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1951-05-29 第10回国会 参議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月二十九日(火曜日)    午後零時九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件水産省設置法案木下辰雄君外八十  五名発議) ○水産省設置法施行に伴う関係法令  の整理に関する法律案木下辰雄君  外五名発議) ○継続審査承認要求の件 ○連合委員会開会の件 ○理事補欠選任の件 ○北海道開発法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 只今より内閣委員会開会いたします。  昨日の内閣委員会における懇談会の結果、水産省設置法案及び水産省設置法施行に伴う関係法令整理に関する法律案議題といたしまして、昨日の御協議の結果、適当な動議が更に提出される見込みがありませんので、昨日残された、きまつてつた動議について採決をして行きたいと思います。  それは楠見君の質疑打切つて討論採決に入るべしという動議、それから栗栖君の質疑は一応この程度にとどめて置いて継続審査に移すべしという動議、それから郡君のこの会期中は質疑を打切るという動議、この三つであります。それで順序といたしまして、委員長栗栖君の動議議題といたしまして、これを採決しようとするのであります。
  3. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 昨日からいろいろ論議されまして、いい案がないかということで今日に持越されたのでありますが、今まで時間をかけて各派ともいろいろ手を盡してやられたのでありますが、適当な案がないということで採決になるということは、これはもういたしかたがないと思います。そこで昨日も私が申上げて置いたのでありますが、この際明らかにして置きたいということは、会期が五日間延長になりまして、そうして延長になつた初めにおいて質疑を打切るということについては、どうも筋が通らないのではないか、今まで会期がなければ、これはいたしかたがない。そこで先ず水産省設置法案議員立法として出ており、それから北海道法案がこれが政府案として出ておるのでありますが、我我はやはり議員立法にかなり重きを置いて、そうして処理すべきでないかと、こういう考えの下に立つているので、当然この会期中に両案とも並行してやられるのが適当であると、こういう考え方を持つてつたのでありますが、併しこの案の質疑を打切るという話が出ましたので、そこで質疑を打切るならば、当然私は討論採決を行うのが適当であるという考えを持つているのであります。併しながら討論採決はいたせない、併し質疑は打切るということになりますると、この北海道開発法案があたかも何か政党政略によつて行われるかのような感じを国民に與えておるのでありますから、こういつた矢先きに、そういう取扱いを委員会がするということは、参議院の行き方として余り好ましくないということで、でき得れば質疑を打切るならば討論採決を願いたい、こういう主張を述べたのであります。併しながらどういうようなお考えがあるのか知りませんが、とにかくさような事態になつたということを非常に遺憾に思つておるのでありますが、いずれこれについては自由党諸君からも納得の行く御説明かあろうかと思いますが、一言私はそういう点を明らかにして置いて、そうして採決をして頂きたいと、こう思います。
  4. 楠見義男

    ○楠見義男君 昨日も私は委員長にお願いをして置いたことなんですが、今の栗栖さんの動議動議として採決に付せられる場合においては、委員長から併せて御説明と申しますか、御報告をして頂きたいということをお願いして置いたのでありますが、もう一度繰返して申上げますと、会期がなお数日あるにかかわらず質疑打切つて、そして継続審査にこの案件を付するということは、私は悪例だと思うのでありますが、その悪例かどうかということは別にして、議事審議の上において、過去何十年かやつて来たこの国会審議の上において、そういうことが合法性を持つているかどうかと、こういうことについて事務当局ともよくお調べ頂いて、その結果を御報告頂きたい、こういうことを申上げてお願いして置いたのでありますが、採決に付せられる前に、その点を委員長から御報告頂きたいと思います。なおそれに附加えて、御説明を頂くときには、これは委員長でも結構でありまするし、又事務当局のかたでも結構でありますが、厚生委員会医薬分業について、会期がまだあるにかかわらず、継続審査に付した案件が、この国会にあるそうでありますが、これは聞くところによりますと、公聽会に付するということが先に委員会としては決定しておりまして、その公聽会に付する個所は四カ所でありますか、その四カ所の公聽会がまだ実現しておらない。而も公聽会を実施するには相当の日数が必要であり、その日数残つた会期とを彼此照し合せて見ると、残つた日数ではその公聽会が実行できない。従つでそういう意味から継続審査に付したと私は承わつておるのであります。従つてこれは当然のことであると思いますが、そういうことを併せて事務当局から御報告、御説明を頂ければ大変仕合せだと思います。
  5. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 楠見君にお答えいたします。昨日楠見君の御要求がありましたことは委員長了承しております。従いまして今朝事務当局をしてそれらの先例等を取調べたのであります。それで只今お話になりました厚生委員会においての取扱とは必らずしも一致してはおりませんけれども、併し若干の何と言いますか、会期の余裕があるにかかわらず継続審査をするということに取扱つた例はあるのでありますが、事務局委員部長からそれの報告説明をさせたいと思います。
  6. 宮坂完孝

    ○参事(宮坂完孝君) 只今楠見さんの御質問でございますか、昨日委員長から御命令を頂きまして、取急いで前例等を取調べいたしました結果を御報告申上げます。この継続審査の件につきましては、継続調査事件のほうは非常に例が多いのでございますが、法案についての継続審査の例は非常に少いのであります。それで只今楠見さんのおつしやつた通り継続審査の件につきましては、国会開会されまして、種種法案が論議されて、ほぼ最終段階に入つたときにおいてこの問題が論議されるのが通常でありまして、多くの法案につきましては、最終日にこれを決定するのが多いのでございまするが、さればと申しまして、法案見通し等につきまして最終段階巖格に言いまして、最終日でなければその法案見通しが付かないというものでもございませんので、その最終日の幾日か前、数日前に法案運命等もきまりまして、これは継続審査に持つて行くべきものであるというような御決定に相成つて、それがそういう運びになつたということもあるのでありまして、非常に網羅的ではございませんが、大体取急いで取調べましたので、多少落ちていることもございましようが、最終日決定された件は全部で五件であります。十一件のうち最終日は五件でございます。それから三日前が一件、一日前が三件、それから十二日前が二件でございます。大体そういう情勢でございまして、特に第五国会におきまする漁業法案におきましては、最終日より十二日前に行われておるのでございます。それから最後に御質疑に相成つたこの第十国会医師法歯科医師法及び薬事法の一部改正の、あの医薬分業法律案につきましては、土曜日にその継続審査の件がきまりましたものですから、三日前でございます。これは二日前に決定に相成つたのであります。但しこれはいろいろと御議論がございまして、その継続審査に持つて行く動議内容といたしまして、二十八日に終ることを前提として提出したという片方の議論がございますし、もう一つ考え方といたしましては、およそ数日延長されるので、考慮いたして動議を出したということで、両方相分れておりまして、目下懇談会等を開きまして、厚生委員会では善後処置を講じておるような次第でございます。
  7. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ほかに御発言がありませんならば……。
  8. 梅津錦一

    梅津錦一君 この際明らかにして置きたいと思いますのは、今まで何回も懇談会をいたしましたが、記録がとつてありませんので、重ねて申上げたいのですが、何回も懇談会を繰返したときに、大かたの御議論議員立法である水産省設置の問題を重要視するというような濃厚な空気がかもし出されておつたと思うのであります。幸いにいたしまして、五日間の会期延長になりましたから当然この議員立法であるところの水産省設置法の案が審議され、更に討論採決にまで私は行くものと心得ておつたのであります。然るに俄然北海道開発法の一部を改正する法律案が出ました結果、重点がややそのほうに傾きまして、これを継続審議にして置いて、北海道開発法案審議に入ろうというのが本日の形であろうと思うのであります。このことは皆さんがたの意向であり、更に採決をするならば、その結果についてはつきりするのでありまして、これは当然であると考えるのであります。併しながら水産省設置法案審議未了のまま討論採決をしないで、いつの日にか私はこの法案が明るい日の目を見ることができようかということを心配するのであります。皆さんがたの御協力を得て、本国会において審議が打切られましても、継続審議という形になりましても、最終日までには何らかの形においてこの賛否を明らかにいたしまして、採決に入られんことを希望いたしまして、私の意見といたします。
  9. 郡祐一

