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説明員(清井正君) それでは只今御提案になりました
農産物検査法案につきまして極く概略の点を御
説明申上げたいと思います。逐條によ
つてお話申上げたいと思います。
第一條は、ここに書きました
通り本法の
目的を、掲げておるのでありまして、農産物の公正且つ円滑な取引、それから
品質改善を助長するということが
目的でありまして、併せて
農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄與する、いわゆる生産者、消費者双方の利益のために本法を制定するということをはつきりいたしておるのであります。
第
二條は、この
法律で農産物とは、現存の対象となるものは、もみ、玄米、精米、大麦、はだか麦、小麦、精大麦、精はだか麦、精小麦、小麦粉、大豆、小豆、えんどう、いんげん、緑豆、とうもろこし、なたね、甘しよ、馬鈴しよ及び甘しよ生切干、以上のものが本法にいう農産物でありまして、現在の対象となる農産物の種類であります。
それから第三條は、そのうちいわゆる強制
検査の対象を出したのでありまして、只今第
二條に申上げました農産物のうち、特に数量、金額等に絶対的に大きいところのもみ、玄米、大麦、はだか麦又は小麦。いわゆる米麦、これについては強制
検査を実施して参りたいこういう趣旨でありまして、即ち本法の第一項に、その生産者は、生産した米麦又は精米を売り渡す場合には、その売渡前に国の
検査を受けなければならんというわけで義務付けしておるのであります。
第二項は、只今の第一項が生産者のことを直接規定しているのに引きかえまして、その後の流通過程における売り渡しを前提とした規定でありまして、いわゆる
輸入されたものを除いた米麦の所有者は、その所有する米麦で
検査を受けていないもの、又は
検査を受けて
効力を失つたという場合には、国の
検査を受けなければならないということでありまして、第一項は生産者に対する規定、第一項は例えば生産者が持
つておりましても、国へ売る場合に
検査の
効力がなく
なつた場合、又は
検査をまだ受けていない場合には、その売渡前に
検査を受けなければならないということで、いわゆる一項、二項によりまして生産者と消費者と両方を拘束しておるのであります。それから第三項は、いわゆる一項、項におきまする強制の規定に対する例外を出してあるのでありまして、その例外が四項目に分れておりまして、その第一項目は、「第八條の規定により定められた量目に満たないものを売り渡す場合」、即ち極く小量のものを売り渡す場合には、これは適用しない。第八條を見ますというと、「
検査は、
輸入に係る農産物にあ
つては十トンに満たないもの、その他の……。」
輸入以外の内地において生産された農産物につきましては、種類ごとに省令で定めますところの條件を欠くものについてはこれは行わないということであります。というのは大体内地産のものにつきましては一
包装を単位といたしまして、一
包装以下のものにつきましてはこれは行わないという
考え方で進んで行つたらどうかというふうに
考えております。前に戻りましてそういうふうに第三條に第三項の一号としていわゆる極く少量のものはそれを売る場合におきましてはこれを強制
検査をしないということを謳
つておるのであります。
それから第二号は災害の場合におきまして、非常な災害の場合におきましても本法を適用されました場合には、非常に融通性を欠く場合がありますので、特にそういつた場合に地元の食糧事務所長が或る
一定の場所を指定しまして、その指定した区域内にあるものを指定した期間内に売り渡す場合においては、例外的にこれは適用しないということであります。それから第三号は、「学術
研究の用に供するものとして、省令の定めるところにより食糧事務所長の承認を受けて売り渡す場合」、特殊の学術
研究の用に供する場合でありまして、いわゆる一般の商行為といいますか、一般の売買の対象にならないものであるからこれは例外として行きたい、こういうわけであります。
四号は、これは、「都道府県が経営し、又は経営を委託しているほ場であ
つて食糧事務所長が指定したものにおいて生産された米麦で、省令で定めるものを売り渡す場合」、これを書きましたのは、いわゆるこれは大体都道府県が経営し、又は経営を委託しておるのが原則でありますので、そういつたところで生産されたものはいわゆる種子でありますので、その場合は強制の規定を適用しない、こういうことであります。以上がいわゆる強制
