○溝口三郎君
建設大臣と
農林大臣に
質問いたしたいのでございますが、
農林大臣の御
出席かありませんので止むを得ませんから次官から御
答弁願いたいと思います。
北海道開発の重要度は
終戦後特に最近非常に高くな
つて来たのでございます。公共
事業費も昨日
増田長官の御
説明のように一般の一四%、八十八億にも上
つておる。昨年あたりよりか画期的に多くな
つているという御
説明があ
つたのであります。八十八億の中で災害が、これは主として
建設省関係でございますが、十八億ぐらいあるのであります。それを引いても七十億ぐらいあるのでございますが、そのうちで河川
関係は十九億ぐらい、道路は十五億ぐらい、
農業関係の
土地改良や
開拓は二十一億にな
つておる。災害を抜かしますと
農業関係は大体二割ぐらい私はなるのじやないか。
建設大臣の一四%というよりかも非常に
農業関係は重要視されて二割ぐらいにな
つておるのであります。これは
開発庁の非常に御努力で一般会計、一般の事務的な折衝のほかに非常に
開発庁の御努力で
予算を
北海道に持
つて行
つたんだ、
内地のほうから攫
つて行かれたんだというような憾みは実はあるので、私は
北海道のためにそれは非常に結構だ、
内地は、
内地は別で、又公共
事業の費用を増してできるだけ余計取
つて行
つたらよろしいんではないかというくらいに実は
農業関係は重要視されておるのでございますが、今度の
開発法の中で、
農業関係のことはどうも私はあまり重要視されていないのじやないかというように
考えるのでございます。
増田長官の昨日来の御
説明を聞いておりますが、これは
建設大臣のようなお
考えで言うておる。河川や道路のことについてはこれは会計経理の適正を期するために自分のほうで取れた、国で取れた
予算は国で、自分で使えばいいんだ、だから
予算面の整理をして実質的には何らの変更はないんだというふうに私は
考えるのでございますが、これは河川や道路について直轄工事が九割以上ある、補助
事業というものは僅かの問題でございますが、農業の
関係は又別だと私は
考えるのでございます。
開発法を
改正して
開発局を作る、そうして
直轄事業を適正に自分でや
つて経理を明確に区分してや
つて、できるだけの
予算を多く取りたいんだというふうに実は御
説明があ
つたと思うのでございますが、
予算は
開発局ができて
予算の区分をしたら、そんなに簡単に大蔵省あたりで私は問屋は卸さんと思うのでございます。
予算をたくさん獲得するということについては私は非常に結構なことと
考えるのでございます。その
予算が実は
北海道において本当に適正に有効に今まで使用されていたかどうかということになると、これから
予算をできるだけ多く取
つて行
つても、それだけに有効に使えるかどうかということについては、これは現在の私は
行政機構の不備の点もありますし、そうして主務
官庁の監督が直接に厳重に行われていないような現状にあること、もう
一つ技術力の水準か
北海道においては、失礼でございますが非常に低いというような
三つの原因から、
予算ばかり多くても、これはどうもそれだけの効果はないのじやないかということを私は常日頃
考えていたのでございます。
総合開発ということが盛んにこの頃言われているのでございまして、昨日
開発庁の御
説明でも、十年間に八百万石ぐらいの食糧増産もできる、そういう
計画も樹てているのだ。八百万石を増産するには、私とも千五、六百億円の金が要るのじやないか。現状で二十数億の
土地改良や
開拓をや
つておりますが、そういうくらいの程度だ
つたら十年
計画なんということは恐らく七、八十年か百年もかかるだろう、机上でそういうものを拵えて喜んでいても困るのだ。十年でやるならばどんどん
予算を取
つて、
機構の
整備をやり、技術を養成する、
内地から優秀な技術者を連れて行くようなことを
考えるのが一番必要だと
考えるのでございます。
総合開発というのも、これは
北海道拓殖八十年の間にいろいろな貴重な資料が多いのでございます。私も前からたくさん頂いているのでありますが、
総合開発と言いますか、何か電源
