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政府委員(
藤田巖君)
食確法が発足いたしましてからの毎年々々のこの
事前割当なり補正
割当の会議では、これはいろいろな問題が起
つて来ておる。常にこの
供出制度というものが
農家の自主性を阻害するというふうな声が非常にたくさん出て来たのであります。
卒直に申しまして、
食確法の法そのものが、法の目的
通りに運用され得ないような事情、又それに情勢が変
つて来ておると
考えております。つまり
食確法というものは一応の
事業割当というものをきめまして、それ以上のものは、これを超過
供出によ
つて、超過
供出価格、特別
価格を以て買入れる。而もその生産をするために必要な生産資材について、奨励的な報奨的な措置を講じて行くというふうなことが
食確法の
建前であつたと思うのです。それがその後報奨資材につきましても、だんだんと需給のバランスがとれるにつれて、むしろ報奨物資が
一般の市価より高く
なつた。それで困るという事態が先ず出、その後肥料等に至るまですべて
統制が外れた結果、今報奨物資としての役割をなさなくな
つて来ておる。而も特別
価格というものが、従来は非常に差を付けておりましたものが、
政府買上
価格と
一般闇
価格との開きが少くなるにつれて、それがうんと縮められて、もはや特別
価格的な
意味をなさなくな
つて来た、そういうふうな事情があり、更に又最近の
食糧事情というものが、当時
食確法の制定されましたときとは非常に違つた、緩和された状態にな
つて来たというふうに相成
つて来たのであります。
従つて我々といたしましては、むしろ
食確法を廃止するということは、これは農政的な立場から
考えましても、
農家の自主性を回復する、つまり無理々々にこういうものを作れということでなくて、それは
農家の自主的な経営に委ねる、そういうふうな
考え方にしたほうが
農業の経営としても合理化できるというふうな
考え方から、むしろ外すというふうなことにな
つたのであります。
従つて今後
食確法を続けましても、やはり
供出制度というものが続きます限り、殊に又
価格のきめ方が生産者本位にのみきめられるような事情であります限り、やはり
農家に対しまする管理というものは、実際の扱い方というものは、なかなかそう
農家の利益ばかり動かない事情であります。我々としては、やはり
建前としてはできる限り
農家の自主性を回復するという方向に行くことが農政の精神から見てもいいものであるというふうに
考えます。