運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1951-05-16 第10回国会 参議院 農林委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十六日(水曜日)    午後一時三十五分開会   —————————————   委員の異動 本日委員鈴木強平君辞任につき、その 補欠として三好始君を議長において指 名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○家畜伝染病予防法案衆議院提出) ○国有林野法案片柳眞吉君外九名発 議) ○国有林野整備臨時措置法案片柳眞  吉君外九名発議)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  委員の変更がありましたので御報告いたしますが、鈴木強平君に代つて三好始君が再び本委員会へ戻られましたので、御紹介いたします。  本日は家畜伝染病予防法案が付託になりましたので、本案につきまして、発議者提案理由説明を求めたいと思います。先ず衆議院議員原田雪松君より御説明を承わることにいたします。
  3. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 只今議題と相成りました家畜伝染病予防法案に関し、提案理由説明いたします。  言うまでもなく、畜産振興は、家畜衛生、なかんずく家畜伝染病予防をその基本條件の一とするものであり、この点に鑑み、我が国におきましては、つとに法律の定めるところにより、家畜伝染病予防基本方策を定め、努力が払われて参つたのであります。  御承知のごとく現行家畜伝染病予防法は、大正十一年に制定され、累次の改正を経、特に昭和二十三年には、家畜衛生事情の激変に伴い、相当大きな部分改正が行われ現在に至つているのでありますが、新憲法制定に伴う一般行政法規並びに獣医畜産及び公衆衛生関係法規制定、戦後における畜産事情、なかんずく家畜衛生事情の著大な変化、最近における獣医学術の飛躍的な進歩及び行政機構強化並びに戦後における法制及び行政運営民主化傾向等、幾多の理由によりまして、その実際の運用に当つて今日の実情に適せず、又個々の規定につきましても、家畜防疫に徹底を欠く憾みがありますので、今回その全面的な改正を行い、家畜防疫の一瞬の強化を図ることとした次第であります。  以上の理由を以ちまして、衆議院農林委員会におきましては、特に小委員会を設置して、二カ月に亘り熱心に改正内容の検討、予算の折衝に当つて参りましたが、漸く結論を得、去る十五日衆議院を通過し、本日ここに貴院の御審議を願うことと相成つた次第であります。  以下本法案の主なる内容について、説明いたします。第一に、この法律寄生虫病を含む家畜伝染性疾病発生予防し、蔓延を防止することによつて直接畜産振興を図ることを目的とすることを冒頭に明示することといたしました。第二に、最近における伝染性疾病発生状況に鑑み、法定伝染病の中に牛の流行性感冒出血性敗血症及びニューカッスル病を加えると共に、獣医学進歩とも相俟つて法定伝染病の種類の一部を最も現状に適合するように改めたのであります。第三に、家畜飼養の実態に徴し、特定の場合を除いて、家畜及び物品等監理者を、この法律における直接の義務者とすることといたしております。第四に、家畜防疫を積極化し、総合化するために発生予防防疫強化しました。そのため現在の規定整備したほか、消毒の実施並びに斃獣処理場及びその他家畜集合施設に対する家畜防疫面からの制限を新たに規定いたしました。第五に、家畜移動証明制度合理化を図りました。現行移動証明に関する規定は、多少窮屈に過ぎる嫌いがありますので、家畜防疫の実効を失わない限りにおいて規定を緩和することといたしました。このため都道府県区域を、防疫成績向上と共に都道府県以上の政令で定める区域に拡げ得る途を開くこととし、又獣医師はすべて、健康証明書を発行することができることといたしております。第六に、家畜伝染病蔓延防止につきましては、現行法規定現状に即するように改正すると同時に、結核病及び馬伝染性貧血については、特に省令で定められた牛馬の所有者都道府県知事が毎年一回以上行う検査をその家畜について受けなければならない旨を明示しました。第七に、獣医学進歩及び獣医師の技能の向上に対応して、家畜防疫官及び家畜防疫員の任命、患畜等の発生届及び健康証明書発行等について極力獣医師の活用を図ることといたしました。第八に、輸出入検疫に関する規定整備強化いたしました。即ち最近における輸出入検疫重要性に鑑み、理想的な輸出入検疫制度を樹立するため、これに関する詳細且つ組織的な規定を設け、輸出入検疫について最も実情に即した措置をとり得るようにしました。第九に、農林大臣都道府県知事に対する監督並びに協力に関する規定を設け、両者の関係をできるだけ明確にして、総合的な防疫態勢確立に遺憾のないようにいたしました。最後に、手当金交付につきましては、新憲法精神に基き、適正なる損失補償を行う観点から、最高金額及び交付率を合理的に改めました。  大体以上が本法案の概要であります。なお本案施行に要する経費でありまするが、現行法規定に基く経費としまして、本年度予算に二億一千六百万円の計上を見ておりまするが、新法の制定に伴いまして、およそ一億六千万円程度の追加を要することとなるのであります。この点財政当局了解を得ておりまするので、今後善処せられることと確信しておる次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決賜わらんことをお願いいたします。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 本案につきましては、質疑は後日に讓りたいと存じます。   —————————————
  5. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 引続きまして、本日は国有林野法案並びに国有林野整備臨時措置法案について質疑を行いたいと思います。なお御質疑は両案について一括して行なつて頂いて結構と思います。お含みを願います。
  6. 江田三郎

    江田三郎君 この林野法の第五條で、営林局長に同意しない旨の通知権利者が出した場合には、その後の措置はどういうことになるのですか。
  7. 小川保男

    説明員小川保男君) 私からお答えいたします。同意しない旨の通知をなした場合には何らの効力が発生しないのであります。決定しましても、その線で何らの効果発生しない、つまり確定しないことになります。
  8. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、確定しないままにずつと放つて置くことになるのですか。
  9. 小川保男

    説明員小川保男君) まあそういうことになりますね。従つて若し確定が必要だとするならば、裁判所の調停乃至訴訟をする必要があります。これではどうすることもできないのです。
  10. 江田三郎

    江田三郎君 そういう確定までのことをこの法律の中に入れることは妥当でないのですか。
  11. 小川保男

    説明員小川保男君) そうです。前に国有財産法規定におきましては、行政処分によつて決定したわけでありますけれども、それは一方的であつて非民主的だというので、今度の法律では当事者の異議通告があれば確定しないという民主的な方法に改めました。
  12. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつとわかつたような、わからないようなことになるのですが、同意しないという通告をして、そうして営林局のほうでは、ここまで営林局だと言つておるけれども、権利者のほうは、いやここまでだということで、どんどん勝手におれの所だというので、例えば立木を切つたりしますね、そういうことをしても確定してないから仕方がないわけですね。
  13. 小川保男

