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政府委員(
藤田巖君) それでは、今ざつと御
説明申上げましたが、或いは抽象的だ
つたかと思います。それで
農業委員会法案について大体主な点を御
説明申上げます。
先ず第一條でありますが、これはこの
法律の目的を書いてあるわけでありまして、農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与するため、都道府県及び市町村に農民の代表
機関として農業
委員会を設けて、その所掌
事務の範囲及び組織を定めることを目的とする。先ほど申しました組織法であるということであります。
それから次の第二條、これは従来の農地及び自作地等の定義に関する規定でありますが、これは従来の規定と変りはございませんので、省略いたします。
第三條の「設置」でございますが、市町村に市町村の農業
委員会、それから都道府県に都道府県の農業
委員会を置くということにな
つております。但し市町村の区域内の農地面積が著しく大きい市町村にありましては、都道府県知事の承認を御て二つ以上の市町村農業
委員会を置くことができるという規定を設けてございます。それから又逆に、その区域内の農地面積が著しく小さい市町村にありましては、都道府県知事の承認を受けまして市町村農業
委員会を置かないことができる。こういうふうな場合には市町村の農業
委員会に関する権限はその市町村長が行う。こういうふうな規定が置いてあるのであります。従来の農地
委員会或いは農業調整
委員会の規定の精神を踏襲いたして行きましたわけであります。
それから「経費の負担」、第四條でございますが、これは先ほど申上げましたように、農業
委員会の経費というものは、これは都道府県の負担とし、市町村農業
委員会に要する経費は市町村の負担とする。つまり自治体の
機関であるというような性格を書いたわけでありますが、併しながらこの
仕事については非常にたくさんの国の
事務、或いは又国家的な
事務の要素もございますので、その次に第五條で、国は毎
年度予算の範囲内において前條の経費を補助するというふうな建前に
考えておりまするわけであります。これに要する経費といたしまして大体昭和二十六
年度には約十八億、それから農地
委員会関係、農地局に過渡的な期間の経費といたしまして、四億円
程度のものが計上されております。
それから第二章の市町村農業
委員会でございますが、この市町村農業
委員会の組織でございますが、これは委員を以て組織する。市町村の農業
委員会に会長を置く。会長はこれは委員の互選によ
つて充てるということにいたしたい。それから農業
委員会の
仕事でございますが、所掌
事務につきましては先ほど申上げましたように、従来の農地局
関係の
仕事、それから農地
委員会関係の
仕事が書いてあるわけでありまして、第一項及び第二項に書いであるわけでありますが、第三項といたしましていわゆる農業
計画、総合的な農業
計画の樹立及び実施について市町村長に建議し、又は市町村長の諮問に応じ答申するという権限を書いておるわけであります。なお農業調整
関係の
仕事につきましては、これはここには書いてございませんが、別途現在
準備いたしております米
麦等の買入に関する
法律案の中で、この
法律に追加いたします。その権限をこの
法律の中に追加するということを
考えておりますわけであります。
それからその次は、第九條
関係、これは選挙に
関係する規定でございますが、これは先ほど申上げましたように、市町村の農業
委員会は二階層によるところの階層別選挙というふうな構成を
考えております。一号委員五名、それから二号委員十名、結局十五名というふうなことに
考えておりますわけであります。ただ階層別選挙につきましての例外規定といたしまして、十條を御覽頂きたいと
考えております。非常に小さな市町村、つまりその市町村においてこの階層に属する選挙権を持
つておる農民の数が、それぞれの属する区分の委員の定数の十五倍以下である、かような小さなところでは階層別選挙によらずに全層選挙を行う。この場合における委員の定数は十五名、かように例外的な規定を設けておりますわけであります。これが選挙によ
つて選ばれる委員でございますが、そのほかに選任委員の規定をおいておるわけでございます。ずつと飛ばして頂きまして、十五條に選任による委員といたしまして、この十五名の委員のほか、市町村長は農業
委員会の所掌
事務に関して学識経験を有する者で、選挙による委員の、各階層の委員のそれぞれ過半数が推薦をしたものについて五名を限
つて委員を選任することができるというふうにいたしております。これが現在の委員よりも少し人数が若干減
つております。
それからそのほかの規定はずつとございますが、これは選挙に関するいろいろ手続規定でございまして、これは従来と変りはございませんので、その点はずつと省略をさして頂きます。
それから選挙権につきましても、これは十一條でございますが、十一條に、委員の選挙権、被選挙権を有する者は、当該市町村に住所を持ち、年齢二十才以上の、一反歩、これは北海道にあ
つては三反歩以上の農地について耕作の業務を営む者、及び同居の親族又はその配偶者で耕作に従事する者というふうに規定をいたしております。それからその
あとの任期の規定、或いは辞任の規定、委員の補充等、これは従来と大体同様でございますので、省略さして頂きたいと思います。
それから、市町村の農業
委員会の規定はその
程度にいたしまして、都道府県の農業
委員会の規定でありますが、この都道府県の農業
委員会の規定は二十四條からでありますが、これは会長及び委員を以て組織をする。会長は、これは都道府県の農業
委員会につきましては「都道府県知事をも
つて充てる。」というふうにいたしております。それから所掌
事務につきましては、これは市町村の農業
委員会の
関係の上級
機関としての
仕事を列挙いたして、それから個々の点につきましても、例の
食糧の割当に関する規定につきましては、これは別途米
麦等の買上げに関する手続を規定いたします
法律案によ
つて、その権限をこれに追加をいたします予定で
考えております。この規定は、大体従来の農地
委員会及び農業改良
委員会、農業調整
委員会の規定と大同小異でございますので、省略をさして頂きたいと思います。変
つております規定は、ずつと選挙権、選挙手続の規定は飛ばして行きまして、代表者会議の規定があるわけでございます。それは三十八條です。「都道府県知事は都道府県農業
委員会の請求があ
つた場合において必要と認めるときは、その定める区域について市町村農業
委員会代表者会議を招集し、当該区域に係る第八條第三項又は第二十六條第三項に掲げる事項で都道府県農業
委員会が必要と認めるものについて
調査審議し、その
意見を都道府県農業
委員会に答申すべきことを求めることができる。」従来農地
委員会は御
承知の
通り市町村及び都道府県にあります。農業調整
委員会のほうは地方の農業調整
委員会というものがあ
つたわけであります。今度の農業
委員会といたしましては、系統といたしまては市町村及び都道府県の二
段階というふうに
考えたのでありますが、実際問題といたしまして、農業
委員会の所掌すべき
事務の中で、やはりこの地方的に、成る区域において代表者会議というものを以てそれに充てることがどうしても必要である。又それが円滑に
仕事を進める上に便利であるという理由もございますので、さような
意味から代表者会議の規定を置いたわけであります。
それから申し落しましたが、委員の人数は、これは十五名というふうに
考えておりまするが、それについては市町村の農業
委員会と同様、更に五名を限
つて選任委員を置くことができるという規定があるわけであります。それからそのほかの会議の規定、これは従来と同様でございます。
それから雑則
関係、これについても大体従来と同様な規定が置かれておるわけであります。ただ先ほど
ちよつと申上げましたように、農地
関係の
仕事については行政官庁の一定の監督権というものを若干保留をいたすということに相成
つております。そのほか
事務的な規定が入
つておりまするけれ
ども、これについては従来のものと大差はございませんので、省略させて頂きたいと思います。
以上でございます。