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1951-03-31 第10回国会 参議院 農林委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月三十一日(土曜日)    午後五時三十六分開会   —————————————   委員の異動 三月三十日委員宮本邦彦君辞任につ き、その補欠として大谷瑩潤君を議長 において指名した。   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農漁業協同組合再建整備法案(内閣  提出衆議院送付)   —————————————
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより委員会を開きます。  本日は御承知通り、緊急に農漁業協同組合再建整備法案が付託されましたのでこの審査を行うわけでありますが、これにつきましては、委員の各位並びに政府当局関係者の非常な努力で本日上程になつたことは、当委員会は非常に喜びとするわけであります。先ず提案理由説明を求めます。
  3. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 只今議題となりました農漁業協同組合再建整備法案提出理由を御説明申上げます。  我が国自立経済基礎である農業及び漁業生産力を維持増進し、農漁民経済の安定を図るためには、農業協同組合、同連合会漁業協同組合及び同連合会を育成助長しなければなりません。然るに組合のうちには、最近の急激なる経済変動に直面してその経営が悪化しているものが少くありません。これらの組合は、その本質に鑑みまして自主的にその整備強化を図るべきことは勿論でありますが、自力のみによる再建整備の困難なものにつきましては、政府財政的支出その他の援助により組合再建意欲を高め、早急に経営を健全化することによつてその使命達成に遺憾なからしめる必要があります。これが、この法律案提出した理由であります。  次にその内容の概略を説明申上げます。この法律案によつて再建整備を行います組合は、欠損金固定資産滞貨、焦付き債権等を多額に持つているためにその債務を弁済することが困難な組合でありますが、これらの組合は総会の特別議決を経て、五年以内に、手持ち滞貨及び焦付き債権を一掃し、固定資産欠損金合計額以上の自己資本を持つことを目標とした再建整備計画を立てなければなりません。法律案ではこの目標達成のための具体的方法再建整備計画書に明示することを要求しております。  これらの組合に対して行政庁は助言、債務の更改の斡旋、特別指導員の派遣等いろいろな援助をするわけでありますが、特に右に述べた再建整備計画の樹立が困難な事情にある組合に対しては奨励金交付してその再建を促進することになつております。  即ちこのような組合に対しては再建のために最も必要な自己資本の充実を容易ならしめるために増資奨励金交付すると共に、手持ち滞貨及び焦付き債権として固定化した資金に対する金利の一部を補給することによつて五カ年間に再建を完了することができるようにしようとするものであります。  尤もこの奨励金は、再建意欲を助長し、飽くまで自力再建の実を挙げさせるための呼び水として国家資金を支出するものであつて組合役職員は勿論組合員を挙げての誠実な再建計画実行を条件とするものであります。従つて奨励金補給を受けた組合に対しては、その計画の完遂のために必要な監督を行うとともに、再建完了の曉において交付を受けた奨励金政府に償還させることになつております。  再建の極めて困難な事情にある組合も、この措置による政府援助を受けることによつて、その経営基礎を健全化することができますならば、おのずからその信用も増大し必要な資金の導入もできることになりその本来の機能を発揮することができるものと信ずるのであります。  何とぞ十分御審議の上速かに協賛を与えられんことをお願いいたします。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) なお提案理由のほか、法案の主要な骨子について説明を求めたいと思います。
  5. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) お手許に御配付を申しております農漁業協同組合再建整備法案資料と書いてございますうちで、初めから五枚目に図が書いてございますので、この図をちよつと御覧を頂きたいと考えております。只今提案理由説明にもございましたように、本来これは自力再建ということをやらせ、どうしてもさようなことが自力のみではできないものについて政府がこれに対して財政的な援助をするという建前であるのであります。かような組合に該当いたしますものが大体単協につきましては一万三千のうち約二千六百程度あるという推定をいたしております。それでかような組合についてのこの現在の状況を図表で書いてあるわけでありますが、これらについては現有の自己資本が二十三億七千万円、欠損は七十八億八千万円、それから固定資産が七十七億五千万円でございます。これを五年間に欠損固定資産との合計額に丁度自己資本が見合いますように再建整備計画を建てる。つまりこれで申しますと百三十二億六千万円の増資をやらせて行く。殊に初年度におきましてはその自己資本不足額の三分の一、單協につきましては三分の一、連合会については五分の一でありますが、その三分の一を増資をするということを前提としてやるものを取上げる、かように相成つております。従つてこの結果五年後には欠損及び固定資産自己資本とが丁度見合う。充実して見合つて行くというような形に持つて行きたいと思うのであります。併しながらこれについては相当大きな努力をしなければ相成りませんので、自己資本を造成いたしますための奨励金といたしまして、当初年度におきましては百分の八、連合会にあつては百分の十二、それから二年度につきましては単協は百分の六、連合会は百分の十、それから三年度は百分の三、連合会は百分の六、それから四年度は百分の二、連合会は百分の四、それから最終年度は百分の一、連合会は百分の二、これは法律の十一条に規定がいたしてございますが、さように初年度以降にだんだんと逓減する、つまりインセンチブの思想をとりまして、年度が早いときにおいてうんと増資をすればそれだけ増資奨励のための金がたくさん貰える、こういうような仕組で極力増資によつて内容を充実して行くという施策をとりたいと考えておりますわけです。  それから殊にこれらの組合固定在庫が二十九億四千万円、それから固定債権が五十一億、かように非常に大きないわゆる焦げつきのものを持つておりまして、これが借入金等によつて賄われておる現状でありますが、これに対する利子の重圧というものが経営を悪化しておるというような事情もございます。従つて固定在庫及び固定債権というものを極力流動化いたしましてこれをなくする、かような計画を立てさせますために、固定在庫につきましてはこれを二年間、固定債権については三年間、いわゆる固定化資金利子補給金というものを出しておる。これによつて流動化を促進をして行きたい。この二種類の奨励金によりまして再建整備計画を着実に実行させ、なお又これは再建整備計画実行については、行政庁といたしましてもこれを厳重にこの成果が上ることを監督いたしますために年一回以上の検査をいたしますとか、或いは正規の報告を取るとかいたしまして、この目的にそぐわんものに対しましては、奨励金交付の打切りその他奨励金の還付を命ずる、かようなやり方で進めて参りたいということが骨子であります。そうして又この奨励金はあくまでもやはり再建整備計画が立ちましたあとにおきまして、一年経過した後におきましては、その交付された奨励金はこれは政府に還付する、かような建前を取つておるのであります。  更にこの法律の附則の二項によりまして、これに必要な経費でございますが、これは昭和二十六会計年度において必要な経費につきましては六億五千万円以内におきまして、昭和二十六会計毎度の一般会計予備費のうちからこれを支出するというふうに新らしくその財源についてもこれを明示をいたしておりますわけでございます。
  6. 羽生三七

