○
参考人(奥村貞太郎君) 私は奥村であります。株主のほうではポツダム政令でも
つて分割が決定されました後、余りその後活動をしておりません。その理由はしばしば私どもがGHQのケネデイー氏にお目にかかりまして、たとえポツダム政令で以て荷
編成が
実施されても、株主
諸君の利益は絶対に侵害されないから安心しておれというような言明を得ておりましただけに、安心して再
編成の成行を見守
つてお
つたわけであります。
〔
委員長退席、理事結城安次君
委員長席に著く〕
実は
小坂総裁が大西さんに代られまして、再
編成の便進者として私どもの
会社のドツプに來られましたときには、
小坂さんは官選でも
つて再
編成を促進するためにおいでにな
つたのだから、これは株主の利益になるよりも、むしろ不利益な結果になるのじやないか、少くとも再
編成を遂行するためには、我々株主は相当の犠牲を拂わなくてはならないのじやないか。併しそれも国家のためであり、お上の命令であれば止むを得ないとい
つたような気持が一般の株主にありまして、よりより
協議をしましたときにも多少の犠牲であ
つた場合には、呑み込もうというので静観してお
つた次第であります。ところが今年になりまして、
小坂さんの三十六億円の
含み資産の
発表がありましたときに、我々としては
小坂さんに対する見解を非常に変えまして、
小坂さんが官選にもかかわらず非常に公正なる処置をと
つて下さるということに力を得まして、実は株主
代表から
小坂さん宛に従来のGHQ
関係の交渉成行などを伝えまして、決して不平等な差別的な処置をして頂きたくない、飽くまでも株主権を擁護して欲しいということをお伝えいたして置きましたところが、その
小坂さんが
公益事業委員会の決定に対して非常に不満で反対せられるということを聞きましたので、再び株主が会合を始めまして、今後の運動とか、今後の処理
要領について、話を進めたのであります。
公益事業委員会で以て裁定されました内容が余りに不合理である、関配びいきであるということについて不満を持
つておる株主が、期せずして株主大会の開催を要求されまして、株主大会を
東京におきましては三月九日、工業倶楽部でそれから大阪におきましては昨日十四日大阪の商工
会議所において開催いたしました。その両株主大会に私も
出席いたしました。その株主の
意見は、要点は、何故に一対一の出資比率が認定されたか。一昨年以来再
編成が若し強行された場合には、少くとも公正なる通念での合併比率ということを
考えて頂きたいということを大西
総裁にも進言し、その後の株主総会でも確認されておりましたが、次にどういう経過で一対一、
配電と
日発との比率が一対一に決定されたかについて、非常に激烈なる質問がございました。その席上、株主の
代表が選任されまして、一対一に決定されまして、成り行きを
調査するようにという要望がありました。
〔理事結城安次君退席、
委員長着席〕
従いまして私ども株主
代表は、三月九日に
日発総裁以下幹部のかたにお目にかかりまして、むしろ詰問的な意味で、どうして一対一プラス二十五円というような不平等な決定比率がきめられたのかということを質したところが、これに対する
小坂総裁、森副
総裁、
近藤総務部長その他幹部のかたから得た真相は次の
通りに確信されたのであります。
日発側としては、当初我々株主の決議の
通り、新設
会社に出資さるべき各社の公正なる実体財産を基礎として合併
條件を定むべく、地方固定資産税課税基準の評価額、或いは
日発配電側、
代表者よりなる
電気事業経営者会議等において、計上されたる再評価額等を基礎として
配電九社の合計出資額千三百六億五千七百万円、
日発側出資合計額二千二百七十億二千八百万円を算定し、若し
配電側が現在の合計資本金二十二億円と同額なる一対一の新株券の交付を要求するならば
日発に対しては七十四億一千二百万円の新
株式を交付すべきであ
つたことを主張されたのだそうであります。然るに
公益事業委員会では、GHQの指示により、総司令部の内面指示があ
つたから、資本金を増加することは許されない。九新設
会社の資本金は七十二億円にする必要があると言われたので、その場合には、若し資本金が七十二億円以上にすることができない場合には、
