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1951-05-25 第10回国会 参議院 農林・通商産業・建設連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十五日(金曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  委員氏名   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岩男 仁藏君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三好  始君            三浦 辰雄君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      古池 信三君    理事      廣瀬與兵衞君    理事      栗山 良夫君    理事      結城 安次君            上原 正吉君            小野 義夫君            黒川 武雄君            重宗 雄三君            小松 正雄君            島   清君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            駒井 藤平君            境野 清雄君            西田 隆男君   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      岩崎正三郎君    理事      赤木 正雄君    理事      小川 久義君            石川 榮一君            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君            久松 定武君            田方  進君            東   隆君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○森林法案衆議院提出)    〔羽生三七君委員長席に着く〕
  2. 羽生三七

    委員長羽生三七君) それではこれより農林通産建設の三連合委員会を開会いたします。  慣例によりまして、私が委員長を務めさせて頂きます。なお本日は時間の関係もありますので、成るべく通産建設委員会のかたに御質疑をお譲り願いたいと思います。
  3. 赤木正雄

    赤木正雄君 この法案は概して結構な法案考えております。この法案の甲で、この保安林の部分が砂防法と非常に関連するものがあります。それにつきまして一つ二つお伺いしたい。林野庁長官は見えておられますか。
  4. 羽生三七

    委員長羽生三七君) おられます。
  5. 赤木正雄

    赤木正雄君 今まで森林法で例の荒廃林地復旧工事とか、これに類する仕事をしておりましたが、そういう観点が非常に砂防法と重大な関係を持つております。そこでこの法案の第四十一木を見ますと、「その事業を行うのに必要な限度において森林又は原野その他の土地保安施設地区として指定することができる。」この中で森林又は田野をこの地区にする場合には、これは荒廃林地復旧工事の目的から言うなれば当然と思います。併しその他の土地保安施設地区に編入すること、これについてよほど質しておきたい。つまりこういうことをお書きになつたのは、これは第二十五条の「森林保安林として指定することができる。」云云の中で、その四の飛砂防備、或いは五の潮害とか干害とか、在いは七の火災の防備とか、或いは八の魚つきとか、こういうふうにあえて森林又は原野でなくても、いわゆるその他の土地においても、或いは海岸防砂林のごとき、これは決して森林のない土地、又原野のない土地でも必要があります。そういう意味から、この字句をお用いになつたと了承していいか悪いかを先ず聞きたい。
  6. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今赤木委員お話通りでございまして、第四十一条の「その他の土地」というのは、私ども只今考えておりますのは、災害防備林を作ります場合、海岸の砂地とかいうようなところが対象になるということが予想されますので、さような「その他の土地」という文字を入れたりでございます。
  7. 赤木正雄

    赤木正雄君 建設省施行しております砂防工事或いは河川工事又は農林関係施行しておる治水事業、これは私以前から一つの省に統合してこそ完全なものになる、こういうことを前かつ申しておりますが、まだ行政機構はてこまで行つていない。併し現在にお己ましては例の昭和四年の閣議決定事虫によつて、大体農林省建設省はどういう範囲農林省でしよう、どういう仕事建設省でしよう、殊に砂防及び保安林に関するそういう工事に対しては協定がとれて、今日ではうまく行つておるのであります。恐らくこの法案ができましても農林省といたしましては今までの通り両者の間を、今日の段階においては権衡をとつてお行きになつて従つてこの法律ができましても今までと特に変化はない、こういうふうに解釈して差支えありませんか。
  8. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今お話通りでございまして、従来私どもの実行いたしておりました治山関係と、建設省で実行いたしております砂防工事現地におけるトラブルが相当多いように伝えられておるのでありますが、現在では毎日一回事務当局連絡会議をいたしておりまして、お互いお互い仕事をよく了解し合つておりますので、従来のような摩擦は現在少しもございません。この法律通りましてもその通りに実行いたして参りますので、昔ございました摩擦というようなことが改めて起きるようなことは絶対にないと私ども考えておるのであります。
  9. 赤木正雄

    赤木正雄君 最後にもう一度念を押しておきますが、そういたしますと、従来の森林法に盛られていた当時の保安林、その当時の砂防関係仕事、そして農林省建設省砂防関係仕事、こういうふうな両者仕事においては今まで通り法案と同じ建前で処理されると、こういうふうに解釈していいのですか。
  10. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) お話通りでございます。
  11. 赤木正雄

    赤木正雄君 私の質問はこれで終ります。
  12. 山川良一

    山川良一君 大臣、どなたもお見えになつておりませんが、只今すぐお返事願おうと思いませんが、この法案とそれから石炭増産との関係につきまして、一言政府考え方についてお尋ねしたいと思うのであります。私どもこの法案自体が悪いというわけではありませんので、国家百年の計から当然実施すべきものであるということについては異議はありませんが、只今石炭増産が強力に要請されておるのでありまして、それにつきまして人間の食糧に相当する坑木入手が、現在自由な場合でも非常に入手に困難して石炭増産相当障害を与えておるというような現状であります、これは皆さん承知通りと思いますが、更にそういう場合に、この法案を実行しまして非常な制約を作りますと、具体的にどうなるということは申しませんでも、更に入手は困難になる。而も四六時中食べねばならない主食であるこの坑木が、直ちにと申していいくらいに欠乏するだろうと思うのであります。それにつきまして政府当局でも善処をするからというお話はたびたびあるのでありますけれども、ただ抽象的に善処するというだけでは絶対駄目だと思うのであります。それで坑木入手支障を来たさせないように法案の修正を考慮するか、或いは最も重要な石炭増産支障を来たさないように法案実施を少し延期するか等の措置を講じまして、目下最大急務である石炭増産支障のないようにすることがどうしても必要であろうと思うのであります。それにつきまして現在強要されておる、強要と申すと語弊がありますけれども要請これておる石炭増産は、少し具体的の内容に入つて、実は有力方面からも要請があつておるのであります。これは殆んど実行不可能のような問題も入つておるが、そういうことを実施しまりにつきましては、労働者本当の心からの協力を得なければできない面があるのであります。でありますが、若し国会或いは政府でこの増産支障になるようなことを決定しておいて、さお前たちやつてくれと協力要請しも、これは本当納得ずく協力は侮られないと思います。労働力石炭生産の最も重要なものでありますのに、その一番大切な労働者協力を得られないような結果になるような法案にすぐ実施することは如何かと思うのであります。炭鉱に必要な坑木につきましても実はいろいろな方法を講じて使用量節約も図つておるのであります。一昨年度に比べまして、一咋昨年でありますか、二十三年度に比べまして二十五年度はトン当り三割ぐらいの使用量節約しておるのであります。そういうふうにその坑木そのもの使用量につきましても非常に検討を加えまして、成るべく森林資源の枯渇にならないように努めてはおるのでありますけれども、そう急激に少い数量でやつて行けるということは見込みがつきませんので、一つ石炭増産とこの森林法実施ということにつきまして政府はどうお考えになりますか。石炭増産が現在のように急激に特別の増産をしなければならん立場になりましたときには、この法案考えられたとこと大分事情が違つておると思いますか、現状に即してどういうふうにやろうと考えておられますか。坑木入手について具体的に支障のないようにどう下ればいいかという考え一つ承わりたいと思います。
  13. 羽生三七

