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1951-06-01 第10回国会 参議院 内閣・人事・地方行政・大蔵・農林・水産・運輸・建設・経済安定・予算連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月一日(金曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○北海道開発法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより昨日に引続いて連合委員会を開会いたします。通告順によりまして御発言を求めます。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 私は主として農林関係立場から御質問したいのでありまして、それには勿論建設省大臣は申すまでもございませんが、農林大臣なり農林省農地局長出席をお願いしておりましたが、農林大臣農地局長出席がないようでございまして、誰か代りの農林省のおかたが見えておるようでございますが、そういうおかた満足の行く答弁がして頂ければよろしいが、それがないということになりますと、あとで若干保留するところがあるということをあらかじめ委員長にお願いいたします。
  4. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 江田君に申上げます。農林大臣は今閣議に出席中だそうであります。ほどなくみえるそうでありますから、そのつもりで御質疑をお進め願います。……只今農林大臣が見えました。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 そこで先ずその前に開発庁長官にお尋ねいたしますが、この開発法というものは、増田さんが建設大臣としてのときに提案されたのだと思いますが、これは申すまでもなく第二条に開発計画を樹立いたしまして、これに基く事業昭和二十六年度からやるというようになつておりまして、その初年度昭和二十六年度事業にこれから取りかかろうというときに、もうすでに大きな変革をしなければならんというのは、どうもどこに提案をされた信念があるのか、我々としましては納得しがたいものがあるわけでありまして、若し初年度事業をやるときにもう変えなければならんということなら、去年提案されるときにそのくらいの予想はついておつたのではないかと思うのでありまして、その点は、一体建設大臣はどういう御信念でやつておられたかということを先ず第一にお伺いしたいのであります。
  6. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 江田さんにお答え申上げます。実はこのことは、合同審査会において皆様にたびたび申上げたところでございます。私どもはこの法律に基いて二十六年度からということが書いてあることは御説の通りでございます。そこで本年度北海道総合開発計画決定版はございませんけれども、大綱的なものができまして、それに基いて北海道開発事業実施いたしておる次第でございます。今年度から初めて実施するに過ぎないのにかかわらず、直ちに行政機構等整備、拡充せんとする理由如何、こういう御質問にお答え申上げます。御承知のごとく北海道拓殖計画明治二年以来ずつと続いておるのでありまして、第一次、第二次、第三次、或いは十カ年計画、或いは二十カ年計画のもとにやつておる次第でありまして、今日も拓殖という字は使いませんが、我々は総合開発という字を使いましたが、ずつといわゆる拓殖開発計画は行なつておるのであります。終戦直後から北海道開発行政機構と申しますか、拓殖行政機構整備、充実せよという声は道内外において、識者の間において熾烈に展開されておつた次第でありまして、私はもうその当時から北海道総合開発機構整備充実は必要である、こう考えておつた次第であります。もとより総合開発計画樹立策定がその前提として必要でありまして、昭和二十一年以来引続いて努力をいたしております。それから二十四年度、今から三年前にできました内閣総合開発審議会におきましても、北海道総合開発行政機構整備充実せよ、而も速かにやれ、こういう答申があつたのでありまして、この答申に基いて去年は開発庁を、今年は現地開発局を置く、かくのごとく北海道拓殖開発計画は、終戦後は特に重要性を加えて参りましたから、着々と行政機構の改革を行わんとするものでございます。繰返して申上げますが、明治二年以来拓殖計画なり、開発計画というものは毎年度計画則つて行なつておるのでございまして、この開発庁の設定する改良計画は二十六年度からでございまするが、従来から拓殖計画がありまして、その開発計画則つて毎年毎年やつてつたということをどうぞ会議録第二号御了承願えれば幸いでございます。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 総合開発というようなものは、これは申すまでもなく相当長い見通しを以つてつて行かなければならんのでありますし、又単に計画を立てるということでなしに、総合開発が実際に実を結ぶかどうかということは計画から事業実施に至るまで本当に一貫したものがないと、ややもするというと、総合開発というものがペーパー・プランに終るということはもう私が申すまでもないことでありまして、それが苟くも総合開発というようなことを取り上げられるのに、たつた一年くらいで方針が変らなければならんというようなことでは、我々は非常に心細いものを感ずるわけであります。なお明治初年度以来の拓殖計画があつたといわれましたところで、この明治初年度から始つておる拓殖計画というものの根本精神と、この国土開発伝ができ、北海道開発法ができた、そり後における総合開発というものと、私は相当もの考え方、基本的な立場こいうものが変つておるんじやないかと思うのであります。それを昔から一つの線で続いておるのだというようなことでは、本当に新らしい意味の開発はできないように思うのでありました、どうも今の大臣説明では納得でさないのでありますが、重ねてその点について御返事を承わりたいのと、それから申すまでもなくこの総合開発というものは、文字の通り総合開発でありまして、やはり一つ中心がございませんと、うまく行かんと思うのでありますが、ややもすると、こういうことが放つて置くとセクシヨナリズムになると思う。これはセクシヨナリズムにしないようにするというのが総合開発の一番大きな問題だと思うのでありますが、その点について、昨日、一昨日の大臣答弁を聞いておりますというと、この開発局を作るのは、本来内地流にいうと建設なり、港湾なり、農地なりのそれぞれの中央政府出先機関ができなければならんのを、それを開発局にするというのは、まあ機構を簡素化するためだというような御説明かありましたが、そういうような立場でこれを開発局というものでやつておられるのですか。それとも総合的な計画を進めて行くのにはどうしても中心になる一つ機関がなければならん。そういうことから考えておられるのかその点がどうもちよつとはつきりしないのでありますが、それも合せてお答えを願いたいと思うのであります。
  8. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答え申上げます。江田さんの御質問のうち、拓殖計画明治以来からずつとやつておるが、その内容なり或いは程度というものは、今日と八十年前とは比較すべくもない、これはお説の通りでございます。拓殖計画ということで最初は二十カ年計画、更に二十カ年計画とだんだんやつて来ておりますが、同じ二十カ年計画を立てましても、毎年々々検討はいたしておりまして、そのときの国家的情勢客観的情勢に即応するごとく、修正は加えております。殊に終戦後の総合開発計画というものは、性質或いは量、質量共に格段の相違があることはお説の通りでございます。それから今回突如として開発局を設定せんとするものではございません。実は先ほども申上げました通り、一昨年なりに設置されました北海道総合開発審議会答申は、速やかに開発機構整備充実をせよということでございまして、而もその答申法律の上に移そうとしたときに、現に去年も大分問題があつたのであります。去年は併しながら微力にして、開発局を設置するというところまでは行かなかつたのは、私の不徳のいたすところでございますが、開発審議会におきましては、飽くまで開発機構整備充実せよ、こういう要求は継続されているということを、どうぞ御了承願いたい次第でございます。  更に開発局は、総合的にやるかどうか。去年の皆様の議決にかかる開発法には、総合開発計画開発庁で作る必要がある、我々は計画総合開発計画として、一つ役所がこれをとりまとめて樹立策定する必要があると思つております。例えば鉄道につきましても、電信、郵便行政につきましても、これを引括め北海道総合間発計画を作る必要があると、こう感じておる次第でございます。そういうことを使命として、去年北海道開発庁が総理府の外局として設置された次第でございます。そこで併しながら、総合開発計画は立派な調和のとれたものを作る必要があるけれども、これを実施する官庁が、一つ官庁で一元的にやらんならんということは私ども考えておりません。成るほど一人でまとめて都合のいい部門もございましようが、又非常に非能率という部門もございます。そこで総合開発計画は成るほど立派なものを作る必要はあるけれども、その一部分部分をそれぞれの官庁なり、或いは地方庁が全体の調和をとれるような按排で、職域従つて北海道において実施に移すことが必要である。鉄道関係国有鉄道において、郵便関係は郵政省において、或いは農林関係農林省において、或いは地方自治行政関係開発事業であるならば、地方庁であるところの北海道庁においてそれぞれ実施に移せばよろしい、こういうふうに考えております。そこで今日提出した開発局の問題でございまするが、内地のごとくするならば地方建設局地方農地局港湾局出張所等ができるはずのものでございますが、この三つのものが北海道にそれぞれ分立してよろしいかどうか、これは私はよくないという結論閣僚諸公と共に到達いたした次第でございます。というのは現在でも同じ役所の中で、これはもとより江田さんよく御存じのごとく、相互に連絡をとつてよろしくやつておりますから、調和のとれる仲のいい状態でこの三つ部門仕事一緒になつて、そうして開発局として港湾なり、建設なり、土地の改良なり、国道なり建設することが最もよろしい。ただしこの開発局といえども北海道総合開発計画全部を受持つわけではございません。全部を受けもつわけではないことは、例えば鉄道運輸省がやることだけでも御了承願えると思う次第であります。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 そこでまあ建設なり、港湾なり、農地なりの出先一つ開発局一緒にして一体の姿で行こうということでありますが、大体この北海道開発というものは、農林政策立場から考えますというと、森林というものが非常に大きなウエイトを持つているのでありまして、例えばこの農業関係開拓の問題にいたしましても、開拓の適地を選定するということになると、すぐに国有林なり、或いは民有林なりの森林の問題と競合して行かなければならん問題が出て来るわけです。そういう立場だけでなしに、現在の日本の木材の需要供給関係からいたしましても非常に窮迫して参つて、そのために今回も森林法なり、或いは国有林野法なりの根本的な改正か行なわれまして、どういたしましてもこの総合開発という面では森林というものが大きく浮び上つて来なければならん。特に北海道においてはその点は内地よりももつと重要だと思うんです。そういうときに一体この開発局を作られるのに若し内地と同じように建設なり、港湾なり、農地なりの出先機関開発局一本にするというのであれば森林のほうの営林署というものを、営林局というものもこれもやはり一本にせられたほうがいいのじやないかと思うのでありますが、その点が一本にならんということは、一体開拓計画北海道総合開発について森林というものをどういうように見ておられるのか。その点は承わりたいのでありまして、これは或いは農林大臣のほうからそういう森林だけは入れてくれるなというような御注文でもつけられたか。これは一つ大臣の御見解を承わりたいのであります。何故森林というものを別に扱つておるのかということです。
  10. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えいたします。北海道林政は、国有林政とそれから道有林、それから民間の所有林たる林政とがございまして、従来はこれらのものは一括して林務部長という国の官吏が北海道庁長官という国の機関の下でやつてつたのであります。而して帝室林野管理局がございまして、帝室林野に関する部分はこれが行政をやつておりました。この帝室林野管理国有に移されますと同時に、北海道長官のやつておりました仕事公選知事に任さずに、国有林行政する役所として営林局四つ設けられたことは江田さん御存じ通りであります。そこで今回折角開発局現地に作ろうとするならば、四つ営林局一緒に加えてやつたらいいじやないか、非常に林政関係が深いから……、こういう御説でございますが、私はすぐにはそういう結論には到達いたしておりません。只今研究中でございます。もとより林政開拓とが非常に関係が深い、又林政建設とが治山治水という関係で、関係が深いことは御指摘の通りでございますが、現在のところは、この開発局でよろしいと、こういうふうに考えておる次第でございます。繰返して申上げまするが、総合開発計画は、林政につきましても、開拓につきましても、治山治水につきましても、相互密接関係がございまして、調和ある関係において総合開発計画を作りたい。但しこれを実施する役所は必ずしも一元的にやらなくてもよろしい。全体の総合開発計画調和のとれる上において、矛盾撞着を来さない限度においてそれぞれの職域役所が、総合開発計画の一端を能率的に実施に移すことによつて北海道総合開発計画能率は大いに上ると、こういうふうに考えておる次第でございます。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 農林大臣ちよつと寝ておられるからもう一偏……。(笑声)大体今まででも建設関係とそれから林野関係開拓と植林なり造林なり伐採の関係、こういうものはいつでもトラブルが起きたわけでありまして、今は大臣はそういうことを調和をとれるようにやつて行けばいいのだと言われましたけれども、現実にはいつでもそういう問題が、トラブルが起きて、而も林野行政というものが農林省の中でも別格のようなことになつて林野庁というものに閉じこもつておる。同じ農林省でありながらいわゆる森林の緑化というような立場と、山林を、森林を開放して農地にするというような立場とは、どうも意見の違つた面がたくさんあつたわけであります。まして建設関係から考えて見ましたところで、例えば建設関係で大きな治水ダムなり利水ダムを作るとき、その上流の山をどうするかということは一向建設のほうでは手がつかないで上流の山は荒れておる。こういうようなことが非常な難点だということはもう増田さんが十分御承知通りなんであります。そこで私は今後この総合開発をやるのにはどうしても山というものをこれの中に入れ込んで行かなければ、どうしても理想的な総合開発というものはできないと思うのでありまして、それをこの内地ならば建設港湾農地と、三つの事務所があるやつを、北海道限つて開発局というものに一元的に統一するのだというならば、それならば思い切つて営林局というものもその中に入れて行かなければ本当の仕事はできんのじやないかと思うのであります。そういう点どうも依然として建設省農林省とのセクシヨナーリズムというものがまだここに続いて出て来ているのじやないかというような気がするのであります。それからもう一つは、そういう点について廣川大臣にもお答え願いたいのでありますが、なおもう一つ廣川大臣にお尋ねしたいのは、大臣が、ちよつと名前は忘れましたが、行政機構の整理するのをやつておられますが、あの立場から行きますと、北海道のほうで、建設港湾農地というようなものを一つ機構に持つて行くということになるなら、これは内地でも将来やつぱりそういうようなものを一つの方向へ持つて行こうというお考え前提なのかどうかということなのであります。そういう点を一つ大臣からお答え願いたいと思います。
  12. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御説は一応御尤でございますが、営林局を分けて見ますと、営林局行政対象が、これは農林大臣のほうが詳しいのでありますが、青森或いは秋田の営林局行政対象よりも、旭川一つ営林局行政対象のほうが遥かに大きい。材積にいたしましても、日本全体の材積六十億石と言われておりますが、そのうち十八億石、十九億石が北海道にあるというくらいでございまして、一営林局行政対象としては北海道全部を所管することは荷物が勝ちすぎるというので四つもできておるのであります。この四つのものを一つにして、この一つを又加えでこちらにできればなお私は歓迎するところでありますが、併しながら何でも事業を一元的にやらなければ能率が上らないというふうには考えておりません。総合開発計画農林省からも参画いたしまして、又各省大臣と相談をいたしまして、北海道開発庁長官において林政をも含めた総合開発計画を作るわけでありまして、これをそれぞれの役所において実施するならば、その実施方を又開発庁長官としては御推進を願つて行く、こういう仕掛けで、御説はある程度御満足が行くのではないか、かように考えておる次第であります。
  13. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 北海道総合開発について林野庁関係出先機関についてのお話でありますが、これは只今増田君が言われたように非常に広い面積でありますので、我々のほうは四つに分れておりますが、而もこれは林野庁において統一されてやつておるのでありまして、今回出しておる北海道開発法の一部を改正する法律案の中に入れたほうがいいのじやないかという話でありますが、私は将来そういうふうになるのではないかとこう考えておるようなわけであります。それから行政管理庁長官としての考えはどうかという話でありますが、前々から問題になつておるこの内地府県統合の問題、こういつたような問題も将来我々としては十分検討しなければならん問題でありますが、併しこれも将来の問題でありますので、現在目の前に迫つておる問題でありませんが、かようなことがやはり北海道総合開発が一元的に行くということが一つの将来の目標になるのではないかと考えておるような次第であります。
  14. 江田三郎

    江田三郎君 どうも北海道というものは広いのだから、一つ営林局ではいかぬのだから、四つ営林局一つにするだけでも大変なことなのだというお話がありましたが、そういうことは私は答弁にならぬと思うのでありまして、それなら建設局においても同じことなのでありまして、昨日も増田大臣が言われましたように、どこやらの建設局と、どこやらの建設局とを加えて又何とかを加えて大きくするというようなお話がありましたが、ほかのことも同じわけでありますから、ちよつと只今答弁は的を外した答弁だと思うのでありまして、もう少し私が質問をした点について御答弁を願いたいと思うのであります。  それからどうもそういうことになつて来るのは、私はちよつとひがみかもわかりませんけれども、やはり今日のような機構になつて来ると、建設省というものが非常に強くなつて来るというふうな気がするのでありまして、従来の北海道の道庁の内部というものは、土木部開拓部がやつておられたが、その土木部というものが建設部港湾部営繕部ですか、この三つの部が置かれる。そうして開拓部のほうが農林水産部ということになると、三対一という部の数になるのでありまして、部の数が必ずしも勢力関係を決定するということにはならんかもわかりませんが、併しながらまあ一人の部長より三人の部長のほうが強いわけなんでありまして、どうもいつでも農林行政というものは開発計画、或いは綜合開発におきましても下馬を食うのでありますが、それが、殆んどそういうことになるのじやないか。そこで先ず林野というようなものが又このなかに加つて来ると、もう少し違つて来るけれども、そうでないと林野というものを別にすると非常にこの建設省関係仕事ウエイトを持つて来て、農林関係というものが無視されやしないか。或いは例の終戦処理費関係建設関係仕事が多いのかも知れませんけれども、もう少しこの総合開発ということになると、農林部面というものを重要視してもらわなければならんと思うのであります。まあ今までは廣川農林大臣というような誠に大した政治力を持つたかたがおられたからいいのでありますが、廣川農林大臣が何か今度大臣をやめられてほかのほうへ行かれると、非常にあとがうまく参らんようになると思うのでありまして、その点一体廣川農林大臣が、ちよつと今どうするのだと言つてあとのことは俺は知らねえと言われては困るのですが、うまく行くかどうかこれは私非常に心配しておるのであります。そういう点について一つ
  15. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) お答えいたします。江田さんは、この官庁行政機構関係から建設省関係が重くなると、こうおつしやいましたが、ここにございます建設部農業水産部港湾部営繕部、こうありまして、建設部建設省のまあ出先みたいな仕事をしており、農業水産部農林省の出元機関であります。港湾部運輸省であります。営繕部というのは実はこれは頼まれ仕事をしておるのでありまして、建設省などの営繕部というものがほうぼうの役所を造つてくれと言われて頼まれた仕事をしておるだけでありまして行政というのかどうやらこれはわからないくらいでありまして、要するにそれぞれの部が同じウエイトを持つておるというようにお考えを願いたいのであります。殊に私どもといたしましては農業水産部只今のところは建設関係予算が多くございますが、北海道土地改良であるとか、或いは開墾、開拓という仕事は非常に国家的総力を挙げて力を入れる必要がありますから、建設部が五十億なら、農業水産部は百五十億であるというふうにいたして、江田さんの政治力も大いに私どもに合して頂ければ私は幸いだと存じます。
  16. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) お答えいたします。北海道開発について建設省ウエイトが非常に重くなるのじやないかというお話で、農林関係が少くなるのではないかというお考えのようでありますが、将来は建設省仕事はだんだん縮まつて行くと思つております。あのあなたが御存じのように、泥炭地帝一つ取上げてみましても非常に大きな問題が残つておるわけであります。それから又今後開拓すべき土地が干拓なり、或いは土地改良なり、その他の部面から見て単に建設省予算が多くなつたとは私は考えていないのであります。それから現在これは未定稿でありまするが、建設省仕事を、道路とそれから河川というようなものは別に考えるべき時期が来ると私は思つておるのでありまして、それで特に農林省中心をなす利水方面に重点を直かれて行くような時期が私は参ると思うのであります。特に満洲を失いました現在におきましては、北海道において農林省の地位、又はあの開拓なり、土地改良なり、その方面には非常に重点的に歴代の農林大臣は考慮を払わなければならん問題であると私は考えております。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 只今お話のように農林行政というものが決して軽視されることなしに、むしろこれが大きくなつて行くということでありますなら非常に結構でありますが、それにいたしましても、先ほど私がお尋ねいたしました切角総合開発計画をやろうとするのに、森林だけがこの開発局の中へ入らないというこの考え方は、私は非常に物足らん点があるわけでありまして、これはあとに問題を残しますが、これはただここへ出ておるのが全部というのでなしに、今度は北海道はあの将来うんと農村方面開拓を進めて行かなければならん。而も内地森林資源が少いのに、あそこに厖大な森林資源があるからということから考えて行くときに、どうもこれは開発相当重く考えなければならん。それを別格に扱つて行くというところに総合開発計画の盲点があると思うのでありますが、何ぼ議論をしても水掛け論になりますから、あと廻しにいたしますが、今度の改正法の第十二条に掲げてありますところの農林省所管直轄事業というのは如何なるものであるかということであります。そうしてこの改正法実施によつて国が行う事業と道が行う事業とは予算においてどのくらいの比率になるかということであります。
  18. 伊藤茂松

    説明員(伊藤茂松君) 直轄事業の範囲でありますが、開拓事業は一地区千町歩以上を直轄事業といたします。それから土地改良におきましては明渠排水は百町歩以上、灌漑事業は五百町歩以上、それが標準になつております。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 私がお尋ねしましたのは、直轄事業とはどういう種類のものが入るかということでありまして、只今のお答えだけでなしに、いろいろ開拓には建設事業もありますし、開拓計画もありますし、いろいろなものがあるのでありますが、その種類から行くとどういうふうになりますか。それから予算の割合というものも序でにお願いいたします。
  20. 伊藤茂松

    説明員(伊藤茂松君) 直轄事業の内容でありますが、大別いたしまして土地改良事業、それから開拓事業、この二つに大別されます。土地改良事業の内訳としましては、国営の灌漑排水事業費、それから土地改良調査計画費、それから農業機械整備費、これが入つております。それから開拓事業の内訳としましては、開墾建設事業費、開拓事業費、これが入つております。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 予算の割合は。
  22. 伊藤茂松

    説明員(伊藤茂松君) 予算の割合でございますが、これはまとめたものでありませんが、予算の割当を申します。直轄のほうは土地改良事業費は五億四千百三十一万五千円、それから補助のほうは三億一千五十二万一千円、それから開拓事業費におきましては、直轄のほうは七億一千百十三万円、それから補助のほうに行きましては五億七千八百七十万九千円、こういうふうになつております。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 どうもその肝腎の農林省かた説明をするのに、開発庁のほうから資料をもらつて智慧をつけられつつ答弁しなければならんというのは、非常に不満足なのでありまして、どうも農林大臣は大きなことを言われまするけれども、本当は北海道開拓における農林事業というものはここでやはり下馬を食うのじやないかということを私は言うのであります。それはどちらでもよろしいが、この開拓計画なり、それから開墾建設工事というものは内地の……、増田国務大臣はまあ内地並みにするとよく言われますが、内地の府県は大部分が委託代行をやつているようでありますが、北海道だけは内地とは別に委託代行をいたさないで直轄でやるつもりでありますか。
  24. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 只今の点についてお答えいたしますが、開拓事業におきます内地の従前の例は、国営直轄でやりますものと、それから国費を府県に委託いたしまして代行事業としてやるものと両方あります。それで北海道におきましてはこの点が分離されていなくて大体道一本でやつてもらつてつたのでありますが、今後は国営と代行と内地並みにはつきりと区別して参りたい、かように考えているわけであります。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 そういうように区別されるということになりますと、一体その区別の線はどの程度のところでお引きになりますか。これは内地並みと言われましたところで、第一、農地法によりますところの土地の所有関係でも北海道内地とは非常に違つているわけでありますから、当然私は違つた答えが出ると思うのでありますが、その点はどのくらいのところに筋を引かれようとするのか、それをお聞きいたしたいと思います。
  26. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 開拓事業におきましては大体千町歩を基準として行きたいと思つております。但し工事の難易がありますので、千町歩といえども工事が非常に簡単であります場合には代行、それから工事が非常に複雑になる場合には、それ以下の場合でも国営直轄とする、こういうことであります。内地におきましては大体原則といたしましてまあ代行事業中心でありまして、国営といたしましては千町歩程度がやはり基準になつております。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 それではこの現在の計画によりまして、いわゆる千町歩以上の直轄でやられるものが何カ所、総面積はどのくらいあり、それからその委託代行をされるものはどのくらいあるかという数字をお尋ねいたします。
  28. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) お答えいたします。北海道におきます直轄の総地区は約四十地区でございます。それから代行の総地区は六百八十七地区、その面積は代行は十五万九千町歩でございます。片方は約五万町歩であります。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 今度の提案に伴いまして定員法の改正があるようでありますが、その中で、これは謄写版刷りをもらつたのは政府のほうからもらつたのだと思いますが、この中にちよつとあるのでありますがよくわかりませんが、この中で開拓事業に従事する公共事業の職員が何名になつておりますかその点をお尋ねいたします。現在北海道に配置されている人員がいくらあり、それが今度の改正でどういうふうに変つて来るのかということであります。
  30. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 北海道におきます総人員は、開拓におきまして公共事業が六百四十一人であります。それから農地調整の関係が二百四人であります。それから開拓の職員が九十二人であります。併せまして九百三十七人という者が開拓関係の職員としているわけであります。そのうちに開発局のほうに移管になります者は開拓公共事業関係の四百七十人でございます。残りは道庁のほうに残るということになつております。
  31. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどの事業分量からお尋ねしますと、面積において直轄のほうが五万町歩ほどで、代行のほうへ廻されるものが十五万九千町歩ということになつて、委託代行のほうが三倍ほどになるわけでありますが、それから人員からいいますとこれは必ずしもそういうことにならないというのは、一体どういうことでこうなりますか。
  32. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) その点につきましては国営にいたしますものは非常に工事の分量が大きくて、且つ難工事を含むものを取上げております。これに対しまして代行地区と申しますものは面積が小さくて、且つ工事が容易であるというような見地から、いわゆる土木工事といたしましては比較的技術が要らないし、又人間も要らないと、かようなものでありますために工事費の比率に対しまして人間の比率を著しく小さく考えているわけであります。
  33. 江田三郎

    江田三郎君 私はその考え方に対して少し疑問を持つのでありまして、どういう点かというと、大体只今のような考え方から行くと、開拓というものをただ大きな施設を作つて農民が入れるようにしさえすれば、それですぐに開拓が終つたというような考え方からそういうことが出て来るのでやないかと思うのであります。これはまあ終戦直後の国がやりました開拓にいたしましたところで、例の開発営団なんかを連れて来て、大きなトラクターで土地をはね返す、それでちやんと補助金でありますか、何でありますか、金だけは取つて逃げてしまう。ところがあとへ入つたところがとんでもないことであつて、土をひつくり返しただけでありまして、田圃にも何にもならない。むしろそのまま置いておいてくれたほうが草が生えていていいというような、そういうような例がたくさんあつたのでありますが、やはりそういうような考え方を今の答弁から私はどうも強く思わざるを得ないのであります。一体この開拓というものをやるのに今度のやり方で行くと、開拓計画とかいうようなものは国がやられることになつておりますが、計画をただ机上で立てただけでは開拓というものはなかなか成り立たんのであります。この計画を立てるにしたところで、田圃を作るだけではなしに、それが例えば畜産のほうとはどう結び付いている、或いは山の政策とはどう結び付いている、或いはその土地の人情はどうである、歴史的な事情はどうである、そういうようなことがあり、それからあとの入植者の世話まで本当に一貫して行かなければ、本当の血の通うた、入植者が温かい気持を以て興起発奮して働くという態勢にはならんで、何か砂漠の中へ追い込まれたようになり勝ちなんでありますが、そういう点について一体なぜ計画された計画というようなものを国がそこだけ取つてやらなければならんか。そういう点はむしろ今のように道庁で一貫酌にずつとやつておるほうが、これが本当の開拓政策になつていると思うのでありますが、その点一体どうお考えになつておりますか。これは一つ大臣からお答え願いましよう。根本方針でありますから……。
  34. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 要するに地方費支弁を国庫支弁との問題の紛訌を来たさないということが一番大事だろうと思うのでありますが、あなたのおつしやる歴史的立場、或いは又地理的立場、或いは人情、風俗的の立場というものは、仮に北海道の道庁がこれを負担しなくともこれは総合的に考えられることであると私は考えております。
  35. 江田三郎

    江田三郎君 余り実際のことを知らんからそのくらいの御答弁だろうと思うのでありますが、なかなかそういうものではないのでありまして、これはまあ開拓の適地を選定する仕事があるし、今度は折角選んだ所を農地委員会にかけるという仕事がありますし、更に用地を取得するという仕事があり、開拓計画を立てるという仕事があり、いろんなことが次々あるのでありますが、その点は昨日北海道知事が、この場におきまして参考人として説明したところで、私はよくわかつたのでありますが、むしろ今までのやり方で行くというと、非常にすつきりいたしまして、例えば農地委員会なり、或いは只今申上げました農地委員会の会長は勿諭北海道知事でありますが、そういうようなものが知事のところで一貫してすうつと行つて気持よく行つてつたやつが、今度は開拓計画を国が持つということになると、適地の選定も国がやらなければならんというようなことになつて、非常に二つの意思がそこに現われて来て、そうでなくても、この開拓民というのはみじめな立場で、折角現場に入つても、古くから入つている人から見ると白眼視されるのでありますが、それがあとの営農というようなことに、責任のない、責任のないと言つちや語弊があるかも知れませんが、直接タツチしない国が計画を立てて、国が事業をやつて、その中に入つて行くという行き方では、私は必ずこの開拓政策というのは失敗すると思う。そこでこの開拓政策はむしろ今までのほうがいいんじやないかということであります。現にその点は都道府県の、道は違いますが、内地の府県の場合は比較的それがすつきり行きまして、開拓計画なんかむしろ府県のほうに立てさ起ているのでありますが、これは北海道の場合の開拓計画、ただこれが国が握つて来るということになりますと、只今申上げました、増田さんの言われるところの内地並ではなくて、内地よりもこんがらがつた姿になつて来る。而もあの広い所にぽつと入れられたのではどうにもならないので、ちよつと近所に行つて飯がないから米を借せ、こういうわけには行かないのでありますから、もつとこれについては内地以上に温たかい親心の籠つた開拓政策がとられなければならんと思う。それが今度の開拓計画から見ると、どうも安心できんと思うのでありまして、もう一度一つ……。
  36. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 開拓移民の間に情の繋りがなくなるということを非常に御心配のようでありますが、併し自治体と国家の機関である仕事の間に、情の繋がらないということは、私も断定できないことでありまするが、北海道長官として情をこの国家機関でやる農地開拓方面に繋いでもらえればよろしいのでありまして、単に砂漠にぼつと捨てるということはないと思います。大体今まで成功しているのを見まするというと、仮に北海道の道民と繋りのある人たちが非常に多いのでありまして、その点、その人たちが、北海道庁というものがきめるからいかんということでありますが、単に開拓事業事業自体について国がやるということで、その他のほうの関係においては情は繋がつているのでありまして、あなたの御心配は私はないと思つております。
  37. 江田三郎

    江田三郎君 それがなかなかあるのでありまして、あるというのは私が最初に申上げましたように、終戦直後国が開発営団等を以て大規模の開拓をやらしたことがありますが、そのときは実際にひどいことをやつてあとつたものはとんでもない目にあつたのであります。そこでそういう開拓ということは、最後の営農指導というものは責任を以てそれが計画から何から全部やつて行かなければ、土地だけできたところで開拓にはならんのであつて、交通関係とか、或いは家畜の関係とか、その家畜にしたところでその飼料をどうしてやるかと、そんなことまでずつと一貫して行かなければなかなかうまく行かんのでありまして、それが増田大臣の言われるように今度のやつは内地並に直すのだと言うけれども内地の場合は国の計画よりはむしろ県がやつておるように私は思つておるのでありまして、北海道だけ別に国がやるということになると、内地並でなしに内地よりもこんがらかつた姿になるのじやないか、そういうことなんであります。それはあなたのような鶏を飼われた経験のあるようなかたならいいのでありますが、なかなかそういう人が農林大臣にならんのでありますから、その点はむしろこういうような機構ならむしろ改悪じやないか、その点……。
  38. 廣川弘禪

    国務大臣廣川弘禪君) 全国の開拓地を廻つて見まして、他の先住者と開拓者との繋がりの問題が非常にどこでも問題になりますのは事実であります。併し地方自治体といえども国家事業に対して敵国ではないのであります。他の繋がりは幾らでもできると思いますが、国費支弁と道費支弁との紛訌を避けて、その繋がりをして行くのが、私は政治であると考えております。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 これはさつき内地並だということを増田大臣は言われたのに内地並でないということ……。
  40. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 只今江田委員の御質問には多少誤解になつておる点がありはしないかと思われますので、発言さして頂きます。従来内地におきます開拓事業の運営につきましては、昭和二十二年の十二月を境といたしまして、以前と以後とはすつかり変つて来たわけであります。以前におきましては、大体土地買収と建設工事が中心になつておりまして、あとはほつたらかすというような状態でありましたので、先ほど御指摘のようなひどい現象が起きたわけであります。その後これを是正いたしますために、先ず開拓計画を慎重に立てまして、それからそれに基いて建設工事をやる。それに並行しながら入殖営農指導のほうを十分やつて行くということになつたわけであります。県営でやつております場合には、これらのものが一貫して県で行われておることはこれは勿諭でありますが、内地におきましても国営でやつておりますのが約二十五、六カ所ございます。これらにつきましては建設工事のみは国営でやりまして、その他の計画及び入殖営農指導一切は県のほうでやつてもらつております。北海道におきましては、建設工事だけは、建築に限りまして国がやりますけれども、入殖営農指導の一般と、又計画事業というものは原則として道でやつて頂くわけであります。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 先ほどの伊藤課長がお答えになつたときに、開拓計画というものは国がやるというお話でありましたが、それはそうでなしに、道のほうに任されるのでありますか。
  42. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) お答えいたします。今では北海道はすべて国営という意味において道がやつてつたのでありますが、今後開発局ができるに従いまして、国費として計上しております計画費というものは、国の直轄費用の部分と、それから自治体として道に委託された分と分離されるわけであります。従つて国の直轄の部分として残りました開拓計画というものは極く一部分になりまして、大部分は道に委託する経費と変るわけであります。只今資源課長の御説明は現在の費目を御説明になりましたので、さような紛訌を来たしたと思つております。
  43. 江田三郎