日発としての新
株式交付額は四十五億七千二百万円、
配電九社に対しては新
株式交付額二十六億二千八百万円を配分するようにという主張をしたそうであります。ところが
委員会側から
配電九社に対しては、すでに新
株式の交付を一対一、即ち四十二億円
配電会社のほうに割当てることにな
つておる。
従つて日発としては残りの三十億が割当したことになるから、三十億の線を認めよ、資本金がすでに七十二億円を超過することがいけないと当局からの命令があ
つた以上、内示があ
つた以上、一対一の比率は変更できないから、プレミアムの問題で解決しようと申されたのであります。
情勢がかく内面指導とかいうような
申出がありましたために、
日発当局者としましては、正当なるプレミアムとして五十円とか、百円とか主張しても、若しそういうことを主張すればするだけポツダム政令の
実施を故意に
日発側が遅延させる、そのポツダム政令
実施の遅延の
責任を
日発側が負わなくてはならない。そうい
つたような非常にデリケートな問題になり、
従つて日発側としましては、止むを得ず二十五円プレミアム案なるものを提出したのだそうであります。併しこの一対一アルフア二十五円なるものは、決して、右のような事情で
自分たちが初めから正しいと
思つて主張した自由
意思に基くものではなくて、敗北者の
立場で屈辱的に強いられたのであるから、その後我々は一切を白紙に還元して、我々当初の案を主張する旨を
委員会に報告した。
従つて株主各位におかれては、一対一プラス二十五円のプレミアムということには制約されることなく、適正且つ公正なる合併案を以て公聴会において主張して欲しい。これが
日発当事者から出た返答でありました。初めは株主
代表としまして、私もその一人でありましたが、
小坂さん以下皆様に非常に申訳なか
つたのですが、余りに弱腰で、なんで一対一などというような……、相手は水ではないか、少くともこちらは酒である。酒と水とを合わして二で割
つて半分飲めというような
やり方をどうして承知したかと
言つて強く質問した結果得た
答弁が、実は奥村君そうではないのだ、もう
情勢がかくかくであ
つて如何ともしようがなか
つたのだ。
従つて今とな
つては
自分たちはすでに白紙還元を申入れてあるから、株主においても自由な
立場でや
つて欲しい、右のような、私たちが殆んど想像もいたしておりませないような重大なる事実が判明いたしましたから、直ちにGHQのケネデイ氏に
電話連絡いたしまして、二時半にアポイントメントを求めて
会見したような次第であります。
今申しますケネデイ談というのは、先ほど
委員のかたから御忠告がありました点を思いまして、今から申上げますことは、私が行きましていろいろな質問をして、それに対するお返事を得て、それを要約したものであります。従いまして私の了解が若し間違いであ
つてはいけない、
誤解があ
つてはいけないと思いましたので、昨日株主総会で、大阪の株主総会において
発表しますと同時に、ケネデイ氏宛に英文の
手紙で以て、大体の要旨は、
日発と
配電の出資比率に関して非常に問題がある。それについて株主総会において種々の質問があり、
関係当局者に対して非常に
誤解をしているような点もあ
つたから、
自分としては数回に亘る貴殿との面会においてあなたが述べられたこと、並びに三月の九日特別
会見においてあなたの申されたことを別紙の通らに要約してお伺いするから、
自分の
考え、又は了解したことが正しいかどうか、間
違つておるかどうか確認して頂きたいと
言つて申上げてあります。そのケネデイ氏の申された談というのは次の
通りであります。「すでに再三再四
日発の株主
諸君には
お話した
通り、再
編成は飽くまでも適正公平に処理さるべきものであるから、
日発株主のみに不利なる合併
條件を我々が公益
委員会に指示することは絶対にあり得ない。
日発株主として公正なる
意見があるならば、公聴会において当然主張すべきであり、一段の経済的、社会的通念に立脚した適正なる合併
條件であるならば、例え
公益事業委員会の裁定といえども修正されるものであるから、何ら心配することはない。要はいずれの
