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政府委員(
松永安左ヱ門君) 私は今
お話の電力
料金の値上げは、業者の必要に応じ出て来る問題でありまして、公益
委員会はこれについて十分なる検討を加え、聽聞会そのほかの方法をと
つてそれを
認可或いは許可ということをきめるのでありまするが、その必要の限度及びその内容について、
委員会ではまだ何らこれを許可しようとか、これはいけないとかいう指示は与えておりませんから、どうぞその点については業者の
調査を担当しておられた清水君から詳しく御
説明があ
つて、皆さんの御参考になるように
お話を願いたいと思いまするが、ただ一言公益
委員会として申上げたいと思いますのは、
如何にも現在の電力界の事情は甚だ憂うべき
状態でありまして、第一、各種の原因を通じまして電力の非常な不足を訴えております。これを何とか充実しない限りは、丁度田植どきに水争いが起ると同じでありまして、僅かの水をあちらに引張り、こつちに引張りというだけで、全体の農業を何ら益することがないのと同じように、どうしても絶対量を増すということが先ず第一に
考えられるのであります。これはもう皆様も御研究に
なつたことでありますから申すまでもありません。
次に必要なことは、
如何にも多大の無駄が行われておるということであります。発生電力の殆んど三割三分、つまり三分の一の電力というものは殆んど役に立たない荒廃の
状態に帰せられております。これは資金の
関係、或いはこの電力再
編成の遅れた結果によりまして、種々手遅れにな
つております。これは取返すことは、金のない
日本、今電力の少い
日本としては、一番先に手を着けなければならんことであります。このために電力再
編成を終る前から、
委員会の組織せられた後から、この両点についてつぶさに検討を加えてみました結果、その主な原因は、電力業者全体において電力を発生する意欲を失
つておること、及びこれについて組織を持たないこと、この
二つを挙げなければならんのでありましたがために、種々これらを検討するにつきまして、多大な欠陷があることを早出したのであります。殊にその甚だしきに至りましては、資金の消耗と申しますか、或いは償却を怠り、或いは営業上の改善を怠
つて、多大の迷惑を需用家に及ぼし、殊に最近の事変が起りました後に、電力の不足のために生産の隘路とな
つて各所がお困りにな
つておることは、皆様御
承知の
通りであります。ここにおいて償却を適正にすること、改善を急ぐことについて種々方法を講じております。
この点におきまして、当然そうい
つた関係より電力
料金の問題というものが生まれ来たるものと思うてお
つたのであります。
〔
委員長退席、理事結城安次君
委員長席に着く〕
けれ
ども会社が五月一日に出発をして、その間すべての
用意等は怠りがちにな
つてお
つたであろうと思いますが、それにしましても、
日本の電力は今安い高いというのも
一つの問題でありまするが、それよりも荒廃しつつある電力を
如何にすれば立派な電力に補正して、正しい電力の形に置くことができるか、足りない電力は
如何にすればこれを多く作ることができるかということは、公益
委員として専ら
考えなければならん点でありまするので、今回いろいろ値上げの要求が各社から、各社と申しましても、五月一日に各社ができたのでありまするが、四月のうちにすでにその
料金値上げ問題が、何と申しますか、試案として九つの
会社からそれぞれ
料金を申して参
つております。この
料金を見ますると、或いは止むを得ないところも起
つて参りまするけれ
ども、甚だしき地域上の差が起
つて参ります。この
料金の差が各地域によ
つては甚だしき大なる変化を来たします場合は、取りあえずその土地における
産業についても重大な影響を来たすことは当然のことであります。この火力の設備を以て主にや
つておる所、或いは水力を主としておる所、これらの差につきましては、旧来といえ
ども料金の差別を軽くするために
相当な各社間の
割当をし、或いは
話合いをしておりまするが、殊にこの独立経済になりまして、それを甚だしく主張されることは、公益
委員会として
考えなければなりませんので、この点どういう方法をとるかということについて、今日といえ
ども新
会社に向
つてその点の要求をいたしております。又この
割当制度につきましては
相当不満もあります。これは
産業家によ
つてそれぞれ
相当の不満があります。で、これも適当にどういうふうにいわゆるアロケーシヨンの問題を
考えるべきかということは、
料金と共に
考えなければならない問題であります。それから旧来は、超過
料金に対して殆んど禁止的火力
料金を付してあります。これも
割当如何によ
つて甚だしき不公平を見ておることは、私
どもが朝夕感じてお
つたところであります。これらにつきましても、
料金を若し変えられるというならば、これらの問題について深い検討が加えられなければならんと思
つて、業者の申し分について三月、四月にかけまして一
通り話は聞いておりまするけれ
ども、業者間においてもまだ
決定することがなく、漸くこの五月に入
つて、最近各社の
料金等が出揃
つておりまするけれ
ども、その大きな問題についてはまだまだこれから検討を要する問題があるのであります。
以上必要である大体の電力の開発、改善計画並びに
料金を上げるとすれば、その差等を公平ならしめることについて業者になお検討を求めております。けれ
ども只今のことを別にしまして、
只今出しておられる要求の内容につきましては、私
どもはこれを監視し検討する立場におりまするので、その必要性及び限度の希望につきましては、
委員長のお許しを得ましたように、業者の
調査に当られた清水金次郎君の御
説明が必要と思
つておりまするが、これは
委員会ですぐにそれを承認したものであるというふうにお聞き取りでなく、皆さんにおいて十分御検討を下さ
つて、私
どもも検討するつもりでおります。よくお聞き取り願いたいと思います。