    説明員小川保男君) そういう場合にはやはり仮処分でもして、権利確定しない状況ですから、仮処分でもして置いて、裁判所訴訟を起すより手はない、この規定では救い得ないわけです。
  14. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 関連して……。今の問類は第三條の四項の「第一項の協議がととのわない場合には、境界確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない。」、こう書いてある。このことは第六條の今江田さんのお尋ねの第三項に準用を謳つておるわけですが、その点はどうなるのですか、私にはちよつとわからないのです。
  15. 小川保男

    説明員小川保男君) 第四項はこれは当然の規定、念のための規定でありまして、異議があれば確定しないのだ、而もそれ以上何らかの確定決定をなしてはいかん、こういう趣旨なのです。
  16. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 併し仮処分というようなお話がありましたが、これは一体行政上の処分ということにはならないのですか。
  17. 小川保男

    説明員小川保男君) そういうことにはなりません。裁判所の手続で…。
  18. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 裁判所の手に移るというわけですか。
  19. 小川保男

    説明員小川保男君) そういうことです。
  20. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 森林法の一番御心配になつておる点は、境界の点が入つておりますが、この境界線というのは実は北海道のような地方林の非常に多いところで、我々が見ても非常に複雑になつておるところがあるが、ああいうところの境界線をはつきり直すような御意思があるのか、これは今まで通りでいいのですか、北海道のように非常に地方林と官林がくつ付いておる、そういう境界が非常に複雑で、これはそういうところまでお直しになるか、民有林に対する境界だけのことをお考えになつておるか、一つ伺いたい。
  21. 小川保男

    説明員小川保男君) 地方林というのは道有林のことですか。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そうです。
  23. 小川保男

    説明員小川保男君) 道有林の場合にも、境界が錯綜している場合は臨時整備法のほうで整備をして行くつもりであります。今度の林野整備法、これで整備して行きます。
  24. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 国有林民有地境界が山の中腹と言いますか、民有地が七合目まで行つておる。七合目からずつと国有林がある。こういうところは、私どもの見た目では非常に悪い境界線なんだが、そこで境界というものは分水嶺を当てにして、これでどこまでもやるようにしたらいいかと思つておりますが、その点どう考えておりますか。
  25. 小川保男

    説明員小川保男君) 具体的な事例を当つて見ないとお答えできませんが、境界が非常に錯綜しておるところ、そういうところはこの際整理するつもりでおります。
  26. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 あれはどういうのかちよつと我々が見てもわかりませんが、民有地の中に国有地の残つたところがある。その面積民有地面積から見るとほんの一部分だけですが国有地が入つておる。これは当然今度の法律処分できると思うのですが、私にはよくわからない。我々が北海道に入つた明治四十四年頃に、蔭木になるのは伐採しなければ作物がとれないから伐つてもいいのだというので、実は伐つたのです。そうして十二年くらい経つてから、これは盗伐だというので罰金を払つたわけなんですが、私に言わせると、どうしても自然的に何十年かの間には蔭木が出て来るわけです。ああいうところは何らかの方法によつて考えてもらうということが非常にいいということと、その後境界が不十分でわからんものですから、調査された。ところが畑の測量をやつて、その測量によつて境界を定めました。そうすると、それが動くのです。動くと言うと、測量というものは動くのが本体なので、的確に行くのは嘘だ、文句はよくわかるが、測量というものは百遍やつたら百遍違うのが測量の性格だと言うのです。相手が悪いのでそのままになつておるのですが、そういうところも……。ここに書いてある、つまりこれはまあ縁故者とあるが、縁故者というのもどうもわかりませんが、今は幼木でも、これから先二十年から二十五年、三十年のものが多いのですから、それらも何らかの方法政府考えたほうがいいと思うが、それはどう考えておりますか。
  27. 小川保男

    説明員小川保男君) 最初の盗伐、そういう場合の盗伐されたということは、これは恐らくそれが伐れるものと信じてやつた場合は刑罰は受けないと思います。それから具体的でないと、その具体的な土地が果して整理されるかどうかはここでお答えできないと思いますけれども、非常にわかりにくいようなところ、錯綜地はこれから整理するというのが臨時措置法案の建前になつております。
  28. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 林野法八條の三項にある、「当該林野に特別の縁故がある」というのは、縁故というのはどういうことが縁故なんでしよう。
  29. 小川保男

    説明員小川保男君) お答えします。これは国有林野法施行規則というのが現在あります。将来もまあこういう精神で行くわけでありまするが、その三十五條によりますと、寄附をした人はその寄附者縁故者になる。曾つて国有林寄附した者は寄附者縁故者になります。それから曾つて国有林に売つた場合には売り主が縁故者になります。それから産物の採集、土地使用損者のある場合は、その採取者並び使用者、これが縁故者になつております。それから耕作地として借受けた場合には、その借受人縁故者になります。
  30. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 委員外として藤野さんから発言を求められているので御了承願います。
  31. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) これについて少しく国有林野法及び国有林野整備臨時措置法についてお尋ねしたいと思うのであります。昭和二十六年度の予算審議に当りまして、取上げられた大きいところの問題の一つは、地方財政平衡交付金の増額であつたのであります。この問題は予算委員会でも、地方財政委員会でも、文部委員会でも取上げられて、予算委員会では予算を修正しようと計画したのであります。関係方面了解を得ることができなかつたのであります。なぜ地方財政平衡交付金がこのように論議されたかということは、御承知通りに、国税は年々軽減せられておりますが、これに反して地方税が増額せられて、その負担に堪えないからであるのであります。地方税を軽減する方法一つとしては、市町村に一定の基本財産を所有せしめて、これの運営によつて相当収益を上げ、住民の負担を軽減することであるのであります。私は最近の事実は承知しておらないのでありますが、日本全国町村中には、町村民税を徴収していないところの町村が数ヵ町村あることを記憶しておるのであります。その中で静岡県の白濱町は、「てんぐさ」というものがあつて、この収入によつて町費を賄い、その残額は町民に幾分ずつ入つておるような状況であつたのであります。白濱町以外の無税の村はすべて基本財産として山林を所有しておつて、この山一林収入によつて村の費用を賄つてつたのであります。そこで私が先ず第一にお尋ねしたいのは、全国山林基本財産として所有しておるところの町村がどのくらい現在あるのであるか、大体でいいから山林面積市町村の数がわかつておつたらば、それをお尋ねしたいと思うのであります。
  32. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 只今資料あと政府当局から御説明いたしますが、ただ今の御質問のラインで一応申上げて置きたいと存じますのは、平衡交付金等が少い、その埋合せの意味で林野払下をするということになりますると、この林野整備方針と多少方針が違つて来るわけであります。勿論この基本財産のために第一條の第二項におきましても飽くまで、基本財産造成せしめたい趣旨から第二項の優先順位規定しておりまするけれども、平衡交付金が少い穴埋のためにやるということでは、これはやはりこの法律趣旨を脱却するものと思うのでありまして、できるだけこの本法の精神に副う限りにおきましては、第二項で市町村を最優先考えておりますから、そういうふうにして行きたいと思つておりますが、今言つた穴埋のためにやるということになりますと、多少行き方が違うと思います。なお今の基本財産として持つておる山林面積等につきましては、政府当局から御説明いたします。
  33. 小川保男