    郡祐一君 会期を残しまして継続審議に付します前例は、委員長からの話で承知いたしましたが、これはむしろ異例のことに属すると思うのでありますが、すでに延長されましたこの会期において、内閣委員会として審議をいたさなければなりません法案があり、一方水産省設置法案については、すでに栗栖委員から動議の際に縷々申述べられましたように、継続審議に付することが適当と思うという理由がございますので、私は水産省設置法について、只今梅津委員の言われましたように、十分これには提案者の御熱意に副うような審議を将来において進めたいと考えております。
  10. 上條愛一

    上條愛一君 私は簡單意見を申上げたいのですが、厚生委員会医薬分業の場合においては、これは継続審議に移しましたので、公報を見ましても、昨日も今日も医薬分業の問題は議題になつて継続して、今会期中に審議しておるわけです。ところがこの水産省の問題は、会期が五日であるにかかわらず、これを継続審議に付して、この五日間の間、これを議題にせずして、棚上げにして置いて、北海道問題を取扱うということはこれは明らかに悪例になると我々は考えるのであります。水産省設置の問題は、これは議員提出であつて重要な法案であるということはみんな認めておるわけであります。この重要な法案をなお日があるにかかわらず、継続審議をせずして、これを棚上げにして置いて、他の法案のみをこの会期中に審議をするということはこれは厚生委員会継続審議内容とは全然異なることであると思います。私はかような例は議会としては最も悪例であると考えるので反対をいたすのであります。
  11. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは御発言も盡きたと思いまするから、栗栖君の動議について採決をいたします。その要点をもう一度申述べます。水産省設置法案ほか一件の法律案につきましては、質疑はこの程度にとめて置いて、そうしてこの一案は継続審査に移すという動議であります。これに賛成諸君挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  12. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 多数と認めます。ではさように決しました。もう一度抜けたことがありますから申します。只今決議になりましたこの両案に対する継続承認要求書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じます。これば御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕、
  13. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決定いたしました。   —————————————
  14. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ついては午後は北海道開発法の一部改正法案議題といたしまして、審議を進めたいと存じます。これは御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。
  16. 楠見義男

    ○楠見義男君 ちよつとお伺いするのですが、他の委員会から連合審査要求があるように聞いておるのですが、その状況だけをあらかじめ伺つて置きたいと思います。
  17. 河井彌八

    委員長河井彌八君) では午後からは北海道開発法の一部を改正する法律案審議するということについては御異議ないと認めます。それから楠見君からの御質疑のありました点、それははつきりしたものと、まだはつきりしたいのとありますが、それを申上げて置きます。水産委員会からは連合委員会要求がありました。建設委員会からも要求があつた由であります。それから地方行政委員会からは、本月午前中に要求を決するであろうというようなことを聞いております。これはまだ正式な要求を得ておりません。なお農林委員会経済安定委員会もあるかも知れんということで、まだ推定には至つておりません。それだけ申して置きます。
  18. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 午後から北海道開発法案審議されることには異議がないのでありますが、この法案はかなり重要な法案であり、且つ国民からも非常に論議の中心になつておる関係上、委員会としては慎重を期さなければならないと思うのです。そこで本法案審議に入ります前に、理事会でもよろしいが、一応の円満に委員会が運び得るような、一つ順序を一応いろいろきめて、皆が納得した上で入つて頂く、こういうことを一つ願つて置きたいと、こう思う。
  19. 河井彌八

    委員長河井彌八君) カニエ君にお答えいたします。御尤もなお考えで、期間は短かいのでありますが、できるだけ十分審議したいということを考えております。そういう意味において理事諸君に御意見を伺つてきめて見たいと思つております。それでは一時半まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩    ——————————    午後二時十二分開会
  20. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会開会いたします。先ずお諮りを申上げます。内閣委員理事尾山三郎君が委員を辞任せられましたので、補欠選挙をしたいと思います。
  21. 郡祐一

    郡祐一君 尾山君の補欠溝淵君にお願いしたいと思います。
  22. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 郡君の御発議は、選挙の手続を省略して委員長に任ということですか。或いはあなたがその御発議なのですか。
  23. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 理事選挙に関しましては、成規手済を省略いたしまして、委員長に一任するという動議提出いたします。
  24. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 郡君の御発議に御異存ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認めます。それでは委員長から溝淵春次君を指名いたします。   —————————————
  26. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより北海道開発法の一部を改正する法律案議題といたします。増田国務大臣から提案理由説明を求めます。
  27. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 議事進行に関してであります。法案をこの委員会審議する前に、私は本法案がかなり重要な法案であるので、これは今政府提案理由説明を聞いたあとでもよいと思いますが、でき得れば本提案を本会議に一応成規の御提案願つて、そうして簡單質疑をしてやつて、そうして委員会に付託される。こういうことを願いたいのでありますが、手済上そういうことが可能であるかどうかという点をまだよく調べておりませんが、そういう必要があるのでなかろうかと思うのです。なおこの先例といたしましては、社会党が與党のときに、自由党から石炭国管法案のときに、中途に中間報告の形で委員長の何がありまして、やつたことがあると思うのです。そういう重要な法案でありますから、本会議で一応御説明を願うことがどうか、こういうような一つ取計らいを願いたいと思います。
  28. 河井彌八

