困つたんですが、手当金の問題ですが、今度実は率は上つた。ところが牛の十万四千円というのは、これが高いとは申しませんが、馬はその場合低いのじやないかということを考えるのですが、率は上つたのだが、馬の価格が低いとそれよりいけないので、だんだん下へ押されて、去年九万円、今度は六万何ぼですか、四千円ですかということになつているが、これは牛を押えた価格はどこを見て一体押えたのは、牛も高過ぎるというのじやない、馬が安過ぎるんですが、どうなんですか。
  16. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) この細かい計算のことは全部お手許の資料にございます。それの第二十五表でございますか、そこを御覽頂きますと、ここに図がございます。でこの図の縦の軸が頭数でございます。横の軸が円であります。これは今の手当金を二十四年の四月から二十五年の三月まで手当金を出しました実績によつて牛、馬、豚等の表をとつたわけであります。この牛については実線が示すようになつております。縦の線が頭数でありまして、横の締が円であります。牛の場合を見ますというと、最高が五十万円というのがございます。これは極く僅かな一頭か二頭でございます。それから最低が一万円ということになつております。而もその各県の各市場価格を、ずつと各県の調査によつて調べますというと、大体において市場価格の平均が七万円になつております。これは牛につきましては殆んど結核が主であります。でありますから乳牛であります。乳牛で而も結核でありますから大体搾り盛りの牛で一番高いものの対象になるわけであります。これによりますというと、千八頭でありましたか、ありましたうちで、平均を見ますと十万二千九百四十円になります。その中間を見ますというと、ここに実線のMというところにあります、これが十万二千九百四十円のところなんであります。その幅を見ますと、その前後しました平均値の偏差を見ますと、上に四万二千二百六円下に四万二千二百六円というようなこういうような幅があるわけでございます。それでこの全国平均の市場価格を県で以て調べました七万円に、この四万二千という偏差を丸くいたしまして四万円とし、而も年間の牛価の変動を調べて見ますというと、上に二万円くらいの幅があるわけであります。その二万円を加えまして、七万円、四万円、二万円を加えまして十三万円というのを評価額の標準というふうに見たわけでございます。それの八割でありまするから十万四千円でございますか、ここに書いてありますその額が出たわけであります。それから馬のほうも同じようにしてやりますというと、ここにありますこの点線、この長いのと短い波線の線になりまして、牛では五十万円というやはり最高がございますが、これももう非常に数が少い、最低が五千円というのが出まして、これは千九群百四十五頭の実績がございます。この平均をしますと五万九千五百二円という平均になりまして、そしてその幅は、ここにあります三万二千円何がしということになつております。それで片一方、もう一つは県の市場価格をずつと、実績を調べて見ますと、馬の平均価格が県で四万円になつております。四万円に只今申上げましたような牛と同じ方法で加えまして、馬が大体七万円だつたと思います。それを評価基準といたしますと、八割になりますと五万六十円ということになるわけであります。全般同じ方法でやりまして、基礎となりますのは、今まで手当金を出しました実績と、それから各県から取りました基準評価、それを基礎として同じ方法で算定してこういうような結果が出たわけであります。
  17. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 これはちよつと腑に落ちないので、馬の最高五十万円の最低五千円というのは、これは五千円の馬は何頭おつたかというと、恐らく五千円というような馬は田圃もできなければ荷物もつかんという馬で、これはもはやその価値のない馬なんで、それへ持つて来てよい牛と馬と両方必らず飼つておると思います。そこで馬を一頭牛を一頭持つてつた農家が、馬一頭死んだのでは農家は五町歩の畑は何もしようがありません。馬が一頭死んだら早速代馬を買わなければならない。表面はその通りで、最高五十万円最低五千円の馬、その五千円に非常に疑義を持つ。五千円の馬は何頭おつたか、五十万円の馬はそうたくさんおらんと思います。そうなりますと、この算出の仕方によつて非常な慘めな目に会いはしないか。馬は去年の八月頃から下がつてつて、暮から又どんどん上つておる。北海道なんかは今のところでは、先ず終戰後の最高ではないが、大体いいところで売買されております。そこで若しこれが適用されますと、全部六万四千円くれといつてもなかなかくれないと思います。そうすると産地へ行くと困ると思います。又去年と同じことを繰返しはしないかと思いますが、そこらはどうなんですか。
  18. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) 実は値段の関係をずつと調べておりますが、昨年の春頃から下がりまして、秋頃から又ずつと上りかけております。それもずつと参考にして考えたわけであります。大蔵省の予算のときに、向うの査定では牛が三万五千円というようなことでいつて来たわけであります。それはすべての物価指数をずつと見て行きますとそういうようなあれになつておるわけであります。それではとてもいかないし、馬も又もつとそれより低かつたので、現在ずつと上つておる傾向にあるし、而も殺される対象になるものは、牛では乳牛であり馬ではとにかく農馬の相当働くものがやられるからというので、一応二十六年度の予算では三万五千円というのを五万円まで向うでは認めてくれたわけです。併し私どものほうでは七万円でないととてもいかないだろうということでいつたのですが、実績を見ますと、やはり牛においては大体七万円平均になつておるわけであります。馬では四万九千円ぐらいになつておるわけであります。それで今のところの資料としましては、これより高くなるような資料がなかなか探せないのであります。
  19. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 実は殺処分をする防疫医なり獸医のことであるが、馬を五頭、十頭殺しておると神経衰弱していやになる。色を青くしてやつておるのですが、私はあれには相当手当といいますか、人間に報いるという意味で、恐らく馬を殺すということはいいことではありません。そこで例えば人の死刑も同じことだと思いますが、毎日如何に動物とはいえ、大事な家畜をどんとん殺すということが上手になつて、穴を掘つて穴に入れてそのままやれば坐り込んで死んで行くようにやつておりますが、以前には繋いでおいてぼーんとやられるのですが、目隠しして逃げておる。たまに一頭や二頭なら何でもないのですが、毎日五頭、十頭と殺すというと、その人間は全く馬鹿みたいになつておる。これは当然何らか多少のことを見てやる必要があると思いますが、一体どうです。
  20. 齋藤弘義

    説明員齋藤弘義君) その通りに我我も考えております。なお実はこの資料にもございますが、伝貧に関しまして五カ年計画で以て何とか殆んどなくなる程度にしたいという計画を立てております。それで五カ年計画にいたしましても、本年殺します頭数でも全国で七千頭近くになるのであります。北海道地区だけで恐らく五千頭近くになる、そういうふうにまとまつて出ますので、五千頭ありますというと、一口に十頭ずつ殺しましても、三千六百頭であります。一応この利用という途を考えなくてはいかんと思います。北海道庁ともいろいろ相談しておりまして、何か共同施設を使いまして、少くとも鬣でも革でも、或いはできれば肉でも何とか利用の途を講じたほうがいいんじやないかというので、今研究中でございます。
