○楠見
義男君 この法案についてはいろいろ賛否があると思うのですが、私はあらゆる場合を想定して、頭を
整理するために、仮に反対者の立場に立
つて質疑を提案者にしたいと思うのですが、
賛成論については先ほどから木下
委員長、或いは千田水産
委員会の理事から御説明があ
つたことなんですが、反対論として言われていることの中で、
一つの問題は丁度今千田さんから
お話があ
つた食糧問題の重要性に関する問題なんですが、この場合に一方では
政府は行政機構の改革をや
つておる。そこで例えば天然資源省というような構想もあれば、或いは又建設省と農林省の林野庁を一緒にした国土省のような構想もあり、同時に食糧の重要性から鑑みて、私は必ずしも個人的にこの案には
賛成ではありませんが、戦争中に論議されたように水産と農業だけのいゆわる食糧省というものを作
つたらどうか、こういうような意見もあるわけなんですが、そこでそういうような一般にはいろいろの意見があ
つて、そういう機構の改正、勿論講和会議前における取急いだ問題もありまするけれ
ども、根本的にそういう問題を現に
考えておる際であるからして、暫らくそれまで待てんか、こういうような意見が一方にあるのですが、その点についての御意見を
一つと、それからもう
一つは、これはただ形式だけの問題なんですが、先ほどから
お話がありましたように、水
産業の重要性については、これは何人も否定する人はいない、併しその
産業が重要であるからという理由のみを以て、一々その
産業の省を作
つてお
つたのでは、例えば林業は
日本の国土の半分に近い重要な
産業であ
つて、森林省を作
つたらいいじやないか、こういうふうに
産業自体が重要であるというだけで以て
一つの省を作るということについての理由は、なお不十分じやないかという意見、それからもう
一つは国際
産業であるから特に講和を控えて、いろいろの漁業協約なり協定というものをやる場合に、省が必要である。こういう意見に対してこれは一面から見れば
日本が水産について
一つの省を設けて、而も強力な行政の下に取締をするのだ、こういう意味から行けば、外国は或いは安心するかも知れんが、又逆の観点からすれば、
日本の水産が非常に勢威を逞しうすることについて危惧の念を持
つておる国も太平洋沿岸においては無きにしもあらず、特にアメリカの話も先ほどありましたが、太平洋岸におけるアメリカの漁
業者というものは、相当その点について心配しておる向きもあるように思うので、その観点からすれば、これは水産省を作ることによ
つて外国が安心するのか、或いは心配するのか、これは見ようによ
つて水掛論のような、見解の相違のようなことにも私はなるように思う。又条約の点については水産庁になる前の農林省の水産局である、
一つの局であ
つた場合においてすら、極めてむずかしい日ソ漁業条約とか、その他の諸国との漁業協定も結ばれた。本来これは外交上の問題にも関連したことで、外務省の条約局と、それから生産官庁である農林省とのいわば協力部である。更に言葉を換えて言えば国全体の問題であるから国際
産業、特に条約との観点から見て省にしなければならんという点は、必ずしも決定的な重要な意味を持つものではない。こういうような意見があるわけなんです。そういうような、今の食糧省の構想に関連してそれまで待てないか、こういう問題が第一点。二点としてはその水産省にすることによ
つての外国が安心するか心配するかという点の
関係及び
只今の国際
産業として条約その他の
関係から見てどうしても水産省が必要であるかどうかという、これらの点について明らかにして置くために提案者の御意見を伺いたいと思います。