意見が正しいかを明確にする根拠である。公聴会なるものは、決して單なる空文的、形式的制度ではない。真の民主々義精神を発揮せしむべき最良の制度であるから、この機会に十分
諸君の
意見を述べるべきであると思う。
自分もこの公聴会における討論内容については愼重なる注意を拂うつもりである。」これがケネデイ氏から言われました三月九日の同人のの要約であります。この点につきましては一昨年の三月二十二日以来私は数回に亘
つてケネデイ氏と
会見いたしまして、そのたびごとに私の質問した
言葉、それに対してケネデイ氏がどういうように
答弁なされたかというようなこともすつかり準備してあります。併し要約する点は今申上げた点と殆んど
変つておりません。例えば去年の三月二十一日に私が新
会社の設立方式について質問しまして、政府或いは
当局者が株主の
意思に反して新設される
会社に対して出資の方法を勝手にきめた場合、一体株主として行政裁判を起しても差支えないか。又価格決定は占領軍のGHQの命令で
実施されたとすれば、一体我々株主としては如何なる自衛権を有する質問したのに対しまして、ケネデイ氏はその当時は個人的見解として申されたのが、株主がその自由
意思で行政訴訟を起すことは何ら差支えなく、又占領軍としては、かかる個人の財産権に触れる問題には原則として
関係せぬ
方針であるから、新設
会社に対する出資方法が帳簿価格によらなければならんというようなことは全然
考えていない。如何なる場合といえども株主の正当なる権利は侵害されるべきでなく、又特定一社に対して差別的取扱をなすことは絶対にあり得ない。
従つて出資比率の
要領も一般に理解、納得の行く公正妥当な方法が採用せらるべきは当然であり、而もその場合に政府から提出されている法律案によ
つても評価
委員会、バリエーシヨン・コミテイといいますか、評価
委員会は株主により選ばれた者を以て構成されることにな
つているはずであるから、公正妥当なる評価方法が採用されると思う。いたずらに一方的風説に耳をかす必要は全然ない。これは去年の三月二十二日で、まだポツダム政令が出ましたよりずつと前でありまして、再
編成の内容が具体的にわか
つておらない当時において、すでにこういうことを申されてお
つただけに、私が三月九日に
行つて聞きましたケネデイ氏の申された
意見も、前から何ら当局としては
変つておらないということを確認した次第であります。ところが帰りましてそのことを株主
代表にお伝えしましたところが、株主
代表としては非常に激昂なさいまして、非常にそんな話の食い違いがあるようなことでは、株主から今日の大会で以て真相を把握しろと言われた要求に対して、返答ができない、かかる重要な問題であるから、甚だ夜分遅く失礼かもしれないが、
公益事業委員会の
委員の皆さんにお眼にかか
つて、よく真相を確めようというので、実は今日御
出席なされている
松本委員長殿のお宅へお
電話しまして、一時間か、二時間ほどいろいろ
お話したのですが、非常にお忙がしくて来客もおありになるとかで、御面会できない。ところが株主のほうのかたは、皆さん非常に御熱心で、とにかくちよつと聞けばいいのだから、それでは早速お伺いして御未見を聞いてくれというので、私ども
代表三人が参りまして田園調布のお宅へお伺いしたわけであります。ところがやはりお忙しくて、お眼にかかれなか
つたために、秘書のかたを通じまして私たちが参
つた目的をお伝えしまして出資比率の問題で実は御
意見を承わりたいと申上げましたところが、
松本さんが秘書を通じて申されましたことは、出資比率の件に関しては
伊藤委員が担任しておられるから、
伊藤委員に聞いてくれ、
伊藤委員を紹介するからと申されて、
伊藤委員殿のお宅を御紹介下さ
つたのであります。余り夜分遅くてと思いましたが、事非常に重大でありましたから、早速
伊藤委員殿のお宅へお伺いして、お待ちしたのでございますが、非常にお忙がしいお体で二、三心当りのところへお
電話をしましたが、遂にお眼にかかることができませんでしたから翌日午前八時ちよつとすぎに甚だ不躾ではございましたが、アポイントもせずにお伺いして、
伊藤委員にその旨を