  21. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 実は度胸もないからそういうことになるのではないかと考えます。現に私のほうでやつておりますのは獸医の少佐であります。それがなかなかの頑張り者で、人や馬を殺すことは何でもないというが、さて毎日やつて見るとそうではない。同じ人間ですから是非一つ研究つて、そういうものの手当を多少何かできる方法をお願い申上げておきます。   —————————————
  22. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案に対する質疑は本日はこの程度にいたしまして、次の案件に移りたいと思います。  先に御了承を得ましたように、本日はこれから去る三月二十日当委員会から政府に申入れをしました蚕糸業の振興に対する申入れに関して政府側から回答がありますので、この問題に入りたいと思います。それでは青柳蚕糸局長から回答の趣旨を説明して頂くことにいたします。
  23. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) お申入れの趣旨は三項目に亘るのではないかと私ども考えておるのであります。一つは蚕糸業の一つの目標を出したらどうかということであり、一つは閉鎖機関になつておりまする蚕糸統制株式会社並びに蚕糸業会の残余財産の処分をどうするのかという点であります。一つは指導員の身分の安定をどうやつて図る考えか、こういう三項目のお申入れのように思われます。  それで一番初めの蚕糸業のつまり目標を総合的に考えて一つ立てて見たらどうかというのに対しまして、今度はお手許にお配りしましたような案を農林省の省議並びに関係の各業者の大体同意を得ましたので、こういう案を一応御提示するわけであります。それで一応私読み上げて見たいと思います。読み上げましてそれを敷衍して参りたいと思います。    蚕糸業振興緊急対策要綱  第一 目的    日本経済の自立達成のため、蚕糸業の安定を図り生糸の生産を確保し、輸出を増進して国際收支の改善に寄與するとともに、養蚕業の生産力高揚により農家経済の安定を期することを目的とする。  第二 目標並計画    これがため政府は、昭和三十年における桑園面積二十五万町歩、産繭額三千三百万貫、生糸製造高三十万俵、生糸輸出十五万俵を目標とする蚕糸業振興五カ年計画を策定し、その完遂を期するものとする。    年次別計画は別表によるものとする。  第三 対策    右計画の完遂を期するため左の対策を必要とする。   1 桑園生産力の向上    イ 桑園の拡充    ロ 桑苗生産の確保    ハ 優良桑品種の普及    ニ 桑園能率の増進   2 優良蚕品種の普及   3 養蚕共同化の普及    イ 稚蚕共同飼育所の新設並改修    ロ 稚蚕共同桑園の設置   4 蚕桑病虫害の防除   5 蚕業扱術指導の強化    イ 蚕業技術指導所の拡充    ロ 蚕業技術指導網の強化   6 産繭処理の合理化    イ 乾繭引の普及    ロ 協同組合製糸の育成   7 購繭資金の確保   8 製糸設備の近代化   9 海外における生糸の消費宣伝  10 繭糸価格安定制度の確立  第四 措置    政府はこれが実施を強力に推進するため予算的並びに資金的措置を講ずるものとする。  次は、この各対策につきまして融資並びに業者の出資、並びに予算というようなものでどういう方向でこれをやつて行くかという点をそれらの三項目に分けてこれを書いてあるわけです。その次の「蚕糸業振興五ケ年計画」の案、これは五カ年に亘つてこの程度の桑園の面積を拡充して参りまして、繭の收量はこの程度になり、生糸の生産目標はこういうような形にしたい、こういうことであります。その次のものは生糸の需給の推定表であります。これだけの生糸が生産されました場合に、輸出という問題が起るわけであります。そういう場合に輸絹並びに内需はどのくらいのものになるかということを表示した計数でございます。これに基きまして一応お話し申上げます。  こういう案を策定いたしまする際に我々として考えましたことは、結局今後の目標をどこに置くかということが一番大切な問題になるわけであります。それは内地の消費は勿論のこと、海外におきまする消費の目安はどの程度になるかということが一番大切なことであるわけであります。とにかくこの蚕糸業の一番基盤であります養蚕は、永年作物を相手にしておりまするだけに相当その目標がはつきりしたものでありませんというと、不当に養蚕家に対して御迷惑になるのではないかというような考えからいたしまして、この目標の策定に当つてはいろいろ海外の業者とも十分連絡をいたしまして、実は昨年の十月、ニユーヨークへ参りました際、又本年の四月にヨーロツパ及びアメリカの絹業の人たちが日本に見えました際にいろいろと折衝しました結果、とにかく三十万俵程度ぐらいが一番よくはないかというようなことを言われておるわけであります。それで我々といたしましては、差し当り五カ年間に三十万俵程度のものを一つ目標にして行こうじやないかというように決定したわけであります。次に問題になりますることは、これに即応して如何に桑畑を殖やして行くかという問題でございまするが、それに対しましてはやはり現在の情勢から我々が常に考えなければならんことは、食糧の増産との間の均衡を如何にしてとるかということが問題になるわけであります。それでその均衡の問題につきましては、この三番目の表を一つ御覽置きを願いとうございます。「蚕糸業振興五ケ年計画」というこの表を見ますと、一番最後に五年後において桑園面積が十四万九千八百三十町歩になるわけでございます。ところが現在どれくらいの桑園面積があるかと申しますというと、十八万三千二百八十三町歩あります。これは昨年の十二月初めの桑園面積でございます。従いましてそうすると五カ年間でどのくらいの桑園面積が全体的に増加するかと申しますと、絶対増加が六万六千五百四十七町歩くらいになろうかと思います。それでその場合にここに「その他」という項目がありますが、「既耕地」、「その他」ということになつておりまするが、この六万六千五百四十七町歩というものを、既耕地を潰して桑畑に転換するということが一番問題になるのでございますので、この「その他」というのが約九千町歩くらいあります。約一万町歩くらいありますが、これは例の林野の関係で、現在造林なり或いは又治山治水の面で政府施設しておいでになります。これらの面でできるだけ桑園に利用し得らるる部分は一つ利用しようということと、それからいま一つ今後開拓されまする開拓地におきまして、経済的の面から、営農の面から取り得られる部分だけは一つ取入れて参ろうという見解からいたしまして、約九千町歩のものはそれらの面に充てて行こうということでありまするので絶対的に既耕地を潰す部分は従いまして五万七千町歩ばかりになろうかと思うのでございます。併し五万七千町歩の増加を年々どういう程度に増加して行くかということになりますと、二十六年、二十七年の初めの二カ年間は急速に成るべく増加をするということを避けまして、勿論これは桑苗の確保という問題もございまするが、むしろその増産のために二十八年、二十九年、三十年の時代においてその増産を進めて行こう。