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1951-05-26 第10回国会 参議院 農林・地方行政連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十六日(土曜日)    午後二時四十五分開会   —————————————  委員氏名   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事      西山 龜七君    理事      片柳 眞吉君    理事      岡村文四郎君           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            小林 孝平君            三橋八次郎君            赤澤 與仁君            飯島連次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            鈴木 強平君            三好  始君            三浦 辰雄君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事      堀  末治君    理事      吉川末次郎君    理事      竹中 七郎君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            鈴木 直人君            岩木 哲夫君            石川 清一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○畜犬競技法案衆議院提出)   —————————————    〔農林委員会理事西山龜七君委 員長席に着く〕
  2. 西山龜七

    委員長代理西山龜七君) これより農林地方行政連合委員会を開会いたします。  慣例によりまして、農林委員長委員長の職を勤めさせて頂きます。只今委員長は本会議に出ておりますので、便宜私が委員長の職を勤めます。本日は時間の関係等もありますから、成るべく地方行政委員のかたの御質疑をお願いいたしたいと思います。これから質疑に入つて頂きたいと思います。
  3. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 本日は地方行政委員会連合審査をお認め頂いて貴重な時間を拝借する点大変恐縮でありまするが、時間の関係もありますので、卒直に御質問申上げますので、一つ簡明な御答弁を願いたいと思うのであります。まあモーターボート法案等も出て、隅田川でちよつと競走の恰好というものも見たのですが、このドック・レースは大変たくさんの発議者もおられるようですが、私も田舎者でどんなものであるか見たこともない。何にも見たこともない者に本案を審査させて、責任を持つてこれが成立を図るということはなかなか考えなくちやならん点があるわけでありますが、卒直に申しまして、提案理由説明等伺つてはおるのでありまするが、この法案を御発議になられた真の動機はどこにあるのか、先ずこの点をお伺いしたい。
  4. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 只今お尋ねにあずかりましたドツグ・レース立案目的はどこにあるかというお尋ねでございますが……。
  5. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、私の聞いておるのは目的でなくて、真に発議をなされておるかたの、こういう法案を今出そうとするその動機伺つておるのです。どういうところからこういうものが出て来たか……。
  6. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 本案は相当長い過程があるのでありますが、私自己の紹介を申上げますと、職責は獣医でありまして畜産家であります。そういう意味から昨年の七月の二十一日に実は皆様の協賛を得て通過いたしました狂犬病予防法裏付けとして実は提案いたしたのであります。その当時このドツグ・レースに対しましては数年前からいろいろな建策をなされておることを存じておりました。併し私は狂犬病予防の完璧を期する意味においてどうしても愛犬家負担が過重になつてはならない、而も法の徹底を期する上において是非こういうものが必要だ、こういう実は見地から、私自分職責立場から立案をいたしたのであります。そういう意味からしましてこの国民の福祉と社会の安寧秩序を図ると同時に、公衆衛生の今申上げました防遏上に貢献するものだ、こういうことが第一の狙いであります。その当時非常に狂犬病猖獗を極めておりまして、人間の噛まれたものが一千六百十七名、而も七十六名の死亡者を出しておりますし、七月でありますので、この狂犬病は主として夏季に猖獗を極めるのであります。そういう意味から急いで出したほうがよろしい、こういうことで実は出したのでありまして、別にこれが現在においてはいろいろなギャンブル法案が出まして、御承知よう競輪、競馬、オートレース、ボート・レース、それに畜犬競技ということになりますと、五種類になる、だからこの際そういうふうな賭博行為のものは芳しくないじやないか、又今頃こういうものを持込むことはけしからんじやないか、こういうふうにお考えを頂くのも一応御尤もと思いますが、今申上げましたように、実は昨年の七月に丁度紐付きで出した問題でありますので、必ずしも今このどさくさに出したものではないということを御承知を願いたいと思います。当時我々は犬の競技というものは、成るほど犬の券を売りますので射倖心を唆らないということは断言できませんが、むしろこれを見て楽しむという、いわゆる娯楽の面を強調して指導して行きたい、実は專門的立場からそういうことを考えているのであります。提案理由にいろいろ申上げましたのでありますが、今どういうわけで出したか、いつどういう気持で出したかということに対しましては、只今申上げました通り別に他意はございません。公衆衛生意味から、狂犬病予防法紐付きで出したということでございますので御了承願います。
  7. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 狂犬病予防裏付けとしてこれを出したということは、結局財政的なこの方面施策を十分になし得るだけの金が欲しい、こういう点が多いようでありまするが、そういう行政は、たしか国であれば農林行政ようなもの、或いは地方団体等もそれぞれやつておるでありましようが、金が足りなかつたら足りないでそれは国と地方がいろいろ強力にこれらの金について考えて行くというような点でいいのじやないかとも、素人考え考えるわけでありまするが、今の御説明ですと、そういう国の行政施策等に対して不満である。それだけでは十分なことができんというようなことで、この方法をとるというふうにも聞えるのでありまするが、この点は如何ですか。