検査の例外の規定であります。
次は第四條でありますが、今までは
国内産のことを言
つたのでありますが、今度は
輸入される米麦につきましては、これは
政府は別問題といたしまして「
輸入されるところの米麦の所有者は、その米麦を
輸入後において売り渡す場合には、その売り渡す前に国の
検査を受けなければならない。但し、その
輸入量が十トンに満たない場合は、この限りでない。」ということでありますが、現在の食管法の建前上、
輸入される米麦は全部
政府に売渡すことにな
つておりまして、「その米麦を
輸入後において売り渡す場合には、その先渡前に国の
検査を受けなければならない。」ということを規定いたしたものであります。
三條、四條はいわゆる強制的な
検査でありますが、第五條は希望
検査でありまして、只今申上げましたいわゆる米麦以外の農産物につきましては、強制
検査はしないのでありまして、そのいわゆる所有者又は占有者などがその農産物について国の
検査を受けたいという希望がありました場合には、これが
検査を行うということであります。
従つて輸入されるものを含む米麦以外の雑穀なり、菜種なり、いも類は全部希望
検査するということに相成るわけであります。
次は
規格でありますが、第六條の
規格は、ここに書きました
通り「農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目、
包装及び品位についての
規格を定める。」ということでありまして、ただ第二項に、あらかじめ
規格をきめました場合には、それの周知徹底を図ることが必要なのでありまして、その
規格を作つた場合、変更した場合、又は廃止しようといたします場合におきましては、いつからこれを施行するかという期日を定めまして、その定めました「その期日の三十日前までにこれを公示しなければならない。」という項目を置きまして、広くその趣旨の周知徹底を図
つてもらいたいということであります。
それから第七條は、
検査方法でありまして、これは別段御
説明するまでもないと思うのでありますが、農産物の種類、銘柄、量目、
包装及び品位につきまして各個に、又は抽出して
検査を行うという
方法を書きましたのであります。
それから次の第八條でありますが、これは先ほどちよつと御
説明申上げましたいわゆる
輸入農産物につきましては十トンに満たないものは、このいわゆる
検査受付の條件に合わないということでありまして、
国内産につきましては、いわゆる「省令で定ある
包装及び量目の條件を欠くもの」につきましては例外とする、こういうことにしておるのであります。ただ但し書がございまして、
政府に光り渡し、又は引き渡すため
検査を受ける場合は、たとえ少量でありましても少ず
検査するということを規定したものであります。
それから次は第九條でありまして、これは
検査を誰がやるか、「
検査を実施する者」でありますが、これは現在、食糧事務所の職員がや
つておりますことをそのまま書いておるのであります。いわゆる農産物
検査官というものを置きまして、農産物
検査官が
検査を厳正に実施するということの趣旨をここに書いてある次第でございます。
それから第十條でございますが、十條は、
検査は
検査を受けようとする者の請求によ
つて行うという趣旨であります。その場合におきましては、
検査請求書を提出しなければならんということを規定しておるのであります。
それから第十一條は、
検査手数料であります。これは
輸入農産物につきましては一トンについて三百円、それから
国内産の農産物については一
包装について一十円を超えない範囲内において政令で定める額を納付しなければならないというのであります。但し
政府に先渡し又は引渡すために
検査を受ける場合には納付しなくてもよろしい、こういうことで、
政府に売る場合を除きまして、
外国食糧は一トンについて三百円、
国内食糧は一
包装について二十円というふうに規定しておるのでありま歩。この二十円なり三百円という数字の根拠でございますが、これは曾
つて自由時代に
検査手数料を徴收して
検査をいたしてお
つたのでありますが、そのときの一番最高の額が、そのときの一
包装の額の大体百分の一ということにな
つてお
つたのであります。仮にこれを三十六年産の麦について
考えて見ますというと、大体二十六年産の、仮に
予算に規定してある金額を限度として
考えて見ますと、一
