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1951-06-18 第10回国会 参議院 電力問題に関する特別委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年六月十八日(月曜日)    午後一時四十四分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電力問題に関する調査の件  (電気料金改訂に関する件)   —————————————
  2. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 速記を始めて下さい。  只今から電力問題に関する特別委員会を開会いたします。土曜日の当委員会におきましては、新らしく修正決定された料金決定基準について質疑応答をいたしました。その結論として電力料金改訂に対する問題については、当委員会公益事業委員会との間にただ徒らなる論争を繰返すのではなくして、同じ国家にとつて非常に重要な問題を同じ日本国民としての見地から何とか公正妥当な結論を得たいと考えておりますので、本日の委員会におきましては、新らしく決定された基準に基いて日本経済の実態と日本国民国民生活の実相と睨み合せて、将来の日本電力料金が如何にあるべきか、又現在のような状態下においてはどの程度料金が適切妥当なものであるか等について、公益事業委員会側参議院電力委員会の双方の意見を忌憚なく話合つて、そうして資産評価の問題、或いは電力割当制の問題、或いは経費に盛られておる個々の科目に関して果してどの程度経費が適当であるか等の問題について十分に意見の交換をして、委員会側公益事業委員会との間に意見の一致を見たものに対しては、聴聞会後の料金改訂公益事業委員会において決定される場合に当委員会の意思を十分に反映してもらうべく努力をして頂くという前提に基いて本日の委員会を運営して行きたいと考えています。従つて料金改訂のさつき出しましたいろいろの問題につきましては、委員諸君から活溌な御発言をお願いして、公益事業委員会側としても今までのようでなくて、本日は多少具体的な問題に入ることも考えられますので、本当にまじめに御答弁を頂きたいと考えます。  それでは電力料金改訂に関しまして質問のあるおかた、御意見のあるおかたは逐次御発言を望みます。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 私は前回公益委員会とのお約束に従いまして、料金の具体的な更改内容について参議院の当委員会におきまして今日までいろいろ研究をし、且つ公益委員会とも意見を交換いたし、又各界の代表の御意見等も斟酌いたしまして、是非ともこれだけは尊重せられたいという項目について考えを述べてみたいと思うのであります。一項ずつ申上げまするので、公益委員会のほうにおきまして、或いは委員長のほうにおきまして然るべく善処をお願いしたいと思うのであります。  先ず第一に総括的に申上げますることは、六月の十六日に制定をせられました料金算定基準は、原案に加えられまして第一条に料金算定の本旨が明確にせられたのであります。そうしてその中に電気使用者利益を確保するということが明記されたのであります。これは非常に広汎な意味を持つのでありまして、電気事業基幹産業としまして、公益事業として、その本来の使命を果し得るか得ないかは実にかかつてこの使用者利益を確保するということに対する具体的な考え方の展開にあると思うのであります。ところが第二条にありますところの電気料金は、真実且つ有効な事業資産価値に対する報酬を公正にするとともに、とあるのであります。この事業資産価値に対する報酬を公正にするという言葉も極めて重要な言葉でありまして、第一条の使用者利益を確保するという意味が十分にこの価値に対する報酬を公正にするということに織り込まれなければならんと思うのであります。私が以下申上げまする点は、この二点を指摘しながら申上げて参りたいと思うのであります。問題は抽象論を離れまして、過日電気事業者公益事業委員会にプライベートに提出をされましたところの料金原価計算書内容について一つずつ指摘をして参りたいと思うのであります。  先ず第一に申上げなければなりません問題は、各意見者が述べましたように電気事業料金更改を行いまするためには、是非とも企業合理化を行わなければならんということを絶叫せられておるのであります。そこで私は今度のこの申請書内容におきまして、どのように企業合理化されておるのかを金銭に関係をして報告せられておりまするので、それの内容について検討をいたしたのであります。ところが先ほどお手許へちよつと差上げておきましたように、総額におきまして九十三億三千万円の企業合理化をするということが報告をせられておるのであります。併しその内容を見ますると、合理化の各項目においても各社とも実にばらばらであります。又計上せられた総額におきましても、各紙又ばらばらであります。例えて申しまするならば、企業合理化による節約額を生み出しますためには当然各社説明書にありまするように、修繕費を以つて支出しなければならん金額原価に織込まれておるのであります。従つて修繕費企業合理化節約額とは或る程度比例的数字を示さなければならんのでありますが、試みに数字を上げてみまするならば、先ず修繕費の割合で申しますると、全国の総額に対して申上げるのでありますが、北海道は修繕費が四・五%、四・五%に対しまして、合理化による節約額は一五・一%であります。東北は一〇%に対しまして一六・六%であります。東京は二五・五%に対しまして一二%であります。中部は一一・三%に、対して五・一%、北陸は四・二%に対しまして四・二%、関西は二〇・七%に対して実に三七・〇%、金額にいたしまして三十三億円を越しておるのであります。中国は七・四%に対して四・一%であります。四国は三・六%に対して三・七%、九州は一二・八%に対して三・三%であります。今申上げましたように、合理化内容も実に各社とも思い思いばらばらであります。そしてそれによつて予定せられた節約額も又各社経営規模資産の大きさ等から比較いたしましてばらばらであります。こういうものが根拠になつて、そうしていわゆる修繕を十二分にしなければならんというので、再建設費の一%に倍加するような修繕費が見込まれておるのであります。そして而もこれが原価計算に生で入るというのであります。私どもは到底こういうものは了承できないのであります。企業合理化を大いにせられることは結構でありますが、これも又各社創意工夫にいたずらに任されるのではなくして、項目におきましては公益委員会が指導せられまして、そうして各社はそう大して大きな差があるわけではありませんから、もつと合理的なそして公正妥当な合理化を推進せらるべきであると考えまするが、これに対する御意見を伺いたい。私はそういう観点に立つて今度の料金算定合理化に対する態度を公益委員会が堅持されたいということを強く要望をいたすものであります。
  4. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 御尤もなお説でありまして、何ら異存はございません。前に提出されました案につきましては、一応再検討を加えるということで各社ともお引取りになつて、多分今日或いは明日までに各社ともこの合理化前提とした修繕費或いは営業費等について再提出されるものと思つておるのであります。いずれこれを再び検討して突つ返すということは多分しないと思いますが、これを公聴会に附し、或いはその数字皆さんにも更に御報告申上げて、それらの不合理性につきましては十分公益委員会としては検討を加えて行くつもりでおります。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ大体私の意見賛成をせられたようでありますから、この点を打切りたいと思います。  それから第二点といたしましては、各電気事業者の役員並びに理事の数、或いはこれの給与の問題につきましては合理化をせらるべきである。特に会社規模に応じても合理化をせらるべきであるということを過日申上げまして、これに対しても趣旨において賛成をこの前表明をせられたのでありますが、只今は一括いたして意見を申述べておるのでありますから、もう一度併せてお開陳頂きたいと思うのであります。
  6. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 大変御尤もなお話でありまして、中には提出されたものを見ますると、甚だしく重役給与並びに他の人件費等にむしろ計算の過まちがありはしないかと思うようなこともありまするので、これらのことも一々の無論示唆をしたわけじやありませんけれども、合理的な経営法に基く給与及び重役の配置を今回原価に盛込むべく各社にお願いしておりまして、これらは相当訂正を見るものと信じております。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 次に減価償却の問題に対して意見を申述べたいと思うのであります。減価償却の点につきましては、定率法で行います場合は二百五十億、或いは定額法で行います場合は百億というような数字が仮に出されて論争せられておるのでありまするが、この委員会で然らばそれが間違いないかという点について質しましたところ、どうも問題があいまい化いたしておるのであります。私どももその数字が的確なものであるか自信がないのでありますが、併し定率法のほうが定額法のほうよりも償却額が過大であるということ、大きいということだけは間違いがないわけであります。そこで私は先ほど料金算定基本原則算定基準の中に定められました基本原則の第一条と第二條との精神調整を力説いたしたのでありますが、これから割出しまして只今電気事業のこの困難なる経済下におきまして、国民経済への圧迫を緩和し、又産業への影響を軽減いたしまして、而も電気事業が運営を続けて参りまするためには、両者の調整を図る意味におきまして再評価の額も限度一ぱいという観念を捨てまして、一般産業並み限度額以内において適当な数字における再評価のを行い、又その再評価のいたし方も定額法を以て行うべきである、こういう工合に考えるのであります。これは松永委員長代理完全償却観念を縷々述べられておりまするけれども、その立たれるところの基本精神は飽くまでも料金算定基準を十六日に交付されたのでありますから、この第一条、新たに聴聞会の結果によつて加えられました第一条の精神を前の原案にありました第二条の精神との調整において行わなければならんと思うのであります。従いましてこれに対して私は強く要望をいたしたいと思うのであります。
  8. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 今日はむしろよく皆さんの御意見を拝聴いたしまして、十分研究して、今日、明日に提出される案について一応目を通し、又公聴会に臨みますに際しましても、皆さんの御意見を最も尊重し、すべてのことを反映して行きたいという精神でありますことは、前回に申上げた通りであります。従いまして私がかれこれ今日意見を申上げまするよりも、栗山さんの只今の御希望がそうとしますれば、一応さように承つて考えさせて頂きまするが、或いは又お前はそれに対して変つた意見が何かあるならば、俺の意見を聞くばかりじやなくお前の意見を言えとおつしやるのでありますれば、簡単ながら自分の考えを申述べて置きたいと思いますが、今お話算定基準をきめましたことについて各種真実、有効なる価値の判断、これを原価に盛り込むということについては種々の内容を持つておりまするので、これを政策的に大いに手加減するという余地があるや否やということは別論でありまするが、算定基準精神から申しますると、原則としては償却については再評価を十分に切り詰めて、つまり十分に切り詰めると申しますることは、でたらめな膨脹的再評価をしないということ、それからもう一つ原則は償則は定率にしたい。これは再評価それ自身が従来の資産の切り下げを定率的にして参つておりますので、従つてこの償却に当つて定率を以て償却すべきことが算定基準方式として可なるものであるという結論に達してあの法律の、法律と申しますか、基準決定をしたのでありまするから、只今その理由はかれこれ申述べませんが、再評価は厳格なる意味において資産を切り捨てべきものは十分切り捨てる。つまり陳腐化されたものは相当これを引去るべきものであるという考え方を厳守したいと思うております。償却定率によつて今回は原価に見積るということに考えております。それでこれがいわゆる私の申す完全償却ということが当不当は別といたしまして、さような信念を持つておりますのであります。この考え方について、考えが間違つておるという点は十分反省せなければならんことでありますが、どうぞ栗山さん並びに皆さんから十分なお示しを願いたいと思います。
  9. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今松永委員長代理の御発言については、料金算定基準によれば償却定率法になつておるというお説ですが、読んで見ると、これは定額法になつており、公益事業委員会の特別な示唆があつた場合に、この定額を変更するということになつておりまするので、只今の御意見松永委員長代理個人考えですか、公益事業委員会としてまとまつたものですか、これを一遍伺います。
  10. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) この算定基準を出します時分に、各種方面とも交渉いたしまして、定額によるという文字を使うことを妥当なりと認めまして、但書に、公益委員会規則規則と申しますか、計算規則によつてこれを定率に代え得られる括弧書を挾みまして、それぞれ関係筋或いは関係官庁等とも交渉して、聴聞会に付したのであります。それで聴聞会においてはさようなことはやめて定額にしてもらいたいという多数の御発言がありました。又記憶するところによりますると、業者の安蔵東電社長のごときは、すでに再評価のごときものは、非常に圧縮された形において出るのであるから、その償却を更に定額的のものにすることは償却の不完全を来たす虞れがあるという反対も出ました。その討議の結論に基きましてやはり定率償却し得られる余地を残して十六日の算定基準案というものは各関係の筋、そのほかの御了解を得て発表されたものであります。従いまして公益委員会は、今後各社が出しました場合、この算定基準はどういうふうに扱いますかということについては、只今公益委員会決議に基く発議であるか、お前一人の議論であるかというこの一点のお尋ねに対しまして、これは明確に申上げておきます。公益委員会においての決議に基いて只今発言しておるのであります。公益委員会大体の空気に基いてさように取扱いがあるであろうということを申上げておる次第であります。
  11. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 松永委員長代理の御発言に関して聞きますが、今日は事務総長は見えておらんようですが、松永委員長代理公益委員会決議に基いてやるのだという意味合いの御発言のように、多数の意見だからというようなお話がありました。若し公益委員会決議に基いたものであるならば、記録がとつてあると思うのですが、あなたおいでになつたかどうか知りませんが、決議されておるかどうか。
  12. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 私その内容については存じておりませんので、いずれ調べまして、事務総長を通じまして御返事申上げます。
  13. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは宮原委員に伺います。
  14. 宮原清