    委員長羽生三七君) 只今山川さんの御発言に関連してこれは経済安定本部あたりから御発言を願うといいのでありますが、御承知のように本法案議員立法でありますから、本日は衆議院から野原、井出両議員が御列席になつておりますので、御意見を承わることにいたします。
  14. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 提案者といたしまして、只今の御質問に対しまして見解を披瀝いたしましてお答えに代えたいと思います。この森林法を制定いたしまして、幼齢林保護をしなければならんという事態にありますことはすでに御説明を要せんと思います。非常に将来の日本森林資源というものに対しまして寒心に堪えない次第であります。何といたしましてもこの際森林法によりまして幼齢林保護を行わざるを得ない情勢に、必至の情勢になつております。従いましてこれは坑木パルプその他木材を使用せられる需要者側にとりましては非常な関心事であることは十分に承知しておるのであります。併しながら自立経済が漸く達成を見つつある今日におきまして、木材がこの森林法の制定によりまして急激に生産量が減少したというふうなことになりましては、これは日本産業経済にとりまして非常な混乱でありますので、努めてその混乱を避けたい。必要な生産すべきものは何とかして、多少の無理はあつてもこの際は生産を持続するように極力努力をする。その代り国を挙げて造林に励む、或いは又奥地資源開発をいたす。そのために木材使用合理化等を促進いたしまして、それによりまして将来の不安なきを期したいと考えておるのであります。只今石炭生産に関しましてその必要とする坑木についてのいろいろ御心配な事情を承わりまして私どもも金くその事情がよくわかるのであります。ただ私ども衆議院のほうでもこの森林法の審議の場合におきまして、各方面から坑木に対してのいろいろと不安な事情である。何とかしてこれに対する制限緩和等考える余地がないかどうか、いろいろとお話も出たのであります。併しこの森林法におきましては成長量基礎とする計画伐採を進めるというわけでありますが、今日の木材需要供給というものを考えたときにおきまして、相当程度弾力性のあるいわゆる増伐を行うとかいうことをしなければならんという建前から、森林法内容を御審査頂ければよくわかると思うのでありますが、成長量を越えたかなりの増伐が許されることになつております。又同時に適正伐期齢級というものを設けまして、いわゆる成長量が最も多い時期まで努めて伐らないで置くようにはするわけでありまするけれども成長量範囲内におきましては、幼齢柿でありましても、利用のできるものにつきましては相当これは皆伐もできるようになつておる。ましてやその森林をよくするための間伐作業のごときは、十分にやつて頂いてよろしいばかりでなく、むしろ大いにやつて頂きたい、かように考えておりますので、幼齢林炭鉱のための坑木適材のごときは、十分に私は出るものであると考えるのであります。ただ問題になります点は、パルプ業者との競合が最近顯著になつております。パルプ業界では、非常に経営が最近よろしいというような事情もあると見えまして、現地へ行つて見ましても、木材買付け等に対しまして、非常に活撥に行われている。ところが、自立経済のためにはその基礎産業であるところの石炭に対しましては、絶対必要な資材としての坑木でありまするけれども、従来の状況を見ておりますと、いささかパルプ業界のほうに押されておるような状態に見受けておるのであります。パルプは多少の曲りがあつてもよろしいし、或いは又太さ等も必ずしも均一でなくて結構なんであります。坑木はその場合は均一の径級を要求されます。或いは又長さも均一のものが……各炭鉱によつて要求が違つておる。或いは又曲りは非常にこれは厳正に、曲り材は不適材として除かれなければならんというようなことになるのでありますが、それらに対しまして従来必ずしも適木炭鉱坑木に使われておつたというふうに思えない節があるのであります。つまり利用合理化等が徹底を欠いておつたというような点もありまして、これは今後パルプ適材或いは坑木適材というふうなものは、その辺の木材規格等におきまして、価格操作その他におきまして、十分に調整がとれるのではないか。現在の事情におきましては、坑木のいろいろな事情はよくわかりますけれども、この森林法をこの際改正するとか、或いは又その施行をこのために特に延ばすというようなことは今日の段階において実は考えていないのであります。行政庁におきまして、この濃の運用に当りまして、十分に炭鉱坑木生産が続けられ、その御要求が満たされるように適切なる運用を図つて頂くということを提案者としては期待しておる次第であります。
  15. 山川良一

    山川良一君 提案者のかたがたも坑大入手についていろいろ心配下さつておるということは十分わかつておるのであります。併し心配されて善処しておる以上には、一歩も進んでいないように思うのであります。それではいけませんので、私のほうは心配して、こういうふうに具体的に入手について差支えないようにするということの御説明がなければ納得できかねるわけでございます。その点をもう少し具体的に実行方法についての御説明があるならばお願いしたいと思います。それからもう一つ、今のパルプ業者等競合につきまして皆さんの御理解を得るために一言申上げたいと思うのでありますが、要するに坑木入手の点は、金さえ持つて行けば入手が不可能ではないのであります。又一方現在の石炭事情から申しまして、値段については問わないから、とにかく石炭を持つて来てくれというのが一般の要請であります。そういう需要者からの希望がありますので、それならばということで法外な値で石炭を売り渡し、又それによつてパルプ業者等石炭業者坑木入手について競争をするだけの炭価にしますならば、どういうことになりますかということは私は申すまでもないと思います。石炭業者としては比較的良心的に炭価の面も考えて、輸送とか或いは資材値上りとか、止むを得ない限度値上り石炭を売渡しておるつもりであります。でありますので、まあ石炭業者坑木買い方が或いは坑木供給する者の買い方が、下手だからそういうことになるのだというふうにお考えになるかたが万一ありますと、実際はそうではないのでありますから、その点も御了承の上に一つ具体的の入手方法考えて頂きたいと思うのであります。なお私はこれ以上申しませんが、同僚議員から更に詳細なお尋ねをすると思いますので、これで打切ります。
  16. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) お答にを申上げたいと思うのでありますが、その前に大体私どもがこの新法施行に当りまして予定いたしておりまする伐採量と、現在の木材需要状況につきまして概略お話を申上げておいたほうが、今後質問を頂きますに当りまして非常に参考になるのじやないかと考えますので、ちよつと時間を頂戴いたしたいと思うのであります。従来用材に見合いまする成長重は五千万石と称せられておつたのであります。それに対しまして昭和二十四年度の用材伐採量が八千万石でございます。二十五年度は八千八百万石でございまして、いずれも著しい過伐をいたしておるのでありますが、それに対しましてこの法律を審査いたしました関係方面におきましては、直ちにこの成長量に見合うごとく伐採量を圧縮すべきであるという相当強力な御意見があつたのであります、併しながら先ほど提案者からお話のございましたように、自立経済に必要な木材供給というものは極力確保いたしたい、而もさようにいたしまして確保いたします半面、百四十二万町歩に及びまする未利用地造林を急速に推進すること、或いは奥地にそのまま眠つております未利用林開発を急速に推し進めますること、或いは又木材利用合理化を図りまして適切な用途に十分に使つて頂くような方途を講ずる、又現在民有林森林の一町歩当り成長量は僅かに八三石でございますが、これを従来の実験の結果に徴しますると、三倍にいたしますることはさして困難ではないのでありまし、て、これを技術の滲透によりまして、これの実現を徹底するというような諸施策をいたしまして、成長量需要量とのバランスをできるだけ早い機会に実現をして参るということを私ども考えておるのであります。自立経済で予定されております木材需要量は、用材におきましてこれは丸太材積でございますが、八千百七十二万石でございます。そのうちパルプが一千六十万石、ほかに濶葉樹を三百万石、丸太で予定しております。坑木には一千万石予定をしておられる参ようであります。この坑木も主として炭鉱を目当てにして計算をいたしますると、四十四百万トンの石灰を増産いたしまするには、現在原価単位で二斗五升ほどになつておるようでありますので、一千百万石炭鉱だけにつきましても必要であるということは計算上出るのでありますが、北海道等におきまする極めて憂秀施設を持つておりまする炭鉱では、坑木使用量が原単位当り一斗二升であります。かような理屈的な状態全国各地炭鉱に期待することは極めて困難であろうと存じますけれども原単位二斗五升の節約をできるだけ図つて頂きたい。かように考えておるのでありまして、さようなものを合せまして大体八千百七十二万石と推算されるのであります。このほか木灰百八十万トン、例年の数量が白八十万トンであります。昭和二十五年度では二百万トンを少し超えておるようでありまするが、これらと薪、普通の薪とガス薪と木炭を合わせまして立木材積に換算いたしまして九十二百万石を予定いたしておるのであります、先ほど申上げました八千百七十二万石というのは丸太材積でございまするので、これを立木材積に換算いたしますると一億一千二百九十六万石に相成るのであります。薪炭材積九十二百万石を合計いたしますると二億四百九十六万石という数字になるのであります。これに対しまして新らしい計画によりますると、国有林普通林におきまして一割の増産をいたす考えであります。なお民有林につきまして制限を受けておりまするので、用材に、薪炭林につきましては現在も開発が進んでおりまするし、林道の延長によりまして開発の可能な地域だけを考えまして、その成長量だけを伐採することにいたしております。普通林のいわゆる幼壯齢林でありますがその伐探の制限を受けまする地域に対しましては、三割の増産計画いたしておるのであります。なお適正伐期齢以上の伐採制限のない森林地域に対しましては、年成長値の五倍の伐採を年間期待いたしておるのでありまして、これらを合計いたしますると一億九千八百三十万石に相成るのであります。なお先ほど申上げましたこの用材伐採いたしまして末木枝条が相当出るのでありまするが、この末木枝条の材積というものは二千六百万石になるのでありますが、従来木材事業は不集約でありましてこれらのものは殆んど山地に捨てられておつたのであります。これをででるだけ薪炭林のほうに、薪炭林のほうに置き換えまして、薪炭林の中の優秀な木材用材に転用するということによりまして、十分木材需給バランスが現在の段階においてとり得るような方途を講ずる考えでございます。なお適正伐期齢ということがございますが、このきめ方は成長量最大の時期ということを考えて決定いたすつもりであります。地方によりまして相当差異ができて参ると考えるのでありますが、杉につきましては大体四十一年程度、赤松につきましてはこれ又地方によつて相当差異ができると思うのでありますが、中国、九州地方では三十一年以上が適正伐期齢級以上であると考えます。届出によつて伐採をして参るというように考えておるのであります。  なお伐採許可というものが年一回ということに法文上ではなつておりますので、これを三回乃至四回に訂正をすべきであるという御意見が非常に強いのであります。これは一応は年一回ということになつているのでありますが、法文の第十条を御覧願いますれば、経済事情等に著しい変化のあつたという場合には計画を変更いたしまして、いつでも伐採のできることに相成るのでありまして、坑木需給バランスが非常に乱され、坑木がないために出炭できない、或いは鉱石の採掘ができないというような事態に相成りますれば、これは経済事情等に著しい変化のあつた場合と考えまして、伐採許可をいたすつもりでございます。なお地方によりましては各県自体計画によりまして、木材関係の工場などを設置しておりますために、坑木県外移出を非常に渋るというような事態も発生するのではないかと考えられますが、それに対しましては既往の実績十分調査をいたしましてできるだけ従来の実績相当する分量はその県内で確保し、県外移出するということを快よく実施をして頂くように指導して参りたいと考えております。又伐採許可を受けて、徒らに伐採をしないで値段釣り上げをいたすというような不心得者も中には出て参るのではないかというようなことも懸念いたされますが、これはできるだけ指導によりまして許可を受けた者はできるだけ伐採をするように指導して参りたいと考えるのでありまして、一応の伐採許可を受けまして次の年に又続いて伐採許可を受けようといたしましても伐採許可を受けます期間は一月中でございますので、次の年にはその山は伐れないということになります。森林所有者といたしましても次の年に許可を受け得ないというようなことになりますれば、相当の損害を受けるということに相成りますので、これはさような事態は起き得ないのではないかと考えております。なお法文にもございますが、先ほど申上げました一億九千八百万石に対しまして更に二割の余裕を見込んでいるのであります。この二割の余裕に対しましては四割くらいの余裕を見る必要があるのではないかというような御意見相当強く私どものところにお申出があるのでありますが、これは先ほども数学的に申上げましたように、私ども当初から考えておりますが、相当十分に自立経済に必要な木材の量というものは確保し得る見通しがついておりますので、更にこれを四割にするという必要はないのではないかと考えております。
  17. 山川良一