  8. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 御尤な御意見と思いますが、成るほど国の施策として予算裏付けをやりまして、こういうものを一掃することも、これは一つ方法であるに間違いはございません。併しながら国も財政的の関係からあらゆる面責ましてもなかなか容易にこういうものができがたいのでありまして、私の考え方は、先ず第一には、只今挙げました予防防遏ということを狙いといたしますると同時に、この収入によりまして愛犬家のいろいろなものの負担軽減を図りたい。と同時に警察犬並びに作業犬高度利用にこれが価値を上げて行きたい。それと同時に畜犬改良増殖並びに指導をこれに持つて行きたい。一番困ります問題は、私專門的に申上げますと変かと存じますが、あらゆる動物改良過程において、根幹をなすものは血統登録事業であります。この血統登録事業というものが犬くらいに煩雑多岐を極めたものはございません。例えばいろいろな協会がございまして一頭の犬が三カ所にも登録を受けるというようなことになりつつあるのでありまして、統計的にもこの数字というものははつきり出しがたいのであります。又世界に伍して行きますところの犬種改良過程においても、こういう登録事業では不宗全だということで、登録事業の一元化にこういうものをやることは最も犬種改良過程におけるところの重要なる役割である、こういうことも一応考えております。と同時に御承知通り一部においては輸出犬等の問題を叫んでも何にもないのじやないかということもございますが、これはあとでお話があれば御説明申上げることといたしまして、日本在来特殊犬、特に日本系保存等に役立つようにやらなければならない。と同時に文化財保護法によるところの保護育成をやらなければならん動物が、何ら予算裏付けがございませんので、放任せられております。こういうものもこういうものによつて裏付けて行くことがよろしい。例えて申上げますと犬を制するに犬を以てしたほうがよろしいじやないか、こういう実は專門的見地から私はそういうものに使つて行きたい。これは国が出してくれればよろしいのでありますが、なかなか御承知通り財政困難の折からこういうものに国が言うだけのものを出してくれるようなことはございません。そういう意味から実はこういうことを狙いといたしておるのであります。さよう御了承願いたいと思います。
  9. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 早く言うと寺銭愛犬家負担を軽くするというだけに聞えるのでありますが、これ又どうも我々素人としてはひよんな話だとまあ考えるわけですが、それはさておきまして、第一条の本法案目的でございますが、非常に御尤もな御趣旨が羅列してあるのでありますが、どこが重点なのかちよつとわかりませんので、この第一条の目的のうち、特に重点にお考えになつておるものがどれであるか、簡単に御説明願いたいと思います。
  10. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 第一の目的は、今申上げました犬種能力検定であるとか、或いは畜犬改良増殖であるとか、こういうものを狙いといたしますと同時に、地方財政に寄与する面を謳つております。地方行政関係かたがたの御意見としては、地方財政だけでよろしいのじやないかということにもなり得るかも知れませんが、地方財政に寄与すると同時に、こういうつまり改良の面を強化して行きたい、こういう所に重点をおいておるのであります。
  11. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いわゆる寺銭稼ぎ競技法案では、地方財政改善するということで、大変地方財政改善されるということで有難いわけですが、私は真の動機はそこにあるのだとは思われないのです。やりたいために地方財政改善するのだという付けたりの目的を付けておるので、実は競技そのものがやりたいというのが従来出ておる法案趣旨じやないかと思う。つまり国が、或いは地方が十分なる財政的な措置を講じないがために、こういう方法をとることは止むを得ないのだという、いろいろな立派な理屈は付けておりますけれども、問い質して見るというと、地方財政改善するなどということは、ほんの付けたりの話になつて来るのじやないかと思う点が、我我地方財政のほうを考えるものからいえば、言えるように思うわけでありますが、只今の御答弁でありまするからお伺いしますが、畜犬その他の動物改良増殖、これらについて要するに資金をごの競技によつて寺銭の中に求めるということがこの法案趣旨ように思うのでありまするが、それが国並びに地方団体、即ち都道府県収入になる部分でありまするが、具体的にこの法案が実施される暁においては、先ず先ずどれくらいの競技会場が殖えて、国の収入はどれほどになり、都道府県収入はどれほどになるおつもりであるかお伺いしたいのであります。    〔委員長代理西山龜七君退席、丹羽三七君委員長席に着く〕  国庫に納付する金は売上金の百分の三ということになつておりまするが、それに該当する金額の予想は幾らであるか。又都道府県においては自己収入のうちから四分の一程度の金は、先ほど申しましたよう目的のために使わなくちやならんというふうに使途が指定されておるようでありまするが、畜犬その他小動物に対してのいろいろな行政施策に必要な四分の一に該当する金というものはどの程度見込まれておるのであるか、この点お伺いしたい。
  12. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 只今犬競技によつて寺銭というお話でございまするが、解釈のしようではまあ寺銭でもよろしいと思いますが、(小笠原二三男君「解釈寺銭以外にないですよ」と述ぶ)私どもはこういうものを有効適切に使わなければならないということと、今その使途の内訳はどうなつているか、こういう御質問でございますが、これは十七条に示してあります通り収入金額の売上げのうちの百分の三は国庫に納付する、それから開催諸費用というものを一二%大体見ておりますが、これは併し施設の如何によつてはこのほうはずつと減額ができるのではないかと思つております。その残額のうちの四分の一が、これがいろいろな今申上げました動物虐待防止であるとか、或いは血統登録であるとかいうものに国と共に併せ使う、こういうことになつておるのであります。地方財源のほうは七割五分が地方財政に充当せられるというようなことで一応考えておるのであります。その額は幾ら大体見込んだというお話でございますが、これは収入如何によつて、大体その目的といたしますところの奨励事業等と勘案しなければ、数字の上に今幾らということははつきり出ないのではないかと、さよう考えております。
  13. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことですから、地方財政改善に資するということは、羊頭を掲げて狗肉を売るというよう考え方であるということを私は指摘したいのであります。少くともこういう法案において地方財政改善するということであれば、各種調査或いは計画等もおありになつて、そうして、或る程度の目安を立てなければ法自体の建前から言つておかしなことになるのじやないかと思うのであります。即ち売上代金の大小によつて、その都度々々地方畜犬改良その他に充て得る経費というものがただ単に比率で四分の一の範囲内ということできまつておりまするから、非常にこれは金額的に上り下りがあるわけであります。それで府県のほうはこの収入の四分の一程度の金を各種目的のために投ずることで足りるというようなことは、この第一条の本法の目的から言うとズレがあるのじやないか。その趣旨に合致しない点があるのじやないか。もつともつと必要な部分というものも投じなきやならんという場合もあるでしようが、大ざつぱにまあ四分の一程度というふうに、比率を以てこれをきめて抑えているということも非常に変なことであると思うのであります。只今答弁では私は満足できません。少くとも競輪であろうが、或いはモーターボートであろうが、小型自動車であろうが、それぞれ見込についての計算の資料というものは我々に配付して頂いて検討を加えたのでありまするが、一つこれは或いは内面的にいろいろ参画せられたかも知れない農林省関係政府委員でもおられましたら、こういう計数関係についてお伺いしたい。