    説明員宮原清君) 只今お話決議と申すことと同時に空気に、大体の空気がということを委員長代理は申上げておられますけれども、正式に記録とつたという決議でありません。定率法そのものが今の場合適当であるということについては、たつて反対論はないのでありまして、この点は決議を経たということではないが、併し大体においてさような計数を立てべきだということも事実であります。
  15. 西田隆男

    委員長西田隆男君) それでは宮原委員にもう一度お尋ね申上げます。料金基準決定の第四条の条文を読んで見ますというと、この第四条の償却原則定額法により算出した額を基準としなければならない、こういうふうに義務付けられておることと考えますが、この義務付けられております前項の条文定率法という便宜的なことで後段の条文定率法を適用するということに公益事業委員会で若しおきめになるとするならば、これは正式に公益事業委員会会議にかけて決議されなければ実行はしてはならないと、私ども四条の解釈をするのですが、これに対して公益事業委員会としてはどうお考えになつておりますか。宮原委員にもう一回御答弁願います。
  16. 宮原清

    説明員宮原清君) 只今お話は御尤もだと思います。いずれ正式に決議を必要とすることだろうと思います。但しこの定率法に関する問題があつた当時から申述べられたごとく、いわゆる再評価限度に対することと多少相関的になるものだと考えております。と申しますのは、再評価が完全に一定のいわゆる御期待できるだけの償還額に訂正されたいということである場合には、定額法がむしろ当然のようになりましよう。但しそれが余り隔りがあつて実情に副わないということに対しては、この基礎作つたのはそのときの事情に応じて但書のようにすることもできるという精神からでありますから、そこで決議を経てそういうようにきめられれば、第四条は実行できるものと理解いたします。
  17. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 非常に重要な問題なのでもう一点お尋ねいたします。松永委員長代理のこの問題に対する御発言の中で、安蔵東京電力社長資産の再評価そのものが非常に圧縮されておるから、その上に定額法行つたんでは、電気事業資産償却は十分でない。だから定率法によらなければならんという御意見の発表を聴聞会でされた、こういうお話があつておりました。従つてあの資産の再評価額が非公式に九つ電力会社から出された資産の再評価額よりも松永委員長代理言葉を聞いておると減るというふうには私には考えられませんが、宮原委員はこの第四条の償却定額法に基かないで定率法でせられるという場合、資産の再評価というものが非公式に今まで出されておりました九つ電力会社評価額との間に差がついて、額が減つて来るものか、或いは多くなつて来るとお考えになつておるか、この点についてちよつと御答弁頂きたい。
  18. 宮原清

    説明員宮原清君) 数字的な問題についての正確なる御返事を私は今申上げ得られませんが、併しこれを要するに先刻松永委員長代理も申された通り、曾つて生じた電気料金算定についての事柄は、ときに政策的な問題がある場合にはおのずからそこに変化があるということを申しておられるのでありますから、結局料金算定に直接ぴつたり合うようなことについての事柄は、今日お尋ねのことはおのずから違う場合も委員会決議自体においてはあり得ると思います。併し第四条の問題が、今お話通り第一条の但書ですか、それによつてきまりました場合には、第四条に対する決議解釈についてはいずれを重しとするかと言えば、やはり委員会自身が特別の事情だという点において重きを置くことだろうと信じております。
  19. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 重ねてもう一点聞きます。私がなぜくどくどと聞くかと言いますと、さつき栗山君も言われたように、定率法で行けば二百五十億と言われ、定額法で行けば百億だと言われておりましたけれども定率法で行くか定額法で行くかということについて、若し今まで出されておつたような資産の再評価額がそのままであるならば、電力料金に直接非常に大きな影響を持つと私考えておりますので、しつこく聞いておるわけです。で、この二百五十億であるか、百億であるかという問題については、この前のその前の委員会であつたと思いますが、松永委員長代理から定額法といつて定率法といつても、大蔵省の税法上の問題を解釈して見るという大した違いはないというような御発言もあつておりました。それで定額法行つた場合と定率法行つた場合とに差がつくかつかないかという点について、中川さん御答弁願います。
  20. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつとそれに関連して………。  大体今、委員長が質問いたしておりますが、我々もただその一般新聞が雑然と伝えておる、或いは我々の入手し得る資料もすべて杜撰な資料において二百五十億、百億というものが伝えられて来たのでありまして、で事業者によりますと、定額法によつても一〇%或いは二〇%或いは三〇%くらい小さくなるということが言われまして、私たち自身も再評価の問題について、料金との関連において研究するのに非常に困つておる。  そこで過日の古池委員資産評価のいろいろなやり方、或いは償却のいろいろなやり方につきまして、公益委員会から資料を出されたいということを要求されておりましたが、私も具体的な数字について早く提出を願いたいということを要求いたしたのであります。併し今日までいずれもまだ御提出になつておりませんが、そういうものが果して研究せられないで、飽くまでもそういうような研究線外において、限度一ぱいそういう定率法という既成の観念によつて進められておるのかどうか、研究をせられておるのかどうか、その点を併せて答弁を願いたいと思います。
  21. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) お答え申上げます。  半月乃至一カ月ほど前であつたかと思いますが、当委員会電気事業固定資産減価償却計算基礎という印刷物を資料として御提出いたしております。この資料に基きますれば、仮りに再評価を一〇〇%といたしましても、再評価後の減価償却定率法でいたしますると、その年間の償却額は二百五十三億五千九百万円であるということは、同時に定額法法定年限を対象にして新しい償却を実施いたしますれば、百四億二千八百万円になるという資料提出いたしております。先般の委員会もこの御要求がありました点、即ち残存耐用年限のうちに定額法計算すればどうなるかという点が栗山委員からお尋ねがございまして、これについては現在各社につきまして実際の残存耐用年限調査中でございます。現在まで出ました関西電力の例から見ますると、定率法でいたします場合の額の約七五%程度になるようでございます。尤もこれは各社々々で違いますので、全部計算に当りましてから改めて資料を御提出いたしますが、残存耐用年限と申しまするのは、関西電力の場合でありますると、総合いたしまして、十四年半になつておりまして、この期間内に定額法償却いたしますれば、定率法償却いたしました場合の七五%になるという計数が出て参つておりまするが、各社分をいずれまとめまして御報告を申上げたいと思つております。従いまして定率法定額法かの問題につきましては、定率法残存耐用年限内に償却いたしますのが一番多いわけでございまして、いわゆる今までの法定年限によりまして、定額法で新らしく償却いたしまする場合の百億と申しますのは、理論的に申しますれば、完全償却とならないものでございまして、残存耐用年限内で完全償却定額法でいたします場合には、定率法定額法の間はいかようになりまするか、その間の数字になるわけでございまして、従いましていろいろの方式もございまするので、全般の算定基準を出します際には、原案通り定率法で行きますのが、再評価関係いたしまして一応定率法で今後もやるということが筋であるという意味から行きますと、新らしくできます設備との関係上、定率法のほうが料金安定上望ましいという意見もございまするし、逆に定額法であれば年々料金の引上が従つて出て来るというような点もございますので、大体において定率法のほうが理論的に望ましいのではないかという御意見によりまして、実際問題の処理につきましては、料金の正規の認可に際してこの方法決定されるものと存じます。算定基準といたしましては、いずれの方法にも法規的にはやり得るような余地を残して算定基準が公布いたされるわけでございます。従つて最終認可までの間には、この償却法につきましても計数的に資料を整えまして、委員会としても、そういうものを御検討の上最終的に決定が行われるものと存じております。
  22. 栗山良夫