    説明員小川保男君) 只今のことについて御参考までに一言御説明をして置きます。国有林野が所在する市町地に対する交付金といたしまして、これは固定資産税相当額のものでありまするが、総計で昭和二十五年には二億一千九百万円の交付金地元市町村交付しております。御参考までに申上げて置きます。
  34. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次に、基本財産である山林収入市町村経費の何パーセントくらいになつておるのであるか、日本全国町村の大体の数字がわかつておつたらば、お尋ねしたいと思うのであります。
  35. 小川保男

    説明員小川保男君) 数字あとで御説明したいと思います。
  36. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は国有林野で、昨年三月一日現在では七百八十三万二千百三十六町歩あるのでありますが、この中で国有林野整備臨時措置法によつて売却予定の反別は何ほどあるか、又売却予定都道府県及び市町村の数はどのくらい予定しておられるのであるか、お伺いしたいと思うのであります。
  37. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 只今払下をすべき面積等につきましては、昨日までお話をいたしましたように、この法律が通過いたしました場合には、やはり政府当局でこの法律の線に沿いまして愼重な調査をしませんと、実は正確な数字は出ないと思うのでありますが、ただ政府当局でも一応の極くラフな数字はあると思いまするから、これは林野庁から一つ説明をお聞き願いたいと思います。
  38. 小川保男

    説明員小川保男君) これは先ほど片柳委員から申上げました通り、極めてラフなものでありまして、而も森林法で今度規定いたしております中央審議会において、こういう線を最終的に決定されることと存じまするが、大体のことを申上げますと、孤立団地と申しまするところで五万五千ヘクタール、それから施業場の孤立団地が二万ヘクタール、境界錯綜地が七千ヘクタール、第四号にあります特別施業地が十四万九千ヘクタール、合計で二十三万三千ヘクタールという数字になつております。
  39. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 都道府県及び市町村財政は、今回の国有林野整備臨時置法によつて国有林野を買い受けた結果、どの程度くらいに財政上に効果をもたらすものであるとお考えになつておるか、この点お伺いしたいと思うのであります。
  40. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 その点は実は只今資料を持つておりませんが、ただこの機会に重ねて申上げて置きたいのは、勿論この基本財産を作ることのために、できるだけ売却をすることがこの法律の骨子でありまするけれども、併し第一の目的的に基本財産造成するためにこの払下をするわけではないのでありまして、やはり昨日まで申上げたような、国有林野経営観点から、総合的に見て参りまして、差支えないものは主として基本財産のために払下げて行くというわけで、結果としてそれは基本財産造成になりまするけれども、基本財産造成目的としてこれをやるわけではないのであります。従つて只今その資料はないのでありまして、若し必要がありますれば、更に調査をいたしまして、提出をいたしたいと思います。
  41. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 私などは我が国再建の土台というものは市町村確立にあると考えるのであります。而して市町村財政確立我が国再建根本であるのでありますから、市町村基本財産を増加し、我が国再建確立することについては最も力を入れなくちやできないということを考えておるのであります。どうかできるだけ材料を出して頂きたいと思うのであります。  次に自立経済審議会審査報告書によつて見まするというと、自立経済達成上の問題点対策について書いてあるのであります。それによつて見まするというと、昭和二十六年度の用材は適正伐採量より二千万石超過するのであります。又薪炭林適正伐採量より四千五百四十六万石超過するのであります。今回の国有林野法改正によりまして、国有林野を或いは貸付け、或いは売渡し、或いは部分林設定共有林野設定等によりましたならば、この方法によつて、得たところの結果が、林野年生産量適正伐採量とにどういうふうにバランスがとれるというような計画を立てておられるのであるか、この林業根本問題についてお尋ねしたいと思うのであります。
  42. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 これは政府当局から御説明をして頂きます。
  43. 小川保男

    説明員小川保男君) この払下によりまして需給のバランスには影響はないと思います。と申しまするのは、やはり適正伐期以上の施業計画によつて伐れるものを伐つて行くわけでありまして、その観点からはこの法律は何ら影響がないと思うのであります。
  44. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 私などは今回の国有林野法制定及び整備法臨時措置法によつて国有林野として保存して置くのに適当でないというと語弊があるかもわからないが、市町村並びに県というようなものに払下げたほうが、森林経営上有利であるというような観点から払下げられるのじやなかろうか、そうして日本林業政策をより合理化するために払下げられるのじやなからうか、政府も、市町村も、県も共に今回の法律によつて有利に展開するということが根本であろうと考えるのでありますから、この結果において直ちには結果は現われて来ないといたしましても、近い将来において何らかの対策がなくては、今回の法律を作られるところの目的に相反するのではなかろうかと、こう考えるのでありますが、この点更に重ねてお伺いいたします。
  45. 小川保男

    説明員小川保男君) 伐採量との関係につきましては、先ほど申上げました通り、この法律によつて民間払下げたからといつて伐採教量が殖えるということは考えられないのであります。それからもう一つは、どういう論点でしたかちよつと聞き漏しましたが。
  46. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 伐採量には関係がないというお話だけれども、現在の国有林市町村払下げていろいろなことをやつたならば、より以上に収益が上ると見当を立てて払下げるのではないかと、こう考えるのであります。そういたしましたならば、将来におけるところの伐採量にも好影響を私は与えると、こう考えておるのでありますが、そういうふうな考えはないかどうか、お尋ねしたいと思うのであります。
  47. 小川保男

