○石原幹市郎君 では次に第三班の御
報告をいたします。
第三班は私と三輪委員であ
つたのでありますが、境野委員が特別に参加されまして三月七日から数日間に亘りまして香川県、高知県、愛媛県の
電力問題を
調査したのであります。
調査の重点といたしましては当面問題とな
つておりまする次の二つの問題としたのであります。即ち第一は五月一日より発足いたしまする四国
電力会社の本店所在地につきまして、高松市、松山市との間に激烈なる抗争がされておるのであります。この問題を一つ、それから次は住友共同
電力の発電施設
復元の
要望に関する問題、この二つを主といたしまして
調査をいたしたのであります。第の本店所在地問題でありますが、現在四国配電の本社は松山市にあります。それから日発四国支店は新居浜市、これは御承知と思いますが、松山と高松の中間でありまして、ここにあるのであります。愛媛県の
配電会社の
系統は松山市に本店を置くことを強力に主張しております。香川県、高知県、徳島県は全面的に高松を主張しております。又日発
系統は大体高松市説を主張しておるのであります。それで
公益事業委員会の先般発表されました指令案によりまするというと、御承知の通り「本店所在地については差当り松山市として発足することとしたが、将来の諸般の
状況を検討の上所要の手続を経て高松市に
変更することがあるもの」とされておるのであります。その後の聴聞会において四県それぞれの立場より両説を主張して譲らないことは御承知の通りであります。四国の、
電源地帯は高知、徳島に偏在しておりまして
需用地帯は逆に愛媛に偏在しておるのであります。電燈において二八%、
電力において六七%、平均六一%が愛媛県に集中しておるのであります。そういう
関係からいたしまして、大口
消費者、一般
需用家側の立場から松山説を強力に主張しております。他の三県は交通上、四国の一般の地勢交通の上から、又
電源開発の
帰属しておりまするものが高知、徳島等の
関係から将来の
電源開発の上から、又官庁
関係等からいたしまして高松を主張しておるのであります。これを人口的に見まするというと、高知、徳島、香川の三県で大体六四%の人口を占めております。で先ほど申述べましたように、日発は愛媛県新居浜にあるのでありまするが、これは大体全面的に高松を主張しております。一般従業員のいわゆる電産労組員の意向を探
つたのでありまするが、電産の愛媛県支部はこれは松山を主張しております。但し他の三県は高松を主張いたしております。で日発支部は大体高松でありましてこれを従業員の
数字の上から見まするというと、電産
関係の全従業員約七千名のうち五千名が大体高松、二千名が松山という色分けにな
つております。併しここで注意をしなければならんと思いますることは、松山以外の従業賀はいずれに決定するにいたしましても、別に直ちに住宅を移転するということを要しないものでありまするが、松山に居住しておりまする松山
関係者は、結論の如何によりましては直ちに住居の移転もせねばならぬ、或いは移転に伴いまして家庭の
事情等から退職するものもあるのじやないか、こういういろいろの複雑なる
事情がありまして、その主張には深刻なるものがあ
つたのであります。
更に日発並びにこの三県側が極力松山に
反対しておりますその理由を追究いたして見まするというと、現在の四国配電というものは、四国の
電力が統合されました前の伊予
鉄道という
鉄道に
電力供給事業をや
つてお
つた会社があるのでありまするが、この
関係者がその首脳部を占めておりまして、いわゆる伊予鉄閥というものが非常に厳乎として根を張
つておるのであります。これに対して猛烈なる反感があるのでありまして、新
会社発足の際に新鮮明朗なる空気の下にこの新らしい
電力会社を出発させたいという希望が強いようであ
つたのであります。
そこで問題の焦点は、結局移転に関する受入態勢の問題或いは移転に伴
つてどれだけの
費用が要るか、
費用の
問題等が今後のやはり千点になるのじやないかと思うのであります。前記
公益事業委員会の裁定案も、理想としては高松であるが、果して
会社の新発足に当りまして高松の受入態勢が間に合うかどうかという問題であるのであります。松山側は高松に移転をしますれば四億一千五百万円余の金は要る、松山に本店を置くことになるならば六千万円
