○
政府委員(
松永安左ヱ門君) 第一に厚く皆様にお礼を申上げたいと思うております。
かなり難航を続けました
電力再編成も漸く四月末を以て
日発、
配電両社の異議の申立並びに他の
異議申立等の取下又は却下によりまして、五月一日より再編成は
確定指令に基いて出発し得たのであります。その
日にち順序等は、あとで
事務総長より御報告を申上げまするが、ここに至りまするまでにつきましては当
委員会各位におかせられて種々御警告を賜わり、又御指導を賜わり御配慮をかけましたお蔭を以ちまして無事に出発ができたということは、刻下の
電気事業の再興に対して誠に御同慶に堪えない次第でありまして心から感謝申上げる次第であります。
再編成に当りまして人事に関する事柄と、
計算を合一するために起ります比率の問題、及びこれに伴う旧
日発株主の受ける比率以外における株の分合に関するこの三点について、
日発並びに
配電各社の間の話合はかなり困難でありました。大体において比率の問題は一致してお
つたのであります。そのプラス・アルフアーの問題については最後までまとまるに至りませんでした。これは遂に
決定指令においてきめるよりほかになか
つたのであります。
清算費用そのほかにつきましては
日発の申出を大体に採用しましてごく余裕のある
清算費用を給付することができたと思います。給付と申しますのは
公益委員会が給付する意味でありまして、新会社において
日発の
清算事務所に給付するというような意味で申上げたのです。人事につきまして
日発の申出でもあり又他の御注意もありましたことについて
公聽会等の意見を聽取しまして、これは大幅に改革を加えまして、その
基ずくところは單に配電、
日発両者の頭割できめる、或いは資本の割合できめるというようなことでは、大体
日発の仕事というものの性質、配電という性質、それに関係しておりまする技術、
経理方面の関係と多少特色を持
つております、それを両解散後画一的に数の比較でこれをきめるというようなことは、大工さんの要るところに
鍛冶屋さんを当てがうようなことが起ります。又
電気界における以前からの経歴に徴しましても非常に不釣合の問題もある、併しながらこれを円満に解決しますことは上の役員或いは
上激社員の問題ではなくして、大体において十四万人ばかりおりまする
日発、配電全
従業員が打
つて渾然として
一致協力の実を挙げるということの方の気持を考えることが重大であります。殊に今度のやはりこの人の割振りそのほかについては
日発側の言われることも大いにこれを尊重することは当然のことであります。然るにむしろその方の問題より上役の人の割振りがややもすると争いの中心になりそうでありましたから、
委員会ではこの点につきまして大体の重役の員数を減らすがいいという
公聽会の大体の意見、これは
日発も含めて
公聽会の一般の意見を如何に合理化して行くかという点に鑑みました結果、政府の言葉で
ボード・オブデイレクターズつまり役員会議というものが
決議機関と総会の下にあ
つて、そうして毎月定例の
重役会を開いてそれの会長が会議を決定しておる、その決定に
基ずいて社長又は副社長そういう人が業務を執行して行く、
アメリカでは社長は
ボードに参りますが、副社長以下は多くは
ボードに入らんようで、
ボードなどに出て評議をするよりは自分は原案を
作つて社長を通じてこれを会に出す、これは甚だ話が長くならんようにと思
つておりますけれども、
人事解決の基本とな
つておりますので、少し御迷惑でもそんなことでともかくこの
ボードが
会社経営の大綱を持ち、いわゆる重役、
取締役というものは名前を理事というふうにむしろ変更して、そうして一生懸命に前の重役同様の権利を持ち
ただ会に出席しないというだけである、
ボードは社長、副社長二、三の人が代表する、そうして
ボードに列する人は経験あり、知識あり、且つ社会に重きを置かれておる
第三者という人は
ボードに列することができます。ほかの事業はともあれ
公益事業のごとく常に
第三者の考え方を織込んで業務を執行するということは必要なことであります。成るべく
産業界或いは
金融界のかたにできるだけ
ボードに入
つて貰おうじやないか、そうして今日争いにな