    山川良一君 詳細に御説明頂きましたので、運用等でいろいろ支障のないようにしようとお考えになつている点も、大体了承できましたけれども只今説明の中に八百万石くらいで何とかなるのじやないかというお話は、先ほど申しましたように、三年ばかりの間に原単位を三割くらい切下げて参りましたけれども、それはその間に鉄材の入手相当好転して来ましたけれども、鉄材に置き替えることによつて三割くらい切下げられたのであります。現在鉄材が相当行き亘つた現在では今後そう急速に原単位を落すことは困難と思います。それから又一方四千四百万トンといわれている石炭要請量はそれではとても足りないのであります。現在要請されている数字もそれより上廻つているのでありますので、その石炭の必要量が殖えて来たということと、原単位がそうはなかなか切下げられないという点をお考え下さいまして、さつきの八百万石くらいあつたらばという坑木需要量につきましてもう一つ御研究願いたいと思います。それからもう一ついろいろ入手について尽力頂いても結局現在よりも相当大幅な制約があるのでございますから、現在入手に困難しておることは、更に困ることになるということは、はつきりしておりますので、森林法実施と、石炭の必要量確保ということにつきまして後ほど予算のことについて政府当局からその点の考え方について御説明願いたいと思います。
  18. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 只今山川委員から八百万石というようにお聞きになつたやにお話がございましたが、私一千万石と申上げたつもりでございます。了解願いたいと思います。
  19. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 資源庁のほうに一、二お尋ねしたいと思います。今この森林法が国家百年の大計からいつて、是非必要なことはどなたもお認めになつておるのでありますが、一方又終戦後の木材需給関係からいたしまして、森林資源が遠からず欠乏するであろうという不安はほうぼうから指摘されておつたところであります。従つて資源庁といたしましては、今問題になりました坑木について、いろいろ将来の長期の計画で、どのような措置をとつておるかという点に対する計画をお持ちになつてつたろうと思うのであります。今山川委員は專門家である関係で鉄材に置き替えることは不可能だということを、或いは相当困難なことを前提にして坑木のことをいろいろ論議を進めたようでありますが、これらの点に対しまして資源庁としてはどういうような御見解をお持ちであるかお尋ねいたします。
  20. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 坑木の問題につきまして、森林法の問題が出る前からいろいろ研究いたしおりますが、坑木の将来の入手見通しにつきまして、私どもかねてからいろいろ心配しております。それにつきまして原單位のほうでできるだけ節約するということについて、努力をいたしておるわけでございます。    〔委員長退席、農林委員理事岡村文四郎委員長席に着く〕  原単位のほうは先ほど山川委員からもお話がありましたが、その後非常に改善をされておりまして、一時三斗以上使つておりましたのが、本年に入りましてずうつと落ちまして、最近では一月の実績におきましては、全国平均で二斗三升、〇・二三五というふうなところまで参つております。この節約内容というものは、これは実際の使用そのものを技術的にできるだけ節約するということと、それから坑内の鉄化でありますとか、或いはコンクリート、或いは防腐剤を用いるとか、別の転換的な方法をやられるとか、両方合せておりますが、これは今後も続けるべきだろうと思つております。ただ坑内の鉄化が一番坑木節約に役立つのでありますが、これを至急にやるということは、鉄の資材関係からいたしましても、更に大きくは資金の関係からいたしましても、簡単に急激にこれを期待することは困難であります。そこで二十六年度の我々の規定といたしましては、全体の坑木の使用原単位を〇・二三三、二斗三升三合という数字を以て計算いたしております。この数字の実際の坑木需要量というのは、四千四百万乃至四千五百万、これに欠けた場合に若干食違つて参りますが、これは現在坑木の手持が一カ月そこそこでありますので、少なくとも二カ月持ちたいというところからこの数字が動いておりますが、実際の使用原単位としては、二十六年度〇・二三三ということを目標にいたしております。これが将来におきましてどの程度まで低下できるかということは、現在私どものほうで正確な計算はできておりませんが、過去におきましては二斗以下になつたということがございます。最低の場合は昭和十年に〇・一七六という実績がございますが、そこまで下げるかどうかということについては、殆んど私ども不可能だと思います。これは御承知のように炭坑がだんだん坑道が延長いたしまして、深部を掘ることになると、どうしても使用原單位はそれに伴つて殖えますから、〇・二三三をどこまで下げるかということは余り十きくは期待できないのじやないか、将来むしろ殖える傾向にある、そこで仮に更に一割から一割五分節約いたしますとしても、石炭計算そのものはやはりそれ以上のテンポで増産しなければならんということになるだろうと思いますので、従つて実際は坑木面に出て来る木材に対する需要というものを引下げるということは甚だむずかしいのじやないか。従つて我々の希望といたしましては、一定の規格でなければ使えない炭坑用の坑木というものは、他の用途に優先しても確保して、或いは規格にゆとりのある産業について、できるだけその間の調整を図つてもらいたいというような希望を持つておるのであります。
  21. 下條恭兵