    説明員小川保男君) 払下げ土地に大いに造林をして頂きまして、そうして造林いたしますと、成長量天然林のままで放つて置きますより二倍、三倍の成長量を増しますので、そういうふうなことを希望しております。大いに造林して頂きまして、撫育して頂きまして、払下げたものが大いに成長量を増すというふうなことに努力して頂くように希望しておる次第であります。
  48. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 本年三月一日現在の調査によつて見ますというと、貸地が二十一万一千九百三十四町歩委託林が二百万六千百六十五町歩部分林が四万七百六十四町歩あるのでありますが、今回の国有林野法改正によりまして、これらの貸地、委託林及び部分林をどういうふうにしようとお考えになるのか、これらのものは全部今回の法律によつて何とか処理をせられるという新たな構想があるかどうか、具体的にお伺いしたいのであります。
  49. 小川保男

    説明員小川保男君) 従来の契約、そういつた委託林共用林制度に吸収されるのでありますが、先ほど申されました貸地だとか、委託林その他のものはそのままの形において継続されるものと、共用林の形において、或いは貸地として従来通りされるのみならず、史にその範囲は例えば共用林につきましては、自家用の牧畜の放牧などのために使用される場合も含まれておりますので、その範囲は拡大されるものと考えております。
  50. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は国有林野法條文についてお伺いしたいと思うのであります。第七條に「貸付以外の方法により使用させることができる。」と、こう書いてあるのでありますが、具体的にはどういうふうな方法であるのか、それからこれの決定権は誰にあるのであるか、決定権の所在をお伺いしたいと思うのであります。
  51. 小川保男

    説明員小川保男君) 只今のその他の方法というのは、賃貸契約以外の一時的に簡便な方法による場合を総称しておるのであります。それからその権限営林局長権限であります。
  52. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 第八條でありますが、第八條の第一号から第四号までが競合した場合の順位は、どういうふうな順位決定せられる予定であるか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  53. 小川保男

    説明員小川保男君) この一から四までの順位規定はないのでありますが、従つて法律的にはどれを優先すべきかということは要求されていないのでありますが、併しながらこの四つを具体的な場合に検討いたしまして、社会通念上これを優先せしむべきものであるというふうに考えられたものを優先すべきものと考えます。それは運用優先すべきものと考えております。従つてもう少し御説明を申上げますと、例えば一号におきましては、「公用、公共用又は公共事業の用」とありますし、第二号では「基本財産に充てる地方公共団体」、第三が「特別の縁故がある者」、第四が「その所在する地方の農山漁村の産業の用に供する者」、つまり地方産業用の意味でありますが、さような規定でありますので、これは具体的に当つて見ないとわかりませんが、まあ第一の「公共事業の用」といつたようなものは、やはり真先に考えられるべきものである、通常考えらるべきものであろうと存じております。
  54. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は第十一條です。「収益分収の割合」は誰が決定するのであるか、お尋ねしたいと思うのであります。又その決定の基準があつたらば、基準をお示し願いたいと思うのであります。
  55. 小川保男

    説明員小川保男君) これは契約によるわけで、部分林契約によるわけでありますが、その基準は、大体現在の基準は五官七民ということになつております。但し学校造林の場合におきましては、二宮八民ということになつております。
  56. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は第十二條です。「部分林契約の存続期間は、八十年をこえることができない。」、こういうふうに書いてあるのでありますが、大体八十年以内においてどのくらいの年限を予想しておられるのであるか。それは樹種によつて違うのであるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
  57. 小川保男

    説明員小川保男君) お答え申上げます。これは北海道とか、九州、四国のような場所的に……、第一に決定の要素は場所的なものであります。それから樹種によつて決定せられるものであります。
  58. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 樹種的な年限は……。
  59. 小川保男

    説明員小川保男君) 大体六十年くらいになると思います。若し詳しい御必要がありましたら、樹種別に大体の見当を次回にお答えいたしたいと思います。
  60. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は第十三條です。部分林を保護するためには一定の必要な経費がかかると考えるのであります。そういう経費負担区分のあらかじめ定められたものがあつたらば、お伺いいたしたいと思うのであります。
  61. 小川保男

    説明員小川保男君) この費用は全部造林者、つまり民間側の負担になつております。
  62. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は十七條です。部分林契約を解除せられましたところの造林者の損失補償の要求の決定はどうすればいいのであるか、又決定権は誰がどういうふうな方法決定せられのであるか、その決定する人間及び方法をお尋ねしたいと思うのであります。
  63. 小川保男

    説明員小川保男君) お答え申上げます。第五項の解釈になるのでありまするが、それによりますると、「第三項の規定により部分林契約を解除した場合には、国有財産法第二十四條第二項及び第二十五條規定を準用する。」ということになつておりまして、これは国有財産法第二十四條はどういうことを規定いたしておりますかと申上げますると、つまり造林者はその損害を「当該財産を所管する各省各庁の長に対し、その補償を求めることができる。」ということになつておりますので、部分林の場合には、林野庁長官に対して補償の請求がなされるのであります。それから補償の請求があつた場合には、それはその次の第二十五條になりまするが、補償の請求があつたときは、林野庁長官はその額をみずから決定することもありまするし、それから非常に算定が困難でありまするときには、これを会計検査院の審査に付することができるのであります。この場合におきましては、会計検査院が審査いたしまして判定を下すのであります。その場合には林野庁長官はこの判定に従わなければならないということになつております。
  64. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 私は只今の会計検査院の判定のみによるというこの第十七條第五項の準用は適当でないと考えるのでありますが、これは議論になつてしまいますが、何か民主的に定めるような方法を五項によつて考えられる余地はないのであるか、この点をお伺いいたしたいのであります。
  65. 小川保男

    説明員小川保男君) これはさような法規でありまして、建前を只今申上げましたのでありまして、つまり必ずしも会計検査院等に要求するのではなくして、長官自身がこれを決定し得るのでありまして、そういう場合に学識経験者等の意見を参酌することは可能であろうと存じまするが、そういうところまでは只今考えておりませんけれども、併し運用上そういうことは可能であろうと存じております。
  66. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 次は国有林野整備臨時措置法案でありますが、国有林野払下げられる場合においての売却代金の算定基準があつたらば、お伺いしたいと思うのであります。
  67. 小川保男

    説明員小川保男君) その基準はこれは法律上時価ということになりております。従つてこれは従来もその例がありまするが、立木は立木を売るに当つて立木の材積を算出してその時価による。土地は又土地の時価を算定いたしまして、それを合算して得たものがこの時価となることと存じます。
  68. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 時価ということについては、いろいろ時価の幅があるのでありますが、売却代金ができるだけ双方の了解を得て決定するのが適当であろうと思うのでありますが、この双方の協定が困難であるというような場合においては、先の例をとつて会計検査院の審査に任せる、こういうようなことも考えられておるかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
  69. 小川保男