つておる社員をあれを何名とる、これを重役、副社長にする、せんというような議論をむしろそれに一定の横棒を引いてしまおうじやないかというようなこと等を考えまして、それで両方から出ました人事の不釣合につきましてはその線に副うて大体きめましたけれども、これを單純に
自分たちだけできめるのもどうかと思いまして、
日発の主な人、配電の人全部の人を決定前にお招きしてかような方針できめるということを申上げた、又御意見も聞き多分二十九日の晩であつたかと思いますが、夜までかけてその評議をして、三十日の
決定指令には人員を減少いたし、例えば
東京電燈の重役、三十二名おつたけれども十一名に減少して、その十一名のうちには殆んど半数に近き社外の
取締役に
人づてもらうというようなことでもつて、さしもの力ずくといいますか、つばぜり合のようにな
つていたものに一部の窓口を開いて、そうして解決をしたのであります。併しこれも過ぎたるは及ばざるがごとしで、東京
電力のごときは甚だ働いておる有力な役員それらが余りに少く
ボードにいるということは業務の運営上できない、
アメリカなどはそういうことはできるかも知れんが日本の現状では直ちにそれをやることは非常に困難だということで異議の申立がありますし、
日発におきましても多少人を入れたいという希望で異議の申立があ
つたのであります。それは先刻申上げましたように、三十日までの間に大体の、前のは二月末日でありますが、あとの異議の申立の三十日は三月三十日までに大体これが
官房長官から何したのでありますが、そういうことを以てしまして人事、
経理ともに大体におきまして五月一日を以て出発いたしております。
で、出発については出発と同時になすべき問題がたくさんあ
つたのであります。簡單にこれも申上げておきますが、
旧来一つの
電力の流れを
日発という大きな線を通じて各地に同じような料金で配給しているのでありますが、今度は各自、中部は中部、北陸は北陸、中国は中国、又中国から九州につながる関門海峡で連絡しているところのものはそこの
変電所に、それぞれ
電力の
計算というものは一応そこに流れは流れて参りますけれども
計算というものは一応独立的の
計算になります。この間の量とそれからその受渡の料金というものがはつきりしないと
計算に非常に苦しむのであります。それがあのごたごたや
つておりまして、まだ十分な
計算の基礎を五月一日に直ぐにやるまでの準備は整えておりませんので、できるだけ旧来の料金によ
つて一時や
つておりますが、それも近く
料金制度も各社間にそれぞれ協定がまとまりましてこれも実行に移ることになりましたことを御報告いたします。
次に各地におきましては相当料金の差が甚だしくありました。殊に石炭の最近更に暴騰したことに基いて地域の
原価計算というものは著しく変化いたし、申すまでもなく
計算法が完全に一変したのでありますから、いわゆる
独立採算の制度というものが旧来の
プール制度に代ることにな
つて、従いまして料金がその地区によ
つて水力に恵まれ、或いは水力に惠まれず、或いは石炭の補給が遠隔の地であ
つて石炭費用がかかる、或いは水力は少いけれども地下に豊富な石炭を持
つている、四囲の条件が九つの地区では変
つております。で、中には九州のごとく島で離れてお
つても水力の
電力で補給できるところもあり、北海道、四国のごときは今日は連絡はありませんが将来はできるかも知れません。従いまして各地区間の
独立採算します原価に甚だしく異動を来すのは当然であります。
日発という大きな
配給会社がなくな
つたので各自に配給をし、各自製造をし、各自販売をするという、この三位一体のことを一会社の
独立採算でやらんならんということになりますと、昨年の議会にもこの分断はよろしいが各地間の差金が非常に甚だしくなることは困るというお話があつたものと承わ
つております。又これによ
つて政府も
独立採算制と言いながらそこの企業に著しき変革を與えるごときことは避けなければならんという建前で、その当時の
電力編成に当られた
政府当局からも、この各地の較差を適正に相当緩和することについては注意を拂うように
種々案を立