    ○下條恭兵君 只今の御答弁で大体上かりましたが、今お伺いしたいのは私は炭坑には全く素人でありますから、見当違いになるかも知れませんけれども、今の答弁の中にもセメントなり、鉄なりに置き替えれば、坑木を減らし得るということを言われておるのであります。私のお伺いしたいのは今資金の問題がどうしたとかといつておりましたけれども、資金というようなことを考えずに、どうしても石炭を四千四百万トンから五千万トン出すために、而も国家百年の将来のために森林資源保護しなければならんという立場に立てば、別な考え方が成り立つだろうと思いますから、仮に資金のことを考えなかつたら、石炭増産しながら坑木を減らす方法があるかどうか。この点に対して炭政局長の御意見をもう一遍伺いたいと思います。
  22. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) ちよつと今お尋ねの要点聞き漏らしたので、或いは外れるかも知れませんが、坑木節約するために、もう少し円滑な方法があるかどうか、こういうお話でありますか。……これは現在、先ほど申しましたように坑内の鉄化でありますとか、或いは防腐剤の使用でありますとか、コンクリート巻を入れるというような方法でやるわけでありますが、今年度そういうような方法で予定してもりまする節約量は百四十六万石と推定しております。例えばこの坑枠用の十レールを使用するということが一つの条項になつておりますが、その場合にどの程度の古軌条が要るかということになりますと、四万トン必要だといこことになります。でこの古軌条の入手ということも、最近鉄道のほうから出ますものに期待しておるわけでありますが、鉄道はできるだけ協力するとつてくれておりますけれども、必ずも楽観はしておりません。それから切羽の延長全体一万二千メートルに対して、カツペ採炭を行いまして、そこで従来の坑木をカツペ採炭に換えるということの計画がありますが、それによつて八千トンほどの鋼鉄の支柱が要るわけであります。これにつきましは、やはり鉄の給源の問題のほかに、相当に多額な資金をこれに寝かすことになりますので、利点は十分認めておりますけれども、そういう点で一つの問題がございまして、急激にこれ以上減るということはそう急にはできない。従つてこれにつきましては、現在カツペ採炭の採用につきまして、二千八百万円の補助予算を計上して実施することになつております。それからそのほかにコンクリート巻もありますが、例えば十万メートルのコンクリート巻を殖やすということにして、それに対するセメントが十万トンということになります。それはセメントを更に殖やすということによつて、コンクリート巻の坑道そのものは、延長はできますけれども、併し不必要に切羽に近い所までコンクリートにするということは、全体的に見ましても非常に不経済でありますので、そういうことはできません。従つてコンクリート巻をする坑道というものは極めて限られておる。これはそういう意味からこれ以上にむやみに殖やすような性質のものでない。御承知のように、坑木の使用される場所というものは、切羽の近い所で使われておる所が非常に多いわけでありまして、従つて切羽は払つてしまえば大体潰れる性質のものであり接すから、そこで耐久性の長いコンクリートでありますとか、或いは鉄の支柱を放棄してしまうということは、これはまあ非常に不経済でありますので、そういう場所においては、どうしても坑木に頼らざるを得ない。カッペ採炭或いは鉄の支柱というものは、そこで使つたものを更に回収して更に先で使うということで、これで非常に坑木節約になりますけれども、その方法がとれる坑内というものが、やはりこれはいろいろな条件で限定されておりますので、これが全般に普及するということは相当な期間を要するということでございます。従つて一応の見通しといたしましては、今年百四十六万石の節約ということはかなりな期待を持つております。相当以上の期待をかけるわけでありますが、これが将来に対しましてこれの二倍乃至三倍も節約の方向に向つて進むということは、実は簡単に申し切れない実情でございます。
  23. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 私炭鉱坑木原単位を下げる問題につきまして、長い間坑木生産して担当して参りました者として御参考の意見を申上げたいと思います。坑木につきましては、炭鉱側と坑木生産する山元とが緊密に一体になつて適材を取るごとにしますと、非常に原単位が下つて来ることは、今更申すまでもないのでありますが、例えば三寸で済むところに四寸の木が要る、或いは又七尺でよろしいところに九尺の木が要るというふうなことで、鼻切り材がたくさん出たり、或いは曲り木材が入つたために、それが坑木適材にならずに、徒らに長屋の建築のほうに廻つたり、中には薪にされておるものもある。炭鉱に行つて見まして非常に情けなく思いますことは、折角坑木が足りない足りないと言つておりながら、中には材木が山になつておる。これが坑木に使えない材木なんです。その事情を見ますと、例えば山の中には、赤松の山を見ますと、おのずからこの木は坑木に向く、この木は坑木に向かない。パルプに向くのだということははつきりわかつておる。ところが、パルプ業者が山を買いますと、坑木適材であろうがなんであろうが、全部パルプ材に伐つてしまう。それから炭鉱のほうの関係の業者が買いますと、少々無理でも皆これを坑木にするのであります。従いまして利用合理化ということを言いながら、少しも利用合理化がされていない。そのために無駄なものを買つておられる。そのためにかなり高い物を買わされ、原単位につきましては非常に負担が重くなる。私は今から丁度二十年前、年間約百五十万本ぐらいの坑木生産したことがありました。坑木のデパートという気持で実は坑木生産をやつた時代があるのであります。その当時二寸でいいところは二寸、三寸でいいところは三寸、まあ長さは四尺から始まつて十二尺まで、細いものはもう一寸の矢木から九寸、尺まで、全部長径級ごとに揃えまして、そうして必要な所に必要なものが流れるような仕組で、山をやつた経験が実はあるのであります。それをやりますと、実は半分になつてしまうのであります。今日は木材資源が非常に少くなつてつてお互い入手に苦労しておりながら、パルプも或いは坑木もまあ御自分の立場と申しましようか、そういうものに追われて、或いは又長い手持がないために、みすみす無駄と知りながらそういうものを買わざるを得ないような情勢であります。ここに山の生産をする側と、本当に必要とされる側とが一体になりまして、多少は奨励金を出し、或いは又長径級を揃えるためには多少の負担がかかるのでありますが、一割や二割はむしろ単価は上げてもそのほうがずつと利益になるのでありまして、木材利用節約という面から行きましても、是非それをやらなければならんと私ども考えておりまして、未だにそれが実現を見ない。見ないどころではない。私がやりましたのは昭和四年から九年まででありますが、その頃までは実際非常にうまく行つたのが、最近見てみますと、殆んどでたらめになつてしまつておるという事情がありますので、これは炭鉱の業者の各位にも御協力を願つて、そういう問題の合理化を図つて行くならば必ずやり得ると私は原単位一石半まではできるものだと確信を持つております。
  24. 小林亦治

    小林亦治君 自作農創設特別措置法によりまして所有者の山林が買収せられておるのであります。その買収せられた山林の中には無論幼齢林もたくさん入つていると思うのであります。その関係と本法がどういうふうになるかでありますが、更に買収せられんとする計画に入りつつある幼齢林が、これが全国には幾万町歩もあるはずでありますが、本法が出たために、折角未墾地開拓という大きな狙いから出発しておるところのこの計画がゆがめられるではないかというような懸念があるのであります。その点に関して提案者か或いは当局のかたから、本法との関係を伺いたいと思います。
  25. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 只今の御質問は誠に御尤もだと思います。森林法によりまして助船林の保護のために相当制限までしなければならんという情勢に一方置かれておりながら、一方においてはいわゆる未墾地買収にされた山林がまだ伐期齢はともかく、利用期にも達していないような、そういうものがみすみす伐られて行くというような状態に対しましては、何とかして急いで解決しなければならん問題と思うのであります。で前国会及び前々国会におきまして自作農創設特別措置法と農地調整法の改正を図りまして、その改正案におきましては未墾地買収された山林であつて、それが未だ開拓の用に供されていないものであり、同時に又今後も開拓の用に供せられる見込のないものについては、これを元の所有者に元の価格でこれを返す。その措置を講ずるという条項があつたのであります。衆議院のほうは通過いたしまして参議院に廻つて御審議を願つたのでありますが、御審議の過程においてこれが二回とも審議未了になつたという実例があるのであります。今更申すまでもないのでありますが、この森林法の改正に関連いたしまして何とかしてこの際このことも併せて考えなければならんということを強く感じまして、いろいろな方面と連絡をとつたのでありますが、只今農林省といたしましては、この間農地局長の説明によりますると、農地調整法や自作農創設特別措置法及びその後の政令によつて処理されました土地問題に対する各種の省令等を整理いたしましてこのたびはりきりした一本の土地制度の法案をできればこの国会に間に合わしたい、提出をしたいということで準備をしておられたようであります。時間的な関係でこの国会には提出できない、来たるべき臨時国会に出してこれを処理いたしたい。その中には只今申上げましたような未墾地買収になりました土地に対する扱い方がはつきりと織込むように、関係方面ともすでに十分な連絡をとつて了解を得ておるという説明であつたのであります。その臨時国会まで待てない。その間に無断で、まだ利用期にならんような幼木が伐採されましては非常に困るのでありますから、取あえず農地局長の名前で各都道府県知事にそういうようなものは、取りあえず伐採しないようにという通達をすぐに出して頂くということを連絡いたしまして、その方針で今明日のうちにその通達が各都道府県知事宛に出されるごとになつてお参ります。
  26. 西田隆男

    ○西田隆男君 私提案者にお伺いしたいのですが、この森林法は適切妥当なものであると私増えておりますが、この森林法案を起案されるまでの間に、農林省或いは非常に密接不可分の関係を持つている通産省当局との間にお打合せがされておるかどうか。されておるとするならば、第一、第十六条ですか、第十六条の第六項にある許容限度の二割を超えない範囲ということを使つておられますが、この許容限度についての打合せはどうなつておるか。この許容限度二割を越えない範囲云々という二割を超えない範囲について、通産省との間にどういう打合せがあるかということ、それからもう一つお伺いしたいのは、許容限度範囲内において未墾の一カ年間に伐採される各種の予想数量はどういう数量を予測せられておるか。この予測数量によつて日本の現在の産業が必要とする木材が完全に充足されるというお見通しを持つておられるか。こういう点について先ずお伺いいたしたい。
  27. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) この審議の過程におきましては、農林省と、地方自立経済に非常に関係の深い安定本部等の御意向を十分尊重いたしまして行つたのでありますが、通産省とは格別この問題に対しての打合せはいたしておりません。ただ先ほども林野庁の長官から詳しい数字の説明がありましたごとく、飽くまでも現在の日本の置かれている立場というものを十分考慮いたしまして、自立経済の達成のために必要とする最小限度用材及び薪炭その他の供給は、是非ともこれは続けて行かなければならんという点を考慮いたしまして、先ほど林野庁長官の申上げましたような数字で、自立経済審議会がこの数字は最少限度必要であるという数字を充足するように努力して参つたのであります。具体的な数字等は林野庁のほうから御説明申上げますが、私どもは一応成長量を厳格に守つて、その伐採の数丘をきめましたのでは、今日のところ自立経済の面で、或いは非常な障害を来たすやも知れんという点を考慮いたしまして、その許容限度を二割まで引上げまして増伐のできるという弾力を持たしたのでありまして、先ほど林野庁長官説明では自立経済審議会が要求する必要な限度のものは、この案によりましても供給し得るということになりますので、従いましてその限度内におきましては、通産省側のいろいろ御関係の深い石炭生産、或いは又パルプ生産その他のものにつきましても、その中において十分とは言えないまでも、どうやら賄つて行くものになるというふうに考えております。
  28. 西田隆男