  14. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 収入の四分の一ぐらいの金では目的の達成は何にもできないじやないか。御尤もな御意見と私は思います。それのみに依存しておるのではございませんで、国庫に百分の三納入いたしますものもタイ・アップしてこれを紐付きでその奨励に出す、こういうことに狙いを持つておるのであります。なお地方行政方面に寄与する面が極めて貧弱である、羊頭狗肉の策ではないかというようお話でございまするが、これには経過を一言御参考に申上げなければならないのではないかと思いますが、大体狂犬病予防法を同時に出します時分は、この法案動物競技法案として実は提案をいたしたのであります。それからその次に衆議院におきまして、こちらに御臨席を頂いておりまする野村先生なりそのかたがた地方行政かたがた共同調整をいたしてもらいまして、その会で地方行政案農林案を一本に実はまとめて頂いて、そうしてお互いに納得ずくでこの法案に切替えたのであります。初まりの出発は地方行政は私のもくろみには入つておりませんでした。併しそういうふうな御調整によりまして、地方行政とマツチいたしまして、そうして一本化して実は法案提案をいたしたのであります。初まりは、只今も申上げました通り地方行政に寄与する面は謳つておらなかつたのが、今申上げましたようにそういう過程において変更いたしました。これは両案を一括して調整をして頂いて出したということを御了承願いたいと思うのであります。
  15. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この第十六条の二項で、百分の三納付された金を、国は「犬の伝染病予防その他家畜衛生向上動物虐待防止作業犬指導文化財保護法第六十九条の規定による天然記念物として指定された動物保存及び家畜登録事業」、これらにこの寺銭を使うのだというふうに言つているのでありまするが、現在国はこれらの、今申上げましたことに使う金はどれくらい予算として載せてあるものであるか、列挙して計数を挙げて頂きたい。と同時に都道府県において四分の一の範囲内で支出するその目的である地方行政のこの関係項目にどれだけ地方が金を出しておるかという計数をお示し願いたい。
  16. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは大体計画表を立てなければならんのでありますが、収入面の総額によつてこの支出金が大体決定するのは御承知通りでありますが、私はこの問題につきましては、大体の自分考えたものだけはありますけれども、具体的なものは、ここに持ち合せてございませんが、ただ私の試案としての問題でございますると、いろいろ開催地によつて趣きを異にするのでありますが、都道府県一つとするのでありますけれども、一カ所の範囲内でできるかどうか、これは競走犬の数の問題と、これに出場いたしまするには相当期間の訓練を要しまするので、その使用犬頭数によつて大体の裏付けができる、こういうことに考えるのでありまして、最初の目的は、大きな都道府県でなければ恐らく施行は一時困難じやないか、さよう考えております。そういう意味からしますと、競輪等に比べまして遥かに下廻る、これは一応は入場者がなければならん、その入場者の数等は大体概算は出しております。併し詳細なことはデータを以て御報告申上げるようにいたしたいと思つている次第です。
  17. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではもう計数についての質疑を行うことはできませんので、資料が出ましてから、或いは後日発言を求めるかも知れませんので御了承願つておきたいと思う次第でありますが、それにしましても、只今お伺いしました点は、もくろみのほうではなくて、現在政府並びに地方公共団体がこの十六条第二項にあるよう向きにどのくらいの予算を取つて、実際仕事をやつているのであるか、この計数を上げて頂きたいと言つているのであります。でそれが不十分である、足りないというところから、こういう優勝犬を賭ける競技方法による収入をこの向きに充てたいというのがこの法案趣旨でありまするから、現在足りないと言われる金は、どういう項目にどれだけ使われるよう予算措置ができているのであるかということについて、国並びに全国都道府県のこの関係調査資料を出して頂きたいということが私の申上げた点なのでありまするが、只今即答せよでも、これも面倒なことでありましようから、後日この調査表資料として御提出願いたいと思うのであります。それでこういう方法によつて各種目的を果す財源を求めるということについて、私は非常に大きな疑問を持つのであります。具体的に地方財政改善に寄与するとしましても、これが現に施行されます暁は、東京とか大阪とか平衡交付金ももらう必要のないほうと、地方税その他収入の非常に多い、財政的に比較しますならば、豊かな地域において、こういう競技等は非常に繁昌するのじやないかと思うのでありますが、財政的に困つておる府県についてはやはりこういうものが開催せられても、県民の生活程度或いは昔からこういうことを嫌う農村その他の多い所では、財政豊かな所から比べますならばそう大した収入は望めない。否、それどころではなくて、地方公共団体は今こういうことをやらせてくれという希望を熾烈に持つておるかどうかということに私は疑問を持つのであります。却つてモーターボート競走法案でもこの畜犬競技法案でも、各種競技団体に、地方自治体が施行者として押付けられておるという形が今現われておるのじやないかと私は思う。地方公共団体は財政的に非常に困つておるといいましても、正常な形において、即ち平衡交付金の制度とか起債とか或いは補助金、こういう形において正常な財源を得たいということは努力しましようが、少なくとも今世上批判、非難の的になつておるこういう賭博的な行為によつてまで、地方収入を上げるということについては相当懐疑的な気持を持つておるのじやないかと私は付度するわけであります。そこで施行者たらんとする地方公共団体が、これをやつてくれという陳情なり或いは請願等がどれだけあつたか、又現在どれだけあるかということについてお伺いしたいと思います。
  18. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 御承知通り、これを開催いたしましても採算がとれない都道府県があるのは間違いないのであります。そういう意味からいたしまして、採算のとれる所から一応始めるのじやないかと考えます。同時に都会地におきまして、ヨーロツパの例に倣いまして、やはり産業に従事するところの時間にひま潰しをしないように、土曜か日曜に、夜にかけて女子供連れでこれを楽しみに鑑賞する、こういうことがドッグレースの性格と存じますので、恐らく地方の財政的に、お話のごとく困る所でこういうものをやつてもむしろマイナスになるのじやないかという御心配は私も同感であります。そういう意味でありますが、これを施行いたしますものは、やはり犬主団体中核となりますので、犬主団体かたがたがその出場犬の資格を有するところの犬の頭数なり或いは施行土地の状況なりに即しまして、そういうかたがたがこれを開催しても間違いない、可能だという所は、その都道府県において、畜犬改良会を作りまして、そういうかたがたが自発的に申出て頂いて、それから農林大臣が認証する、或いは改良クラブがこれを認証する、こういうことになると思います。初めから全国一齊に行おうなんということは恐らく不可能なことじやないか、さよう考えております。
  19. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私の質問しておる点は、地方都道府県がこの畜犬競技法案通過を積極的に希望し、施行者となつて、いわゆる寺銭収入地方財政の中に上げたいという積極的な意思を持つておる都道府県陳情請願等があるなら、どの程度のものであるかお知らせ願いたいというのが私の質問なんです。