既耕地の面積を進めて行こうという点を考えておるわけであります。  次に考えますることは、この計画案で最も心配いたしてありますことは、これだけの桑園を確保しまするために如何にして桑苗を作らせるか。又作つた桑苗を如何にして植え付けさせるかという面でございまして、これを單に養蚕者だけの気持に任すとそうことではなかなか困難であります結果、これを或る程度国としてはこういう計画が輸出産業を維持する上においては必要であり、而も将来の日本の農村の経済から見て、いわゆる現金收入の一つの何としてこの養蚕を取入れて行く建前からしますならば、或る程度そこに重点を置くということが必要ではないかということを考えておりまするので、後ほど予算の面で説明いたしまするが、主としてこの五カ年外画で我々として予算を使いたいという意味は、この桑苗の生産とこれを植え付けるという面、これらの面に焦点をおいて参りたいと、こう考えておるわけでございます。そして而も我々といたしましては、生糸自体の面について幸いに現在は競争者は余りございません。中共などのごときものがありまするが、アメリカにおきまする消費数量を見まするというと、アメリカの消費数量五のうち中国糸といいまするものは約一割くらいのものでございます。而も十二月以降におきましては激減しておるというような状況でございまして、ただ我々として心配しておりまするのは、競争繊維との間の確執でありまして、従つて生糸は独占的な商品でないという形になりまするので、この競争繊維とやはり或る程度確執して行くためには、この際若しこういう増産を進めて行くという場合におきましては、今後におきまする養蚕の合理化の面、成るべく生産費を低めて安い繭を作るという面からいたしまするならば、この際桑園の改良ということも積極的に考えて行く必要がありはせんかということを考えておるわけでございます。それでこの案を御覽になりまするというと、五、六行目に改植面積というのがありますが、二十六年度九千町歩、二十七年度七千町歩、そして三十年で合計四方町歩ばかりになつておるのでございます。この面積は、この改植というのはどうかと申しますと、現在桑園になつておる部分を新たに植え替える。能率のよい桑畑に植え替えるという意味にこれを解して頂ければ結構だと思うのであります。そういう意味でございまして、現在荒廃桑園、つまり経済年数以上に達しております桑園の面積はどのくらいであろうということを推定して参りますというと、現在の桑園面積十八万町歩のうち約八万町歩くらいがもうすでに経済年数の経つた、つまり老朽桑園と思わるるものでございます。従いましてこの際我々といたしましては、この老廃した桑園面積の八万町歩のうち約四万五千町歩くらいのものは、これを新たな生産力の余計な桑畑に替えて参りたいというような気持を持つておるのでございます。この際やれますものならば養蚕家としての合理化を、桑園の面積においてもこの際一気にやり遂げておくために五カ年計画の中においてやつて行つたらどうかというような気持からいろいろ考え方をしておるわけであります。従いまして予算的な措置といたしましても、でき得る限りこの桑園の確保という問題、桑苗の生産という問題、この問題に主力を注いで予算を立てて参りたいと、こう考えておるわけであります。  それで一応対策の点をお話し申上げますというと、第二番目に書いてあるのでございまするが、その対策の内容は、第一番目の桑園の生産力の向上という面でございまするが、その中の桑園の拡充及び桑苗生産の確保という問題につきましては、桑苗生産確保の予算的措置を講じたいという点を我々のところでは考えておるわけでございます。併し従来の予算の編成方針から申しますというと、これはどういうような形を我々は今考えておるかと、こう申しますというと、今考えておりますこの予算的のやり方は、養蚕の団体が自分で桑苗を生産いたしまする場合、或いは又桑園苗業者に委託いたしましてます。併しこの面は非常に従来の予算の立て方の面からいたしまして、なかなか大蔵省との面におきましては相当のフリクシヨンもあろうと思いますが、この面を或る程度解決しないというと、この増産計画というものも甚だ厄介なことになるのではないかと我々は考えておるわけであります。次に優良桑品種の普及でございますが、これはすでに二十五年度から我々として計画しておる予算的措置であります。これは先ほどもお話ししましたように、今後の養蚕家として経済的に有利にすりためには、やはり立派な桑園を保持して行かなければならん。立派な桑園のためには桑品種の優良なものが必要だという意味合いからいたしまして、優良品種の育成という面につきまして府県に補助をいたしまして、府県の試験場で桑苗の生産をやつておるわけであります。この面の予算的の措置でございます。次の桑園の能率の増進でございまするが、現在桑園の能率が落ちておりまする部分の中を検討して見ますると、非常に酸度が高いという面が非常に多いのでございます。現在考え見ますというと、約十八万町歩のうち約四万町歩くらいが非常に酸度の高土壌だという面からいたしまして、この土地改良も是非やつて参りたい。これをやりまするというと増産になりまするし、又一方單作の安定も期せられるという面からいたしまして、この面の予算的措置としては強力にやつて参りたい。これはつまり酸性土壌を変えまする意味で石灰を買いまする一定の購入費に対しての補助の面を考えておるわけであります。それから優良蚕品種の普及でございまするが、これは現在もやつておりまする措置でございまして、そうして一方蚕種製造設備の新設資金の融資措置と書いてありますが、これは結局設備に対する融資でございまして、この面は例の農林漁業資金融通法に基きまして現在まだこれは未解決になつておりまするが、我々といたしましてはこの部面についてできるだけあの便宜な金融措置をこの際一つ利用さして頂きたいということで、これが折衝を進めておるわけでございます。それから養蚕共団化の普及でございますが、この稚蚕共同飼育普及の予算措置、これは金額は、今のところ考えておりますることは桑園の能率の増進の場合とか或いは桑苗生産の確保の面から見ますると非常に少いものでございまして、稚蚕共同飼育所の新設なり或いはその面の指導なりという面の予算的の措置でございまするので、これは單に旅費なり或いは施設なりの所要の面の予算を今のところ我々考えております。それでこの中の一番大きなものは稚蚕共同飼育所新設資金の融資措置でございまするが、これは現在の蚕糸業の情勢を見まするというと、増産も漸次とにかく現在の情勢からいうと進んでおります。今年度のごときはすでに農林統計から申しますれば、生産のあれから申しますると春蚕が一二%以上も増産されはせんかというようなことを言われております。全体的に見ますればもつと増加するのではないか、こういうような感じがいたしますので、つまり現在製糸家が繭に対する希望條件といたしましては、まあ重より質の問題に順次移行しておるようなことでございまして、やはり繭質を改善して行くということが今後の蚕糸業の面においてはたくさん取上げなければならん問題だろうと思うのであります。それに即応する意味合いから稚蚕共同飼育所というものの普及を図つて参りたい。現在相当その気運は横溢しておるのでございます。ただ資金がないというような関係からいたしまして、これ又先ほどもお話しました農林漁業資金の融通法に基きましてこれはこの資金の、我々は恐らくこの次の議会に出るのではないかと、こう思われるのでございますが、法律的にはこの方面に融通するということはすでに皆さんの御了解を得て法案なつておるはずでございます。