包装につきまして、大麦については十円、小麦、裸麦は十五円という
程度の金額になるのであります。米につきまして一応計算して見ましても、大体一十六年産米につきましては二十四円という計算になるのであります。併し一の点につきましてはいろいろ諸般の情勢に鑑みまして一
包装について二十円を最高限度として、その範囲内において政令で定める額を納付するということに規定しておるのであります。それから
外国食糧の三百円というのは、
国内産の一
包装について二十円の限度を
外国食糧に換算いたしますと三百三、四十円になりますので、三百円を最高としたのであります。
それからその次の第十
二條は、受検のための準備でありまして、これは特別に御
説明するまでもなく現在規定のあるのをそのまま書いてあるのであります。
それから第十三條の、
検査の期日、これは現在規定かあるのでありますが、大体
検査請求角の提出があつた日から十日以内に、食糧事務所長が指定する日に実施する、こういう趣旨のことを規定しておるのであります。
それから第十四條は、
検査の実施、これはあらかじめ食糧事務所長が定めた場所が公示してありますが、その場所のうち成る
一定の場所を指定いたしまして、そこで
検査を実施する、こういうことであります。その場合におきましては、本人又は代理人をして立会わせなければならないという規定を併せていたしておるのであります。
それからその次は、
検査の中止でありますが、いわゆる正当な事由がないのに、受検者又はその代理人が
検査の実施に立会わないときには、
検査を中止することができるということを一応規定してあるのであります。
それから第十六條、
検査証明であります。これは
検査官が
検査を行
なつた場合には、その結果を所定の手続によ
つて表示いたすという趣旨のことを規定しておるのであります。
それから第十七條の
検査の失効であります。それは強制
検査を受けた米麦は、次の三つの場合にはこの
検査を受けなかつたものとみなすということを規定してあるのであります。即ちその第一は、
検査した場合には必ずその
検査の有効期限というものを
表示いたすのでありまして、その有効期限を出た場合には受けなかつたものとみなすということを第一号に規定しておるのであります。第二号は、
検査をいたしましてつけた
表示が、失われ、消され、除かれ、改められ、又は不明と
なつたものについても同様に
検査を受けなかつたものとみなす。第三号は
検査証明書が失われ、又はその記載が改められ、不明に
なつたときには、これも又同様に
検査を受けなかつたものとみなすということであります。
それからその次は不正受検に対する処置でありまして、別段御
説明するまでもなくここに書いてある
通りであります。
それから第十九條は、
異議の申立でありまして、これは今までになかつたところの新らしい規定でありまして、いわゆる
検査の結果に
異議のある者は、完了の日から十日以内に申出ることができる、但し、直接利害
関係のない者は除いて、それ以外の者は
異議の申立ができるという趣旨のことをここに書いてあるのであります。申し落しましたが今までの規定は大体現行の
検査法なり
検査規則に規定したものをここに書いたに過ぎないのでありますが、十九條の規定だけは新らしい條文にな
つておるのであります。
それから第二十條は費用の負担でありまして、「
検査を行うために必要な農産物の積替、運搬、開装又は改装に要する費用は、受検者の負担とする。」こういうことであります。
それから第二十一條は、都道府県が條例によりまして、米麦以外の農産物で、その都道府県内で生産された農産物について国の
検査を受けるということを條例で定めましたものにつきまして、都道府県が
検査を受けることを命ずる」とかできるということをここに書いておるのであります。
それから第二十
二條は、「罰則」でありまして、ここに書いてある
通りであります。体刑を科さずに、三万円以下の罰金ということにしてあります。
それから第一十三條は総括的な罰則に該当する規定であります。
それから附則の一番先の、「公布の日から起算して四十日を経過した日から施行する」といたしまして、但し六條のいわゆる
検査の公示を三十日以内にいたす必要上、いわゆる四十口を経過してから本法を施行してもらいたいという趣旨に出でておるのであります。第六條の関連において四十日という規定をいたしておるようなわけであります。
附則の二、三は、この
法律制定に鑑みまして食糧管理法との
関係において必要な規定の改廃をいたすようにしたわけであります。