お尋ねしたわけなんでございます。そのときに
伊藤委員殿から承りました
言葉は、
自分は單なる
説明役であるから、果してそんな内面的な指示が
関係当局からあ
つたかどうか関知しておらない。併し今とな
つては一対一の比率は変更することは非常に困難と思う。いずれにしても
日発株主側に不満があるならば公聴会において御
意見を承わりたい。これが
伊藤委員殿から伺いました御
意見の大要でございまして、若し私の了解が聞き違いでありましたならば、この席上で
伊藤委員殿から御訂正願いたいと思います。
右のような
日発当局者に聞いて了解したこと、ケネデイ氏のところへ
行つて聞いたこと、又公益
委員のかたから
伺つたことを総合的に私どもが判断しまして、私どもとしての一応の見解に到達したのでありましたが、これによ
つて見ますと、
松本委員長殿が先般参議院でございましたか、衆議院でございましたか、よく記憶しておりませんが、御
答弁なされたように出資比率は現在の株価を基準にせりという見解は全く根拠薄弱で、
日発当事者の報告のごとく
公益事業委員会のかたが架空な何かものを作り上げられて、虚僞な事実を以て一対一の出資比率を
日発側に押し付けたことになる。若しこんなことが事実だとすればこれは余りにも問題が重要でありますから、その結果たるや誠に測り知れざる
責任問題にまで及ぶのじやないか。
従つて私ども
代表団としましては株主大会においての要求もありまして、私ども二、三の者だけが承知すべき問題じやない、全国の株主のかたに真相をお伝えして、且つ
公益事業委員会のほうからこれに対する公式な
答弁を得なくてはいけないだろうという結論に到達しましてその真相報告を実は全国の株主にお伝えする手配をと
つたのであります。同大会の席上におきまして、
日発側株主
代表団として従来無視されてお
つた株主権をどうして確保するか、ということについて非常な論議がありましたときに、私ども
代表から株主団に対して差上げました
文書がここにございますから、その要点だけを申しますと、
公益事業委員会の性格並びに各
委員の人格、識見等を信頼してたとえ如何なる風説が流布されても、最終的には必ず公正妥当なる再
編成が
実施されるものと期待したるが故に、今日まで私たちは成り行きを靜観して来た
つたのでありますが、先般衆議院において
日発配電の合併
條件が
日発に対し、余りにも不公平なりとの非難に対する
松本委員長の
答弁が現在の株価を基準として一対一に決定せりとの余りにも子供だましの
答弁をなし、且つ今般の決定
指令案の内容を見るに及びまして、同
委員会が全く
配電側の代弁機関に過ぎないということが明白になりましたので、いよいよ我々株主は自衛権を発動して公聴会において我々の見解、所信を披瀝し、全国十八万株主が
一致団結して所期の目的を達成せんと努力する。我々の見解は、同じ集排法によ
つて指定されながら、
日発だけを九分割され、同じ集排法だ
つたら
配電も九分割されるのじやないかということが議論でありましたが、
日発だけが九分割されるというような悪い
條件、非常なハンデキヤツプがあるにかかわれず、
配電側の九社のかたが連名で以て陳情書をいろいろ各方面に配られた。それは去年の二月か三月でございます。時価が四千億と評価される
日発の尨大なる財産を僅かなる何十分、何百分の一の帳簿価格で
配電会社が引取
つてしまう、譲り受けるのだというような印象を一般の大衆に與えまして、
日発株主に対しては非常な不安、動揺を起さしたのでありまして、その結果
日発の株価は非常に不当な低落々余儀なくされたものであります。かかる陰謀的な悪質なる噂によ
つて低落を余儀なくされた現在の株価を以て
配電側との合併
條件の基準とするがごときは、全く配も側の策動に乗せられたものであ
つて、如何よう弁解しても公正なる処置とは言いがたい。若し株価を以て出資比率を定めんとされるならば、一昨年のたしか五、六月頃シヤウプ博士が来朝されまして、公正なる資産の再評価が伝えられました当時に、
電力各
会社の株価を基準とすることが妥当であり、その当時の株価なるものが
関東配電が七、八十円、関西
配電が六、七十円、中部