  20. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) これは犬主団体が、先ほども申上げました通り中核をなすのであります。併しこの法案によつて愛犬家負担軽減という面には非常な期待を持つているようであります。特に最近は狂犬病猫擬を極めておりますが、御承知通り野良犬でも自分の家で飼いますと非常に愛着が起りまして手放しかねるというようなことになるのでありますが、こういうものに対しまするところの現在の負担畜犬税が東京都にしますると三百円、登録料が三百円、それに注射が三百円、九百円の負担をいたしております。ところが本年度からこのワクチンの改正によりまして、死菌と生菌との違いができましたので製造が非常にむずかしくなりました。価格がちようど三倍になりました。だからそういう注射液、或いはその他のものをこれによつてカバーすることによつて愛犬家負担が軽くなる。こういう面からしますと恐らく犬を飼つておる全国のかたは、この法案によつて潤いを生ずるということが、まだ陳情等はつきり団体首悩部以外には出ておりませんが、恐らく私個人も犬を何頭も飼つておりますが、そういう面から見ましても、やはりこの法案通過によつて、その負担が軽くなるということならば、恐らく国民が待望しておるのではないか、かように私は一応考えております。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも変な話を聞くもので、愛犬家の、犬のための負担を軽くするということのために射倖的な行為を伴う競技方法をやつてもいいということが、そもそも私は問題であろうと、こう考えるのであります。これは、そういうことが不当に負担過重であるということであれば、国の、或いは地方行政施策が悪いのであつて、その方面について我々国会議員なり或いは地方の議員が努力したらいいのではないか、こうしたギャンブル的なことから起つて来る、世上に捲き起つている各種の家庭或いは社会上の問題が如実にある現在において、それらを何ら勘案することもなく、愛犬家負担を軽からしめる、そのことのためには賭博的な行為に伴う損をする者が出てもいい、或いは家庭的に、社会的に問題が起つてもいい、こういうようなことはあり得ない。而もそう申上げますと、発議者はその点については取締を厳重にして不正行為等の行われないようにやると、多分お話でありましようが、厳重な取締により或いは違反者を出す、或いはこれらに伴う犯罪者を出すというようなことは、これは国の施策として不幸な問題であるというふうに私は考える。どうして正当な手続によつて、余りに不当な愛犬家負担であるということならば、この方面について全力を挙げて御努力をなぜなさらないのであるか。発議者は百二十何名の多数を以て発議しておるのでありまするから、この意思を結集し、政府与党さえ結束するならば、こんな愛犬家負担なんということは簡単に済んでしまう問題ではないかと、そう私は思う。而もあの自転車の競技等においては、非常に殷賑を極めて地方財政に寄与すると、こう言つておりまして、年間四十億ぐらいの収益を挙げるというようなことを言つておりますけれども、だんだんあらゆる経費を差引いて行きますと、真にどれだけが地方財政に寄与しているかわからん。而もそのことによつてつて来るいろいろな治安上の問題、或いは家庭における、いわゆる昔言葉で言いますと淳良なる風俗を破壊する。こういうことまでやらなくてはならんということは、私どうも解せない。例えば今都道府県における県税としての、この税目等で申しますと、入場税、遊興飲食税というものが主たる財源である、そうしてその他今度は自転車、畜犬モーターボート小型自動車、競馬、この寺銭収入で県財政を賄つて行くというようなことは、私は根本的におかしいと思うのでありまして、少くも今県税になつている狩猟者税等で見ますならば、東京都あたりの都会のかたがたが鉄砲をたくさん持つて、そうして一人当り三千円の税を東京都に納めながら、長野県、岩手県等の雉その他の繁殖地にどんどん出掛けてこれを獲る、そうして地元は何ら利益を受けない。こういうような税目を例えば国の税とするというようなことにして、この目的税によつて年間三億にも上るところのお金をこういう方面に使う、こういうふうにはつきり一つ財源的な裏付けをすることも考えたらできないわけはないと思う。そういうことを考えることなしに、今世上問題になつている中に、なおこれを以て、あらゆる畜犬改良とか輸出とか、非常にうまいことをやるということは、私はこれを考えるだけでも国会議員として非常に不幸である、国民に対して相済まんとさえ思つている。でこういうことを正常な事業或いは財源の分配等によつて、こういう真に御尤もな趣旨の貫徹するような方策をなぜ発議者において御検討をなさらなかつたかということが、私から申しますと遺憾だと考えるのでありまするが、この点について御研究がありましたら御答弁願いたい。
  22. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 成るほど社会的に風紀上芳しくない、なぜこういう時期にこういうものを出すのだ、財源を別に求めればいいじやないかという御尤もな御意見だと思いますが、先ほども申上げました通り、財政というものが極めて窮屈な場合にこういう、これは見方によつては小さい見方をする人もあるかも知れませんが、私のほうは相当これは必要な、ものである、さよう考えております。そういう意味からこの財源というものがほかに得られないために、こういうものによつて別に動物奨励のみでないけれども、虐待の意味にはならない。同時に今お話通り各種競技がございますが、その競技の中でもいろいろなインチキなり八百長なりの定評をかぶされております。併し私どもは、理窟を言えば何でも理窟はあるのじやないかとおつしやればそれまででありますが、比較的これは八百長がなく、而も純真な気持で犬自体が選手であつて、そうして奨励意味に寄与することであるならば、むしろこういうものによつて犬種改良なり、書かれました目的達成に精進さして頂きたい、こういう意味で出したのでありまして、見方によつてこれはギャンブルということには私も異存はありませんが、ただギャンブルといたしましても、比較的、諸外国の例を見ましても、過ちが少いのではないか。だからこういう意味において願えれば御了承を得たい、こういうわけでございます。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今諸外国の例等を引かれましたが、何もその諸外国のものをすべて輸入する必要もないので、私は社会環境がそれぞれ進歩している諸外国においては、賭博行為等もそれぞれ節度を持つてやられている、長い伝統の上に立つてつておるものと、今やあれもこれもというふうに終戦後の混乱以後、インフレの収束のために金を吸収する、その他こういう名目の下に自転車競技を始めた、それの一環として続々こういうものが出て来るということについて、非常に我々としては問題を慎重に考えなければいけないのじやないかと思うのであります。而も我々のほうにも陳情が来ておるのでありまして、誠に不可解なのは、地方の自治体警察、東京の警視庁或いは大阪の警視庁等は競輪のための犯罪増加、これらのことのために競輪を廃止して欲しいというようなことを我々の前で公述した場合もあるのであります。ところがその本家本元の国家公安委員会の委員長である辻さんが、警察の何とか協会というものの会長であつて、そうしてこの畜犬競技を是非やらせてくれという陳情をしておる、全く奇怪至極なことなんでありまして、その目的のためには、方法或いは社会的な環境は無視してもいいという考え方は私は到底取り得ない。そこで計数も出て来ませんし、これ以上発議者には御質問を差控えたいと思いますが、最後に、世上こういう賭博的な形の伴う競技法案が続々国会において提案せられ、議員提出で出され、通過しておるということに対して、世論は必ずしも賛成しないどころか、反撥の空気が非常に強く、そうしていろいろな問題を惹起しておる。こういう中になおこれを慎重に扱い又或る程度これを保留するなり検討を加えるということでなしに、どうしても通過を図りたいというお考えが我々には十分納得できない。そこで喧々ごうごうと捲き起つておる世評を発議者はどういうふうに把握せられてお考えになつておられるか。もういたいと思います。