    江田三郎君 そういうように開拓計画というものが、道のほうに大部分のものが任されるということになると、先ほど御説明がありました人員の配置の数が私は非常に不均衡だと思うのでありまして、仕事の量から考えましてもう少し道のほうがずつと多くならなければならんと思うのでありますが、その点はどういう御説明がつきますか。或いは直轄のところは難工事だというような御説明がありましたが、これはどの程度難工事なのか、あとで詳しい資料を頂きたいと思います。どうも私は今までの御説明から見て、先ほどの人員の定員の問題が合点が行かん点が出て来ます。それから一体そういうように人員を配置換えをした場合に、残る人々は、これは官吏になるのでありますか、或いはこれは補助職員になるのか。  それから大体委託代行をした場合には、内地の場合には委託料と申しますか、八%か何かあるようでありますが、あれは一体今度はどうなるのか。
  44. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答え申上げます。残りますものは、これまで国の経費でやつておりますものにつきましては、総体で行きますると国の直轄事業をやります。ために三千二百余名が国の官吏が現在すでにおるわけであります。それから人のことは拓殖費なんかも込めて申上げます。それから補助事業に附随した官吏が八百名おるわけであります。従いまして四千何名になるわけであります。これは国の官吏のほうであります。それで道のほうでは開拓関係は、経費におきましては国の補助と、それから純道費と、人におきましては八百名の官吏とそれから道の吏員とで現在構成しておるわけであります。これをこの直轄事業附属官吏三千名を今度はつきりと切離すということでありまして、従いまして八百名の官吏は現状のまま官吏として、八百名に関する限りは変更なしに残るわけであります。それでその何ぼかが開拓関係に残つておるわけであります。
  45. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 第二点の、事業と人員とのアンバランスの問題でございますが、これは一般的には工事の難易で考えております。と同時に内地の現在の状況と比較して見ますると、大体均衡がとれるようにしておるわけであります。この数字はあとでお出ししたいと思つております。それから委託料の関係でありますが、これは内地と同様に代行費が行くことになります。
  46. 江田三郎

    江田三郎君 只今のように代行費がたしか八%だつたと思いましたが、そういうものが出るということになると、これは国の予算に変更を生ずることにはなりませんか。或いはそれだけ開拓事業分量が減るということになるのか、その点はどうなつておりますか。
  47. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答え申上げます。代行に関します費用は道のほうに入りませんで、国費の生のままであります。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 よくわからんのでありますが、もう少しはつきりお願いします。
  49. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 代行費というものは委託費と国費との対立関係になりますが、今度の開発局の設置に伴いまして北海道庁が従来やります場合には国費として使つておられます。その点従来一般の国費がありますのを開発局に振り分けますものと、道庁に振り分けますものとなるわけでありまして、そのいずれも当分国費ということになりますので問題は起らないと思います。
  50. 江田三郎

    江田三郎君 今の説明でよくわからんのでありまして、どういうことをやつておるのか、もう少しはつきりやつてもらいたい。一体それによつてとにかく委託料というようなものが八%出るということになると新らしい問題なんですから、何か国の予算を変えるか、事業分量を減らすかしなければどうにも片が付かん。
  51. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) あとでお答えいたしますから、ちよつとお待ち願います。
  52. 江田三郎

    江田三郎君 これはあとでよろしい、今お答えするのは無理かもわかりませんからあとでよろしい。それでは問題を変えまして、一体そういうように直轄でやるものと、それから代行するのとできるのでありますが、大体申すまでもなくこれは工事をやれば大きな機械が要るわけでありますが、そういう機械の問題について昨日田中知事の参考人としての証言によるというと、従来道のほうの仕事にも使つてつたのが使えんとか使えるとかいうことで非合法だとかいう問題がありましたが、一体開拓関係でこれが只今のように一千町歩というものに線を引いて、直轄の分と、それから道が委託代行をやる場合とに分れて行くわけでありますが、或いは道自身のものもありますが、そういうときに機械の関係はどういうことになりますか。それから合せてお尋ねしますが、昨日その機械の使用の関係は、何か増田さんのお答えを聞いておりますというと、表沙汰にしてはならないようなことのような説明がありましたが、一体今まで農林省のほうではあの機械の使い方というものについては非合法があつた考えておられたのかどうか、それも合せてお尋ねします。
  53. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 機械の問題でありますが、これは機械は国のものでありまして、これを地方公共団体に使用せしめます場合には国が貸与という方法をとつております。従いまして今後の運営において道の開発事業上必要であります場合に、直接の事業費で不足します場合においては、国が持つております機械類を貸与することができるわけであります。
  54. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと忘れておられるようですからもう一遍言いますが、昨日この席で参考人の中で椎熊氏が発言しまして何か機械の使用等について非合法があつたような発言があり、そうして増田長官もそれははつきり言うと非合法であるかのごとく受取られる発言を繰返して来られたのであつて、その点は一体農林省としては今まで機械の使用について不正があつた考えておられるのかどうか。これは農林省としてどう考えておられるかということであります。
  55. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) 私その点は承わつておりませんが、機械の管理につきましては、国の財産といたしまして十分なる監督の下に貸付けておるわけでありまして、若し不正等がありましたらそれは是正するようにしなければならんと思つております。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 それなら別に問題ないと思うのですが、一体それなら増田大臣のように不正があつたように受取られる発言というのはおかしいと思うのであります。(「不正があつたとは言わないぞ」と呼ぶ者あり)よく聞いて下さい、不正があつたように印承付けられるような発言をしばしば繰返されたと言つておるのでありますが、これは議事録を読んでもらえば誰でもその印象を受けると思うのであります。そういう点について一体農林省長官とは違つた考え方を持つておるのかということ、今まで農林省考えではそういう不正と考えられるものは一件もなかつたということなんであります。若しあれば監督して置かなければならんと思うのでありますが、大変だと思うのでありますが、その点どうなつておるのですか。
  57. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私からお答え申します。昨日農林省の野田君は出席していなかつたわけでありまして、昨日からの状況を拝聴いたしておりませんと満足な御回答はできないと思うのであります。そこで昨日参考人は当然国の機械は自治事務である、委託というのはこれは自治事務じやありません。飽くまで国の事務です。併しながらそれでなくして開墾のうち極く小規模な農林省さえ所管しない、代行でも何でもないのです。或いは国の国道でも何でもない、地方でも何でもない、或いは市町村道に匹敵する或いは河川にいたしましてもまるつきり小さい河川まで幾らでも平然と、公然と使つてつたかのごとく陳述されたのであります。これを農林省に聞かれても本当は困るのであります。農林省は国の直轄事業をやつておるだけでありまして、あと現地においてもその小規模の事業北海道の自治団体がやつておることは御承知通りであります。そういうことも従来漫然と転用しておる、それが転用できないから大なる負担を引起すということを公然と言つておられますが、ああいうことまではできにくいと言つておる。農林省行政対象として考えておるのは飽くまで農業行政として、国の行政としてやつておる、開拓事業について答弁能力がありまするが、それ以上北海道でやつておる細かな五町歩とか或いは三反歩とかというそういう土地改良については機械を使つておるか使つておらないのかということを細かに聞かれても困る、要するにこれは非合法の嫌いがあるということを私は言つております。但し従来やつてつたいわゆる行政の妙味というものは将来もはつきりするように無償で貸与しようという所要の手続をとつてやりたい。であるからして負担は増額いたさない、所要の手続がないとすればこれは如何なものでございましよう。所要の手続なしに国の営造物や器具機械やほかの町村の分まで或いは私どもが使つてよろしいかどうか。これは併し江田さんが合点下さるものと私は確信いたします。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 これはまあ増田さんは北海道長官をされたので或いは自分で非合法をやられたのかも知れませんので身にしみるところあつての発言かも知れませんが、それはどつちでもいいのです。私が聞いているのは農林省のその籍にある機械について不正な使用が行われたと農林省考えておるのかどうか、そういうことがあつたのかどうかということなんです。建設省の機械じやありません、農林省の機械です。
  59. 山添利作

    説明員(山添利作君) お答え申上げます。そういうことは今まで気が付いておりません。(笑声)
  60. 江田三郎

    江田三郎君 まあ農林省のほうはそういうことがなかつたということは結構でございます。恐らく増田国務大臣のほうであつたと言われるならば建設省かどつかでございましようが、これは私が質問する立場と違いますから、その点はそれじや申しませんが、そこでさつきの問題が残つておりますが、まだほかに問題がございますが、同僚の溝口さんがおられますので、一応私この程度にいたしまして、あとで残つた問題について又保留して置きます。
  61. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 建設大臣農林大臣質問いたしたいのでございますが、農林大臣の御出席かありませんので止むを得ませんから次官から御答弁願いたいと思います。北海道開発の重要度は終戦後特に最近非常に高くなつて来たのでございます。公共事業費も昨日増田長官の御説明のように一般の一四%、八十八億にも上つておる。昨年あたりよりか画期的に多くなつているという御説明があつたのであります。八十八億の中で災害が、これは主として建設省関係でございますが、十八億ぐらいあるのであります。それを引いても七十億ぐらいあるのでございますが、そのうちで河川関係は十九億ぐらい、道路は十五億ぐらい、農業関係土地改良開拓は二十一億になつておる。災害を抜かしますと農業関係は大体二割ぐらい私はなるのじやないか。建設大臣の一四%というよりかも非常に農業関係は重要視されて二割ぐらいになつておるのであります。これは開発庁の非常に御努力で一般会計、一般の事務的な折衝のほかに非常に開発庁の御努力で予算北海道に持つてつたんだ、内地のほうから攫つて行かれたんだというような憾みは実はあるので、私は北海道のためにそれは非常に結構だ、内地は、内地は別で、又公共事業の費用を増してできるだけ余計取つてつたらよろしいんではないかというくらいに実は農業関係は重要視されておるのでございますが、今度の開発法の中で、農業関係のことはどうも私はあまり重要視されていないのじやないかというように考えるのでございます。増田長官の昨日来の御説明を聞いておりますが、これは建設大臣のようなお考えで言うておる。河川や道路のことについてはこれは会計経理の適正を期するために自分のほうで取れた、国で取れた予算は国で、自分で使えばいいんだ、だから予算面の整理をして実質的には何らの変更はないんだというふうに私は考えるのでございますが、これは河川や道路について直轄工事が九割以上ある、補助事業というものは僅かの問題でございますが、農業の関係は又別だと私は考えるのでございます。開発法改正して開発局を作る、そうして直轄事業を適正に自分でやつて経理を明確に区分してやつて、できるだけの予算を多く取りたいんだというふうに実は御説明があつたと思うのでございますが、予算開発局ができて予算の区分をしたら、そんなに簡単に大蔵省あたりで私は問屋は卸さんと思うのでございます。予算をたくさん獲得するということについては私は非常に結構なことと考えるのでございます。その予算が実は北海道において本当に適正に有効に今まで使用されていたかどうかということになると、これから予算をできるだけ多く取つてつても、それだけに有効に使えるかどうかということについては、これは現在の私は行政機構の不備の点もありますし、そうして主務官庁の監督が直接に厳重に行われていないような現状にあること、もう一つ技術力の水準か北海道においては、失礼でございますが非常に低いというような三つの原因から、予算ばかり多くても、これはどうもそれだけの効果はないのじやないかということを私は常日頃考えていたのでございます。総合開発ということが盛んにこの頃言われているのでございまして、昨日開発庁の御説明でも、十年間に八百万石ぐらいの食糧増産もできる、そういう計画も樹てているのだ。八百万石を増産するには、私とも千五、六百億円の金が要るのじやないか。現状で二十数億の土地改良開拓をやつておりますが、そういうくらいの程度だつたら十年計画なんということは恐らく七、八十年か百年もかかるだろう、机上でそういうものを拵えて喜んでいても困るのだ。十年でやるならばどんどん予算を取つて機構整備をやり、技術を養成する、内地から優秀な技術者を連れて行くようなことを考えるのが一番必要だと考えるのでございます。総合開発というのも、これは北海道拓殖八十年の間にいろいろな貴重な資料が多いのでございます。私も前からたくさん頂いているのでありますが、総合開発と言いますか、何か電源開発にしても、道路でも、河川でも、食糧の増産のようなことでも、その各個々々の計画の寄せ集めのような気がする。総合開発というのはそういう意味じやないと思う。電源開発なら電源開発をする人はそのことばかり考えている。そうして御承知のように忠別川というところに電気を起こして、その下流の六千町歩という田が皆収穫皆無になつてしまつた。電源開発をやればやるほど農業が不利益になつて来る。それで泡食つて遊水池なんていうものを拵えて一度半か二度くらい水を温めてやつているが、私もつと遊水池を拵えて、五度でも十度でも上げて、本当に収穫皆無になつたところを平年作にできるような技術が要るのじやないか。そうして本当の技術を入れて行くならば、今米作の収穫も旭川くらいまでしかないのであります。それをオホーツク海くらいまでできると私は確信しておるのであります。そういうようなことを一つ内地の方が是非とも行つてそういう実行をやつたらどうか、こういう点はなかなか北海道かたは昔から北海道に固つてしまつて内地の人の言うことなんか余り聞かんようなことが伝統的に実はあるのです。北海道でも水田もたくさん十四、五万町歩もできております。北海道のような寒地農業のところは、寒地農業に即した開田計画をやるべきなんである。それを昔から九州や南方の稲を取つて来て、そのままのような田圃をこしらえて、田圃をこしらえては凶作になつておるということを昔からたくさんやつておる。そういうようなことをやつて、果して今までの計画で八百万石十年計画とありますが、もつと水田を殖やしたり、電源開発も本当に総合開発をやつて行くならば、千万石開発になるかも知れんし、それを本当にやつて行けば、これは五百万石収穫になるかも知れん。私は寄せ集めの計画をたくさん拝見しておりますけれども、どうも余り信用することができないのです。最近幾春別とか雨龍川なんという計画も拝見して、もう少し水温のことなんかも一つつてはどうかと言うても、なかなかそのまま言うことを聞かないでそういうものをやつております。ああいうものをやつては又減産すると思う。そういうところに本当の総合計画というものを立てて、そうしてそれができて、それに基いて仕事をやつて行くように是非お願いしたいと思います。それらについても実は非常に機構の問題等にも関係しているのでございます。拓殖の八十年の歴史によつて今まで来たのである。併し極く最近までは私どもの間では北海道のモンロー主義ということをよく言われていたのです。内地の者を寄せつけずに、北海道だけでやつて行くのだ。昔は皆官僚知事がおつたけれども、その官僚の知事が行くとミイラ取りがミイラになつてしまう。増田さんなんかはこれは優秀なる知事で北海道に行かれた。私ども北海道大臣というくらいに実は下馬評で言つていたのです。なかなかその当時でも農林省のことは言うことを聞かないのです。それが国務大臣になつて、今度東京に来られて何か農林大臣になるような噂が新聞に出た時には、農林省の連中は、若し農林省のそういうような政策をやらんような人は門前払をしようというくらいに、実は北海道の代表的なその当時のモンロー主義者である。二十二年の頃に内務省が解体されまして、そうして拓殖費がなくなつて、各省に拓殖事業が配分されたのでございます。農林関係農林省に配分されたのであります。農林省におきましては、是非とも農林省の管轄になつたならば、立派な一つ土地改良開拓をやりたいのです。それには第一に機構の問題なんであるということで、私ども半年以上に亘つて北海道機構に対して内部の整理をし、そうして直接に指揮監督ができるような機構を立てたいということで、これはGHQの方面とも相談をいたしまして、半年ぐらいかかつていたのでございますが、そういう機構がはつきりできない間は北海道には予算も配置しない。セメントや資材も配布しないというので、北海道に半年も予算や資材が配布されない時代があつたのであります。実はそれほどまでに北海道事業一つ有効に働かせるには、先ず第一に機構の問題なんである。その当時田中知事は非常に私どもと協力しまして、そうしてとにかく北海道の内部の機構を整理して、農林省の監督官を十数名スタッフを札幌に駐在させるというところにまで実は行つたのでございます。ところが北海道におきまして道会議員が挙つてこの案に反対をいたしました。農林省のスタッフが十数名北海道庁に監督官室を置くという程度のことさえも非常な反対をしたのです。投書なり陳情なり、私はその当時非常に弾圧を受けまして、今で言えば地下に潜つたようなことさえもあり、首になる虞れさえもあつたのであります。その当時私は本当に北海道開発のために機構整備ということを考えたが、そのときに北海道かたがたが全部揃つて私を弾圧するような反対があつた。昨日お話を聞きますと、この開発法案を提案なさつたことは、私は行政機構の改革の上に、北海道開発に画期的なことであると思います。こういうような法律が出ることは私は非常に賛成します。賛否両論があるようなお話ですが、道会議員は今九十人の中から六十人ぐらいこの法案に賛同をした。私はその当時十数名の監督官を存置しようというのに首にするというぐらいに反対したかたが、二年ぐらいの間に変つてしまつて、もつと大きな出先機関に賛成しておる。知事会議では皆反対し、道民大会では四千人で賛成しておる。私はこの二年間の変化には非常に奇異の感を抱いておる。増田大臣北海道北海道であるということで、なかなか言うことを聞かなかつた方が、二年ぐらいの間に突如としてそういうものをお出しになつた。先ほど開拓審議会の要求もあつて、昨年以来の問題だからということで今お出しになつたのです。これは私は本当に審議を尽していないのじやないか。内容についても、河川や道路についてはお話のことを私は専門ではないからよくわかりませんが、農業等に関してはまだ審議が十分尽されていないと思うので、内容についても農業が非常に重要であるのに軽視されておるような点がある。五月の十八日に閣議で決定になつた。その前の十六日には、次官会議に附議されたときに、次官会議ではこれは決定にならなかつた。そのうちの一つの理由としましても、産業経済費を政令できめて、国費の分と地方の分とを区分するというような重要な問題が実はあつた。それらの区分もできないからということで、今度の第十二条にはその他というような字でぼやかして政令できめる。その他……農林行政の最重要な産業費等をその他ぐらいのところでごまかしてあるのでございます。そうしてとにかく閣議できめて、あとこれを下のほうに下して、私に言わせれば押付けたようなことになつている。そうしてそれに基いて算盤をはじいて、人間もその区分に従つて分けろというようなことで、まあ事務的には泣寝入になつて私はこういう結果になつたのじやないかと考えるのでございます。どうしてこういう問題をこう急速に、私先ほど申上げたようなずつと長い問題がある。それを審議も十分に尽さずに、そうしてただ予算を分けただけだから、仕事の上にはなんの影響もないというようなお話がありましたが、少くとも私は農業の関係については現場では人も区分しなければいかんし、官舎も移転しなければいかんというようなのも出て来るだろうと思う。事業の区分等についても、今北海道庁では非常なセンセーシヨンを起して、知事以下首脳部等は一カ月も北海道を明けているような現状で、これでは本年度予算も増さずに能率も低下せずに事業が円滑に行つているのかどうか。これは将来事業の成績表が出ればはつきりして来るだろうと思います。が、農業関係につきましては、これは農林省の政府当局からお伺いしますが、私は何か予算が非常に取れたのだ、そうして人に使わせるのが惜しくなつてしまつたのだ、だから自分のものは自分で使うのだというような世間に印象を与えるような気がするのでございます。そういうことは果してないのかどうか。これは増田長官からはつきり言明を聞いたほうが誤解がなくて済むと思います。その点を一つ説明をお願いいたしたいと思います。
  62. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道を含む全国における土地改良の最高の権威者である溝口さんの極めて御熱心な且つ有益なる御質問に対しまして、私は非常に有難く拝聴いたしました。  先ず以て予算の点から申上げます。予算は、本年度相当努力して内地は一割殖えただけであるにもかかわらず、北海道は八割も殖やした。併しながら来年からは財政当局がおいそれとは行くまいというお話でございまするが、私ども終戦後における北海道の全日本における立場において占むる地位に鑑みまして、来年も今年のごとく皆様の御協力を得て予算の獲得をいたしたい。これは政府のみならず、政党といたしましても、各種の政党挙げて北海道のことについては熱心でございまするから、全政党の御協力を得て北海道開発費は本年度におけるごとく明年度においても飛躍的に増加いたしたいと思つております。不肖私も如何なる地位を占めましても、この方面につきましては一生懸命努力をいたしまして、御期待に副いたい、こう思つております。  それから溝口さんが農地改良の関係について一生懸命御検討されていらつしやいましたときに、北海道における土地改良のために駐在官を置いた。この駐在官を置いたことすら反対があつたこういうお話でございまするが、要するに溝口さんの御思想は、農林省という国の機関現地において日本全体と調和のとれた関係において北海道土地改良もしなくてはならない。それがためには国の機関が駐在する必要がある、こういう御主張からでございまして、即ち今回の機構改革につきましても、溝口さんが今昔の感があるというお言葉によつて表現されておりまする通り、極めて心から御賛成下すつておることを拝承いたしまして、私は欣快に堪えない次第であります。(笑声)而してそのあとのほう、増田北海道庁長官をしておつたときは北海道モンロー主義を唱えた云々、私は当時長官をいたしておりましたが、長官というものは国の出先機関であります。今回設置せんとする開発局も同様でありまして、即ち溝口さんがいらつしやいました役所長官である農林大臣の指揮監督を受けて北海道において土地改良をする、その他各省大臣の指揮監督を受ける政府部内の機構としての国家機関出先機構である増田長官であつた次第でございますから、どうぞその点はあくまで御了承願いたいと思います。私ども北海道独立論だとか北海道帝国論だとかいうようなああいう思想こそは、全く奇々怪々の思想であつて、他のイデオロギーを持つた人が、国家を破壊するといつたようなイデオロギーを持つた人が考えるなら格別、我我は絶対にそういう考えはないということをどうぞ御了承願いたいのであります。公選知事になつて北海道の自治事務としてなんでもかんでもやる、そういうような意味のモンロー主義を私共唱えたことはございません。又内地の他府県に比べて北海道の道民諸君の担税力は低いのでありますから、とてもそんなことではやつて行けません。でありますから、溝口さん御存じ通り、単に土地改良のみならず、諸般の公共事業は地元負担ということは殆んどないのであります。全額国庫負担である、こういうわけなのであります。而して今回の改正は、我々は他の動機に基いたわけでは全然ございません。すでに私は北海道を去つたあの直後から北海道総合開発のために強力なる国家行政機構、今日の民主政治から考えると、或いは当らないかも知れませんが、総督府といつたような思想も抱いたことがしばしばあります。但し総督府がありましても、北海道自治というものは許されておるから、その公選知事ということも考えなくてはなりませんが、拓殖という言葉が今日でもございます通り内地と全然同様には扱えません。私はあえて植民地という言葉は避けますが、とにかく拓植行政をやつておることは溝口さんの御存じ通りでありまして、総督府ということすら考えたのであります。仮に総督府ができたといたしますと、これは各省大臣出先機関であることは、その総督の地位が如何に高かろうと、如何に低かろうと、国の出先機関であることは極めて明瞭であります。そのくらいにすら考えたのであります。これはまあ一つ考の過程として御参考までに申上げまするが、そのとき以来北海道における強力なる国家機構が要る、国家行政機構が要るということは、一遍も私の思想において変化はない次第でございます。でないと、溝口さんの御力説のような、国策としての土地改良、国策としての国道建設、国策としての港湾建設、国策としての治山治水ということはできない次第でございまして、飽くまで他の動機から出たのではない、むしろ各党各派の方がその改正をするや遅かりしと言つてお叱りを蒙るべき状態であるというふうに考えておる次第でございます。
  63. 山添利作

    説明員(山添利作君) 只今溝口さんから、北海道における農業関係の人の資質を向上せしめる、内地から優秀な人を相当数送りまして、その人は勿論、又全体的な資質を向上せしめるということ並びに農業関係機構をずつと下まで貫いて筋の立つたものにするという二点をお挙げになりましたが、私どももう全くそういうことが必要だと考えておるのでありまして、今度の機構によりまして、そういう我々が考えておりますことが実現できると、かように考えておるわけであります。又こういうふうな機構になりますると、従来農林省といたしましては北海道を重視はしておりますけれども、何としましても事情がよくわかつていない憾みがあるのであります。そういう点も非常に改善されまして、今後一層北海道開発に力を注ぎ得ることになるとかように考えております。
  64. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 今度の改正法案におきまして直轄と道庁でやる事業の区分、それから直轄事業の知事に対する委任工事の区分等がこの頂いて資料だけでは不明確であつて、はつきりしたことはわからないのでございますが、増田長官の御説明は先ほど私が申上げましたように、河川工事、道路工事等についても、これは補助事業というものは一割以下くらいのことだ、だから名目を移してそうして官吏がそれを実行して行くのだから、混乱は殆んどないというような御説明でございます。農林関係におきましては二十一億の事業を今度は、今までは全部北海道知事に委託、直轄のものは委託し、補助事業のものは合せて二十一億くらいあつたのですが、大体半分くらいずつにこれを分けてしまつたんだ。そうして今度の機構の系統等におきましても、本当にこの農林行政というものを二分割にしてしまつたような結果になつておるのです。今まで系統図等に見ますと、一貫して北海道におきましても、開拓部というものの中でこれは十四くらいの機構に分けて、そうして適地の選定から計画、入植、建設、工事、営農の指導、農地管理というような一貫した体系を確立してやつて来たのでございます。それを今度は国のほうでは大規模な開拓地を四十カ所ぐらい国営でやつている。百町歩か五百町歩以上の水利事業を国でやつてあとは地方に任せてしまうんだ、そうしてこの今まで一貫した体系を全部崩してしまつて、産業経済のほうで四百人以上の人もこれも地方に置くかというようなことで、実は一貫した体系がこれは支離滅裂になつたと私は考えるのでございます。この問題におきましてはこれは只今開拓の技術行政の確立につきましては二十四年の国会でこれは農林省の設置法案を参議院で修正可決をして、現在のような実は機構農林省ではなつたのでございます。その参議院で修正可決になつたとたんに私は馘首になつたのです。私は技術行政の確立のためにはその当時農林省の原案はこれはどうしてもいけないのだというので、現在のような機構を提案をしていたのでございますが、幸いに参議院では修正可決してそれが現在まで発足して参つたのでございます。私は日本の資源開発技術向上のためには現在の機構が最も私はいいのだと信じているのでございますが、それをやつたとたんに私は実は馘首になつたのでございます。その当時増田大臣は官房長官をしていられた。増田さんは私の郷里の先輩でもあり、私は始終増田さんに私淑していたのです。そのときにもいろいろ個人的にもお願いをしたり御意見をお伺いしたのです。今の開拓機構ができ上つたその当時の事情についてはよく御承知だろうと思いますが、それが今度は実は北海道についてはそれを皆二年足らずで崩してしまつたのです。そして只今申しましたように行政を二分割して、それで人も要らないのだし、そのままで仕事をやつてつて何らの混乱がないのだというようなことは、これは農林当局としても建設大臣と同じようなお考えでいるのか。私はこういう機構を崩してしまつたようなことについては、これは北海道かたのために非常に私は惜しむものだと考えるのでございます。北海道だけが前のようなこの二分割にされて、工事は工事だけでいいのだと、営農や入植の指導やなんかはこれは道庁に任せて、土木工事だけをやつて行けばいいのだというようなことで、あとは責任の分担もはつきりしないような点になつて来て、そうして今北海道におきまする開拓におきましては開拓部長がおりまして、そうして十四項目にも上るような一貫した体系で指導をしてやつて行く、これが今度は国と北海道とのほうに事業費が半分に分れてしまうのだ。どつちに開拓部長が行くか知りませんが、開拓部長がこれが優秀なものだと考えるのでございますが、もう一人優秀な人を連れて来なければ、同じような頭で指導する人はいないことになる。技術というものは開拓技術はこれは全部の総合でありまして、現在農林省でやつているのにも、少くとも十四、五くらいの専門のかたがたが従事しているんだ。それを半口に分けて七人ずつぐらいにわけて、例えば大工と左官がなければ家が建たん、大工と左官とを別にしてしまつて一つも人間を殖やさずに大工と左官を分けて、それで円滑に仕事ができるというようなことは、これは常識でも考えられないと思います。そしてその二分割して、オーダー・システムを両方をこれを連絡調整して行くにも、私は一、二割の人は要るのだと考えます。なお増田大臣の昨日の御説明でも何か官吏と吏員との区分を余りはつきり御存じないのかも知れませんと思いますが、北海道が自治法の附則の第八条におきまして北海道におきましては、補助事業でも直轄事業でもこれを四千何百人という定員を官吏で実は置いてあるのであります。そうしてその補助役として吏員を道庁で金を出してやつておるのであります。今度それが分れて国のほうに殆んど大部分行くということになる。補助吏員というものは小使や給仕などを引つくるめた雇というふうなものだと思うが、そういうものをやつぱり北海道のほうで一体出すようになるのでありますが、国として若しそれを北海道に支出しないということになれば、それも増加して行くということで私は行くと思う。農業につきましては先ほど申しましたように事業分量を半分にして、そうして人間を又半分にしてやつて行くのは、これは技術者としてどうも押し付けられて、そのまま一応補正予算もできないからそのままやつて行けるというようなことで、特になつたのじやないかと考えるのでありますが、二十七年度におきましても、増田長官事業分量が殖えれば、それに従つて予算の増額は当然やるが、事業分量が同じならば、これは人員の増加ということは考えられないということを言われていたのでございますが、そこまではつきり言われると、これは私は予算の要求のときには、必ず開発庁では五割や六割の……、同じ分量で現在でも非常に困つてつて、五割や六割の予算の要求をなされておる。それを長官はしないということになると、自治庁のほうにおいて非常にお困りになると思うのであります。先のことはわからんというようにおつしやつたが、私は予算を取らんとはつきり言えるか、今年は補正予算がわからんからはつきりしないということで昨日長官は見返資金で七十億ぐらいの事業費が要つたけれども、一文も経費は人員を増さずに完全にできた。これは人間と機械をごつちやにしていられるからだと思うのであります。七十億の見返資金でレールも敷き、ケーブルも敷き、ドラグラインも数台傭つて、人間の何百倍というものを買つたならば、それは人員も今まで通りでいいのだ、農林省でも今まで工事は一つの現場で一年に二千万円、三千万円ぐらいのやつが半年で五億ぐらいのやつがたくさんあるのでございます。これはその例を引くのは私はおかしいと思う。北海道じやその大規模な仕事は私どもつている範囲ではないのでございます。大体人手でやつておるのです。先ほどこの直轄でやつて行くのは、国営の水利は四十地区ぐらい、開墾のほうは千町歩以上ぐらいのものを直轄でやつて、これは非常に大規模のものだから、これは道に委せられないというような説明があつたのでございますが、北海道の国営水利というものは、これは大体予算の上で全額補助をやるようなものを、全額補助というのはおかしなあれですが、国営水利というのをやつた。五百町歩ぐらいのものは内地じやみんな県営でやつている仕事なのでございます。北海道だけがそれをどうしても直轄に引戻さなければいかんということはおかしいと思う。北海道の千町歩の開墾は、これは内地じや百町歩くらいのものに当る、内地で四千カ所ぐらい開墾をやつているか、みんな土地改良法で知事に委託しているのですが、北海道だけがどうして直轄でやらなければいけないかということは私には解釈できないのです。今のうちで一カ所や二カ所国営の水利はこれは大規模のものはあるかも知れませんが、内地つて四十個所ぐらいの開墾地があつても、直轄で、国営でやつて行くのは三本木とか、福島の矢吹とか、十和田湖の水を引いて来て百メートル以上の大きなダムを造つてやるとか、印幡沼の大きな干拓をするようなもの、これは十数地区は直轄でやつておるのです。あとは各県で代行し、厳重に監督をやつているのであります。私は北海道では大袈裟な機構改革をしなくても本当に直接に農林省から監督のできるような方法にするならば、或いは委任をして、そうしてそれを本当に監督するというような程度で、北海道仕事も現状では私は進んで行くと思うのでございます。その農業をどうしても今の開発局の中に入れてやつて行かなければならんという必要を農林当局では、それは是非必要だというならば、その御意見をお伺いいたしたいのでございます。  もう一つは私は農林省にお伺いいたしたいのは、この開発局の所掌事項の中で、「当該事務に関する主務大臣のみが北海道開発局長を指揮監督する。」ということになつているので、農林大臣が、この事業を監督することは、これはできることにはなつているのでございますが、開発局開発庁長官の部下になつておる。そこへ農林省農林省の今まで部下であつたものを身売りしてしまうことになると、人の所へ養子にやつて置いて、そして直接指揮監督すると言つても、入つた人は一体どちらの人の言うことを聞くのがいいか。農林省から幾ら言つても、今まで、殊に北海道では言うことを聞かないわけです。農林大臣北海道の知事に対しては、厳重な監督はできるのだが、農林大臣増田長官に対して厳重な監督……、言うことを聞かなかつたら部下に対して……、その本人はどちらの言うことを聞けばいいかということは、昨日も何か農林省開発長官として御説明のように、人員も要らない。それは農林省の所管のことまで触れて言われていたならば、これは農林大臣の職権の侵害に至ると私は思う。そこの調整は本当に円滑にできるかどうか。そこの確信のほどを私は農林省からお伺いいたしたいと思います。
  65. 山添利作

    説明員(山添利作君) 北海道における農業関係開発事業を国が直接やる部分と、道庁が依然として行なつて行きます部分と二分することによつて非常に支障を生ずるものではないか。こういう御意見のように伺いましたのでありますが、今回の機構は先ほど溝口さんもお挙げになりましたごとく、人の素質をよくする、又農業関係の筋を立てて行く、機構整備して行くということが実現されるのでございまして、物事には一利一害がございまするが、双方判断いたしますると、私は今回の機構改革のほうが北海道開発のためによろしいと、かように考えておるのであります。なお、又北海道においては三百町歩程度の小さいものまで国営に、まあ直轄……、従つて今回国営になるわけでございまするが、そういうことは必要ないのではないかという御意見につきましては、これが北海道のまあ特色でありまして、ああいう地域でございまするが故に小さいものまで国が直接力を入れると、こういうことでございます。なお開発局に対してその行いまする農業関係事業につきましては、農林大臣のみが直接に監督をすることにこれは書いてございます。又事実そういうつもりでございます。そのことにつきましては、我々農林省は全然不安を持つておりません。
  66. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 定員を殖やす殖やさんということで私は国務大臣として政府の方針なり与党の方針をお答えしたつもりであります。これから相当事業分量が殖えましても、如何なる役所についても、農林省についても建設省についても、北海道開発庁についても、政府の職員というものが、国家公務員が終戦四つの島に限局されているにもかかわらず厖大である。こういうのが私ども考えでありまして、私は一般論としてこれをできるだけ減らしたい、こういうふうに政府も与党も考えております。そうして担税者の負担をできるだけ緩和いたしたい。こういう立場考えておりまするから、事業が殖えたから人間を殖やすということは原則としてやらない。事業が殖えても人間は殖やさない、こういうつもりで我々考えておる次第でございます。
  67. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 もう一点お伺いしたい点があります。開発局に入る人員、官吏が三千二百四十六人、それが先ほど頂きました定員の配置予定数では三千二百四十六人が全部これは地方開発建設部というところに入つておるのでございますが、約九百人の土地改良開拓の官吏がどこへ所属するようになるのでございますか。この九百人というものは、私は農業水産部というものができれば農業水産部に所属するものと思いますが、全部が建設部に所属するようになつておるのですが。
  68. 山添利作