    栗山良夫君 この償却の問題は、まだ我々の意見と完全に平行線でありまして、大いに意見を交えなければならん点でありますが、これは償却修繕費の問題とも密接に関係がありまするので、私は一応ここで償却の問題は一時保留をして参りまして、次へ移つて参りたいと存じます。  次に意見を申上げたい点は値上率解釈の問題であります。今日発表せられておりまする数字、いわゆる七割二分とか、七割五分とか言われておりまする数字は私いろいろわかりにくいものですから調査をいたしました結果、一言で申しますると、今度の二十六年度の需給計画によるところの販売電力量を想定いたしまして、それによつて現行の料金とそれから今値上げをしようとする料金とで計算をいたしまして、その原価の単価の比率を出しておられるようであります。ところがこれはただ単なる計算上の一つのアサンプシヨンに基く見通しの数字でありまして、私どもが本当に値上率として国民に公表をしなければならんものは、現在需用家が支払つておりまする料金と、それから今度新らしく値上げをいたしました料金とにおいて各消費者が負担する実際額がどれだけ出るかということでなければならんと思うのであります。そこでそのことが即ち各会社の実際の収入がどれだけの率で殖えるかということになるわけであります。その基本になりますものはやはり二十四年の十二月に料金改訂が行われましたときに火力料金の割当制が行われましたために非常にこの率のとり方があいまいになつてきておるのであります。即ち二十四年度の十二月以前におきましては火力料金も標準料金もないわけでありまして、総括原価を総販売電力量で割つてしますれば、一キロワツト一円七十九銭六厘一毛という数字が出たのであります。ところがその後二十四年、二十五年になりましてからは火力料金というものを一応はずしまして、標準料金だけで単価が計算せられておるのであります。ところが今度の各社計算を見ますると、これは全部火力も入つておるわけであります。従つて私は値上率のやはり基本になりまするものは標準料金であるとか、火力料金であるとか申しまして区分けをして値上率を定めるべきではないのでありまして、やはり標準料金も火力料金も全部突つ込みにいたしまして消費者が負担する料金がどれだけであるかということを出すべきであると思うのであります。特に火力料金の支払率等を見ましても、過去の実績で明らかになつておりまするように、定額需用家は勿論問題ではありませんが、従量電燈から小口、大口の電力に至りまするまでそれぞれやや比例をした超過電力を全部使つておるわけであります。追加使用をいたしておるわけであります。従つてこれが全部一律に需用家に、消費者に負担をせられるのでありますから、どうしてもそういう観点で値上をしなければならんと思うのであります。ところが私が提出された資料によつて計算をいたしますると、昭和二十五年度の総販売電力量と総収入から原価を出して見ますると、二円八十八銭ということになつておるのであります。それで二十四年の十二月以前のときには一円七十九銭でありまするから、従つて昭和二十四年十二月十三日の値上においては一・三二倍、標準料金で一・三二二倍であると言われたのが、実質におきましては一・五九倍であつたということであります。今度の料金値上において示されておりまする単価は、公益委員会から提出されました資料によつて見ますると、総販売電力量が二百八十一億五千九百五十一万キロワツト・アワー、これに対しまして、収入の予想が千三百五十一億六千四百四十七万円でありまするから、これで計算いたしますると、四円七十九銭ということになるのであります。従つて二十四年の十二月十三日のときの一円七十九銭をベースにいたしますると、二・七倍の値上りになるわけであります。この前と今度とで二・七倍になるわけであります。そこで前回の値上が一・六倍でありまするから、二・七倍から一・六倍を引きますと、今度の値上は一・一倍ということになるわけであります。従つて七三%とか何とかいう数字は消費者の立場に立つて計算をいたしますると、どうも少し過ちがあるような気がいたすのでありまして、この点は若し私の計算に間違いがありまするならば、非常に重要な問題でありまするから、公益委員会のほうからも忌憚なく御指摘を頂きたいと私は思うのであります。決して徒らに公益委員会にいろいろと非を立て意見を申述べようとは考えておりません。従つて私は飽くまでも公正な立場に立つて、そうして国民全部が納得しなければならん点において公表すべきであるとこう考えますので、今意見を申述べておる次第であります。私の申述べた点をよく研究せられまして、そうして値上率に対しましては消費者の立場に立つて、消費者の懐から実際に値上によつてどれだけ電燈料金と総支払額が殖えるかということを明らかに国民に公表して頂きたいということを申上げるわけであります。
  23. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 今の倍率の点につきましては、私ども栗山委員の言われました数字、即ち二十六年度の実績が二円八十八銭、値上案が四円七十九銭であつて、差額が一円九十銭上つている形でございまするが、現行の実績平均単価に対しまして値上倍率を各社が平均六倍とか七倍とか言つておるわけでございまして、大体今計算いたしますと、この一円九十銭くらいものは二十五年度の実績単価に対しまして七割弱になる数字かと思います。総額において……従つて七割と申しましたのは、二十五年度の実績に対しての値上倍率を各社が言つておるものでございますので、この点お含みおき願いたいと思います。なお実際の個々の需用家について値上率影響を見て、実際間違いのないような値上率算定すべきであるという点については、私どもも誠に同感でございまして、その点につきましては先ほどまで出ました案につきましては、現在の割当制を廃止いたしましてそれぞれの一定の料率を設けたのでございまして、現在の割当制の下で支払つておる需用家に対してここに非常な影響の差違が出て参りまして、従つて値上度合等を精密に計算いたします場合も相当の平均使用割合というようなものを基準にいたしまして、各社が大ざつぱな値上増収額を予定したもののように見受けられますので非常に供給方法が変りました場合には、的確な値上割合乃至増収額というものの認定は非常に困難でございまして、この点につきまして私ども各社の先ほどまで出ました案については、実際の増収額がどうなるかという点についての見当が非常に困難を感じておつたわけでございますが、一昨日申上げましたように、大口電力につきましては現在の割当制を大体維持するという建前の下に改めまして案を作ることになつておりまするので、今後に出ます案につきましては比較的従前との影響度合というものが平等になり、従つてその影響等も割合簡単に計算できようかと思います。さようの点は十分注意いたしまして実際の消費者に対する影響乃至収支計算におきまする見込違い等が出ませんように十分気を付けて行きたいと思います。
  24. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はなぜこのことを申上げるかと申します、この前大口産業の代表者が見えられたときに申上げたのでありますが、二十四年の十二月十三日の値上のときに、各社それぞれ反対せられたのでありますが、特に大口需用のほうでは割当がありましたためにアロケーシヨンの獲得に狂奔をせられまして、従つて単価の値上にかけるアロケーシヨンがいわゆる支出料金になるわけでありますが、標準料金の割当を獲得せられましたために、大口産業のほうは値上をしたときに全部値下になつたのが相当多いのであります。これは化学産業、繊維産業、金属工業、その他、北陸からデータが出ておりますが、そのデータを見ましても値下になつたところが多いのでございましてそれだけ値下になつているところを基にして二倍半になつたということを言つて非常に困つておられますが、これはこの前値下になつておるような企業もそういうことになるわけであります。だから一般需用家から見ますと、やはり二倍半ぐらい上るかも知れないのであります。ただ二十四年から一年半ばかり、今度値上が改訂になりますので何パーセントかの値上をする、すでに前に自分たちは負担して来た。今度は少し少いということに過ぎないわけであります。従つて私は今度の場合でも大口産業の諸君の努力によりましてアロケーシヨン、いわゆる豊水によるところのアロケーシヨンを大口産業に残すということを公益委員会決定されたようでありますが、こういうことになりますと、ますます私は小口の需用に対して圧迫が来ると思いますが、現に今朝の新聞を見ましても、東京電力では従量電燈で値を上げまして、アロケーシヨンによつて値を下げるということが新聞に数字として発表せられております。こういうことでは誠に国民が、電気の問題は非常にむずかしい、わかりにくいところのものであるという気持をそのまま残しまして、そうしていろいろ計算の架空の値下率がそのまま発表せられて、そうして知らない間に国民がこれを呑まざるを得ないということになりますと、甚だ以て公益委員会の看板にも関係すると思うのであります。従つて私はこの点を特に慎重にせられたいと思うのであります。今私が申上げました数字は、今出ました数字と相当桁を外れた数字でありまして、すでにここにも新聞社の諸君もたくさん来ておられますので、こういうことが紙上に発表せられ、私の申上げたことが若し誤りであつたということになりまするならば、私もその立場上非常に困るわけでありまするから、公益委員会としては、私が申上げました数字は、ものの考え方として間違いなかつたというような工合にあるのか、その点を一つ明らかにしておかれたいと思うのであります。もう一度申上げましようか計算の仕方を……。
  25. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 恐れ入りますが、お願いします。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が申上げましたのは、第一に昭和二十四年十二月十三日料金改訂前におけるところの一キロワツト当り単価は一円七十九銭六厘一毛であるということである。そうしてその料金改訂以後の実績を取らなければなりませんが、年間が必要でありますから、便宜上二十五年度を取ります。昭和二十五年度はあなたのほうから提出せられた資料によつて料金収入が八百七億六千六百七十二万円、販売電力量が二百八十億一千四百九十二万キロワツト・アワー、これで単価を計算いたしますると、二円八十八銭になるということであります。従つて値上の倍率は実際においては当時標準料金で一・三二二倍であると言われたのが一・五九倍であるということを指摘したわけであります。それから今度の値上につきましては、この前非公式にあなたのほうから頂きました資料によつて計算いたしますると、電燈電力の収入が一千三百五十一億六千四百四十七万円、それに対しまして販売電力量が二百八十一億五千九百五十一万キロワツトアワー、従いましてその単価を計算いたしますると四円七十九銭になる。従つてこの四円七十九銭と二十四年十二月十三日前の単価一円七十九銭との割合を取りますると、二・七倍になる、こういうことを申上げたわけであります。従つて二・七倍から、すでに去年上りました一・六倍を引きますると、今度の分が一・一倍になる、こういうことを申上げたわけであります。
  27. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 今の数字はいずれも誤りないようでございますが、ただお断わり申上げておきたいと思いますのは、先ほども申しましたように二十四年十二月の料金改訂はベース料金だけについて一割三分二厘というのを、当時物価庁が発表されておつたものでございますが、同時に超過して使つた分には火力料金を適用して、供給力のある限り石炭で供給するという条件がついておつたわけでございます。従つて当初から火力で或る程度供給せられることが予想せられておつたわけでございまして、これは火力発電費と料金収入とは相見合うという意味合におきまして、最初の原価計算から外れておりますけれども、実際の收入はそれに見合う料金支出なり、或いはそれに見合う経費の支出があることを予想しておつたわけであります。従つてその度合は実績とは違つたかも知れませんが、結果におきまして火力料金が入りまして、お話のありましたような二十五年度の実績が二円八十八銭というものになつたわけでございましてこれに対応しまして今まで出ました各社の案は約一割弱の値上率になつているのでございまして、栗山さんのように標準料金に基いて値上割合を御覧になれば、或いは一・一倍といいますかう一・一倍を上廻る数字かと思います。現在言われておりますのは飽くまで二十五年度の実収に対しての倍率であります。  それからもう一点でございますが、その前の料金改訂のときの値上げの度合と、今回の料金の値上げの影響等を見るべきであるという御意見がございました。この点につきましては御尤もでございまして、各社におきましても、原価計算は各部門別に原価計算をいたしまして、それに大体則つて各部門の割振りをきめるというふうになつているわけでございまして、前回の値上げに際しまして、原価構成上若干値上げの度合が加減せられるというのは、今回におきまして是正をされて出て参る筋合いでございます。理論的に申せばこういう意味で各部門の公平を失しないような意味におきまして、料金決定がなされるということになろうかと思います。その点もお含みおき願いたいと思います。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 只今の点は、いたずらに値上率を大きく宣伝しているからそういうことを申上げているのではないのであります。今度の料金改訂の中で大口産業のほうがあたかも二倍半に引上げになるというような宣伝をせられまして、そうして過去の実際に値上げのときに、値上げにならなかつた人たちもこれに同調をせられて、そうして国民全部に均霑して還元せられるべきところのアロケーシヨンの量を一部の大口産業だけで独占をせられる、こういう運動が起きておりますが、従つて私はそういうことは許すべきでないという前提に立つて申しているわけであります。従つて私は今申しました値上率の問題は、真実公平な消費者の支払うべき電気料金の実際額について計算をせらるべきであるという点、それから今日大口産業をいろいろ守らなければならない点はわかりますけれども、或る一つの理論を飛躍した点にまでこれを及ぼすということはよろしくない、こういう二点を感じておるわけでありまして、従つて松永委員長代理からこの点に対しましてのお考えを伺つておきたいと思います。
  29. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 大体におきまして今度の東京におきまする東京電力の六分何厘値上について、各種のその反響につきまして私どもも大口需用家又は一般家庭を代表する社会的の評論家などとお会いして御意見を聞いております。今栗山さんの言われたようなことについて、大口の値上りが過去の、過去と申しますか、試案となつておりまする東京電力のいわゆる倍額或いは倍額以上の値上げについて囂たる反対意見があります。そうしてそれが前の標準から適当に原価的に是正されているか否かについての論議は未だ承つておらんのであります。この点常に町に出まして化学工業者、例えば昭和肥料の永井君あたりの御意見を聞いてもいささか御議論にまだまだ考え余地があるのじやないかと思いまするし、又これについて東京電力のおかたの弁明もありまして、それも承わつて只今その過去のことから来たものを今日そういうことを是正するということが、一時に大きな皺が大口の化学工業さんなどに片寄つておるかのごとき、つまり無理な皺寄せをしたかのごとき感じを與えておることは実際でありますが、それはまだまだ考えて訂正すべき余地があるものと考えております。その辺について只今でも割当制度を存置して、それからそれに超過料金を持つて行くということの今回の出まする案についてよく検討して、今お話のような趣意に基いて事務当局は検討して行かれることと信じておりますが、まだ今日のところで十分な資料或いはきちんと届出が出ませんので、よく検討を加えたいと思つております。以上御返事申上げます。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 次に私はこの前松永委員長代理には御意見を申上げ、御賛成を得ておる渇水準備金制度とアロケーションの問題についてもう一度質しておきたいと思います。  この前の委員会におきまして、私の永年の希望でありまする非常に不安定な電力用の川の水の量を、年間において年次的に調整をいたしまするためにはどうしても渇水準備金制度を置かなければならない、そうして異常豊水のありましたときは、それによつて上げられた収入をば挙げて渇水準備金として社内保留をいたしまして、これには税金もかげない、又会社の収入にもしない、すべて需用家に還元をする、渇水期になりましたときに石炭に充てて還元する、こういう制度で行かなければならないということを力説いたしまして、私ども大蔵省当局と折衝いたしておりますが、公益委員会においても更に強く折衝願いたいという要望を申上げ、そうして御賛成を得たのであります。そうして私はその実現を期待しておつたのでありますが、今度は折角そういうことをおつしやつておりながら、すぐに今度の料金制度の更改におきまして、異常豊水が起きたときは、アロケーションを大口産業に向つてのみ操作をいたしまして、そうして大口産業料金を下げるようなことをお考えになつておる、決定になつているということは私は甚だ以て不愉快に存ずるわけであります。本気になつて渇水準備金制度を実行する心組でおられるのかどうかということは甚だ私は疑問を持つ次第で、今日異常豊水によるところの利益を国民全部に還元いたします方法は、この渇水準備金以外に道はございません。そのほかには道は断じてないと私は確信をいたしております。又異常豊水が参りましたときに、その迷惑を成るべく国民に及ぼさないためにもこれを置かなければならないと考えております。私は信念的なものを持つておるのでありますが、これに対して公益委員会がこの前御賛成を得たお言葉に若干私はゆるみが来ているように考えるのでありまして、この点を明らかにせられたいと思うのであります。
  31. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今栗山君の渇水準備金制度の実施に関して、その後大蔵省との間にどういう交渉があつて現在どういう過程になつておるか、中川経理部長から御説明を願います。
  32. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) 渇水準備金制度につきましては事務局でその後一つの試案を作りまして、事務局内で検討を続けております。別途その試案につきまして非公式に大蔵省と事務的な打合せを一回いたしております。なお事務局側でもいろいろその点につきまして改善を加うべき点があろうと存じまして、検討を更に続けておるところでございまして、決して渇水準備金制度をおろそかにしておるわけではございません。初めの予定通り是非実施いたしたいものと存じまして、進めておる次第でございます。  なお大口の電力の割当につきまして御意見がございましたのですが、渇水準備金と割当制度とは別段結付きのないものと私ども存じております。大口電力に割当制を存続する意向であるという点につきましては、各社提出いたされました今までの案でございますと、キロワツト当りの標準の使用料をとりまして、それ以上は一律に火力料金を適用するという結果になりましたので、同じ値上げ倍率でも需用家によりまして、或るものは標準料金だけで取り、特定の需用家については火力料金がたくさん入つて値上げ倍率が非常に高くなるというふうに需用者別に現状と非常に差違が生じますので、その点を幾分補正するという意味合におきまして、割当制度を骨子とした料金制度の現在の段階では望ましいのではないかという意味合で割当制度を存続したらどうか、こういう意見なつたのでありまして、そのために渇水準備金が要らないというものでは勿論ございませんので、別途の見地でその実現方について努力をいたしております。
  33. 栗山良夫