  24. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 成るほど御尤もな御意見と存じますが、発議者といたしましては、先ほど過程を申上げましたが、今頃こういうものを始めたのではなくて、ついいろいろな関係から今日に立至つて、要するに一緒に取扱われておるということは遺憾とするところでありまするが、私の考えといたしましては、これは勿論賭博行為、ギャンブリングだということは何といつても否定はできません。併し目的のために手段を選ばんというような私は考えではありませんが、專門的立場から是非これを実はやらせて頂きたい、これは心から念願しておる問題なんです。人類の存在しておる所賭博行為はたくさんあると思いますが、結局こう言つて全然賭博行為をやらせない、もう一つはどうでもかまわないから野放しに放任するか、もう一つは今お話通りに抑制した、つまり早く言うと監督指導の下に一部の賭博行為を認めるかということの三段階以外には私はないと思うのであります。そういう意味からいたしまして、先ほど申上げました五つの競技の中で、比較的にこのほうが八百長がなくて割合に社会的に実施の面においては批難も少くなるし、喜ばれるようなことになるのではないかということを私は信じております。勿論これをどういうわけでそういうふうに奨励をするのかということになるかも知れませんが、私の考えでは今申上げました通り、一日も早く今現に猖獗を極めておりますところの公衆衛生上の欠陥を防止する意味に役立つようにさせて頂くことが又社会福祉のために役立つであろう、こういうことから実は皆さんの御賛同を得て、この際御通過を願いたいということでお願いを申上げておる次第であります。
  25. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はその見解については、もう明らかに見解の相違ですから追及する気持ちはさらさらないし、それでいいのですが、私のお伺いしておるのは、競輪であろうが畜犬であろうが、こういう問題を発議しておるとか何とかいうことを抜きにして、現に行われている賭博的な競技に関して世論が非常に問題としており、各種の犯罪の増加等がこれに伴つてあるという事実を国会議員として見て、その所見はどうであるかということを伺つて、私はこの法案審査の私自身の参考にしたい、こういうためにお伺いしておるのであつて畜犬のそれを発議しておるから、だからどうということでなしに、国会議員としてこの世論をどう把握しておられるかお伺いしたいというのであります。
  26. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 国会議員としての責任上のお話で、私も御意見に同感の点もございます。ただ新聞紙上その他によつていろいろ報道をいたされておるのでありますが、あの内容を私は見まするに、実はドツグ・レースというものの真の性格をお知りになつていないかたが書かれたものが多いようであります。私は現にセパードでやるのも見れば、グレイハウンドでやるのも実は見ておりますが、必ずしもそう大した弊害が伴うというようなことは考えておりません。そういう意味からいたしまして、例えばグレイハウンドがいなければ競技ができないのに、その品物もないのに、そういうものを作るということは怪しからんではないか、こういうようなことも一部では言われておるのでありますが、これは非常な見解の相違でございます。私どもはこの際、グレイハウンドを一頭輸入いたしますと三百万円もかかる、そういうものでやるのでなくて、訓練調教の如何によつては十分セパード犬を以て役立てた実態を知つております。そういう意味で、全国に七十万の犬がいるのでありますが、これは登録を受けたものだけであります。その中の何割かがそれの訓練調教の如何によつては役立つのだ、こういうことを一応考えておりますので、この社会的批判ということにつきましては、成るほどこれは射倖心の性質のものだということは私は否定いたしません。併し五種類の今現在ありますものの中では比較的このほうが八百長がなくて、純に施行ができるということを実は固く信じておる次第であります。
  27. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これ以上申上げませんが、純に射倖行為ができるということはどうも私には納得できない。不正があろうとなかろうと、私は金を賭けるためのその資金を何かに求めようとして家庭不和なり、或いはたたき強盗などに行つて、この競技があるために転落する国民の階層が相当に多い、こういう部面について如何な御所見を持つておられるか、お伺いしたがつたのでありますが、御答弁がないのでこれだけにいたしますが、地方財政委員会から荻田さんが御出席のようでありますからちよつとお伺いしておきますが、地方財政委員会として地方財政方面を所管し、地方財政の強化を常日頃主張しておられる地財委としましては、こういう各種競技方法によつて地方財政を潤す、豊かにする、こういうことについて根本的にどういうお考えを持つておられるかお伺いしたいと思います。
  28. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 地方財政が非常に窮乏しておりますので、これに対しましては勿論健全な財政、税なり或いは平衡交付金或いは正当な起債、こういうものによるべきことが正道としては必要だと思います。併しながらそういう方法も現在の状態からしまして得ることができないとなりますれば、まあ俗に背に腹はかえられんと申しますか、比較的弊害の少い射倖的行為を伴う方法によりまして財源を得ることも又一つの臨時的な便法じやないかという程度考えを持つております。
  29. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは飽くまでも臨時的な便法であり、射倖行為が伴うとしても弊害が比較的軽いと、こういうものはいいのじやないかというような御答弁に伺つたのでありまするが、まあこれは荻田さんとしても答弁のしにくいところでありましようから、この程度にとどめますけれども、併し今のこの御答弁は、全国地方公共団体にとつては非常に大きな問題を孕むのじやないかと思うのでありますが、今の御意見は地財委の委員会における決定された御意見であるかどうか、念のために伺つておきます。
  30. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 先般この法案が国会に議員提出で出ていることを承知いたしまして、委員会におきまして正式と申すのでは、ございませんが、応相談いたしましたのでありまするが、大体今私が申しましたようなことに委員各位のかたのお考えも一致しておるようでございます。
  31. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではその委員会において検討を加えられます場合に、この法案目的とする向に、現在の国なり地方公共団体がどれだけの金を支出しておるかというような点も検討を加え、それでは足りない、そこでこの方法を以てするということも止むを得ないであろうということを科学的に御調査なつたかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  32. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 御承知ように、この法案は議員提出でございまして、それほどこの法案が非常に地方財政のためになければならんというものでございましたら、むしろ我々のほうから積極的に提案して御審議を願うわけでありまするが、それほどまでには考えておりません。ただ国会議員のかたの御提出で出て来ました上は、これは結構なものであろう、この程度の軽い意味でございます。
  33. 安井謙