    説明員(山添利作君) 私はその資料を存じませんのでございますが、若しそれが建設部に属するというふうに書いてあるとすれば、それは間違であります。
  69. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 山添次官は御存じでありませんが、今配つて頂いたのです。これは開発庁から御配付になつたのです。こんな間違つた資料を頂いては、重要な私は問題であると思います。農業方面のことは、これは廣川農林大臣も特に将来重要になるのだ、建設に偏するようなことはないのだという御説明であつたのでございますが、農業関係の九百人の行き場所がなくなつてしまつて建設部の中へ農業は包含されるかどうかということを……。
  70. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この配付いたしました資料は開発局というものは札幌へできます。それから現在帯広現業所におきまして土地改良もやれば、開拓もやれば、河川の改修もやれば、道路の建設もやる、その帯広土木現業所という名前に現在なつております。その帯広土木現業所を今度は帯広地方開発建設部と、こういうふうに名前を変えるだけでございます。それで建設部と書いてありましても、開発局建設部とは違いまして、帯広現業所でやつておる開墾開拓仕事をやるような意味のものが帯広地方開発建設部でございます。
  71. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 これは名前のことでございますが、先ほど農業関係が非常に重要視されるのだというような説明のときに、誤り易いような開発局建設部というのがあり、農業水産部なり、港湾部があるやつを特に地方に対して建設部というものを拵えて、その中へすべてのものを入れてしまうということは、非常に先ほど名称の事柄の印象が私は違うと思います。これは是非一つ、実際の場合には、まだ政令もできていないようでありますが、政令でおきめになるときには御考慮をお願いいたしたいと思います。  なおもう一点お伺いいたしたいのは土地改良土地改良開拓関係が今までどうしても一緒になれない。開拓開拓部でやる、土地改良土木部でやつている。これを一元化して行かないと、北海道土地改良というものは開拓と必ず結び付いている。それが今度はどういうふうになるのですか。農業部へ入るかどうか、それをお伺いしたいと思うのであります。
  72. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 今度は一元化されまして、御期待に副い得るわけであります。即ち農業水産部に入ります。
  73. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 議事進行について……。
  74. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 若木君に申上げますが、暫く休憩しては如何でございましようか。溝口君の御質疑は大体終了したものと認めます。つきましては二時まで休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後二時二十三分開会
  75. 河井彌八

    委員長河井彌八君) お着席を願います。休憩前に引続いて連合委員会を開会いたします。岡田宗司君、御発言を願います。
  76. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この北海道開発法の現行法の第一条に「この法律は、北海道における資源の総合的な開発に関する基本的事項を規定することを目的とする。」又第二条には「国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画を樹立し、これに基く事業昭和二十六年度から当該事業に関する法律の規定に従い、実施するものとする。」と、こうあるのであります。北海道開発法が成立いたしまして北海道開発庁ができ、そして今度又政府は法律改正いたしまして、現地におきまして、その開発事業を営もうとしておるのであります。この現地における事業開発庁の手で行うための基礎になるように法律を今度改正しようというわけでありますが、これはもとよりこの国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画というもの、これを行うということが前提でなければならんと思うのであります。そこで私は先ずこの北海道総合開発計画というものが、国土総合開発計画全体の一部であるということを確信しておりますので、その国土総合開発計画の概要並びにそれとの関連におけるところの北海道開発計画の概要につきまして、その責任者でありますところの周東安本長官からその概要をお伺いしたいと思います。
  77. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話通り北海道開発法におきましては、北海道というものを特殊な立場において、特に北海道全体を通じての総合開発計画を樹立するためにあの法案ができたことは御承知通りであります。これと並んで国土総合開発法というものが別にできております。これは一応は北海道を除く全体の内地における、各地域における総合開発計画を樹立するのでありますが、その間において両者の間に予算的、或いは計画等についての順位等について、順序等についていろいろ連絡して調整を図ることは勿論でありまするが、併し北海道における総合開発計画というものは、北海道開発庁において総合計画を樹立するということについては、先ずこのほうが主たる官庁として考えております。
  78. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私がお聞きいたしましたのは、第二条に規定しております「国は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するため、北海道総合開発計画云々」とありますので、その「国は、国民経済の復興及び人口問題」という点について、北海道が如何なる地位を占むべきであるかという内容について周東さんにお伺いしたんでありますが、その点について明確なる御答弁を願いたいのであります。
  79. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) お話の点でありますが、終戦後における日本の経済のあり方、産業経済のあり方に関連して、北海道というものが非常なウエイトを以て浮び上つて来たことは事実であります。本委員会におきまして、他のときにおいて増田さんから詳しく過去における北海道開拓等に関するお話があつたと思います。これは明治初年以来、日本における北海道の地位というものが非常に重大であつて、ここを開発することによつて、人口の伸びて行くことに対する経済的の処置なり、或いは働き場所を与えるというような意味において、又その働き場所を与えることによつて生産力を増すということにおいても、非常な重要な地位にあることは事実であります。ところが中ほどいろいろ日本の各地域における発展の状況からいたしまして、やや北海道開発というものについて暫く足ぶみしておつたことは事実であります。これは岡田君がよく御承知なはずだと思います。その時を過して、今度は敗戦の結果、日本の国土が非常に縮小されたのみならず、日本のいろいろな意味における勢力の範囲内と申しますか、そういうようなところから閉め出された今日において、再び北海道というものは重要な地位に浮び上つて来ておる。北海道日本国全体のために開発され、日本国のためにその未開発資源の開発を図るということの重要さが出て来た。ここに北海道開発庁という特別な官庁もでき、ここに北海道の新しい観点に立つての、而もそのことは明治以来着目されたことと実質においては同じでありますが、とにかく新しい観点に立つて開発計画が進められることは、あの未開発資源、そして地域と人口の稀薄等の関係からいたしまして、そこに総合開発等のことが考えられておることは当然なことであると思います。
  80. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういう抽象的な御議論をお伺いしておるのではない。これは北海道一体あなたがたの持つておられる国全体の経済発展計画の中において、どういう地位を占むべきであるかということについて具体的にお伺いしておるのであります。その点につきましていま少しく事実、数字を基礎にいたしましてお答えを願いたいと思います。
  81. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) その点はまだ数字的には何を何というふうに北海道のことを申上げるに至つておりません。この点はあなた御承知通り、昨年の八月一日に庁が開設されて、残念ながら具体的の計画というものははつきりまだ進んでおりませんのを遺憾と存じます。併しこれは具体的なことがないとおつしやいましたけれども北海道における農林資源、森林資源、地下資源に対してこれを開発して行くことが新しい日本に取つての重大使命であることはこれはおわかりと思います。この数字的な問題につきましては今後暫らく時をおかし願いたいと思います。
  82. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、この法律を施行するに当りましての前提条件が欠けておるということになりはしないかと思う。第一条、第二条に明確に規定されておるものがない。その上にただその執行する機関だけを作ろう、こういうことでありまして、本来ならばこの法律によつてできました開発庁が、先ず立派な北海道総合開発計画というものを立てて、この開発計画を行うにはこれはこういう機関で行わなければならん。この部分は国がみずから施行しなければならん。この部分北海道に委任代行をせしむる、こういうことがはつきりしなければならんのであります。こういう点について法律にちやんと一条、二条に明示してあることをおやりになりておらんということになりますれば、これは私甚だ経済安定本部におきましても怠慢であり、同時に北海道開発庁においても非常な怠慢だと思うのでありますが、周東さんのほうで以てその計画がまだはつきり固まらんと、こうおつしやるのならば、北海道開発庁におきましては相当この計画というものは具体的に進行しつつあるものと私は思うのでありまして、北海道開発庁においてこの開発計画がどの程度進捗して、そうしてそれに基いて、この法律によつて仕事が行われるようになるか。先ずその最初の具体的計画をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  83. 周東英雄

    国務大臣(周東英雄君) 私はそのお尋ねならば私の口から重ねて申上げることは認められませんけれども、午前中からもあなたは出ておいでになつた。それから昨日、一昨日来もたびたび増田君から話しておられる。これはよく御存じのはずだど私は思う。その点重ねてお尋ねになる私は真意がわからない。今日まで北海道における国の直接土木事業については、農林或いは建設関係を通じまして四十億円程度のものが出ておつたことは御承知のはず、そうして私どもは昨年八月一日、北海道の特殊性を考えつつ、とにかく各官庁の所管事項において随分連絡ないことはときに非常に困る。殊に北海道のごとき重要性を持つておるところに対して今度は七十億ほど少いながらも増額を認めて来た。その間に或いは石狩を中心として、或いは夕張地帯における炭鉱開発計画についてどうするかというようなことについて国が総合的計画を立ててもらいたい。こういうことにおいて予算は増加しておる。これに対しては面積がどうなつておるというようなことも今朝から私としては聞いております。これは事務のほうから詳しく説明されておつたのでありますから、全然ないとは言わさん。そのことはあなたはすでに御承知であると思つて私は話しておるのです。私は別々に聞かなければならんということを疑うのであります。今日におきましては、この特殊なる官庁ができましてまだ日がありませんので、計画はできておりませんけれども、少くとも法律を作つた以上それに対して適合するように、あの石狩を中心とした一つ計画の下に農林関係の用水、或いは河川に関する計画が進んでいることは事実であります。これを先ず進めつつ併行してやつて行くことがいいのでありまして、あなたのおつしやるように一つ計画が立つてからゆつくり今度官庁を作つて行くという暇がございません。官庁を作りつつ、併行的に各省に跨つている仕事を統一しつつ計画を進める。仕事を実行しつつ更に本年度は大きな計画を立てたいと、かように考えておる次第であります。
  84. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも周東長官のお言葉とは思えないような言葉でありましたが、私昨日から増田さんの何遍もの御説明を聞いているのです。併し増田さんからこの法律を施行すべき基礎となるべき北海道総合開発に関する具体的な計画の御説明はないのであります。部分的にはいろいろ農林省かたも今日言つておられましたりしますけれども、そういうものは増田さんからも岡田さんからも私は聞いておりません。それで全体の計画性の中において北海道はどういう地位を占め、それがどういうふうに今後行われるかということについての具体的な問題を聞くのは私は当然の権利だと思つてお聞きしたわけであります。これにつきまして増田さんなり或いは岡田さんなりから若しそれがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
  85. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岡田さんにお答え申上げます。お説の通り北海道開発法第二条に基いて国は北海道総合開発計画を樹立する必要があるのであります。又これの樹立機関は安本長官から御説明申上げました通り開発庁であるのであります。私どもは昨年開発庁の設置以来、総合開発計画の樹立の前提としての調査を一生懸命やつております。併しながらまだまだ今までの調査を以てしては不十分でございまして、本年度は皆さんから議決して頂きました二千万円の調査費を有効に現地において使いまして、そうして立派な調査計画を立てたいと、こう思つております。ただ併しながら本年度におきましても北海道総合開発計画なるものはあるのでございまして、お手許へたしかお廻ししたように思いますが、そこでこれについての御解説等申上げる必要がございますれば御解説を申上げますが、如何でございますか。
  86. 河井彌八

    委員長河井彌八君) この際諸君に報告を申上げます。吉田総理大臣はこの委員会から出席を要求しておりましたが、これに対しまして本日は対外関係その他の用務のために遺憾ながら出席ができないという通知がありましたから、このことを報告いたします。
  87. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちよつと議事進行について……。今総理の出席が今日できないというお話でございましたが、委員長申合せのときに、総理には是非一遍出て頂きたいというようなことになつてつたと思いますので、或いはそれでは明日でも出て頂いて更に続行することになるのですか。
  88. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君にお答えいたします。委員長は再三総理大臣に対して出席を要求いたしました。併し只今報告をいたした通りの回答であります。そこで連合委員会を開いて総理の出席を求めるということは、只今のところ不可能になつた考えます。明日は内閣委員会を開く都合になつておりまするから、そのことを御了承お願いいたします。
  89. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点は今朝の申合せでは、総理が御出席下されるのを前提に今日打切るというようなお話のようだつたと思うのですが、成るべくそういうふうに御期待に副うように計いたいということで申合せたと思うのですが、全然今日はできないということになれど、是非後刻で結構だと思いますが、もう一遍委員長さんがたがお打合せ下さいまして、その点を更にどう扱うかということだけは別途一つ御協議を願いたいと思います。
  90. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 やはり今佐多君の言われたように今朝連合の委員長会議では先ほどの申合せでありますから、総理が今日出て来られないということがはつきりした以上は、もう一度委員長会議を開いて、議事の運営についてお諮り願いたいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  91. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今増田長官からも北海道総合開発計画要綱参考なるものが配布しておると、これについて説明してもよろしいと、こういうお話でございました。私どもは今まで総合開発計画案につきましてなお聞いておりません。この際にこの要綱案に基きまして増田長官から或いは岡田次長からいたしまして十分に詳しく御説明願いたいと考える次第であります。
  92. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) この総合開発計画を作つた沿革についてはすでに岡田さん御存じだと思います。そこで我々はまだ十分な合理的な科学的な総合開発計画というところまでは参りませんけれども、本年度予算を要求する際の前提として第二条に基いて作つた総合開発要綱参考と書いてございますが、これは実は要綱なのでございます。これについて御説明申上げたやのでありまするが、併しこれを御説明申上げますと数時間に亘りまするが、如何なものでございましようか。(「結構でございます」と呼ぶ者あり)今まあ国会の会期等から見まして、(「必要なし」「結構々々」と呼ぶ者あり)私は申上げることは幾らでも申上げまするし、私が北海道におつたときのことをお話し申上げますれば、恐らく十日間くらいかかると思いますが、これは如何でございましようか。(「時間の無駄だ」「結構々々」「蘊蓄を聞きたい」と呼ぶ者あり)
  93. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 とにかくこの法律が出まして、初めて北海道開発庁でこういうものがおできになつた。これは予算をお取りになる前提としてお作りになつたとすれば、これはやはりこの北海道開発法の施行後に重大な影響を持つもので、従つてどもが審議する上にこれの内容についてお伺いすることは当然だろうと思う。私は十日間かかつておやりになるというのでしたならば、私どもは十日間お聞きしたいと思う。  どうか一つゆつくりとおやり願いたいと思うのです。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  94. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は会期等の見合におきまして、岡田さんの賢明なる御考慮を願いたいと思うのであります。
  95. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今長官にお伺いしたら説明するとおつしやつた只今会期を考慮してその賢明なる岡田さんに云々とおつしやる。併し私はこういうものはこの法案の審議に必要なものであると考えるので、やはりこれはお伺いして、又その過程において質さなければならないものは質さなければならないと思うから、とにかく十日間おやりになるというのですから、私どももそれに応じまして十日間お聞きするつもりでございますから、どうぞ一つお願いいたします。(笑声)
  96. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 御説明の申上げようによつては時間がかかつて困りますので、そこでこれは御参考までに申上げたのでございますが、私が申上げることもこの内容で尽きておるのです。  それで一つここをお読み下さいまして、おわかりにならないところをお聞き下さるということにして頂いて如何ですか。私はもとより申上げるという意味において提出しているのでございます。
  97. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は只今これを受取つたんであります。実はまだ読んでおらない。  そこで先ずお伺いいたしましてそこで質問したいと、こう考えるのでございます。一つこの点につきまして、若し会期等の都合もあると、こうおつしやりますれば、何も十日は必要でございません。一時間で結構ですから一つ説明願いたいと思います。
  98. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) それでは私より大臣に代りまして申上げます。北海道総合開発計画要綱参考でございますが、参考となつておりまするが、これは審議会に諮りまして、この要領で地についた計画を順次立てて行こうと、こういうふうに申合せが相成つておるものでありまして、この点を御承知願います。従いまして地につきました案はこの方針にのりまして現在順次やつておるのでありまして、その一部といたしまして石狩流域の、お手許に差上げてありますこの計画はできたのでありまするし、二十六年度に二千万の予算がありまして、地域計画も或いは地下資源計画も地についたのをやろうと考えておるわけであります。従いましてこの参考案は地についた案とまでは行つていない。即ちこれは地についた案はこれに則つてこれから順次作つて行くのでありまして、要するに文字通り大綱ということにあらかじめ御承知願いたいのであります。それでこの要領といたしましては、目標といたしまして昭和三十一年度におきまして増加人口を二百万程度先ず期待すると、それで考え方といたしまして、これは期待すると言いますのは、無理矢理に昔流に人口を植え込もうというのでありませんで、産業状態及び道民の福利増進を図る施策を、つまり基盤を持ち上げる、基本施策を主として力を入れまして、そうしておのずとその経済力の発展及び住み心地よい北海道の基礎を作りまして、おのずと人口が殖えて行くというように仕向けるというのが根本構想であります。それで従いましてこの中に書いてあります重点施策といたしまして、北海道は現在電力が非常に不足しておるというのが産業発展の非常な、最も根本的なる欠陥になつておるのでありまして、ここにお手許に三頁に、この北海道総合開発計画要綱参考の重点施策、水力に最も力を入れる気持で、目標の数字もこれに掲げてある次第であります。それから鉄道北海道ではまだ、例えば札幌を中心にいたしまして放射線の鉄道はあるのでありますけれども、それを繋ぐ円い形にする線路が余りないのであります。その他鉄道のレールのポンドも軽くありまして、輸送力が少いというような点、ともかく鉄道というものは一番力を注ぐ次にといいますか、これ又重点的にやらなければならんものでありまして、この計画をここにずつと列挙いたしてあります。これだけの線路はどうしても作りたいというのが四頁に書いてある次第であります。  それから次に道路の類でありまするが、やはり交通をよくしませんと、農業の開発その他につきましても、先ず道路を先につけまして、それでその道路に沿いましたる農地の改良をやるということでないとうまく行かない。これはもうすでに長い経験済みのことでありまして、道路につきまして五頁に書いてあるような次第であります。  次に港湾につきましても小樽、室蘭、函館、釧路と、ここに列挙しております。この次にやらなければならない。それから河川も御存じのように、北海道は原始河川に類したものが非常に多いのでありまして、例えば年々雪融けその他で洪水が出まして、そのために土地を剥ぎ取られるものが、はつきりした調査はまだございませんが、相当例えば町歩に直せば換算される見込でありまして、これは一例でありまするが、さような状況でありますからして、特に河川の改修も力を入れなければいかん。  次に住宅でありまするが、現在北海道はああいう寒冷地であるにもかかわりませず、大体におきまして暖かい地方にある掘立小屋類似の家が大変多いのであります。これをいわゆる寒地住宅に切り換える方策を考えなければいかん。それには資材を安く寒地住宅向に提供いたしますとか、特定の住宅に対しては国家援助をするとか考えなければいけない。又電気通信でありまするが、北海道にはまだ電燈がない村も相当あるのであります。それでかようなことではいかないので、その施策を練らなければならないけれども、広い面積でありますからして、いわゆる経済的理論におきましては、現実になかなかむずかしい、国策でやらないとなかなかつかないのであります。  次に農業でありまするが、これはもう北海道開発は従来農業が非常に中心になつておりました。今後は農業のほかに商工業にも力を入れなければなりませんが、何といいましても、農業は今後におきましてもその中心的なものと思うのでありまして、その目標を八に書いたわけであります。  次に林産、これも北海道の林産の面積は、全国に比べまして非常に優位を占めておる。水産におきましても、マツカーサーラインその他がなくなりました今日におきましても、非常に重要なる部面を占めておる。それから選つて、これもその重点的なものをここに列挙しておる次第であります。  次に方法といたしまして、縦割の電気とか森林というような計画をやることもこれは勿論必要なのでありまするが、地域的の関係、即ち石狩地域、天北地域、紋別地域、さような地域は、大体一単位の経済関係になつておる地域でありまして、そうして又横の線におきましてかような石狩、天北の地域的総合計画を併せ立てる必要がある。それで特に石狩地域、天北地域、紋別地域のような地域的な総合計画を地におろす意味におきまして、二千万円の調査費も特に重点的にかような意味において使つておる。その他十四頁にあります地下資源の開発、鉱業の振興、これにつきましてはやはり二千万円の調査費を以ちまして、地下資源の開発の地につく調査を二十六年度において着手しつつある状況でございます。計画といたしましては十カ年の計画といたし、そうして初めの五カ年を第一期、次を第二期ということにいたそうと考えておるのであります。経費につきまして、財政支出国費分は、総額この当時の目標でありまするが、千五百億を目途とする見当に、これは二十六年一月の見当でありまするが、一応立てたのであります。この数字のごときは、併しながらその一月当時の大綱でありまして、なおこの数字につきましては、見当と御承知おき願いたいのであります。先ずかような大綱の方針は、審議会といたしましても完全一致いたしておりまして、併しながらこのプラン、大綱だけでは、実際問題としてはこれを地におろす、このままおろすわけには行かないのでありまして、それを現在地におろすべく鋭意努力している次第でありまして、この点御了承願いたいと存ずるのでございます。
  99. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 只今岡田次長から極く簡単な御説明があつたのであります。これを一々この方式につきましてずつと御質問いたしますれば、それこそ十日かかるだろうと思います。併しどうも十日かけるわけにも行きそうもありませんので、二、三お伺いしたいと思います。  先ず第一に、昭和三十一年度において増加人口二百万人程度を期待する、五カ年のうちに二百万人殖えるわけであります。この五カ年間に二百万人の増加は、自然増どれくらい、そうして又産業開発等に伴う、或いは開発計画に伴う内地からの人口移動、そういう点についてどういうふうにお考えになつているか。
  100. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答えいたします。内地から幾ら、自然増が幾らということも尤もでありまするが、大体現在人口四百三十万あるわけであります。それで現在のと、それから殖えますのと加えまして、農業の包容力が何ぼ、工業の包容力が何ぼという大体の想定を立てているのであります。それで例えば農業におきましても、三十一年になりましても先ずいいところ七十万から八十万の人口包容力がいいところだろう、工業におきましてはどのくらいがいいところだろうというような、具体的な見当はつけておるのであります。で、内地から何ぼ引張つて来る、或いは自然増が何ぼという考えもさることでありまするが、重要な業態別産業の振興状況を想定いたしまして考えている次第でございます。
  101. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 業態別産業人口の構成が昭和三十一年度においてかように相成る、こういうことになつて参りますというと、その業態別産業人口の基礎をなす産業の大きさというものが、これが想定されておらなければならんわけであります。その人口の基礎となるべき産業の構成が、今日からどういう変化を遂げて、どれだけの人口を吸収するかということがこれ非常な大きな問題であろう。その場合におきましてマイニングがどれくらい殖えるか、インダストリーがどれくらい殖えて行くか、或いは水産においてどれくらい殖えて行くかということについて、現在と三十一年度におけるその比較をお示し願いたいのであります。
  102. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) 後刻すぐ調べまして御答弁申上げます。
  103. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、この第三頁における電力の問題であります。これは当然総合開発には非常に必要なことであることは私が申上げるまでもない。でここに水力が四十万キロワットを目的とし、火力が三十万キロワットを目的としておるのであります。そして水力につきましては二十七年度から十万キロワットの増加を見越しておるのであります。この五カ年間における十万キロワットの増加は、これは相当な発電所が、水力発電所が設けられなければならない。そうしてその水力発電所がその年度内に完成をすることを目的としておる、完成をすることを前提としておるわけです。そこでこの五カ年間におけるところの水力発電所をどこにおいて、どういう、どれだけのものが出されるか、そしてそれが何年度内に完成するかということについてお答えを願いたいと思います。
  104. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) 先ほど全体におきまして申しましたごとくに、これは大綱及び目標をきめたものでございまして、只今これを極力この目標に到達するように、或いはそれ以上に行くように、如何にして地に着く計画を立ててこれを推進すべきか、ただ計画だけでは我々といたしましては職務が、御奉公が務まらないのでありまして、実行に移さなければならぬ。その意味におきまして各角度より検討をいたしまして、只今お答えができますような意味の案を作るべく鋭意努力中なのでありまして、この点を御了承願いとう存じます。
  105. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 先ほど増田長官お話ですと、これを基礎にして予算を獲得する、二十七年度予算獲得の基礎にされておるようであります。二十七年度予算獲得の基礎になるべき数字が、今あなたの言われたようなこれから作るものである、目途がないと、こういうことではどうも私ども納得ができない。その点につきましてなお私は十分に、少くとも二十七年度から三十一年度までに十万キロワットの増加量、これは百万キロワット出せというなら非常に困難でありましよう。十万キロワツトの増加量を出すくらいの計画は、大体開発庁次長はおわかりになつていなければならんと思うのであります。どうかもう一遍お打合せになつてお答え願いたいと思います。政府委員(岡田包義君) お答え申上げます。この水力の一つといたしまして、二十六年度には幾春別のダムを建設いたし、水力を起す具体的の計画を立てまして、これは予算に計上いたすことができます。それからその他いろいろ考えがないわけではないのでありますが、そもそもかように御承知願いたいのであります。この計画は国費、特に公共事業費でやりますのみの計画を樹立いたしてここにはおるのではないのであります。ここに書いてありますのは、公共事業費でやることもあり、それから民間でやつてもらうこともあり、民間といいましても、一般の金融でやつてもらう、或いは財政金融でやつてもらう、それに国費を注ぎ足すとか、いろいろやり方があろうと思うのであります。それで金でいいますと、国費、民間その他を合せましたいろいろな角度、それから事業体に行きますと、農業、水産、林産、鉱業とか、あらゆる角度、いわゆるこれは総合計画の案であります。それで現実に今度の開発局で、結局それに関連する御質問と思いますから先走つてお答えするわけでありますが、開発局で扱いますものは、開発庁におきまして国の公共事業費を、開発のための公共事業費を計上いたしております。開発のための国の公共事業費はこの中の一部分に過ぎないものであります。そのうちの直轄事業に関するもののみを開発局でその現業をやらしめよう、こういうのであります。それで水力にいたしますと、幾春別のごときは農業水利に関しまして、ダムの類は国費でやるように特に計らつて頂いたのでありますが、原則といたしまして、水力は今度分れました北海道水力発電会社でやるのでありまして、現在の建前は直接国費を投入するものではございません。それで間接、バツク計画を立てまして、間接推進を現在の建前におきましてはやるわけであります。これを今後間接推進でいいか、そうでなく特に国の直轄、或いは直轄的な方法でやらなければならんかという点も問題であると思うのであります。かような点なかなか地におろすとなりますと、責任を持つて考えます以上は早くしたいのでありますけれども、時日を多少取らざるを得ないという事情も御了承願いたい次第であります。
  106. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の次長のお話でありますというと、とにかく三十万キロワットの増加については民間とそれから直接国営部分とがある。そういうお話でありましたが、それが総合されるから総合開発計画、従つてそれがわからんということで、国費の分だけはわかつているからやるというのじや、前に掲げた、その産業人口を想定した三十一年度の人口増加の大目標というものについては、これは出て来つこはない。そこで私は一体総合開発計画というものは、あなたがたはどうお考えになつているか。その根本問題からお聞きしなければならんことになつて来た。一体総合開発計画の概念というものは、国営事業、或いは国家で自分でやることと民間でやることと、それも又いろいろな形がありましよう。又地方自治体でやることもありましよう。それらの事業全体が合わさつて総合開発計画となると思うのであります。そういう点について北海道開発庁において総合開発計画というものの根本概念をどう考えておられるか、先ずそこからお尋ねしたい。
  107. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答えいたします。この総合開発計画は我々の考えておりますところによりますと、このやります主体は、国が主体の場合もあり民間が主体の場合もある。民間といいましても個人もあり会社もある、自治団体もあるわけであります。又金にいたしましても国費もあり民間資金もあり、民間の資金のうちでも財政資金もあるわけです。ところでこの案をこしらえまして、そうしてこれだけ如何にしてもやるべしと義務づけるということは、これは現在の考えでは如何かと思うのであります。この目標を立てましたからには、目標があつても到達してもいい、到達せんでもいいというのではありません。極力この結果を生むべく努力はいたすのでありますけれども、強制的に必ずしも民間はかくすべしということはできんわけであります。そこを按配いたしまして、プランを強力に、政府の権威を持つて立てまして、そうして民間の人はやはりこの方針に協力して欲しい、それに対しましては法の許す方法におきまして、又政府の実力の許す方法におきましてこれを極力援助、バツク、推進する。民間に対しましては、政府のほうにおきましては極力これに合うように財政支出をするように努力する。かようにこのプランを目標にいたしまして、あらゆる角度よりこの目標に到達するように樹立計画も立て、推進をしてそうして実行に移すと、かように考えておる次第であります。
  108. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の岡田次長のお答え全般は、総合開発計画は誰がやるかというその機関を羅列しただけでありまして、総合開発計画の性質というものについてのお答えではなかつたように思うのです。私がお伺いするのは、総合開発計画というものは、やはり施行者はいずれにせよ、国全体の、その総合開発計画を施行する者の地位を考えながら全体を通じての一つ計画を立てることであります。そうして先ほど後段で言われましたように、それに基いて強制のできない分はいろいろな方法で推進をする。又国家みずからでやる部分はみずからでやつて、而もその総合開発計画の目標に到達するということにあると思うのですが、こういう点がはつきりいたしませんというと、国家でやる仕事の分量というものが定つて来ない。そうして又その仕事に基いてその先におかれるところの機関の大きさなり或いは又機能なりというものも定つて来ないように思う。そこで私は北海道開発法の審議に当つてくどいようであるけれども、その点から先ずお伺いしたわけです。もう一度あなたがたの考えておられる総合開発計画についての根本概念をお伺いしたい。
  109. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 岡田さんの御質問に対しましては、私も岡田次長がお答えした通りであります。重ねてのお尋ねでございますからお答えいたします。我々は北海道開発法に基きまして、北海道に関する限りあらゆる見地から北海道開発計画を作りたい。総合でございますからばらばらではございません。調和の取れた関係において作りたいと思つております。でございますから、事柄につきましても原案にはあらゆることを書いてあつたのです。「開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を」、こう書いてございまして、その他の資源を含むのでありますが、これは先ず大体昔はやつたような人的資源のことではありませんが、いわゆる物的資源のことを一切考えておるわけであります。それを開発するために立てた計画であります。すべての事柄にかかるというふうに御了解願いたいのであります。そうしてこの総合開発計画ができ上りました場合は、今度は第五条におきまして「北海道開発庁は、開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業実施に関する事務の調整及び推進にあたる。」そこで各省が事業実施いたします。又北海道という自治団体においても事業実施いたします。或いは岡田次長が言われました通り、金融関係でありますならば、銀行等も事務を実施するかも知れません。或いは特定の私企業者もいたすかも知れません。或いは水産業者もいたすかも知れません。そういう事柄についての事務の調整及び推進に当るわけであります。例えば水産行政について水産開発計画則つて農林大臣が水産業者、或いは水産各種の団体に、水産計画に則つた水産の開発をしてもらうためには、実施機関農林大臣であることは岡田さんよく御承知通りであります。その農林大臣に対してしつかりやつてくれというようなことを推進する、或いは何か喧嘩でもしておれば調停する、私ども自身は行政の執行の役目は担当しておりません。各省大臣がいたすのでありますけれども北海道の知事もいたします。又北海道における通産省もいたします。北海道における陸運局もいたします。北海道における国税局もいたします。北海道における海運局もいたすわけでありまして、ただ常識的に考えますと、北海道知事がやつているといいますけれども北海道知事ばかりではないのであります。あらゆる国の出先機関も現にやつておるのであります。又中央の各種の役所においても、その所管大臣北海道総合開発の一環を現に実施をいたしておる次第であります。私ども総合開発計画というものについての概念を大体そういうふうに考えておる次第でございます。
  110. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、次にこの開発局仕事でありますが、今の増田長官の言われました意味からいたしますというと、出先機関である開発局仕事というものが相当大きなものになる。こう考えてよろしうございますか。この改正法の第十二条によりまするというと、「公共事業費の支弁に係る国の直轄事業農林省運輸省及び建設省の所掌するものの実施に関すること。」こうなつております。更に第二には「国費の支弁に係る建物の営繕並びに公共団体、日本国有鉄道又は日本専売公社の委託に基く建設工事、建設工事用資材の加工及び建設工事用機械の修理を行うこと」。と、こうなつておる。ところが今のお話から行きますというと、例えば中央の大きいことは或いは北海道開発庁でおやりになるかも知れませんし、地方における例えば金融の問題なんかがこの総合開発の面から総合的に必要だということも、その機関としての北海道開発局でおやりになるようなことに今窺えたのでありますが、その点はそういたしまするというと、この十二条の規定と少々矛盾するように思うのであります。そういうこの出先における仕事の調整等の機関としての北海道開発局というものは、一体その性質上ここに掲げられてある以上の仕事をするようにあなたはお考えになつておるのでございますか。
  111. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私の御説明は先ほど申上げたところで御了解願いたいのであります。即ち先ほど申した通り総合開発計画を立てるのは総理府の開発庁である。そこでこれを実施に移すのは、広く言えば八千万同胞なんであります。小さく言えば四百、十万の北海道の道民なのでありまして、道民自身、一人々々が開発してくれなければならないのであります。そこで例えば陸運局だとか或は北海道鉄道管理局だとか、或いは海運行政をやつている海運局、或いは営林局とか、いろいろな名前を挙げたわけでありますが、即ち現地においても北海道全部だということを申上げたのであります。又中央においても各省がそれぞれやつているのでありまして、又各省ばかりだけでなしに、銀行もやつております。又私企業の大企業のほうもやつております。それから北海道の農業会のほうも北海道の水産業会のほうもやつているのであります。どうかこの実施事務は我々はやらないということをお考え願いたいと思います。我々はやらない。即ち総理府の開発庁はやりませんで、企画を立てるだけでありますが、しつかりやつて下さいと言つて事務を推進はいたします。第五条は何も執行しない、然らば一体北海道現地開発局は何をするか、現地開発局総合開発の一環の仕事をしたします。その一つのパート、一環をいたします。その一環の行政をいたします。ただ仕事をしてただ人に渡すということを昨日申上げましたが、現業をして、人に渡すのであります。即ち国道を作つて北海道知事に渡す、港湾を作つて北海道知事に渡す。で管理者は北海道知事、或いはこの場合で申しますと、北海道知事に国道と河川と港湾と、第十二条の二号の「国費の支弁に係る建物の営繕」、例えば何か国有鉄道管理局の建物を作つてくれ、こういうことは現在もやつているわけでありますから、営繕局というものがございまして、これを作つて国有鉄道に渡す。何かこういう仕事、こういう現業というと大工や左官のようでありますが、そのほかに一つあります。それは何かというと、第十二条の本文であります。開発計画の調査に関する職務であります。この調査も専管的にやるわけではありません。この調査は現地でも中央でもやる、農林省でもやる、通産省でもやる、商工省でもやる、陸運局でも海運局でも営林局でもやる。木下さんから水産委員長として御質問がございましたが、農林省関係して悪いということはございません。ただ私どもはあの二千万円の金を最も有効に調査費として使いたい。そして現業をやるところの開発局の人にその開発計画の下調べをやつてもらわないと、ただ中央でふんぞり返つてつても何もできないからここで調査をする。先ず行政に類似するといつたような仕事と言えばそれは調査でありますが、併しただ権利義務に関係あるというような調査は一つもしないわけなんです。要するに出先というのがたくさんありまして、陸運局然り、海運局然り、営林局然り、北海道知事も又然り、どうかさように考えて頂けばいいと思います。その点は実はこれは図に書いて申上げるとわかりいいかも知れませんが……。  それからもう一つ、第十二条の第二項でございます。「当該事務に関する主務大臣のみが北海道開発局長を指揮監督する。」北海道開発庁長官たる増田甲子七が現地の札幌に設けられた開発局長という者の指揮は、再調査に関する以外はいたさないのであります。どういうわけかというと、私は企画をするたけでありまして、総合開発計画を立てるだけでありまして、ただこの企画に基く事業をしつかりやつて下さいと推進はいたします。この第五条で、お願いいたしますというような意味であります。これをこうやれああやれと指図をするわけではありません。それで例えば建設関係につきましては建設大臣のみが、国道の建設について北海道開発局の局長の指揮監督をする。それから土地改良、国営の開墾或いは大規模の土地改良等は農林大臣のみが北海道開発局を指揮監督する、例えば横浜港といつたようなああいう港と性質を同じくする函館港や小樽港の建設については飽まで建設であります。港湾行政ではないのであります。建設をするのは開発局であります。その建設については運輸大臣のみが北海道開発局長の指揮監督をするというわけであります。総合開発局というふうにお考えかたもあるようでございますが、今度でき上ります北海道開発局は総合開発局ではございません。一元的にやるわけでも何でもございません。ただ内地で申しますと、東北地方建設局だとか、東北港湾局出張所だとか、或いは東北農地局というようなこの三つ仕事、即ちこれは国の直轄事業をするだけであります。その仕事を併せ行う現業的の役所であります。行政はいたさないということをどうぞ御了解願いたいと思います。
  112. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは昨日からの御説明で私もよく了解いたしているのであります。それから先程増田大臣の言われましたところでは、総合開発という概念に基いてこれが行われるもので、計画は中央で立てる。仕事は各省にやらす。北海道開発局というものはただ土木、農業、水産、港湾等々の仕事現地でやる。北海道の内部に起るこれら出先機関の間のいろいろな摩擦もあり、又その間に調整が取れないためにいろいろ支障が来てるということは、これは北海道だけじやない、内地においても各出先機関仕事の、何と言いますか、重なり合い、或いはいろいろな摩擦というようなことがある。そういうようなことを若し開発計画を、本当に総合開発計画を進めて行くといたしますならば十分避けて行かなければならん。先ほどの増田大臣のお考えから行くというと、そうして又この法律の文面から行くと、この開発庁計画を立てて、そうしてその開発局がそういう仕事をしなければならんように受け取られるようにおつしやつてつた。ところが具体的にお聞きすると、そうではない、一体出先機関におけるところのいろいろな機関仕事上の総記もあり摩擦もある、或いはその仕事の遂行についていろいろな不便が生ずるという、現地における仕事上の調整というものについてはどうお考えになりますか、それをお伺いしたいと思います。
  113. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 北海道開発庁の職責というものは第五条に、去年私が官房長官のときに、実はこの法律の主務大臣になるのやらならんのやらわかりません。私が開発庁長官になるというようなことは夢にも考えませんでしたが、北海道総合開発機構整備拡充ということはいつも力説していたのであります。いつもどんな立場に立つてもこれは多年力説していたのであります。その際にも申上げましたが、岡田さんの御質問のように、第五条の総合開発機構の事務の実施についての調整をする、それらの仲違いとか、或いは調整が取れないというようなときには、私が出かけて参りまして、現地の局につきましても中央の局につきましても、喧嘩しないでやつて下さい、一元的にやらなければ能率が挙らないというように私ども考えております。飽くまで政府に各省があつて、そうして各省間でそういうふうな調整が取れて行くように、そういうときには第五条にある開発庁長官たるべき者が役目を果すという仕掛けになつているわけであります。
  114. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 今の問題に関連いたしまして増田さんにちよつと申上げたいのでありますが、第七国会で北海道開発法の審議があつて、今の第五条のこれが問題になつたときに、増田さんはこういうことを言つておられるのです。事業を直接のTVAように営むことは、各省の事務当局の間においても意見の扞格もあり、各省の事務当局の微妙な経緯等がある。これは練達なる赤木さんの御存じ通りでありまして、この事業を遂行することはやめておこう。併しながら計画だけはここで立てようということにしたというお言葉であつて、つまり開発庁だけは作ろう。併し今度問題となつておるような開発局のようなものは作らないほうがよいという御趣旨だつたと思うのですが、如何ですか。
  115. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 波多野さんにお答えいたします。北海道総合開発についての国家的統合開発行政機構整備充実ということは、すでに昭和二十年の秋から問題になつてつたのであります。そこで本当は北海道だけはこれは一種の拓植という言葉さえ現在存在しておるのだから、実は公選知事を作つていいかどうかということさえ問題になつた事態がございます。これは波多野さんも御記憶だと存じます。そして私としてはいつも強力なる北海道総合開発国家行政機構を作る必要がある。つまり地方だけには任されない。国家全体の総力を挙げて北海道開発して、そうして八千万同胞の生活の安定向上を図る必要がある。終戦後どうしても我々の、行政として主として歳出の面で力を入れるのは北海道開発である。これはまあ私は殆んど各党各派を通じての国策であると、こう思つております。国策であるというからには地方策ではないのでございます。地方自治策ではないのでございまするから、国の行政機構整備充実する必要がある。それからだんだん閣議決定に基いて開発審議会等を作つてだんだんやつて参りましたが、去年のところはあの程度しか落着けなかつた。そこで私は実は余り満足いたさないといつたような意味の御回答を赤木さんに申上げたような記憶がございますが、まだこんなことかという話も相当つた次第であります。今日でも実は中央の開発庁北海道TVAでございませんが、先ほど来岡田さんに縷々御説明申上げました通り、企画を作る。そうしてその企画を作つた以上は農林大臣建設大臣もその企画に則つてそれぞれの事業執行をして欲しいという推進をする、これだけの役所であります。将来はどうなるか、私どもとしましては、私の私見もございますが、この際政府の意見というところまでなつておりませんから申上げかねますが、あれが一番いいのだというふうにまでは考えていないのであります。
  116. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 ちよつと私の質問に対してずれておるのですが、お答えが……。というのは、この開発庁の下に今度開発局を作る。これが実施機関なんです。実施機関としての開発局を作るというところに来たわけなんですが、この開発局の指揮監督をするのは農林大臣建設大臣、運輸大臣等である。各省が出て来てこれを指揮監督する。そういうことをやりますと、各省のセクシヨナリズムの弊がそこに現われて来て、そして事業の円満な遂行に非常に支障が起きることは、これは練達なる赤木さんの御存じ通りであると増田長官は答えられたと思うのです。そう思うのです。この速記録を読んで見ますと……。今度開発局を作つて三つの省がこれに手を伸ばして行くということになつた場合に、去年心配されたようなことはもうなくなつたかどうかという点なんです。
  117. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 去年の御質問は、これは先ほど私がお答えした通りなんです。即ち開発庁増田がTVAの長官になる、北海道総督になるというような趣旨も大分あつたのですが、これはほうぼうからございましたが、私は開発庁長官という立場から、北海道のそれ以外しか現在の段階においてはまあできない。こういうような意味で赤木さんの御質問も、私が北海道における建設事業関係のみならず、農政についてもあらゆる行政を所管して、先ほど来この合同審議会においても問題になつております通り北海道大臣になつたらどうだ。そうすれば農業に関しても北海道大臣が専管する、内地だけを農林大臣がやる。建設関係北海道大臣がやれば、青森県から鹿児島県だけを建設大臣がやる。こういうようなことはなかなか……、これは事務当局の微妙な運営ということは、そこまで事務当局が権限を委譲するというところまで行きませんし、私もまだそこまで自信が持てる状況ではございませんが、飽くまで中央に設けんとする、皆さんの主張によつて設けられましたが、設けんとする開発庁の権限の問題……、TVAみたいな強力な権限を与えるかどうかということに対する答弁でございます。
  118. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 それでは改めてお伺いしますが、先ほどから問題になつておる点に関連しまして、開発局三つの省が出て行つて指揮監督するわけなんですが、その場合にセクシヨナリズムの弊が現われて来て事業遂行上円満を欠くといつたような懸念は全然ないのですか。
  119. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) これは波多野さんのよく御存じ通り、現在でも指揮監督は或る程度しておるのです。そこが法律のあいまい模糊たる関係になつておりまして、北海道土木部がありまして、土木部長以下皆私の部下になつておる。併しながら系統がら申しますと農林省から出て行つた地方事務官もあり、建設省のほうから出て行つたかたもあります。それから運輸省港湾関係から行つたのもあつて、現在すでに寄り合い世帯みたいなものになつております。今後もそれぞれをただ知事が指揮監督をするらしい。こちらもするらしいが、どうも向うもするらしいというようなことで、結局国民的事業としてやる以上は国会の皆様が、知事が指揮監督をしておるにもかかわらず、地方自治に任されてありますというと、各省大臣の言い付けを聞かなかつた場合には裁判所に訴える。そういうようなことではいけないから、皆さんから直接ここで、政府委員と言えば各省大臣のすぐ部下で、国家機関でありますので、そういう立場に立つて皆様から御指導を受けつつ皆様の国民的事業を行う必要がある。こういうふうに考えるだけでありまして、今の人がこちらに移る、そして事業事業は成るほど開発局長がそれぞれ指揮監督をします。その下に部が四つに分れておる。上を締括るものは一人の開発局長であります。これに事務管理能力、人事管理能力のある練達堪能の士を充てたい、こういうふうに思つている次第であります。
  120. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 新しくできる北海道開発法改正において、一体北海道開発庁或いは開発局というのが、実施機関であるのか企画機関であるのかという点について前々から疑問を持ちまして、過去一両日いろいろ御説明を聞いていたんですが、どうも今まで聞きましてもわかりませんし、更に今いろいろ繰返しての御意見を伺うと余計にわからなくなつたので、もう少しその点を御説明を願いたいと思うのですが、増田長官言つておられますように、北海道開発法の第五条では「北海道開発庁は、開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業実施に関する事務の調整及び推進にあたる。」ということでございますから、この限りにおいては企画官庁であるということは非常に明瞭だと思うのです。ところが第十二条の第一項によりますと「国の直轄事業農林省運輸省及び建設省の所掌するものの実施に関する」事務を司るということになつております。そういう意味では明らかに一種の実施官庁であると言つていいのではないか。そこで増田長官は繰返し実施官庁ではない、企画官庁なんだ、その意味においては初めの考えと一貫しているんだというようなお言葉でありますけれども、私はやつぱりこの条項によつてすでに開発局というのが実施官庁になつたんだというふうに考えることのほうが、この法文の解釈としては妥当である。こう思つたのですが、先ずその点をお伺いしたい。
  121. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 佐多さんにお答えする。その前にお伺いしたいのですが、開発局実施官庁になつたというのか、開発庁実施官庁になつたとおつしやるんですか。総理府の外局である開発庁実施官庁になつたというのか、それとも現地開発局実施官庁になつたというのですか。
  122. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点は開発局実施に関する事務を司るのですから、開発局実施官庁になり、そうして又従つてその上部機構である北海道開発庁そのものが実施官庁になつたというふうに考えていいのではないか。
  123. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) わかりました。開発庁も飽くまで実施官庁になりません。ただ調査はいたします。調査は現地開発局を使いましてそうして調査をいたす。現地開発局が調査をいたすのであります。それから私どももその調査を受け大いに机上において調査をする。現地の実地調査みたいなものはこの開発局実施をします。それで飽くまでも開発庁が本来の仕事としての企画立案の前提である調査事務をやるための現地開発局であります。それが兼ねてするのほか、これを兼ねてです。これこれのことをやる、これこれのことをやつた場合にはそれぞれの主務大臣のみが北海道開発局を指揮監督する。でありまするからこういうことになります。先ほど岡田さんにお答えしましたが、公共事業費の支弁に係る国家の直轄事業は、それぞれの大臣が指揮監督するのであつて国務大臣たる開発庁長官は、事業の執行については指揮監督はいたしません。調査については指図をいたします。従いまして中央の総理府の外局の開発庁というものは実施官庁ではないのであります。実施官庁になるということは大変なんでして、農林大臣と併立して実施官庁になる。そういうことは絶対にないのであります。建設大臣と並んで開発庁長官北海道建設大臣になつたわけではないのであります。
  124. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点ですが、私はよくわからないのですが、北海道開発庁の地方支分部局として北海道開発局が置かれた。その北海道開発局が実施に関することを司るんですから、従つて北海道開発局実施官庁になつたことは、同時に北海道開発庁実施官庁になつたことを意味するということは、論理的に争いはないと思います。そこで増田長官の言われたことは、その二項の問題は別な問題であつて、ただその指揮監督を誰がするかという問題になれば、開発庁長官は指揮監督はしないので、各省大臣が、関係の主務大臣の指揮監督をするということの関係で、その点で更に私疑問がありますが、先ずその点だけを。
  125. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 佐多さんが前にいらした安本は、これは企画官庁であることは明瞭であります。そこで経済調査庁というところは調査だけをする。但しほかの役所から、何かはかの役所が指揮監督をする事務を担当しておつたとします。そうしますというと、安本は実施官庁であります、そういうわけではございませんで、ほかの役所からの系統を引くところの仕事出先の経済調査庁がやつたにしても、安本が実施官庁になるわけではないのであります。そういう意味でここには佐多さんのいうような御疑問が起ることを実は予想いたしまして「のみ」という字が書いてある。私どもが指揮監督するのであつて、私ども実施官庁になるということは絶対あり得ない。何ら指図のできない実施官庁なんというのはおよそ日本法律観念ではない。
  126. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そこでおかしくなるので、指揮監督だけは主務大臣だけにやらしておいて、それから事務の実施を司つているのである、そういう官庁というのは例がないではないか。そのこと自体がおかしいのではないか。論理的にいつて機関の構成としてそのことがおかしいじやないかということを申上げた。
  127. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 開発局は司ります。併しながらこの開発局開発庁関係における事務は何かというと、調査の事務を司る。
  128. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 開発局が司れば、その開発局は第十一条で謳つている通りに地方支分部局であるわけなんですから、そのことは北海道開発局長が司ることを意味するのじやないか。ただ併し実施官庁でありながら、その長官が指揮監督権を持たないというのは日本役所の構成としておかしいのじやないか。一体そういうそれでは役所の例があるのかどうか。さつきは安本のことをお挙げになりましたけれども、安本はおつしやる通り実施官庁ではなくて企画官庁である。而もその指揮監督はほかからは受けない、こういうふうに考えていいのじやないかと思います。
  129. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私ども指揮監督は、開発庁長官の取扱う指揮監督は調査についてであります。それから或いは指揮監督をしない実施官庁というのは恐らく法律概念において私は観念し得ないと思います。そこで「のみ」という字を書いてあります。実施というからはこうもやれああもやれと言わないで実施ということはありません。これは支分部局として開発局に設置されますが、その間開発局に皆さん御議決下さる法律に基いてこれこれのほかにこういう事務を兼ねてやる、こういうわけです。
  130. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうもおかしいので、兼ねてやるのだから、実施に関することは明らかに司つている。そういう意味で実施官庁であることは明白なんです。併し実施官庁であるのだけれども、ただ指揮監督権を持たないという役所なんです。
  131. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) あとで法制局に聞いて見ますが、私どもはこの点については特に研究をいたしまして、又各省においてもこの点は非常にデリケートに考えておる次第であります。この点は確信を以て言える次第であります。例は悪いかも知れませんが、私どもの多少知つている関係で、行政警察、司法警察、昔でありますか、司法警察関係につきましては検事が指揮監督します。今はちよつと違います。昔は警察部長や知事は司法、警察関係を指揮監督することはできない。従いまして警察部長も知事も司法警察に対しては何でもない。まあこういうようなことがございます。
  132. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私は大分時間も経ちましたので、北海道庁長官に対する質問はまあこれでやめまして、前に戻りまして周東さんおいでになりませんか……、では周東さんに対する質問あとでお見えになりましたときに……。  それではもう一つ農地局長に御出席を願うつもりでおりましたが、農地局長がおりませんので、先ほど農林省の営農課長がおられましたが、おられますか……それでは一つ答弁願いたい。これは開拓の問題で、前に江田君が大分開拓では詳しく申上げたので私は特にお伺いいたしませんが、ただ一点こういう点についてお伺いしたい。前に開発営団ですが、あれが農林省の下で仕事をやつてつた。あの仕事がまあ一種の直営事業でやつてつたんですが、あれは非常にうまく行かなかつたために工事はし放しだ、あとに入つて来た、この入れた人たちの面倒はそれぞれの自治体で見る。それでその間に総合的なものがなくて非常にいろいろな弊害が起つたことは私申上げるまでもなくよく御承知のことだと思いますが、今度の北海道開発法に基いてやるこれを見ますというと、どうもそういうことが再び起る懸念が多いんじやないか、その点について前の仕事一体成功であつたのかどうか、ああいうようなことが繰返されることになりはしないかどうかという点について先ずお伺いしたい。
  133. 山添利作