    栗山良夫君 私はもう一度念のために申しておきますが、今度の大口産業に対するアロケーションの操作が一つ間違いますと、この前と同じことを再び繰返すことになると思います。即ち値上げ値上げと言つておりながら、実際におきましては大口産業に対して値上げにならない、こういうことになると思うのであります。そうして而もそういう大口産業が国家的ないわゆる公共事業としての政策によつて運営されておればよろしいのでございますけれども、今日各社の業績を見ましても、収益率三〇%を下廻つておる、そういう産業はございません。中には一〇〇%越えておるような企業、二〇〇%の収益率を挙げているような企業があるわけで、従つて私は電気事業に対して非常にシヴイヤーな料金改訂ができないならば……、同時に私はそういう大口産業に対しても思うままなる経営を今暫く日本経済が再建するまでは遠慮を願わなければならぬと思うのであります。そういう意味からそういう所へ国民の多くの犠牲によつて低廉な電力を配給する必要は毛頭ないと私は考えるのであります。だからそういうことの絶対に起きないように御注意を願いたいと思うのであります。  次にこれに関連いたしましてこれは小さい局部的な問題でありますが、この前来指摘をいたしておりますように、今度の料金の値上げは全般的な傾向として見ますると、値上げの率の進み方は定額が一番安うございまして、その次に従量電燈それから五十キロワツト未満の小口、それから五百キロの中口と申しますか、それから三千キロと、その次に更に三千キロ以上の大口、こういうような工合にだんだん料金の値上げの率が高くなつておるのであります。これは原価計算から出た当然の結果であるのでありますが、北海道、九州だけは全然これと逆でありまして、定額或いは従量のほうにぐつと電力料の皺が来ているのであります。これは私は若干の経験もあるのでありますが、日本の電力事業というものはそんなに各ブロツクによつて差等のあるものではありません。若し九州において需用の密度が低いというのならば東北のあの五県下のほうがよほど低いわけであります。又電力の占める幅が広いと申しましても必ずしも九州だけが特異な現象ではないわけであります。従つてこういう工合に家庭用の電燈或いは中小企業等に対してそんなに大きな皺を寄せる理由はないと私は思うのであります。内容をよく克明に出しておりませんけれども、北海道と九州の業種別の電力量の割当についてるは、いささか納得をしかねておる点がありますので、公益委員会といたしましては、そういう点をお気付になつておるか、お気付になつておるといたしますならば、それを改める努力をせられるお考えがあるのかどうか、これを伺つて置きたいと思います。
  34. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 簡単にお答えをいたします。お話通りに前に出ました案について見ますと、尤も私個人としてもさようなことが感知せられたのであります。今回は如何ように訂正されておりますか、まだ新らしい提出等を拝見しませんけれども、でき得る限り地域量のそういう差は狭めなければならん問題と思うのであります。ただ御承知の通り九州もそうでありますが、殊に北海道のごとき状態は何と申しますかコンマーシヤル・ベースに立つて実に営業のしにくいような状態に新会社発足当時から追い込まれておるということは私どもバランス・シートを見ても直ぐ感じられるところであります。かくのごときところはその事情に即しましてできるだけ原価計算を最高度に持ち上げて消費者面との調和を図ると共に、やはり計算の成立つていない点も多少考えてやらなければならん事情もあるのではないかと思います。要するにその社の原価計算が、大体において力が足らんとか、その原因を持つておるところを俄かに頭を切るということは新会社の性格に鑑みましても非常に困難でありまするけれども、できるだけ各地の産業及び民政の立場からできるだけ鞘を寄せなければならんことは感じております。いろいろ新規に出ました上においてよく一考して見たいと思います。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 次に私は修繕費の問題に触れて行きたいと思います。修繕費のことは冒頭に企業合理化のときにも指摘いたしましたように、各社修繕費の率は大体その資本金の大きさなり、或いはその他会社規模のいろいろな全国的な比率において各社ともそれほど大きな差等はないようであります。ただ問題は私は絶対額の問題であると思うのであります。過日もここで首脳者の人々がおいでになりましたときに、一体修繕費というものはどれくらいが理想的であるのかという質問をいたしましたときに、私が再建設費の一%くらいでなければならんのではないか、一%乃至一・二%、そういたしますと、今日電気事業を再評価いたしますれば三千億円、再建設費をその三倍くらいにとりまして仮に一兆億円といたします。そうするとそれの一%でありますから或いは一・二%でありますから百二十億円くらいのところが適当ではないか、こういうことを申上げたのですが、大体各首脳者ともこれに御賛成があつたのであります。御賛成がありましたのに対して今度の修繕費はこの約倍額の二百五十億円が見込まれておるのであります。ここが非常に問題のところでありまして、先ほど松永委員長代理が力説されておりますように、電気事業の設備の完全管理の建前からいたしまして、償却を十二分にするということでありますならば、修繕費のごときはどうしてもこの理想的な幅を以て私は進まなければならんと思うのであります。特に修繕費というようなものは今度計上されたところを見ましてもここ数年のうちに全部下廻つてしもうものであります。数年先にはつきり電力料金をこれだけ減つただけ下げるというお約束を、若しこの修繕費に使用せられるならば私は国民に公約されなければならんと思うのであります。そこで私が何とかして突込んで参りたいことは修繕費内容でありますが、終戰後すでに連合軍の特別な御理解によつて特別修繕費という名目を以て過去の陳腐化した設備の改修を相当大幅にやつておるわけであります。そこでその資本化のごときは陳腐化の問題と関係があるのでありますが、特別修繕費として大幅な支出をいたしたのでありますから、もつとこの陳腐化の資産を高く見なければならんとも思うのでありまするが、同時に今度計上せられた原価に織込まれるところの修繕費についても余り水ぶくれしたところの額を織込むべきではないと考えるのであります。これは厳重にやらなければならるんと思うのであります。資本費、償却費に見合うような費用は全部これは切捨てなければならんと思うのであります。そこで特に私はそういうような御用意のあるかどうかということを抽象的に伺つておくのが第一点であります。それから第二点といたしましては、そういう観点から立ちまして、例えば電気事業の中で最も維持管理に難儀をいたしますところの配電線以下の施設のごときは、これはこの際修繕費でやることになつておるようでありますが、私の乏しい経験からいたしましても、例えば配電線において電柱の立換えを行う、これを修繕費で行うということになりますと償却は要らないと思うのであります。いわゆる電柱を立換えますればその線路は全部設備を更新してしもうわけであります、勿論引込みにおいて然り。その他においてもこういうような設備がありまして、発電所の中の水車を取換えるとか、或いはオイル・スイツチを取換えるというようなこととは全然意味が違うのであります。そういうような額がやはり修繕費の中に今度入つております。又特に注意しなければなりませんことはロスの軽減工事が非常に叫ばれております。これが予算化されておりますが、このロスの軽減工事というのは勿論配電線の入り込むところもありましようが、中には盗電の防止に対する施策もあります。そういうものは或る意味におきましては発電所の建設と同じに当るわけであります。五%ロスを軽減いたしますればそれだけ余力を生ずるのでありますから、発電所を作るのと全く同じであります。それに要するところの積算電力計であるとか、或いはその他の盗用防止の設備に対しましても全部修繕費で計上せられておるようであります。こういうものは私は修繕費に計上せられるのは根本的に考え方が誤りでありまして、建設費で出すべきであると考えるのであります。その金額も決して少くないと思うのであります。従つて私は今のような観点から立ちまして具体的に二、三の例を申上げましたが、今度予定せられておる修繕費の中から少くとも資本費、償却費に関係のあるような費用は思切つて切る、こういう御用意がありますかどうかを伺いたいと思うのであります。
  36. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今お話御尤もでございまして、前回にも多少申上げたかと思うのでありますが、前に各社から提出せられた案に、修繕費と称するものの中に多大の建設費を、例えば電柱立換費等が含まれていることも発見されましたし、又過去にたくさんな特別修繕費とか利用された例もありまするが、今回の原価に盛り込む場合に、戰争後の急激なる修繕と、一時その修繕を終つた今後の維持修繕というものとは、原価においてはつきり立てべきでありまして、特別な修繕というようなことを計画的に料金の中に盛り込むべきじるやないという思想に私どもは立つております。従いまして今度出ました案について、それらの点はよく検討しまして、修繕費が、固定資産に入れべきものが修繕費に回つてつて、而もそれに材料等の値上りを見込まれておるというようなことは反省を促し、合理化によつて成るべく料金にそういうものを織込まないように注意をしたいものと思つております。又そういうように事務当局も考えておると思います。詳しいことは中川君から説明いたします。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の問題はすでに各社から相当細かい具体的な修繕個所の内容等が指摘されて申請も出ているわけでありますから、中川経理長からでも、今松永委員長代理が総括的に、概念的に述べられた裏付けといたしまして、現在出されている申請書内容について、これとこれと、例えばこういう点については十分に考慮をしたいと、こういうような点が述べられまするならば述べて頂きたいと思うのであります。
  38. 中川哲郎

