○政府
委員(中川哲郎君) それでは
委員会で
考えた点につきまして申上げたいと思います。
先ほど来
太田先生、
西川先生から御
意見を伺
つたのでございます。私ども評価の理論といたしまして当然さようなことが筋合であろうと一応は
考えております。現実の評価の問題に当りまして、
委員会といたしましても事務局におきましてこの点十分検討をいたしたつもりでございます。
第一点といたしまして、簿価というものを原則にしました再編計画を
委員会で承認いたしておるわけでございますが、これにつきまして若干申上げたいと存じます。設備の統合に際しまして、個別に既存設備の実質的な価値を検討するということは当然でございまして、できますれば精細にこういう点を検討することが一番妥当であるという点につきましては、私どもも勿論そうであろうとかように存じております。ただ実際問題といたしまして、
電気事業は過去一回乃至二回に亘りまして相当な統合をいたして参
つております。この際はいずれも適当な評価基準を設けまして、当時の出資価格というものを決定いたしたわけでございまして、一先ずそこで建設費の整理ということが一応いたされておるわけでございます。尤も先ほど
お話のございましたような、或る程度の当時の配電部門の統合、或いは
日発の送電部門の統合というような点におきまして、評価の基準に差異がございましたが、一応その当時のそれぞれの基準によ
つて評価決定を見たわけでございまして、爾後数年に亘りましてこの評価額を基準にして電気料金の原価計算等も行われて来たわけであります。それで
電気事業が現在のように相当な規模に拡大して参
つて、設備も古いものから新らしいものまで非常に殖えて参
つたわけでございます。
日発や配電のできます以前の、全国に数百という
会社がありました当時、且つ又電気の供給もお互いに重複、或いは不行届きもございまして、競争が行われました当時におきましては実質的な資産の価値というものによ
つてその間の原価の高低を直し、それに適応したものが與えられるということが本筋でございまして、勢いさような場合の統合につきましては、決定いたしました実質価値を見るというようなのが至当だろうと存じますが、さような状態からいたしまして、まあ戰後非常に電力の供給力が減
つて参りますし、且つ又現在の企業体におきましては、発送電部門という全国を
一つの部門にいたしましたものと、九ブロックの配電部門と、こういうような設備を上下に分けましたような態勢に
編成替えをいたして今日に至
つたわけでございます。その上この間の收益というものにつきましては、いずれもそれぞれの建設費を中心にいたしまして、原価計算はされますが、更にこれを全体のプール計算によりまして、その間の收益の調整を行な
つて参
つたという点からいたしますれば、收益力の点においても実質的には現在の価値においては差がないというのが結果的には出て参
つて来ております。かような
意味合におきまして大局的には現在の簿価並びにその收益力という点から見まして、
株式比率の大体の見当は一対一で、現状に即した見当からいたしますれば、そう大きな誤差はないのではないか、こういうことが
一つのまあ
意見でございました。
それから再評価の理論につきましては、勿論現在再評価法が施行にな
つておりまして、
電気事業もこれを受入れる態勢にございますので、
日発側から出ました
意見につきましても、一応検討を盡したわけでございます。実質価値が再評価によりまして、一応の尺度として適用されるという点につきましては、私どもも十分納得できるわけでございまするが、
電気事業のまあ実態からいたしまして、この再評価の、再評価法によ
つて各発送電部門並びに配電部門の收益力の裏付ができるかという点につきましては、私ども現在の状態、現在のまあ電気料金のあり方、それに再評価の如何が直ちに国民の一般の最終の電気料金にも結び付くという
意味合からいたしますると、相当この点については疑問がなきを得ない、かように感じたわけでございます。と申しますのは、再評価をいたすことによりまして、倍率は違い、且つその資産の評価額も
日発、配電部門でそれぞれ差異がございまして、
日発側の御
意見によれば、配電一に対して
日発の再評価の場合の限度額の比率は一・五四になるという、かような議論がせられてお
つたわけでございます。この点につきまして收益力の点から再評価の実質価値を見るという点におきまして、適切にこれを見まするならば、将来資本がその再評価の限度額に応じまして、資本の組入れができるというような点を考慮いたしますれば、むしろ資本が持ち得るべき現在についての倍率を見るほうが適当であろうという見地からいたしまするというと、配電一に対して
日発の二・四乃至五という数になりまして、これは前回の
日発株主から当
委員会において
意見の開陳がございました点でございます。でかような
意味合で再評価額というものを考慮に入れまする場合に、資本の倍率がさように違うという前提を
考えまする際、私どもとしてはやはりこれは既存の正気
事業がつぶされて、新らしくでき上るということについては、相違はございませんが、同時に現在
運営しております
電気事業がそのままの形で国民と結び付いて
運営されるという点に結び付きますると再評価額が直ちに資本の増加と結び付く、再評価によりまして、いわば資本の実体価値によりまして、株主の将来の利益が約束せられるという点につきましては、相当な問題があるのではないか、例えば、再評価の倍率自身も現在まだ未決定で勿論ございます。再評価は
実施されておりませんから未決定でございますが、更にそれを資本との結び付きを見まするためには、資本に組入れが可能であるかどうかという点につきまして、先ほど申しましたような
意味合で電気料金のあり方という点からして、相当この点については検討を要するのではないか。又
日発の送配電部門とこの資本の組入れの差異も必ずしも同一であるということも保証できないのではないか。その
意味合におきましては、例えば、
日発というものは、さような発送電部門一般を
運営いたしておりますが、再評価の限度額と資本との関係におきましては、何故、配電とさような差が出ておるかという点の
一つとして、
日発の社債の発行限度が三倍であり、配電は二倍である。或いは又、戰時中にいろいろな復金の融資その他によ
つて設備の拡充をせられた点もございまして、株主の利益とそれがすぐ結び付くものであるかどうかという点につきましても、研究を要するファクターがあると存じます。さようなことを
考えますると、再評価の限度額につきまして收益力を認定するという点につきましては、非常なまだ未確定なファクターが多いのでございます。これが当事者間の話合いによりまして、再評価を
一つのべースにして、引受比率をきめるということがまとまりますれば、別でございますが、まとまらん場合の方法といたしまして、かような不確定な收益力の問題を一応取上げまして、まあ
委員会の案といたしまするにはまだこういう点については十分な実現性においての保証がない。かように考慮いたしたわけでございます。さような
意味合におきまして、再評価の基準をそのまま今回の株式の引受比率にしても、これをと
つて以てそれの基準とするという点については、
委員会といたしましては、留保いたしたわけでございます。なお貯蔵品等につきましても時価を以てという話がございましたが、理論的に
はさようなことだと思いますが、これ又、電気料金とあらゆる
意味におきまして結び付く問題でありまして、現実の問題といたしましては、やはり簿価というものが貯蔵品につきましても、原則的には
電気事業の簿価の場合、而も継続的な
事業としてこれを
運営させて行くためには、妥当なのではないかというふうに考慮いたしたのでございます。一応プラス・アルフアーの問題に関連いたしまして、これの評価増し等を最小限度におきまして承認しておりますが、これは例外的な扱いとして、さような扱いを止むを得ずいたしたのでございます。まあ
委員会側といたしまして、一応この引受比率の問題にからみまして、考慮いたした点を申上げた次第であります。