つておられたのであります。今回はただ命令するというよりは、むしろ各社の話合の料金を査定し、これを調節し、余り無理のないような話合を進めなければならんのであります。これは当然もう三月四月からその
計算に各社ともかかるように私どもから注意しておりましたので大体においてその案を立てたようであります。今度の決算に当りましては、多分火力より水力を如何に補給するか。そうしてその補給したものが各地の又
原価計算の基礎をなすというようなことまでに取計ら
つていると承知いたしております。詳細な御報告を今日御必要とあらば申上げることも事実上できるかと思いますが、これらのごときはいろいろな
報告書を、書面でもできまして
理由書等をつけて御必要があれば、御請求があればだんだん差出して御研究を願いたいと思います。
次に五月一日から出発して行かなければなりませんのは、帰属の問題も一つであります。これは四カ月
間両者で話してまとまらん時分にはあと四カ月ばかり待
つて帰属の変更を決定せなければならんことにな
つております。一日も早くこの方の話合を願いたいと思うのであります。目下その話合を願
つております。これもそう何カ月ということを待たず、各地の河川の帰属はそれぞれ適正な
お話合によりまして、つまり合理的な話合でお話が済むものと考えております。又その曙光も認めております。
公益委員会が余りに口出しをせんでも済みそうに考えております。これは成るべく急いでもらいたいと思いまするのは、だんだん五月一日後我々の
監督方針及び
産業家等の
需用家のお立場から見ますると、一体
電力というものは公正妥当なる
電力料金でなければならん、
割当制度というものはあれは公正なものであろうかどうか、種々その点については例えば大口の割合、その振合等につきましては相当利害が混雑している。主な原因は戰争のために設備が荒廃したということ、それから
事業場の傾向が著しく歪められておるということと、それによ
つて電力の絶対量の不足であるとか、
キロワツトが足らんというばかりでなく、甚だしきに
至つては
キロワツトアワーの
電力量が足らんというばかりでなく、
キロワツト即ち
最大設備、負荷の高くなりますものの設備が足りないために、サイクル異常を来たし電圧が下り、それがために
電力が
工業用としても或いは
家庭用の電灯ととしても殆んど役に立たない、電気が電気でなくなるような場合が
キロワツト設備の最大が足りんために起ることは御承知の通りであります。これらに対しましての割当或いは料金ということを速かに適正に考えなければならんことは、もう
独立採算をした以上サービスに対する義務であり、且つ設備を整える義務に徴しましても各社間に早くそういう問題は話合すべきことであります。
相当提示は與えてあります、與えてありまするからここに各種の
料金割当及び
基準率の合計ということが問題にな
つて来ます場合に、この地域間に亘るこの帰属、本属の河川、
既発電所の帰属問題というものは、当然その料金に、影響する、或いは量に影響するものでありますから速かにこれをきめてもらうほうが全体の調和のために、全体の
電力事業をよくするために、やはり基礎的な一つでありますからこれに向
つてお願いをしております。
地帶間の問題とそれから補給の問題とを申上げておきましたが、更に問題が
原価主義に属しますることを以て需用に対する公正を図
つて行く、帳簿の整理をすることは将来の監督の上からも必要でありまするが、先ず料金の公正の上からも帳簿の整備を必要とする。この点三月、四月に
亘つて政府等からもやかましく指示がありましたけれども、十分まだ本当のところまでは参りませんが、大体において各社間の協議がまとまりました。今回の決算は新らしい帳簿の組織でその原価の公正を期するため、
修繕費と
建設費、或いはその他
営業費の各部門に対する割当の公正を期するため、相当完全な
計算基準を当てることができました。これを五月から実行してもらうことにほぼ話がな
つております。今期の
計算までに間に合わせてこの基準で行けることと信じております。
なおこのほか技術的に申上げることはありまするがその方は
技術長も参
つておりますが、
電力の絶対不足ということにつきまして、