    説明員(山添利作君) 営団等におきましていろいろ問題はあつたと思いますけれども、一番北海道で問題になりましたのは開墾の点でありまして、機械開墾をずつとやつてしまつた。ところが営農の努力がそれに伴いませんものですから又草が生えてしまつた、こういう点が非常に問題だつたわけであります。現在の開墾のやり方は、当初は非常に今まで、御承知のように急ぎました関係計画が十分でなかつた。ところが現在におきましては、先ず適地の調査から始りまして全体の開墾、営農の計画を非常に稠密にやつてかかります。その意味におきましてよほど改善をされているのであります。今後の問題と申しますか、例えば岡田さんの御心配になります点は、入植営農等については専ら北海道庁が責任を以てやる。然るに国営の開墾地区が今後できるのでありますが、それについての建設工事は国が直接やるということになれば、その間齟齬を来す。延いては入植者に迷惑をかけるようなことがないかどうかという御疑念があると思います。これは内地におきましても国営開墾地区におきましては建設工事は国がやる。そこに入ります入植者の方々の指導なり、世話なりは県庁でやつているのでありまして、多少まあそこには何と申しますか、連絡を密にしなければならん点は勿論ございます。これは双方連絡を密にして参りますならば、これが建設の支障になるというようなことはないと考えます。
  134. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあ多少あるということは、それはあることをお認めになつたんですけれども、実際内地の開墾状態は私もかなりほうぼうを見て歩いたのですが相当ある。それで農林省も大分お困りになつちやつて、あなたもお困りになつた例は幾らも知つておられるだろうと思うんです。それはなかなかその計画的に、自治体のほうの入植、それから営農関係仕事との調節というものは、今口で言われたほどうまく行かない。又行かないのが現状なんです。    〔委員長退席、内閣委員会理事梅津錦一君委員長席に著く〕 殊に北海道で以て現在一本になつてつているためにそういうことが、計画が十分に立つてつておられるものを、強いて分けて多少とも、まああなたが言われたんですが、多少ともわざわざここに混乱を起す必要があるか。その点をお伺いしたい。
  135. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは午前中溝口さんの御質問にもお答えしたのでありますが、それには長所もあれば短所もある。併し総合的に考えて見ますと、今回のような機構にいたしますれば、全体的に中央から力を入れるという傾向が一層強くなるだろう。又内地から入植した人もおりまして、人の素質というようなことも改善をされるだろう。その事柄は同時に又仕事の成果を挙ぐべきことになる、こういうように考えておるのであります。
  136. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもおざなりな答弁で、これは結局水かけ論になるからやめますが、ちよつとさつき江田君の質問に関連したことでお伺いしたいんですが、今度仕事を分ける、そうするというと国営開墾のほうに大分人がたくさん行く、そうして委託開墾のほうには人が少なく行く、こういうことになる。それに対する先ほどの御答弁では、国営開墾のほうはむずかしいのだから人がたくさん行くのだ、それで自治体にやらすほうは別にむずかしくないようなものだから人は行かないのだ、こういうような極めて簡単なお話があつた。ところが北海道は御承知のように内地と違つて非常に広い、仕事は簡単でなくても……大体ほうぼう出て行つて見れば仕事はたくさんある。行かなければならんところはたくさんある。それを僅かな人で今後自治体が、国から委託開墾をさした仕事をできるとお思いになるか。あれを北海道知事が国のほうから委託されて、あれだけの人間でできるとあなた方はお考えになつているか、その点をお伺いしたい。
  137. 山添利作

    説明員(山添利作君) 地区の数から申しますと、北海道が代行している地区の数が多いのであります。併しこれは現在の取扱方がそうなつているということでありまして、これを集合して、近くにあるものは一つの地区と考えればそれでいいのであります。そういうような点から申しますると、見かけほどアンバランスではない。従つてまあ新らしいことでありますからこれで絶対間違いないとは申せませんけれども、大体あれでやつて行けることだと考えております。
  138. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これは将来の問題ですからわからないんですが、まあ例についてちよつと私はバランスの問題を聞きたい。福島県ですね、福島では国営でも大分大きくやつておられる。あすこと福島県における委託代行の開墾と、そのかかつている人間の、自治体にかかつている人間、それから国営のほうでかかつている人間のその数、それをちよつとお示しを願いたい。
  139. 山添利作

    説明員(山添利作君) 只今資料を持ち合わせておりませんですが、北海道におきまする開墾等の事業を配置されております人との割合は、内地から見ますと、これ確かではございませんが、半分そういう程度になつております。
  140. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ちよつとその福島県の例を私聞いて見なければ北海道のそのバランスですね、一体あなたはできるとおつしやるのだけれども、目安がちよつとつくかどうかわからない。それを先ず調べてお示しを願いたい。
  141. 山添利作

    説明員(山添利作君) 後ほど……。
  142. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の点は今後地方自治体において人を殖やし、予算が殖えるかどうかという問題と関連すること非常に重要なんです。これはよほど明らかにしておかなければならん点だと、こう思います。それで安本長官もお見えになりませんし、四時になりましたから私はこれで質問を終えます。あとで安本長官がお見えになりましたらなお一点お聞きしたい。それから今の福島県の例について資料の御提示があつたら更に御質問したい、こう思つております。
  143. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 この開拓の問題について関連質問をさせて頂きたいと思います。頂いておるこの参考資料によりますと、開拓の問題が、僅かに僕の見る限り二行半ばかり、開拓は毎年四千戸程度であると、集団入植を図るというような、こういう資料しか頂いていないようですが、これ以外に資料を頂いておるのでしようか。先ずそれを……。
  144. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答えいたします。これは先ほど申しましたように、いずれも大綱、方針をきめたものであるのでありまして、その点は十分御了承願いたいと思います。それでこれを地についた計画に移すとすれば、この標準に従いまして別個にこの予算も兼合わせましたものを具体的に計画しているわけであります。さよう御了承願いたいと存じます。
  145. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 私がお尋ねするのは、資料をすでに頂いているのに質問をして、徒らに時間を経過させてはという老婆心からお尋ねしたので、それでは結構でございます。つまり総合開発計画というものは骨組であるという、今後詳細な科学的且つ総合的な調査をされるということを承知の上でお尋ねしたいと思います。それで頂いた資料というものはこれだけだということを前提にしてお伺いいたします。  先ず第一に、この開拓という問題は、あなたがたがこれから進められる上においてこれは大きな、どのようなウエイトを占めるか。つまり北海道総合開発計画の特殊性として開拓の問題は非常に重要なのか。例えば石炭を原料とする化学工業の発展とか或いは道路、林道その他による森林開発計画とかという……、世界の各国の例を見ましても、やはり一つの総合計画には特殊性があるのでございます。その開拓というものは、そういうような意味でどういうようなウエイトを占めているかというふうにお考えになつているか、ちよつと御説明願いたい。
  146. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答え申上げます。北海道におきます開拓は、この計画にも特に重点的施策といたしまして書いておることでもおわかりであると存じます。細目でいいますといろいろだくさん項目があるのでありますけれども、先ず主なる重点的なものをここへ大綱といたしましては列挙いたしたわけでありまして、特に北海道におきましては八十年の歴史を見ましても、開拓がその根幹をなしておるわけでございます。まだまだ今後におきましても開拓乃至土地改良は同じ関連性を持つておるものと存ずるわけでありますが、つまり土地改良開拓は要するに土地に関する問題でありますが、これは今後におきましても最も根幹になるものである。併しながら開拓農業のみでは北海道はなかなか人口を今後二百万とか更に三百万とか包容する能力は農業のみではなかなか出て来ない。幸いに石炭もあり、水力も起せば起きるのである。であるからして今後は農業のみで……現在は農業に殆んど専らと言つてもよいと存じまするが、さようなものではなくして、やはり併行的に工業にも重点を今後はこれは気を付けて入れなければならん。開拓農業をおろそかにする意味では毛頭ございません。かまうな趣旨に御了承願いたいと存じます。
  147. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 全体としての開発計画の問題に亘りまするといろいろ多岐に亘るのでありますが、関連質問関係上私は開拓だけに限定するのでありますが、全体としての計画のうち農業の発展、その農業の発展の中で開拓が占める位置は私は北海道の特殊性として非常に大きなものであるというふうに考えておるのですが、この提出されておりまするこの法案綱領によりますと、僅かに二、三行にとどめられて、毎年四千戸程度というふうになつておりますが、開拓の問題ですね、これはまだここで将来の開拓に対する大きな根幹的な説明はこの程度以上には拝聴できない、この程度しか練れていないのでしようか。    〔委員長代理梅津錦一君退席、委員長着席〕
  148. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) 申上げます。予算面その他でいいますと、要するに開拓土地改良は実際は一つのものと実施は大体において考えて頂いてよかろうと思いますが、この開拓乃至土地改良には例えば石狩流域の泥炭地の開発をこれに即応いたしまして、地についた計画を立てること、或いはお手許に調査書を差上げてあるのでもおわかりかと思います。先ず地についた計画をいろいろやりたいことが山積しておるのでありますが、先ず以て石狩流域の泥炭地五万町歩を対象にいたしました計画を立てまして、そうして二十六年度にその第一歩を踏み出すというこの一点につきましても、この開拓に関しまして具体的に本気でやり、今後ますますやろうということを一つ御了承願いたいと存じます。
  149. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 実はこういうお尋ねをする、心配いたしますのは、御提出の参考案に、現下の変転極りない国際情勢下において云々とございますが、やはりそれと関連して参るのでございますが、開拓がうまく進まないということは、問題を非常に経済的のみならず、政治的にこれが憂慮すべき問題であり、且つ私は経済安定のほかに引揚委員会に参加いたしておりますが、樺太方面から引揚げられたかた、それから外地から引揚げられた、農業の基盤を得られないかた北海道へ行つておられる。この開拓民の数、それから生活の状態、こういうこと及び今後の方針、今後の方針は今お尋ねしたので大体わかりましたが、若しお手許にすぐございますならば、簡単でいいんですが、開拓民が終戦後どのようにしておられ、現状がどうであるか、それの打開という問題と、この開拓総合開発計画とどういう関連を持つているかということをお尋ねしたいわけなんです。
  150. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) お答えいたします。御承知のように開拓昭和二十年から始まりまして、今日まで入植しております者が十四万戸に達しておるわけであります。これらの中には引揚者、戦災者、復員者という者が相当つておりますけれども、又農家の次、三男坊という者もかなりの数を占めております。この十四万戸の入植の趨勢を見ますると、昭和二十年から初めの年におきましてはかなり多数入つております。例えば初年二十年に四万、次が五万、或いは三万、その後ずつと落ちまして、年々一万戸ずつというふうに来ておるわけであります。この開拓の始まりました当初に、午前御指摘のありましたような情勢で、極めて不円滑でありましたけれども昭和二十二年の末あたりを契機といたしまして、開拓に関します行政の組織も整備いたして参りましたし、又必要なる予算も或る程度整備して参りましたので、その後の開拓の動きはかなり順調であると、我々内部の者は思つておるわけであります。今日開拓者の実情を見ますると、非常にうまく行つておりますものは、少くとも開拓者の意識におきましては、既存農村を凌駕しておるというふうに考えております。それからこれは大体一、二割の見当であるかと思います。  その次の大部分の者は、少くとも食糧の自給はできまして、この線をまじめにやつて行けば十分自立農家ができるという確信を持つておるわけであります。極く少数の者がこれはよたよたしておりまして、殊に外部から見まするとどうだろうかというような者でありますが、これらの者も極めて少数である。私の推測では一割程度であると、こう思つております。で通観いたしまして、開拓民の生活及び経営の状況は、逐年見違えるように飛躍して参りましたので、開拓に対する御心配はさほど要らないのじやないかというふうに内部の者としては考えておる次第であります。
  151. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 究極、この計画においては、あなたの専門的な御見解ならいえば、どのくらいまでこの戦争犠牲者又び農家の次三男という、いわば社会的な犠牲者、こういう人たちを救済するためのこの政策を含めての開拓を、現在は三十四万とおつしやるのでございますが、大体これはどのくらいまで行くという計画をお持ちでしようか。まだそこまではお考えになつていないのでしようか。
  152. 野田哲五郎

    説明員(野田哲五郎君) お答えいたします。現在農林省が持つております計画におきましては、開墾の総面積が百五十五万町歩で、入植者の数を三十四万戸、それから増反者の数を九十四万戸というふうに計画しておりまして、現在進んでおりますのは百五十五万町歩のうち百二十万町歩の土地の買収移管が進んでおります。それから入植戸数といたしまして十四万戸の者が入つております。それから増反者にいたしまして、五十万の者が増反しておる実情でございます。
  153. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 最後に、大体わかりましたが、増田大臣一つだけお伺いしておきたいことは、我々が憂慮いたしますのは、大臣のほうから出しておられるこの要綱にもございますが、転変極まりない国際情勢ということの書出しになつておりますが、この北海道開拓民が再び満蒙開拓義勇軍の危険を繰返しはしないかということが憂慮されるのであります。それはつまり経済的に本当に条件のない、つまり社会的な意味で、社会組織の関係から不可能であることを、補助金、それから公共事業の使用人というような形でやつて見ても、結局は資本主義制度のためにこれが十分な経済的な花が成熟をしない。これがフアシズム的な政治の手先に使われて再び満蒙開拓義勇軍の危険を繰返しはしないかという点が憂慮されるのでございますが、そういうような点は総合開発計画としてはどういうふうに考えておられるか、これを大臣にお伺いいたしたい。
  154. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 兼岩さんにお答え申上げまするが、御承知のとく我が民主主義的政治機構はフアツシズムではございません。従つてフアツシズムや共産主義の餌食になるといううことは絶対考えられないのであります。
  155. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 いや、僕の憂えるのは、これがつまり経済的な、正常な自立的な農家として発展できないのを、公共事業の面、それから補助金等の面でやつて見ても、経済的な裏付けがない結果としてそういう形になりはしないかと心配されるが、そういう点にいてどういうふうに、今後の総合開発計画としてはそういう点についてどういう配慮を持つておられるかということをお尋ねしたいのです。
  156. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 兼岩さんは観念論的に資本主義的の経済組織であるということになると、何か経済的の背景や基礎がないというふうに前視されておつしやいますが、満洲における開拓移民といえども、他の武力侵略等によつて餌食になりましたけれども、資本主義の餌食になつたわけではございません。北海道においても全然そういうことは想像いたさないのであります。
  157. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 先刻の佐多委員の御質疑に対しまして、法務府の法制意見第二局長林君が説明をいたします。
  158. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 佐多委員の御質問にお答えいたします。実は私直接お伺いいたしませんでしたので、或いは御質問の趣旨に副わないお答えをいたすかもわかりませんですが、その場合には重ねて御質疑があればお答えいたすつもりでございます。  第一は私伺いましたところでは、この北海道開発庁の支分部局である北海道開発局が建設省、或いは建設大臣、或いは運輸大臣農林大臣の指揮監督を受けるのはおかしいのではないかということと、第二には、この北海道開発局がさような一つ北海道開発事業実施事務を担当する結果、その本庁であるところの北海道開発庁実施機関というような性格を持つようになるのではないか、こういう二点だと伺いましたのでございますが、大体そういうことでございますね。  それでそれにつきまして第一の点でございますが、北海道開発庁北海道開発法によりまして北海道開発計画の企画、調査、或いは実施の推進ということが、開発法によりましてその権限並びに所掌事務として規定されております。でその北海道開発庁の支分部局として北海道開発局は、一応この本庁の仕事の範囲においてやるのが一応の原則でございます。これは十二条でございましたか、新らしい条文の本則にも書いてございますが、そのほかに北海道開発局は現地において開発計画を実行いたすために、特に建設省或いは農林省運輸省仕事をこの開発局にやらせると、こういう建前になつております。従つてそのやらせる範囲において、各主管大臣が指揮をいたすと、こういう建前になつております。この建前は、従来ほかの行政機関につきましても取られておつたことでございまして、一例を申上げるならば、大蔵省の支分部局に税関がございますが、その税関は本来関税の賦課徴収等の仕事をやつておりますが、そのほかに現在輸出輸入の貿易に関する事務をやつております。これは外国為替及び外国貿易管理法によりまして、通商産業大臣がその仕事の一部を税関に委任できることになつております。又委任いたしました場合には、通産大臣は税関長指揮監督する、こういう規定を外国為替及び外国貿易管理法第五十四条に規定しております。かような例はほかにもまだ二、三あるのでございまして、この点は従来の例から申しまして、北海道開発庁の支分部局である開発局を、ほかの大臣が自分の主管事務について指揮監督するということは、必ずしも異例ではないと存ずるわけであります。もう一つは、開発局実施官庁になる結果、その親であるところの開発庁実施官庁たる性格を持つのではないかというお尋ねであつたと思いますが、これは只今申上げましたように、北海道開発局は開発庁の支分部局でございますが、只今申上げた開発計画実施につきましては、建設省運輸省或いは農林省仕事を、農林大臣建設大臣、運輸大臣の指揮監督を受けてやるのでございまして、この点につきましては開発庁自体の仕事の下をやるわけではございません。従つて開発局は、今税関について例を申上げましたが、税関が輸入輸出の貿易の仕事をやるからといつて、大蔵省がその権限を持つわけではございません。通産大臣の権限の一部をやる、そういう意味におきまして、同様な意味におきまして、親である北海道開発庁が、この子が権限を持つために当然にその子の権限をやるということにはならないとかように考えております。
  159. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 一つの例をお挙げになつたんですが、これは税関の例で、税関は今の御説明にもありましたように、大蔵大臣が主として指揮監督をして行く。長官がやつている一部の仕事をば、即ち輸出入事務を委任するといいますか、代行する、その限りにおいて指揮監督をするというような形になつているのであります。これはそういう一部を便宜的にやつて行く問題ですが、問題は、ここに掲げられておるのはそうでなくて、支分部局として北海道開発庁の支分部局であり、而も支分部局が実施を担当しておりながら、その長たるところの開発庁が何ら指揮監督権を持たないで、外から来た各省大臣のみが指揮監督をすると、こういう例があるかどうかということを聞いておるのであります。
  160. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 北海道開発庁は、北海道開発法第五条によりまして「開発計画について調査し、及び立案し、並びにこれに基く事業実施に関する事務の調整及び推進にあたる。」かような規定でございまして、実施事務それ自体は一応担当しておらないわけでございます。これの支分部局といたしまして、北海道開発局はその調査事務の一部を分掌しおるわけであります。そのほかに各省は一応持つておりますところの仕事の権限を、北海道における、現地におきまする仕事としてこの北海道開発局にやらせる、こういう例でございまして、多少事務の範囲に大小はございますけれども、例といたしましては税関の場合と大体同様である、かように考えておるわけでございます。
  161. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 御説明通りに、第五条においては、明らかに私も企画官庁であることは承知しております。ただ新らしく改正された十二条によつて、その支分部局が実施官庁になつたんであります。そうなればそれの上級の、上級といいますか、それを統轄しているところの北海道開発庁自体が、その一部として持つているところのものが実施をやるならば、北海道開発庁実施官庁になつたということを意味するんじやないか、こういう意見なんですが
  162. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 私ども立案に当りましたものといたしましては、一応年額に分けまして、やはり計画事務が北海道開発庁の本来の仕事であります。実施事務につきましては現在のところ各省の責任になつております。これを又北海道開発局に、別の理由を以ちまして現地における総合実施という面から開発局にやらせる、こういうふうに考えておりまして、従つて本庁と開発局の間におきましては直接の実施事務につきましては関連はない。又関連はなくそうと考えて立案した次第であります。
  163. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 ちよつと関連して……。そうするとこういうことになるのですか。建設省建設省の執行する事業建設部でやつておりますと、建設大臣は実行上の予算が適正に行われているかどうか、その設計上間違がないかというような点を、建設省が監督する場合に、出先の責任者は建設大臣建設部長へ行くのであつて、局長へは行かないということになるのですか、具体的にお尋ねしますが。どういう関係になるのですか。監督上の関係ですね、明確にそれを……。
  164. 林修三

