○参考人(清水金次郎君)
電気料金の
改訂につきまして、当参議院
特別委員会で発言をお許し下さいましたことを感謝いたします。実は当参議院におきまして、
電気料金に関しまして、
特別委員会が持たれまして、すでに数回に亘る模様でありますが、それほど
電気料金の
改訂が
国民の皆さん並びにこの国会におかれまして、重大にお
考えにな
つていることに対しましては、私
ども業者といたしましては、責任の重大なることを痛感しておるのでございます。去る五月一日、私
ども電気事業者は
電気事業再編成令によりまして、新らしい九つの発送配電事業を営む九つの
会社として発走したのでございます。その
会社が開業一カ月にもならないうちに、突然として
電気料金の値上をお願いするということを、
公益事業委員会初め、各方面に伺いましたことにつきましては、いろいろ
事情がございます。これらのことにつきましては、いずれ述べる機会もあると存じますが、本日は時間もございませんものでありますので、先般
会議におきまして差出しました
昭和二十六年度
電気料金改訂資料というものにつきまして、すでに御覧のことと存じますが、これにつきまして二、三申上げてみたいと存じます。もう
一つ電気料金改訂案という刷物を差上げたように記憶しておりますが、この二つにつきまして簡単に御
説明申上げたいと存じます。
先ほど来、
物価庁
当局並びに
公益委員会側から、一昨年の十二月の
料金改訂は、いわゆる三割二分二厘という標準
料金の値上でございましたが、実態は豊水その他の
事情がございまして、約五割九分の
値上げであつたということも私
どもも認めるところでございます。今回の
改訂におきましては、そういう収入が今後も一応継続されるという建前の下におきまして、更に七割の
料金の値上をお願いする予定でございます。その予定を簡単に申上げますならば、
物価騰貴によりまして約二百四十億、資材増加によりまして百二十億、償却を適正化することによりまして二百億、合せまして五百六十億円になるのでございます。その五百六十億円は大体現行収入を標準収入といたしまして六百五十億円、超過
料金の火力収入といたしまして、一応百五十億円を予想いたしまして、合計八百億円に対しまして、七割の値上は丁度五百六十億円になるのでございます。その出ました根拠につきましては、
只今お手許にお配りいたしました
電気料金改訂案の二項目に書いてございます。即ち現行
料金の原価と、それから一昨年の当時におきましては丁度五百五十億円の総括原価であつたのであります。これに対しまして標準
電力量を二百二十五億九千三百万キロワツト・アワー、それの平均単価が一キロワツト・アワー二円三・十七銭四厘につくのであります。今回の改正をお願いすることによりまして、いわゆる標準
料金は千三百二十六億円の標準収入をお願いいたしまして、これに対しまする標準
電力量は二百五十九億九千五百万キロワツト・アワーであるのでございます。四円七十一銭九厘に当ります。然るに現在の
料金は、多少需用構成も変りましたものですから、
昭和二十六年度の標準といたしまして、二円四十四銭三厘であると私共は仮定いたしますものですから、いわゆる標準
料金の値上率は一・九三倍になります。全
料金の値上率は丁七三倍になるのであります。これを現在各社の目下
考えております値上率を平均いたしますと、一・七倍でございます。この〇・〇三倍の点につきましては、各社は企業努力その他によりまして一応
経営の
合理化を図る
方法を目下
考えておるようでございます。従いまして、これから申上げます数字につきましては、一応全国の
料金値上は、七割増であるというふうにお
考え置きを願つたら結構だと存ずるのでございます。
おな
料金改訂資料に書いてございます。需給のバランスの問題でございます。これは先ほど栗山さんからも
お話がございましたように、標準水力発電量を如何にとるかという点につきましては、非常に困難な問題でございますけれ
ども、すでに過去三カ年間異常豊水が連続しております事態もございますし、又すでに
割当電力量が相当大幅にな
つて継続されておる事実から
考えまして、私
どもは大体平年度、平年度と申しますと、標準三カ年間を入れた過去八カ年間の平均でございます。そういう平年度の水の出方に対しまして、更に六・五%の出水があるということを前提にいたしまして、石炭が自家用と言いますか、各
発電所の火力を入れまして、六百五十万トン焚かせるという計算をいたしました結果総販売
電力量が常時につきまして二百五十九億九千五百万キロワツト・アワーというものが一応標準の量であるというふうに
考えたのでございます。これを仔細に
検討いたしますならば、いわゆる
ロス、擅用という
電力量は、大体現在までは三十一%強あるのでございますが、鋭意設備の改善その他をいたしまして、この計算では、今までのところ、各社の見込といたしまして、二七・二九%とな
つておるのでございます。その中に通常の送電損失といたしましては、二四・二%、擅用その他の
電力量といたしまし二一・一八%を予定しておるのでございます。この点は再編成された新らしい