    説明員中川哲郎君) お話のございました修繕費の中に建設勘定を入れるのは不適当であるというお話は御尤もでございまして、私ども各社の申請内容についてまだ十分な審査は済んでおりませんけれども、さようなものは相当見当るのでございます。なおお話の中にございました配電線関係の取替の問題でございまするが、これは相当配電線の取替というのが手数のかかる関係上、修繕費支弁が税法上認められております。さような方法で実施している会社も現在ありまするが、かような場合には償却の対象からむしろ除外すべきでありますが、いずれにしても償却修繕費と、両方に勘定されるようなことがあつてはならないと、かように思いまして、さような点も厳重に調査するつもりであります。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 この点は私どもの経験からいたしましても、会社によつてその勘定のし方がまちまちのようであります。例えば私の知つている或る会社のごときは、電柱の取替工事におきましては新らしく出る材料は全部建設勘定でありまして、取り外しました勘定は全部建設費に戻すことになつております。修繕費に出します金は、ただ撤去工賃でありますとか、それから旧工賃というものを入れてあります。ところがそううようなやり方をしていないで、材料から全部込みにして修繕費に支出している会社もあるようであります。これは今度の原価計算の場合には余りにも修繕費原価が多いのでありますから、こういう場合には公益委員会としては責任を持つて、そういうような紊れた修繕費の勘定をしないように、厳重なる調査をお願いをいたしたいと思うのであります。  それから次に、私は石炭の問題を伺いたいのでありますが、これは実は前回委員会で私と見解を異にいたしまして、松永委員長代理ははつきりと自分の意思を述べられたのでありますから、ちよつと平行線になるわけでありますが、これも先ほどの問題と同じように、いわゆる定率定額のことと同じような工合に、委員長においてもう少し確かめておいて頂きたいと思うのであります。問題は私の申上げたいことは、会度の原価計算の中に石炭は六百五十万トンを織込む、こういうことになつておるのであります。ところが国内炭だけを以ていたしましては到底六百五十万トンの充足は困難である、安定本部もまだはつきりした御意思がない、こういうようなことであります。私どもは早く安定本部と公益事業委員会との話合いをつけられて、それをこの委員会報告せられたいということをお願いしておきましたが、まだ今日まで報告がないのであります。そこで私の意見としては、やはり電力を一キロワツトでも多く出さなければなりませんし、出すようにいたしたいという公益委員会のお考えはよくわかりますけれども、どうしても国内の石炭事情からいつて充足できないということがはつきりいたしまするならば、やはり充足し得る努力目標の最大限のところで私は料金化しておくべきではないか、こういうことを申上げておるのであります。これに対しまして松永委員長代理は、高くてもとにかく買うのだ、こういうことをおつしやつたのでありますが、それは輸入炭を意味しているかどうかまでは私は念を入れていなかつたのでありますが、そういう見解を私は持つているのであります。ここにやはり単価に相当響く問題がありますから、はつきりしておいて頂きたいと思うのであります。
  40. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) ものを地道に考えます場合に、六百五十万トンというできもしない、常識的に地道にできもしないものを織込んで、そうしてそれをやはり原価に加えて、而して事実やれない場合は妙なことになる、であるからその辺についてどういう考えを持つておるか、無理と思つてもやり通すつもりであり、且つそれを原価に盛り込ますもりかどうかということにお答えを集中すればよいと思いますので、この一点だけを申上げますと、安本なり或いは通産省、資源庁あたりの御意見を聞き、又石炭事業者の説を聞きましても、事実六百五十万トンは無理なように思います。従つて業者の中でも無理だということから各種の技術上の問題が提供されております。そこでここはむしろサービス本位に考えるか、或いはただそろばんずくで考えるかという問題になりますから、どうも今国家の要請は電力を是非出してくれという要請であります。割当につきましても、これは他言に亘りますけれども、実際三割近くのロスにもかかわらず関係方面あたりの見方は二割六分でいいはずだから、それを以て電力の発生の元として割当てをせいというようなどうも無理があるわけであります。けれどもこれは合理化によつて早く二割六分まで下げなければならんということを要請されておると思えば、業者に向つてやはりやれというのは、無理と知りながら国家のやはり至上命令上業者は受取らなければならんものと考えております。石炭もその通りであります。でありますから、業者が可能な範囲に見て計算を立直してできれば業者の仕事は楽でありますけれども、それでは国家の産業の根本の現段階ではどうしても無理をやらなければならん状態であることは、もう私どもよく世の中を見てわかつておりますがために、さうよな提案が業者から実は出ておりますけれども、殆んどそれは却下してやはり六百三十万トン、六百五十万トンという線を公益委員会は推持して下らないのであります。従いまして事実六百三十万トン出ない場合はどうするか、或いは将来どうするかということについて深く考えますると、止むを得ず重油を輸入してもやらなければならんと思つております。これは業者にとつて非常な迷惑なことでもありましよう。又火力発電所にはバーナーを取付けなければならんことは御承知の通りであります。今重油を焚くバーナーを持つた火力発電所は一つもありません。併しながらかくのごとき電力不足の状態、需用激増の状態におきましては、もはや電力委員会は場合によつてはバーナーの設備を業者に命令せなければならんかと思つております。これは或る意味において随分私企業を尊重せないという非難も起りましようけれども、又国家的見地に立つて止むを得ないことと思いますので、その点も技術部で目下研究いたしております。つまり輸入石油によつてもこれは果さなければならんというようなことが起りはせんかというようなことを研究しておりますような状態で、只今お話通りに大分ビジネス・ベースに立つと困難でありますけれども、さようなことは言つておれないものと思つて、安本に向つても通産省、資源庁に向つても、どうしても業者に向つて、業者と申しますのは石炭事業者に向つて是非これだけの石炭を協力して出してもらうように各省からも御協力を願いたい、御指示を願いたいということを各省のかたにお集まりを願つてつております。従つて公益委員会の態度としましては、やはり六百三十万トン乃至六百五十万トンの石炭は焚くものと思つて計算を立てております。これをどうぞ……。
  41. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今栗山君の質問に対して安定本部の産業局の電力課長の沢田君に、石炭の割当が果して六百五十万トンできるかできないかという問題について答弁を願います。
  42. 沢田達