    ○政府委員(林修三君) それは、北海道開発局長は今申しました実施事務全体についての責任者でございますから、建設大臣開発局長を通じて建設部長を監督します。
  165. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一つ。若しもその設計上及び予算上、公正ならざるやり方が……、まち過ちを犯したという場合においては、長官は責任をとらないが局長が責任をとる、こういうふうに逆に言えばなるわけですか。
  166. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 建設大臣から委任を受けました予算の範囲内におきましては、開発局長及び建設大臣ということが責任の系統に相成ります。
  167. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 次に農林事務次官山添君から、先刻の江田君の質疑が残つておりますので、それに対しまして説明があります。
  168. 山添利作

    説明員(山添利作君) 落ちましたら又言つて頂けばお答えいたしますが、江田さんの御質疑の点は、開拓の事務等については国費である。それを北海道なり自治体が使えるかどうかという御質問であつたと思います。これは自治体たる北海道は勿諭使えません。そこで北海道には国の官吏である、まあ官吏が配置してあるわけでありまして、今回その定員の一部を開発局に移しますけれども相当員数が北海道庁にやはり残されております。その官吏が国費を使うのでありまして、これは現在のやり方の通りただ金の額が従来のようにまるまる行かない、こういう関係であります。従つて法規上は問題ございません。
  169. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと私がお尋ねした点のお答えと多少違う点があるのであつて、私がお尋ねしたのは、国の事業を一千町歩を上下にいたしまして委託代行させる。そうすると委託代行させる場合には、これは開発庁長官がしばしば言われましたように、そういうときには内地と同じようにするのだという原則でやつておるのだということでありましたが、若しそうなるというと、内地と同じようにするならば委託料というものが出なければならんじやないか。或いは又補助事業にしても、例えば開墾作業であるとか、或いは入植の施設等の指導監督等に当りまして一つの金が出るわけでありまして、そういう二とは一体どうなるのか。若しそういうことのために経費が要るということになると、予算を追加予算を組んでやるのか、或いはそうでなしに事業分量を減らすことになるのか、その点はどうなつておるか。この点であつたわけであります。
  170. 山添利作

    説明員(山添利作君) 開拓計画に関する費用でありますとか、或いは建設工事に伴う事務費的のもの、まあ雑費を含む経費、その他附帯事務費等はそれぞれ現在予算に計上されております。これを本年度におきましては従来通り国費そのものとして、内地におきましてはこれが代行料という名前でありますが、本年におきましては北海道につきましては国費そのものとしてそれぞれ計上してあります経費を交付するわけでありまして、先ほど申しますように、名前は違うけれども、実質上はそこに支障はないと、こういうわけでございます。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)
  171. 江田三郎

    江田三郎君 そうすると、少い数であつても私違つて来ると思うのでありまして、大体代行料のほうは、まあ内地の場合は八%でありますが、そうすると附帯事務費として組んでおる中で代行料八%を出して行く。併し同時に国が直轄でやるところの事業については国自身の附帯事務費というものは要るわけなのです。そのほかに内地通りにやると、開墾作業とか、入植施設の指導監督等の補助が、これに対する金が又五%出るわけです。そういう計算をして行くと、ここに書いてある予算では、附帯事務費では計算が合わなくなつて来るわけです。北海道内地通りにはやらんのだというならば別問題でありますが、増田大臣のように内地通りにやるのだということになると、どう計算しても私は計算が合わなくなるからそれだけのものは追加予算を組むか、事業を減らすか、或いは内地と別個の方法でやる。内地と別個の方法でやるというならば、ちよつと建前が崩れて来るわけでありますから、そこでお尋ねしておつたわけであります。
  172. 山添利作

    説明員(山添利作君) これは現在組んであります予算事業量に見合いまして、北海道庁、道庁と申しますと語弊がありますけれども北海道のほうに廻わすのと開発局に廻わすのとあるわけでありまして、これは内地と同じシステムをとるという意味ではございません。そこはおのずから予算で今組まれておるのを使つて行くという考えであります。然らば将来どういうことになるか。これは将来の問題といたしましては、道庁に残つております官吏の人は明年からは恐らく全額補助の道庁の職員になるだろうと思います。又代行開墾等も内地並みのいわゆる経費を委任して、仕事を委任してやつてもらうという、同じような形にやつて行くのが筋であると考えております。併しその場合に、内地並みの何%ということが適当であるかどうかということにつきましては、これはやはり現にやつております予算を基礎にして、若し必要があれば所要の修正を加えて行くと、こういうふうに考えております。
  173. 江田三郎

    江田三郎君 それから内地と違うシステムで行くというならばそれでいいのであります。それならばそれでいいのでありますが、内地と同じようにやつて行くのだというように増田大臣しばしば言われましたからして、その通りにやつて行こうとすればここへ書いてあるところの附帯事務費では足らなくなるのじやないかということは、今のシステムのほうが国として安くて仕事ができておるということになるわけでございまして、新らしいシステムを、内地通りにやつて行くと金が余計かかる。それだけは工事の分量を減らしますか、或いは追加予算を組まなければならんようになるわけでありまして、内地とは別個の建前で行くというならばそれでいいのであります。ただそうなつて来ると、増田大蔵大臣増田幹事長、(笑声)幹事長のような答弁がたびたびありますが、増田長官の言われておるのと大分食い違つて来るというわけなのであります。そういう食い違つていいのだということならそれでいいのです。
  174. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 私は山添君の御答弁は伺つておりませんでしたが、性質として申上げただけでございます。例えば国庫負担なんかでも非常に違うということはたびたび私は例を挙げて申しております。要するに国の直轄事業を今度はやるというだけのことでございます。国の直轄事業をやる、東北地方建設局においても、東北農地局においても、東北港湾建設部においても国の直轄事業をやる、そういう性質のものと同じであります。事業量なり、或いは地元負担等は全く違います。北海道はいわゆる植民地に近い未開発地域でございますから非常に違うのでございます。
  175. 江田三郎

    江田三郎君 それは逆になるのです。北海道は未開発地域だからして国が多く金を持つてやるということならいいのでありますけれども、事実この計算で行くと、他庁県並みに金が出せないということになると、私はとんでもない間違いだと、こう言うのであります。これは私が下におりましたら農林省の係りの人が来られて、この計算は要するに腰だめで行くのだ、こういう話でありますから、そういうことでは困る。増田大臣はこれは国会が厳重に監督するためにこういうことをするのだと言いながら、この予算については今回は腰だめで出す、こういうことは納得できないからやかましく言つておるのでありまして、今の内地北海道とは違うといつて北海道はほかの補助率でも内地より高いのです。今の計算で行くと内地並みのものはもらえんということになる。あなたの答弁は逆になるからおかしいのですから、これ以上追及しませんが、要するに内地と違うのだ。今度の改正方式で行くと、より以上の金がかかるということがわかりましたから、これでよろしい。
  176. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 もう一つ法制上のお教えを頂きたい。それは今ので大体極めて特異性のある官庁機構がわかりましたが、こういうような三省の公共事業建設事業一つの局で統一されて行くという事柄は非常に重要な事柄、注目すべき事柄だと思いますが、こういう数省の事業がこういう形でできて、そうしてその出先の局長が責任を持つて、その上官であるところの長官は責任を持たないというこういう形は我が国としては初めての例でございましようか。これに似たような例があるでしようか。その辺の説明を少し言つて頂きたいと思います。
  177. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 先ほどちよつと申上げましたけれども、税関でございますが、只今の税関は一応大蔵省の支分部局といたしまして関税行政を、関税の事務を取扱つておりますが、そのほかに貿易関係仕事を通産大臣の指揮下においてやつております。従いまして税関庁はその面におきまして通産省の事務、大蔵省の事務、両方を扱つておるわけであります。殊に戦前におきましては、税関は海運関係の、港の関係の総合官庁でございまして、このほかに内務省関係の土木建設仕事、或いは、いや土木建設じやありません。逓信省関係の海運関係仕事、或いは厚生省関係の検疫の仕事、こういう各省の仕事を税関がやつておりました。各所管大臣の指揮監督を受けてやつておりました。
  178. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 それ一つですか。
  179. 林修三

    ○政府委員(林修三君) まああと二つぐらいの官庁の指揮監督を受けてやつておりましたものはまだほかにもございます。例えばこれは範囲は割合狭いのでございますが、外務省の地方部局の地方連絡局というのがございます。これは賠償庁長官の指揮監督を受けて賠償関係仕事を、或る特殊の財務に関する仕事をやつております。特殊財務に関する仕事、それから大蔵省の税務署はやはり賠償庁長官の指揮監督を受けまして船舶関係の財産管理仕事をやつております。かように二省の監督を受けて仕事をやつておりますものはほかにもございます。
  180. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 建設に関してはこれは画期的な形のように存じますので、建設大臣にお伺いしたいのですが、それは他の、北海道以外こういう特異性のある形態をとられました事情、それから今後これを他の方面に拡張されて行きますか、その辺はどういうふうなお考えでございますか。(「それは出たよ、もう」と呼ぶ者あり)
  181. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) すでに縷縷御説明申上げたことによつて御了解願えれば幸いでございます。(「わかる」と呼ぶ者あり)
  182. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 私まだちよつと腑に落ちない点があるのでお伺いいたします。開発局実施官庁である、開発庁はこれは計画官庁である、こういう建前になつております。そして開発局におけるそれぞれの仕事の指揮監督は、それぞれの建設大臣なり農林大臣なり等が行う、こういう話だつたのです。そうしますというと、これらの仕事の国会に対する最高責任を負われる者は、それぞれの大臣なんでございますか、それとも開発庁長官なんでしようか、その点お伺いしたい。
  183. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 執行についてはそれぞれの大臣でございます。
  184. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、昨日からいろいろ増田北海道開発庁長官お話ですと、どうもその北海道仕事については知事がその責任を負うのやら、誰が責任を負うのやらわからんから、そこで開発庁というものを設けて、私が北海道開発事業については最高責任を負うんだというような意味を、その責任の所在をはつきりするという意味をおつしやつたように私は思う。そういたしますと、その点に非常な食い違いが出て来るのでありますが、あなたはそうしますと、そういう問題については国会に何も責任を負われない。単に計画の点についてだけ国会に責任を負われる。そういうことでございますか。
  185. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 開発庁長官という立場におきましては、私は開発計画の樹立、策定並びに開発計画に基く事務の調整並びに推進について責任を負う次第でございます。
  186. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、その自分のところの分局であるところの開発局仕事については責任を負わん……、誠におかしな官庁だということになるのでありまして、一体こういうような奇怪な官庁はこしらえられることが不思議なんで、(笑声)私はその点について法制局にもう一遍その責任の問題について十分お伺いしたい。
  187. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 北海道開発局は、先ほどお答えいたしました通りに、同時に北海道開発庁の支分部局でもございまして、北海道開発庁が担当いたしております計画の調査等につきましては、開発庁の下に立つわけでございまして、従つてその仕事開発庁の命令を受けてやるわけでございます。ただ開発計画実施につきましては、この予算只今北海道開発庁に組んでございますが、それが各省に移し替えられまして、各実施官庁がそれを北海道開発局に委任をいたしまして、ここでやる。従つて予算執行責任につきましては、各省各大臣が負うと、こういうことになるわけでございます。開発局開発庁の間に全然関係がないわけではございません。
  188. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると又わからなくなるのですが、(「いい加減にしておけ」と呼ぶ者あり)いやわからん、ますます混乱するのだ。(「まじめに聞きなさい」と呼ぶ者あり)先ほど例に挙げられたのは税関の例で、税関は大蔵省の支分部局として存在して、従つて主としては大蔵大臣の指揮監督の下にある。併しそのほかの官庁部分的に入り込んでいて、指揮監督権を持つているという例だと思います。ところが今の御説明によりますと、支分部局たることは開発庁の支分部局、従つて開発局の本庁は開発庁である、長官開発庁長官、その下にある。主たる長官が指揮監督のあれを持たないで、そうして外から入つて来た人だけが持つている。そういう例の官庁があるかどうかという点でございます。
  189. 林修三

    ○政府委員(林修三君) 只今申上げました通りに、開発局開発庁仕事の一部を勿論分掌いたしておるわけでございまして、この十二条を御覧になりまずと、「開発計画の調査に関する事務を分掌する外、」と書いてございます。この面におきましては仕事を、北海道開発庁仕事を受持つておるわけでございます。又北海道開発局は開発庁の支分部局でございますから、当然に人事とか会計とか、一般の管理事務は北海道開発庁の下に立つわけでございます。ただ運輸、建設農林関係実施事務につきましては各所管大臣の指揮監督を受ける、かような関係になつております。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  190. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君に伺いますが、あなたはまだ通告の質疑事項は残つておりますか。
  191. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 本来のことはちつともやつておりません。
  192. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではこれから佐多君に御発言願います。
  193. 木下源吾

    ○木下源吾君 議事進行でちよつと……。
  194. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君に発言を許してありますから待つて下さい。
  195. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ず北海道開発法第二条の、昨日からたびたび御質問になつておる点ですが、併しなおわからないのですが、「開発計画は、北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合的に開発するための計画とし、その範囲については、政令で定める。」というふうになつておるのですが、その範囲なるものを定める政令はいつ頃お出しになるのか。それからどういうふうな範囲としてお考えになつておるのか、その点を具体的に御説明願います。
  196. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答えいたします。第二条の「その範囲については、政令で定める。」これは念のために書いてあるのでありまして、この北海道における土地、水面、山林、鉱物、電力その他の資源を総合開発するための計画、これでわかるのでありまして、今後更にこれを正確にしなければならない必要が起きたとぎには政令で定める。こういうつもりであるのでありまして、従つて現在におきましては、政令で別段の定めをする必要を現在のところは認めていない、従つてつていないのでございます。
  197. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうしますと、第十二条のほうの公共事業費の支弁に係る国の直轄事業で各省の所掌するものの実施に関することをつかさどること、と言われた場合の、それの範囲、内容というようなものは、何でおきめになるのか。
  198. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) 十二条のこの「公共事業費の支弁に係る国の直轄事業で」云々、これは二条の土地、水面、山林という、このものの一部をなすものでありまして、具体的にはこれは申すまでもないことでございまするが、国の予算で具体的にははつきりときまつている、そのもののうち直轄事業をやる、こういうことでございます。
  199. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 そうすると、公共事業費の範囲その他については、法律でもきめないし、政令でもきめないで、ただ予算をきめればそれでおのずからきまつて来るというふうなお考えですか。
  200. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) 公共事業費でやりますものは、これこれのものを公共事業費でやるんだということが、道路、河川或いは土地改良とかというものでありまするが、この種目におきましてはさまつておるのであります。それでその事業量につきまして、予算で折衝しましてきめる、こういうことになつておるわけであります。
  201. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点は後ほど具体的な費目との関連において更にお尋ねしたいと思いますが、その前に一般的な問題として増田長官はしばしば北海道開発がますますその需要性を加えて来たというふうなことを繰返し言つておられるのですが、それは一般的な意味においてはそういうことが言えると思うのですが、そのますます加えて来たということの意味は、特にこの間の、一年前に北海道開発法を作つた後において、特に重要性を増して来たので、実施官庁まで支分部局として設けなければならなくなつたんだということの御説明前提に使つておられると思うのですが、それならば公共事業費の実施に関する具体的ないろいろな計画がなければならないと思うのですが、その具体的な計画を詳しくお示し願いたい。
  202. 岡田包義

    ○政府委員(岡田包義君) お答えいたします。お手許にこの予算書を差上げてあるつもりでございます。そのガリ版のほうであります。お手許に北海道開発公共事業費内訳書という詳しいのが行つているはずでございます。これについて御説明いたします。これによつて御覧願いますれば大体大綱はおわかりと存ずるのであります。現在もこれは念のため補助費のほうも書いておりまするが、直轄補助費のほうへ合せまして、毎々申上げます四千人の官吏が向うへ行きまして直轄事業は三千二百余名の官吏、補助費関係の分は八百名の官吏と道の吏員等におきまして執行いたしておるのでありまして、この具体的計画その他はそれぞれの手続を以ちまして確定いたしつつ実行に移しておる状況でございます。
  203. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その具体的な問題については後ほど更にお聞きするとして、増田長官は更に国家の総力を挙げて解決すべき問題であるから、北海道開発については公共事業について国家で直接にやるんだということを言つておられるのですが、国家の総力を挙げて解決すべき問題だといえば、北海道開発もさることながら、この間から問題になつておりますいろいろな地方開発計画、或いは利根川の開発とか、北上川の総合開発計画とか、或いは只見川とか或いは琵琶湖とか、相当総合開発地方計画があると思うのですが、それらの計画は、一体現在どういう程度に、計画としては進捗をしておるのか、それらの中において特に北海道重要性の優先度はどういうふうにお考えになつているのか、その点を具体的に御説明願いたい。これは北海道開発計画だけではございませんので、むしろ全国に亘る計画の問題でございますから、むしろ安本長官に先ずそれをお聞きして、そのうちにおいて北海道開発計画がどういう地位を占めているかという点をお尋ねしたいと思います。
  204. 木下源吾

    ○木下源吾君 議事進行について。私は大体この程度で夕飯を食べて、然る後に委員長会議を開いて、あとの運営の御相談をして、そしてやつたほうがいいと、こう考えますから、休憩の動議を提出します。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  205. 中川以良

    ○中川以良君 私も木下委員の説に賛成でございます。但し委員長会議に対しまして私はお願いいたしたいことは、会期もすでに余すところ一日でございますので、本日において一つ連合委員会を終了を告げるように、一つ委員長会議で十分に御審議を願つて委員長はさように一つ御方針をお定め頂くことを特にお願いを申上げる次第であります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  206. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 木下君からこれより休憩をすること、それから委員長懇談会を開くという動議が出ました。同意の諸君の起立を願います。    〔総員起立〕
  207. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それではこれより休憩をいたします。    午後四時五十九分休憩    —————・—————    午後四時五十九分休憩    午後七時五十五分開会
  208. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) これより連合委員会を再開いたします。  北海道開発法の一部を改正する法律案につきまして質疑を開始いたしまする前に、私から昨日午前小笠原委員から北海道開発法に規定せる開発庁を施行機関とすることは地方の経費を増す結果となるが故に、地方財政法二十一条に違反しないかどうかという趣旨の御質問がありました。この質問につきましては小笠原委員が議場におると否とにかかわらず、地方財政委員会当局から御答弁を願いたいということであつたわけでありますが、先ず冒頭に地方財政委員会のほうから木村清司委員の御出席がありますので、御答弁を求めることにいたします。
  209. 木村清司