旧来自立経済で論じられておること、及び通産省或いは
安本等が或いはその
関係筋とも交渉したその資金として見返資金ということをされております。
電力の開発については甚だしく需用とミートしない、甚だしき夢のごとき安易な計画であると、この前こちらでもさよう申して政府間に行き違いがありはせんかというお話があつたときも無論行き遅いがあると私は申上げております。こういうことを大体最近二度も三度も案を立てられて、最近と申しましても昨年末項大体きま
つた案は、見返資金の範囲で
日発が開発をやれる範囲であります。細かなことを言うては或いは訂正しなければならんが大体三分六厘くらいな状態であります。このまま参りますと需用は現在一割三、四分或いはものによ
つては二割四、五分の増加をしている。これは無論
朝鮮事変等によ
つて起つたものは相当
暫らく割引をして考えなければならん、けれども日本の産業として興らんならんものが、
電力のために興らなかつたというものをちよつと考えて見ますと、
電力がないために遊んでいる
機械設備というものが到る所そのままにな
つて、
電力がないために動かすことができないということが
かなり表の上について調べは済んでおります。これらのものは
電力によ
つて動くもので
電力がないために動かすことができん。單に動力として使うばかりでなく、原料として使う工業の方は如何に
硫化鉱石があ
つても、如何に石灰があ
つてもこれを処理することはできないという状態にあります。いわゆる
遊休工場というものが到る所にあります。そのほか一般の需用を見ましても一割二、三分ということで、二十五年、二十六年は約一割三、四分或いは一割五、六分、ものによ
つて非常に変化しております。でありますからこれを初めは一割一、二分ということを考えても、いつまでも継続するものじやありますまいから、しまいには八分くらいに五年後は落すと見ても少くとも平均して一割くらいの
増設制度を立てねばならん。そういたしますと、資金の面からい
つても今年三億乃至二百五十億でできるというものは、どうしても千三百億の金を必要とする状態にな
つております。金がないからやらないでいいかというとそうも行かない。金はなくても何がなくても日本に資材はあります、日本に
労働力もあります、必ずしも外国から金貨を輸入しなくても日本人の構想と努力とによ
つて必要なものをやることは、これはもう
電気事業者の利益のためにやるというよりも各
産業家、
文化人がその必要の程度において自分で造るという
国民的努力があればその目的は達することであろうと思います。まあ資金の問題は
暫らくそこに
棚上して造るべきものを造ることについて考えなければならんと思
つております。併しだんだん
石炭事情が非常に以前と違
つております。石炭を使うようなことでは
電力のコストが非常に高くなる。これはまあ当然説明申上げるまでもないのであります。ただ高くなるばかりじやなくて、今度はその量が今のような
冬電力が足りん時分では、
キロワツトというものはどうしても火力で補わなければならない、いわゆる
補充火力を今の水力の
やり方に補
つて行きますと、私は数字を詳しく存じませんが日本の現在の石炭が四千万トン余り出ていると承わ
つておりますが、殆んど何年かするとその全部の四千万トンを
電力の補給並びに
最大電力に使うために食い潰すということは当然な事情であります。現在といえども昨年あたりまあ豊水、出水の関係がありますけれども、数字が違えば訂正願いますが、三百何万トンというのが或いは四百万トンはかりが二十六年の
計算では約六百一万トン、或いは六百五十万トンを処理しなければ、この全体のピークを押える、冬の足りないのを間に合せる、もはや水力の全部の
可能出力を全部、三月四月になりますと水が十分あるにかかわらず、未だに石炭を或いは三十億万或いは二十六億万という
石炭代を拂
つている。而もその石炭が非常に不足である。新全会社に行きまして一番皆さんからでもお咎めを受ける、或いは用意がいかんじやないかという、若しお咎めを受けるとすれば、この
石炭手当が十分行
つているかいないかという点である。然るにこれは甚だかようのことを申上げては相済みませんが石炭は目下採掘、
生産方面に