    説明員小川保男君) これはそういうことはこの場合には法律上できないのでありまするが、それは追つて会計検査院に送付いたされまして、会計検査院の事後審査を受けるわけであります。
  70. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 国有林野売却面積は台帳面積によられるのであるか、実測によられるのであるか、時価という場合に反別を主にするかどうかというような、いろいろな点が疑問になるのでありますが、この点お伺いいたしたいと思うのであります。
  71. 小川保男

    説明員小川保男君) 無論この場合は土地については反別が基準になるのでありまするが、その場合は実測によることになつております。
  72. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 市町村又は都道府県国有林野を買受けたる場合において、その額が大きいというようなことであつたならば、一時にその金を支払うことが困難である。そういうような場合の代金の延納ということは、市町村及び都道府県の借入金と認むべきものであるか、借入金でないとお考えであるか、この点をお伺いしたいと思うのであります。
  73. 小川保男

    説明員小川保男君) これは民法上の債務になるのでありまして、財政上の借入金になるかどうかは、ちよつと私存じておりませんけれども、民法上の債務の関係になつております。
  74. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 今これは借入金になるかどうかということは、若し借入金になるというようなことであつたならば、起債の枠の範囲内でたければできないのであります。借入金でないということであつたならば、曲債の枠外で処理ができるのであつて市町村国有林野払下げる場合において非常に都合がいいのであります。できるならば起債の枠外に置いてもらいたいと思うのでありますが、それだけの希望を申上げて置きます。  次には、延納金の金利、利息はどのくらいに考えておられるのであるか、これをお伺いいたしたいと思うのであります。
  75. 小川保男

    説明員小川保男君) これは利息は只今の現在の大蔵省の内規によりますると、この利息は八分五厘。但し八分五厘の場合はこれは二つありまして、八分五厘は収益目的としないもの、収益目的としないものと申しまするのは、例えばその土地に学校を立てるといつたような場合は収益目的としないのでありますから、これは年八分五厘になつております。それからその他の場合、つまり収益目的とする場合、これは林地の、森林の場合は収益目的とするという観念に該当するわけでありまするが、その場合は年九分になつております。
  76. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 国有林野売却代金を借入れる場合、支払いができない場合においては、確実な担保を提供しなくちやできないと、こういうふうに規定してあるようでありますが、その確実な但保というようなものは何であるかということをお尋ねしたいと思うのであります。できるならばその林野を購入したために債務ができたのでありますから、その林野を担保にして差支えないじやないかと、こう考えるのでありますが、確実な担保と特に書かれたところの理由及び林野を担保としてでも差支えないかどうかという、こういうようなことをお尋ねしたいと思うのであります。
  77. 小川保男

    説明員小川保男君) これは我々のほうで考えておりますのは、国債等のことを考えております。或いは他の森林等を考えておりまするが、この具体的な森林が担保になるかどうかは、軍に検討をした上でお答えいたしたいと思います。
  78. 藤野繁雄

    委員外議員藤野繁雄君) 御承知通り市町村及び都道府県は非常に財政的に困難を感じておるのでありますから、国債であるとか、何であるとかいうようなものを担保に入れる余裕は殆んどないんじやなかろうかと、こう考えられるのでありますから、できるだけ買受けた林野を担保にするようにお願いして、私の質問を打切ります。
  79. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 今藤野議員の質問に対して答えた中で、委託林共用林になるということまでお答えがありましたが、委託林のうちのいわゆる簡易委託林というものまで共用林になるというふうに解釈していいのかどうか、その点は誤解があると思いますが、一つお答えを願いたいと思います。
  80. 小川保男

    説明員小川保男君) これはそういうふうになります。というのは、共用林におきましても、簡易委託林程度共用林がありますので、それに移ることになると思います。
  81. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 私は国有林野法の問題で一つお尋ねしたいと存じますが、それは第十八條の二項でございます。この二項は、「自家用薪炭の原木の採取」というものに対して使用収益権を取得させることができる。その場合は、「旧来の慣行その他特別の事由があるとき」というその特別の事由につきまして、昨日提案者からは開拓等の場合ということを言つておるのであります。開拓は従来からの開拓と、それからいわゆる緊急開拓の自作農創設によるあの開拓があるわけでありますが、あの新らしい法律によつた分は、これは出然政府の所有する土地というものは、法律上は除いてありまするが、事実問題としては当然附帶地として出しておるはずであります。そうすれば従来のいわゆる開墾適地による開拓地であつて、そういう附帯地のない時代の開拓の場合は当然これは考えられると存じますが、併し「その他特別の事由」という点はもつと明らかにする必要があるんじやないか。というのは、今の農地調整法の十四條の三には、民有林の場合において、そういう従来の慣行のあつた場所についてだけ、これを使用収益権というものを設定することを許しておる、そうして新らしい場所についての問題はこれを政令に讓つてつて、非常に極めて狭い形に扱つておるのであります。ここで若し国有林が「その他の事由」という点を明らかにして置きませんというと、そこにどこでも今日営農の関係からいたしまして、自家用の薪炭も欲しい、又出さなければならんという事情の所が非常に多い事情から見るというと、或る者はこれをどこでも設定してくれるというふうに解釈をするでありましようし、或る者はそうでなく、これを非常に厳格に、「その他」というものは本当の付けたり程度で、従来の慣行あるのみというふうに解釈をしたがる人もありましようし、その点は明らかにして頂きたいと存じます。
  82. 小川保男