配電が五、六十円、北海道
配電が五十円、東北
配電が円十円であるに対して私どもの
日本発送電は実に百六、七十円の高値を維持してお
つたのであります。
従つて株価で以てやらなくてはいけないというのが
委員会の御
方針であるならば、非常なハンデイキヤツプやルーマー等で不当に圧迫された現在の株価によるのではなく、自由な
立場でその当時の公平な一般大衆が判断をして買上げられるその当時の株価を基準とするのが妥当ではないか。そうしますと一対一ではなくて、
日発の一株に対して
配電会社が二株、三株或いは四株くらいにな
つて合併されて然るべきではないかという結論になるのであります。然るに一対一で合併を強制せんとすることは、我々の財産を故意に過少に評価して
配電側の利益のみを図らんとするものであり、今般の再
編成の根本原則であります平等の精神に反するのみならず、個人財産権の侵害という実に由々しき憲法の違反行為を侵すものと言わねばならんのであります。
電気事業の再
編成に関するポツダム政令中には何ら個人財産権の侵害は強要されてはおらないのであります。
従つて我々日毎株主は憲法その他の法律によ
つて保障されておる我々の財産権を主張し得る
立場にあるのであります。この点に関しては我々株主
代表は再三再四
関係当事者と
会見してその見解を質したところ、たとえポツダム政令によ
つて再
編成が
実施されても、株主の財産権は侵害されんことを言明され、
配電側との合併は公平妥当なる
立場においてなされることが確約されておるのであります。
従つて出資財産の評価は先般
実施された地方固定資産税課税基準の評価額によるか、その他
電気官業
経営者会議において
日発側配電側聞係
代表者による
協議の上用意せられた再評価額によるべきであり、これらいずれの場合においても大体
日発の財産は二千億円、
配電九社を合計しても僅か千億円足らずが公平なる評価の比率でありまして、
日発の資本金を三十億円、
配電九社倉、資本の四十一億円の比率から計算して比較しますと、
日発一株に対して
配電各社の平均
株式二・七くらいが割当てらるべきなんであります。然るに一対一の割当てをなすことは
日発の財産を
配電側に比し約三分の一くらいの低価格で過少評価したも同様であり、如何にも不合理であります。再
編成を百貨として
配電側が暗躍した本当の目的は、僅か
小坂総裁殿が発見せられた二十億とか五十億程度の
含み資産というものではなく、実にこれは再建設費五千億から六千億と見積られる
日発財産を横取りすることであり、かかる智能犯的掠奪行為は決して許さるべきものではないのであります。
次に集排法に対する
公益事業委員会の
松本博士殿がここにおみえにな
つておりますから、私どもの見解を披瀝して所信を伺いたいと思うのでありますが、
公益事業委員会の見解は独断と言わんよりはむしろ違法であり、同一
会社の分割をするために作られた法律を以て、全く資産内容を異にする二つ以上の
会社の合併の場合に濫用せんとするところに根本的な錯誤があるのではないかと思います。集排法によ
つて指定された指定
会社の分割は、
一つの
会社の内部問題でありますから、たとえ十に分割されても、二十に分割されても、その分割された各社の財産はそのまま元の株主に引継がれるわけでありますから、何ら形式上から言いましたら財産権の侵害にはならない、そういう建前の下に作られた集排法の精神を資産内容が根本的に違います玉石混淆する二つの
会社の合併の場合に適用されますことは、株主の権利に重大なる利害
関係を生じますから、最終的には株主総会の同意を求むべきが当然であり、
従つて合併
條件は我々株主が納得し得るがごとき公正なる基準にあるべきが当然なのであります。又目下問題とな
つております役員選出のごときも、公正に評価された出資財産の比率等を共進として定めるべきが一般社会通念、経済的
考えであると思われるのであります。このところで私ちよつと株主から質問がありましたことを申上げますと、一体ポツダム政令があ
つた場合にはどんな命令があ
つても、株主は黙
つて呑まなければいけないのがどうかという質問がありましたから、私はノーと答えて置きました。そうしたらば仮にそれでは奥村が