    委員長河井彌八君) カニエ君にお答えします。委員長はこの案が委員会に付託されておりまするから、そこでやはり成規審査方法をとつて、そうして委員会進行を計りたい、かように考えております。このカニエ君の御発言のことは、そういう場合もあつたろうと考えます。委員長はよくその事情を十分に承知しておりませんから、必要があるならば、それを議場においてそれが行われるように取計らつて見ようかと考えます。併しそれは委員長の当然の職務であるとは考えておりません。それだけ申して置きます。
  29. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道開発法の一部を改正する法律案提案理由及びその内容の概略を御説明申上げます。戰後我が国国民経済の復興と、人口問題の解決に寄與するため、北海道に存在する豊富な未開発資源を急速に開発すべく、昨年五月第七国会において皆様の御賛同を得て、北海道開発法が成立いたしたのであります。この北海道開発法に基き、総合開発計画樹立機関として北海道開発庁が総理府の外局として設置されたのであります。今回北海道開発を強力に推進するために、北海道開発法の一部を改正せんとするものでありましてその改正の要旨は、第一に、北海道開発に関する公共事業費のうち、国が行うところの直轄事業に直接国が執行するようにいたしますため、現地に国の執行機関として、北海道開発局を設けることにしたのであります。第二は、その執行機関は、北海道開発庁支分部局として設置することとし、且つ農林省運輸省及び建設省の各大臣はそれぞれの所掌事務について、その機関の長を直接指揮監督するものといたしました。次に、これが改正理由を申上げます。北海道開発公共事業費は、一括開発庁に取りまとめてこれを計上し、然る後に農林省運輸省及び建設省に予算の移し替えをして、現に執行いたしているのであります。右の直轄事業を執行するために、官吏たる地方事務官地方技官現地に約三千二百名配置いたしておりまして、この官吏の任免及び俸給の支給は、すべて現に総理大臣の直接権限にあるのであります。戰後北海道我が国全体の立場において占むる地位並びにその特殊性に鑑み先に政府は国策として北海道開発を行いますために、積極的な意欲と熱意を以て北海道開発の制定を図つたのでありまして今後はますますその重要性を加えて行く段階にあると申さねばなりません。従つて国費直轄事業のごときは、ますますこれを増加拡充せねばならないのであります。北海道開発は、国家の総力を挙げて解決すべき問題であり、国民的事業として、国はその計画から事業執行まで一貫して名実共国民に対して責任を負うことが、全日本の再建はもとより北海道民の生活の飛躍的向上のため絶対に必要であります。かかる意味におきまして、従来のごとく知事官吏を指揮監督せしめていたのでは、その責任の所在に明瞭を欠く嫌いがあるのみならず、到底前記目的を達成することは至難でありますから、これを根本的に改めまして、直接政府国民に対する責任において執行することに変更したのであります。かかる措置によりまして、北海道開発局で所掌するものは、公共事業のうち、国の直轄事業のみを取扱うものでありますから、直轄事業以外の補助事業即ち公共団体本来の事業は、従来の通り知事指揮監督下に置くものであります。それによりまして官吏につきましても、事業の分離に伴いまして分離することは勿論であります。これが今回改正しようとする根本義でありまして、かかる措置により北海道開発に対しましては、国民代表者たる国会に対する責任を負い得る態勢において強力に推進する所存であります。以上この改正法案につきましてその提案理由内容の概要を御説明いたしました。何とぞ御審議の上、御賛成下さるようお願いいたします。
  30. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより本案に対する質疑を行います。
  31. 楠見義男