開発にしても、道路でも、河川でも、食糧の増産のようなことでも、その各個々々の
計画の寄せ集めのような気がする。
総合開発というのはそういう意味じやないと思う。電源
開発なら電源
開発をする人はそのことばかり
考えている。そうして御
承知のように忠別川というところに電気を起こして、その下流の六千町歩という田が皆収穫皆無にな
つてしま
つた。電源
開発をやればやるほど農業が不利益にな
つて来る。それで泡食
つて遊水池なんていうものを拵えて一度半か二度くらい水を温めてや
つているが、私もつと遊水池を拵えて、五度でも十度でも上げて、本当に収穫皆無にな
つたところを平年作にできるような技術が要るのじやないか。そうして本当の技術を入れて行くならば、今米作の収穫も旭川くらいまでしかないのであります。それをオホーツク海くらいまでできると私は確信しておるのであります。そういうようなことを
一つ、
内地の方が是非とも行
つてそういう実行をや
つたらどうか、こういう点はなかなか
北海道の
かたは昔から
北海道に固
つてしま
つて、
内地の人の言うことなんか余り聞かんようなことが伝統的に実はあるのです。
北海道でも水田もたくさん十四、五万町歩もできております。
北海道のような寒地農業のところは、寒地農業に即した開田
計画をやるべきなんである。それを昔から九州や南方の稲を取
つて来て、そのままのような田圃をこしらえて、田圃をこしらえては凶作にな
つておるということを昔からたくさんや
つておる。そういうようなことをや
つて、果して今までの
計画で八百万石十年
計画とありますが、もつと水田を殖やしたり、電源
開発も本当に
総合開発をや
つて行くならば、千万石
開発になるかも知れんし、それを本当にや
つて行けば、これは五百万石収穫になるかも知れん。私は寄せ集めの
計画をたくさん拝見しておりますけれ
ども、どうも余り信用することができないのです。最近幾春別とか雨龍川なんという
計画も拝見して、もう少し水温のことなんかも
一つや
つてはどうかと言うても、なかなかそのまま言うことを聞かないでそういうものをや
つております。ああいうものをや
つては又減産すると思う。そういうところに本当の総合
計画というものを立てて、そうしてそれができて、それに基いて
仕事をや
つて行くように是非お願いしたいと思います。それらについても実は非常に
機構の問題等にも
関係しているのでございます。
拓殖の八十年の歴史によ
つて今まで来たのである。併し極く最近までは私
どもの間では
北海道のモンロー主義ということをよく言われていたのです。
内地の者を寄せつけずに、
北海道だけでや
つて行くのだ。昔は皆官僚知事がお
つたけれ
ども、その官僚の知事が行くとミイラ取りがミイラにな
つてしまう。
増田さんなんかはこれは優秀なる知事で
北海道に行かれた。私
どもは
北海道大臣というくらいに実は下馬評で
言つていたのです。なかなかその当時でも
農林省のことは言うことを聞かないのです。それが
国務大臣にな
つて、今度東京に来られて何か
農林大臣になるような噂が新聞に出た時には、
農林省の連中は、若し
農林省のそういうような政策をやらんような人は門前払をしようというくらいに、実は
北海道の代表的なその当時のモンロー主義者である。二十二年の頃に内務省が解体されまして、そうして
拓殖費がなくな
つて、各省に
拓殖事業が配分されたのでございます。
農林関係は
農林省に配分されたのであります。
農林省におきましては、是非とも
農林省の管轄にな
つたならば、立派な
一つ土地改良開拓をやりたいのです。それには第一に
機構の問題なんであるということで、私
ども半年以上に亘
つて、
北海道の
機構に対して内部の整理をし、そうして直接に指揮監督ができるような
機構を立てたいということで、これはGHQの
方面とも相談をいたしまして、半年ぐらいかか
つていたのでございますが、そういう
機構がはつきりできない間は
北海道には
予算も配置しない。セメントや資材も配布しないというので、
北海道に半年も
予算や資材が配布されない時代があ
つたのであります。実はそれほどまでに
北海道の
事業を
一つ有効に働かせるには、先ず第一に