それからその次の蚕桑病虫害は、これはすでに予算的の措置は講じられておりますし、それから蚕業技術指導所の拡充、蚕業技術指導網の強化というのは、これは第三の問題で申入れがございまするので、その面はその点で一つ説明を申上げて参りまして、ここでは避けて参りたいと思います。  それからその次の蚕繭処理の合理化でございまして、乾繭取引及び組合製糸のこれは育成でございまして、この部分の新設、改設、補修及び増設の問題につきましてはこれ又他の場合と同様に、まだ農林漁業資金の融通法の中にはこれが認められておりませんが、今後こういう関係は是非一つ資金の融資も認めてもらいたいという考えでおります。その次の購繭資金の確保でございまするが、これは一昨日日本銀行で大体これに対する態度が発表されまして、業界といたしましてもあの日本銀行の措置に対しては非常に好感持つておる程度の條件で解決を見ておるわけであります。その次の製糸設備の近代化でございまするが、これは例の見返資金をこの方面に一つ使つて参りたい。これは自動操糸機のようなものをこれは考えておるわけでございまして、この面に実は見返資金の融資をしてもらいたいということでやつておりましたが、非常に時期が遅れました関係もありまして、見返資金が困難でございましたが、その後の例の開発銀行の資金を優先的に取扱つてもらうというようなところへ現在来ておるわけでございます。まあこの方面の改善も我々としては製糸部面においては推進して参りたいと、こう考えておるのでございまして、非常に最近製糸の部面も昨年の生糸年度におきましては幸いに相当利益金も計上されておるような関係もございますので、これに或る程度購入資金を注入いたしまして、極力合理化の線を徹底して参つたほうが今後の蚕糸業の方面のためにはよろしくはないかと、こう考えておるわけでございます。その次は海外におきまする生糸の消費宣伝、今度のこの増産計画を立てましたものが、養蚕家側からいたしますれば、増産すれば値が下がるのじやないかというような懸念もありましたのでございまするが、この最後に二十六年度蚕糸業界醵出による消費宣伝費と、こう書いてあります。これはすでに養蚕、製糸、それから輸出問屋と、各業界の人たちが挙つて宣伝費を醵出しよう、現在すでにまとまつておりますことは輸出問屋、それから製糸家のほうでは昨年の七月以来すでに醵出をしております総額は約五千七百万円くらいこの五月末までには積立てられるのではないかと、こう考えられるのでございまして、今後そのほかに養蚕家側にも積立てに協調して頂くということになつておりますので、この四月に海外の業者が参りました際に、我々側としては向うに一応そのめどをすでに提示しておりまして、又それの金額に基いて海外側では宣伝の計画を進めて参るというふうに、起ち上りの形勢はすでにできておるわけでございます。従いまして我々としてこの際すでに消費の部面においてもこういう手を打ちました以上、増産の面につきましても或る程度の手を打ちましても大して困難ではないのじやないかというような、気持からいたしまして、この増産計画はできておるわけであります。それから次に繭糸価格の安定制度の問題でございまするが、これはまだ実はこの第二項の申入れの事項にも関連しまするので、その際に御説明申上げたいと思います。その次は計画の推進でございまするが、これも非常に予算の金額としては少いのでございまして、つまり農林大臣のいわゆる表彰的の措置を講じまして、この計画を推進して参りたいという程度でございまして、予算的の金額としては非常に少いものでございます。大体こういうような方向で農林省としては進めて参りたいという気持を持つておりまするが、政府部内と申しまするか、大蔵省の面との予算的の折衝ということになりますというと、まだ未解決でありますので、今後できるだけ皆さんがおよろしいということでありますならばこの線に沿つて極力予算的の折衝も進めて参りたい。こう考えておる次第であります。  それからその次の問題は、これは先ほども申しましたように閉鎖機関になつております。日本蚕糸統制会社並びに日本蚕糸業会の清算の剰余金、或いは日本蚕糸統制会社には繭糸価格安定資金というのが約一億くらいございます。それから日本蚕糸業会の清算剰余百金というのが約十二億八千万円ばかりの金額が現在あるのでございます。これらのものを一体どうする考えかというお考えかとも思うのでございまするが、この面につきましては衆参両院の皆さんの非常な御努力によりまして、実は今これにつきまして司令部と法案を現在折衝しておるわけでございます。その法案内容をお話し申上げますというと、議員提出でこれは出して頂くことに現在なつているわけでございます。これはこの閉鎖機関の日本蚕糸業会の残余財産と申しまするというと、これは株主に分配しなければならん形になつているわけでございます。そうすると株主に分配いたします前に特別法人税がかかるわけでございまして、これが約三割五、六分ぐらいから四割近くのものになるのじやないかと思うのでございますが、この程度のものの税金がかかるわけでございます。従いましてこの洪業の内容といたしましては、これらの税金を免除してもらいたい、免除してもらいまして、そして自分たちの取り分を一緒にしてこれを政府に寄附をする。ただ無條件で寄附するわけではなしに、これを蚕糸業の振興のために将来使うという形でやつてもらいたいというようなことで、一応の案を作りまして、今司令部に折衝をして頂いているわけでございます。それは参議院のほうは、ここの席においでになります白波瀬さんから司令部に折衝して頂き、それから衆議院のほうは八木代議士からやつて頂いているわけでございます。  それからその次の養蚕農家の技術指導員、つまり養蚕指導員の身分安定、一般農業普及員という者との間の待遇を成るべく同じにしたらどうかというような御趣旨じやないかと思うのでございます。これも前回お話がありました際に、蚕糸局といたしましてもできるだけ、この方面は一番蚕糸業といたしましては厄介な問題でございますし、又これをやりませんというと、なかなか蚕糸業の振興という面につきまして、とにかく自給自足の経済をやつている養蚕農家を引連れて増殖なり或いは品質の改良なりに邁進するというためには、この末端の農家に接触しておいでになるこの指導員の身分安定ということが一番取上げられるべき重要な事項ではないかと思うのでございます。ところがこれは従来の行き方から申しますというと、この身分は普通の農業改良指導員とは違いまして、養蚕農家、養蚕の団体に身柄をおいておるわけでございます。なぜそういうような形をとりましたかと、こう申しますというと、とにかくこれは一般農業改良と違いまして、養蚕改良は消費地の意向によりまして、とにかく急速度にそれに対応して態度を変えて行かなければいかんというような面からいたしまして、過去においてもそうでございましたが、やはりそういう場合に指導員を完全に指揮して行くためには、やはりその利益団体である養蚕の団体がその身柄を持つて、全責任を負つて指揮して行つたほうがむしろうまく行きはせんかというような考えからいたしまして、一般の農事のような農業改良助長法に基きまして指導員の身柄をいわゆる公務員というような形をとりませんで、民間団体に身柄をおいて来たわけでございます。それで現在も我我といたしましては、やはりその方向をとるのが一番いいのじやないかというような考えからいたしまして、実はこの二十六年度の予算の編成の際に当りましても、ほかの予算よりも先ずこれを充実して参らなければいかんということで実は折衝して参りましたが、とにかく二十五年度には六百万円くらいしか認められなかつたわけでございますが、二十六年度におきましては二千四百万円くらいのものが認められておるわけでございます。併しこれを以て我々としては完全だとは考えておりませんのでございまして、実は補正予算なり或いは又追加予算というような機会がありますれば、成るべくその機会にはできるだけこの方面の解決をして参りたい、こう考えておるわけでございまして、合同のそういう施策の中に、予算的の措置といたしまして産業技術指導網の拡充と、こう書いておりますが、これは実は産業技術指導員の身分安定のつもりでございまして、そ用の内容といたしましては、我々としては一般農事の人たちと同様な程度の、つまり給料俸給の面につきましては大体同様な程度の予算的な措置を国及び県で一つ見て参りたいというような気持で予算は用意しておるわけでございまして、成るべくその趣旨に副つて我我としてはこれを進めて参りたい。こう考えておる次第でございます。余り長くなりますのでこの辺で何して頂きまして、御質問がありましたら……。