    ○楠見義男君 私はこの改正法律案内容に関する質疑に入る前に、総括的な質疑を若干いたしたいと思います。それは只今建設大臣から改正趣旨について御説明があつたのでありますが、政府改正せられんとする趣旨につきましては、只今説明でわかりましたが、とにかく現在の北海道開発法は御承知のように昨年の五月に制定せられたものであつて、漸く一年の経験を経ただけであります。今日この現行法改正せられるに当りましてその改正の当否、善悪は別にいたしまして、この改正案が非常に政治問題化されておることは御承知通りであります。従つてこの改正案については、十分に国民が納得し得る理由がなければならんのでありますが、そのことにつきまして、先ず二つの点について御質問いたしたいと思うのであります。それは国の行う事業については、飽くまで国が責任を持つて首尾一貫することが必要であるという考え方は、これは当初から考えられて然るべきものであつたにもかかわらず、なぜ現在そういうような方法をとられておらなかつたか、この点が第一点であります。昨年の第七国会内閣委員会における質疑状況速記録によつて見ますと、当時も計画執行機関である開発庁と、それから実施機関である各省と、それから現地北海道地方公共団体、この三つの機構をめぐりまして、事業がうまく行くかどうかということを非常に懸念された質疑が多かつたのであります。その場合に当時提案者地方自治庁のようでございましたが、地方自治庁政府委員はたしか高辻君であつたと思いますが、「北海道開発庁の行いまするところの計画、又それに基く事業なるものは、北海道実施事務として行いまするところの事業とは直接の関係はないわけでございます。併しながら現在でも国の行う北海道開発事業は、現地におきましては、北海道知事に委任して実施せしめておりまする場合が多いのでありまするし、将来も又そういうような仕組で行く場合もあろうかと思うのであります。」こういうようなことを言つておりますると同時に、国の行う事業北海道の行う事業も、密接な関係の上に立つて北海道の完全な開発が一体的に行われるべきものでありまするので、この間の調整につきましては、地元でありまする北海道連絡を密にして、遺憾のないようにして行くのがこれが筋道だらうと思います。こういうようなことを政府考え方としてお述べになつておるのであります。従つて北海道開発につきましては、当初からいろいろ御研究になつた結果、今日のような状態で以て行くことがいいのだと、こういうようなことであつたかと思うのでありますが、それがそうでなくて、こうなつたといたしますれば、当初どういうふうにお考えになり、そして又今日のような実態になつたか、その経緯を先ず一丁点としてお伺いいたしたいのであります。それから第二点として、この一年間の経緯に鑑みて、具体的にどういうような欠陷があつたか、その欠陷を生じた理由はどういう点であつたか、その理由を具体的にお伺いいたしたいと思うのであります。先ずこの二点をお伺いします
  32. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 楠見委員の御質疑にお答え申上げます。先ず国の行うべき国の直轄事業と、それから自治団体の行なつておるところの公共事業との相互の間を、密接な連絡の下に執行する必要があるという昨年度の政府委員答弁は、私は全然賛成であります。その通りでございます。例えば内地におきましても、国が直轄事業を行なつて同じ国道でも、例えば国道第一号線にいたしましても、或る地点は国が直轄事業を行なつておりまして、或る地点府県知事自分の委任された仕事として執行いたしております。その相互関係連絡が緊密であるということは政府委員答弁通りであります。ただ併しながら同一の機関で一元的にこれを執行しなかつたならば、連絡は密接にとれないものであるというところまでは、政府委員は言つておるのではないのでありまして、我我は現に内地におきましては、国の直轄事業国道建設について見ますと、地方建設局が行なつております。それから地元に任せる同じ国道建設にいたしましても、改修にいたしましても、そういう仕事はたとえて言えば、国道第一号線におきましては、神奈川県知事がやる、静岡県知事がやる。同じ神奈川県でやる国道一号線で直轄事業でやつておる部面もあれば、府県でも自分事業としてやつておる部分もあるのでありまして、主管が異なりましても、同じ国道の一号線が、或る地点が幅員が二十メートルになつたり、或る地点では急に十メートルになつてしまつたり、或る地点の橋が永久橋であるならば、或る地点はぼろぼろの木橋であるといつたことでは困るのでありまして、建設省で立てました計画従つて、関東地方建設局神奈川県の知事連絡をとりつつ同じ国道の一号線の改修なり、建設をいたしておるのであります。ただ楠見さんのよく御承知通り、国の行うべき直轄事業というものは、到底地方の負担を以上てしては堪え切れないような大規模の事業を、直轄事業として国が直接計画から執行まで責任を担当いたしておるのであります。行政の対象物それ自体を見ますというと、性質上の区分というものはあまりできません。結局事業の規模によつて、とてもこれだけの大きい事業府県ではできがたい、そこで国がやる。こういつたような形であります。北海道についても従来から同様であるのであります。ただ併しながら北海道内地と違うところは、直轄事業の部面が極めて多い、国道のごときは全部直轄でありまして、地方公共団体たる北海道がやるというようなことは殆んどありません。又北海道に地方費道という、内地で申せば府県道と同じような性質の道路がございまするが、この地方費道の建設、改修等も全額国庫負担でやつております。先だつても本会議において、私が木下議員の御質問に対して縷々申上げましたが、これらの直轄事業内地においては三分の一は地元で負担してもらつております。ところが北海道では国道は国の直轄事業で殆んど全部やつておりまするし、而うして地元負担というのは一文もございません。それから府県道は内地におきましては、半額国庫負担、而うして府県道の改修なり、補修なりの事業は地方自治団体仕事でございます。併しながら半分地元で持ち、半分国庫で持つ、こういうようなことでありまするが、とにかく北海道の国の直轄事業というものは、分量においても、或いは対象物においても、内地と比較にならないくらい多いということは楠見委員のよく御承知通りでございます。而うして内地において同じ直轄事業の対象を、同じ国道においてやつておりましても、建設省で立てた計画に則つて連絡を密接にとりつやつておるごとく北海道でもとつたならばよろしいと、こう考えております。而うしてまだ開発庁ができてから一年ばかりで、一年たつただけでは、現地に国の直轄事業を担当する内地と同様の役所を作つたほうがよろしいという結論に到達するには早過ぎるのではないか。一年間たつたのちに現地に国の機関を設けようとするに至つたその経緯を申述べよという御質問に対してお答え申上げます。実は皆様御承知のごとく昭和二十二年四月までは、これら国の直轄事業政府の出先機関である北海道庁長官が担当いたしておつたのであります。北海道庁長官は、内地は当時はいわゆる任命知事でございましたが、北海道庁長官も任命知事であり、国の機関である。而うして内地知事は自治事覇も相当担当しておりまするが、北海道庁長官の担当する事務はむしろ国の機関としての事務のほうが、予算面からも事業分量からも遥かに多いのであります。普通には二割、八割と言つておりますが、八割くらいの事業分量或いは予算面を、国の機関として、国の予算を現地において執行する意味北海道庁長官があつたのでございます。黒田開拓使から始まりまして昭和二十二年四月まで、而もその期間の自治というのは内地の諸機関に比べてよほど重責を担当する立場に置かれた長官がこれを担当いたしておつたのであります。ところが二十二年四月、公選知事になりました場合に、本来あのときに我々は考え直さなくてはいけなかつたのでありまするが、漫然一種の委任の形になつてしまつたのでありますが、どうしてあのときに考え直さなくてはいけないかと言いますと、終戰前でありましても、北海道意味というものは非常に重要でございますから、北海道庁長官がこれを担当いたしておつたのでありまするが、終戦後はいよいよ北海道の全日本における立場というものは重且つ大を加えて来たのでありまして、そういう意味から見ますと、漫然委任したことが本当は我々の怠慢ではなかつたかというふうに考えているわけであります。そこで私どもは第二次吉田内閣を担当するや否や、直ちに北海道の行政機構の根本的検討ということが必要であるという意味におきまして、北海道総合開発審議会を内閣に設置いたした次第であります。これが昭和二十二年、いよいよ閣議決定の下に設置されたのが二十二年四月でございまして、一年間審議会の皆さんに勉強して頂いた結果、北海道開発には国が総力を挙げて重点的に力を入れなくてはならない。終戦前も相当力を入れる意味において、国の行政を八割担当する意味において北海道長官がいた。ところがそれがなくなつてしまつた。而してむしろ終戰後の意義というものは終戦前よりも遥かに偉大である。北海道の中に実際上の朝鮮だとか、実際上の樺太だとか、実際上の満洲といつたようなものを作る必要がある。即ち北海道の有する潜在資源というものを飛躍的に開発して、そうしてこれらの生産力によつて全日本国民の生活を賄つて行くようにしなくてはならない。従来も国家機関が八割も仕事をする意味において仕事を担当しておりたのを、漫然公選知事に委任したのはよろしくない。むしろあべこべに北海道重要性というものは意味を加えて来たのであるからして、北海道総合開発機構を整備充実せよという答申があつたのであります。一年間勉強されました結果……この答申に基きまして、我々は本来楠見委員の御指摘のごとく、中央地方を通じて、北海道に終戦後は日本がそれだけ力を入れているならば、首尾一貫したところの総合開発機構を作るべきであつたのであります。その当時も私どもは、実は私は当時は御承知のように各省には直接関係のない官房長官をいたしておりましたが、各省の調整ということについてやつて見ましたけれども、現地開発機構を直く作るという運びには、当時はまだ努力はいたしましたけれども、至りませんでした。そこで中央における開発庁を作る、当時は中央と地方と百尾一貫した北海道TVAを作るべしという考えのほうがむしろ非常に盛んであつたのであります。そこでTVAというところまでは行きませんでした。結局中央における北海道総合開発計画を樹立する、そうしてその総合開発計画の執行について、各省大臣を指導推進するといつたような内閣総理大臣の立場を受けた、同じ内閣の総理府の外局として開発庁長官は国務大臣を以てこれに充つという立場から、総理の名において農林省或いは運輸省或いは建設省北海道総合開発計画の実施について推進を図るというだけの意味開発庁ができたわけであります。この開発庁ができまして我々は併しながら北海道総合開発計画の樹立について一生懸命勉強し、或いは北海道総合開発についての予算の獲得について一生懸命努力すると共に、一両北海道の総合開発行政機構の検討も引続いて今から三年前にでき上りました北海道総合開発審議会の答申の線に沿うて一生懸命勉強いたしておつたのであります。結局一年間の勉強の結果、やはり現地におきましても、北海道総合開発局を作る必要があるという結論に到達いたしました。只今のところ、御承知のごとく開発局と名前を打つておりまして、又事業対象は国の直轄事業でございまして、伝えられるごとく、北海道という地方公共団体自治団体の自治事務とは何ら関係がないのであります。先般の本会議においても、木下議員に対して縷々私御答弁申上げましたが、内地においては国の直轄事業地元が相当負担しているけれども、なお且つ国の出先機関がこれをやつている。北海道の国の直轄事業というものは地元負担というものが全然ないのでございます。併しながらその地方事務官地方技官という総理府の役人がやつている仕事を或る一部公選知事、即ち自治事務を担当する執行機関の首長である知事か、これらの役人を指揮監督するといつたような極く変態的の現象があるのでありまして、この変態的の現象を直しまして、内地と行政機構の点につきましては同様にするだけであります。ただ併しながら内地と違うところは、例えば東北に例をとりますと、東北地方建設局が東北の直轄河川或いは橋梁或いは国道の改修なり建設なりを担当しております。又東北農地局というものが矢吹原の国営の開墾を初めとして、東北地域における国の直轄土地改良事業を担当しております。又東北港湾建設事務所が或いは塩釜その他の国のいわゆる重要港湾の建設をいたしております。北海道においては北海道庁の中の土木部に総理府の役人が只今説明申した通り数千名おりまして、国家公務員でございます。この国家公務員が、或いは小樽港、函館港の建設をする。或いは国道建設をする。或いは石狩川その他の直轄河川の改修をすると、こういうことになつておりまするから、これを直ちに内地と同様に北海道地方建設局北海道地方農地局、北海道港湾建設事務所という三つにばらばらに分ける必要はない。むしろ北海道はこれら三種類の国の行うべき直轄事業も従来から一つ機関、而してその機関は総理府の役人であります。この総理府の役人がやつてつたのであるからして、やはり一つとして、即ち北海道開発局という役所にいたしまして、これを総合的に所轄せしめることがよろしいと、こういう結論に到達しております。内地と違うところは内地のごとくばらばらではない。即ち地方建設局、地方農地局及び港湾建設事務所の三つではない。この三つのものが一緒になつている、これだけであります。経緯は大体以上の通りであります。  然るに一体地方の地方自治を担当するところの執行機関の長、公選知事に或る程度の委任をしておるけれども、この委任をした場合欠陥があつたのか、なかつたのか、これを指摘せよという御質問に対してお答え申上げます。私どもは行政調査委員会議の勧告の線も、楠見委員のよく御存じの通り、国の行政事務は国の機関がこれを担当せよ。地方の地方事務は地方自治行政機関がこれを担当せよ、こういう線でやることが、あの行政調査委員会議の勧告にもございます通り、能率を発揮するゆえんであると思つております。従来はこういう悪いことがあつた、ああいう悪いことがあつたということよりも、より能率を発揮するためには、行政調査委員会議の我々の指示する線、即ち国の行政事務は国の機関がやる。地方自治事務は地方自治機関がこれを行うという、これが私は能率を上げるゆえんではないかと、こう思つております。そういう信念から、この改革を行なつた次第でございます。尤も国の行政事務と申しましても、極く瑣末な事務は地方の公共団体、自治事務を担当することを使命とするところの地方行政の首長に任せてもよろしいと思いますが、北海道のごときはあべこべになつておりまして、国の行政が八割で、予算面からも事業分量から申しましても、地方費は府県であれば半分を地元で負担するに過ぎないところの府県道と国じ地方費道ですら、全額国庫で持つている。地方費道という名前が本当はおかしいのです。まあ工費の関係国道と言えないから、地方費道という仮に看板を出してあるだけでありまして、全額国費で賄つておるという意味においては、これはもう純然たる、道路を建設という関係から見ますと、国道でございます。とにかく公選知事の担当する地方自治事務が二割、それから国政関係八割、こういうように公選知事に八割も事業分量なり、予算を持つておるものを担当させるのはよろしくない、こういう考えでございます。それで地方地方自治行政調査委員会議の我々に対する示唆をしておりまするが、その示唆通り能率的に発揮できないのであるが、これがいわば一般的に予想せられる欠陥でございます。それからなお執行という意味から見ますと、我々は計画を立てているだけであつて、もとより執行を監督するがごとく監督せざるがごとく、実に曖昧模糊であります。ところが憲法には、この行政は内閣がこれを担当して、国務大臣は連帶して国会に対して責任を負うと書いてあります。即ち国会は国憲の最高機関である、旧憲法時代と違いまして、政府よりも上位に立つものである。三権分立で対等の鼎の三つの脚というような関係でないのでありまして、国会が国権の最高機関である、政府なり司法府というものはその下位に属するものである。いずれの時代におきましても、私は帝国議会の時におきりましても、国民の代表である国会なり議会に対して責任を負い得る態勢において国政を執行すべきものだと思つております。ところが執行について指揮し得るのやら、指揮し得ないのやらさつぱりわかりません。而も人によつて知事よりも強力なる指揮を建設大臣や農林大臣や運輸大臣が、小樽港の建設或いは北海道国道建設ついて、或いは国営の土地改良事業について指揮監督すべきである。こういうことを言うかたもあります。知事よりも高い立場で強力にやるべきであるというようなことを言うかたもありますが、どうも直接指揮できるやら、できないやらさつぱりわからん。知事もどの程度まで指揮できるやら、できないやらわからないのであります。楠見委員は自治法をよく御存じだと思いますが、自治法をお読み下すつても非常に曖昧模糊であります。そこで予算を、私どもは皆様の予想通り現地において執行する責任国会に対してあると思つております。ところが執行について口を出し得るのやら、出し倶ないのやらわからない。とにかく総理府の役人がおつて、俸給を上げるということだけは我々がやつておる、これだけではあの橋のかけ方がこれはまずいじやないかというようなことを世話を焼けなかつたならば、我々が皆様に対して責任を負い得ない、こう考えているのであります。ともかくも去年の予算面から見ますと、歳入の面での特色は去年も今年も減税であります。歳出の面の本年度の予算の特色は他にいろいろございましようけれども、先ず比較的に数が多少とも殖えているというようなことで、惰性的に数が殖えた面もございまするが、刮目して見えるほど数字が殖えた予算費目は北海道開発費である。即ち歳出面における本年度の特色は北海道開発費である。この開発費を皆様の議決された御意向に従つて現地において執行する責任は、行政については国務大臣は連帯して国会に対して責任を負う、あの憲法上の言葉から見ましても、我々は二十二年四月に、憲法よりも下のほうであるところの地方自治法で漫然任したような、任せないような曖昧な形にしたことは、この行政を執行するに際しては飽くまでも執行であります。行政という言葉は、執行という言葉で現わせる別な名前でございますから、この執行についてなし得るのやら、なし得ないのやらわからないにもかかわらず、行政の執行について国会に対して責任を負う、この憲法上の條文について我々はもつと憲法の條文を本当に尊重して、そうして我々は責任を負うべき態勢にしなくしてはならん。こういうふうに考えましたから、地方自治法も憲法の点からも、まあこれはスキャンダルだとか、スキャンダルでないとか、そういう細いことはこれは論じたくありません。会計検査院でいろいろな報告もございまするが、そういうような点を私は決算委員会において皆様からお叱りを受けましたが、あの程度以上は申述べないつもりでございますが、憲法その他から見ましても、他の三つの島よりも北海道には力を入れておる、皆様が予算面その他において力を入れて下さつておるのであります。その執行を我々が指揮も、監督もできるやら、できないやらわからん、こういうことでは皆様に相済まん、延いては国民に相済まない、こういう見地から……これが一種の欠陥でございます。即ち北海道開発のごときは、国民代表者である国会の皆様に責任者を負い得る態勢、即ち国民的事業としてこれを執行しなくてはならんという確信の下に、本法案提案いたした次第でございます。
  33. 楠見義男