機構の問題なんである。その当時田中知事は非常に私
どもと協力しまして、そうしてとにかく
北海道の内部の
機構を整理して、
農林省の監督官を十数名スタッフを札幌に駐在させるというところにまで実は行
つたのでございます。ところが
北海道におきまして道
会議員が挙
つてこの案に反対をいたしました。
農林省のスタッフが十数名
北海道庁に監督官室を置くという程度のことさえも非常な反対をしたのです。投書なり陳情なり、私はその当時非常に弾圧を受けまして、今で言えば地下に潜
つたようなことさえもあり、首になる虞れさえもあ
つたのであります。その当時私は本当に
北海道の
開発のために
機構の
整備ということを
考えたが、そのときに
北海道の
かたがたが全部揃
つて私を弾圧するような反対があ
つた。昨日
お話を聞きますと、この
開発法案を提案なさ
つたことは、私は
行政機構の改革の上に、
北海道開発に画期的なことであると思います。こういうような
法律が出ることは私は非常に賛成します。賛否両論があるような
お話ですが、道
会議員は今九十人の中から六十人ぐらいこの法案に賛同をした。私はその当時十数名の監督官を存置しようというのに首にするというぐらいに反対した
かたが、二年ぐらいの間に変
つてしま
つて、もつと大きな
出先機関に賛成しておる。知事
会議では皆反対し、道民大会では四千人で賛成しておる。私はこの二年間の変化には非常に奇異の感を抱いておる。
増田大臣も
北海道は
北海道であるということで、なかなか言うことを聞かなか
つた方が、二年ぐらいの間に突如としてそういうものをお出しにな
つた。先ほど
開拓審議会の要求もあ
つて、昨年以来の問題だからということで今お出しにな
つたのです。これは私は本当に審議を尽していないのじやないか。内容についても、河川や道路については
お話のことを私は専門ではないからよくわかりませんが、農業等に関してはまだ審議が十分尽されていないと思うので、内容についても農業が非常に重要であるのに軽視されておるような点がある。五月の十八日に閣議で決定にな
つた。その前の十六日には、次官
会議に附議されたときに、次官
会議ではこれは決定にならなか
つた。そのうちの
一つの理由としましても、産業経済費を政令できめて、国費の分と地方の分とを区分するというような重要な問題が実はあ
つた。それらの区分もできないからということで、今度の第十二条にはその他というような字でぼやかして政令できめる。その他……
農林行政の最重要な産業費等をその他ぐらいのところでごまかしてあるのでございます。そうしてとにかく閣議できめて、
あとこれを下のほうに下して、私に言わせれば押付けたようなことにな
つている。そうしてそれに基いて算盤をはじいて、人間もその区分に従
つて分けろというようなことで、まあ事務的には泣寝入にな
つて私はこういう結果にな
つたのじやないかと
考えるのでございます。どうしてこういう問題をこう急速に、私先ほど申上げたようなずつと長い問題がある。それを審議も十分に尽さずに、そうしてただ
予算を分けただけだから、
仕事の上にはなんの影響もないというような
お話がありましたが、少くとも私は農業の
関係については現場では人も区分しなければいかんし、官舎も移転しなければいかんというようなのも出て来るだろうと思う。
事業の区分等についても、今
北海道庁では非常なセンセーシヨンを起して、知事以下首脳部等は一カ月も
北海道を明けているような現状で、これでは本
年度に
予算も増さずに
能率も低下せずに
事業が円滑に行
つているのかどうか。これは将来
事業の成績表が出ればはつきりして来るだろうと思います。が、
農業関係につきましては、これは
農林省の政府当局からお伺いしますが、私は何か
予算が非常に取れたのだ、そうして人に使わせるのが惜しくな
つてしま
つたのだ、だから自分のものは自分で使うのだというような世間に印象を与えるような気がするのでございます。そういうことは果してないのかどうか。これは
増田長官からはつきり言明を聞いたほうが誤解がなくて済むと思います。その点を
一つ御
説明をお願いいたしたいと思います。