一大障害を起しておりますばかりでなく運送の方面も甚だ乱れておる。又不足である。
従つて各
貯炭場我々の
貯炭場も殆んどもう泥をさら
つて耐えているような状態である、一時は
鉄道貯炭等の御融通を冬は何いたしましたが、夏にな
つてむしろ反対に石炭の奪い合いをしているというような状態である。
目下混水でなくこの雨季に非常な
電力の供給に困難を感じておるような次窮である。併しこれをどうしても乗切ることは新会社の責任であります。
公益委員会としても早くからこれを注意しておつた問題でありまするがために、その点は盛り上げたり或いは管理し合つたり、
公益委員会の全局長を督励して日夕出張さしてや
つております。幸いに杞憂を抱いておりました人間の、そういう
日発の人たもが盡してくれるとか盡してくれんとかいう問題は殆んど痕跡もありません、皆協力して
火力発電所におる
人たちは十分なる奮闘を日夜続けておる、今日までにまだ世間に叱られるほどの失態を暴露しておりません。今後とも各新会社、努力するだろうと思う。私どもからも常にその監督を怠
つておらん次第であります。
以上申上げましたように、これは人体に電源の不足から来ておりまするが、いま一つ御報告申上げたいのは大きな問題として御承知でもありまするが、その戰争後の
電力荒廃のために
技術面も
営業面も両方の
原因がまとま
つて来たものと見えまして
電力の非常なるロスであります。
戰前私ども自分の経験から見ても
電力のロスというものは大よそ二割まであればいかんじやないかというようなことを言うておる。又一割八分にとどめる、多くても二割一厘まで、これはまあ
送電線のロスもあります、又
配電線のロスもあります、
需用家に、メートルの普及しない間は
定額電燈の使い過ぎもあります。けれども戰争を中心として
需用家全体のお気持も非常に
変つたのでありましよう。これは
需用家のみに帰するわけには行きませんが、営業の方面もルーズであるとか勉強に
精励努力を欠いた点もありましよう。それから技術の荒廃もありましよう。即ち
送電配電の
やり方のまずいところもありましよう。全体で一時著しいときは平均三割くらいの
電力の減少にな
つておる。仮にこれを六百万キロの最大と仮定すると如何でしようか、二百万キロ以上のものというものは日本の電気はいつの間にかなくな
つておるというような状態です。併しこれは全部なくなつたわけじやない。一割五、六分或いは二割二、三分くらい、三割くらいの差を回復すればいいわけです。できるだけこの差を回復すればいい。
技術方面、
送電線に求め、
配電面に求め、
需給関係に求め、それから
需用家の末端においてこれを求める、各種のことをやりますために、どうしても少くともこの改善によ
つて十八万
キロワツトの
電力を設備において取返えすだけのことをしたいという目標を以てこれをやりますために、約八百何十億、九百億の資金をにわかにこれに投じて改善を図るということは、ともかく十八万キロの
電力を日本に足らないのをそれができる、同時に一年分うちに回復ができるのであります。これは何としても各社努力してもらいたいというので殆んど各社にそれを割当てまして、それで資金は
自己資金でできるだけや
つてくれ、見返りなどは
電力開発の方面で足りんくらいで何とかして自分でや
つてもらいたい、若し足りなければ何とか
銀行等の談判もしてみよう、こつちも骨折るからあなた方も自分でおやりなさいというようなことで、この
改善努力の関係をぼつぼつ四月末までにやりましたもの、或いは五月からもうすでに部分々々について着手をしておるはずであります、これは全体の費用を入れて二百四、五十億に達するものであります。二十六年度において大体引締めてやりたいと思いますが、
資材等の不足のために思うように行きますかどうか、はつきりした御報告をするまでに達しませんが、本年の適当なときになれば
議会等にも御報告を申上げることができると思います。これは九会社が責任を持
つて離れてやる場合に当然起る問題でありますと共に、やはりその区その区で責任を持
つて自分の責任でやるということは、同時にそれだけの利益を生み出し、それだけの
企業意欲を奨励します。それで結局は国家に十八万キロの