    説明員小川保男君) お答え申上げます。この附帯地を国有林が新らしい入植者について出しておるように只今の御質問でありましたが、これは私の解するところによりますと、出していないと了解しております。従つてこの「特別の事由」という中には、新入植者のことを先ず第一に考えておるのでありまするが、その他これに準ずべきような場合を「特別の事由」として考えておるのでありまして、只今の御質問は誠に適切な御質問でありますので、この点は通牒等で解釈内容をはつきりさして置きたいと存じます。
  83. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 国有林野整備臨時措置法案でありますが、これは先ほど藤野議員から根本的の問題について盛んに御質問があつたのに対して、これに対して余り答えがなかつたようでありますが、この法律は極めて差当りな問題だけで、国有林野というものの性質から見て、従来の明治維新におきますある変革の大体上に立つてつて、ただ自分の経営から見て、小さい飛び離れた所は管理がしにくいから、こいつを希望者があれば売りたい、又自分の経営観点から見て、今日の民主的な時代であるから、従来よりもつと増して、地元住民との間の密接な関係を濃厚にしなければならんという立場からだけの技術的な扱いのように思うのでありますが、それにいたしましても、第一條のところの御説明で、この臨時整備の段階では、処分されるものの全体を総合して見た場合に、少くとも現在の国有林野収益性を低下させるような整備はなされないという意味たという御説明を、昨日提案者から承わつたわけであります。そうとすると、整備をいたしますものは、ことごとくいわゆる経営上の赤字になるというものだけを今日放す。こういうふうに解釈ができるのでありますが、その点と、それから総合して見た場合というと、或る程度調査が進んで全貌が揃わんというと、この作業を開始しないのかどうか、そういうふうにこの説明を強く解釈すべきものか、そうでなく、大体そういう考えだけれども、出るに従つてこれを処分して行く、こういう考えであるのか、この点が一つであります。
  84. 小川保男

    説明員小川保男君) 私から昨日の片柳先生の御説明を敷衍いたしたいと思います。只今の御質問でありますが、これは具体的に赤字経営であるという立場だけを考えておるのではありません。それは全体として見て、国有林野収益性を低下せしめるものはやらない、全体的な観点に立つてやるのでありますので、国有林経営上不便なところも国有林経営合理化観点からやりますけれども、必ずしも赤字だけのところとは限らないのであります。
  85. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 これからどしどし実行するのですか。
  86. 小川保男

    説明員小川保男君) それはどしどし実行するつもりでおります。どしどしというのは、暫定期間でありますので、三年間の期限が切れておりますので、申請がありましたら、それについて具体的審査を始めるつもりでおります。
  87. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 先ほどもお伺いしましたが、現状を見なければわからんという御説明でしたが、私は将来非常に複雑になることを心配してお伺いしたのですが、境界線のことです。そこで建前は、川とか、分水嶺を境界とすることを建前にするのでなければ、何年たつてもうまく行くことができないものだと思うのです。それは現状によつて確定するのでしようが、要は営林局長権限を持つておる。ところが局長というのはなかなか後生大事に自分の山というのは一本でも伐るとか、伐らんとかいう余計なことは避けておる。なかなか簡単にここで議論するようなものじやない。だからそういう原則を示すことが将来のためになると思うのです。そうしますと、私実は或る場所に三千六百町歩民有林を持つておるわけなんです。その民有林調査したところが、殆んど国有林の七合目にずつと入つておる。下は三十四年ばかり前に伐つて今は幼木ですが、それを伐るのを待つておるのだが、それで測量をやるということは文句の種だから、分水嶺でやつたほうが境界線がはつきりする。その山は分水嶺でやつたほうがいいと、そう思つておるのですが、川か、分水嶺で境界線を作れば、測量の必要はなくなる、ただ平地は別ですが、平地というものは殆んどない、殆んど山ですから、そういう基本でもお示しにならないと、これはなかなか地方に任せてはどうもそれ以上進んで来ない。大体局長で治まる。局長の裁量で以て境界線がきまるようになつておりますが、畑地と国有林境界はそうでありませんが、山同士の境界はそうしたほうがいいと思いますが、そういう御意思がありますか。実地を見る、見ないは別として、そういう御意思があるかどうか、もう一度お伺いします。
  88. 小川保男

    説明員小川保男君) お答えいたします。分水嶺とか、そういうことはこの規定では実は考えていないのでありまして、ただ非常に入り組んでいる所というのを考えております。そういう場合には林相その他で、まあこれは民有林の場合でもそうでありますが、大体境界がわかるということで、そこまでは考えていないのであります。ただこれは最終的には中央森林審議会の決定に待つのでありまするが、大体地方で問題のありそうなのは、中央審議会決定するつもりであります。
  89. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それでは今度は措置法の第一條の四項ですが、これはどう解釈したらよいか。「国有林野でその所在する地方の住民に対しその自家用に供する薪炭の原木を供給する慣行があつたため、現に特別な施業を行つているもの」という、これはどういうのですか。これを一つお聞きしたい。
  90. 小川保男

    説明員小川保男君) お答えいたします。これは法律用語ではありませんけれども、普通委託林と申しますのを大体考えておるのでありまして、自家用にするための薪炭原木を供給する慣行があつて薪炭林としての施業を行なつている、用材林としての施業を行なつていないところは除かれるのでありますが、薪炭林として施業しておる、かような所を考えております。
  91. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 例えばその国有林の附近の住民が国有林から薪炭の供給を受ける以外に途はない、そこで現にずつと慣習で受けている場所には、この際或る部分を切つて、その地方の住民に薪炭林として払下げしようというのですか、そうでないのですか。
  92. 小川保男

    説明員小川保男君) 只今御質問の趣旨通りでありまして、従来長らく薪炭林として払下げて、この慣行のあるところはこれによるか、或いは供用林制度によるか、いずれかによつてその地の慣行を認めて行きたいというふうに考えております。
  93. 江田三郎

    江田三郎君 さつきお尋ねして中途半端になつてしまつたのですが、国有林野法の第五條異議異議の申立てがあつた場合には境界決定しない。そうすると、境界決定しないまま国のほうは積極的には別にどうという手段を構じられないで放つて置かれるということになるのですか。
  94. 小川保男

    説明員小川保男君) 国のほうでも事業をやる上において争いがあつて困る場合には、成るべく訴訟等の費用と時間のかかる方法を避けまして、裁判所に調停を申立てるつもりであります。調停の申立で決定するように考えております。
  95. 江田三郎

    江田三郎君 そういうような困難なところは調停を申立てたところで、その調停ができんということもあるわけですね。
  96. 小川保男

    説明員小川保男君) そういう場合もあります。
  97. 江田三郎

    江田三郎君 併し原則としては訴訟等は起さないで行こうということなんですか。
  98. 小川保男

    説明員小川保男君) 成るべく訴訟のようなことは、でき得べくんば避けて、話合いの、調停委員の仲裁による仲裁で行きたい、かように考えております。
  99. 江田三郎

    江田三郎君 それから第二條の二号の「国民の福祉のための考慮に基き森林経営の用に供されなくなり、」というのは、具体的に言うとどういうことですか。
  100. 小川保男

    説明員小川保男君) お答えいたします。これは国民の福祉のための考慮に基いて、つまり森林原野にして置くよりも、例えば農耕地その他学校建築、その他の国民の福祉のために、森林でないような、不要存置に所属換をしたほうがいいというわけで、所属換を不要存置に落したところを申すのであります。
  101. 江田三郎