    ○楠見義男君 御答弁に関連していろいろ質疑をいたしますことは、別の機会に讓つて、総括的なことだけをお伺いたしたいと思います。ただ一点、只今の御答弁の中で、将来の参考のために明らかにして置きたい点は、御答弁はこういうふうに了解していいのですか、それは過去一年間に亘る経緯に鑑みて、具体的に事業執行上における欠陥というものは余りなかつたけれども、併し国の事務は国がやり、地方の事務は地方でやるということが一貫した政府考え方であつて、強いて欠陥があるとすれば、行政上の今憲法講義をせられたのですが、その行政上の責任を負い得る態勢になかつた従つてこの問題は、将来に亘つてそういう点を明らかにして能率を高めて行くということを希望する上から見ての改正であると、こういうように理解していいかどうか、その点を明らかにして頂きたい。
  34. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は余り欠陥ということをこの際たくさん指摘することは、時間の関係その他の関係がありまして、あの程度で申上げましたが、理論的に欠陥があるからいけない、或いは憲法上の見地から見てまずいということは、先ほど申した通り、私の確信であります。併しそればかりでは実はないのでありまして、公私混淆と言うては語弊がございまするが、国の事務と公共団体の事務とがどうしても混淆しやすい、そういう見地からも、我々は是非とも改正をして頂きたい。それから器具、機械、その他の点から見ましても、会計検査院は過去一カ年間において相当私どもお叱りを受けております。そういうような点を直すという意味からも、我々はこの改正をいたしたい。それから従来は国の機関仕事北海道庁長官には多いものですから、楠見さんのよく御承知通り、東京において各省大臣或いは当時の国会の、或いはその以前の帝国議会の御意向を受けて、現地において執行するというような意味合から、半年も東京におつたわけであります。而してただ漫然おつたかと申しますと、そうではございませんで、政府委員になつてつた、そうして各省大臣の指揮も受け、そうして現地に直ちに声の響きが移るごとく移して、皆様の御意向を現地において執行する、こういうような仕掛もできませんし、併し私は法制上の見地からも、二十二年四月に漫然、北海道事業量或いは担当から見まして、二割を執行しておるに過ぎない地方自治団体執行機関の自治に任せたということが、これが最大の欠陥である。具体的には会計検査院その他の指摘した事柄が相当あるのでございます。
  35. 楠見義男