電力を寄與することになる。これは再編成としてどうしても努力してもらいたいというもので、激励というよりもむしろ
哀訴歎願ということに当りましよう、そうしてできいいように規則を成るべく寛大に見て、やり得るように一日も早くやるということでや
つております。細かなことは又
報告書を適当なときに出すつもりでおります。
そういうことのほかに
原価計算をやるということになれば、どうしてもこれを再評価をして資産を適正ならしめなければならん。これによ
つて償却を適当にしなければならない。現在の償却は私が宙に覚えておりますのでも自発そのほかを合して一年十八、九億と記憶しております、恐らく二十億に達していないだろうと。然るに現在の資産を若し再評価する、或いは現在造る元五百円とか千円でできたものを現在造るとなれば六億乃至十億というようなものを償却する、
定率償却を考えまする場合に、再評価して適正に評価した場合に、どうしてもこれを一割五分前後の償却をするということになりますというと、約二百五十億ばかりは償却する、つまり今のまま十九億とか、十八億とか、二十億足らずの償却というものは二百五十億の、その何と申しますかな資産を戻さんならん、資産を元の通りにきれいにして戻さんならん経費が二百五十億要るわけであります。償却とは償却して物をよくする意味であります、元の価値を保つのが償却である。そうすれば二百五十億あ
つて漸く元の価値を保てるものを十八億、二十億にして置くということは二百幾らを或いは配当、或いは
自分たちの月給にしてこれを消耗しておると称せざるを得んのであります。
もう一つ大きな言葉でいうと、これを国家社会主義的に考えますと、個々の企業者が国家の実に尊い、そうして機能的な毎年々々修繕し、毎年々々開発して国民の産業及び生活水準を保
つて行かんならんものを、勝手にその資産の一割以上再評価しましてどんなふうになりましようか、三千四、五百万円と思います。これが適正なる今の
電力のコストを算出する元にたるものと心得ております。それは
電力再編成によりまして政府は法令で引延ばした、他の会社はみなや
つておる、
電力会社だけは前のものを以てそれでそれさえも僅かな償却をしているということは、この私どもの一割四、五分、個人企業でや
つておつたことに比べましても、二百何億円というものは国家的資本を單にそういう会社の
人たちが食い潰したということになるのであります。これは許されんことでありまして
公益委員会では速かに再評価の方法をと
つて適正なる償却をしてそうして国家の資本を守らなければならんと思
つております。その国家の資本を守るということは何といいましても産業に内国或いは外国の資本が投下される基礎であります。それがでたらめではないということは必要なことであります。そうして毎年千億近くの開発をして行かなければならん立場におるのでありますから、その資本の信用を失う、国家的資本を食い潰しておるという状態は、
公益委員会として最も早く着目して整理せねばならん措置であります。目下その再評価そのほかについて各社間にいろいろ注文あります。自分はこうしたい、ああしたいと申しまするが、国家的に考えますとやはり全部が国家的資本であり、又将来はますます国家の開墾事業、水利事業と結び付く資本の根本でありますから、どうしてもこれは
公益委員会としてその正規事業を公正に監督する意味からいうと、全国やはり大体再評価の主張というものは一様に揃えたいと思
つております。まだそのことについて確定案も立たず各社の多少の自由を許しておりますが、各社から十分な申出がまだ借ておりませんけれども、さような方針で五月一日以後の経理並びに
電力料について進みたいという考えを持
つております。事務局の人も或いは
電力顧問、金融顧問のかたがた皆伴せて御協力をお願いしておりますが、なお遠慮なく又御隔意なく、これらのことについては参議院の当
委員会あたりからいろいろ御指導をも、或いは御批判をもお願いしたいという点であります。私ども一生懸命そう思うてや
つておるのです。
以上簡單に御報告を申上げます。細かいことは経理長、
技術長、それから申し遅れましたが、
事務総長から編成の経緯だけをちよつと御報告……。