    ○西田隆男君 私は遅れて参りましたので、林野庁長官の詳細な数字の説明を聞いておりません。御迷惑でしようが、数字について一つ説明願いたい。
  29. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 先ほど大分長く申上げたのでありますが、もう一度申上げることにいたします。  最後の数字だけを一つ申上げたいと思うのでありますが、自立経済で必要といたしまする木材用材材積が、これを丸太にいたしまして八千百七十二万石でございます。これを立木に換算いたしますると一億一千二百九十六万石でございます。このほかに薪炭林薪炭林を九千二百万石予定いたしておりまするので、合計いたしますると二億四百九十六万石になります。私どもが一応推算いたしておりまする計画では、立木換算で申上げまするが、用材が一億七百七十一万石、薪炭林薪炭林が九千五百九十万石、合計いたしまして一億九千八百三十万石となるのでありまして、三・二%ほど不足になるのでありまするが、一億七百七十一万石の中から丸太生産いたしまする際に、末木とか枝とかいうものが出て参ります。その数字が二千六百万石ほどになるのでありまして、これを薪炭林薪炭林のほうに転用いたしますると、その中から相当用材が期待できるのではないか、さように考えますると、この程度で十分間に合うと思うのでありまするが、更に念のために二割の余裕をとつておるということであります。いろいろ四割にする必要があるのではないかというような御意見も各方面からお伺いをいたしておるのでございまするけれども、二割で私ども十分に賄い得ると考えておりまするので、二割と決定いたしたのであります。
  30. 西田隆男

    ○西田隆男君 只今総括的な数字の御説明がありましたが、これは日本の国内で一カ年問に使うと予想される総使用量に対してのパーセンテージはどうなつているかという問題、それから総数量の中に松材として用材に使用される数量がどれくらい含まれているかということを一つ説明願いたい。
  31. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 全国で使用されるであろうと思われる木材の量は大体二億二千万石程度でないかと考えております。なお、このうち松が幾らあるかということは、ちよつと二千七十一に亘りまする森林区の計画が出て参りまして計算をいたしませんと出て参りませんので、当分お答えを申上げることができないかと思います。
  32. 西田隆男

    ○西田隆男君 今各森林を調べた上でないと、松材はわからないと言われる。そうすると通産省に御連絡をとつていないという点から考えると、松材は主として石炭鉱業の坑木に使われる。従つて石炭増産は日米経済協力を前にして緊急不可欠の問題として論議されている。而も二十六年度四千四百万トンというのは四千六百万トンにしようというような強い意向がマーケット少将から伝えられているというような現実の情勢を判断して見ますというと、石炭鉱業に対する松材の使用というものが、立案当時においては余りにも無視されておつたように考えられる。従つて二億二千万石の年間消費量の中に、石炭に使う松材というものを忘れて、ただ総数量だけが充足されるならばよろしかろうというようなことで、この法律案を若し立案されておるとするならば、これは余りに軽卒過ぎると考える。而も今林野庁長官は個々の森林を調査をして見ないとわからないと、これは以てのほかであります。年間に坑木の松材がどれくらい、どの地方において伐られておるという集計が出てない。それすらできていないとすれば、ただ立法するだけで森林保護できるという生易しい考え方では、この法律の趣旨は達成できないと考えられるのでありますが、この法律案をお作りになつて、この法律案の立法の趣旨の通り実施することは異議はありませんけれども、このために日本国内の基本的な産業が非常に打撃を受けるというような点を今少し御研究なり、御考慮になつた上で、この法律案、の提案をされるのが然るべきであろうと、私はこういうふうに考えます。而も今の林野庁長官の御説明によつて、相数量においては数字的な辻褄が二割の限度を超えないような範囲で合うようにも考えられますけれども、個個の問題にして見ますと、そうは行かない。炭鉱坑木に松以外の木を使つた場合においては、非常に消費量が殖えるということは、現在この法案考えられております量というものが不足を来たすということになるのでありまして、なお松材以外のものを使えば労力も余計使う、いろいろな関係から、石炭生産に非常に障害を来たすというような結果が起きることは当然です。従つて若し今御調査になつていないためにわからないならば、これは急速にこの調査をして頂かなければならないと思います。坑木の松材の生産というものは、これは全国的にはどこにもここにもあるわけではなくて、或る一定の供給地区林野庁長官よく御存じのはずですから、お調べになれば一目にしてわかる。全国林野局出張所といいますか、農林省出張所といいますか、そういう方面に電報で照会されればすぐわかると思います。長官どうです。
  33. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) ちよつと御質問の意味を取り違えまして、甚だ失礼なお答えを申上げたのでありますが、パルプに使いまする一千六十万石、及び坑木考えておりまする一千万石という数字は、これはパルプにつきましては松でありますが、坑木につきましては一部から松も入つておりまするが、大体赤松でございます。なお全体の蓄積はこれは古い数字でありますが、赤松の蓄積は十億石と推算されておるのでありまして、この成長率が若し三%といたしましても、三千万石は出るはずでございまして、お話のように重要産業でありまする石炭、或いはパルプ工業に対して、赤松の供給が差し当つて非常に困るというような事態には私ならないと思いますので、先ほどのような回答を申上げたのでありまして、全体として考えて見まして、炭鉱関係のかたがた、或いはパルプ関係のかたがたから伺いましても、赤松の資源が非常に少くなつたというようなことはないと思います。なお先ほど申上げました二千七十一の森林組合から報告が来なければわからないと申上げましたのは、非常に的確な何十何億石という数字のことまではちよつとわかりかねるという意味で申上げたのでありまして、大体十億石の蓄積はあるだろうということは私ども大体認めておるところでございます。
  34. 西田隆男

    ○西田隆男君 今林野庁長官お話でありましたが、私が最も聞きたいことは、パルプ石炭鉱業に使われる松材の消費量を説明されました。それから立木幾らあるというお話ですが、その法律施行することによつてこの許容限度パルプ石炭鉱業に対する松材が確保できるかどうかという点を一つお話願いたいのと、今まで二十五年度或いは二十六年の上半期において、法律の許容限度内の数量を超過して伐られておるかどうかということを、一つ説明願いたいと思うのであります。
  35. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 林野庁といたしましては確保できると考えておるのであります。なおできるだけそういう事態に相成りまするように努力をいたしたいと考えております。なおここで特に炭鉱関係のかたがたに御協力を願いたいのは、坑木がかように不足に相成りました理由は、昨年の九月に木材がだんだん上つ参つたのであります。特に朝鮮動乱の影響を受けまして、各地でぼつぼつ木材値段が上つてつてつたのでありまするが、特に九州方面におきまして、炭鉱業者のかたがたは二回に亘つて値下げを断行された。自由経済時代ではやはり値段の高いところに、物は流れて参りますのは当然でございます。そのためによそのほうに非常に坑木適材が流れて参つたというような事実があるのでございます。格別に松の材を高く買わなければならないことはないと思いますが、やはり適正な値段でお買上げを願いませんと、かような経済状態の時代にはなかなか無理かと思うのであります。なおその当時は、約二十億円に上る坑木代金の未払いがあつたのでございます。最近非常に御努力を願いまして、その未払代金は大体八億に減少いたしておるということでございますが、非常に熱心に坑木の確保に努力をいたして頂いておるのであります。やはり山持ちというものは経済的に弱いものでございます。代金の支払というようなものがなくなりますれば、喜んで坑木に売払いをするということになると思うのであります。たまたまそういう事態がありましたものですから、非常に炭鉱のかたがたに御心配をかけたり、御不自由をかけたりいたしたのでありまするが、私どももよく炭鉱のかたがたと御相談をいたしまして、できるだけ協力を願いまして、坑木の確保ということには努力をして参りたいと考えております。特に国有林におきましては、従来も長い間各炭鉱と連繋をとりまして、各炭坑によりまして非常に坑木の長さというものが違うのでございますが、各炭鉱適材を裁断いたしましてお買上げを願つているというようなこともあるでありましよう。特に坑木の不足の現状から考えまして、国有林に対しましてはできるだけ坑木適材供給するように指令を私出して曲るようなわけでありまして、さようなことでございますので、今後も炭鉱のかたがたにも、特に皆様からいろいろ御指導をお願い申上げたいと思うのであります。
  36. 西田隆男