    ○政府委員(木村清司君) お答え申上げます。本法案が北海道の負担になるかどうかということにつきましては、実は本法案につきまして私ども立場といたしましては受身の立場であるのでありまして、その内容等を詳細に調査するいとまがなかつたわけであります。両当事者のお話は一応承わりましたけれども、これが更に如何ほど負担になるか、或いは本当に負担になるか等につきましては、まだ調査いたしておりませんので、この場合お答えができないのでありまして、政府当局におかれましては負担はないとおつしやつておられるのでありますが、やり方、実施の方法等によりまして負担にも相当著しい差があるんじやなかろうかというようにも一応考えられるのでありまして、そういう点につきましては、まだ委員会といたしましては、そういう負担があるということを断定するまでに至つておらないということを申上げる次第であります。
  210. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 先ほど佐多君の質問がまだ残つておると思いますが、質疑を続行して下さい。
  211. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ず神戸地方行政調査委員会議議長にお尋ねをいたしたいのでございますが、昨日北海道知事の参考人としてお話を聞きますと、詳しくいろいろ述べられたのですが、究極においてこの本案の急速な実施は、国及び道の行政の混乱を招き、特に目下最盛期にある各種事業の執行の能率を低下するものでありますから、さような事態の発生を防止するように考慮されたいというようなことを、詳しくいろいろな例を挙げて御説明になつたのでございます。又これも神戸先生にはすでに御承知のことと思うのですが、昭和二十六年五月二十五日、ついこの間の全国知事会議におきまして、地方自治の確立に関する声明書なるものを出しまして、「地方自治の本旨は憲法の条章により厳として保障せられ、地方自治に関する三法律と共に我が国地方自治の根幹をなすものである。言うまでもなく、自治の精神は民主思想の根源をなすもので、生々脈々たる政治形態は自治の政治を除いてはあり得ないと深く確信するものである。然るに最近における政府の施策は、地方財政委員会及び地方行政調査委員会議等の勧告にもかかわらず、社会福祉事業法、その他地方に関する立法において、ややもすれば中央集権的な色彩が見受けられる。のみならず開発事業その他に関し政府の地方出先機関を強化せんとするがごとき傾向のあることは、誠に我等の了解に苦しむところである。」というふうな声明書を出しておりまして、北海道の知事も、それから北海道に限らず全国の知事も、挙げて地方自治が危殆に瀕しているということを声明をいたしております。而もその中に、先ほども読みましたように、地方行政調査委員会議等が勧告したにもかかわらず、そういうふうな事態に陥つているということを明瞭に挙げておりますので、一つ先ず北海道のこの問題についての御意見を伺う前に、一般的に地方行政調査委員会議は、一体国の行政と地方の行政との事務配分の問題について、どういうお考えを持つておられるのであるか、全国知事会議が、地方行政調査委員会議の勧告があつたにかかわらず、それが破られているということを明瞭に謳つているが、神戸議長はその点をどういうふうにお考えになるか、先ずその点をお聞きしたいと思います。
  212. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答えいたします。全国知事会議から先刻お話になりましたように、政府は地方自治というものを危殆に瀕せしむるような態度に出たということでありまするが、私どもといたしましては、すでに一般の行政の事務再配分につきましては、昨年の十二月の二十六日に一応大体の勧告案を提出いたしておるわけであります。それによりまして、一般の基準はすでに我々としては勧告いたしましたが、特に北海道につきましては、なお特別に考慮する必要もあるだろう、開発事務というものは政府の説明にも、更には北海道庁から出ておる意見書にも、これは国政事務であるというふうに両方とも謳つておいでになるわけであります。でありますが、私どもといたしましては、現在どういうふうに見ているかという解釈に囚われることなく、更に進んでその性質を考えたい。そこで私どもといたしましては責務の原則であるとか、或いは能率の原則であるとか、或いは地方優先の原則等々を考慮いたしまして、判断しまして、これは国の事務、これは地方の事務というふうに分けようといたしておる次第でございます。例えば司法であるとか、外交であるとかいうような仕事は、はつきりと国政事務であるというふうに言つて差支えないものでありますけれども北海道開発事務は国の国政事務、国家的の重要性を持つ事務と申しましても、地方に密接な関係があり、自主的性質を持つた面もありはせんかということを考慮しまして、特にこれらにつきましては今研究しつつある次第でありまして、十分その本質の事務の性格というものを研究いたしました上で進めたい。更には仮りにこれが国の事務であるといたしましても、必ずこれが出先機関をして行わしむべきものか、或いは委任事務として北海道に任すことがいいのか、そこは大事な問題でありまして、その本質がきまつた上で更にどういう機関はどういう形式を持つて、どういう方式を持つて行うことが適当かということを研究いたしたいと存じまして、逐次材料を集め、意見を徴しましたし、或いは場合によつては進んで実地の視察をいたしまして、認識を深めました上で結論を出したいと思いまして、未だいずれも、本質の問題も、方式の問題も、行政の方式の問題も結論に達しておりませんので、一両月或いは二、三カ月もたちますれば必ず結論を出したいと思つております。只今のところでは一般的の方式はすでに勧告として昨年の暮に出しました。北海道に関する限りまだ結論に達しておらん次第であります。然るべく御了承を願います。
  213. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 北海道行政事務の性格に関して非常に詳しい御説明を受けましたが、この点更に後ほどもう少しお聞きしたいのでございますが、その前に只今も申されましたように地方行政調査委員会議では、一般的な事務再配分の原則がすでに御勧告になつておるのでありまして、我々もその報告書を頂戴いたしたのでありますが、我々も頂戴し、政府も頂戴し、読んでおるにかかわらず、ここにも書いてありますように、勧告にあるにかかわらず、そういうものが踏みにじられているというふうに全国知事会議は声明をいたしております。その点を議長はどういうふうにお考えになるか、その点を一つ……。
  214. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答え申上げます。知事会議では極めて大まかに地方自治が踏みにじられておるというふうに申しておりますが、必ずしも一概に踏みにじられておるというふうには私どもは思つておりません。恐らく政府といえども我々の勧告をだんだんと取入れられまして、地方の事務のために、地方自治の確立のために御努力頂くことと信じておる次第であります。この地方の知事等がいろいろ申しておりますけれども、必ずしも踏みにじつておる、要求が踏みにじられておるというふうには考えておりませんので、必ずや政府におきましても我々の勧告を尊重して、地方自治の確立のために御努力を頂くことと信じておる次第であります。
  215. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 この全国知事会議では一般的に漠然と言つているんですが、特に社会福祉事業法その他地方に関する立法にというふうに非常に具体的に挙げておりますので、これらの立法を行政調査委員会議では先の勧告に照らしてどういうふうに御判断になるかということを、更に具体的にお示しを願いたいと思います。
  216. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答えします。社会福祉事業法につきましてはかねて知事の間では仕事を押付けられたようなことを言つておりますが、併し私どもの勧告案におきましてはこれは市町村の事務といたしまして、民生の安定のために尽くすものというふうに案を出しておるわけであります。その点におきまして若干府県と市町村との間に配分の工合について食い違いがあるかも知れませんが、それはこの現在におきまして多少遺憾の点もあるかも知れませんが、この点につきましてはなお今後に待つべきものがあるのではないかというふうに考えております。
  217. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 非常にお苦しそうな答弁でよく了解しかねるのでありますけれども、若干疑問なきにしもあらず、従つて今後の検討に待ちたいというお話でありますので、この問題は一応我我も又更に検討いたしまして、更に次の機会に問題にしたいと思いますが、その次の段の開発事業についても同じようなことを全国知事会議は挙げておりました。それに関して今神戸先生のお話を伺いますと、北海道開発行政については国はこれが単一に国家事務であるというようなふうに考え、それに対する責任を取る意味において、これは国家が自己の責任において、而も能率的にやるのだということを言つておるようであるが、これに対しては私はどうという判断はしないが、少くとも相当な疑問があつて、にわかに同じ難い、殊に北海道開発行政は国家事務であると同時に自治事務である。その両者の性格を兼ね備えたものであるので、これを截然と配分したほうが能率的にいいかどうかという問題は非常に疑問であるし、更には仮にこれが一歩譲つて、完全な意味における国家事務であるとしても、地方優先主義の原則から言えば、或いは国家事務でありながら、なお且つ地方に帰属せしめるほうがいい場合もあるのじやないか。そういう意見も持つているが、実は自分たちはまだそれに対する結論を得ていないのだというようなお話でございましたと私了解するのですが、その結論をお聞きすることは非常に無理かと思いますので、そこまではお聞きいたしませんが、若しそういうふうな両者の性格を完全に合せ持つたような事務であるならば、この事務の何と言いますか、配分の方式と言いますか、そういうものはどういう方式があり得るのか、それらの点についてはどういうふうに先生はお考えになつているのか、その点をもう少し詳しくお話し下さい。
  218. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答えいたします。開発事務が国の事務か自治事務かということは、はつきりと区別することのできない点があるように思います。従いましてこれをどういうふうに区別して参るかということは甚だむずかしい問題であります。恐らくは精密に検討しますれば、現にやつている北海道開発事務の中に、国の事務の性質を多分に持つているものもありましようし、地方自治的な事務の性質を多分に持つている面も多分にあろうかと存じます。若し仮に国の事務としての性質を多分に持つている事務、従いましてこれを委任事務として差支えないという決定を下した事務につきまして考えて見ますれば、それは国家が直接直轄事務として出先機関を作るのも止むを得ないという結論になりまするし、そういう一つの方法もありまするし、それからもう一つは、委任事務といたしまして、自治事務をやつているところの北海道知事に委任するという形があろうかと思います。つまり形は政府が今度とりましたような、出先機関を作つて直接的に国がやりまする方式か、或いは責務を明確にし、能率を上げるという点につきましてよろしいかも知れませんが、併し又北海道の知事というものが、これまでそういう事務を委任されてやつておりますこともありまするし、北海道の地方民の利害にも重大なる関係のある仕事でありますから、北海道の知事というものは従来通り、或いは従来と変つた形式か、何らかの方法によつて委任するという形でやるか、直轄で政府が出先機関を有するかという二つの問題で、出先機関かどちらかということは、これはもう少し検討して見なければ私ども判断つきません。目下それを研究しつつあるわけでありまして、これはいずれも一長一短のあることと存じております。併しながら出先機関にやらすことも一つの方法であるが、委任のほうが或いはいいという結論に達するかどうかということは、私ども今日におきましては断言できない次第であります。
  219. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それらは、そうしますと、まだ未決の問題であるというお話でございましたが、更にどのような手続なり、どのような調査の過程を経られて、そうしていつ頃大体そういうものの結論を得たいというふうにお考えになつておるのか、お含みの点だけでもよろしうございますから。
  220. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答えいたします。実はその問題につきましても、一応第一次的な調査はいたしたわけであります。こちらの、開発庁の専門のかたにも来て頂き、北海道からも来て頂きましたし、なおその他行政専門の学者の意見も一応は聞いておるのであります。併しなお実態を調査する必要もあるので、これも調査しつつありまするし、或いはそれだけで足らんかも知れんから我々が場合によつて現地にも行つて、実際を見てその上で判断をして見たいという面もありますので、先ず結論を出しますと、私どもは今の胸算用では七、八月までに、二、三カ月はかかります。それぐらいになれば何とか政府のお考えと同じになるか、或いは違つた結論が出ますか、いずれにいたしましても、暫らくすれば一定の結論は出して勧告するつもりでおります。
  221. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今神戸先生から非常に御懇切な御説明、御教示を頂いたのでございますが、それによつてはつきりすることは、大体北海道開発行政事務というようなものは、これが純然たる国家行政事務であるか、地方自治事務であるか、その点の区分も明瞭でないし、いろいろ問題も多分にある。それを先ずきめることが第一に必要であるが、それがそんなに截然ときめられるものか、或いは両者性格の混淆したものになるというようなことになるか、その点もまだいろいろな考え方があるというだけで、検討はまだ結論には到達してない。更に従つて開発行政が仮に国家事務という結論になつた場合であつても、なお且つそれをどういうふうに配分し、どういうふうにやらすべきかということについてはいろいろ問題があるので、それらの点については更に現地調査その他をやつた上で今の会議々長の神戸先生のお心つもりでは二、三カ月後には何とか結論が出やしないかというようなお気持であることが非常に明瞭にわかつたのでございます。そこで私は増田大臣にお尋ねしたいことは、そういうふうに非常に問題のある事務であるのに、増田大臣は昨日、一昨日からのお答えによると、明瞭にそこを割切つて開発行政は国家事務だ、単一の国家事務だというふうにして、従つてそれを能率の見地或いは責任を完全にとるという意味で、国家事務として遂行したほうがいいのだというふうに簡単に理論を出しておられるのでありますが、今神戸先生の主宰される行政調査委員会議は、非常に重要な疑問を残しつり、而も近いうちにはその結論を出したいと言つておられる。それにはもう少し増田大臣は謙虚にその意見をお聞きになり、その判断が下つた後に、その判断をどう取入れられるかということでこの重大な問題を御処置になることのほうがいいのじやないか、それもまだ一年先か二年先かわからんというようなことならばそういう必要もないでしようが、ついこれが実施に移されるという、北海道開発法改正法実施に移されるという、七月の初めから若干時日を経過すればわかるというふうに言つておられるので、その点はもう少しその御意見を尊重されて然るべきじやないかと思うのですが、それらに対して増田大臣はどういうふうにお考でしようか。
  222. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 神戸先生のお答えがございましたが、佐多さんが開発事務を全体として国家事務であるとか、或いは地方公共団体事務であるとかということの区別はいたしかねる次第であります。私は数日来そのことは申上げております。即ち総合開発計画といつたようなことを立てることはこれは全国に影響があることであるから、地方行政調査委員会議においても国でやれということを勧告しております。北海道総合開発計画又然りであります。全国に影響のあることでありますからこれは国がやります。併しながらこの計画実施に移す事務もいわゆる開発事務であります。この開発事務は昨日以来、一昨日も申しておりまするが、縷々申上げておりまする通り、地方自治団体でその総合開発計画の一部を実施することもありますし、又国鉄でやる場合もありますし、海運局でやる場合もありまするし、又北海道土木部と申しまするか、現在やつておる総理府の役人がやる場合もありまするし、又開発局でやろうとするという問題もある。開発事務は国政である、或いは府県政である、或いは市町村政である、こういうふうに区別はいたしかねるのでございます。即ち、その機関の能力或いは規模というものに従つて、それぞれの、市町村行政なり、国の行政なり、府県の行政に段階付けるべきものであるという地方行政調査委員会議の意向に我々は従つております。あの結論は常識から見ても尊敬に値いする結論であり、我々は従つております。而うして更に国の直轄事業である河川、道路、港湾のごときは国でやれ、こう書いてあるのであります。而も行政調査委員会議の報告書の最初の頁には能力に応じてやれるならばやれと書いてある。北海道が能力に応じてやれるならばやればよろしいのでございまするが、皆様、これがやれないことは極めて明瞭でございます。開発の遥かに進んだ内地においてすら能力に応じてやれない。北海道の担税能力というものはもう遥かに低いのでございますから、これはとてもやれるはずがない。だから北海道選出の国会議員は、国会或いは国の事務、そういう立場北海道のことを国で大いにやつてくれということを、予算面のみならず、あらゆる方面について、かねてから強い要望がある次第でございます。
  223. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 今の増田大臣のお答えによりますと、北海道開発行政は文句なしに国がやることにきまつておる。それがもう正当であるというふうに非常に断定しておられるのですが、増田大臣はそういうふうにお考えになるかも知れませんが、先ほどからの神戸先生のお話では、必ずしもそうでないと言つておられる。その点はまあ見解の相違とおつしやればそれまでだと思いますが、そういうふうな状況であるから、もう少しこの行政調査委員会議結論をお待ちになつたらどうか。少くともそれをもう少しお聞きになるゆとりを持つておられたほうが、この重大な問題の処理にはいいのじやないか。これが先例になつて、その後のいろいろな問題が起きて来ることも私たちは考えなければならないと思いますので、その点をどうお考えになるか、改めてお伺いいたします。
  224. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 佐多さんのごとき頭脳極めて明敏なかたで、先ほど私が申上げました、開発事務は市町村事務もあり、府県事務もあり、国の事務もある、これははつきり申しておるにもかかわらず、増田開発庁長官開発事務は国の事務であるという断定的なことをおつしやるというのはどういうわけでありましようか。私は市町村の事務もあり、府県の事務もあり、国の事務もある、こう申しておる。而してこのことだけはどうか私の言つたことをお認めを願いたいのであります。而して国がやる事務はどういう事務であるかと申しますと、従来地方行政調査委員会議の勧告等は、大規模な、能力なり、規模なりに応じて国がやるべきものはやれと書いてある。この点は北海道開発は、北海道開発行政調査はなさつておりますが、これはなさつておりますが、神戸先生の皆さんに対するお答えもありましたが、北海道と東京都が残つておるので、国の色彩が遥かに強い、全国的な力を挙げて北海道開発をしなければならん、首都は府県際的の事務がたくさんございまして、東京都という自治団体に任して置いたではいけない仕事があるといつたようなことで、これは調査が後廻しになつておると想像しております。これも想像が悪かつたならば又お叱りをこうむりますが、要するに地方行政調査委員会議の我々に対する勧告で、極あて明瞭な、即ち大規模であり、能力その他から見ましても、国でやつたほうがよろしいということをすでに勧告しております。その範囲しか今度はやろうというのではないのであります。即ち国の行わんとする直轄事業である河川、港湾、道路のごときは、国でやるということを明瞭にここに書いてあるのであります。即ち「国の直轄する河川、道路、林野土地改良事業等に関する事務」、これは国でやれ。「国の事務とすべきものは、おおむね次のような事務に限定すべきである。」一、二、三、四、五、六、とあつて、神戸先生のおつしやいました通り外交とか司法もございますが、「国の直轄する河川、道路、林野土地改良事業等に関する事務」でありまするから、大規模で、北海道の能力を以てはやれないという行政調査委員会議の勧告の前文も満足させますし、又具体的にもこういうふうに特定して書いてある。要するに佐多さんのよく御存じのような大規模なものを国で全額でやるといつたような、こういうものをやる次第でございます。私どもはもとより、報告は近々あるかも知れませんが、従来から北海道総合開発につきましては、できる限り早く整備充実せよという要望に応えてやつたことでもございまするし、それからこの機会に申上げてもよろしいのでございますが、選挙とからんでいろいろなこと取り沙汰されておる向きもございますが、実はもう田中君は前から知事でございまして、この北海道総合再開発国家行政機構整備充実ということが問題に前からなつておりましたし、現に道庁の相当部門からの強い要望も前からあるのでありますが、又私は私の派から選出されるであろうと予想されました黒澤……。私どもの派からいわゆる保守といいますか、三派で連立して擁立した候補がございましたが、この候補に対しましても、北海道総合開発審議会の会長である小川原政信君の強い要望もあり、内閣にある皆様の議決に基く法律上の北海道総合開発審議会の諸君の一致した要望でもあるという意味において、会長からも強く、黒澤候補にもこのことを事前に宣言しておいてくれというわけで、私はこの一月と三月両度に亘りまして、黒澤候補が知事になりましても田中君が知事になりましても、この知事という問題とは関連しない。地方事務では担当できないのであるから、私ども北海道総合開発の国家的行政機構整備いたすつもりでありまして、いわゆる機構改革はいたします、こういうことを明らかに宣言しておる次第でございます。この点はどうか合同審査会皆様におかれましても御了解を得たいのであります。私がそういうことを宣言したと言つたときに、ここにいらつしやいますが、小川原審議会会長からは、それはよかつた、そういうふうにしてやつて下さると、これからも公明に虚心坦懐に国家的見地から北海道総合開発機構整備充実ができるから、非常によかつた言つて、一月のときも三月のときも私に言うて下すつたような状況でございます。もとより相手がたのかたが返事をされたかされなかつたか、そのことを私は存じません。ただ私どもといたしましては、何も返事を求める必要はないのでありまして、国家機関としての意思表示を私はいたした次第であります。
  225. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今佐多君の質問に対しまして、北海道では開発事業規模その他が非常に大きいから、北海道ではできない、能力がない、そういう場合には、やはり国でやれ、この問題については私は二つ問題があると思うのです。増田長官の言われているのは、北海道の財政負担能力がない、それは財政力がないことは、負担能力のないことは明らかだと思うのです。ですからそういう場合には国の財政によつてやらなければならない。このことは明らかだと思う。それだから北海道に財政負担能力がないから国の費用を以て開発事業をやるということと、今度はその開発事業をやる制度、或いは行政、そういうものを国が直轄しなければならないということは又問題は別だと思う。これを混同されていると思う。今までこれまで北海道はとにかくやつて来たのです。やつて来ておるのです。この予算の、財政の負担能力が北海道にないという問題と、行政能力がない、或いは制度上これは直轄事業にしなければならないということは別問題、これを増田長官は混同されて佐多議員に御答弁されております。私はこの点についてはあとでもつと詳しく御質問したいのですが、只今佐多委員の御質問でございますので、たまたま非常に私は割り切れない御答弁がありましたので、この際この一点について関連質問をいたすわけであります。
  226. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 木村さんにお答え申上げます。私は、この行政調査委員会議の勧告についての一応の御質問がありまして、私に意見を求められましたから御答弁申上げた次第であります。そこでどこまでもこれに関連してお答え申上げたいと思います。この行政調査委員会議の勧告の総論の第一の、日本字の一の算用数字の2のところに、それらの事務は、それを能率的に遂行するために、その規模、能力及び財源によつて準備の整つているいずれかの段階の行政機関、即ち国或いは府県或いは市町村に割当てられるであろうと、こういうような字句があるのであります。その他各種の字句がございまするが、それを受けて参りまして、今度は具体的の細目といたしまして列挙した中に、国の直轄する河川、道路、林野土地改良事業等に関する事務、即ち北海道についてはいろいろ調査なさいましようが、我々は如何なる御調査がありましても、北海道内地とあべこべに地方自治団体でやれといつたような勧告は恐らくなかろう。内地よりも必要性或いは需要、要求等は遥かに強いのでございまするから、恐らくあべこべになるというようなことはないと思います。若しあべこべになるようなことがありますれば、内地のほうは国の直轄事業はすべて府県に委せ、そうして府県の財政能力でやつてもらう。国の税金も、平衡交付金というものはこれは変態的の過渡的現象でございまするから、でき得る限り早く打切つてしまう、こういうことになると思いまするが、如何でございましよう。
  227. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 木村君にちよつとお願いいたしますが、あなたの番はすぐあとに廻つておりますが、そのとき御質問一諸になすつたら如何でしようか。
  228. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 簡単です。丁度今この問題が出て参りましたから……、只今の御答弁ですが、そこがまあ一番問題になつているところだと思うのです。その今一般的に御説明がありましたが、これから北海道が調査されるわけです。東京もそうだと言われておりますが、北海道の特殊性もあるわけでして、これまで北海道はそういうことを担当して来ておるわけです。直轄でなく担当して来ているのです。成るほど国の予算はたくさん北海道に行つております。併しながらそれを北海道行政としてやつて来ているわけですね。とにかく一応我々の聞くところでは支障なくやつて来ておるわけです。ですから国で費用を負担するというその問題と、それからそれを地方団体が運営する問題とは別なんだと思うのですな、併し今増田長官お話ではこれはまあ一般的に地方行政調査委員会議答申ですか、それに基いて御説明されましたが、北海道においては又それと異なつた今までやつて来た、支障なくやつて来た、又そのほうが能率がよかつた経験があるのですから、それでこそ非常にこれが問題になつておると思うのですよ、ですからどうも又この今の答申を一応別にいたしましても、これまで増田長官がずつと委員に答弁されておる答弁の仕方はですね、どうも国がたくさん予算を出すからその制度なり、或いは行政なりは国がやらなければならん、国の支出と比例して言つておるようであります。それは別問題、そこにこの問題は北海道の特殊性に鑑みて、この問題が重大化するところがあるのですよ。北海道の特殊性に基いて長官はどういうふうに考えるのですか。
  229. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 学識経験の極めて深い木村さんからの御質問としては少し私は合点が行きかねるのであります。というのはこの調査委員会議の勧告というものは、只今も読み上げましたが、これは各論的にはまだ北海道の調査はございません。併し総論的のこの勧告というものは北海道並びに東京都を含むものでございます。それで総論的な関係で直轄河川や或いは道路や或いは国道の建設等は東京都及び北海道は従来やつて来たけれども、この際は地方自治団体がやつたほうがいいというような勧告は恐らく私は断然なかろう。やはりこの総論は現在のところでは北海道をカバーしておるのであります。東京都もカバーしておるのであります。そうして直轄河川或いは港湾林野土地改良、あたかもよしこの開発局の所管する事務はそれ以外にないのであります。これは国でやれとこう書いておるのであります。これ以外のことは、勧告は、よほど天災地変でもあつて北海道が急にゴールド・ラツシユにでもなるというようなことの以外には私はちよつとなかろう、こう思う次第でございます。
  230. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほどからたびたびの増田大臣の御答弁によりますと、増田大臣は非常な自信を持つて恐らく今度なされるであろう北海道の事務再配分の問題についての調査の結論は、自分の意見が完全に裏書きされるであろうということを固く信念を持つておられて、非常に強く主張しておられるのですが、それはそれとして増田大臣信念としては、私非常に敬服をいたしますけれども、先ほど神戸先生もおつしやつたように、現状がどうであろうと、更に国が今はどう考えておろうと、とにかく調査の結果、判断は、それらのいずれにも囚われないで正鵠なものを出したいというつもりだということを言つておられるので、それはその言葉は今国が考えておられる判断が正しいとも正しくないとも言つておられない。私はそのことを問題にしておるのであつて、そのようなふうに疑問を残した問題であるならば、而もその疑問はここ二、三カ月のうちに一応の解決を見ようとしておる途上にあるのだから、それならばそれをお待ちになつてもいいじやないか。それくらいの何と言いますか、ゆとりと謙虚さと、それから行政調査会議を尊重されるお気持だけはあつていいのじやないかと、そのことを申上げておる。
  231. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 佐多さんと木村さんにお答え申上げまするが、行政調査委員会議の勧告の総論は繰返して申上げますけれども、東京都と北海道とを含んだ全国に対する勧告でありまして、そうして直轄河川云々と書いてあるのであります。そこで開発事務全体については、成るほど神戸さん以下の委員のかたがたがお調べになりましよう。又開発事務全体と申しますれば、昨日田中さんの言われたように民生行政もあります。官治住宅の問題もありまするし、衛生行政の問題もありまするし、教育行政の問題もあります。これらもやはり北海道は全体として開発行政である。広義の開発行政と言えないわけでもない。殊に宮治住宅のごときがございますから、そういうようなものは或いは北海道でやつたほうがよかろう、或いは旭川市でやつたほうがよかろう、いろいろな私は勧告があることは予想しております。併しながら只今のところ我々が常識から考えて見まして、東京都及び北海道を含む意味の総論的勧告である。この規模なり能力なり財源等から照らしてそれぞれの機関にそれぞれの事務を割当てたほうがよろしいというこの文句、それを受けた国の直轄河川、港湾、道路、土地改良等は国でやれというこの文句、この文句だけはこれは変らない。これは外交が変らないということと同じくらい私はそうめつたに変るものではないと思う次第でございます。要するに国でやらなければならない。やれないものを国でやれということがすでに勧告になつておるのであります。北海道を含んで……。そこで今度は木村さんの先ほどの御質問に移りますが、北海道は従来直轄事業はないじやないか、こういうふうな形式論理的な御質問がございまするが、従来も我我は国の直轄事業と呼んでおるのであります。併しながら国の行う直轄事務を、法律論的にはどうか存じませんが、現在でありまするから、農林大臣建設大臣も運輸大臣も、港湾建設も大きな港を建設する場合、小樽とか函館とかの港、これは内地でありますれば運輸大臣が指図をしております。北海道においても或る程度指図をしておるのであります。ですけれども知事も指図しております。その間が非常に紛更を来たし、不明瞭である。本当は法律の地方自治法だけから見ると、ここへ来て運輸大臣は、小樽の港の建設の仕方が、皆様の御意向に従わなくても余り問う責任があるのやらないのやらわからない。併し或る程度の執行は指揮監督しております。そこでいわゆる国の直轄事業であることは、常識上疑いがない次第でございまして、この点木村さん御了解をして頂ければ幸いでございます。
  232. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 どうも先ほどから聞いておりまして、非常に私更に了解をしかねることになるのでありますが、北海道開発局を置かなければならないゆえんのものを、提案理由その他で縷縷御説明になつたときに、北海道開発行政、特に今開発局でやらせようとしておられる開発行政北海道的な特殊性を非常に強調されて、かかるが故に、これは今度のような新らしい形でやらせなければならないのだということを縷々御説明になつたわけであります。そのときに北海道開発行政の特殊性を非常に強調して問題にされた。ところが今度は行政調査会議の勧告を引用される場合には、内地であろうと北海道であろうと、ところを問わず、一般的な原則がそのまま当てはまるのだから、自分たちの結論はこれで正しいのだ、何もこと新らしく行政調査会議の御判断を待つ必要はないのだというふうに聞こえるのでありますが、これは大きな矛盾ではないかと思うのであります。先ほども神戸先生がいろいろと明らかに問題があるのでありますが、どつちとも今のところは言いかねるということは明瞭に言つておられるのでありますから、その点は先ほどから言いましたようにはつきりしておると思うのであります。大臣信念としては私わかります。併しほかの人たちは、殊に行政調査会議はそうは思つておらないのだ。北海道の特殊性その他から考えてそうは思つていないからこそ改めて調査をして、正確な結論を出そうとして努力しておられるのであります。それを是非だから考慮に入れて、もう少し慎重に対処されるということが必要ではないかということを申上げておるのであります。
  233. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 神戸先生のこの処置における御答弁をどういうふうに私が拝聴いたしたか、又佐多さんがどういうふうにお聞きになつたか。その点についての見解の相違はあるかも知れませんが、私はピンからキリまで北海道開発事務のことはこれから調査しなかつたならば、国でやつたらよろしいやら、地方でやつたらよろしいやら、又北海道の中にある市町村がやつたらよろしいやち皆目わからんという意味には私は拝聴しておりません。そういうことになりますと、この勧告が、これは政府に対しまして、十二月二十二日議長神戸正雄と書き、吉田茂殿と書いて勧告がされております。この勧告の中に総論的に一般論として、行政事務はかかる基本方針によつて配分すべきである。そうしてその中には直轄河川、道路、林野土地改良等に関する事務は国で行え、こういうふうに書いてあるのでありまして国の事務とすべきものはおおむね次のような事務に限定すべきである。そうしてその十二のところへ持つて来て、国の直轄河川、道路、林野土地改良事業等に関する事務と、極めて明瞭に謳つてあります、それでございますから、これ以外のことで私はいろいろ調査をするということは、先ほど申しましたような北海道の官治住宅という問題は、非常に大きな問題でありますから、いろいろな問題はございましようが、これが全然わからない、とにかく今までの意思表示は厳然として存在しております。勧告という意思表示はそこで更に調査されて、現下のこの一切わからんというような立場でありますと、そのときに調べた従来の勧告が間違つてつたというようなことは言えるかも知れませんが、その総論は、各論と総論とに分れておりますこの総論は、北海道と東京とを含む全国に亘るかくかくの枠によつて国の事務と府県の事務と市町村事務に分けるべきであるという勧告を以て、我々はこの勧告に従つてどしどし処理いたさんければなりません。又現に処理する立場においてこの物差に従つたのでありまして、皆目わからんわけではないのであります。細かい点につきましては、これから、或いは細かくない点につきましてもそれぞれございましよう、新らしく勧告もございましようが、直轄河川、港湾、道路に関する限りはもう極めて明瞭に相成つておると私は信じております。そういう意味において、私はとにかく全然勧告が一応新らしくならない限りは、従来の勧告だつてさつぱり勧告でも何でもないのだという意味にはとらんのであります。そういう意味において応変性を説いただけであります。それから北海道の特殊性を説いたのは、北海道におきましては、例えば直轄事業でありましても、国道の建設は同じ国の出先機関の仙台における東北地方建設局が現に自分の責任において実施しております。にもかかわらず三分の一は岩手県、宮城県、福島県が持つ、北海道は全額を持つと、こういつたふうに私は大風呂敷的な、国家の総力を挙げてやるのだから何でもかんでも従えというような議論をこの際避けまして、極く限局いたしまして開発局の所管せんとする事務についてだけ申上げましても、北海道の特殊性があることは佐多さんが御了解下さると信じて疑いません。
  234. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 先ほどから地方行政調査委員会議の勧告に基いての御答弁を承わつたのでありまするが、この勧告は成るほど昨年の十二月になさいましたが、国会に対してもこの勧告があつたのであります。国会法の手続上どこでその勧告を処理するかということについて疑義があり、はつきり明文化されたものがないので、地方自治に関連しております我々地方行政調査委員会議においてこれを取上げて、いろいろ政府側の意見を伺つて今日に至つておるのでありまするが、再三に亘る自治庁側の政務次官その他責任のあるかたがたに一般的にこの行政調査委員会議の勧告を政府側がどう処理するかという質問を再三したのでありますが、その場合におきましても、この勧告はこの通常国会に出て来る法律案においてはこの勧告に基いてそれぞれ処理して行くようなふうな考えは持たん。これは勧告はありましたけれども、今度の通常国会においては従来通り考え方でやつて行き、そして総理府における調査室において各省の意見を聞き、総合的に調査研究の上、次の臨時国会等から次々とこれらの勧告についてそれぞれ考えて行く所在である。こういうお話もあり、再三お話を承わつておりますると、その研究も緒に着いたばかりであるが、これからやるのか政府側としての態度はまだまだはつきりしておらんという答弁が再三・我々の質問に対してあつたのでありまして、そういう点から見、又増田長官が最前以来急遽勧告書を取上げてあちらこちら研究をして御答弁になつている状況から見ますというと、結果としては、先ず先ず国の事務とすべきものであると列挙されておる中には直轄河川云々とか何とかあつて、そうそう間違つたことにはなつておらんというようなことでほつとして答弁しておるようにも聞こえるのでありまして、少くとも先ほどから質問の内容というものはその地方の自治体の規模なり、能力というようなことは概念的な問題を取立てて言わんのであつて、而も我々の聞きようによつては神戸議長の御答弁というものは、一般的な原則としては、そういう勧告は総論としておりましても、北海道という特殊な性格、それから歴史的な事情、或いは慣行、それらの点を見る場合には、やはり一般的原則として、勧告した部面の適用についても、北海道については特殊な考え方を持つのではないかと思われるような部面があつたのでありまして、これ以上増田長官とそうであろう、そうでなかろうと政論的な質疑をやりましても、これははつきりしませんので、将来に亘り勧告書の内容について意見を言つて欲しいというのなら、これは神戸議長もお困りかも知れませんけれど、現在まで勧告されている立場において、あの勧告が東京、北海道を含む一切の一般的な原則であつて北海道においても、この原則は動かないという増田長官の政論であるのかどうかというような点は、これは勧告の事実に基いて神戸議長は御答弁できるだろうと思いますので、この際直接に神戸議長に対して先ほどからの論議の過程において、問題になつている点について言いずらい点もあるかも知れませんけれども、御答弁を願いたい、こう思います。
  235. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) 勧告は北海道、東京と全部に亘るべき一般的のものであるがどうかというお尋ねでありまするが、原則といたしましては、北海道も東京も含めましてすべての国、地方の事務の配分の問題を研究いたしたのでありまして、そこで先刻問題になりました、例えば直轄河川、直轄道路というものは国の事務として云々ということでありましたが、その直轄河川というものの範囲をどう認めるかということが問題でありまして、現に直轄河川であれば国の事務とするというのでなく、直轄河川とする範囲も更に研究を要することと存じます。無論直轄河川といたしましても、内地北海道とは多少特殊性がありましようかち、内地で以ては直轄河川とするに足らないようなものでありましても、北海道はいろいろの点を考慮して直轄河川として扱わなければなりません場合もありましようし、多少そこに違つた点があるかと思います。ただ私どもは一般原則として総論等で直轄河川等は国の事務というふうに謳いましたのですが、直轄河川の内容が又問題でありまして、北海道において更に一層内地よりは広く解釈しなければならん場合もありましようし、恐らく現在直轄河川として北海道でやつておるものにおきましても、更にむしろそんな小さい川まで直轄させるのは行過ぎていはせんか、もう少し範囲を狭めたらどうかということも考えなければならんし、内地のほうは直轄河川といいますと、よほど範囲が限定されておりますし、現在北海道においては直轄河川の範囲が広過ぎはせんかということが問題でありまして、そこは国が研究しなければならんので、何とも申上げることはできません。それに先刻来問題になりました私どもの昨年度の勧告案というのは、北海道も東京も含めての勧告案でありますが、なお北海道なり東京なりというものは特殊性もあろうから、もう少し立入つて研究をし直そう、もうすでに第二段の構えといたしまして、更に検討しようということになつておる次第でありまして、増田大臣の御答弁も私どもの見解とはそう違つていないというふうに思います。併しどこか食違つておる点があるかも知れませんが、その点におきましては増田大臣の御説明も我々は大体のことはつかんでおる、こういうふうに思つております。
  236. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  237. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 速記を始めて下さい。それでは木下君、関連でしよう。
  238. 木下源吾

    ○木下源吾君 いや、この間の本会議からの関連です。
  239. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そこではつきりわかつたので関連するわけです。
  240. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) それでは木下君の発言の許可を取消しまして、小笠原君どうぞ。
  241. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そこで問題は極めて明瞭になつたのでありまして、佐多委員が申上げた点について、もう一度内容が変つた、概念規定が変つた立場において私は増田長官にお伺いしたいわけであります。まあ地方行政調査委員会議は、一般的な原則としてはこういう勧告をしておるが、直轄河川、その他内容として如何なるものを対象として直轄河川にするかというような物の判定については、まだまだ研究の余地があるということでありますので、その研究の結果が七月なり、八月頃に勧告されるということは、増田長官の言う通りになるかも知れないし、その通りではなくて、増田長官が先に断定的に、それ以外のひつくり返すような勧告をするようなことであるならば、天地がひつくり返るようなものだというようなことを言いましたが、そういう可能性のあるということをはつきり行政調査委員会議は言うておるわけなんです。そういう中で佐多委員が言うように、そう極めて緊急性のあるという法案でもないのであつて、この勧告も待ち、そうして十分に勧告を尊重せられて、そうしていろいろ施行して行くという方法をお考えになるという点について、長官はどういうお考えをお持ちかということを、改めて新らしく以上のような前提において御質問申上げます。
  242. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小笠原さんは先ほどこの勧告がありましても、政府はこれをすぐに立法措置に移すということは一般的にしないと言明したにもかかわらず、今度立法措置に移したのは何故かというようなお話がございましたが、我々はでき得る限り早く勧告の趣旨は立法措置に移すべきである、こう考えております。併しながらすぐできないものもございましようが、でき得る限り尊重を、法の精神に照しても、して参りたいと、こう考えておる次第であります。そこで私はこの直轄河川は国の事務として行うべきであるという勧告の原則は、変らないでございましようと申しましたが、果して私が申上げましたごとく、神戸先生は原則は変らない、こう言われたのでございます。そこで北海道については、先ほど佐多委員からもお話がございましたが、私もいつも言つておることでございまするが、相当特殊性がございます。その特殊性というのは、内地の諸府県であるならばこれくらいは地方の負担でやれるであろうと思われるものも北海道は全額国庫負担である。即ち直轄事業でやつております。そこでこれは北海道の財政その他を検討をされまして、神戸議長その他の委員の皆様が、従来は少し北海道は甘やかし過ぎておる、もう少し北海道に負担させたちよろしい、国の直轄事業はやめろというような勧告があるかも知れないということを議長はおつしやいましたが、大体北海道の特殊性と申します。と、内地であるならば府県でやつておるような仕事でも、北海道では国の直轄事業である。即ち勧告の前文にございまする財源なり、財政能力等に鑑みてできないものは、それぞれの団体の行政機関に割当てられるであろう。こういうようなことから、実は国のほうへ余計負担がかかつておりまするが、北海道直轄事業でやらないということになりますと、将来はどうしても北海道という自治団体が負担すると、こういうことになるわけであります。この勧告の趣旨から申しましても、私のほうでやつて結構です。国の御厄介になりません。厄介になるにつきましても三分の一負担してもらつたら結構です。補助費を三分の一下さい。こういうような申出もあり、又そういう勧告もありますれば、我々の国税の負担を成るべく納税者諸君から軽減してもらう意味におきましても、それは考え、又そういう報告がございましたならば考えまするが、併しそれにつきましても、やはり国の財政その他の状況から見まして尊重して、立法措置に移すにいたしましても、この勧告が立法措置に全面的に移すのが、相当時間がかかるくらいでございまするから、だんだん時間がかかります。して見れば、北海道総合開発行政機構のごときは識者によれば、あの終戦直後にやるべきことであるということさえ言つております。日本に残されたただ一つの宝庫である北海道を急速に開発することは、八千万の同胞の国家的要請に副うゆえんである。総合開発行政機構を充実、整備せよという、こういう要望を大いに行政の上に着々実施するのが、行政機関である政府の職責である、こう考えておるのでありまして、今申したような勧告は、もとより尊重して参りまするが、又勧告の線がございましても、神戸先生の暗示されましたように、北海道内地よりも少く開発事業を直轄してやれ、直轄事業を極く少くせよ、内地よりももつと虐待せよ、そんなような勧告は私はないと思います。むしろ従来は特殊性を発揮して、内地よりもより多く国家的な色彩を、つまり皆様の直接国税から来るところの各種の歳入、国家的歳入を北海道へどんどん投下しておりましたが、これを幾分少くしようというようなことはあるかも知れませんが、或いは場合によつては多くしろということがあるかも知れません。とにかく多くするにしても、少くするにいたしましても、この基本の線であるところの国の直轄事業を府県以下にしろというだけは、私はないと思います。府県以下にしろ、そうして北海道はそうしたならば府県よりも特別虐待されるのでありますから、そんなことは私はないと思います。併しただ北海道のほうで申入れがありまして、自分のほうの負担でやりますから、もう結構ですというふうにおつしやれば、我々はもとよりこれを歓迎しないということはないわけであります。
  243. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 どうも私素人でわかりませんですが、増田長官お話は一部のものを取つて全体のものとして推論されるような嫌いがあつて、よく聞いているというと、魔術にかかつたようなもので、ころつとやられるような気がするのですが、ちよつとそういうわけには参らんと思うのです。それはこの直轄河川という長官お話は、直轄事業でやる河川、而も直轄事業でやるとは全額金を国が出す河川、それで直轄事業以外のものは全額国が金を出すということはないのだ、こういう前提に立つておるようでありまするが、そこが私は問題だろうと思う、北海道の場合……。いわゆるその河川の流域の土地改良、その他総合的な部面を地方の自治団体等が補助金その他でやるという場合に、それを流れておる河川そのものも全額国でみてやるにしましても、国が直接事業をやるより、関連してその地域の自治団体、即ち北海道庁なら北海道庁にやらせると、こういう場合も現在もあつたのですから、その部分を一部残すという可能性もあるんじやないかと思う。それは増田長官は全部金を出しているものは国が全部やるのだ。それから地方がやるものは全部金がもらえないのだ、こういう前提に立つておるので、この点は先ほどからの神戸議長の御答弁の内容とはこれ又違つておるのではないか。そこで増田長官は、今後全額国がみていながらその河川は地方にやらせるというような、そういうことはもう絶対ないのだ、すべてそれは国の事業としてやるんだ、こういうお考えであるのかどうか、はつきりその点はお伺いしておきたいものであります。それから先ほど私意見がましく申しましたのは、前提が間違つておるのじやないかと思うので、この点も御答弁を願います。
  244. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 小笠原さんにお答え申上げまするが、私どもはどこまでもこの行政事務の国家、府県、市町村の三段階に対して割当てる、あるべき姿について今論じておるわけです。あるべき姿について……。でありまするから、神戸議長にも出席を願つておるわけでありまして、私どもが政府として、このあるべき姿をあなたの御質問に応じて私が政府の所見を申上げておる次第であります。そこでどこまでも論議の対象は、この三つ機関にそれぞれの事務を配当するあるべき姿についての私の所見を申上げる、又あるべき姿がこの際論議の対象になつておるというふうに前提して御考慮を願いたいのであります。そこであなたは現在、実際の問題を今度は問題にして論議して見たいと思つております。私は一つ一つのことを何か論理上のトリック等でごまかすということは、少くとも私の人生観や信念としては死んでも嫌いである、こういう私は人生観に立つております。そこで例えば忠別川、忠別川というような川が現在これは石狩川の上流でありますが、この上流の川の改修を全額国庫負担でやつておる。併しながら忠別川という川は小さい、石狩川の上流であつても小さい。そこでこの川は全額でやつておるから神戸さんのほうの、或いは勧告によりますというと、忠別なんという川は内地の川と比べるというと、これは府県費支弁の川である。いわゆる中小河川ですらない。全額国庫負担でなく府県費支弁の川であるといつたような勧告がなされる虞れがあるのでありまして、忠別よりももつと拡大せよというようなことは、恐らく先ず現在のところないと思います。即ち国の直轄事案どんどん殖やせ、先ほどのお言集の端々から私の印象は、小笠原さんの印象もそうだと思いますが、先ず先ず現在の状況を前提にしなくてはいけません。現在の状況は、内地であつたならば、府県費支弁のような河川でも、北海道においては全額国庫負担でやつております。そこで忠別川は今度は全額国庫負担は相変らず続けろ、併しこれは地方自治事務としてやつたらよろしい、こういつたような御意見のように私は拝察いたします。そういう御意見なり、御質問と拝察してお答えを申上げます。そこで只今私はそれで先ず以て前提として強調いたしておきました事務の性質に従つてあるべき姿を研究する、そうしてこの三つ機関にそれぞれ分配する、こういう立場から私の考えを申上げます。神戸議長のお考えあとでお聞きしたいと思います。全額国庫で負担する、而も府県の自治事務でやる。そういうことはこの勧告の精神にも反しまするし、又常識的にも考え得られないのであります。全額国庫負担でやるけれどもそれは府県の自治事務でやる。自治とは何ぞや。その自治団体の財政能力によつて、自主的に自分の権利と義務、責任においていろいろな問題を解決するということであります。自治事務であるけれども全額国庫で持て。これはここにありまするその規模、能力及び財源によつて準備の整つているいずれかの団体の、つまり国、府県、市町村の行政機関に割当てられるであろう、こういうような勧告をされておる趣旨から見ましても、我々は今あるべき姿を論じておるのでございまするから、全額国庫で持て、併しこれは自治事務である、こういうことはあり得ないのであります。現在だつて北海道の公共団体の事務ではないのであります。現在でも忠別川の改修という、全額国庫負担でやつておるのは、北海道という自治事務ではございません。将来併し自治事務にせよという勧告がある場合には、結局この言葉によつて見ますというと、やつぱり自治である。自治とはこの負担の関係も自治でやれ、こういうことでございます。そこで幾分足りないからこちらで補助する、これはこの地方公共団体の財政の現段階に照らしますと、そういうことも止むを得ません。だから平衡交付金等もありまするが、どこまでもこれは過渡的な問題である。自治と言うからには、やはり原則として、その自治団体の財政能力によつてやるべきである。そして財政能力が若し悪かつたならば、財政能力を増加するように府県市町村民のほうからも、国の皆様のほうからも力添えをする、税制改革なら税制改革を大いにやるというようなことで、これは別個な問題でありまするのが、要するに自治と言えば全額国庫負担の自治事務ということは、ちよつとこういうような土木事業や公共事業については常識上は如何かと思う次第でございます。
  245. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 これはこれ以上論議はしたくない。結局いつかは勧告があつた場合に明らかになることでありまするから、私は勧告を待ちたいと思うのでありまするが、併し現在の地方自治というものが地方の税収、或いは起債、或いは平衡交付金等、財政的にも国と地方が持ち寄つて地方の自治というものが行われておるこういう現行の制度においては、同じ河川であつても、これは地方自治体だけの利害に関する河川でなく、国家的な見地に立つような河川であつても、その河川改修等の施行を地方にやつてもらう、或いは国がやるというような、いろいろな分け方は、これはおのずから違うと思う。(「然り然り」と呼ぶ者あり)何も地方自治なんで、地方自治の河川は地方がやつたらよい、金がなかつたら、逆に言えば、できないのであるから放つたらかしだ、こういうようなことはあり得ないわけでありまして、どうしても増田長官は論理的に筋の通つたことを言うておると言うのですが、成るほどその通りのようでもあるので、ただ主観的に私はそうでないように思われたりする点もあるので、御機嫌に触れたら勘弁願いますが、(笑声)いずれこれはまだまだ考えるべきものがあろうと思うのです。直轄河川イクオール全額国庫負担、或いは地方自治イクオール地方が金を持ち出す、ないときは放つたらかす。こういう論理になるような、こういう考え方は私は現在の地方自治を国が認め、そうして協力して地方自治を確立して行くという過程においては有り得ないと思うのです。だからこれ以上は申上げませんが、勧告を待つということにいたします。
  246. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 佐多君の御質問は終りましたか……(「委員長、関連して質問を……」と呼ぶ者あり)
  247. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 相馬君。
  248. 相馬助治