程度であると称しておりまするが、この主張はこれは受入都市の協力等を金然考えないで、且つ本店その他についての施設等も理想案を考えた場合の問題でありまして、県や市の協力があり、又一応間に合せるという
程度でありましたならば、本店を仮に高松に置くにいたしましても、その
費用は数千万円、五、六千万円
程度ではないかと我々も感じられたのであります。
なお高松側の
説明を求めましたのに、本社の社屋並びに社宅については大体の用意をしておるようであります。但し真の交渉相手は新らしく発足する
電力会社になりまするので、まだ真の交渉相手が生れていない、それから又高松になるか、松山になるか、いずれにきまるかわからないのに、完備した準備を今からして置くわけにも行かないというような
事情もあるのでありまして、十分なる受入態勢はできていないように思います。併しこの点は先ほど申上げましたような理由から、これは相当宥恕すべき点があると思うのであります。でどちららかの方針が決定しましたならば、仮に高松と決定しましたならば、香川県、高松市は協力いたしまして全力を、挙げて万全の準備を行うものであるということは、香川県並びに高松市当局の熱烈なる意向から見て十分察知せられたのであります。又高知県におきましても高松に本店がきまる場合には、いろいろな援助、場合によりましては財政的援助も惜しまんということを県の首脳部は述べてお
つたのであります。
以上要するに
関係県それぞれ総政治力を挙げまして主張しておる問題なのでありまして、ここで我々
委員会として軽々に判断を下すことはできないのでありまするが、
公益事業委員会声明のごとく、理想として高松説は一応何人も考えるところでありまして、これが私は常識であると思うのであります。但し松山は現に四国配電本社の所在地であり、従業員も多数在住することであり、
現状を尊重するということからは、又面松山市説も理由のあるところであろうと思うのであります。でいずれに決定するにせよ、我々は将来支店の権限を強化いたしまして、一々本社に出なければ問題が
解決し得ないような不利不便の
状況を芟除いたしまして、且つ又現従業員が大量にまあ移動しなければならんというようなことのないように、特段の配慮をこの問題に対して加えてもらう必要があるのではないかと思うのであります。以上の概要は、我々三省の委員は先般
公益事業委員会にも出頭いたしまして、松永委員、宮原委員、伊藤委員にも我々の見て来ました
状況を率直に
報告しておいたのであります。このことを併せて御
報告申上げておきます。
次の問題は住友共同
電力の
復元の問題でありまするが、この問題は、すでに本
委員会で一致採択されておるのでありまするが、
現地の
事情をこの機会に見て参
つたのであります。で御承知のように共同
電力は
水力において九万三千三百
キロワツト、これは四国の総
水力電気の約四〇%であります。
火力は五万六千
キロワツト、これは四国の総
火力のこれ又約四〇%でありますが、これらの
電源を建設したのでありまして、それが先年の国家管理の際に
水力を約七万一千三百
キロワツトを強制出資された形にな
つておるのであります。現在の共同
電力は特定
供給事業者といたしまして、
自家発電、それから日発よりの受電を以て主として住友系糸の
事業に
電力供給をしているのであります。即ち日新化学、別子鉱業、四国
機械、新居浜化学、帝国酸素、四国配電等に
供給しておるのでありまして、四国の全
消費量の約三〇%を占めております。で返還を要求しておりまする主な理由は、これはこれらの
電源は、自分で
開発したものである。であるからこの際返してもらいたい。それから次は出資条件といたしまして先年の国家管理の
電力統合の際の出資条件として、住友共電の受ける
電力量、受
電力量は出資
設備の全出力を下らんこと、
電気料金は原価に基礎を置くこと、こういう条件を附けておるのでありまするが、これが今回の日発配電の統合による新たなる新
会社の発足によりましてこの条件がどうなるかということが将来危惧される、そこでの際自分のものは自分に返してほしい、なお
電力を
供給しておりまする対象とな
つておる