    ○安井謙君 今畜犬法案について小笠原委員からいろいろの御批判があつて、このことは喜々御尤もだと思うのであります。私は考え方によつては、この法案の本質はこれはこの種の競技の中では一番本格的なものであろうというので必ずしも道義的な立場から反対しようと思いませんが、一体ごういつた種類の法案がいろいろ出て来る弊害というのはやり方にあると、経理につきましても一つの大きな弊害の原因は、とにかくやたらに雨後の筍のごとく濫出したというところに一つあろうかと思うのであります。これはどういつた程度にそういう点を御考慮になつておりますか。それから更に今日の時勢からという批判も相当厳しいものが当然あるのであります。そうしますと金にしろ、物にしろ、やたらにこれのために使うということも考えられる、考慮を要することであろうと思うのです。その点についてはどういつた考慮をなさつていらつしやるかという点についてお尋ねしたいと思います。
  34. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) 私は、今お尋ねがありましたが、最初冒頭に申上げましたように技術者であります。ただ法案目的が達成できますことによつて、その後の運営の問題は犬主団体なりそれぞれ関係者のかたがたでおやりになることだと思いまして一内容につきましては、私よくタッチいたしておりません。ただいろいろな掲げました目的の達成が一日も早く可能であるように、これのみを実は希つて提案をしておる次第であります。経理の面であるとか設備の面であるとかというようなことにつきましては、私はそのほうは内容についてはタツチいたしておりませんので、ちよつとお答えがしかねるのであります。
  35. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はこの際この議題になつておりまする法案について関係の深い農林省に対して二、三点お尋ねしたいと存じます。先ず第一点は、この提案理由説明を読みまするというと、なかなか広汎な目的を持つておりまして、当然農林省がやらねばならない仕事を裏から、財政的に援助するという一つ目的を明示しております。そこで私は第一に疑問に思いますることは、犬の伝染病予防であるとか、家畜改良増殖ということに関しましてこの種の手段をとらなければ必要経費を得ることができない現在の状況であるかどうか、これが質問の第一点七あります。で、次の問題といたしまして、今までこの提案理由説明書に記載されてありまするような、例えば小家畜血統登録であるとか、能力の登録を通じて生産改良の云々というようなこれらの目的のために、農林省はどの程度の費用を計上していたか、そうしてその費用を計上するために国家財政上非常に不便を感じていたのかどうか。具体的に申しますれば、必要経費をとることに極めて困難を来たしていたのかどうか。必要経費を獲得するために非常に困難を来たしていたとするならば、その大体の財政不足分は何ほどであるか、これが私の第二の質問でございます。次に私は発議者に向つてお尋ねしたいと思いますることは、仮に本法案が成立した場合に、直ちし犬の競技ができるだけの犬が一体日本にいるのかいないのか。それから私寡聞にして研究不足でありまするが、特殊な犬でなければ競走は不可能であるやに聞いておりまするが、雑犬をトラックに走らせて果して競走が可能なのであるかどうか。村芝居をやるような調子で、農村でお祭の余興にやるのではなくして、法律を制定して、而も地方財政に寄与するというどえらい目的を掲げておるからには、この法案は成立した、ところが現に畜犬競技は設備及び犬の点から行うことができないとするならば、これは重大問題でありまするが故に、その辺は如何相成つておるか、これが発議者に対する質問の第一点であります。第二点、仮に犬が足らないとするならば、如何なる方策によつてそれをカバーせんとするものであるか。その具体策があるかどうか、これが第二点であのます。従いまして辰林省に対して二点、発議者に対して二点私はお尋ねいたしておきます。
  36. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) お答えをいたします。家畜伝染病予防に関しまする仕事は農林省の所管でやつておりまするが、犬の狂犬病に関しまする仕事は厚生省の所管に相戒つておりますので、私は、犬以外の家畜の衛生、伝染病予防に関しまする予算は大体年間四、五億円程度のものが支出されておると考えておる次第であります。狂犬病予防に関しましては、先ほど申しましたように、私の所管ではございませんが、現在のところ経費は計上されておらないよう承知しております。この点につきましては先ほど原田議員からお話のありましたように、従来狂犬病予防薬は生毒を原料として作つておつたのでありまするが、更にその徹底を期するために死毒予防液を使うということになるようでありまして、そういたしますると、更に費用を増大するよう考えられまして、農林省といたしましても、厚生省に対しまして成るべくそれらの費用につきまして十分なる考慮をして頂くようにお願いをしておるような状況でございます。  それから第二点の登録の問題でありまするが、これも犬の登録につきましては、従来余り問題には畜産局といたしましてはしておりませんのでありまするけれども、ほかの家畜に対しまする登録事業につきましては、実は終戦前までは相当の経費を計上いたしまして、いろいろこの施設について御援助をしておつたのでありまするが、戦後の財政上の状況から、現在のところ殆んど補助らしい補助はしておらない状況でございまして、若しできまするならば相当の金額……、今具体的の金額承知しておりませんが、恐らく数千万円くらいの金額登録事業のために投ぜられれば非常に幸いである、こういうふうに考えておる次第であります。
  37. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) お答え申上げます。こういう法律を作つて大体いつからこういうものが成り立つのだ、こういうようお尋ねようでありまするが、どうしても現在のセパードでやりますにしましても、相当期間の訓練をやらなければ不可能だと思います。それと同時に頭数は大体どのくらいおるのだ、できるかというようお話でございますが、現在登録をいたしておりますものが日本犬で二万頭おります。セパード犬で四万頭おります、その他に一万五千頭、合計七万五千頭が登録を受けておるのであります。でこれで競走可能というものは、四分の一にいたしましても一万九千頭あるわけであります。でこれを不足分はどうするのだというお尋ねでありまするが、リングでよく訓練調整をいたしました場合には恐らく支障のないようなものができるであろう、かよう考えておるのであります。
  38. 相馬助治

    ○相馬助治君 農林省の畜産局長になお一歩突込んでお尋ねしておきたいと思います。私は農林委員でないので言うことがいささか的を外れているかどうか知りませんが、農林省は別名補助金分配省ということが通り相場となつているとか私どもは聞いております。そこで、今度この畜犬競技法に関しまして私も乏しい知識を以て資料を集めて見まするというと、成るほど畜産に関しても十二項かに分れて補助金を出しております。或るものは二分の一、或るものは全額、そういうようなふうに私は承知いたしております。そこで畜産局長といたしましてはこの際畜産行政を統括して、国の費用を以て統一的な施策並びに予算措置というものをやる構想があるのかどうか。あるとするならば、その連関において畜犬競技法というものが占める財政的地位についてはどういうふうにお考えであるか。そういう統制的な畜産行政をこの際考えていないとするならば、この畜犬競技法というものに多くのものを局長は期待されておるのかどうか。即ち言葉を換えて言いますと、統一的なそういうものができないから、金もないから、止むを得ないから畜犬競技法というものが議員提出で出た、奇貨措くべからずとしてこれにすがつて一つ何とかうまくやつて行こうとこう期待されておるのか。これは大したこともありますまいということで軽く考えるのであるかどうか、この点をお聞きしておきたいと思います。