    ○相馬助治君 同僚小笠原委員の質問に関しての勧告の問題でありますが、事極めて重大だと思うので、私は一点念を押して増田大臣の見解を再度質しておきたいと思います。と申しまするのは、私ども地方行政委員会におきまして神戸委員会の勧告書をめぐりまして数次研究を重ねております。この神戸委員会の勧告の底をついて流れておる根本精神は何であるかと申しますれば、一言にしてこれを言うならば、地方自治の確立振興、これでございます。そういうふうな建前から眺めて見まするというと、先ほど同僚佐多委員の質問に逆襲いたしまして増田大臣が勧告書もこう言つておるじやないか、即ち直轄工事というものは当然国がやることが正しいという勧告をしておるじやないかということをおつしやつておりまするが、これは実に誤解も甚だしい。又誤解しないで、真にそう信じて言つておるのであるということになると、これは極めて問題であるのではつきりさせたいと思いまするが、この神戸委員会が申しておる直轄工事というのは内地における大きな河川、或いは大きな道路、具体的に言うならば関門トンネルのように二つの府県に跨り、而も地方自治のどの部面においてこれを担当するか判然しないというような、而も又工事そのものが極めて大きいというようなのがいわゆる直轄工事という名の下において行われておるのであつて、この委員会においてこういうものは当然国がやるのがよろしいというのは、国がやるほかないからこれは国がやつたほうがいいと言つておるにとどまつておるのであります。で、北海道の場合においては全額国庫負担のものを府県の自治事務において任せる趣旨がわからない。とこういうことをおつしやつておりますけれども、過去四カ年間に亘つてともかく北海道の知事が管轄し、これを指導してこういう事務を今日まで支障なく行なつておる。即ち北海道の場合においては今までの歴史的事実を活かす意味においても、且つ又この神戸委員会においての勧告の真精神に対応いたしまして、地方自治の確立振興を図る意味においても北海道の場合はこれを任せておいたほうがよろしい。こういうふうに我我は地方行政委員会において了承しておるのであります。(「然り」と呼ぶ者あり)従いまして私が今まで述べたことに対しまして不肖相馬が申しておることが非常に間違つておるというならば神戸先生はその場から立つて答弁なさるでありましようと存じまするが、不肖私の見解は大体間違つていない確信を私は持つておるのであります。従いましてどうぞこの直轄工事という勧告書に現われたことは国内のそれを指しておるのであると私は存ずるのでありまするが、増田大臣はそれらの事情を知つてそうおつしやつておるのか、或いはまあおわかりにならずについおつしやつたのであるか、はつきりもう一度御答弁を承わりたいと存じます。
  249. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 相馬さんが地方行政委員会の委員でいられるならばなおおわかりだと思いますが、この北海道における国の直轄事業はやはり存在しておるのであります、現在でも。でありまするから、若し存在しないというならば国の総理府の役人が四千名おるのをどうやつて説明いたすことができましようか。皆様が議決して総理府の役人としてやつておる。こういうことで事業をしておるのであります。ただ指揮監督の関係があつちへ行つたり、こつちへ行つたり、而も肝腎の国費の大部分北海道で使うにもかかわらず、国費のことについて監督をなさる国会において答弁責任のない人がやつておる。こういうような状況では国民の皆さんに申訳がない。こう考えておるのであります。自治団体の仕事でもございません。自治団体の執行機関の首長である知事という機関に委任したかどうか。これも全部的委任ではございません。若し全部委任をすれば、地方事務官にあらずして北海道吏員が事業をするはずであります。よく機関委任ということがございますが、例えば戸籍事務は機関委任でやつております。この戸籍事務等はやはり市町村の吏員がいたしておるのであつて、市町村に地方事務官が駐在してやつておるわけではありません。即ち機関委任に全然したわけではない。指揮監督の一部を自治団体という北海道、その執行機関の首長に一部任しておる。こういう極めて変態的の現象でございまして、自治の侵犯とか、不侵犯ということは地方行政を担当して御検討していらつしやる相馬さんがよくおわかりだと思うのであります。
  250. 相馬助治

    ○相馬助治君 再度お尋ねしますが、責任の所在につきまして昨日来増田大臣は知事が政府委員でないから困る。そういうものに権限を預けておくわけには行かんと申しておりまするが、これも考え方の相違でもあろうと思いますが、実に重要な問題だと存じます。大体この政府委員というのは御承知のように大臣の補助機関です。従つて課長や或いは本当の一部の行政事務を担当しておるものを今日我々が政府委員などという名前を付けてこれを国会に出して責任ある答弁をさせておくことのほうが実を言えば民主国会のあり方からして極めて問題であろうと私自身は日頃考えておるのであつて、大体において知事が政府の委員でないと、政府委員でないからしてこういうものに託しておけないと申しまするが、私の調査したところによりまするというと、曾て北海道長官が政府委員であつた時代にどういう委員会が開かれていたか。北海道の出身の議員さんだけが出て来て、あの川はどうなつたのだ、この川はどうなつたのだというようなことに議論が尽されておるというようなことを聞いております。これは速記録をまだ調べていないのではつきりしませんが、そういうことを聞いております。従いましてこの責任の所在云々ということだけから持つて来まして、そうしてこの際一括して北海道が今日までやつていたものを取上げるということ自身に地方自治の振興、或いは確立という真精神に逆行するものがあろうと、こういうふうに思うのでありますが、この点について再度御意見を承わつておきたいと存じます。
  251. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 民主政治は責任政治であると私が確信しておることは皆様御同様であります。そこであの国の歳出部分について特色のあるのは北海道開発費であります本年度の歳出の特色は。本年度の歳入の特色は減税であるということをしばしば申しております。この重大なる執行を皆様が監督される上において、即ち責任政治を実現する上において、単に参考人として呼ぶに過ぎない、参考のために聞きますがというような、そういうようなことでは私は責任政治の実は果し得ない。然らば北海道会においての道知事は、あの北海道における国の事務において責任を果し得る責任政治をとつておるか。北海道会なんというものは全然通過しない予算であります。だから北海道会議員が質問せんと欲しても質問をなし得ざる事項である。こちらでは参考人として御参考のために聞きますが、こういうような状態である。こういうことでは私は民主政治は責任政治であるという見地から考えても如何なものかと思います。それから政府委員のことでございまするが、国会議員は北海道から選出されましても或いは鹿児島県から選出されましても国政全般についての最高機関であります。政府はその下位に立つものであります。そうして政府の一つ機構である国の出先機関、私は政府委員が偉いとか偉くないとかいうことは何にも言つておりません。要するに国の行政は国の機関が責任を果してやらなかつたならば責任政治の実は果し得ない。そこで国の一部である出先機関である北海道庁長官、これは国の出先機関である。それが政府委員となつて、主として質問されるかたがたは北海道選出の国会議員でございましようが、併し答弁能力がやや豊富である。現地におつて国出先機関をいたしておるのでありますから、この政府委員に北海道選出の国会議員が石狩川はどうなつておるか、我々がその模様によつては石狩川の予算を殖やすかも知れないし、減らすかも知れない。こういうことで私は質問或いはその他の指導をされるのは国の機関として、殊に最高の位置を占める国会が責任政治を果す意味において最も適当なる機構である。従来四年間そういう機構がなかつたことが、責任政治を果し得ないのでありまして、この私の申上げることを本当に国政を担当する最高機関の一員であらせられる相馬さんが御考慮下さつたならば、国の行政執行の一部分として誰も参考人として聞くだけなんだ、あれでよいのだということで本当に国会について責任を果し得たと言えないということのあなたも確信に立つていらつしやると信じて疑いません。
  252. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) ちよつと皆様に申上げますが、今日先ほど六時半から関係常任委員長の打合せがございまして、そのときに時計の針もだんだん廻つて行きまするので、この連合委員会における御質問、御質疑又は御答弁等は各委員長又は各派の代表というかたがたから成るべく他の委員会の発言等の関係も顧慮して簡潔に又重複しないで一つ進めるようにというような空気が支配的でありましたので、このことを一つお含みの上で御質問を願いたいと思います。(「委員長只今質問に関連して……」と呼ぶ者あり)
  253. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 議事進行ですか……。
  254. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 委員長のいろいろなお言葉ですが、それも当然のことと思います。ただ一つお願いしたいのは、私実はいろいろ多方面に亘つて質問があるのでございますが、委員部のほうから神戸先生の質問をば目頭にやつてくれということを、まあこういうことを申上げてよいかどうか知りませんが、神戸先生御老齢でありますので、或るべく一つ御無理を願わないようにして初めの目頭において問題を片付けて、そうして早く神戸先生を任務から解放して上げてお帰ししたいという意味で実は私は冒頭において発言をいたしておるのでありますから、どうか一つ神戸先生に関連する今の行政事務の再配分の問題に関連する質問だけは成るべく一括してお進め願つて、早くお取運び願つて、神戸先生を早く解放して頂くように御努力願いたい。
  255. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 責任を国会に負うという問題は昨日もたびたび出たのでありまするけれども、今増田長官が言われましたように国が委任をしてやらしておる仕事は、これは参考人としてしか出席できないところの地方長官だけに任しておいたのでは国会に対して、或いは政府に対して責任を負えないというようなことをたびたび言われるのでありまするけれども、地方自治法においてはつきり国が委任しておる事務につきましては主務大臣がこれを監督するようになつておる。監督の立場に立つておるところの国会に対して、政府に対して責任を負われる。それで地方自治法の解釈上からはそれ以上のことはもう望まなくてもいいと、かように私は解釈いたしまするが、それでもかまわないのでありますか。そうすれば私は地方自治法は改正しなければならない問題だと思います。
  256. 増田甲子七

    国務大臣増田甲子七君) 三輪さんにお答え申上げます。地方自治法にこうなつておるからそれがすべて一〇〇%真善美の極地であるというふうには考えておりません。我々は立法論という立場でいつもものを考えなければいけませんのでありまして、現行法についての適否というようなこと、これはいつも時の客観情勢の要請に照らして再検討すればこそ純立法的な立場で、皆様がとつていらつしやるのでありまして、地方自治法のその一部分だけは我々は改正する意図の下に、今回開発法の最後のところに地方自治法のこの点は改正してほしい、こういうことを皆様に提案いたしておる次第であります。
  257. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 木村君の発言を許します。
  258. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今佐多さんからも発言があつたので、神戸先生に早くまあ質問をして終えたほうが御老齢でもあるからよいというお話でありましたので御質問するのでございますが、非常にまあ素人くさい質問なんですが、先ほどから、直轄という問題が非常に論議されておるのですが、この直轄の意味につきまして講義して頂きたいのです。と申しますのは、先ほど来増田長官は直轄ということは、即ち全部国が費用を持つというように解されておる。その直轄の場合は国がその実施をやらなければならない問題かどうか。その実施の問題と国がその費用を負担するという問題、それを地方に委任してはいけないのかどうか。直轄の問題と地方にその実施をですな、委任の問題、直轄の場合、必ずやらなければならんものかどうか、この点の区別につきましてその意義をお伺いいたしたいのです。
  259. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) お答えいたします。直轄の意義如何ということでありますが、直轄は即ち国が直轄するのでありますから、従いまして国がこれを行い、この費用を負担することが当然だと考えます。併しながらその直轄河川も更に府県に任すかということでありますが、直轄河川である以上は国がこれをその責任において、その財源においてやるほうが適当でありまして、その他の府県河川であるとか、市町村河川は府県なり、市町村なりがそれぞれの責任において、それぞれの財源においてこれを行うのが当然と考えます。但し府県なり、市町村なりにおきましては、その財力におきまして限度がありますので、国の補助、何分の一かの補助ということが問題になるのであります。併し直轄河川である以上は、これは国が全責任を負うのが原則と思います。或いは分担するということも考えられないことはないのです。と言うのは直轄河川を修理したために、地方に特殊な利益を与えるというようなことが考えられますれば、それによりまして何かについての分担をさせるということが問題にはなります。なりますが、併しながら原則といたしましては、直轄河川はすべて国が全責任を負つてやるほうが先ず当然だというふうに考えております。
  260. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 北海道はですね。内地と違つて資本蓄積が少いし、非常に立ち遅れておる。それで道路なんかを建設し、或いは修理する場合、その北海道では財政負担に堪えない。ところが内地では財政負担に堪える場合もあると思うのですが、そういう場合とその実施、或いは監督その他ですか、そういうことをこの北海道でやる場合、これは単に私は財政負担に堪えないという点が内地と違う点になつて来ると思うのです。この北海道プロパーの仕事としてもそれは国が費用を負担していれば、全額負担していれば直轄ということになります、形式は。そういう場合どうなるのですか。費用は成るほど国が負担されるかも知れません。北海道のそこが特殊性だと思う。財政負担としてこれは国がやると、併しながらそれは国がそれを全部そこに実施しなければならないというものじやないと思う。内地と比べてやはり北海道プロパーとしてやつていいけれども、その財政的負担だけが足りない。そういう場合これも全部国が実施する、やらなければならない。こういうことになるものでありますか。
  261. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) 北海道が、特殊性と言われますのは北海道の財力が、恐らく負担力が乏しいので、大体この内地から見ると乏しいのでありますから、内地でありますれば府県の河川とでもして、府県が、府県自治体が主たる財源を提供してやるべきような事柄でも北海道といたしましては自然この内地の府県河川に匹敵するような小さい川でも、これを直轄河川に入れて、そうして国が全額負担しておる場合があるというように聞いております。こういう場合におきましてそれは別段に北海道の特殊性でありますから、それを直轄河川として入れるということもこれは止むを得ないということになるであろうと思います。必ずしもこのはつきりと内地と同じようには行かないというふうに考えております。
  262. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私の先ほどの質問に対する増田大臣答弁を承わつておりますると、国の委任事務については、北海道の場合でありますが、道知事は旭議会の責任を負わない。又国会に対しても責任を持たない。結局責任がどこにあるやらわからないことになつておる。こういう御答弁でありますけれども、私は明らかに地方自治法においし国が委任した事務については主務大臣が監督するというようになつておりながら、この監督をする立場にある主務大臣が……。はつきり責任を負うべき人がきまつておると思う。これは何回繰返しても駄目でありますからこのほかに我々は道路法とか港湾法に抵触しないかという問題、或いは又憲法九十五条の問題等もあるから私はこの際法制意見局長の出席を求めて、その御意見を伺いたいと思いまするから委員長において然るべくお取計らいを願いたいと思います。
  263. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 佐多君御質疑はまだ終りませんか。
  264. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 議事進行についてお尋ねしたいと思います。今の行政事務の再配分の問題につきましては、非常に関連質問が多いのでございますが、私神戸先生のお答えを聞いていて非常に実は私たち無理をお願いをしているような感じがいたしますので、今日のところは神戸先生に対する質問は打切ることにして、改めて神戸先生には明日なり何なり御出席を願つて、これは先生には余りに長くなつておりますので一応これで御引取り願つて改めて関連した質問をすることにして、ほかに私の質問に移らして頂きたいと思います。
  265. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 申上げますが、今の佐多君の御発言ですが、御質疑は明日に御留保なさるというわけですか、神戸議長に対する。その点については連合委員会が明日あるかどうかということは只今私から申上げることはできないわけでありますが、連合委員会におけるあなたの御質疑を留保されるということは、今ここで私としてはお聞きするわけに参りません。若しございますれば、今お願いいたしたいのですが、如何ですか。
  266. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私はもう余りないわけですけれどもね。先ほどからいろいろこれを聞いておりますと、関連質問が非常にたくさんございます。で、併しこの神戸先生今朝からちよつとお願いしていて、御老齢でもあるし、さつきから言いますように見ていて非常に痛痛しい、我々人道的に言つて(笑声)堪えられない感じがいたします。だから殊に総理に対する質問も残つていることでございますから、総理にも出て頂くことはこれはもうさつき委員長のお打合せでお願いしてある点でございますので、これも必ず機会があることと思いますから、むしろそのときにお譲りして今日は神戸先生だけは解放したほうがいいのじやないかというような感じがいたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  267. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 神戸議長に対する御質疑の点につきましてはまだ神戸議長もおいででございますので私に適宜取計らわせて頂きます。それで質疑の通告でございますが、木村君に御発言を許します。
  268. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 私はですね。さつきから言つているように……。
  269. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 木村禧八郎君どうぞ。    〔「議事進行について僕の質問はどうした」「今までの問題が解決したのか」その他発言する者多し〕
  270. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 木村君の発言を許しますからどうぞ。
  271. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今ですね、佐多さんから動議が出ているのでありますから、この動議を、これは先議だと思うのです。ただそれがはつきりしないうちは私は発言できないと思うのですが、委員長はそうおつしやいますけれども、これはやはり議事運営の上に重要な問題であると思いますから、それは円満に議事を取運ぶ上からいいましても動議を先に片付けられましていたしたい。
  272. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 今委員長のほうで、佐多君の何か御発言があつたようでありますけれども、動議とまで行かない、私は連呼されたと思つたようなわけでありまして、その間に木村君の発言を許すような次第でありますから、木村君の発言を願いたいと思います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  273. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 じやあ、私の発言はまだ済んでおりません。木村君にお渡しになるのならば、これは木村君に神戸先生に対する関連質問をお許しになつたのだ、こういうふうに了解したいのですが、ただ私はさつきから申しておりますように、神戸先生の御事情、お答えになる、あれ見るに見兼ねますから、その点を特別にお考え願いたいと言つているのでございますから、その点を先ずお諮り願つて、然る上で更に関連質問を続けるかどうかということを御決定願いたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  274. 楠瀬常猪

    委員長代理(楠瀬常猪君) 申上げます。私の今木村君に対する御発言も神戸議長に対する御発言の意味でもう少しお願いしたいという意味でお許しした次第ですからどうぞ。(「委員長委員長」と呼ぶ者あり)
  275. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは了解いたしました。具体的に、時間を成るべく節約して御質問申上げますが、例えば北海道内地内地並というようなことをよく増田大臣が言われましたが、北海道で、いわゆる直轄河川です、内地で言われる直轄河川として、国が直接これを実施をするに値いする河川というのはそう多くないと思うのです。ところが先ほど御質問申上げましたように、実際は内地では経済力の負担があるから地方自治体でこの実施をやつてもいいのだけれども北海道においてはただ財政負担だけがないためにいわゆる直轄になつている。そういうときに、内地では当然これが府県で実施を行うにもかかわらず、北海道では北海道でやつてもいいことですが、小さい河川その他になりますと、ただ財政負担だけは堪えられないからこれはこれを国が財政的に補助負担をすると、そういう場合に実施までも全部国がやるということは余りに機械的じやないか、従つて、若し内地並ということになれば内地と同じぐらいの河川についてのみ国が実施までもやればいいのである。今度の計画では全部、国が費用を負担しているものは国が実施をするのである。こういうことになると非常に機械的である。こうまあ解されるのですが、この点を先ほどお偉いしたわけなんですよ。    〔委員長代理楠瀬常猪君退席、委員長着席〕
  276. 神戸正雄

    ○政府委員(神戸正雄君) 北海道では内地よりも直轄河川の範囲というものが、財政能力の面からできなくなつているというようなことになつておりますが、併しすでにどういう理由にせよ直轄河川であるということにきまりました以上、やはり国が直接にやるということにしたほうがよろしいのでありまして、どの程度に直轄河川を認めるかということはこれは問題でありまして、直轄河川の範囲をきめることが、我々が或る程度現在の制度を離れて考えて見たい、計画して見たいとこう考えている次第でありまして、済みました問題は私ども何とも考えておりません。(「委員長関連して」「委員長議事進行について」と呼ぶ者あり)
  277. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつと待つて下さい。委員長は今この席に着いたばかりでどういう状況におるかわかりませんが……。
  278. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 お着きになつただけなんで、もう一遍議事進行について……先ほど委員長代理が着いておられたときに提案いたしたのでございますが、本来の委員長がおいでにならないためだつたかと思いますので、改めてあなたがお着きになりましたので議事進行について提案をしたいと思います。実はこの夜の質疑を始めます前に事務局のほうから私に対して、神戸議長に対する質問を先ず最初にやつてくれ、そしてそれを簡単に片付けて成るべく短時間で神戸先生を解放してほしい、神戸先生は御老齢なんでありますし、而も今日はずつと朝からお詰めになつておりますので非常にお疲れのようでございますから、それでそういうつもりで実は私冒頭に質問をいたしまして簡単に片付けるつもりでいたのでございますが、何しろ御承知通り一番重要なキイ・ポイントになりますもので、関連質問が非常にたくさん出ましてつい十時前までにもなつてしまつたのです。それでお答えを聞いておりますと、いろいろと教えて頂いてはおるのですが、非常にお疲れになつておる模様でもありますし、声もおかれになつておるような状況でもございますので、少くとも神戸先生だけは……。ここで一応神戸先生に対する関連質問は打切つて明日にでも廻して頂いて、そしてあとの私のそれ以外の質問を更に続行するというふうにお取計らいを願いたいということを申出ておりますが、本来の委員長がおられないために取上げることができないというようなお考えで、更に継続をいたしていたのでございますが、お見えになりましたので改めて提案したいと思います。
  279. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君にお答えいたします。連合委員会は本日限りになつておりまするから願わくば委員諸君におかれましてできるだけの御審議を続けて頂きたいということをお願いいたします。
  280. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それは委員長のおつしやる通りに更に続行いたすつもりでいるのでございますけれども、先ほど私問題にいたしましたように、総理に対する質疑も残つておりますし、この問題もございますし等々があるから神戸先生も又の機会に譲つておいて、今夜だけは神戸先生だけは解放して上げて頂きたいというお願いなんです。
  281. 河井彌八

    委員長河井彌八君) なおこの際総理の出席の問題につきまして御報告申上げます。先刻関係常任委員長の諸君と懇談会を開きまして、そしてどうしても総理大臣出席を要求するということでありますが、これは昨日もすでに総理の出席委員長として要求しておいたことであります。本日もたびたび要求をいたしました。ところが御出席ができないということで先刻私から御報告を申上げた通りであります。更に夕刻の懇談会の結果を以ちまして、只今まで時はかかりましたけれども、官房長官に会いまして、そうして委員会の状況を述べまして、そうして是非出てほしいということを強く要望いたしたのであります。ところがこれに対しまして官房長官の申しますのには、総理は朝から内外と申しますか、いろいろな事務に多忙であつた、殊に外国人との関係等もありまして忙しかつたので非常に疲れておる、そこで先刻医者に診てもらつた。ところが医者はこれは相当、何といいますか、(「謹聴謹聴」と呼ぶ者あり)相当静養を要するということを言つたというのであります。併し私は委員会の状況を述べまして、これは最も重要なことであるのだからということで重ね重ね要求をいたしましたところが……要するにそういう状況であつたのであります。従いましてこの上どうしても出てくれということを申しましたところで必ず出るとかいうことは、これは見込がないので、今晩はどうしてもこれは出られないということの結論を得たのであります。然らば明日は出られるであろうかということでありますが、明日のところはやはり出ることはできないであろうということであります。併しなお念のために明日は十時から内閣委員会を開くからそれまでによく連絡をとつて知らせてくれということを要望いたしましてそれで帰つて来たのであります。このことを申しておきます。
  282. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 実は委員長がお席にお坐りになる前に実は私は委員長代理に要求を申上げておいたことがあるのであります。それは非常に重大な問題でございまして、本案の審議上非常に大きな意見の食い違いが政府と我々委員との間に起きておるのであります。と申しまするのは、増田長官がたびたび申さるることに、国の事務をば地方知事に委任をしておる場合に、知事は議会に対して、いわゆる地方議会に対してその仕事の責任も負わないし、国に対しては勿論参考人程度しか出席しないのだから、結局この責任は中ぶらりんだ、こういうことをたびたび申しておりまして、これが今度の法律改正の非常に大きな原因になつておるかのごとくたびたびおつしやつおるのであります。ところが我々の解釈はそうではないのでありまして、いわゆる地方自治法において国が国の事務を地方の知事に委任した場合には主務大臣がこれを監督するということになつておりまするから、監督の立場に立つておるところの主務大臣がその仕事に対する責任を当然負うべきものであつて、その責任の所在ははつきりいたしておる、かように述べておるのであります。併しながら幾らこれをば責任を負う必要はない、いや主務大臣だと言いましても一向これは埒があきませんから、私はこの問題は或いは昨日も私が質問いたしました道路法、或いは港湾法に対する抵触の問題、或いは昨日も出ております憲法第九十五条の問題等もございまするので、私はこの際法制意見局長の出席を求めて御意見を承わりたいということを申入れて、それがそのままになつておるのでありますが、委員長においてよろしくお取計らいを願いたいと思います。
  283. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは出席を要求しますから……。
  284. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 河井委員長には夕刻来私たちの希望を快くお容れ頂いていろいろ総理大臣出席を求めるために御奔走頂いた点は大変私たち有難い次第でありまするが、これは常任委員長がこの席を離れてまで政府側に要望して歩かなければならんということ自体そのものは、これは意見がましくなると思いまするけれども、非常に遺憾なことでありまして、河井委員長にそういうことまでおやり願おうとは私たち思わなかつたわけでありまするが、その総理大臣出席しないということも官房長官の御意見とやら、御返事とやらだそうであつて、これほど重要法案を遅くまで審議しておるのに、官房長官ぐらいのかたでさえもここへ出てその事情を述べられない。そして立法府の常任委員長が政府側に代つてお断りを言わなくちやならん、こういうようなことは誠に私は遺憾だと考えるのであります。(「同感々々」と呼ぶ者あり)そこで大変河井委員長に対しては相済まん話でありまするが、その御苦労に感謝する意味合いから言いましても、参議院というものの形から申しましても、私は一応政府側から総理が出席できないという事情について直接ここで御答弁を承わり、そういう事態になります限りにおいては今後の議事の進行等については予定とは又違つた角度が現われて来ておるのでありまして河井委員長はどういうお考えを持つておられるかわかりませんが、即ち私たちとしましては総理大臣から根本的な御見解を承わることによつて主務大臣である開発長官その他にまだまだ質問したいという点を持つておるわけなんでして、そういう点から申しましてもいろいろこれは議事進行についてはお考え願わなくちやならんと思いますが、先ず第一に政府側から責任のあるおかたに出て頂いて総理の欠席の弁を述べて頂きたいということを提案いたす次第であります。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  285. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君に申上げます。小笠原君の御意見は御尤もだと思います。それ故に私はとにかく自分が尽すべきだけのことはいたしたつもりであります。それは先刻委員長の打合会の結果で、私はそれを忠実に実行したつもりであります。従いましてそのことをありのままにこの委員会に報告するのは私がしなければならんことでありまするから、それはやり過ぎたかどうかそれは知りませんが、(「ノーノーと呼ぶ者あり)私はちつともそうは考えておりません。でありますからこれだけは報告いたして置きます。そこでこれは政府側からもなおそれにつきまして御説明があるならばそれは必要なことと考えますから、それは政府側に要求いたしましよう。
  286. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 官房長官出席して御答弁を願います。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  287. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今同僚小笠原委員の動議を容れまして直ちに委員長が政府側の出席を求めて答弁するようにお取計らい下さつたことに先ず敬意を表しますと共に、とにかく内閣総理大臣に対してここに出席するように先刻来常任委員長会議の打合会の決定線によつて努力されたことに対して私も敬意を表します。そこで私はこの公正なる議事を運行され、而も熱心に今日委員長としてその職務に精励されておりまする内閣委員長の議事に協力する意味において次のことを申上げたいのですが、先ほど委員長お話では今晩連合委員会は打切るようになつているという意味合いのことを私が聞いたのでございます。そうして次の報告が、首相は残念ながら今晩は出席できないと、こういうことになつたようでございます。首相の出席できない理由は折から重態だそうでございまして、これは止むを得ません。ただ私が問題といたしたいと思いますることは、内閣総理大臣出席要求は今朝やつたのではなくて、これは我々のこの連合委員会の委員が先日来要求したはずでございます。私自身は要求いたしませんが、その内閣総理大臣答弁に連関いたしまして各委員とも質問をそれぞれ持つていると、こう思うのであります。従いまして議事を今晩にも連合委員会は打切るということと、内閣総理大臣出席できないという二つは私の考えを以てすれば両立いたしません。小笠原委員の要求によつて政府側が出て来てお話することは只今内閣委員長がおつしやつたことを出でないと私は確信いたします。従いましてそれらの件に関して特に委員長におきましては一体この内閣総理大臣が出ないことに連関いたしまして本委員会をどういうふうにされるのか、これは一つ我々のあと質問の都合もありまするので、この際明確に御意見を承わつておきたいと存ずるのであります。
  288. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 相馬君にお答え申します。内閣委員会は他の常任委員会から連合委員会を開くという御要求を受けたのであります。従いましてそれに対しましては何日まで連合委員会を開くかということを決定いたしたのであります。初め決定をいたしましたのは、実はかようにたくさんの常任委員会から連合の申入があるとは考えておらなかつたのでありますが、従つて二日間ということを予定したのであります。然るにその後更にたくさんの委員会からお申込がありました結果、御承知通り、十の委員会の連合ということに相成りまして、そこでできるだけそれでも各常任委員会の御意見をこの質疑応答の間に十分に反映させることが必要であるということを考えましたから、初め二日間では足りないから、三日ということにいたしたのであります。これは内閣委員会が決定した一のでありまするから、その三日はいつになつて終了するかと申しますれば、今晩限りになるのであります。これはどうも止むを得ないことだと考えます。而して内閣委員会の立場考えて見ますると、第一日、この連合委員会に入る、前日は水産省設置法等の問題がございまして、午前中はこの北海道開発庁の問題に入ることはできなかつた。だから半日内閣委員会は審査を始めたのでありまして、それでそれから考えますると、どうしても最後の一日だけは、内閣委員会において相当審議を尽さなければならん点がありまするから一日だけはほしいということにはなつております。従いましてこれは会期が延長されるかどうかというようなことは私ども考える限りでないのでありまするから、結局明日一日だけ内閣委員会において、これを審議したいと、こういうことになつております。事実はそうであります、それで決定は本日限り連合委員会は終了せられるものとなつておるのでありまするから、そういうふうに御了承を願いたいというのであります。(「了承」と呼ぶ者あり)
  289. 相馬助治

    ○相馬助治君 只今委員長の縷々御説明の話はわかりましたが、本日で連合委員会を切上げる、このことの前提一つあると思うのです。それは十分なる審議が尽されるということは言わずもがなであろうと思うのであります。従いましてかかる重要法案に対しまして内閣総理大臣が僅かの時間でもおいでにならないということがすでに不可解なのでございます。従いまして内閣委員長内閣委員会という立場からいたしますれば明日一日は十分審議したいと、御尤もでございます。当然そうあるべきでございます。併し今度は半面我々連合委員会立場からいたしますると、具体的の実例を以てするならば昨年大雪が降つて思わず、これは予測しなかつたのに議事が開けなかつた実例がございます。従つて内閣委員会が三日間とこうきめましても天災地変によつてはいささかの審議を経ずして三日間たつことすらこれはあり得ると思うのであります。それとこれとは違いまするけれども内閣総理大臣がとにかく出席していないというこのままにおいて連合委員会が打切られるということに関しましてはどうしても私は合点が参らないのでございまするが、再度その辺の御見解を承わりたいと存じます。
  290. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 相馬君にお答え申上げます。相馬君の御心配のことは御尤もであります。併しながら先に申しました通り、会期は延長せられましても、明日限りになつております。而して内閣委員会といたしましては、どうしても一日くらいは、最後の一日はどうしても審査の期間が必要だ、こういうことを考えておるのでありまするから、なおこの連合委員会を継続するや否やということは、明日内閣委員会を開きまして、その議決の結果で以て御承知を願うほかはないと思います。これ以上私から……。(発言する者多し)静粛に願います。この問題については説明ができないのであります。そのことを申しておきます。
  291. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 明日内閣委員会でおきめ願うというお話でございますが、私、夕方提議をいたしまして、委員長からそれを採択されまして、委員長会議をお開き願つたわけでございますが、その委員長会議をお開き願いたいと私が提議しましたのは、申上げるまでもなく、総理が出席をし、更に各委員が審議を尽すということを前提条件にして、今日で打切るということであつたのにかかわらず、総理の事情によつて総理がおいでになれないということだから、前提条件が変つたから、その点を一つ然るべくどう扱うかということを御協議願いたい(「その通り」と呼ぶ者あり)というふうにお願いをして、そのために委員長会議が開かれたと思うのですが、先ずこの委員長会議お話合いなり何なりがどうだつたかということも一つ前に御報告を願いたい。それにまつて更にその意向を容れて明日の内閣委員会のお運びも願うことになるだろう、それを一つお聞かせ願いたいこと。それからもう一つ、先ほどから言つておりますように、一応神戸先生に対する質問は留保いたしまして、今日はお帰ししたほうがいいんじやないかと思います。それも併せて提議いたしたいと思います。
  292. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 佐多君にお答えいたしますが、佐多君の先刻の御要望は、総理大臣が来ないならば、来るまで連合委員会を延ばせという御趣意のように承わりました。延ばせということはどうか知りませんが、とにかく総理大臣が来て、そうしてこの連合委員会において説明をすることを要求する意味と解しました。私はそれは御尤もだと思います。私自身も相当考えております。従つて今日二度も要求いたしまして、そうして最後に回答がありましたごとく、総理が出られないということになりましたが、それは非常に遺憾でありましたから、それで相談をいたしたのであります。そこでなお委員長の懇談会の結果、それなら遺憾であるから、もう一遍要求をしろということでありましたから、私は行つてそのことを要求したのでありますが、只今報告をいたした通りであります。これは誠に遺憾に思います。併し内閣委員会のきめました連合委員会のこの開催の時間というものは、おのずから初めきまつた通りになつておりまして、これを変えることは只今の情勢では困難だと考えます。併しこれは明日内閣委員会を開いた上で更にこれを決定しなきやならんのでありますが、今日一ぱいということはすでに決定しておる事項でありまするが、どうもそれに総理が出られないということであれば、これ以上私といたしましてはどうすることもできないということは誠に遺憾でありまするけれども、さように申すほかはないのであります。次の問題でありますが、神戸先生に対する御心配のことは、私には最もよくわかります。私も相当年をとつております、(笑声)笑つては困ります。私はそういう点については、私は本当にこの議員諸君が思い遣りを持つて政府の神戸先生のごとき立派なおかたに対せられるということは、私は当然だと考えます。それ故に私はどうか先生にお帰りを願いたいということも考えております。併しそれがためにこの連合委員会を延長ずるということは、これは全く別問題でありまして、これは更に内閣委員会において検討しなければ、私はそれに対して何ともお答えのできないということは遺憾でありまするけれども、これだけお答えするほかはないのであります。(「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  293. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君。議事進行でも何でもよろしい、どうぞ。
  294. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 出席を求めております官房長官がおいでになりませんので、大変迂遠な話になるかと思いますけれども、この際私申上げたいのですが、内閣委員長のいろいろな御考慮というものは至極御尤もであります。又内閣委員会の職責を果そうとして、その決定されたものが決定された通りである現段階においては、それ以上のことは申上げかねるということもこれは誠に御尤もなことであります。併しながら内閣委員会なり或いは通産委員会なり、これらは全員の参議院の討議にかければ法案は最もふさわしい民主的な手続を経て議決できるのであるが、それぞれ分担してこれを審査して行くという建前になつて来るところから、おのずから生じて来ておる責任なのでありまして、而もこの内閣委員会がこの法案の審査をするという建前は、行政組織を変更するという建前の法案でありますから、形式上の問題から内閣委員会の審査にかかつておるということが、これは正直のところ間違いのない点であろうと思うのであります。併しながらその法案の内容となるものは、地方自治と国の行政の問題或いは開発事業でも、農林という内容がどうなるかというような、肉を附け皮を着せ、そうしていろいろこの問題を各般の角度から検討をするという必要を認めて、同僚参議院議員の委員会が連合審査を申入れたということは、逆に申しますならば、この内閣委員会が行政組織上がら冷たくこの問題を扱うということではなく、肉を附け皮を着せ、あらゆる角度から慎重審査するということにおいて非常に役立ち、却つて内閣委員会から私たちは実はお礼してもらつてもいいくらいのものじやないかとさえ思うのであります。こういうやりかたこそが参議院の過ちない最終決定をするためには至極尤もな手続であろうかとも私どもは自信を持つて考えておるので、何ら内閣委員会に対して御迷惑をかけたいというような意味合いを持つて連合委員会に臨んでおるわけの筋合いのものではないのであります。従いまして内閣委員会としては審査の期間を、こういう日程においては一日ほしいということも十分我々としてはわかるし、そうあつてほしいと願うのでありまするが、併しながら大方の各般の意見を持つておる者がその意見に基いて慎重な審査をしたいということの気持なり考えは各会派の多数或いは少数を以て押切り、又それを以てよしとする筋合いのものではないであろうということを私は思うのであります。従つてこれで十分な審査を得られないという場合においては、内閣委員会が一日とつて十分審査をし、又我々連合審査を望むものは又審査する必要を認めるというような場合には、その後においても又連合審査が時をかけて行われてもいい筋合いのものである。而もそれが時間的には会期が切れたということであるならば、継続審査というようなこともあり得ることであつて、それと又是非今回通さなければならんという緊急性のものとは、これは内閣委員会等で十分御勘考頂いてお考え願えばいいのでありますが、先ず大前提として明日中には通さなければならぬという考えもあるでしようし、通さんでもいいだろうという考えもあるのであつて、その一方に乗つてこの議事を進行させて行くということは私は参議院のあり方としては望ましいものではないというふうに考えておるのであります。而もそのことが押切れてやつたといたしましても、大方これだけの意見を持つおるかたがたがある、この意見を抑えてこの法案が結果として成立したとかしないとかということでは、これは私はまずいことである。而も増田長官は再三党利党略でもなければ或いは北海道の田中知事のそれの問題でもないという、誠に明快、慎重、友愛の精神に富んだ御発言があるときに、何か多数であればこれを押切つてやれるというようなことで、結果がそういう形になるとするならば、世間はやはりこれは何かあるのではないかなというようなことになつて増田長官の好意ある意思というものも水泡に帰するのではないかと私は思う次第であります。従つてですね、官房長官がおいでになつて先ず以て総理大臣の不出席の理由をお聞きしましたあとにおいては十分内閣委員会では最終決定をするにはしましても各種の連合審査に当りこの委員のかたがたの意のあるところというものは十分お聞き取り頂いて、そしてこれを内閣委員会に反映して頂くということは、やはり内閣委員長として連合審査の委員会の委員長となつておる筋合いのものであろうと思うのであります。即ち内閣委員会の委員長としての半面と、連合委員会としての委員長の半面とを抱き合せてですね、そうして何ら意思の疏通せぬところのない円滑な議事運営ができるような方向に、委員長にはお取計らいを願いたいものでありまして、先ず以て官房長官出席を求めてその御答弁を聞いたあとでですね、いろいろな論議を内閣委員長お聞き頂いてお取りまとめ願いたい。この問いろいろのことを申上げておつてもこれ以上何ともその進展のしようがないとこう思いまするので、一応まあ早くこの官房長官を出して頂きたいというのがながなが申上げました(笑声)議事進行の意見なんです。
  295. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君に伺います。内閣委員の審議に対して何か甚だ疎漏であるがごときお言葉があつたように思いましたが、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)若しそういうことでありまするならば、若しそうでありまするならばこれは委員長としては甚だ遺憾であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)
  296. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 そういう意味合いは一切ございません。
  297. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それは官房長官が出て来て、総理大臣出席できないという理由を説明するということは、私委員長としてそれを期待しております。それからなおこの問題を初めから今お言葉があつたように、これを可決するのであるか、否決するのであるか、或いは継続審議にするのであるかというようなことは、委員長といたしましてはまだ何らそういうことについては考えておらないのであります。(「御尤も御尤も」と呼ぶ者あり)これらの点につきましても今なお御発言の中には聞きようによつては甚だ人を誤らせる虞れがあると思いますから(「ノーノー」「そんなことはありません」と呼ぶ者あり)そのことをはつきり申上げて置きます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
  298. 木下源吾