    説明員(沢田達君) 電力課長でございます。只今の点について御答弁申上げます。大体石炭の二十六年度の生産の見通しを、最近四千五百万トン程度に想定いたしておりますが、これに伴う各産業の伸びを考えますると電気にせられるか、どこにせられるか。ともかく若干炭において不足を来たしはしないかというお見通しでございますが、今お話のように最も重要な電気にできる限り石炭を振り向けるべく只今検討いたしておる次第でございますが、電気の火力用炭だけについてという考えではなくて、炭の全体の需給について只今検討をいたしておる次第でございます。只今この程度しか答弁できないことを遺憾といたします。
  43. 栗山良夫

    栗山良夫君 実際にまだはつきりしないのでありますが、六百五十万トンを原価の中に織込みまして、実際に石炭を得られますのは五百万トンであるというような状況が出ましたときに、原価のほうでは六百五十万トンが入つておる、そういうような料金をとつておるというようなときには、公益委員会としてはその後始末はどういう工合になさるつもりでございますか。
  44. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 後始末は、まだそれは後始末の必要はなかろうと思つておりますが、先刻申上げたように六百五十万トンは是が非でも出してもらわなければ今の不足にはどうしても間に合いません。ですからこれが困難なりと見れば、どうしても重油の輸入を図るほかに、業者に命ずるよりほかにないと思います。併しバーナーがないのですかバーナーをいつ頃やるか、バーナーさえうまく行きますと仮に石炭が出ないでもその後始末は、公益事業としての任務は果せると思います。業者がすべてのことを怠り、石炭を当てにして、出ないからどうしても停電しますという場合は彼らは公共事業令第何条かによつて体刑又は罰金の処分を受るくことは当然法令の示すところで覚悟の上であろうと思います。そういう細かい意地の悪いことじやなく、どうしても石炭が出ないとなれば重油とか或いは外国炭の輸入ということをもはや計画する域にだんだん達しておるのじやないかと思うのであります。下手な後始末をして、日本国中御相談しただけでは何もなりませんから、それにならんようにしたい。料金の織込みは、無論そういうふうで消極的に今石炭を少くしているような考え方ではいよいよその危機を乗り切る意欲を損じますから、まあ激励というとおかしいのですが、激励いたしておる次第であります。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 次に私は合理化の一番重要でありまする電力の損失軽減の問題について二点ばかり伺いたいのであります。第一点は今度の申請書を見ますと、電力の損失軽減と申しますか、各社が予定をしておりますところの損失率というのは、各社の自由に任かされておるように私は見るのであります。併しこれだけ多額の修繕費を投入をいたしまして、そうして合理化によつて損失の軽減を図ろうということでありまするならば、公益事業委員会といたしましては各社の損失率軽減に対する努力目標を定めまして、そうして損失率を私は紐付きにしなければいけないじやないかと思うのであります。それくらいにしなければ到底損失率の軽減はむずかしいのではないか、こう考えるのでありますが、そういうお考えを是非とも実行して頂きたいと思うのであります。  それから第二点として、これは過日首脳者のかたがたにもお願いをしておきましたが、二百五十億の修繕費を若し実行するといたしまするならば、損失軽減の問題が中心でありまするから、従つてそういうような修繕用の器材を、六百億を使つてやります電源開発のための器材に更に加えて日本国内で入手するということは非常にむずかしくなりはしないか。電気に使うところの用品というものは極めて窓口の狭いものであります。電柱、銅或いはその他のセメント、その他の機械にいたしましても、これは非常に重要なものであつて、而も窓口の狭いものであります。そこで私は原材料並びに製品でありますところのワツト・アワー・メーター、リミツターその他のものを含めまして各社の必要とする数量、それから国内の生産能力、更に電気事業への優先確保し得るところの見込数量、そういうものを裏から検討いたしまして、そうして日本の今日持つておる経済力なり、或いは産業力を以て果して充足できるかどうか。曾つて戰争中に行いましたような物動計画的な計算を一度して見る必要がないかということを申上げまして、安蔵社長以下賛成せられて資料を頂くことになつておりますが、公益委員会といたしましても、二百五十億の修繕費内容検討をやられまする場合には只今修繕費的な経費が含まれておるかどうかということを検討せられますと同時に、裏からその修繕を実行いたしまするために資材的な裏付けというものが果してできるかどうか、この点をよく一つ検討をせられたいと思うのであります。曾つて昭和の中期において非常に景気のよかつたときに、電力事業は昭和の初年度における不景気によつて設備の減退いたしましたものを一挙にして挽回いたしまするために相当大幅の予算を組んだことがありますが、而もあの当時においてすら予算は組みましたならば無理は伴わずして予算が常に余り気味になつたことは私どものよく承知をしておるところであります。そこで理想的な修繕をいたしまして全額の面を低くしましても、資材がこれに伴わないときには当然金銭的な犠牲がそこに来るだけで、設備は一向によくもならんということになつて来るのであります。従いまして今申しましたように修繕費そのものについては、両面からの検討をせられたいということが第一点であります。それから損失率につきましては、ただ漠然と公益委員会各社から提出せられたものを認められるということでなくして、はつきりと紐付にいたしまして、そうして完全に実効が上るように指導せらたい。この二つを要求するわけであります。
  46. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今の御意見は尤もな御注意でありまして、ともに相当各社でも研究いたしておりますが、役所のほうでも大体資材そのほかについては一通り検討を加えて、資材面で溝があることはないかと思つております。それからこれは単に改修工事二百五十億ばかりではなく、更に火力そのほかの、或いは電気発動機等がどうなるか、又日本で困難な場合は或いはこれは輸入すべきかどうか、それらについても一通り今から考えだけは持たなければならんと思つて相当研究いたしておるつもりであります。詳しいことはまだ申上げるまでになつておりませんが、御注意をよく体しまして調査したいと思います。何しろ発電機などは近来海外の輸出が相当盛んになつております。これを単に無条件にメーカーの言うままを引受けて、そうしてなんぼ高くても日本品でやればいいというふうな安易な考えを持つわけにはいかんかと思つておりますから、場合によつては外資そのほかと睨み合せて、外国の機械を輸入して、日本の製造機械業者に相当な刺戟を与えることも電気事業対策のために必要かと思つております。この点について業者も勇敢に闘つてくれることと思つております。
  47. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ロス軽減の問題についての御答弁を願います。
  48. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) ロス軽減の問題は、只今も着々自分の在庫品そのほかでやり得るものはやつておりますが、これも資材等は差支えないことと信じております、
  49. 西田隆男