    ○楠見義男君 国の事務と、それからこれを執行する機関、或いは北海道庁でみずからが行う仕事、これらのものが極めて密接な関係で、渾然一体をなして北海道の総合開発を実行しようということが目的と言いますか、最終の狙いであり、それに関して極めて熱心な賛成論があり、又反対論が本法案についてあるように思うのであります。そこで狙うところは、冒頭にも申上げ、又今申上げたように、どうすれば北海道の総合開発がうまく行くかどうかという点にあると思います。従つて私ども全く白紙の立場におる者については、実は伺いたいことは、過去一年の経緯において具体的に事業執行の上から見てこれでは実際困るのだという具体的の事業執行上の欠陥があつたかどうか、若しあつたらばその理由を伺いたい。こういうことなんでありますが、この問題については今建設大臣も言われましたように、時間の関係或いはその他の関係もあろうと思いますが、これだけはいずれかの機会に明らかにして頂きたいし、私どもも是非本案を審議する上において知つて置きたいことだと思いますので、そのことを申上げて次の質問に入りたいと思います。次は、政府が一昨年の十二月に、地方行政調査委員会議というものをお作りになつて、この地方行政調査委員会議において、行政事務の再配分についていろいろ慎重に御検討になつておるようであります。特に北海道の問題については、その配分についていろいろこれ又真劍にお取上げになり、近く現地に赴いてこの問題の具体的の調査検討をせられるというような話でありますが、折角政府が設けられて、その目的のために設けられたこの地方行政調査委員会議が、まさに近く北海道現地に赴いて調査をしようという、その調査の結果を待たずして、なお且つこの改正をやられる、その緊急性についてお伺いいたしたいと思います。
  36. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答え申上げます。これは私どもは昭和二十二年の四月に漫然地方の仕事を担当するに過ぎない公選知事に、国政的色彩の内地に比べて遥かに多いところの北海道の国政事務を任せるというようなことは面白くないと思つておりました。この間例えば二割の仕事をする人に対して、八割の委任事務がある、或いはこういうような不具的の現象を以てしては、到底国が総力を挙げて執行に至るまで責任を負う態勢において北海道の総合開発を期して、八千万同胞の生活の安定向上を期するということはできにくいという考えは前から持つてつたのであります。そして昭和二十三年、我々が再び政局を担当するや否や、その支障を何とかしなければならんというので、そこで二十四年の四月に北海道開発審議会が設けられたのでありまして、当時から北海道の総合開発機構は、是非これを整備充実しなければならんということは、殆んど常識になつてつたのであります。であるからこそ、そうしました。それから問題の地方行政調査委員会議の調査の状況でありますが、すでに今まで話された結論は、国の行政事務は成るべく国の機関でやる、それから地方自治事務は地方機関でやる、この動向だけは極めて明確であります。そこで東京都と北海道とが調査が残されておるというのは、両方ともそれぞれ色彩がございまして、例えば東京都は首都である、そこで單なる東京都という区域の中の、地方自治事務よりも、府県彩的基本的な仕事がたくさんあるのであるからしてこの東京都の行政をどういうふうにしたらよろしいかということは、特別の勉強がいる、即ち国政的の色彩が強いから後廻しといつたわけであると私は考えております。それから北海道は、これは私は確信を持つて言えることであります。東京のことは存じませんが、北海道は国政的の色彩が遥かに多く、予算面からも、分量からも、国の事業としてやつておる仕事がたくさんあります。又これからももつと殖やさなかつたならば、北海道の飛躍的の開発はできがたいのでありますから、これは政府内地の他の諸府県の自治事務と国の行政事務の分類をして勧告をする、他の内地の、東京都と北海道とを除いたところは、或いは大阪等で、相当府県彩的な色彩の強いところがありますが、大体において同じような勧告がなされて、東京都と北海道とが国政的色彩が強いので後廻しになつた。だから私どもの考えておる点は、先ほども御説明申上げました通り、国の直轄事業として従来なし来たつたのが、又本年度もなすべき事業開発局をして担当せしめることだけでございまして、もうどなたに聞かれましても、結論は極めて明瞭であるのであります。これは国政事務にあらずして、自治事務であるということを申す人はございません。国道建設する、例えば塩釜より大きい小樽港、函館港を建設する仕事を国がやつておるのでありますから、他方自治で耐え得るところじやございません。これは結論を得るまでもなく、我々の認定によつて極めて明瞭であることは、どしどし行政の上、立法の上に施策として移すことが我々の責務であると、こう考えまして、かかる措置に出た次第であります。
  37. 楠見義男

    ○楠見義男君 次に実施の時期の問題についてお伺いしたいのであります。北海道の事情は、たびたび建設大臣仰せになりましたように、建設大臣のほうが私よりお詳しい。事業は大体春に始まると、十月の末には雪が降つて仕事がそれ以後は困難であると思うのであります。そこでいわば現在は、これから事業の最盛期に入るのでありますが、この最盛期に入る際に、行政機構の改革が行われて、そのために一月或いは一月半でも機構改革上のごたごたが起るということは、本年の事業については致命的な打撃を與えるじやないか、このことを私は恐れるのであります。そこで現に北海道でお作りになつた北海道開発行政機構についての印刷物を、私ども緑風会の者も政務調査会で頂いたのでありますが、目下北海道においては事業執行の最盛期であり、年度半ばにおいてかかる行政機構の改変を行うということは、広汎なる人事異動、所掌事務の変転或いは物品、機構、器具の配置転換を要する等のため、事業の円滑なる執行を停屯せしめ、経費導入の効果を著しく減退せしめることになるので、時期的に愼重に考慮を払われたいという、こういうような意見も出ておるようであります。極めて常識的に考え、又従来の経緯に徴しましても、そういうことは当然に考え得られるわけでありますが、何故この事業最盛期の今日こういうようなことをやらなければならないのか、今年の事業最盛期が過ぎたあとで、やるにしてもやつてはどうか、こういうような疑問が一応起るのでありますが、それについての御意見を伺いたい。
  38. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 楠見さんはよく御存じのごとく、現に北海道における国の直轄事業は、土木部長以下国の地方技官数千名が行つておる次第であります。そこで今度の機構改革においてどうなるかと申しますと、先ず看板が変るだけでありまして、実際の事業は現在の地方技官、事務官等がやつておる次第であります。ただ責任を明瞭ならしめて各種の欠陷を取除く、そうして北海道飛躍的向上を図りたい、こういう趣旨にほかならないのでありまして、例えば道路の改修事業等も、設計計画等で遅れておる場合は別であります。或いは幾春別ダム等を本年度は建設する次第であります。本年度は第一年度でございまするが、第一年度の事業着手は、この機構改革があつても、なくても設計図その他の関係で第一の鍬を打ち下すというようなことは、七月以後にどうしてもならざるを得ません。要するにこの機構改革は、北海道のほうでどういうふうな文書があるか私は存じませんけれども、一応それを拜見しましたが、理由のない、單に反対のための反対の文句を羅列したに過ぎない、こういうような確信に我々は立つておる次第であります。ただ併しながら七月一日に発足する、形の上で発足するわけでございます。北海道の場合は御意見に従いまして、できるだけ能率的に迅速に機構改革を終えまして、事業を遅滞なく従来通り、すでに事業は同じ人が同じ場所において行なつておるわけでありますが、その事業のスピード、速度を高めたい、そうして御期待に副いたい、こう考えておる次第であります。
  39. 楠見義男