  24. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと私からお尋ねしますが、先に当委員会から政府に対する申入れをした場合には、経済安定本部、それから大蔵省、農林省等にこの対策の進行を申入れたわけでありますが、只今の御説明を承わつておりますと、これは一応農林省の省案であつて、まだ大蔵、安本等の了解を得て、これがコンクリートになつたというものではないのでありますか。
  25. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) そうであります。とにかく予算的の措置がかなりあるものでございますから、その面はまだ折衝しておりません。ただこういう中入れは安本には一応しておりまして、近く安本を中心に、経済自立の計画を安本でやつておりますが、経済自立計画の一環として一応これも考えてもらうように安本側に交渉しております。ところが安本側のものは、経済自立の計画は三カ年の計画なんでございます。ところが我々のほうは何と申しましても、とにかく桑畑がございますので、三カ年ではとても計画は立ちません。それで五カ年の計画といたしまして安本側と交渉を進めて参りたい、こう考えております。
  26. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 御質疑がございましたらどうぞ。
  27. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 今委員長からお話があつたのですが、蚕糸業の従来を考えると、この前回の二十一年のときの計画もそうですが、本当に蚕糸業者だけが寄つて作る、それがどうも先般も、いわゆる本当に政府の施策として取上げられない、一部の者が言うておるという感じがするのですが、この前も大体全般を見て、結果はまあ妥当なものであろうと思いますが、逆算的に作られたような感じがするのですが、そうじやないのですか。どういう話合いでこれを作り上げるべく御相談になつたのですか。
  28. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 特に考えましたことは、安本側の経済自立の三カ年計画がございますが、それと折衝いたしまして、それから一方食糧の面と折衝しました。それから今目標の点でございますが、それは先ほどお話しました海外の業者あたりと折衝しております。それらの面で一応案を立てたわけでございます。
  29. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 何だか逆算的に作り上げられてちよつとこういうものができたというような感じがして仕方がないのですが、もつと何ですか、よく関係方面とは十分桑園の問題にしても何にしても御相談になつておるのですか。大体その方面で聞けば意向は一致しておるわけですか。
  30. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 農地のほうの関係とは連絡をとつております。それでこの前にもお話がありましたが、いわゆる開拓の方面とどういう関連があるのか、開拓計画と一体どういう関連性があるのか、それも林野のほうの面との関連性があるのかということでございますが、この面も林野庁と十分折衝して参つたわけでございます。林野の面では御承知のように治山治水の面で予算を取つてあります。それからいま一つは造林の関係で予算を取つております。治山治水の面と申しまするというと、非常に蚕糸の面から見ますると、例えば予算的な措置がありましても余りに山奥であるがために経済的の効果と申しまするか、それらの面がどの程度あるか、これを今折衝しておるのでありまして、治山治水の面から向うで利用できますものは極力我々のほうで利用して参りたいと、こう考えておりますし、それから一方造林関係のほうのお話では、例の特殊樹種というものを今年から廃止しようというような考えかたでございまして、この部面について若し農林省のほうで、予算的の措置が蚕糸局のほうでとられるものならば、これは自分たちのほうで造林と考えて、或る程度農林省の蚕糸局側に桑畑として施設されても一つ折衝に応じようじやないか、面積の面について……、それから一方開拓のほうにつきましては、これはむしろ特にそういう予算的措置がないのでございまして、單にこの部分につきましては営農資金といたしましてむしろ農林漁業資金融通法の面だけでございまするので、自分たちのほうもむしろ歓迎だというような関係で、蚕糸局のほうで予算的の措置を講ぜられてそういう面にやつてもらえるものならば、我々のほうもできるだけ協力しようというような意向でございまして、五カ年間に九千町歩ぐらいの計数を見てておりまするが、これらはいずれかと申しますと、林野庁と折衝いたしまして、この程度ぐらいでいい。それから既耕地の面で五万何千町歩くらいを見ておりまするが、これは農政及び農地のほうと十分連絡の上で一応立てておるわけであります。
  31. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 関連して伺いますが、この説明の基礎になります各府県のものはあるわけですか。各府県のができて積み上つて来るのでしよう。
  32. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 各府県のものは今報告を向うから取つております。
  33. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 その次にもう一つお伺いしたいのは、これを見ますと、五カ年後に反当收繭は十三貫そこそこになつておるが、戰前は十六貫くらいになつておるのですが、そんな程度まで行かないのですか。
  34. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 反当收繭は十七貫になつておりますね。三十年でございますが、十七貫になつております。
  35. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 二十五町歩で三千万貫というとそうなりますかね。