    委員長西田隆男君) ロス軽減は資材の問題でなくして、各業者の自発的な申請によるようなことでなくて、公益事業委員会として紐付にして何十パーセント、例えば二六%でロスの軽減をやることによつて総発生電力量を軽減せよと、そこまでは合理化をやれと、こういうふうな強い命令といいますか、示唆といいますか、そういうことをやられるのが適当だと思うがどうか、こういう栗山君の御質問ですから、そのつもりでお答えを願います。
  50. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) そういう御希望に向つて無論業者にそういう希望を強く述べて見たいと思うのでありますが、ただ標準化を今日どの程度までさせるかということは、手許の金融問題或いは資材の持ち合せ等でなかなか一挙に解決しにくいと思つております。相当又準備も要ると思つております。御希望のような点もだんだん整理しまして或いは内達指令、或いは業者会議を開いて相当指示を与えたいと思つております、
  51. 栗山良夫

    栗山良夫君 私の意見はこれで終りたいと思いますが、ただ委員長にその前にお願いをしておきたいのは、今いろいろと意見を述べまして、そうして公益事業委員会として御答弁を願た点につきましては、どの程度確実に実行せられるかどうかは、当委員会としても極めて関心を持たなければならん問題であろうと思いまするから、従いまして閉会中ではありますけれども、今後委員長において機を逸せず公益委員会と密接な連絡をとられまして、そうして資料の提供或いは整理等をせられて、委員会を開会せられ、そうしてその実行が我々の意に副うように向かいまするように努力せられたいと思うのであります。これは委員長にお願いを申上げます。  それから第二点としては、今伺いましたところを大体要約いたしますると、私の受けました印象では償却の問題は先ず最初お考えになつておりました点とそう大した変化はない。それから石炭の問題も所信を堅持せられております。それから修繕費の問題がまだ不明確でありますが、これが仮に半分に減るといたしましても、今まで公表せられました値上率というものは決して大幅には減らないように私は感じがするのでありますが、今後事業者がいろいろ、只今ども意見を申上げましたるような具体的な内容につきまして、或いは公益委員会が独自に指導せられた内容について、或いは聴聞会等から出るところの意見を参酌せられて、そうして申請書が修正されて参ります場合に、どの程度の率のところまで、今まで述べられたところの値上率が引下げられるものでありましようか、その辺のお見通しがわかりましたならば述べて頂きたいと思います。
  52. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今はつきりした見通しを申上げかねます。その点少し時間を与えて頂きます。
  53. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君から委員長に対して種々要望がありました。極めて重要な問題でありますので、委員長といたしましてできるだけ公益事業委員会側と連絡をとりまして、その意のあるところの実現方に努力したいと考えております。他に御発言ありませんか。
  54. 古池信三

    ○古池信三君 私もいろいろお尋ねをしたいことがあつたのでありまするが、只今まで同僚議員から種々詳細な質疑がありましたので、簡単に一つだけお尋ねをいたして置きたいのであります。それは原価償却費の問題についてでありまするが、原価償却の問題がなぜやかましく世間において言われておるかと言いまするに、それは申すまでもなく今回の電気料金改訂に関しまして、料金原価のうちにおいて原価償却費が非常に大きな部分を占めておるということから来ておるのであろうと私は信ずるのであります。従いまして飽くまでこの原価償却費の計算の出し方、又その理論的な根拠等については、公益事業委員会としては十分に誠意を以て世間の納得し得るように説明をせられる必要が私はあろうかと思うのであります。今まで伺つておりまするところによりますると、その点が甚だ不明確であります。而も計算の結果から見ますると、例えば定率法で行けば二百五十億、これを定額法にして出せば百億、それだけでもう百五十億という大きな金額の違いが出て来るのであもます。而もその辺がまだ極めて明瞭にされておらないという点について私は甚だ遺憾に考えるものでありまして、この際少しばかりお尋ねをいたして見たいと思うのであります。  先ほど松永公益委員長代理お話の中に、定額法は不完全であるというようなお言葉があつたように存ずるのでありますが、果して定額法は不完全であるかどうか、不完全であるとすれば如何なる根拠からこれが不完全であるか、又定率法は如何なる根拠からこれが完全なものであるかということについての先ず理論的な根拠をお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  55. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 実はそういうむしろ学問的の問題では古池さんの御意見を聞きまして御尤もと思う点は御尤もと申上げます。どうも違えば違うと申上げたいと思いますが、生徒にえらい課題をお出し下さつたような状態でありますが、先刻来も申しておりましたように、大体長い間この償却を怠り、又償却を余計にすれば税金をとられるというような形で、如何にも財産の評価は陳腐化されたものも或いは耐用年数が殆んど運命が近付いたものも、共に一定の価格を以て見積られたようなことになつております。その再評価法というものが出て、これに一つ基準を与えておられますが、これも又その内容計算は、一度も二度も大蔵当局の内部においてし替えられております。つまり先刻中川君が申しましたように、旧来の定額法と、その後定額法を耐用年数の過去の部分の陳腐化を思切つて引去つた定額と、それから現在のように再評価されたものを定率にするとの差はよほど接近して参つております。中川君はそれを七割五分に接近したという表現をされましたが、そのことがはつきりそうであるかどうかは私まだ計算に当つて見ておりませんが、要するに大蔵当局は、再評価法というものがむしろ圧縮し過ぎた、そこでこれを定額で完全にやつて償却というものは非常にまずくなる、まずくなつてもそれ以上やれば業者は税金をとられるからやはりまずくやるだろう、そうすると、国民財産というものの償却はよくないという立場で反省されて、今の定率定額を名前は定額としておりながら、事実定率に近いものをその後算出されたものだろうと思つております。かくのごとく一方では法律で再評価をきめ、その償却をきめておりながら、一方では電気事業のごとく未だ再編成するまでは再評価を許さんといつている。然るに税金は殆んど再評価を標準とした固定資産税というものをちやんとかけておる。そうして償却は不合理であるという一方においては見地を述べておられる。これはいろんな経理の雑誌を見ましても、或いは大蔵省あたりの官吏の論文などを見ましても、自分で、そういうことは個人の意見でありましようけれども、表明されておる。私どもやはりその通り考えるのであります。で業者が今日まだ再評価をできずにおりますけれども、五月一日の再編成はできたのでありますから、業者は直ちに五月一日を期して再評価法によつて評価をきめべきであるのであります。これは要するに再評価法によつていろいろやりますけれども、再評価する実質はどうかというと、業者みずからが耐用年数を引き或いは陳腐化資産を引いて、適当に自分で公正なものを早く届出でねばならんわけであります。これが完全償却をする……定率であると定額であるとは別としまして、完全償却をする対象の固定資産額になるのであります。又その再評価することは同時にやはり再評価税を拭わんならんのであります。でかくのごとく対象を早くきめべきでありますが、五月一日の出発のときにまだこれをきめないで、それで現在あの人たちが四月十七日の資産に出した再評価は、再評価法による再評価であつたのであります。これが定率でやりますと二百五十億になるのであります。併しながら今申したような意味において陳腐化を十分に差引き、そうしてそれを大蔵省のいわゆる定率に近い償却法にやればどうなるか。或いは公益委員会但書によつて認めた定率というものを応用された場合、これは又先刻お話がありましたように公益委員会算定基準はきめましたけれども、これを料金問題に織込んでどうするという公益委員会決議はまだしておりません。いずれになるにしましても定率になると仮定しますれば、この再評価された各社の再評価されたものそのものの陳腐化がどうなつておるか、どの程度まで圧縮されておるものであるか、その圧縮の程度が極端にひどければこれは償却を十分せんならん、又そうでなかつたらば償却のできるだけ消費者に種々迷惑がかかりますので、未だその点について各社にその資産の再評価の具体化でありまする資産の届出が今日あたりは大体出ると思う。今朝ちよつと関西から出たのを一瞥してこちらに参りましたから数字を覚えておりませんが、相当この再評価についても検討を加えておるようであります。だんだん出たものにつきまして再検討しまして、それで当委員会或いは議会等に向つて資料を提供して御意見を伺うことにいたします。
  56. 古池信三

    ○古池信三君 再評価そのものについても、或いは又減価償却方法等についても、十分に料金決定までには考慮を加えて斟酌して行きたいというお話は結構なことでありまして、是非そうやつて頂きたいと思うのであります。只今お話の中に、設備の陳腐化しておるものが相当あるから、これは当然減価償却の場合に差引いて考えるというお話も無論結構な話で、むしろ今までさようなことが考えられておらなかつたとするならば、今までの考え方がやや私は間違つてつたのではないか、かように考えるのであります。  それからもう一つ税金の問題がお話に出ましたが、これは多少私の思い過ぎ、或いは聞取り間違いかも知れませんけれども、大蔵省で未だ電気事業が再編成をしない前に、すでに再編成した資産としてこれに相応する固定資産税をとることになつた、それでどうしてもそれだけの固定資産税を余計に納めねばならないから、今回の減価償却費は定率法をとつてそれだけ金を活かさなければならんというようなことでもあるのでありましようか、どうでしようか。この辺を率直に伺いたい。
  57. 平井寛一郎