    ○楠見義男君 建設大臣の御答弁を伺いますと、北海道において現在事業の途中において、こういうような分離を行うについて、いろいろのロスを生じるということは全く考えられないと、こういうようにお考えになつておるということを了承いたします。特にこの問題に関連いたすのでありますが、事業がこうやつて分離されるところに、即ち新たに出先機関設置せられることによつて、差当り全体としての経費が増加する、例えばこれも北海道の資料でありますから、正確かどうかわかりませんが、国費関係において約二十億、道費関係約十億、合計三十億が経費としては増加する、こういうようなことを言つておるのでありますが、このことも又御答弁になつたように、全く根拠のない架空の数字であると了承していいかどうか、この点について伺いたいと思います。
  40. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私はその文書には十五億ばかり殖えると、こう書いておると思つておりましたが、今の楠見さんに伺いますと、今度三十億であるというようなお話でございまするが、私が先ほどから申上げておる通り北海道において諸般の事務を行いましても、その八割は国費であります。二割が府県費と同様の北海道費である、私ども荒つぽく極く常識的に申上げますと、さようになつております。それで例えば道の事業でやつておりましても、その道の事業に国費が補助費として多額に行く、そこで自治事務でも国の補助がうんと行くのであります。今申したことはどうしても理論的にはそういうことはあり得ません。従来事業も截然と区別されて行われておりますし、又担当する人間も、一方には総理府の役人が国の事務をやつておるのだ、一方は自治団体である府県と並ぶところの北海道の吏員がやつておる、それぞれ区域が違うのである。今度我々が現地機関を設けてやるとするにしでも、国の事業である小樽港の建設というような仕事をするだけであつて、小樽港の建設には北海道は何をしておるかということは聞いておりません。自治団体である北海道が、或いは国道の、例えば旭川、札幌間の建設をする、あすこに石狩大橋の橋をかけます。この橋をかけますのに、これは一億五千万もかかりますが、この一億五千万の橋をかける役人は総理府の役人であります。又一億五千万円以上の北海道の道税から来る金が一文もあるということを聞いておりません。恐らく一文もございません。そういうものを開発局を作つてやらせるということは、どういうわけでそういう説が出て来るのか、理論的には一文も殖えない、それから然らば実際的にはどうか、実際的にはこういうふうになつております。北海道庁という建物は、これは国費の建物である。或いは北海道の土木現業所のような建物も、これは国費の建物であります。ところが例えば長野県、長野県に例をとりますと、長野県庁という建物は長野県という自治団体の建物です。国の営造物でも何でもない。長野県の県税を以て造られた建物である。それから長野県に土木出張所というものが郡單位にありますが、この土木出張所の建物は長野県税で造つた長野県という自治団体の建物である。ところが北海道の現在の例えば帶広現業所というような建物は国の建物であります。そういう点を内地の皆さんに是非とも御了解を願いたいという点でございまして、ただここに北海道の自治事務としての土木事務もありますが、その自治事務を担当する者は、国の営造物である現業所の一部を借りてそうして北海道の吏員が借りて住んでおりまして、つまり事務所として使つて、そうして北海道の土木事務を行う。自治事務も極めて小さい規模の事務でありますが、自治事務を行なつております。そこで開発局ができれば、開発局の土木現業所ということに帶広がなるわけでありますが、これは初めから国の建物なんですから、その財産目録から申しましても、大蔵省の所管の建物でありまして、ちつとも混淆を来たしませんが、ただ北海道の吏員が極めて小範囲の北海道自治事務たる土木事業をやつておる。これも若し出て行けと言われますと、非常に困ると思います。そこで出て行かないようにする。契約なりその他の手続をとりまして、無償でその国の営造物であるところの土木現業所の建物に、一緒なり或いは同じ構内に住んで、そうして経費を殖やさないようにしよう、こういうふうに考えております。あの道庁の赤煉瓦は国の営造物で、府県庁とまるきり違うのでありまして、あの道庁の赤煉瓦から始まりまして根室の末端の土木現業所に至るまで、そういう措置をいたしたい、こう考えております。それから十五億或いは三十億、元来私が申します通り北海道の自治事務たる公共事業が総額それくらいしかないのですから、恐らく事務負担に属するものは十数億しかない。それが一体どういうわけで……、行政機構の改革と言いましても、要するに知事の指揮監督の点を、我々も実際は或る程度指揮監督しておりますが、我々の全責任において今度は指揮監督するだけになるだけであります、この法律改正されてどうなるか、これは普通の常識として社会現象として変ることは何もないのです。ただここの所の襟章が、同じ赤い所でも字が変つて来た、これだけですから、一体十五億、三十億、どこを押せばそういう数字が出るのかまるきり理解できない。要するに北海道の土木行政、自治団体の自治事業としての土木事業の、公共事業の費用がそれくらいなものですから、それですから、どこを押せばそういう殖え方をするのか、とにかく我々は理論的に申しまして一文も殖えない。それからなお営造物等は我々が無償でお貸しすることに必ずいたすつもりであります。
  41. 楠見義男

    ○楠見義男君 先ほども申上げたように、建設大臣の御答弁に関連しての細部に亘つた質疑は後ほど又別の機会にいたしたいと思いますので留保して総括的なことを私はこの際お伺いいたしたいと思いますが、私は本案の審議の上に関連いたしまして、参考資料のような意味委員長を通じてお願いして置きたい点があるのであります。それは数年前に北海道の林政統一が行われたのでありますが、その林政統一の前後における仕事状況或いは経理の状況等が本案の審議の上にも一つの参考資料になるのじやないかと思いますので、若しそういう資料がありましたら出して頂きたい。それからもう一つは、具体的な仕事の分け方についてこうやつて問題になつておるわけでありますが、その具体的な仕事の基礎である北海道総合開発計画というものがあるわけでありますから、その総合開発計画一つ資料として御提出して頂きたい、この二つをお願いいたして置きます。
  42. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際委員諸君に申上げますが、只今楠見委員から資料の提出の御要求がありましたが、他の委員諸君におかれましても、同様の御要求があると考えますが、どうぞ後ほどでよろしうございますから、お申出を願います。委員長はそれによつて政府に対して要求をしようと思います。
  43. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 只今の楠見委員委員長に対する御要求のうち、私にちよつと弁明さして頂きたいと思います。
  44. 河井彌八

    委員長河井彌八君) どうぞ。
  45. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) それは第二の北海道総合開発計画はすでにできておるはずであるから、これを提出せよという御要望は御尤もでございますが、北海道開発庁の使命は、北海道総合開発計画を樹立策定するにある。そこで今折角一生懸命実は勉強中であります。これは私のことを言つて恐縮でございますが、昔北海道庁長官を終戦直後いたしましたときに、北海道総合開発計画を作る必要があるといたしまして、今日の価幣価値で申しますと、約六千万円ほどの調査費の議決を道会に願いまして、北海道大学の全教授陣を初めといたしまして内地及び北海道の学識経験者を網羅して、北海道総合開発審議会を作りまして一年有余に亘つて勉強してもらつたものがございます。それを基礎として、それから先般、恐らくこれが基礎になつたものと思いますが、知事北海道開発法の規定に従つて意見書を提出することを得る、その意見書としての北海道の総合開発五カ年計画というのがございます。これは我々の見地から見ますと、まだ推敲を要する点が多々あるのでございまして、数字等はまあ陳情書を総合したような形の感なきにしもあらずというところがございまして、要するに北海道総合開発計画を樹立すると共に、開発庁の使命である総合開発計画を作つて、それぞれの部分心々をそれぞれの職域に従いまして農林省なり、建設省なり、運輸省なり、その他各省或いは自治団体であるところの道庁の知事から、職域に従つて全総合計画に調和ある関係においてそれぞれに実行して頂きまして、総合開発を期そう、こういうわけでございます。
  46. 楠見義男

