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政府委員(藤田巖君)
農業委員会法では、
都道府県の
農業委員会の
委員は、
兼職禁止の
規定を置いております。併しながら
市町村の
農業委員会の
委員というものは、いわゆる
市町村会議員との兼職の
規定については、これを自由にいたしております。つまり
兼職禁止の
規定は、
市町村の
農業委員会の
委員については置いておりません。置いておりません
趣旨は、御承知の通り
市町村においてはなかなかこういうふうな
委員会の
委員としての適格を有するかたが極めて少い。
従つてみんな
兼職禁止になりますと、人材を得るにむずかしい場合が多いわけであります。
都道府県につきましては、これはもう相当エキスパートの人材を選ぶということで、必ずしもこれは分断をして差支えないのでありますが、
市町村の
農業委員というものは、さような特殊性がございますので、
兼職禁止の
規定は置いておらないのであります。ただ昨日
委員長から、問題のありました点は、
市町村会議員とそれから
市町村農業会の
委員とは、兼ねてはいけないという
規定はない。自由なんですが、ただ公職
選挙法のほうで「国又は
地方公共団体の公務員は、在職中、公職の候補者となることができない。但し、左の各号に掲げる公務員は、この限りでない。こういうふうな
規定がございまして、この公職
選挙法の
規定でくくられておるわけであります。
従つて市町村の
農業会の
委員が、例えば
市町村会議員に、なる場合に、立候補をすることができないと、こういうふうなことになるわけであります。
委員は
市町村の
議員その他の公職に立候補することができない、こういうようなことが公職
選挙法の八十九条のほうから抑えられておるわけであります。この
意味は、
委員たるの地位を利用いたしまして、
市町村会議員に何と申しますか、有利な資格を利用してその
選挙運動に携わると、こういうようなことを避ける
意味の
規定だと思います。で昨日も議論が出ておりましたように、
議員が
委員になることは差支えないが、
委員が
議員になることは禁止されておる。片道だけ禁止されておるのはおかしいじやないかと、こういうふうな議論が
委員長から出たのであります。これについては、本日
選挙管理
委員会のほうで、或いはこの問題は
地方自治庁でや
つておりますが、それについての
意見も聞いて見たんでありますが、
地方自治庁の
意見としては、これは従来もこういうふうな片道の禁止にな
つておるんです。
農業調整委員会も
農地委員会もその通りにな
つておるので、今度その通り
農業委員会もしたわけなんですが、この
趣旨は、やはりこれは一般のその他の
委員会でも全部抑えておるわけだからして、特に
農業委員会の
委員についてこれを自由にするということは、公職
選挙法の
建前から言えばむずかしい。むしろ
建前からいえば、すつきりと両方兼ねることができないと、
市町村の
農業委員会の
委員を
議員も兼ねることができない、こういうことにするのが筋だと、こういうふうなことをあちらは言
つておるわけです。併し我々のほうとしては、それは困る、先ほどから申しましたように、人材を得るに困るということで、原案のように
考えておるわけです。
従つて問題はむしろ公職
選挙法の八十九条の政令で指定するときの問題であろうと思
つております。この問題についての御
意見があれば、あちらの管理課長でございますか、
委員会で、その事情を
説明してもいいというふうな話もございましたので、なお詳細の点、若しいろいろその両者の
法律の
関係について御検討の必要がございますれば、そのほうをお呼び出し頂いてお聞き頂くと判明するかと思います。