    委員長羽生三七君) この際何か特別にお尋ねがございましたらどうぞ。
  7. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 十四条のこの奨励金の償還ですが、交付をされた奨励金に相当する金額利子に相当する金額を加算した金額政府に納付しなければならないという、この利子に相当する金額の利率はどんなふうにお考えでございますか。
  8. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) これは政令で規定をいたしたいと思つておりますが、私どもといたしましては極力最低限の利子を附するということにいたしたいと考えております。
  9. 三浦辰雄

    三浦辰雄君 この際ちよつと関連してお尋ねをしたいのでありますが、林業関係の方は今日経済協同組合になつておりません。併し森林組合が御承知通りにありまして、大同小異の理由によつて凡そ七億程度が全国合計において欠損があるように思つております。そこでこの案が出ます経過においてその森林組合預貯金業務はやつておらないけれども、実態において救済を要することにおいては似たようなものであるから、是非この中に何とかの形において入れてもらいたいということをやつていたように聞いております。そこで今日早急の場でできましたこの案としては落ちることは止むを得ませんが、将来やがて出ます森林法の改正にからんで協同組合にもなりますが、その負債の問題においてかなり悩みが多いようであります。そこでこれに類似するような取扱というものをその際にしてもらえることになるかどうか、将来のことでありますが、差迫つてすでに森林法が一部においてできているような状況でございますので、その様子を一つお伺いしたい。
  10. 島村軍次