    江田三郎君 それからもう一つ臨時措置法のほうの第一條なんですが、この際具体的な場所とか、或いは評価の仕方とかということは、一切農林大臣或いは直接は営林署長でしようが、そういう人が単独できめることができるわけですか。それからもう一つ、第一條の中の、「地方公共団体その他の者」という「その他の者」というのは、個人の場合もあるわけですか。
  102. 小川保男

    説明員小川保男君) これは具体的な場所は、払下げをしてもらいたい、売払いをしてもらいたい人の請求によるのであります。請求によるのであつて、営林署長並びに局長が発動するのではないので、申請のあつたものについて判断をするということになつております。それから第二点でありまするが、「その他の者」というのは、例えば私立学校の設立者とか、或いは部落、それから法律ではこれは私人も含むことになつております。ちよつと補いをして置きます。法律ではそういう建前になつておりますけれども、こちらの法のあと順位のところにありますように、これは市町村、住民、府県というふうな恒久的なものを第一義的に考える、むしろそちらのほうを中心としてできた規定であります。
  103. 江田三郎

    江田三郎君 この場所は、請求によつてということなんですが、併しそういう際に、只今お話のように個人の場合もあるわけで、或いは部落というような名前が出ても、実際には少数の、部落でなしに、部落の中の何人かの人がその請求をするという場合があるわけですが、そういう際に、その許価というようなものが、ただ地元の営林署長或いはそれを監督する農林大臣というだけで、或いは今まで往々ほかの場合にあつたような、故意に不当な値段で払い下げるというような、そういう心配はないわけですか。そういうことも又防止するための手段というものは要らないとお考えなんですか。説明員小川保男君) 結局最終的に会計検査院の審査を受ける、事後審査を受けることになりますので、さような観点からきめられると思います。なお問題になるようなむづかしい案件については、これは先ほど御説明申上げました通り、最後には中央森林審議会の決定するところでありますけれども、その方針は……。現在我々の想定しておりますところでは、むづかしい問題は中央森林審議会の議にかけてやるというふうに考えております。
  104. 江田三郎

    江田三郎君 会計検査院のほうで検査されるといつたところで、実際立木の数がどうなつているのかというようなことは、あとで検査したところで一向わけがわからんので、立木の数などというのは、若し悪意があれば……。而も境界等にしてもはつきりしない問題が出て来る。そこでいろいろなそこに悪いことをしようと思えばする余地が非常に多いと思うので、そういうことのためにもう少し中央森林審議会ですか、今言われました、そういうことでもつとはつきりとした扱い方をきめられる意思はございませんか。
  105. 小川保男

    説明員小川保男君) 先ほど申上げました通り、中央森林審議会で、基準を、準則と申しまするか、そういうものをきめまして、そうしてその適正を期して行きたいつもりでありますけれども、これはお説の通りな危険はあるのでありまして、そういう危険のないように、これは会計検査院並びに、これは世間の目もありまするから、そういうことで十分我々としても警戒して愼重にやつて行きたいと思います。
  106. 江田三郎

    江田三郎君 なおもう一つ臨時措置法の問題について、この提案理由の中にもありますが、拔本的な整備は国土の総合利用にも関連するので、軽々に拙速を以て処理することはできないと、こうありますが、そういうような拔本的な整備というものについては、今後どういうふうにお考えになつておられますか。
  107. 小川保男

    説明員小川保男君) 拔本的な整備というものは、実は中央審議会でその必要ありや否やを検討して頂くつもりでおります。官僚の一方的な考え方で処理するのでなくして、広く学識経験者の意見を聞いてやりたい、かように考えております。
  108. 江田三郎

    江田三郎君 專ら民主主義の道を踏むわけですね。
  109. 小川保男

    説明員小川保男君) そうでございます。
  110. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 私ただ一つちよつと承わりたいと思うのですが、先ほど藤野さん、三浦さん等からお尋ねのあつたことに関連するわけでありますが、大体まあ今度出て来ると思う森林法なんかの規定がそうでありますけれども、日本森林資源を保護育成するために各種の森林関係法律ができるわけですが、そういう基本的な森林の資源の培養なり、保護育成という面と、今度の国有林野法整備臨時措置法との関係でありますが、これは実際に整理をしなければならないような場合があるので、当然こういう法律が出ることは予想しておつたことですけれども、過度の伐採、つまり本来の森林資源の培養と相矛盾するような過度の伐採というようなことが起る危険性がありはしないかということも一面考えられるのですが、その場合には御提出下さつたこの資料にある大体整理される対象の面積というものが、この資料に出ておるわけでありますけれども、この範囲に大体とどまるものと想像してよろしいのですか。
  111. 小川保男

    説明員小川保男君) これは極めてラフな数字を挙げておりまするが、これが全部整理の対象となるか、或いは全部なるようには私どもは考えられないのであります。それは先ほど御心配になつたような点が法規に盛られておりまして、第一條に「当該国有林野を適正に経営することができると認められる地方公共団体、」そういう能力的におきまして、或いは具体的な計画を持ち、或いは造林をするという意欲、それから技術その他の総合的な観点におきまして、これが本当に山が荒廃しないものだということを認められた場合のみ、これが払下げがなされるというふうな規定の建前になつております。
  112. 羽生三七

    委員長羽生三七君) いや、重ねて申上げますが、それは私よくわかつておるのでありますが、ただそういう規定がこの法律の中に設けられる、又その場合の優先順位等も明らかに規定されておるにもかかわらずですね。なお且ついろいろな政治的考慮等によつて相当の圧力が加わつて来たというような場合に、大体掲示されたしの程度予定面積を無限にオーバーすることのないような措置というものが、実際にとり得られるものかどうかという点でありますね。
  113. 小川保男

    説明員小川保男君) それは中央審議会等でもその点は十分慎重に取扱われたものであろうと存じております。
  114. 羽生三七

    委員長羽生三七君) もう一つちよつと簡単なことですが、この国有林野法の第四條の二行目のところに、「隣接地の所在する市町村の職員の立会を求めて」とありますが、この市町村の職員というのは役場の職員ですか、町村役場の職員ですか。
  115. 小川保男

    説明員小川保男君) さようです。
  116. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 林野法の第七條ですが、このいろいろ書いてあつて、一、二、三、四と書いてあるこの四のところへ持つてつて、「貸し付け、又は使用させる面積が五町歩をこえないとき。」と書いてあるが、これは前のどこを縛つたものですか、これだけ一つのものですか、その放牧又は採草の用に供するという……、どこを縛つておるのか、どういうのですか、お聞きしたい。
  117. 小川保男