  39. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 私、実は最近畜産局長になつたのでありますが、詳しい点につきましてはなお勉強いたしましてやりたいと考えておりますが、今お話のありましたように、農林省の指定予算が各数個の項目に分れて……(相馬助治君「十二項目」と呼ぶ)十二項目に分れてされておるようでありまするが、実はこれは何も統一的な畜産行政がないからそうなつておるというふうに考えるべきでなしに、無論考え方は統一的であるのでありますが、その金の出し方が個々の項目に分れて出るという結果、そういう結果になるのではないかと考えるのであります。実は私今度かわりましてから、この項目はまだ少いんだ、もつと殖やして大いにやれという激励を受けておるような状況でありますが、無論考え方の動きには畜産行政を更に振興せしめますように、統一的に考えることは勿論でありますが、費用の出し方につきましては、予算の技術上若干各項目に亘ることがあると考えますので、お含み願いたいと思います。なお畜犬競技法に関連いたしまして、畜産局としての考えを求められたのでありまするが、御承知ように畜産局で扱つておりまするところの家畜の種類は相当たくさんございまして、そのすべての家畜につきましていろいろ予算的にお力添えをすることが、財政その他の事情でなかなか困難な事情にあつたのでありまするが、若し将来畜犬競技法のごときが皆様の御賛成の下に成立をいたし、これによりまして従来とかく閑却せられておりました犬に対する何らかの施設が更にプラスされるということになれば、畜産局といたしましても幸いである、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは局長、ちよつとお考え違いじやないかと思うのですが、私どもが本法案を本気に審査するのは、犬を多くして犬を盛んにする、犬を対象としたこの畜産について財政上寄与するから畜犬競技法をやるというのじやなくて、犬というものは便法的にただ使う品物であつて、これによつて得た収入を広汎に、この馬にも、羊にも入れるという意味においては重要なる意味を持つていると思うから、本気になつてこういう法案をやつておるのであつて畜犬の振興上よろしいというのはそれは誤解であろうと存じますが、どうですか。
  41. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) 局長の答弁の前にちよつと私から発言いたしますが、当農林委員会が発足して以来約四年間、私の記憶する限りでは、まだ畜犬が畜産行政の一環として取上げられたことはございません。大体畜産という限界で当委員会が審議しておる問題は、例えば日本の農業との関係で、畜産をどう考えるか、或いは動物蛋白等の関係で、食糧行政上どういう影響を持つかという観点から、畜産行政というものは今日まで四年間審議されて来たので、犬の問題が畜産行政というようなことをこの委員会で考えられたことは全然ありません。当委員会ではただ畜犬競技法が出て来て、本委員会に付託されましたので、たまたまこれを審議しておりますので、これは御了承を願いたいと思います。
  42. 相馬助治

    ○相馬助治君 ですから委員長説明を聞くと、なお聞かなくちやならないというのは、犬を対象とした畜犬の振興のために、畜犬競技法をやるのではなくて、地方行政委員として、私どもが見まする観点を以てするならば、本法案によつて財政上、地方財政に寄与すると共に、いわゆる日本の家畜振興にも寄与するであろうということを想定して我々は考えておる。その際に今局長がそう申されましたから、それは誤解でございましようと、こう尋ねたんです。
  43. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 私の言葉が足りませんで申訳ないと思いまするが、実はこの法案にもありますように、これの第一の目標の一つといたしまして、狂犬病予防費の一部にこれを充用することができればいいというよう意味のことになつております。狂犬病に関しましては厚生省の所管でありまするが、犬に関しましてはこれは家畜という意味で私のほうに関係があるという意味で申上げたのであります。
  44. 相馬助治

    ○相馬助治君 それはわかつているんです。それで目的を見ますと、「その他の動物改良増殖」とあるから、その他の動物に我々は政治家としての見識からウエイトを置くが故に今そう聞いたので……わかりました。  それでは発議者に二点承わりまして私の質問は終りたいと思います。第一点は、この本法の目的、第一条を読んで見まして、「畜犬その他の動物改良増殖及び輸出の促進を図り、且つ、動物愛護に寄与する」ということが書いてある、そして「地方財政改善を図る」ということが書いてある。そういたしますると、法の建前上から申しまして、十六条と十七条は、論理的に申しましても、この第一条をすべて満足させるものでなくてはならない。併し私が見るところでは、十六条、十七条の範囲と第一条の範囲とに食い違いがあるように思うが、発議者はこれについて如何にお考えであるか、これが質問の第一点、第二点は、小笠原君が言葉を重ねて質問されましたが、この畜犬法そのものについては、私も一つ  の見解を持つております。即ちボート・レースや自転車競技よりはこれは数等よろしい。八百長がないだけよろしい。併しさればと言つて敗戦下の現在において、こういう法案が陸続として出る傾向について、畜犬競技法なるが故に許すと私はすることができない。その意味合いを以ちまして、この際政治の倫理性確立のためにも発議者としては畜犬法を出す裏付けとして、一つ競輪法はやめようじやないか、或いはボート・レースなどというあんなものは一つやめようじやないか、そうして畜犬競技法或いは競馬競技法と、これを一つこう持つて行こうじやないかというような構想が当然あられると思う。又そういう構想がなければ、何か思い付いたように、犬の競技をやるという法律を我々が出すと、今度は思い付きの議員がいて、しやもの喧嘩をさせようと、こういうことにならないとは誰しもこれは否定できない。従いまして政治の倫理性確立の観点より、競輪法並びにボート・レース法等との振合い上、発議者はどのような交渉連絡をされ、どのような基本的見解を以てお出しになつたか、これをお尋ねしたい。なお私が発議者に一言申しておきたいと思いますことは、この種の競技のうちでは、私はドツグ・レースというものは面白いものだと思つている。ただこういう形で出るのはどうかと思つておりますが、そう思つているのです。そこでそういうよう意味において一つこの際御見解を承わつておきたいと思います。
  45. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) お答え申上げます。只今第一条からからんで十六条、十七条に骨子が置かれてあるのだがどうだということでありました。勿論先ほど縷々御説明申上げております通り、この目的達成のために第一に考えをいたしております。と同時に幾分でも地方財源の運営の上にこれが寄与することができ得る、こういう気持提案をいたしておりますので、政治の倫理高揚の上から余りこの際芳しくないじやないか、これも御尤もな御意見と思います。と同時に……
  46. 相馬助治

    ○相馬助治君 芳しくないと断言してはいないのです。畜犬競技法の意義は認めているのです。ただ政治の倫理性確立の観点から、競輪や何かとの振合いをどう考えておられるか、こういうことなんです。
  47. 原田雪松