事業は国家的にも極めて重要な
産業でありましてアルミであるとか
硫安であるとか、
電気銅、
電気ニツケル、金、銀、こういう重要
産業に
電力を
供給しておるのであるから、この
電力は極めて良質なものでなければならない。それには自分の管理する
発電所によ
つて良質な
電気を送りたい。こういう希望であります。
最後の理由といたしておりまする点は、住友共電が現在持
つておりまする技術、資力並びに金融
関係から将来新らしく
電源を
開発して行く上におきましても、共同
電力にこれらの
電源を返してもら
つて自分が大いに
開発にも当
つて行きたい、こういう理由から返還を要求しているのであります。で現在返還してくれと
言つておりまするものは四万一千
キロワツトでありまして、これは四国の
水力の一八%に相当するものであります。それと中央幹線を含みまして五つの送電線を返してほしいとこう
言つておるのであります。ところが
現地についていろいろ聞いてみまするというと、
反対論も極めて盛んでありまして、これらの施設が返還されますというと、四国の
電力を
調整して行く
能力を失
つてしまう、結極
電力の
需給のバランスを失うことになりはしないか、従いまして場合によりましては
火力の補給が非常に殖えて来るようなことになりまして、住友系の
供給を受けている
事業会社は安い
料金で仕事ができるかも知れないが、それ以外のものは非常に
料金が高騰する虞れがある。殊に送電線まで持
つて行くということになりましたならば、
電力の想互
融通の上に大きな支障を来たすのではないか、こういう理由から非常な
反対論があ
つたのであります。なお返還に
反対であるというのは、この住友系
事業関係者以外には大体返還
反対の空気が強いのであります。高知県は県といたしまして県営
電気の県営の
復元を主張いたしておりまするので、比較的この問題に対しましては余り触れない態度をと
つておりますが、この住友共電に
復元されるというと、高知県も是又従来の県営のものを
復元をしてほしいということを強く主張しております。更に高知県にも返るということでありましたならば、従来伊予鉄その他の
関係者からも容易ならざる又要求が出て来るのではないかと思うのであります。そこで我々の感じといたしましては、住友系の
事業におきましては、
電源開発の先駆をなしまして、今日のこの
事業体系を築いておるのでありまするから、この歴史的事実も一応認めなければならない。又アルミであるとか或いは
硫安であるとか或る
電気銅、
電気ニツケル等、
電力を主たる
原料としておりまする国家的重要
産業と、良質なる
電気を
供給しなければならないというこの問題、この問題について一つ掘下げて考えて見なければならんのではないかと思うのであります。更に又
電源開発を促進して行く上におきまして、この四国
電力会社にすべてを統合するのがよいか、或いはこういう重要
産業に
供給をしておりまするこの
電源については、
復元を認むるのはいずれが有利か、将来
電源開発上にどちらが有利かという点に重点を置いてこの問題を考えて行かなければならんと思うのであります。もう一つは、この問題につきまして現在の住友共同
電力のようなこういう形のものに
復元するのがいいか、はた又先ほど述べましたアルミであるとかこの
電気銅であるとか、こういう重要
産業の自家用として、曾
つて自分が建設したその自家用として
復元さしてやるのがいいかどうか、これらの諸問題を慎重に研究してこの問題に対処して行かなければならんと思うのであります。で、
復元の問題はすでに当
委員会におきましても採択されておるのでありまするが、私は
復元問題は重要
産業にと
つても非常な問題であると同時に、又一般
消費者にとりましても非常な大きな問題であるし、将来のこの
電力行政運営の上においても非常な大きな問題である。
電源開発の上から見ましても、この問題をどう処理して行
つたらいいかという点から考えても重大なる問題でありまするので、今後この
委員会において
関係者を参考人として出頭を求めまして十分利害得失を検討いたしまして、本
委員会としてこの問題に対して結論を出されるように私は
要望をいたしたいのであります。以上申上げまして第三班の
報告を終ります。