    ○楠見義男君 建設大臣に申上げますが、私の申上げたのは、この北海道開発法の第二條に「国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄與するため、北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業を昭和二十六年度から」云々こうあるので、その事業の運営の仕方について、この改正案が出ておるわけなのです。そこでその元になる第二條に書いてある北海道総合開発計画というものがあるはずだから、その総合開発計画を見せて頂きたい、こういう趣旨なので、その総合開発計画もないというのならば、又これは別なのです。
  47. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 計画書と言つたような一つの印刷物に取りまとめたものはございませんが、大体の計画はございますから、御提出いたします。
  48. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 議事進行についていろいろ質疑もございましようが、今日はこの程度質疑を一応やめておかれまして、なお今後の議事進行について懇談でもしたらどんなものでしようか。
  49. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと速記をとめて……。    〔速記中止〕、
  50. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を好めて……。
  51. 楠瀬常猪

    ○楠瀬常猪君 先ほどの私の発言は取消します。
  52. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 時間がございましたら、質問させて頂きたいと思います。直接北海道開発の問題でないのですけれども、国土総合開発、この問題とやはり機構の問題が関連があると思いますが、今の国土総合開発のほうではどういう計画でお進めになつておるのでありますか。それがいよいよ正式に着手されるということになれば、やはり今度の北海道の組織のようにしておやりになる御意向でありますか、又違つた方法でおやりになりますか、今のところ案が一応ありますならば、承わつて置きたいと思います。
  53. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 本当はこれは竹下さんの御質問は安本長官がお答えしたほうが適当だと思いますが、併し国土総合開発計画の中の地方計画を取りまとめるのは建設大臣でございまするから、そういう立場からお答え申上げます。竹下さん御存じのごとく、国土総合開発法を作るときの御説明等には、官房長官であつた私が当つた次第でございまして、当時皆様から、この委員会において御審議を受けた次第でございまするが、あの開発法には日本全体の総合開発計画を作るために国土総合開発審議会が中央に設けられております。その事務局として安本が当られておるのです。それから府県のそれぞれの地方の総合開発計画を立てるために、それぞれの地方に、府県には府県の総合開発審議会というものが設けられるわけであります。それから特定の地域というようなものが指定された場合は、その特定地域の総合開発計画するために特定地域総合開発審議会が設けられます。それから府県彩的の大きな特定地域と申しますか、例えば利根川といつたような、こういう大きな区域のときには利根川水域総合開発審議会というようなものを設け得るのであります。現在は何か関東信越総合開発審議会とかいうようなものが設けられておるそうでありますが、それほど茫漠たる地域でなしに、むしろ水域々々を中心とするものであるならば、府県知的なものとしては利根水域総合開発審議会というものが作られることを、当初提案者である我々は予定いたしておりましたし、又法律自身もそういうことを予想しておりました。そこで総合開発審議会が地方の総合開発計画を立てて、それが建設省を通じて国土総合開発審議会に送られます。そこで安本を事務当局として国土総合開発審議会において、全日本全体の総合開発計画を樹立いたすわけであります。そこでこれはまだ時間がかかるわけでありまして、今折角各地方とも総合開発計画を立てる前提としての調査をいたしておりますそこでこれがだんだんでき上つたといたします。でき上つた場合に仮に利根の水域につきましては、特定の何かTVAでも作つたほうがよろしいというような結論でも出て来ますれば、そのときの実は相談に、先だつての利根開発法というものは願いたいと思つてつたのでありまして、初めのこの母法のほうでそれぞれ予想したり、法律自身が期待しておる点がまだ時間もかかるし、手続も踏まれない先に利根開発庁といつたようなものができ上つて政府としはてまだ困りますという意思表示をいたした次第でございます。尤も本院においてはすでに通過になりましたが……。そこで北海道の今度設けようとする開発局は、いわゆるTVAでも何でもないのです。将来はTVAになるかどうか存じませんが、内地にあるところのそれぞれの地方にある地方建設局と農地局と港湾建設事務所とを一緒にしたものであります。それで将来はもつとほかのことをやれということが法律で皆さんから命令を受ければいいのですが、現在の法律はそこまでは予想しておりません。要するに北海道開発法を作つて、一年間勉強して見まして、従来から我々が考えておつたところについて、いよいよ確信を深めまして一部改正を行おう、これだけなのであります。それから北海道開発計画というものは、やはり全日本の総合開発計画の一環になるわけでありまして、日本全体の国土総合開発法の又一部としての北海道開発法である。日本の重要構成部分なんですから、全然国土総合開発計画と関連のないものではございません。これについてただ特別北海道は重要な意義があるというわけで、特別法が設けられておりまするが、我々の理解するところでは、先ず国土総合開発法の特殊法である、こういうふうにまあ考えております。
  54. 梅津錦一

    梅津錦一君 ちよつと中座したので……。楠瀬委員から何か動議が出たと思うのですが、動議の扱い方はどうなりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
  55. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 梅津君にお答えいたします。楠瀬君は動議を出しかかつたのでありますが、取消されました。
  56. 梅津錦一

    梅津錦一君 重要な法案であるので、私も只今これを法案審議に入るということで、提案理由説明を今お聞かせ願つたわけです。法案内容については、簡單と言えば簡單でございますが、その裏に含まれておるいろいろのことがあるので、楠さんから資料の提出要求がありましたが、そういうようなことで誠に申訳ないのですが、まだ勉強が足りないので、政府側に対して質疑をするということに対して非常に材料が乏しいのです。それで本日はこの程度で、この法案審議方法を別に打合せ願いたいと思うのですが、かような動議提出いたします。
  57. カニエ邦彦

    カニエ邦彦君 只今の梅津君の動議賛成するのでありますが、動議賛成のほかに、私はこの法案がかなり重要で彫り、而も日数がないと思うので、さしずめそれを早く手続をして置かねばならないものですね、これについては大体予想されるものは、今日にでも一つまとめて頂きたいと思うのです。そうしなければ、又これが三日、三日たつてあれもやりたい、これもやりたい、或いはこういう資料もというようなことが出て来たのでは、十二分な審議に支障を来たすと思うので、特にこの問題について私はこれだけ重要な法案でありますから、公聽会等も実はして頂きたいと思うのです。ところが公聽会は時間的に間に合うか、間に合わないかというような点も検討されねばならないと思いますし、若し公聽会がこの審議の間にできないというようなことでありますれば、適当にやはり現地のほうからも、或いは学識経験者も、その他一般からも公聽会意味に代るべき証人として喚問するとかというような手続を、やはり事前に早くとつて頂きたいと、こう思うので、その他につきましても、委員諸君からいろいろお考えがあろうかと思いますから、それを先ずまとめて置いて頂いたほうが早く行えるのじやないか、こう思いますので、よろしく願いたいと思います。
  58. 楠見義男

    ○楠見義男君 今のカニエ委員の御提案のようなことがあつたのですが、一時ちよつと懇談をしたらどうですか。
  59. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記をとめて……。    〔速記中止〕
  60. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 速記を始めて……。それでは一時休憩いたします。    午後三時三十四分休憩    ——————————    午後三時五十八分開会
  61. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではこれより再開いたします。地方行政委員会農林委員会水産委員会及び建設委員会北海道開発法の一部を改正する法律案につき連合委員会開会いたすこととしまして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            溝淵 春次君            梅津 錦一君    委員            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            カニエ邦彦君            上條 愛一君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   降君   国務大臣    建 設 大 臣 増田甲子七君   政府委員    北海道開発庁次    長       岡田 包義君   事務局側    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君