会社の
ロスの実績というものは、五月一日以後において初めて正確にわかるような段階にな
つておりますので、こういう点の実績を見ました上において、更に将来の買通しというものが又変る点があるのではないかと
考えております。そこで私
ども考えております
料金制は、この六百五十万トンの中、約四百三十万トンが標準
料金に織り込まれまして、いわゆる火力
料金と申しますか、第二
料金に含まれております
料金といたしましては、残りの二百二、三十万トンを予定しておるのでございます。次に総括原価の点でございますが、これは先ほど栗山さんの御
質問にもございましたように、前回の
料金改訂の総括原価を土台にいたしまして、
料金が
改訂されろべきものであるか、或いは最近まで
昭和二十五年度中に実際に収入並びに支出に示されましたところの原価、或いは収入を土台にして、新らしい
料金の値上率が定められるべきであるかということにつきましては、非常に
業者も苦心いたしまして、いわゆる
料金の地域的差という問題をどういうふうにして皆様に納得行くようにすべきか、こういうことは最大の問題でございます。この点に関しましては、
日本発送電
会社という形が解消いたしました結果、なまの
電力原価というのが各所に現われました結果、現在の
料金をそのまま、全国平均のまま、例えば七割上げますと、それでは
経営できる
会社とできない
会社が出て来るのでございます。この点につきましては、法律で認めております追加調整
料金と言いますものを最大限度に活用いたしまして、現在のところでは水力
発電所常時出力一キロ一カ年三千五百円、平均出力にいたしますと二千円でございます。そういうものを水力
発電所から
火力発電所の発電料に補給することにいたしまして、その総額は原価で百五十五億円でございます。これ以上水、火力の調整をいたしますと、
火力発電所の原価のほうが安くなるという段階になるようであります。従いましてその水、火力の調整を
只今の限度以上にしなければならん、或い、は逆に言いまして、そういう原価を維持するための
料金値上率が七割より著しく差がひどくなる場合にはどうするかという問題につきましては、申請をいたします現在におきまして、各
会社の
経営者が最終のまとめの
考えをしておるようでございます。
それからこの原価の内容につきましては、ここにも簡単に書いてございますが、二、三の点に大きな問題があるのでございます。人件費につきましては、先ず私
どもから見たところによりますと、多少
合理化の余地があるかも知れませんが、先ず当面におきまする発
電力の拡充というものを
考えますならば、先ずこの
程度の人は是非必要である、私
どもは現下としてお認めを願いたいという点でございます。賃金ベースでございますが、これはいわゆる理論
生計費というものの上に組立てておられます賃金でございますが、これは遺憾ながら
一般産業の賃金水準から比べますと、相当低い段階にあるようでございますが、これ以外の計算を今直ちに行うということはできない段階にございますので、一応確認されております賃金ベースと是非お認め願いたいと存ずる次第でございます。その次に修繕費と減価償却の点が非常に大きな問題にな
つているのでございます。この点につきましては、新たに発足されます
会社に対しまして、
公益事業委員会は、先ず経理の適正化をすでに
決定されまして、これはアメリカの
電気事業の会計法をそのままに近く適用されまして、修繕費と建設費のけじめをはつきりいたされまして、たとえ経理が苦しくとも適正なる経費は建設費に盛ることはならないという鉄則の下におきまして、今後仮に
料金が上りましても、
電気会社の
経営の実態は、内容は充実されこそすれ、表面上の利益率は決して楽なものではないということは、我々は想像するにかたくないのであります。殊に修繕費と建設費の支出、或いは修繕費と減価償却の内容ということにつきましては、従来
電気事業の
料金改訂におきましては、この設備の劣化ということを相当重きを置かれまして、前々回の
料金改訂に当りましては、復興金融金庫からの短期の改良工事費というものを、特に
政府御
当局の斡旋を頂きましていわゆる特別回収勘定といたしまして、七年償却というものを認められたのでございますが、ドツジ・ラインですか、そのときに、こういうふうな経理は不健全であると申されまして、一挙に撤廃されたのでございます。その結果、その当時から少くも五カ年継続でこの回収の遅れを取り戻す
考え方が、たまたま二年で実態は打切られたのでございます。然るにその後
物価騰貴その他によりまして、更にこの大幅な回収をいたしませんと、どうしても六百五十万トンも焚くような
状態におきましては、
電気の責任が果せないというような
事情が次第に判明いたしまして、是非今回は三カ年継続事業といたしまして、九十億円ずつこの特別回収工事をお認め願いたいと存ずる次第であります。これと別に再評価をされましたところの減価償却金を、当分の間定率法でお願いしたいというのが我々
業者の