    説明員小川保男君) これは貸付又は使用させる面積が……これは独立の條文でありまして、それは採草、放牧等に要することをいう要件が加わつていないのであります。ただ要件が加わつておりますのは、国有財産法の第十八條の「行政財産は、その用途又は目的を妨げない限度において」という條件が加わるだけであります。五町歩はその限りにおいては何らの條文が加わつていないのであります。
  118. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 そうすると、これは公共団体であるとか、そんな団体だけじやなくして、個人でもこれが適用されるのですか、どうですか。
  119. 小川保男

    説明員小川保男君) さような解釈であります。
  120. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 もう一つお尋ねいたしますが、次の八條のこの四番目「当該林野をその所在する地方の農山漁村の産業の用に供する者」、こうあるんですが、これはどこを指してお書きになつているか、お聞きしたい。
  121. 小川保男

    説明員小川保男君) お答えいたします。これは必ずしも農林漁業のみでなく、広く地元産業を意味しております。
  122. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 今のすぐ前の特別な縁故があつてと、この特別の縁故は何か物権的な意味に解釈しておいでになるんですか。
  123. 小川保男

    説明員小川保男君) これは先ほど御説明申上げましたが、もう一度申上げます。特別の縁故とは、これは詳しく申上げますと、国有林野法施行規則というのがありまして、その国有林野法施行規則の第三十五條規定してあるのでありまするが、この土地がもともと寄附されたものであるならば、この林野寄附されたものであるならば、その寄附者のもの、売つた場合は売主、それから産物の採取、土地使用の慣行があつた林野についてはその採取者、使用者耕作地の場合の借受人はその借受人ということになつております。
  124. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これは具体的な一つの問題なんですが、これは福島県の矢吹の国営開墾地区にある問題なんです。これはあそこの羽鳥という部落のこれは長い間の係争地なんです。で、明治維新一度国有地なつた、そうして国有林に編入されたのですが、そこの部落が十何年に亘つて部落有林だ、保有林だという係争を起した、ところが到頭敗訴になつたのです。そうしてそこは敗訴になつたけれども、そこらのその部落の人たちにいつも薪炭林縁故払下げというような意味で、国有林払下げておつたんです。従つてその問題は解消しておつたんです。ところが今回あそこが溜池の敷地になりまして、そうして部落が移転しなければならなくなつた。ところがその部落民が一部分は移転したのです。ところが一部分は移転しないのです。それは何というか薪炭林権利をなくするものだから、移転しないで、初め出た人がもう山へ帰つても伐れなくなつて縁故払下げをしてもらえなくなつた、だから移転した人と移転しない人と非常に仲が悪くなつた。そうしてその移転問題に非常に大きな問題が出て来たのです。だからそういうものに対して補償料というようなものが出せるのか、出せないのかということです。縁故というものが自然に消滅しちやつたんだからこの自然消滅が、個人が出て行つたのではなく、国の政策によつて出なくなつたのだから、これは或いは国有林のほうの関係ではないかも知れないけれども国が出す義務があるかどうか。
  125. 小川保男

    説明員小川保男君) どこの所管ですか。
  126. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 これは農林省の所管です。溜池です。
  127. 小川保男

    説明員小川保男君) そうすると、それは林野特別会計の問題……。
  128. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 林野庁には関係ないのですけれども、この縁故というものは、どういうふうにお考えになつておられるかという他の面なんです、私のお伺いしたいのは……。それによつて補償の義務がある、ないということが出て来るわけであります。
  129. 小川保男

    説明員小川保男君) その場合にはどうも縁故に当らないように思います。
  130. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうすると、従来はこういう考え方になつておるから、従来はともかくうるさいから、この部落の人を手なずけるために特別計らいで以ていつも払い下げしておつたというふうに、特別計らいだから営林署長の特別計らいというふうに考えてやつておいでになつたというふうに解釈すれば、何にもないわけですね。ちよつとそれを調べて頂きたいのですが。
  131. 小川保男

    説明員小川保男君) それは別にこの問題と切り離してですね。
  132. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 だからこの縁故というものがどういう性格のものであるかどうか
  133. 小川保男

    説明員小川保男君) それは縁故発生原因はいろいろあろうと思いますが、地元が従来からの慣行、ずつと前から、つまり国有林になる前から、徳川時代からの慣行になつている。それを大体引継いでおります。そこに使用権を持つておるというところを引継いでおります。
  134. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 それからもう一つお伺いしたいのですが、先ほど三浦委員からお話になられたときに、全体的な考えで以て、全体的な観念で以てということを言われたのでございますが、その全体的な観念という意味がまだ私ちよつと腑に落ちないのですが、この必要としないという意味が、これは林業経営の立場でないということは、そればかりでないということは、今三浦さんの質問に対するお答えでわかつたのですが、その必要としないという説明が非常に消極的な説明なのです。現実に地域的に考えるというと、私東北ににおつたことがあるのですが、東北の山林国有林が非常に多いのです。そうして部落があつて、部落の畑なり、何なりに接続しておるものが、すぐ国有林というようなところが非常に多いのです。そのために東北の農村というものは非常に困つておる。はつきり申上げれば、東北の農村のこういつた山間部落は国有林に従属するような形で以て今まで生活しておる。従つて国有林の開放という問題は大きな問題であつたわけです。そういうような大きな意味の全体的なという観念が含まれておいでになるかどうか。
  135. 小川保男

    説明員小川保男君) これはこの法律は名前の示します通り臨時的な措置でありまして、そういう根本的な大きな問題は、将来十分検討の上決定さるべきことだという建前でおります。ただ今おつしやつたような、軒下国有林といつたようなところで、従来の自家用薪炭原木を払下げておつたようなものは、大体この四項に入つて、地元民がよほど緩和されることと考えております。
  136. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 それから臨時措置法というのは三年ときまつておるのですが、三年で御計画通り進行するのでございますか。
  137. 小川保男

    説明員小川保男君) 大体そういう考えです。
  138. 羽生三七

    委員長羽生三七君) では本日はこれで散会いたします。    午後三時十五分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   委員外委員            藤野 繁雄君   衆議院議員            原田 雪松君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君   事務局側    常任委員会專門    員       中田 吉雄君    常任委員会專門    員       安楽城敏雄君   説明員    林野庁林政部長 小川 保男君