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国務大臣(山崎猛君) 誠にお尋ねのような不足議な形であると思います。造船事業の合理化というのは、丁度昨年の秋でありましたが、国際海運
行政等の
関係から考えまして日本の現在ある船を
整理しなければならないような、御協賛を得ました戰標船の買上というようなことが船そのものを
整理しなければならないときに、造船業の方の製造能力設備が拡がり過ぎておる、造船事業がいわば赤字経営に追込まれる状態にあるような場合において業界の強い希望もあり、運輸省といたしましても当然と見て海運界の堅実なる引締
つた在り方をつくり出すために、船舶と同時に造船事業の合理化ということが官民の間に強く要求されたわけです。その当時にできたのはこの造船合理化
審議会であります。ところが御
承知のように昨年朝鮮事変が起
つて以来の傾向を辿りますというと、殊に年末に差迫
つて来て今度は逆に船腹の増強の必要が起
つて参りました。即ち東洋における原料、材料の供給を受けべき支那大陸、或いは支那海の交通が封じられるというような形から今度は太平洋を越えて長距離の船によ
つて南米、或いは北米かからこういうものを運ばなければならないような情勢にな
つて来て、海運界の情勢も僅か二、三カ月の間に国際情勢から手のひらを返すがごとく急変することになりましたので、
政府といたしましては年末が押詰
つて或いは正月劈頭から、日本の外航に適する船舶を増強してそれぞれの時勢の変化に応ずるというような必要を痛感して、
従つて第六次第七次等の造船を急いで参
つた次第であります。僅かの間にそういうふうに変
つたのでありますが、勿論造船業の前途は、今日から講和
会議の
関係或いは
関係列国等のそれぞれの意向等もありまして簡單に楽観することも又悲観するともできない状態でありますが、いずれにいたしましても日本の造船業を戰後の乱雑に出来上
つた状態のままで置くということはできませんのでそれで将来に応ずるためにも、
技術的にも機械的にも
整備したものにして行かなければならない、必ずしも量の問題でなくて質の点からも
整備したものでなければならないというような、国際環境に応じて必要度が却
つて増したような形になりましたので、
審議会を
廃止して行くという態勢の下に造船業の合理化の
審議会だけはこの要請に応じて存続したいというような建前で参
つたわけであります。併し造船には鉄も伴うものであり、その他労働条件等も
技術の面から必要でありますので、造船業合理化は必ずそれらの問題を広汎に包含して着々その使命を果したいこういう形でございます。
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