    ○木下源吾君 只今河井委員長のいろいろの御苦労に対して先ず以て感謝をしておりました。さて問題はですね、この議事の運営をですね、如何にするかという問題と、内容の点がどうなつておるかという問題であろうと思うのであります。先ずこれは二つながら関連しております。そこでこの連合委員会としてはですね、委員長もしばしばお話のある通り非常に有効な試みであつた。私どももさように考えております。併しながらですね、まだ委員長もおわかりの通り一般的の質問のみで核心に触れたものは誰もまだ掴み得ないという実情は委員長もよくおわかりだろうと思う。そこでこの問題は行政上、制度上の問題についてはです、まだまだ質疑の点がたくさんあろうと思うのでありますが、なお我々は会期の都合もありますので政治上の政治的、政策的の問題についての点を明らかにする、少くもその点を明らかにしてのみですね、我々は問題の所在がはつきりするであろうという見解に立つてです、少くも私は三日以前から総理大臣の御出席をお願いしておるわけであります。従いまして二日間に亘る連合委員会の席におきましても参考人に対する御質問を除いたほか、本格的な御質問を私は御遠慮を申上げておるのであります。従つてこの問題の解決のためには欠くべからざる政治的見解を質すというこの一点が最も重要であり、従つてそれは総理大臣出席なくして私は不可能だと考えておるのであります。従つてどもはこの総理大臣出席を二日間しびれをきらして待つてつた、ところが今のお話では御出席にはならない。これは併し止むを得ません。だがこのような事態に対してです、委員長といたしましてはこの点については先刻も委員長の相談においていろいろ話合いがありましたので、先ずこの重大な問題の御報告はですね、早速委員長を集めて御報告をなさることが運営上私は一番妥当ではないかと、かように考えておつたのでありますが、ところが委員長は直ちにこの委員会に御報告になりまして、御覧の通りそれに関する論議だけでももはや一時間になんなんとしておるのであります。私ども連合委員会は単に時間を食いつぶせばいいのだ、所期したところの日にちさえをつぶせばいいのだと考えておるのではありません。(「その通り」と呼ぶ者あり)できる限りこの委員会を一時間でも三十分でも十分でも有効にしたいと思つておるのであります。そういう意味合いからしてその運営に対しても至大な関心を持つておる。で委員長はですね、私は総理大臣出席の不可能な理由を先ず常任委員長会議で集まつてもらつてですね、そうして御報告になつて、総理大臣が来られなければ副総理或いは官房長官なり政治的見解を明らかにする責任のある人を出すという手もあるのであります。或いは又本日できなくても、それらの質問の希望を持つておる者に対しては、あなたの所期せらるる内閣委員会が明日開かれるならば、その機会において時間を割愛するという方法もあるであろうと考える。いずれにいたしましてもこれらの運営については、常任委員長会議一つお開きになりまして、そうしてお諮りになるということが一番適当ではないか、かように考えるので、委員長に然るべくお取計らいを願いたい、かように考える次第であります。
  299. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 木下君に伺います。私が初め常任委員長の懇談会を開いたのであるから、総理大臣が出られないという事情を報告し、且つ又他に誰か出るかどうかというようなことを御報告するために常任委員長の懇談会を開くべきであつた、それを開かずしてこの席に着いたのは悪いというのですか。どういう意味ですか。私にはわからなかつたのですが……。
  300. 木下源吾

    ○木下源吾君 私は悪いというのではなく、そういう手続をやられたほうが、そういう方式でやられたほうが、もののきまりが早いのではないか、こういうほうが能率的に行くのではないか、こういうように申上げておるのであります。
  301. 鈴木清一

    ○鈴木清一君 木下君の御心配はここにあると思うのです。というのは、私は運輸委員でありますけれども、例えば運輸委員会に連合の問題をかけられたときに、私どもは先ず前提といたしまして、この問題は非常に重要な問題であるので総理大臣中心にして各関係主務大臣にもお尋ねしなければならないということを前提の下に、肚にはあつたのであります。これはいつものときでも同じようでありまして、そういう気持を皆持つて、各委員会でもこの連合に参加する人、発言を要求して参加する人たちは、それを前提として恐らく各常任委員会でもそうしたことをきめたと思う。例えば運輸委員会におきましても私どもはそういう心がまえでおつたのであります。ところが聞きますると、連合委員会にも総理大臣が出られないということになりますると、私の心配するのは、若し明日にでもなりまして、おきめなされておるとはいえども、各委員会においてこの問題を若し取上げて、なぜ総理大臣が来なければそうしたことができないというようなことが各委員会に起りました場合には、非常に問題が大きくなると思います。従つてどもはその点を心配して、特に木下君は今の発言をされたと思うのです。こういうことが起るという想定をお考え下さいますれば、どこまでもここで総理大臣出席を一応求めなければこの問題が解決しないという結論になる。そうすると先ほどの委員長お話では本日は来られないという話はされておるけれども、但し明日来る来ないということについては明言されておらない。勿論あなたもお聞きになつておらない。そういたしますれば連合委員会のいわゆる形式は……明日になつて開かれても仕方がない、こういうことはどうか、お考えになられるところだと思うのです。でありますので、でき得ればそうしたことについて明快に各常任委員長にもよくその趣旨をお話しして、そうして各委員会でそういうことが起き得ないようにお話合いをしたらどうだろうかということを忠言する気持から、木下君がこの発言があつたと思うのであります。私も実はその気持に同じであるということを附言いたしまして、その点もお考え下さるようにお願いいたします。
  302. 兼岩傳一

    ○兼岩傳一君 委員長は公明且つ正大且つ民主的におやりになつておることに対して敬意を表します。そこで私は経済安定委員でございますが、小笠原君がすでに大体尽しておられますけれども、経済安定委員といたしましては総合自立経済と総合国土開発は主管でございますが、それがこの連合委員会をお開き下さつたので、初めて我々が意を尽すことができたのであります。それでその点はすでに小笠原君が尽しておりますが、ただそれに一つ附加えたいことは、衆議院におきましてはどういう事情がございましたにしろ、どういう党派の力関係がございましたにしろ、野党の要求としてこれを一蹴して連合委員会をさえ開催しておらないのでります。たまたま二院制度の妙がここに発揮されまして、参議院ではこのように堂々たる連合委員会が開かれまして委曲を尽して審議できるということは、私は非常に国政のために結構なことだと考えております。従いましてどうか委員長がこれらの方針をきめられますに際しましては、勿論内閣委員長として内閣委員会の運用ということに非常に頭をお使いになつておられることは当然でございましようが、そういうような衆議院の、連合委員会さえも開かないで、そうして急遽こちらへ送り込まれているというこの欠陥を参議院において正すという意味におきましても、この連合委員会というものの意義を十分評価下されまして、一つどうか総理を呼び委曲を尽し得ますように、そうして内閣委員会の運用のみならず、この委員長会議におきまして、各委員長の要求その他も十分取入れられまして、民主的に且つ一層公明正大に運用して下さることをお願いいたします。
  303. 千葉信

    ○千葉信君 議事の進行が非常に見通しのつかない状態に立至つているというふうに私は感じております。勿論委員長が老躯を提げて非常に熱心に努力されておることについては、私は満腔の敬意を表します。併し同時に私は委員長内閣委員長としての立場から、一応もう連合委員会は本日で打切るのだという内閣委員会の一応の御決定を尊重されて、先ほど来お話合いをされておる点については、これ又私は委員長立場として委員長の御発議を私は了承いたします。
  304. 河井彌八

    委員長河井彌八君) そうでしよう。(笑声)
  305. 千葉信

    ○千葉信君 更に私はもう一つは、木下人事委員長が言われたように、若しこの連合委員会が要求しておりますところの首相なり或いは官房長官出席前提としてその御出席がないという状態において、どうこの連合委員会を運営すべきかということについて一応お話合いをしようじやないか、そういう委員長の措置を希望しておられる点も、これ又私は当然の御希望だろうと思うのでございます。従つて私はこの際委員長にお願い申上げたいことは、内閣委員会の一応の御決定も勿論当然であつて委員長としてはそれに対して十分委員長としての立場からいろいろ発言も、又それから今後の運営についての御考慮もあることと思います。併しながらこの先の見通しのつかない状態に立至りました現在のこの状態において、どういうふうにすればいいかということについて、この際委員長に私は深甚なる御考慮をお願いしたい。この際議事進行の見通しのつかない段階に立至つた状態において、委員長は一応内閣委員会を開かれて、こういう状態に陥つている連合委員会の状態をお考えになつて、先に決定された内閣委員会の決定に対して、どういうふうに考慮されることが一番いいか、それから又委員長会議を開いて、委員長諸君の各自の委員会におけるこの連合委員会における質疑が終了したかどうか、それから又今後どういう形において又継続されるかどうか、こういう点について一応話合いをされて、そうしてその上に立つてスムースに最後の結論を出されることが、この先の見通しのつかない連合委員会を最も効率的に内閣委員長が取りさばかれる一番いい方法じやないか、そういう立場から私は次の動議を提出いたします。一応この際休憩なされて内閣委員会として、連合委員会をどうするか、それから又委員長会議を開き、各常任委員会の委員諸君の質疑がどの程度で終了の見通しを持ち、どの程度で質疑を打切ることができるかどうか、こういう点についての委員長を通じての最後の結論を、委員長自身内閣委員長として把握されて、その上に立つて連合委員会の今後の問題をお考えなされたほうが、一番この際妥当な而も能率的な方法ではないか、かように考えて私は休憩の動議を提出いたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)この理由は混乱に陥つているこの議事の見通しについて一応の方法を、内閣委員会を、若しくは内閣委員会の打合会を開き、委員長の打合会を開かれる、こういう点について、御考慮を下さつて、この際休憩せられることの動議を提出いたします。(「賛成」「異議なし」「必要なし」と呼ぶ者あり)
  306. 河井彌八

    委員長河井彌八君) ちよつとお待ち下さい。千葉君にお答えいたします。この委員会の運営につきまして、御注意は有難うございます。ただこの際内閣委員会を開き得るかどうかということは疑問であります。殊に引続いて連合委員会を開くということは、決議を要すべき重要なことでありまするから、懇談会等ではそれは取計らうことはできないとかように考えます。それからもう一つ、常任委員長は大部分お集まりのことと考えまするから、それは適当な時期に常任委員長の懇談会を開きたいとかように考えております。併し内閣委員長としてこの席におりまする以上は、たとえ時間が十分でありませんでも、連合を申込まれましたどの委員会におかれまして、それに対しましても、相当御意見を発表になる機会だけはどうか十分に、十分でなくとも必ず差上げたいということを私は考えまして、昨朝もそうでありますが、本日の朝も又先刻もそういう意味で各常任委員長にいろいろ御配慮を願つたのであります。各常任委員長には私の至らない心持をよくお酌み取り下さいまして、そうしてこの委員会の進行に御努力下さつておると私は確信しておるのであります。そこで……(発言する者多し)黙つて下さい。(「私語を慎め」と呼ぶ者あり)そこで私はこれから常任委員長お話合いは願おうと思いまするが、併し同時に、たとえどんなに少い時間であつても、委員諸君のこの質問に対する重要な熱烈なこの御発言は継続したいということを考えておるのであります。(拍手)ここで私は委員会を休憩するという考えは持つておりません。併し動議が出ました以上は、それは採決しなければならんと考えます。そこで千葉君の、この委員会を只今休憩するということに賛成の諸君の起立を願います。……勘定して下さい。    〔起立者多数〕    〔「数えるときには声を出してよく勘定しないとインチキだ」と呼ぶ者あり〕
  307. 河井彌八

    委員長河井彌八君) なお念のために申します。御起立になつたかたは一応御着席下さいまして、そうして休憩に反対の諸君の起立を願います。反対の諸君の起立であります。    〔起立者少数〕    〔「少数」「多数」と呼ぶ者あり、笑声〕
  308. 河井彌八

    委員長河井彌八君) それでは採決の結果を申上げます。現在数五十名、それで休憩に賛成する諸君が二十九名、(拍手)反対の諸君が二十一名、それ故に休憩に決しました。(拍手)およそ三十分間休憩いたします。    午後十時四十八分休憩    —————・—————    午後十一時二十九分開会
  309. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより引続いて連合委員会を開会いたします。内閣官房長官
  310. 岡崎勝男

    ○政府委員(岡崎勝男君) 吉田総理大臣に対する出席の要求がございまして、委員長も再三その旨を申入れられておいでになつたのであります。ところが総理大臣は少し健康を害しておりまして、本日前からの約束があつた関係上、内外の人に約束通り面会等をいたして、更に工合が面白くなくなつて参りました。医者に診てもらいましたところが、これは静養を要するから、十分注意するようにということでありまして、我々が医者の注意を無視するわけにも行かないと考えておりまして、総理は所労のために本日は出席できないということでありますので、さよう御承知願いたいと考えるのであります。
  311. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 只今の御説明でありまするが、そういう御説明はいつかの委員会のとき、或いは本会議出席等の問題のときにも承わつたので、官房長官手馴れた御説明であつたと拝承するのですが、確かにこれは御病気であるということであればいたし方ないのですが、ただ私たちとしましては、国会のこういう会期を延長してまでも重要な法案の審査をしているというときに当つて、外はとにかく内の人ともお会いになるような、それだけの余裕がある際には、この委員会に出席して頂くならば、なお結構であつたというふうに考えるものでありまするが、そこで明日はさて御出席頂けるかどうかということを質問したいのでありまするが、そういう質問をいたしますと、多分医者に聞かなくちやならんだろうといつたようなことにもなるでしようし、或いは又総理の得意である仮定の問題には答えられないというようなことにもなると思うので、あえて質問はいたしませんが、そこで私は先ほど来委員長に申上げておりますように、総理大臣出席を求めるということは連合審査においていろいろ審査をして来ました結果、非常な政治的ないろいろな問題があるのであつて、根本的なこの法案に対する御見解をあらゆる角度から政府責任者である内閣総理大臣にお尋ねしたいという希望はますます強くなつたわけであります。そこで委員長によくお聞き願つて、又言葉の節々で誤解を受けてお叱りを受けると困るので、お聞き取り願いたいのでありますが、どうしても総理大臣出席を求めて、この意のあるところを十分にお聞きしたいという私たちの先日来の希望は今だにおいても捨てることはできない、而もなおそういう要求が強いのであります。ところが内閣委員会は権限を以て本日限りこの議事を打切りたいという御意向のようであるというので、委員長も非常に御苦心のようであります。そこで私はこの際単刀直入に動議を出しますが、内閣総理大臣出席は病気を以て遺憾ながら本日できませんでしたので、明日御出席できる可能性もあるのでありますから、明日内閣総理大臣出席を求め、又出席がない際には副総理なり政府責任者の出席を求めて根本的な見解をお尋ねしたいために連合委員会を、いろいろな御事情があろうとも、明日続行して頂くということにいたしたいと思うのであります。併しながら、この問題は私たちに権限がないと言われればそれまでのことでありますので、内閣委員長は明日の内閣委員会についてお取計らいになるのに都合のよいようにしたいという考えを持ちますので、何ら手続上合法性を持つものであるという動議ではありませんが、この連合委員会における委員は連合審査を明日継続して、内閣総理大臣出席も或いは求めて、十分な審査をしたいということについて如何なる意思を持つておられるかということを、これを採決して頂きたい。そうしてこの採決を連合委員会の名において内閣委員会の明日のいろいろな決定をするのに対して要望として出したい。こういう考えなのでありまして、何ら私は違法性がある問題だとは考えません。そういうこの場限りの連合委員会における自由な意思がこの動議に対してどうであるかということを採決して頂いて、内閣委員会の審議の資料になるように要望して頂きたい。以上動議を提出いたします。
  312. 溝淵春次

    ○溝淵春次君 今発言を許されました。只今小笠原さんの動議がありましたが、本連合委員会は、その本質は、お互いに胸襟を開いて協議をするという会合であり、先ほど休憩の動議でありましたが、(「懇談会じやないよ」と呼ぶ者あり)休憩の動議はありましたが、連合委員会におきましては、この与えられたる法案について十分なる検討を加える、これが趣旨であります。そうして、而もそれは形に囚われないで、(発言する者多し)黙つて聞いて下さい。形に囚われないで、本当に参議院本来の使命を果すべく、ざつくばらんに意見を開陳してやる。そこで当初委員長が、内閣委員長として、これに関連いたしまする各委員長との打合せにおきまして、二日間の期間を以ちまして、十分この案に対する審議を尽し、打合せをやるということでありましたが、一日延長されまして三日であります。我々は内閣委員会に所属しておりますから、内閣委員である故を以ちまして、私ども以外の委員のかたがたの、いずれも貴重なる意見を拝聴いたしまして、三日間謹聴いたしたのであります。そこおのおの三日間の意見は、いずれも北海道開発庁の、開発局の設置を中心といたしまして、真剣な論議が交わされたのであります。そうしてその結果といたしまして、なお審議が尽きておらないという見解と、又この程度で相当質疑は尽されたのではないかという意見と二つあると思います。併しながら、この結末を如何につけるかということにつきまして、先ほど来各委員長内閣委員長が、いろいろ御協議をなさつておられたのでありまするが、その結論を今委員長が御報告になつたのであります。そこで、(「静かにしろ」その他発言する者多し)三日間皆さんの言われたことを静かに聞いたのですから、こつちの言うことも暫らく聞いて下さい。そこで、この内閣委員会が連合委員会中心となつてつて参りましたが、この北海道開発に対する議案が、皆さんが先ほど来論ぜられましたるように、五日間会期を延長して、そうしてこの議案を中心に審議をしている、そうして衆議院の通過の経路につきましてはいろいろ御意見はありましたが、いずれにしても衆議院というものは大多数を以て通過した議案であります。その議案につきまして参議院に回付されて参りまして、私どもはここに慎重なる質疑を皆さんと共に行なつて来たのでありますが、何分にも、(「慎重じやないじやないか」と呼ぶ者あり)何分にも我々は皆様がたに、できる限り質問をせられる時間を十分お取りになるように、我々は一言も質問いたしておりません。いたしておりませんが、皆様がたの質問によりまして、我々の質問をする要点を十分考えて来たのでありますが、本日に至りまして、遂にこの三日間のすでに時間も相当経過して、最後の段階になろうとしておるのであります。そこで天下注視のこの議案であります。そうして又更に会期が続けられて五日間というものを特に設けられたごの議案につきまして、なお意見が尽きないという見解を持たるる人もおありになるでありましようが、大体北海道開発局に対するあの北海道開発庁としての法案は昨年の議会に通過したのでありますから、(「本論本論、さつぱりわからない」と呼ぶ者あり)今日の態勢におきましては、ただ十二条以下のいわゆる改正案、北海道開発庁というものは昨年国会を通過したのでありますから、そこで……。(「本論本論」「委員長動議は成立しておる」と呼ぶ者あり)先ほどから諸君のやつた時間は何時間使つておるか、同じ問題で三時間も四時間も使つたじやありませんか。(「くだらないことを言うな」と呼ぶ者あり)何がくだらんか。まあ落ちついて下さい。(「あなたが落ちつけ」と呼ぶ者あり)そこで我々は皆さんに敬意を表して静かに大変立派な御意見として国家のためを思われる皆様がたの御意見を三日間謹聴いたしたのであります。そこでその結果このいわゆる連合委員会が、先ほど提案されました小笠原氏のいわゆる動議、そういつたいわゆる形張つた動議を審議してこれを採決するというような連合委員会の性格では私はないと思うのであります。そこで本当のことを言えば、委員長が非常な精励をされまして、そうして審議を尽されることにあらゆる努力を傾倒されましてそうして今日に至つたこの経過につきまして、私どもはこのいわゆる連合委員会における意見の開陳といたしましては、私どもが申上げることは内閣委員会においてその一部を申上げ、明日の十時よりの内閣委員会において私どもは意見を開陳するのでありますから、私ども以外に内閣委員のかたがたのうちにおきましても、なお明日は相当意見のあるかたもあると存じまするが、連合委員会といたしまして、先ほどから総理の出席を初め、いろいろなる三日間における経過がありましたが、而もこの連合委員会としては最善を尽してあらゆる努力をして来たのでありまして、この経過に照らしまして、私どもはなお若し本日の時間があるとすれば、適切なる質問を続けるべきものでありまして、そうして、先ほど小笠原氏が出されたような動議を本連合委員会において採択しこれを決議するというような行き方を連合委員会ですることは、参議院の連合委員会の行き方としては私どもは直ちに賛成いたしかねる点であるのであります。(「慎重に考慮することだな」と呼ぶ者あり)そこで今日のこの態勢におきまして、どうぞこの議案に対する私どもの態度というものが、あらゆる角度から検討し尽されて八千四百万国民が納得する結論が出るように努力を傾倒いたしておるのでありますから、その意味におきまして、先ほどの休憩の動議は、これは休憩するかしないかでありますから、休憩するということに多数できまつたのでありますから、我々も休憩したのでありますが、(笑声)更に進んで小笠原氏のような動議をこの連合委員会において動議としてその成否を問い、そうしてさような行き方をするということは、連合委員会の運営の上においてとるべき態度でないと思いますので、反対の意見を……。
  313. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君に伺います。小笠原君の御発言は、希望でありまするか、動議でありまするか。
  314. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 私の今の話は動議でありまして、只今自由党のかたの誤解があつたようでありまするが、私はこの決定を振廻して、そしてこれが優先するなどという前提で申上げているのではなくて、こういう段階になり、時間がもうなくなつて来ている、而も総理の出席も見ない、又質問通告者も多い、然るに内閣委員会は決定をしている、こういう場合に、連合委員会の意思が那辺にあるか、続行したいという希望を持つているか、打切つても仕方がないというお考えを持つているかということを一応採決に問うて、意思のあるところを定めて、これを内閣委員会に対して要望して行く、内閣委員会の意思を何ら拘束するものではないのであります。こういう点の動議については私はいろいろ御論議があろうかと思いますが、そうしてあなたがたも時間切れになることのために演説をしようとは更々私は思わんので、賛成者が一人でもありますならば、動議としてお取扱い願つて、そうして一つ採決を願いたいと、こういうわけであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  315. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 只今の小笠原君の動議に賛成いたします。(「議事進行」「動議成立」と呼び、その他発言する者多し)
  316. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 静粛に願います。
  317. 郡祐一

    ○郡祐一君 只今は議事進行に名をかりまして小笠原君の動議が成立いたしましたが、これは委員長がすでに連合委員会の冒頭において言われましたごとく、本連合委員会は定足数等の定めもなく、(「そんなことはわかつておる」と呼ぶ者あり)単に議事進行として言われますることは、休憩等の動議でありまして、従つて小笠原君は中身を取上げることのできないものを、即ち重大なる瑕疵のある、錯誤のあるものを動議の名の下に提出いたしますることは、今後本院におきまする連合委員会の運用上重大なる汚点を残すものでありまして、このような定足数等の規定のない連合委員会の席上連合委員会に余りお慣れにならない小笠原君がそのようなことをなされるということは、私は動議として御採用になることはできないものと存じまするので、動議として御採用にならず、道なる要望としてお聞き取りになることを希望いたします。(「動議は成立」と呼ぶ者あり)
  318. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 採決をいたします。(「名議長」「冷静にものを考えろ」と呼び、その他発言する者多し)どうぞ静粛に願います。採決をいたします。小笠原君の動議、即ち希望を以ての動議、それに賛成の諸君の起立を願います。(「賛成」「その動議は無効だ」と呼ぶ者あり)    〔起立者多数〕
  319. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 起立者多数と認めます。よつてその希望は明日の内閣委員会に申し通じます。(拍手)
  320. 小笠原二三男

    ○小笠原二三男君 十分前項になりましたが、この際質疑を続行して十二時までやるということも如何かと思われる時間的な様子でありますが、この際委員長にお尋ねいたしますが、通告者がまだあるのを、この時間が切れましたらどういうふうにお取計らいになるようなお考えでありますか、一応承わつておきたいと思います。
  321. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 小笠原君に申上げます。委員長は本日限りで連合委員会が終了いたしまするので、終了に至るまでは委員諸君の御質疑等を願いたいと考えております。(拍手)
  322. 内村清次

    ○内村清次君 私はこの際先ほど動議を提出されました千葉君のその動議の内容には三つの要点が含まれておつたと思います。これは一つは、議事の混乱がされて今後の状態についてどうやつて、折角今まで民主的に、そうして慎重なる審議をやつて行かれたところのこの委員長の今後の議事の進行をどうするか、そのために一応休憩を願つてという要望であります。それから一つは、吉田総理の出席そのものにつきましても、委員長会議の席上におきまして、佐多君の動議を以て委員長会議で話がありましたからして、委員長会議を招集して頂きたい。そこでその議事の進行も併せて考えて頂きたい、こういうような発言が含まれておつたと思います。そこで休憩はされました。同時に又委員長の適当なる、即ち委員長を招集するというようなそのお考え方委員長を御招集になつておられるはずであります。その内容を折角民主的に運用されて来ました委員長といたしまして、この連合委員会の休憩再開の席上に御報告なさることの即ち義務が残されているのであります。ただ直接内閣の官房長官が総理の問題について発言されたのでありますが、委員長会議の席上におきましてどういうことが決定されたのか、それに対する委員長の報告がなされておりません。それを一つ御発言を頂きまして、そうしてその委員長会議で決定いたしましたことにつきまして、又連合委員会の各委員のかたがたも議事進行につきましての考え方や、或いは是非ともこれは重要法案でありまする以上は、吉田総理の出席を求めなくてはならない私たちの立場からいたしましての意見も御聴取になりまして、そうして先ほど成立いたしました小笠原君の即ち動議の状態につきましての具体的な要求をここに御取計らい頂きまして、明日の内閣委員会にこれを提案する順序を一つきめて頂きたい。これをお願いしておきます。
  323. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 内容は、私から本日は総理は病気の故を以て出席することができないということを報告いたしました。然らばどういうふうにこの合同委員会を運営するかということにつきましては、総理大臣がお見えになるまで、なるときを待つて連合委員会を開催するというような御希望もありました。そういうことはできないであろうというような御意見もありました。それで大体それらの点についていろいろ御意見が出たのでありますが、常任委員長の懇談会は別にこれを議決する機関でもございませんから大体その程度でお別れをいたしたのであります。多少の違いがあるかも知れませんが、大体そういう程度であつたと御了承願います。
  324. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私はさつき要求いたしておきました地方自治法並びにこれに関連する国家行政組織法或いは道路法、河川法、港湾法に、憲法上の疑義があるので、法制意見局長の御出席を求めた次第でありまするが、その点は一体どうなつておるのでありますか。又なお総理大臣出席ができないことにつきまして、官房長官から病気の由の御説明があつたわけでありますが、併しながら総理大臣は官房長官とお会いになつて、この委員会の状態をお聞きになつてすぐに大磯のほうへお帰りになつたという情報がありますので、その辺病気のこともはつきりお調べを願いたいと思います。
  325. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 三輪君にお答えいたします。総理大臣の御病気につきましては、私よりも官房長官のほうがよく御承知でありますから、何か官房長官から御説明があればそれでよかろうと思います。官房長官何かございませんか。
  326. 岡崎勝男

    ○政府委員(岡崎勝男君) 先ほど申上げた通りであります。
  327. 河井彌八

    委員長河井彌八君) 諸君に申上げます。(拍手)十二時を経過いたしたのでありまするから、連合委員会はこれを以て終了いたします。(拍手)    午後十二時散会  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            楠瀬 常猪君            溝淵 春次君            梅津 錦一君    委員            大谷 瑩潤君            郡  祐一君            松平 勇雄君            山本 米治君            若木 勝藏君            吉田 法晴君            楠見 義男君            竹下 豐次君            栗栖 赳夫君            駒井 藤平君            東   隆君   人事委員    委員長     木下 源吾君    理事            加藤 武徳君            千葉  信君    委員            森崎  隆君            小野  哲君   地方行政委員    委員長     岡本 愛祐君    理事            堀  末治君            吉川末次郎君    委員            岩沢 忠恭君            安井  謙君           小笠原二三男君            相馬 助治君            中田 吉雄君            西郷吉之助君            岩木 哲夫君            石川 清一君   大蔵委員    委員長     小串 清一君    理事            大矢半次郎君            清澤 俊英君            杉山 昌作君    委員            九鬼紋十郎君            カニエ邦彦君            佐多 忠隆君            松永 義雄君            小宮山常吉君            小林 政夫君            森 八三一君            木村禧八郎君   農林委員    委員長     羽生 三七君    理事            西山 龜七君            岡村文四郎君    委員            瀧井治三郎君            白波瀬米吉君            江田 三郎君            三橋八次郎君            加賀  操君            溝口 三郎君            三浦 辰雄君   水産委員    委員長     木下 辰雄君    理事      千田  正君    委員            秋山俊一郎君            入交 太藏君            松浦 清一君   運輸委員    委員長     植竹 春彦君    理事      岡田 信次君    委員            内村 清次君            金子 洋文君            小酒井義男君            菊川 孝夫君            松浦 定義君            鈴木 清一君   建設委員    委員長     小林 英三君    理事      赤木 正雄君    委員            石川 榮一君            島津 忠彦君            田中  一君            三輪 貞治君            徳川 宗敬君   経済安定委員    理事      奥 むめお君    委員            泉山 三六君            中川 以良君            野田 卯一君            岡田 宗司君            堂森 芳夫君            藤野 繁雄君            兼岩 傳一君   予算委員    委員長     波多野 鼎君    理事            石坂 豊一君            平岡 市三君            伊達源一郎君    委員            石原幹市郎君            下條 恭兵君            原  虎一君            山田 節男君            新谷寅三郎君            深川タマヱ君            堀木 鎌三君   国務大臣    農 林 大 臣 廣川 弘禪君    運 輸 大 臣 山崎  猛君    建 設 大 臣 増田甲子七君    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    内閣官房長官  岡崎 勝男君    地方行政調査委    員会議議長   神戸 正雄君   地方行政調査委   員会議事務局長  大野 連治君    地方財政委員会    委員      木村 清司君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君    行政管理政務次    官       城  義臣君    北海道開発庁次    長       岡田 包義君    地方自治政務次    官       小野  哲君    法務府法制意見    第二局長    林  修三君    農林政務次官  島村 軍次君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    経済安定本部建    設交通局次長  今泉 兼寛君   説明員    農林事務次官  山添 利作君    農林省農地局営    農課長     野田哲五郎君    農林省農地局資    源課長     伊藤 茂松君