  36. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) これは完成桑園面、つまり一人前になつて、つまり植付けて三年後におきまする桑園でございますね。その面積のあれが十七貫でございまして、これは一応定数を彈ましたのですが、実はこういう形になつておるのでございます。最近の情勢をやつぱりとつて行つたほうが計画に確実性があるのじやないかというような関係からいたしまして、二十五年度は実際どのくらいになつているかと申しますと、総面積当りの反当收繭は十一貫四百くらいになつております。三十五年度は……。それで二十六年度はここに書いてありますのは十四貫五百と書いてありまするが、併し現在の何から見ますと、非常に多くはないかというような御疑問が却つて出るのではないかと思うのでありまするが、これはつまり完成桑園面積にいたしました場合に十四貫五百でございまして、いわゆる総面積にしますれば十二貫六百くらいでございまして、非常に妥当な計画ではないかという工合に考えております。そうしてその後順次増加しまして、三十年には十三貫三百九十五、十七貫と書いてありますが、これは実際総面積にいたしますれば十三貫三百くらいの程度でございます。今白波瀬さんのおつしやいまするように、とにかく従来は十四貫七百ぐらいまで行つたように記憶しております。全桑園面積に対する收繭量というものは……。ところが現在の桑園はどちらかと申しますというと、本当に桑園の能率を挙げておりますいわゆる平地の桑園というものは非常に少のうございまして、とにかく戰時中に食糧に窮さないように、もう桑畑以外には使えないような部分が残つておりますような点から考えて見まするというと、この程度の計画で参りまするほうかむしろ確実性があるのではないか、こう思つて出しております。
  37. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 その次に技術員の問題ですが、これはもう少しよく考えてもらわなければ困るんですが、やはりああいうふうに農業養蚕団体に附属をさせるほうがいいかどうか、その問題はいいとして、今のような形で僅かばかりの増額ぐらいを考えておると、岐阜県に起つておるような問題がどんどん起るのではないかと私は思うのですが、あの問題は税の問題であつて、あれはただ單に岐阜の県会で通つたからというて單純に済むわけには行かない問題だと思う。結局ああいうことをやらざるを得ないことになつて、非常に各府県で混乱する状態が起る。あの点に対してはそれが県会をすでに通過しておるのですか、蚕糸局は御存じですか、あれはどうされたんですか。
  38. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) それは実は……。
  39. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 その問題はいいです。ああいう問題は以前と違つて、非常に厖大な蚕糸業の中でやり繰りをするときと違つて、現在のような蚕糸業の中で技術員の身分を安定させるということは非常に重大な問題で、結局ああいう問題が各府県に多くなつて、岐阜県であれが実際に採用されると、殆んど大部分の府県がああいうことをやるだろうと思う。やらざるを得ないでしよう。これはやはりもう少し徹底してお考えにならなければならん。ただお座なりでは僕はいけないと思う。あれに対してどういうふうに考えておりますか。
  40. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) これは私個人の見解でございますが、とにかく農業改良関係者の指導員などは、これは県の財源で賄われています。できますならば我々といたしましては、やはり養蚕の指導員も国の財源或いは県全体の財源から賄うべき問題で、或る一部事業から、ああいう形で取り上げた財源で賄うべきものじやない、こう考えておるのであります。その方針に副いまして、起ち上るべきものは国であるという考えを持ちまして、実はこの前の委員会にもお話し申上げまして、蚕糸局としてはなお何をおいても先ず指導員の身分を安定させようと考えております。
  41. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 とにかく反別から割り出して頭数が減るのではないかといつて心配しておるようですが、そういうことを考えないで、もつと勇敢にやられたらいい。そんな取引みたいな考え方をやられるのはいけない。どこにもこの問題は起る。現に岐阜県に起つておるのですから……。今後は一つ勇敢にやつてもらわなければいかんと思う。
  42. 岩男仁藏

    ○岩男仁藏君 これは、この三番は私が出した関係から、これは白波瀬さんの御意見に私は大いに賛成、同調するのですが、一、二、三、と対策をいろいろ御発表になつたが、どうもこの三は、あなたの説明は尻切れとんぼになつた傾きがある。ちつと元気がなかつた言い方をしたので甚だ不満である。そこで白波瀬さんに突込まれたのだと思いますが、普通の技術員と給與が何とかというようなことを言われたが、私の言うのはこれは給與だけの問題ではなく、身分の安定、身分の保障、そういう待遇改善を言つておるのです。当然この技術員を養蚕団体に附属させることはいいのですが、そんなことで、あなたの説明の中では、養蚕の振興策に大きい役割をしておるのはこれだと口にはおつしやつておるが、実際は余り重視しておらんのではないか。私素人考えでもこれは技術員の役割というものは実に大きいのですよ。反別を殖やすとかどうとかいうことも大切でありますが、これが根本をなしておるのです。この解決をしなければ、如何に耕地をどうしようとか、山林をどうしようとか、反別を五千町歩にしようということはつまらんことであつて、この問題を至急に解決するように、これは私が言い出して、方針の中に加えてもらつた関係上、大いに御考慮を願つておきたい、至急に解決して頂きます。
  43. 池田宇右衞門

    ○池田宇右衞門君 今のを一つずつ申しますけれども、この問題は、私は今でも市の農業協同組合の連合会長をやつておるのですが、全く日本の技術員は経費をどこから持つて来るかというと、製糸家から、農家が出した繭の売上げの代金の一部を製糸家から逆に頂載してやつておる。そうすると白波瀬さんの言われる通りに、これは進歩がない。そこで製糸家に絶えず牽制されるような節が見える。それから技術員自体が、自分の組合から醵出して自分の組合の経費で以てやるのならば、そこに自立性があるし、独立態勢ということで強く引張ることができるが、若し国と県で金を出すならば、以前の養蚕実行組合と、それから養蚕家の組合というようなものと同じように、もつと下部の組織に協力性を持たせるということを、この際局長は、講和にもなり日本の本来の姿になるのだから、日本的の本来の姿を考えて欲しい。それから反当りの收繭に対して今日波瀬さんが言われたけれども、一体私の見るところでは、どこの県でも御承知のごとく蚕糸試験場においてその地方々々においての桑苗を年々改良して、そこにいる委員長羽生さんのところなどは桑の中から小唄が漏れると言われるくらいに丈も高くやつておられるのですが、(笑声)今そんなところがありますか。この一つに土地もそうだけれども、蚕を飼う原料の桑苗に対して九州はどうだとか東北はどうだとか、中国はどうだとかいうような、そういう構想、計画をどういうようにお立てになつておるか。それからその地方々々に適する種類なども大いに御研究なさつて、この際一つはつきり計画をお立てにならなければ私は嘘だと思います。これが二番目。それからその次はこの間ずつと田舎を回つたのですが、あれはいいのですが、今後の收繭はやはり共同飼育所で三齢くらいまでは分ち與えれば、指導員もよく目が届くし、これに対して養蚕家自体も自分たちの足りないところを補えるということで大変結構だと思う。