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岡村文四郎君 なかなか
大臣の御出席を求めても思うように出席がないのでありますが、この際少し根本のことを聞いて置きたいと思いますから御
答弁願います。私がお聞きをしますことは、重要な問題であるのにどうも軽視されかけておるという心配をいたしておりまするからお尋ねをいたしまするが、日本の、
食糧が非常に重要であり、国内で増産をするように
努力をしなければならんし、
努力をしておるわけであります。そこでとかく日本人は、米を主食と
考える傾向が非常に強いのでありまして、これを何とか避ける
方向に持
つて行かなければならんと、実は前から心配いたしておりますが、今度
政府のお
考えになりました麦の統制撤廃の
経過を見ますると、又
政府も米のみを国民の主食として取り上げて行こうとすることが
はつきり見えるのでありまして、これは甚だ我々は実に放任して置くことができないのであります。それは
大臣は、いや、そうでない、麦も食うのだと、こうおつしやるかも存じませんが、私は麦と米は絶対に離すことができない日本の主食と
思つております。
あとのものはそこまで行かないでもよいと思いますが——この際そういう軽い
考えをしたのでは、日本の将来は非常に心配が多いと思います。先般本会議で安本長官は、八百八十万石の麦の買入れは、希望があれば買うのであ
つて、配給ルートには乗せなくてもよいのである、こういう御
答弁をされておりましたが、聞けば聞くほど誠に遺憾でありますし、そういう
政府の政策では、我が国の
食糧はいつまで経
つても自立をしないという結論になると
思つております。そこで問題は、日本人の今までの
政府のやり方は、増産をすれば価格を下げる傾向に持
つて行
つたり、又統制を緩めたりすることが現在の
政府の
考え方でありまするが、生産をします者が、ほかのものは増産をすればそのものの価格は当然下がるのが当り前であります。日本の
食糧だけは、増産をすれば逆に価格を上げて行かなければならん実情にあると私は
考えております。これは実は重要なことで、外国から大麦、小麦の
相当の
輸入をいたしまするが、私はそういうものは、一物も
輸入しないで、他の工業原料を
輸入して、初めて日本は安定をし向上されると
思つております。ところがそういうことはちつともお
考えにならないで、高い小麦や大麦を
輸入しても、日本の国内に生産されるものは買わないわけじやないが、放
つて置こうという態度を見せたり、農家にいたしましても折角作
つた麦が、
あとから価格をいろいろ
事情を参酌してきめるとは書いてありまするが、希望値段に売れないことは当然であります。そこで前にも
大蔵大臣は、国際価格に鞘寄せするのだから、それでこういう価格になるのだという話をされておりますが、日本の
食糧は国際価格ばかり
考えてや
つておりますととんでもないことになると思います。私はどこまでも、少くとも米と麦は当然大事な主食として、将来まだ年限はわかりませんが、殆んど半永久的に取上げて、しつかり
政府が握
つて、それに農家が
協力する建前でなければならんと
思つております。それでありますから米でも麦でも増産をすれば価格が上
つて来る、こういうことにならんといかんと思います。その理由は、例えば米が普通でおれば一反歩に六俵取れる、少し
努力すれば七俵取れる、もう一層増産したいというので八俵取ろうといたしますと、その一儀のために全部の生産価格がぐつと上
つて参ります。そういうために、どうしても多く生産をすれば価格を上げてやらなければ日本の農業は成り立ちません。それでありますから
考え方を根本に変えて、そうして麦と米はどこまでも日本の主食でなくちやならんという建前でやるのでなければ、やがて非常に困る事態が来やせんか。若し多く作
つて安くなれば、百姓は少く作
つて、決して強いて苦労はしない。価格を下げる必要はありません。六俵取れるものは四俵にし三俵にして、その価格に売れば同じであ
つて、そういうことを
考えることは実に遺憾なことであり、慎しむべきことであると
考えておりますが、どうも
政府の今
考えております案は、私の非常に遺憾とする逆に行きそうな傾向がありまするが、
大臣は一体どこまでお
考えにな
つているか、お聞きしたいと思います。