日発の
総裁であり、
自分が
配電側の
社長であ
つて、ポツダム政令とかということがなくて、二つに分れてお
つては工合が悪いから、
一つ手を握
つて日発と
配電とが合併しようじやないか。その場合に
日発の
総裁として一対一を納得するかどうか、そういう普通の場合であ
つたら、絶対に一対一などの合併
條件は承知しないはずであります。そうすると現在の場合はポツダム政令があ
つたことが合併
條件にまで影響するものかどうかという点が非常に疑義がありまして、再
編成法を調べたところが、集排法による法律ではたしか再
編成法の第三條の一項から三項まで全国地区を九つに割るとか、九つの
会社を作るとか、どうい
つたものを出資するとかということについては、私どもは文句は言えませんが、出資財産の評価比率等でするということについては、私どもが最終的決定権があるのではないかと了解したわけであります。従いまして右二つの理由で以て私どもとしては
公益事業委員会が決定された裁定ということには絶対反対であるという
意見が開陳せられまして、それに対しまして全株主が賛同いたしまして、賛成の結果昨日の大阪における、大阪商工
会議所におきます株主大会の決議を申上げますから御参考にお願いしたいと思います。
一、
日発、
配電各社の新設
会社に対する出資比率並びに
人事に関する
公益事業委員会の裁定はあまりにも
配電側偏重の不公平なるものにつき全面的に反対し、これが適正且つ公平なる修正の達成を期する。
二、再
編成に伴う新設九
会社への出資に関しては、
日発、
配電とも同一基準により評価されたる実体財産額の比率により新
会社株式の交付比率を定むるものとする。
三、右比率は
日発当事者が当初
公益事業委員会へ提出した左記原案によるべきものとする。
日発出資財産評価額二二七〇億一八〇〇万円、
配電九社出資財産評価額一三〇六億五七〇〇万円、(イ)新設
会社資本金合計額七十二億に裁定の場合の新
株式交付額、
日発に対して交付さるべき新
株式合計額四十五億七二〇〇万円、
配電九社に対して交付さるべき新
株式合計額二千六億二八〇〇万円、(ロ)新設
会社資本金合計額一一五億に裁定の場合の新
株式交付額、
日発に対して交付さるべき新
株式合計額七十三億円、
配電九社に対して交付さるべき新
株式合計額四十二億円、これは
配電側を一対一にした場合の
日発側は一対、新
株式が二・四三になるわけであります。
四、出資比率は右の
通り決定し別に同一集排法により指定されながら
日発のみ九分割されて輿
編成される
日発株主の不利をつぐなうためのプレミアムを要求し、且つ端株の処理に関しては新
会社が設立せられ再評価後再評価積立金を資本金に繰入れたる後に於て処理するものとする。
五、新
会社の
社長重役は設立後二ケ月以内に株主総会を開き共の賛成承認を求むべきことを
條件として暫定的に
公益事業委員会が決定し得るも其の割合は
日発側三分の一、
配電側三分の一社外
有力者及株主側三分の一の比率により人物本位にて選任すべきものとする。
六、
日発従業員に対し差別的不平等の処理を探らざること。
七、公聴会に於て我々の
意見が受入れられざる場合には行政裁判を提起し飽くまで所期の目的達成を計るごと。
八、直ちに臨時株主総会を招集して右
事項を再確認すること。
右八項目が大阪の昨日の株主総会の全員
一致による決議でありまして、本日私がこの席に参ります前に、
東京で三月九日に開かれました五千株以上の株主大会におきまして
代表せられました中山力松氏の御
意見を求め、その席上で中山力松氏に今後の
方針は大会の結果御一任してありましたから、大阪のこの決議の内容はどうかというお問合せをいたしましたところが、「右関西地区大会に於て決議せられたる八項目に対しては
昭和二十六年三月九日
東京丸の内工業クラブに於て開催せられたる五〇〇〇株以上大株主大会に於て
代表に選任せられたる中山力松外各
代表が全面的に支持するものなることを確認する。」という御承認を得ておるわけであります。多少これの決定に至りますまでの間に疑義がありましたり質問がありましたが、最終的に右のように全会
一致で以て決定されたのであります。