これに対して共同飼育所を、長野県のようなところでは冬期間になればこれは作業場にもなり、公民館がないところでは公会堂にもなつて、農業の合理的経営の研究場にもなる。これは思い切つてこの際政府は町村に、二つ三つの共同飼育を必ず建ててやるという工合に政府はこれに協力して、半分ぐらい補助する、助成政策をとつて頂きたい。日本農業は助成が主体となつて今までそれで来たので、まだ一人歩きができない。一人歩きのできるまでは育成してやらなければいかんということを私は強く局長にお願いするわけであります。又今日まで外貨獲得に対して生糸が如何に日本の経済を利し、日本の財政を豊にしたとかという見地から、このくらいのことは政府に当然要求しなければ嘘だと思う。これに対しては我々委員だつてこれに大いに賛成しておつて、どうもこれが行過ぎだというようなことを言う人は一人もないだろうと思いますから、局長は肚を据えて、一つこの三つの方針ぐらいは必ずお建て下さるように私は要望し、なおこれに対して計画があつたら御答弁を願いたいが、どうも今の答弁では私どもの納得するような答弁でないと思う。まあお頂けして置きましよう。
  44. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 糸価関係の問題ですが、これは三年越しの問題でありまして、対外的にも紆余曲折を経た問題で、数回会合されたのでありますが、その観点から考えて、今占領政策が非常に変つて参り、講和にもなるという段階にあるのであります。そういう見通しに立つて、今まで考えておつたようないわゆる制高制低の案は実行可能であるとお考えになつておるのか、私はあれはむずかしいから、この際にまあ生糸といわず、やはり農作物である繭としての観点から一万掛ぐらいは確保するという案を基礎にして立案すべきじやないかと思うのですが、これがやがて糸価の安定にもなるので、生糸の価格そのものを日本のものとして操作するということはどこまでもひつかかるのではないかという感じを持つのです。もう大分昨年のアメリカにおける状態、又日本における数回の会合、今講和を目の前に控えて一番問題になつておる根本の問題であるこの問題に対して大体見通しが付いておるのか、これならば行けるぞというような……。
  45. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) その問題につきまして、実はこの四月に海外から絹業使節団が参りまして、司令部のほうと折衝して帰つて行つたわけであります。その後司令部の中枢部面でありますマーカット少将或いはマグタモツト氏も最近帰られておりまして実はあのリッジウエイの声明もございまして、民間側から向うの内容を聞いてもらつておるわけであります。それで大体月曜日ぐらいに一つ、皆様の御関心を持つておいでになる申入の第二項につきまして、御折衝御下さいました議員の各位にも御出席願いまして、業界の人たちと御懇談を頂きまして、その後の対策を考えたいと思います。今のところまだ向うのはつきりした意向は聞いておりません。そり上で一つつて行きたいと思います。
  46. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 例えば講和になつてから、これは日本側の考え方だけで行けると考えられますか。
  47. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) その点につきまして我々としては確たる見当が付かんのでございます。それで実はこの問題につきまして、ただ残る問題は、あの例の貿易憲章の問題、それからいま一つは関税関係で何かひつかかるべき法律があるのじやないか、こう思われておりますので、目下その方面を研究さしております。実際その際に政府が糸価安定をやるといいます場合に、そういう法律に又ひつかかつて来る、そういう面を今研究さしておりますので、いずれ月曜日の会合には、それまでには間に合せたい、こう考えております。
  48. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 向うの連中の意向といつても本当の商売人なんですからね。商売人は、安いというか、儲かる途がはつきりしたほうがいいという考え方だから、ただ司令部のほうで、この前現に行つたときも、そういうふうにやつたらいい、この案はよろしいが、その金をどうするかということをもう少し詳しく聞かしてくれ、そうすればいいのだ、こういうことなんだから……。
  49. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) どうもその辺の内容は、今司令部の中枢部が帰つて来たばかりでございまして、政府みずから当るよりは、民間側から一つ交渉してもらつたほうがむしろスムースに行きやすいということで、先ほども申しましたように……。
  50. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 その対策はもう少し簡単な考え方のほうがいいのじやないかと思います。そういう繭というものを基礎にして考えたのじや……、向うでもやつているのだから、たくさん農作物もやつているので、そういう考え方のほうがやりやすいのじやありませんか。
  51. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) まあ生糸でありましても、繭でありましても……。
  52. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 單価が違うから、操作するのに非常に、違うからね。
  53. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 貿易憲章の面からいうと同じじやないかというような気もします。
  54. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 そうじやないでしよう。農作物も別な考え方で……。
  55. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 一応その辺一つ検討して見ます。
  56. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 私の感じは、この前局長にも申上げておいたのですが、蚕糸局だけで作つていると、さつき言つたような御批判が出て来るので、それでやはり正式の委員会とか審議会はむずかしいと思うのですけれども、実際上安定本部とか大蔵省とか、或いは金融機関であるとか、それから長野県だとか群馬県、こういう大きな県の知事なんかにも来てもらつて、少し恰好をつけて行かんと、農林省の蚕糸局の一部だけで作つた法案ということになるとどうも迫力がないということで、ですからいいことであつても、どうも大きな脚光を浴びませんと、今までと余り変らないのじやないかと思うので、そういう考えはないですか、何かもう少し……。
  57. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) それは非常に面白い、いい御注意ですから……。
  58. 羽生三七