    ○西田隆男君 最後にもう一点、特に私が答弁を求めておりますのは、そういうことではなくて、今あなたが御説明なつた二つの数量、その数量が二十五年度の木材の消費量、パルプ坑木の消費需要量のパーセントはどうなつておるかという点を聞きたいのと、この法案に規定してある許容限度によつてその要求量は確保されるかどうか、或いは許容量によつてどれだけ、その二割を限度として余計に伐採を許すという限度で充足できるのか。できないとするならばそのパーセントはどうなつておるかという問題、炭鉱坑木が値下げになつたからとか、どうとかという問題ではなくて、もつと基本的な問題をお開きしているのですから、そういうおつもりで御答弁願います。私どもが心配しておりますのは、パルプ坑木用松材のこの法律によつて許されている許容限度、若しくは二割以内を伐つた場合に、消費要求上、どういう供給になるかという問題を私は心配しておりますので、その意味で一つ御答弁を願いたい。
  37. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 二十六年度の坑木の需要の推定は一千二百万石ほどであります。併し先ほど炭政局長からお話のように、原材をできるだけ引下げをするということでありまするので、一千万石程度で十分賄りて行つて頂けるのではないかと思うのであります。なお、二割の許容限度を置きましたのは、お話のように、特に坑木とか、パルプとかいうような重要産業に結び付いておるものに対して、供給を確保したいというのが狙いでございまして、その二割の許容限度で十分賄い得るのではないかと考えております。
  38. 西田隆男

    ○西田隆男君 どうも今の長官の御答弁は要点を外れていて困るのですが、私が聞いておるのは二十五年度乃至一十六年度において、坑木並びにパルプ業者の使ういわゆる需要量と、あなたがさつき御説明なつた、業者の坑木として伐られ、パルプ材として伐らおる数のパーセントがどうなつておるかという問題が第一点、それから今度はこの法律施行されることによつて、この許容限度範囲内でこの需給関係がどうなるかという問題、それから二割を伐つた場合には充足されるようなことになるのかどうか、こういう点を私はお聞きしておるので、これを数字的に、二十五年度の石炭パルプ需要量はこれだけだ、併しこういう法律がなくて勝手に伐り出した数量はこれだけだ。従つてとの法律による許容量によつて伐採するという場合においては、数量はこれだけしか伐れないということを御説明願いたい。
  39. 岡村文四郎

    委員長代理(岡村文四郎君) どうでしようか、あとから簡単な表でも示したらどうでしようか。
  40. 西田隆男

    ○西田隆男君 今若しおわかわにならなければ、あとで結構ですから……。この問題がはつきわしなければあなたの抽象的な説明では、パルプ業者石炭業者は救われないということになりますから、数号を一つ詳しくお聞かせ願いたい。
  41. 岡村文四郎

    委員長代理(岡村文四郎君) あとで資料を……。
  42. 西田隆男

    ○西田隆男君 じや私はこれでやめます。
  43. 小林亦治

    小林亦治君 先ほど私がお伺いした趣旨と、逆な御答弁を願つたようで、私のお聞きした趣旨は、農地関係法が未だ廃止になつておらないのに、農地関係諸法令が改廃になつておらないのに、本法を施行するために、幼齢林伐採を差控えろという訓令を地方に出すとおつしやつたのですが、一件そういうことは評ができるのですか。これが一点。第二点は食糧の増産、農業政策の助長、なかんずく貧農の救けという三点から、農地法が未墾地開拓というものを大幅に断行しておるわけなんで、その喫緊性と、必要性というものは毫末も減退しておらない今日、その目的に副うところの諸法令が改廃になつておらないのにもかかわらず、その諸法会を無視して、幼齢林伐採するなということにつきましては、一体どういうところから出て参る議論であるか。私の考えるのには、先ず以てこの食糧増産面、貧農の救済、かような眼目から施行されたところの諸法令は維持してもらわなければならない。本法が施行されても、前に行われたところのそれらの国策というものは、これを確保して参らなければならない。然るにそれらの諸法令の改廃なくして、籔から棒にかような森林法が出て参るということになると、その目的が全部ブランクになつてしまう。若しそういつたこの幼齢林保護しなければならんということであるならば、これは治山治水という関係から、建設方面から財政支出をしなければならない。幼齢林伐採と未墾地開拓の関係をお聞きしたのでありますが、御答弁は未墾地開拓を見送つて幼齢林は生かさなければならんというようなお答えなんでありますが、私のお聞きした目的はそうじやないのであります。幼齢林なんかはこれは未墾地開拓のためには犠牲にしても、未墾地の開拓のほうを優先させなければならない。曾つて施行されたところの農地法の必要性と緊急性というものは、未だこれは生きておるのであります。その点をお聞きしたいのであります。以上二点であります。
  44. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 御質問と違つた説明つたとおつしやいますが、私はさようには考えていないのであります。勿論お説のごとく未墾地の買収をやり、開拓を推進することは、国策として日本の食糧自給の問題を解決し、或いは又増大した国内人口を収容する、いろいろな重大な意味を持つておりまして、自作農創設、或いは又農地調整法というような法によつてこれが行われて、緊急開拓として買収になつたわけであります。併しその過程におきまして非常に行き過ぎが多かつたのであります。私どもはこの日本における土地利用というものにつきましては、いやしくも開拓に適するところは飽くまでもこれを開拓し、立派な農耕地に育て上げなきやならんと思つております。併し又山は山として山にしておかなければならんところは、やはり立派な森林としてこれを極力培養するということが、又一面においても、農地保護のためにも、国土保金のためにも絶対必要である。それが適地を誤まり、或いは又十分な調査もせずして未墾地の買収が行われた。そこに開拓者が入つてつて、そうしてまあ木材伐採をする。折角伐採はしても、土地事情が開拓に不適当であるというようなことの、ために開拓を放棄したものが余りにも多いのであります。又今日といえども未墾地に買収されておる土地で、全然開拓の見込のない土地というものが、相当広い面積に亘つて今日存在をしておることは事実であります。従いまして私どもは決して農地開拓であるとか、或いは又開拓問題を軽視するのでもなし、飽くまでもこれは日本の民主化と食糧確保のためには、十分にその成果を挙げ、大いにやらなければならんと思つておりまするけれども、いやしくも日本土地利用が徒らに山が荒されたり、或いは又開拓されずして山が伐り荒されるだけであるというふうなことになりましては甚だ遺憾である。そこにその行き過ぎをこの際十分に反省すべきものは反省する、そうしてできるだけ妥当なる土地利用区分をしなければならんという観点で、この自作農創設特別措置法や、農地調整法の条項を修正いたしまして、改正を図りまして、そうして未墾地に買収はしたけれども、開拓地として成功の見込がない或いは又今後も開拓の必要がない、もうそれがすでにはつきりわかつてしまつた。そういうものはやはり元の所有者に戻して、大いに山に木を植えさせなきやならんということを考えて、衆議院ではそれがすでに通過を見た事例があるのでありまして、決してお説のように山がどう荒れてもかまわぬ、開拓ができればいいというようなことにはならんのでありましてこの点におきましては、今後といえどもそれらの利用区分については十分なる調整を図らなければならんと考えておるのでありまして、私が特に農林省に対しまして要望いたしましたのは、今日この森林法を改正いたしまして、そうして治山治水の問題はもとよりのこと、今問題になつておりますところの木材需給の問題を将来も不安なからしめるように、森林資源保護培養を図るためには、個人の管理にしましても或る程度の制約をしてまでもやらなければならないというような実に重大な段階に立つておる。今後今までのような状態を繰返しますと三十年を出でずして全山丸裸になる虞れさえあるのであります。若しそうなりましては、農耕地の保護はもとよりのこと、国土は荒廃に期するのでありますから、何と申しましても、私どもはこの森林法を改正せざるを得なかつたようなさまざまの事情というものを、しかく勘案すときにおきましては、今日未墾地買収になつておるところでありまして、将来開拓が殆んど不適当であると認められたようなものが、十分はつきりわかつておるものについては、この際そういう地上立木を急いで伐採するようなことは避けて、取りあえずその伐採をやめてもらいたいという申入れをしたのでありまして、農地局におきましても、そういう点につきましては今までの行過ぎがあつたことを十分認められました上で、そういうような場所があるならば、幼齢林等は取りあえず伐採をやめてもらうような通達を出したいということで出すことになつたのであります。
  45. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 先ほどの御質問は農地として開拓されることに確定いたしておつたものであつてその土地の上に立木がある場合にはどうするかという御質問であつたように考えるのであります。その点は第二十四条に、「その他省令で定める森林には適用しない。」ということになつております。省令の中に開墾の計画が確定いたしましてその上に地上立木がございましても、それは森林として取扱わないというふうにいたすつもりであります。
  46. 小林亦治