    衆議院議員原田雪松君) それをお答えいたしますが、成るほど法律を以て競輪、オートバイ、ボート・レース等が出ているのでありますが、この際私どもは競輪をやめてこれに肩代りをして頂きたいと、こういうことは言えないのでございます。恐らくごの畜犬競技法案が、皆様の御了承を得て社会に出現いたしまするとき、社会一般大衆のかたがたが必ず是々非々主義でこれを御批判なさると思います。と同時にいいものをとつて悪いものにはけちがついて行くだろうということは想像に難くないと思います。そういう意味から、恐らく大衆向で非常に社会的に受けがよろしいということであれば、おのずから不評判のものは遠ざかる時期が到来するであるということは言えます。けれどもこの際競輪法よりもこれがいいから競輪をやめてこれをやりたいと、こういうことは先ず申上げかねるのであります。恐らく施行の場所等につきましては、一部競輪場を利用してこういうレースをやることもそれは考えのうちに入れていいのじやないか。少くとも相当の施設費がかかるようになりますと、非常に経営者のほうでは苦痛を感じますので、競輪施行者と或いは畜犬競技をやりますところの団体等が、会議の上競輪場を利用する、そしてやることは非常に工合がいいのじやないか。そして大体のことは一般の社会人の批判に任せまして、それによつて取捨選択をして頂く以外には方法がない、さよう考えております。
  48. 相馬助治

    ○相馬助治君 御答弁趣旨はわかりました。この際意見を加えることはよろしいですか。
  49. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) どうぞ御自由に。
  50. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は、競輪をやめて畜犬法を成立してくれということを、原田さんが議員の立場から言えないということについては了解します。その通りです。ただ私がお尋ねいたしましたことは、原田さんの説といたしますると、畜犬法、いわゆるドツグ・レース競輪と二つ並んだ場合に、是々非々で悪いものは淘汰されると言いますが、そういう観点から言いますとこれは畜犬法が淘汰されます。なぜならばドツグ・レースのほうがこれは競輪より健全だからです。健全なるが故に淘汰される危険性を持つているのです。私はそういう観点からこれを心配するのです。従いまして、若しドツグ・レースが今の競輪を圧倒するようなことに現実がなつたとするならば、我々は簡単にこの法案を成立せしめることは国会議員としてできない。私の私見を以てしまするならば、これは競輪に負けます。この競技というものはそこに問題がある。そこであなたは自由党の議員さんと承知いたしまするが、私どうしても政治の倫理性確立のためからでも、当然この競輪法はどうしよう、競馬法はどうしよう、ボート・レースはどうしよう、そういう一連の構想の上にこれらは逐次やめても、その代償として畜犬法を是非とも参議院に持込んで審議して通そうじやないかというような話でもあつたならば、通すのにも大変我々が気が安いものですからお尋ねしたのであつて、ないならばいたし方はございません。自由党がそういうところまで突き進んで研研をしていないということは不幸でございますが、我々がとやかく申すまでもございません。どうぞ一つ将来そういう構想でお考え下さいますことを希望いたします。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体地方行政委員質疑は尽きたようでありますから、委員長が散会を宣する前に、先ほど私の質問過程の中に、発議者に対して資料の提出を求めるよう委員長にお取計らいを願つておつたわけでありますが、何とぞそうして頂くことといたしまして、出て来ましたならば、この連合委員会は打切りましても、何とぞ農林委員各位の御同情によつて、委員外発言をお許し頂くことを念のためにこの際申し添えて置きます。発議者に対する資料の要求内容は、国と各府県における畜犬競技法案目的とするいろいろな面にどれだけの予算的な措置を以て金を使つているかという現状を示す資料を出して頂きたいということと、もつとこの畜犬競技法実施の暁において、その開場数、或いは入場者の予想、或いは又この優勝投票券の売上金総額の予想、それらの分配等についての計数、これらを含めました資料を御提出願いたいと思うのであります。以上お願いいたします。
  52. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 最後に私はこのレース競輪その他よりもその弊害が少いかと思うのでありますが、現在の日本の状態といたしまして、私はドツグ・レースその他が本当に慰安とか娯楽で金のある人が余裕を以てこれに賭けられる、こういう状態ならば非常に何とも弊害がなくていい。併し日本人の性質と申しますか、今の経済状態の下におきましてはそれが一家の生活を脅すようなところまで進んでおる。これは競輪その他もそうでありますが、そのために家庭毎議が起り、或いはその人が犯罪を起すと、こういうような状態にあるときに出されることに対しまして非常に遺憾に考えるのであります。丁度原田さんは自由党の錚々たるかたでありますから、社会情勢をそのように努力するような観点におきまして見て頂かなければ困るのじやないかとかよう考えるのであります。特にこの法案に対しましていろいろに馬鹿に大きなことを書かれて、地方財政改善を図るためにどうするとかこうするとかいうことを言われておるが、これは東京、神奈川、名古屋、大阪ぐらいしかなくて、その点も小笠原君も言われた通り地方財政、いわゆる都、大阪府なんというのは一般平衡交付金なんかもらえないような非常に状態のいい所、その所でやりまして平衡交付金が殖えるとか、地方財政かよくなるとかいうようなことをお書きになることによりまして、我々疑問を持つのでございまして、この点は犬の改良とか、そういうものにやるから一つ賛成せよということになれば、なかなか攻撃する対象にならない。それを馬鹿にいろいろな畜産行政の何々を確立すると、こういうようなこを言われますと、それを鵜呑みにするような政治家ではどうかと思いますので、実はいろいろ申上げるのでありますが、その点につきまして、発議者といたしましては社会情勢がよくなるよう一つ御努力願いたいと、こういう希望を以て申すものでありまして、私は地方財政のほうは引きます。
  53. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) 先ほど小笠原委員から御要求のありました資料は、発議者から速かに提出してもらうことにいたします。なお審議の時間の関係もありますので、農林地方行政連合委員会はこれを以て閉じたいと思いますが御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 羽生三七

    委員長(羽生三七君) それではさように決定いたします。なお委員外発言は当然皆様御異存ないことと思いますので、さよう御了承願います。それではこれで散会いたします。    午後四時十六分散会  出席者は左の通り   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            岡村文四郎君    委員           池田宇右衞門君            白波瀬米吉君            瀧井治三郎君            平沼彌太郎君            宮本 邦彦君            江田 三郎君            門田 定藏君            三橋八次郎君            飯島連次郎君            加賀  操君            三好  始君            三浦 辰雄君   地方行政委員    理事      竹中 七郎君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            西郷吉之助君   衆議院議員            原田 雪松君   政府委員    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    農林省畜産局長 長谷川 清君   事務局側    常任委員会專門    員       安樂城敏男君    常任委員会專門    員       中田 吉雄君