考えでございますが、この点につきましては、是非御了解を求めたいと存ずる点は、巷間伝えられますところでは、これがあたかも新らしい
発電所の工事費の相当部分を占めるように伝えられているやに聞くのでございますが、先ほ
ども中川経理長から
お話がございましたように、決して私
どもは
一般料金の
値上げによ
つて新らしい
発電所を建設しようなんということは決して毛頭持
つていないのでございます。
これはそれならどういうところに蓄積さかるのかと申しますと、すでに
発電所の壽命が二十年経過しておりまして、このままの
状態では、最早修繕では間に合わないような
発電所が数十カ所あるのでございます。こういう点に是非これを使わして頂くように、折角今計画をしておるのでございます。決してこれを見返資金の不足分を減価償却、再評価額で以て賄うということはないのでございます。この点は公聴会その他開かれますときにおきましては、私
どもは相当な資料を以て是非御了解願うように
説明する所存でございます。
最後の
料金値上率と各社が如何なることを
考えておるかということについて、先般も山川さんから
お話がございました。その点につきまして、かくのごとき各社一本の数字を以てしては何ら参考にならんというきついお叱りを受けたのでございます。この点につきましては、
公益委員会側からも、正式の書類が出ていない段階において、仮に途中の
試案としてあるにしても、そういうものは却て誤解を招く虞れがあるからという御注意がございまして、私
ども非常に御尤もだと思うのでございます。この
料金の
値上げの
試案につきましては実際のところ、これで正式にお出しするまでには、我々
業者として四回直したのでございます。
最初は大体新
会社の発足直前におきまして、どうしても
料金値上げというものはや
つて頂かなければ、仮に新
会社ができても、これは二三カ月たたないうちに、運転資金すら窮屈になるはずだという
考えを以ちまして、取りあえず
料金の
値上げという形をお願いし、その次にそれならばどういう原価計算でやるかという
試案を持ちました。更にもう少し話の種になるような
試案はあるかというので、先般一応まとめてまあ仮の形として参考資料に提出したのがあるのでございます。これに対して更に最近、今月中でございますが、いよいよ新会長、社長さんが任命されましたものですから、その役員会の決議を以ていたしまして、正式の
申請書を出す予定にな
つておるのでございます。その数字はまだ私
どもの手許に参
つておりませんが、多分第三回目に
決定いたしたというものにつきまして、その後各方面からの反響を取入れまして、例えばラジオの
料金或いは
産業用の、化学工業用の
料金等につきましての
最初の
考え方を目下取りまとめておるやに聞き及んでおります。この点はではどういう点が直るかと申しますと、現在輿論に問われておりますような点が結局修正する点になるようでございます。例えば火力地域におきます化学工業と水力地域における化学工業との調整をどうするかというような点に尽きるのでございます。この点は結局その地方だけの原価計算では困難である、
従つて水、火力調整
料金を最高に活用してこそ、こういう
料金が余り地域差をつかずに存続できるのではないかという点に尽きるのではないかと
考えるのでございます。そういたしまして、最後にそれならば
料金の値上率が個々の地区でどうなるかという点に尽きるのでございますが、この点は再編成の途上におきまして、各社がいろいろ公約の点もございますし、又何といたしましてもその地方の需用家の
意見を尊重しませんと、結局
会社が永続されないという点がございますので、最大限度にその調整をしておるのではないかと
考えられるのでございます。最後にもう一言申述べたいと思います点は、現在の
料金制度はいわゆる火力
料金、標準
料金と火力
料金制にな
つておりますが、これが
割当とからみまして、直ちに
割当が
料金を支配するという結論になりますので、今回の改正に当りましては
割当ということと
料金は直接
関係はないという原則を打立てているのでございます。従いまして
割当の如何にかかわらず
料金の計算は常に同じ方式で計算できる。従いまして
会社がその標準
料金の高い段階の
料金との分け方につきましては最も苦慮している点でございますが、この点につきまして或いは我々の
考えが誤
つているならば公聴会その他で御訂正を受ける段階にもなるのではないかと存ずるのでございます。各社の地域差につきましては各社はいろいろの
立場からそれぞれの
考えを以ていたしまして、結局におきまして、仮に七割の
値上げといたしますならば、低い地域差から申しますならばまず東京
電力が一番低く、次第に東北、中部、北陸というふうに参りまして、大体平均の値上率より少し上廻るのがその残りの火力地帯の
会社の
料金であるのではないかと存ずるのでございます。いずれ一週間たたないうちに正式の書類も出て来ると存じますので、その際は我々は大至急にそれを一覧表にいたしまして皆さんの御批判を待つことに努めたいと、こう
考えるのでございます。大分雑でございましたが、以上御報告申上げます。