    小林亦治君 真向上段に御答弁を願つたようでありますが、私は何も山が全部坊主になつても開拓をやれというのではない。未墾地買収に振向けられておるところの既存の買収地というものは極く僅かであります。ところが大きな山林業者が今日かような立法を見通し、伐らないでおけば再び自分に戻つて来るということを豪語しながら、県庁と結託して伐採を控えておつた例はたくさんあります。その周囲を取巻いて幾千の農民が泣かされておつた。而も今日までその状態が継続しておつた。そこにかような法律が出て参りまして、幼齢林、或いは既存のものの伐採を控えておる。而も元の所有者に返してやるということになれば、極く少数の山林業者が助かる半面に、幾万という農民が泣かなければならない。延いては曾つての大国策であり、今日来だ減殺されないところの食糧増産、農業政策というものは澁滞してしまう。かような点からお伺いしたのであります。全部の山を伐つても開拓に向けろというような乱暴な考えではないのであります。そういう点を提案者のかたがお心得になつているかどうか。山林業者が今日かような、いわば大衆の側から見れば、反動立法の出ることを予想して、伐採を差控えておつたというようなことを開いておられるかどうか。只今のお答えではそういつた場合が全然皆無の場合の御議論なんであります。私どもはそういう実情を全国に通じて隈なく知つているのであります。
  47. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 私は岩手県でありますが、岩手県は未墾地買収の土地が多いのであります。而も開拓者は熱心にまじめに開拓しておりますので、すでに現在のところ入植しておられる諸君や、或いは地元農家等に面けられております開拓地は十分に今までのもので間に合つております。従つて未墾地買収になつてまだ全然手のつかない山林というものは、今後も当番は恐らく開拓の見込みがなかろうというふうに考えておりますので、又只今お話では、その山林の周囲の農民対非常に苦しんでいるというお話でございましたが、岩手県に関しましては私の十分実地調査をしました結果によりましては、そういう事例が今まではなかつたのであります。若し万一にも事実開拓に適当な所であり、その開拓計画が進んでおりながら、そういうようなことのために不当に開拓そのものが実行し得ないでいるというような事態がありますれば、これはその実情に即しまして、私どもはそういうことのないように県当局にも十分反省を促したい、さように考えております。
  48. 小林亦治

    小林亦治君 御答弁は岩手県の場合の実例を御引用になつたようでありますが、私は全国的に申上げているのであります。ここは県議会ではございません。そのつもりでもう一遍御答弁願いたい。岩手県の実情というものはこれは全国に該当する実情であるかどうか、岩手県特有のものであるかどうか。
  49. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 岩手県は、北海道を除きましては日本第一の開拓の大きな県であります。従いまして農地事務局等の事業分量等からいたしましても、全国の約一割に当つております。従いましてあらゆる事態が岩手県において代表されていると見て私は差支えないと思う。従いまして、農林委員会で関係方面も随分歩いてみましたが、特に関係の深い岩手県の実情を、責任上申上げたいために岩手県を申上げたのでありますが、おおむね岩手県が全国の開拓事業等を代表しているものであると確信しております。
  50. 小林亦治

    小林亦治君 岩手県は、私が聞いている範囲では、面積が多い割合には耕地に適しない所がたくさんあるのであります。私は山形県なんでありますが、全然提案者の御意見とは逆なんであります。実情がそうなんであります。従いまして岩手県の実情というもので、これは全国に物差しをあてるのは逆だと、こう考えているのであります。それからもう一点は、岩手県におきましても、伐採がなかなか農民の希望に比例して進捗しないということを私ははつきり聞いているのであります。今おつしやつたのは、これはまじめな御答弁だろうと思うのでありますが、それに相違ございませんか。果して岩手県におきましては、理想通り進捗しておつて、もう農民がそういつたものは希望しない、こういうふうに結論付けられるのであります。若しそのようなことになつておりまするならば、私もこれは開拓関係には力を相当入れている一人でございますから、改めて岩手県に対して調査を進める必要があるのじやないか。末節でございますが責任のある御答弁を願いたい。
  51. 野原正勝

    衆議院議員野原正勝君) 私岩手県開拓連盟の顧問をしております。開拓農民の味方として従来もみずから山林を開拓して参つてあらゆる問題に対しまして開拓者の味方である確信を持つております。その私が申上げますことですから間違いなかろうと思います。ただこれだけ申上げましてもおかしいのでありますが、岩手県は今まで未墾地買収約七万五千町歩でありまして、その中で開拓に成功したと見られるものが約二万町歩であります。なお農耕地の附属の自家用山林であるとか、牧野であるとか、そういうものを含めましてどうしても四万町歩程度は必要である。併し今後開拓予備地として、これが将来入植背の希望があつた場合にはいつでもこれを受入れる。そのために相当の面積を準備しておきたいと思いますけれども、それにいたしましても、今まで未墾地買収としてあの当初政府から割当てられました数量は、急いで買いましたためにその七万町歩の中には少くとも一万六千町歩やそこらのものがどうしても開拓ができないと思われるものがあるのであります。その点につきましてはどうぞ一つ実情を御調査願いたいと思います。
  52. 小野義夫

    ○小野義夫君 私はこの本案の成立することを先ず前提として希望するのでありますが、非常にこの点議員提出というのは御困難であつて野原代議士のごときその途の通人といえどもやはり多少の手落ちはないと言えないのでありまして、取扱上今後もあることでありまして、こういう経済上の非常に正面衝突、一見そういうふうにも見られるような法案の取扱につきましては、衆議院においても通産委員その他よく熟議をされて、論議を尽されてやつたほうがいいと思われるのでございますけれども、会期切迫して多岐多端でなかなかそういう暇もなかつたかと拝察するのでありますが、ここに我々はこの法案は非常に国家百年の大計の上に是非とも成立を要望するが、併しこれがために起つて来るところの支障はですね、極力これを除くことを希望するものでありまして、先ほど林野庁長官の御説明、又炭政局長の説明も、鉱山に要する、いわゆるメタル・マインその他に要するところの坑木というものは、まるで問題にしない。いわゆる原単位において二・五、それで四千四百万トン、それはイコール幾らというようなことを言つて先ほどの論議の中に金属山に対する坑木支給の問題はオミツトされておるのでありますが、私の承知するところによればですね、やはり金属山も百万石以上の坑木を必要とするらしいです。そこでですね、今要請せられておりますところの四千五百万トン内外にやりますと、これだけでも、石炭だけでも千百二十五万石となるのであります。これを切りつめて一千万石だけ、あとはまあ節約をしろというお話、それに鉱山のほうの坑木一つも勘定の中に入れていないということになりますと、私は坑木のこの需給関係において甚だこの立法の基礎が、少し数字が間違つているんじやないかという危惧があるのであります。それが先ず第一点。それからこの法の第八条その他全面に見えるのが、申請と許可が年一回となつておるんでありますが、これは先ほど説明によりまして、著しき経済的変動ある場合は二回でも三回でも許すから差支えないというお話でありますが、現在の経済事情は著しき変動のあるものと認めないのであるかどうか、これは屁理窟的質問でありますが、私は端的に申上げれば、現在は著しき変動のある時期であろうと思うのです。かかるが故にそういう行政庁の取扱でなく、年四回にするといつたら、法文の上にはつきりと正確に申請と許可を年四回にするということで、僅かの修正で目的が達せられるのでありますから、かように修正するのが妥当と思われるのでありますが、これに対する修正意見はどうであるか。又樹齢ですね、原則として松は三十一年、杉は四十一年と申しますのですが、この坑木は遺憾ながらこの保護する樹齢になつておるのです。例えばここにパーセンテージを申上げますと、大体私の調査によりますというと、二十年から二十五年くらいのところが大体坑木の中の三六%、それから二十五年以上三十年未満と見られるものが三一%、合計六七%というものがこの保護に値いしているところの幼齢樹に該当する。いわゆる適材でないものに該当するのであります。ですからかように法の施行目的であるところの七割、六割が除外例を食わなければならんというようなことは、法の実施上殆んどその迫力を失うことになる。それを一々許可で許すということは……。でありますから坑木に対しては又その材木の種類、松とか或いはとど松にして、且つ坑木に要するものは、というような簡単な例外規定を設けることによつて法案は完璧を期する。又現下の日米協力という、自立経済先ほど非常に主張されましたけれども、これはもうすでに自立経済は古いと考えるのであります。感覚の上から言つて古いと思う。自立するくらいで日本が事足りるかどうか。もう一歩国際経済に直結してやらなければならん。そこで今、将来植林をするとか或いは奥地林を開発するとかいう迂遠な問題は、ここに私どもは耳をかす余裕はないのでありまして先ず以て電力は本年度に六百万トンの石炭を使用しなければならんというこの実情が、大いに坑木に影響しておるのであります。でありますから根本的なことをおつしやるならば、水力電気を先ず以て極力やれば石炭使用量は漸滅する。従つて坑木節約になる、こういう順序になるのであります。植林計画よりは電力が優先するという問題になりまして坑木問題に対しては……。でありますから私どもが今の時差の感激なる変化に即応して、将来この国家百年の大計を忘れないようにということにするのには、先ほどから申します一、二の点について農林委員会において御修正をなすつてつて頂けば、我々通産委員としてのお願いは十分に達成されるのでありまして、本案の成立にはもう非常に私ども熱意を持つて賛成でありますから、その一点を通産委員として申上げます。
  53. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 私はこの松木の幼齢樹の伐採についてちよつと御質問したいと思うのでありますが、只今まで坑木或いはパルプ材ということについていろいろ発言があつたのでありますが、ひとり坑木パルプ材ばかりでなくて、その他の、端的に申しますると、製陶用の唯一の燃料でありまする松木、それは製陶業に対しては只今では唯一の燃料であります。尤も石炭も使つておりまするけれども、製陶業の主なるものは松木でなくてはならないことも、その一番あれは三十年前後のものが一番多い。それに頼つて日本の製陶業はやつておるのであります。製陶業も日本における輸出品の重大なものでありまして、これも又おろそかにはできない。殊に日本は産業の復興から考えましても、この坑木或いはパルプ或いは製陶と、こういう三四点に非常に影響があるのであります。幼齢樹の三十一年ということになりますると、そういう方面に多大の影響を及ぼすという心配があるわけであります。今まで、これは今までのことを言うと甚だ何ですけれども、今までそれでは営林署その他の伐採模様を見まするというと、水害が、現に非常に大水害があつて、そこの樹木を伐採すれば水害が又起きると眼の前にわかつておりながら、今までそれをどんどん民間に払い下げて営林署が伐らしておるという、こういう事実があるのであります。今まであんなにルーズにしておきながら、急に森林法を作つて念に国土保全その他の問題から、急にこれを保全しようというのも一応わかるのでありますが、今までのやり方が余りにひどい、実例を申上げますと、佐賀県の例ですけれども、二十四年度において佐賀県の有田地方に大洪水が起りました。そのとき二十四名という人命を失つたような大被害でありましたが、その被害の主なるところはその出たところは盆地であつて山の狭小になつておるその小さい谷間に、急に雨が非常に振つたものだから、そのためにその下流における河川の氾濫、そのほかから二十四名の人が死亡して、そうしてその下流は非常な被害をこうむつて、非常に惨澹たる状況を呈した。その川上に、一番小さなところにいわゆる国有林がある。その国有林を、而も被害のあつたあとからどんどん伐らした事実がある。我々目に余つてつたのです。国有林でありながら二、三年前に水害が起きて、そうしてこの谷岡に水害が起きたのを、こんなに坊主刈に伐つた、而も国有林である。それをそんなに伐らしておりながら、急に日本産業に影響を及ぼすような、こういう森林法を急速に出して、急に作るということはどうも私は納得できない。今までの政府のやり方と余りに違い過ぎる。それは国有林払下げの陶題のときに生じたいわゆる濫伐でありますけれども、そういうことを政府はしておつた。そのを申上げまして、そうして今の国土保全そのほかの問題から申しますと、これは必要なことであろうけれども、併し急に伐採を或いは制限をして、そうして日本の産業、貿易なり或いは坑木なり、或いはパルプ材に非常に影響を及ぼすような法案を急に提出するということは、我々はどうも納得行きかねる。もう少しそれを考え、そうして実際範を示すものは政府である、その政府国有林を先に伐つて、範をすでに政府が今までに出しておつた。この法律は先のことであるから、その点は今まではそうだつたけれども、今後そういうことにしたいというような考え方かも知れませんけれども、そういう工合に今まで非常なる濫伐の範はむしろ政府が示しておつたのであります。その脈を申上げまして、そうしてまあ農林委員会あたりで一つ十分審議をして、そうして日本の産業に影響を成るたけ少く、こういう大事な昨朝でありますから、成るたけ少く、而も保全もできるというような点に一つお進めおきをお願いいたしたいということをお願しておきます。
  54. 岩崎正三郎