    政府委員島村軍次君) 三浦委員のお説は御尤もでありまして、政府においても御趣旨に副うて十分考慮をいたしたいと存じております。
  11. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは暫時休憩いたします。    午後五時五十二分休憩    ——————————    午後七時二十分開会
  12. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは休憩前に引続いて開会いたします。農漁業協同組合再建整備法案については質疑は終了したものと認めて討論に入つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは御異議ないものと認めて討論を行います。御意見のある方は賛否を明らかにして御発言を願います。
  14. 池田宇右衞門

    池田宇右衞門君 本案につきましては賛成をいたすものであります。ドツジ・ライン以来我が国経済が急にデフレの傾向を来たし、特に農漁業団体においてはそのこうむる影響が甚大であつたのであります。全国一万三千の農協並びに漁業協同組合中、その影響をこうむつたのは二割乃至四割近くあるということは政府の知る通りであります。これらの組合再建整備をなして、生産に強力なる意欲を向上し堅実なる発達をなさしむるにつきましては、政府といたしましては速かに奨励交付金を融資するにありと思うのであります。本案通過ののちにおきましては、迅速果敢に奨励金交付して、安全にして堅実なる組合の育成に当られんことを希望いたしまして本案賛成するものであります。
  15. 片柳眞吉

    片柳眞吉君 私もこの法案賛成をいたすものであります。ただこの再建整備はこれはなかなか容易なことではないと思うのでありまして農林省或いは地方庁の今後の非常な指導監督につきましては、特に御勉強願いたいと思います。更にこの奨励金交付だけではなかなかこれは再建もむずかしいと思うのであります。これ以外の方法につきましても特に農林省はあらゆる面から一つ援助をして頂きたいと思います。例えば農業倉庫等助成につきましてもこれはできるだけの力を入れて頂きたいと思います。それからもう一つは、かような再建整備計画ができましても又助成金交付がありましても、これで漸く金融ベースに乗つて来るに過ぎないのでありまして、これに対する今後の融資のことにつきましても特段の御配慮を願いたいということを希望いたしまして、本案賛成いたします。
  16. 江田三郎

    江田三郎君 私たちは本委員会でも要望したわけでありますが、やはり利子補給というだけではなしに、長期資金の供給が必要だということを今でも考えておるわけでありますが、これは現在の情勢といたしましてそういうことが実現しないで、本法案のような結果になつたことも又止むを得ないと思いますので、一応これに賛成をいたすものでありますが、ただこの法案が通過いたしましても、只今片柳さんも言われましたように、今後農漁業協同組合の真の再建整備ということは非常に困難なことでありまして、その問題に対しましては、一体ただ経営が黒字になつたというだけで真の再建整備ができたとは言えん面もあるわけでありますから、今後の農漁業協同組合のあり方或いは実情、そういうものに関しまして休会明けの本委員会におきまして一つ相当腰を入れた調査をやつて頂きたいということを希望いたしまして、賛成でございます。
  17. 岩男仁藏

    岩男仁藏君 私も本案賛成をいたすものであります。この農業協同組合及び漁業協同組合の行詰りの現状は無論経済界変動ということが大きい関係があるのでありますが、又一面において私の考えとしては、どうも行政官庁というか、農林省及び府県庁指導かよろしきを得ない、当を得ないというような感があるのであります。これも一つ大きな原因と思います。どうぞ本案執行に当りましては、この点について行政官庁一つ御注意を願いたいと思います。賛成いたします。
  18. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 他に御発言がなければ討論は終局したものと認めて採決を行いたいと思います。農漁業協同組合再建整備法案原案通り賛成のお方の御起立を願います。    〔総員起立
  19. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決するものと決定いたしました。なお前例によつて諸般の手続は委員長に御一任を願います。なお多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     江田 三郎  小林 孝平     三浦 辰雄  三橋八次郎     片柳 眞吉  赤澤 與仁     岩男 仁藏  加賀  操     飯島連次郎  白波瀬米吉    池田宇右衞門  西山 龜七     瀧井治三郎  平沼彌太郎
  20. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それでは本日はこれで散会いたします。    午後七時二十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            片柳 眞吉君            岩男 仁藏君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            三浦 辰雄君   政府委員    農林政務次官  島村 軍次君    農林省農政局長 藤田  巖君    水産庁次長   山本  豐君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏夫君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君