    委員長羽生三七君) これは面白いつて……、局長さんが農林大臣を動かして、農林大臣が安定本部、大蔵省に強引な交渉をして、局というよりか、農林省案として強力に各省に折衝してやるような態勢で行かれるごとになれば、ここに専門家もおいでになるし、皆御援助はすると思いますが。
  59. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 もう一つ糸価安定施策ですが、これがなかなかむずかしいと思うのです。こうなつて来るとこの蚕糸業の振興対策の目標として、繭とか生糸の価格は大体どういう方法なり基準で……、これは統制はないわけですけれども、大体この程度の価格には持つて行きたいというような、価格の大体の政府の考え方がここに出ておらんと、何か目標としても明確を欠くのじやないか。特に最近問題の米とか麦の価格が非常に上つて来るわけですね。そうなつて来ると、同じ農産物で繭の価格をどういうふうにやつて行くかという問題になると、やはり一つの関連的な問題になるのじやないかと思うのですがね。糸価安定施策でも、結局その中間程度のものが大体の一つの適正価格であると、こう思うのですけれども、これを見ても何かやはり繭なり生糸が大体このくらいのものに持つて行くという或る程度のものが出ないと、計画としてはピントがぼけるのじやないかと思うのであります。
  60. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) それがきめられますと一番結構なんでありますが……。
  61. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 きめられてもきめられなくても、ちやんとした指導者というか何というか、その局にいる人がこれでなければいかんということから割出されないといけないのですよ。
  62. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 一番厄介なのは、これを進めます場合に、価格が一体どの程度に行くかということが養蚕家としては一番心配なんでございます。慾を言えば先ほどもお話しましたように、こういう増産計画を立てる際に我々考えましたことは、これが却つて繭に影響するかという面の不安を何とか解消する、差当りの方法としてやることは、結局作つた糸を成るべく売るような方法でございます。それを先ず考える以外にないということで、例の消費水準の問題を解決したわけであります。慾を言えばやはり糸価の安定の問題が一番問題だろうと思うのであります。これをやりますれば、或る程度養蚕家としても安心がつくと思うのであります。ところがまだそこまでは行きませんので……。
  63. 片柳眞吉

    ○片柳眞吉君 ですから白波瀬さんの言つたように具体的な統制がないわけですから、コンクリートな、何万円まで言う必要はないと思うのです。大体の蚕糸局なり政府の考え方が大体このくらいという、抽象的でもいいと思うのですが、そういう一つの保障なりめどがないと、桑園を二十五万町歩にすると言つても、価格がどうなるかという大体の数字がないと、やはり心配して植えないのじやないかと思います。
  64. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) できますればここに書いてあります糸価安定というのが一番やりいいのだと思うのであります。ところがどうも御承知のように今のような工合で難航でございますので、これができますれば何ですが、それで今までお話なさいました、いわゆる生糸というよりも繭に転換させるというような御注意でございましたのですが、これも我々としても曾つて考えなかつたわけでございませんけれども、十分将来考えて見たいと思います。
  65. 白波瀬米吉

    ○白波瀬米吉君 ちよつと速記をやめておいてもらいたい。
  66. 羽生三七

    委員長羽生三七君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  67. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 速記を始めて。
  68. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 ごく簡単なことですが、二十六年度に九千町歩の開拓という計画があるのですが、この桑苗の供給はあるのでございますか。実は私開拓地にこの間行つたときに、開拓組合で、実は今局長がお話になられたような、開拓地もそろそろ永久作物を作つて、そうして多角経営をやつて行かんならん、それで共同でこういうようなものを購入して、そうして農林省の補助みたいなものがあれば頂いてそうして買いたい。桑苗が割合高いのだそうです。供給能力が九千町歩というものに足りなければ、今後ますます高くなるというようなことになりはせんかという気がされるのですがございますですか。
  69. 青柳確郎

    政府委員(青柳確郎君) 桑苗の実は生産を見てみますというと、終戰当時におきましては九千万本ぐらい生産があつた、その後例の五カ年計画で順次進んで参りまして、昨年、一昨年には一億五千万本まで増加したのでございます。ところがその当時非常に糸価が悪うございまして、必ずしもその五カ年計画の遂行というような、いわゆる積極的に桑園の増加ということができ得なかつたのでございますが、そのため約四千万本くらい売れ残りがあつたわけでございます。それで非常に桑苗業者という者が退嬰的になつて参りまして、それから急に桑苗というものが減少しまして、昨年は一億二千万本くらい、そうしますと大体反当八百本くらいから千本近くくらい現在あるということになりますので、約一方、六千町歩くらいになりますか、その程度くらいの桑苗を最高時には出しておるという形になつております。それで今度のこの計画を御覧になりますとよくおわかりになりますが、問題は桑苗業者が安心して桑苗の生産をするという形に持つて行きませんというと、なかなか桑苗業者が非常に何しておりますので困難であるかと思う。それは勿論価格を、今お話になりましたように養蚕家のほうで増産するだけの価格を政府は保障するというような形でありまして、増産意慾が依然長く続くものだという見通しでもありますれば、何らそういう措置を構じなくても桑苗業者としても生産ができると思うのでございますけれども、そういうような事態でありませんものですから、やはり我我が予算的措置を講じまする場合にも、桑苗業者が安心して桑苗を作れるような形に持つて行きませんと、なかなか困難ではないかと、こう思つております。今大体一億二、三千万本くらいのものでございます。
  70. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこの程度にいたしたいと思いますが、先ほど御了承を得ました、来週の議事日程のうち、火曜日の午前の国土調査法案に対する連合委員会が、経済安委員会の都合で月曜日に代りましたので、この点御了承願います。  では本日はこの程度で散会をいたします。    午後四時十六分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   衆議院議員            原田 雪松君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    農林省蚕糸局長 青柳 確郎君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省畜産局衞    生課長     齋藤 弘義君