    ○岩崎正三君 第四条の基本計画ですね、日米経済協力は重大問題でありますが、とにかく基本問題でありますのでお尋ねしておきますが、私どもが現在まあここに幼齢林伐採をしないとか、いろいろな森林保護規定がありますので誠に結構なことと思うのであります。併しながらへ日山が禿げてそのままに放置されておる山があると思うのです。これは山に木が生えて結構なことであります。木が生えて又山を治め、川を治める、こうなるのでありまして、今日森林を育成するということが主にこの法案にあるようでありまするが、当然昔あつた山がいろいろな事情からして禿山になつてしまつておる。それを今日至急に植林して治山治水を助けるという点について、割合にこの法案に強く出ていないと私は思のであり、まして、その点を一つ承わりたいと思います。どういうお考えでそういうことが出たか……。
  55. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) この実施計画或いは森林基本計画という計画におきまして、当然植えなければならないところはこれを造林せよという計画を立てます。若しその森林土地の所有者が植栽をいたしません場合には行政代執行という制度がございまして、国で植栽をいたしましてその費用を取るという方法もありますし、或いはその造林臨時措置法という法律が昨年できましたが、それによりまして第三者に造林をさせて、その間で調停をさして部分林というような制度を立てて行くということも考えておるわけでございます。
  56. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 これはまあ局部的な問題でございまするが、足尾の山は、これは銅を採るために、その必要上いろいろな災害が山林に及ぼされて、附近の山林が荒れ果てて木が生えない。この実情は林野庁ではどういうようにお考えですか。
  57. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 足尾の銅山の鉱害によりまして、煙害地というのは相当大面積に亘つておるのでございまして、併しながら非常に土地が酸性になつておりまするので、特殊な大島桜くらいの程度のものでありませんと、あの土地には他我が困難であります。先ず第一にあそこから流れ出しまする砂をとめることが第一段階仕事であると思いまして、建設省と私どもの間で共に協力をしまして、治山治水の仕事只今実行いたしております。二十六年度も相当規模の仕事をいたすことになつております。なおそれで、地が治まりますれば、それから植栽にかかるということを考えているのであります。
  58. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 そのことは私どもも存じておりまするが、とにかく一つの亜硫酸ガスというのが銅の精錬に関連して非常に山にばらまかれるために木が生えない、それは必ずしも砂防ばかりに関連なしに、そのことをとめることを考えれば、植林が漸次行われて行くだろうと、私はかように考えております。ところが曾つて二年くらい前でありますか、その亜硫酸ガスをとめて、それから硫酸を取るという計画があつたというように聞いております。それについていろいろ事情つて今日やめておるのでありますが、さようなことを林野庁で聞いておるかどうか、聞いておつたらそれに対して何か考えがあるかどうか。
  59. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 鉱石精錬の際に出て参ります亜硫酸ガスから硫酸を取るという方法は、住友の新居浜の鉱業所等でもいたしておるのであります。足尾の問題につきましては私聞き及んでおりませんので、何ともお答え申上げかねます。
  60. 岩崎正三郎

    岩崎正三郎君 知らなければいいです。
  61. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 もう一言お伺いしたいのですが、この国有林の払下げにつきましては、最近……、でもないもう多年に至りまして、日本に非常に水害が多い、こういうときに国有林の払下げに対しては国土保金その他から考えまして、十分水害という点に関心を持つて我々はやらなければならんと、そういうように我々は考えるのであります。ところがさつき申しましたように、そういうことを加味しないで、水害のあつた場所でもどんどん伐らせるというようなことがあつたように僕らは思うのですが、その点につきましては政府としてはやはり国土保全の意味から営林署そのほかに通達はしておられたのかどうかということを、一応お伺いいたしてみたいのであります。
  62. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 国土の保全を守るということは、国有林の使命の最大なものの一つでございまして先ほどお話のございました佐賀県の例は横馬場の例でないかと私考えておりますが、あの際も十分原因を検討いたしまして、その後災害の起きませんように荒廃地に対しましては砂防工事をいたしますると同時に、禿げておりますところには十分植栽をするというような方法を訓じておるのでありまして、国有林伐採の方針は、国土保安を無視して実行をいたすようなことに相成りますれば、国有林の使命を十分達し得ないことになります。私どもは常に国土保安、林産物の供給ということもさることながら、国土保安ということを十分考慮して事業を実行するように実施をいたしておるのであります。
  63. 深川榮左エ門

    深川榮左エ門君 御答弁になりましたのですが、その水害というのは昭和二十三年に有田地方に起つた水害であります。その後国有林伐採が非常に多かつた。その水害の後に……。その点につきましては一応御調査をお願いいたしたいと思います。
  64. 横川信夫

    政府委員横川信夫君) 実地を調査いたしまして、若しさような事態になつておりますれば、今後さようなことのないように十分注意をいたすことにいたします。
  65. 岡村文四郎

    委員長代理(岡村文四郎君) この際お諮りいたします。他に御質疑もないようでありますので、本連合委員会はこれで閉じたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 岡村文四郎

    委員長代理(岡村文四郎君) 御異議ないと認めますので、これで委員会は散会いたします。    午後零時五十一分散会  出席者は左の通り。   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            三好  始君   通商産業委員    委員長    深川榮左エ門君    理事      廣瀬與兵衞君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            小松 正雄君            下條 恭兵君            椿  繁夫君            山川 良一君            西田 隆男君   建設委員    理事            岩崎正三郎君            赤木 正雄君            小川 久義君    委員            島津 忠彦君            平井 太郎君            深水 六郎君            小林 亦治君            田中  一君            東   隆君   衆議院議員            野原 正勝君            井出一太郎君   政府委員    林野庁長官   横川 信夫君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    資源庁炭政局長 中島 征帆君   事務局側    常任委員会專門    員       中田 吉雄君    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞寿君    常任委員会專門    員       武井  篤君