    説明員(平井寛一郎君) その点について直接関係はございません。
  58. 古池信三

    ○古池信三君 わかりました。それから非常に定額法定率法かという問題はむずかしいと思うのでありまするが、従来電気料金認可制度になりまして以来、すでに二十年近くを経過しておると思うのであります。その間の料金認可やり方について見まするときには、減価償却方法は私の了解しておりまするところでは、常に定額法で行つてつたように思うのであります。而もその定額法たるや、特に各発電、送電、配電の設備に分けまして、耐用年限、残骸価格を推定することは勿論でありますが、需用者に対する償却費の負担を均等、公平ならしむるために、複利計算によつて各年均分するようなやり方をとつておられたように私は考えておるのであります。従来長くそういうふうな、特に複利法まで考えて、できるだけ需用者の利益を図ろうという意味合いを以てなされたのに、今回この定率法を以てやられるといいまするのは、定率法で行きますれば、最初の年度は比較的償却費が多くて、年数を経るに従つて少くなつて行くものと私了解いたすものでありまるするが、これを現在の我が国の経済の実情に鑑みまするときには、我が国も三年、五年或いは十年とたてばいよいよ充実されて来るのでありますから、そのときになつて比較的多額の償却費を負担する力は出て来ると思う。今年、来年あたり非常に苦しい最中に定率法によつて、均分以上の償却費を負担せねばならないというところにいろんな議論があるのではないかと思うのであります。その辺のところを十分一つ御考慮を願いたい。先ほどのお話では、当初私どもが聞いておりました額に比べますると、定率法によりましても相当減つて来る。要するに修正定率法というようなものでありましようか、七割半くらいには減るだろうというお話でありましたが、これは更に若しも定率法で押し通して行くとするならば実際面においてもつともつと深く一つ項目について掘下げられまして、この七割半を或いは五割に、或いは三割というようにして、実際上においては定額法と余り大差のないようにされまするならば、これによつて世間の反対というものも非常に私は多く緩和されるのではないか、かように思うのであります。その辺のところは十分に一つ研究、御考慮を願いたいと、かように考えます。  次に私は前回にお示しになつ料金算定基準、これについて申上げたいんでありまするが、これはすでに聴聞会を経て、その上において修正されたものと伺つたのであります。ただその際に従来の原案と今回の聴聞会の結果修正された点と、その違いがどこにあるかということをお尋ねしたのに対して、先ず第一条が新たに設けられた。これは即ち電気料金算定するには、電気事業の健全な発達を図ると共に、電気使用者利益を確保することを本旨としなければならん。料金算定基準の目的と申しますか、その本旨が明らかにされたのでありまして、これは従来の原案に優ること私は相当なものがあると、かように考えます。併しながらこれは又一面から考えまするならば、当然のことをただ表現したに過ぎないのであつて、従来の原案と称せられるものにおいても、成文にはなつていないとしても、その底には必ずかようなことは考えられておつたに違いないのであります。それをただここに文句に表わされたというふうに私は考えるのであります。かような根本の本旨なくして料金算定基準ができ上るはずはないのでありまして、この点は例えて言えば、人間は生活する上においては空気を必要とするということをここにはつきりと言葉の上に表わしたと同様なことであろうと私は思うのであります。従つて成文化されたということは結構でありますけれども、そのために、この料金算定基準が根本的に変えられたものとは私は考えないのであります。そのほかは二点ばかり御説明がありましたが、いずれもどちらかと申せば字句の修正に過ぎないようなふうに私はとつたのであります。ところで承わりますと、聴聞会の席上においては、官庁関係、民間利害関係者、合せて三十数名の公述人からそれぞれ活溌なる意見の開陳があつたと承わつておるのでありまするが、それにしては料金算定基準の修正が余りにも少かつたのではないかという気がいたすのであります。私は聴聞会に出席しておりませんでしたから詳しい内容は知る由もありませんが、若しも聴聞会を開いて本当に関係者の意見を虚心坦懐に聞こうというのであれば、もつとこの算定基準に対しても大幅な修正がなされるべきではないだろうかというように私は考えるものであります。これが若しも世上に噂されておりまするように、公益事業委員会のかたがたが、勿論各方面に亘つて練達堪能なるおかたでありまするけれども、世間の議論というものはこれは一つの俗論に過ぎないというようなお考えで、あえてかような世上の輿論に対して耳を塞がれるというようなことが若し万一にもあるといたしまするならば、私はそれは決してとらないのである。そういう態度で今後もお進みになるとすれば、私は飽くまでこれは反対せざるを得ないと思います。又一面からいつて公益事業委員会のためにもこれは決してとるべきものではないのである。飽くまで国民の輿論を率直に聞き、国民の意のあるところを察して行政をやられるのが、初めて公益事業委員会の真価を発揮されるゆえんであると私は常々考えているのであります。そこで只今申上げましたように、この料金算定基準はすでに十六日に決定されて、規則として公布されたものでありまするから、これを今更私はとやかく言うのではありませんが、それを決定されるに至る経過において、折角聴聞会を開いて、而も公共事業令によつて義務付けられている問題であります。殊に従来我が日本の国においては、かような規則の制定の前に聴聞会を開くというような制度はなかつたのであつて、全く新らしい途が開かれたのであります。そういう新らしい制度を本当に誠たに且つ公正に活用されているのかどうかという点を私はここにお尋ねをいたしたいのであります。
  59. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今算定基準について公聴会を聞いたについて、前の公聴会にお示しした案についてかなり活溌なる論議が展開されて、公益委員会はそれを十分に承知し、検討してきめたことと思うけれども条文の上に十六日現われておるところを見ると大した変更がないように思う。然らば一向聞かなかつたも同然じやないかというようなことについて、公益事業委員会は将来は、今回はともかく、将来もあることであるからもう少し公聴会意見は尊重し、十分に取入るべきじやないかということにつきましては、将来といえどもこの公益委員会方式及び行政のやり方公聴会を待つて決定をして行くという大体の雄前になつておりまするについては、公聴会の論議を尊重して行きますということは、将来非常に注意すべきことであることは誠に御同感であります。ただ今回は公聴会を開きながら何ら反省しなかつたじやないかということにつきましては、かれこれ理窟を申述べて、それからそれが議論の枝葉に亘ることも避けたいと考えまするが、大体公聴会の両方の、賛否両論をよく質しましたけれども結論として原価主義は少し無理じやないかという議論と、やはり原価主義をやつて行かなければ電気事業は発達しない。発達しなければ需用家、即ち大きく言うと国民の利益を確保するゆえんじやないか。原価主義こそ再編成された後の九会社の営業の行き方である。それですべての帳簿もそれによつてつけて行つて、これから帳簿の混淆のないように、料金を上げたいというならば料金を上げるがいい。併し原価主義が確定すれば将来下げなければならない場合が来れば、又下げなければならんという原則を大体に原価主義によつてきめるということがいいか悪いか。それからいま一つは、まあそれはそうだろうけれども、今の時勢はそうは行かん。暫らく原価主義を棚上げしてくれんかという御希望が幾らか各官庁からも出たようであります。これも御尤もでありまするけれども、普通の産業でありますると、さようなことが今日間違つても取消しが明日できるということもありまするけれども、この前の、こちらに出て多少長く陳述しましたように、どうしてもこれほど供給が落込み、需用に追われ、電気が荒廃しておる状態におきまして、これを建直す精神はやはりまじめな企業を何とか、そうして公平な企業である、公平ということは、要するに料金を割振るときにそれぞれその受取る人が原価に即して受取るのであるということだけははつきりきめておかないと、常にそのときの社会情勢により、或いはそのときの問題に徒らに動かされて、そうして電気事業を折角発達さすべき根抵にあるものがややともすると、それが中途半端なことになりやすいということを感じまして、やはり公聴会の大体を想察して現在の原価主義というものをこれを厳守する。併しながらこの応用に当つてできるだけ電気事業の発達、或いは民生の幸福を睨み合せて間違いのない運用をせなければならん。原価計算というものもその本旨によつてできたものであるという一カ条を加えまして、将来の応用に当りましては、例えば今度料金の値上問題が各社から出ますれば、再び公聴会を開いてこの応用されたものについての可否につきましては皆利害関係者の意見も聞き、又無論皆さんがたの御意見も尊重し、これによつて適当に基準案を物差といたしまして、そうして物をきめて行かなければならん立場におりますから、将来とも公聴会を決して聞かなかつた公聴会の多数の意見であればその通りにともかくきめて行くという態度でなく、やはり大体決して独善に陥らんように、皆さん意見を取入れて、この応用に当つても又公聴会を開いて世論を聞いて行くつもりでおります。
  60. 古池信三

    ○古池信三君 それでは最後に只今の点につきましてもう少しお話を申上げたいのでありまするが、電気料金原価主義で行くべしということについては私は条件がありますけれども、大体においてその点について反対をするのではありません。従来長い間電気料金はやはり原価主義によつて計算されておつたということも承知しております。併しこれには私は大きなやはり条件が付かなくちやならんと思うのであります。その原価を構成する内容については、もう十分に徹底的なメスを入れて検討して行かなければならない。不合理な原価というものはこれは需用家は一文たりとも私は負担する義務はないとかように考えます。その点が先ほどからいろいろ同僚議員からも意見があつたと思うのでありますが、原価主義で行くということを原則にいたしまするならば、その内容については、これは全くガラス張の中で徹底的な国民の監視と批判の下にやらるべきであると、かように私は考えます。それからもう一つは、仮にこの原価主義で行くというにいたしましても、それは飽くまで原則であつて、常に平常なる国民の経済状態というものを前提として私は言われる問題であつて国民経済が極めて非常な状態を呈しております場合に、電気だけが完全なる理想的な原価主義で行くというところに今回の料金改訂についての批判が起つておるのではないかということを私は考えるのであります。我が国はまだ終戰以来国民の経済が到底平常な状態に到達するにはほど遠い現在であるということは申上げるまでもないのであります。その際に電気料金だけが比較的理論的な原価主義で行こうというところに私は相当無理があるのではないかと、かように考えるのであります。従つて原価主義そのものは理論としては肯定いたすといたしましても、これを実際現実の面に適用する場合にはよほど大きな斟酌をせなければならない、このことを私は申上げたいのであります。今まで縷々お話がございました電気事業内容を堅実に発達させなければならないことは勿論私もよくわかります。わかりますけれども電気事情の健全な発達のほうにばかり目が向いて、消費者たる国民の生活の上における影響ということに目が塞がれておるようなことがあるとするならば、これは私はさようなことは万々ないと存じますけれども、若し公益事業委員会のかたがたにさような点が若し無意識のうちにあるとするならば、これはよほど私は考えて頂かなくちやならん。そのことをさつきから申上げておるような次第であります。いずれこの料金の具体的な決定の前には、更に各個所において聴聞会が開かれる予定と聞いておりまするが、又それはこの公共事業令にもはつきり定められていることでありまするが、その際には飽くまでも公益事業委員会としては、極めて虚心を以て輿論をお聞きになつて、いわゆる独断に陥るような誹りを飽くまで避けて行かれる、そうしてそれが即ち公益事業委員として、その職務を誠実且つ公正に遂行するゆえんであろうと私は思うのであります。御承知のように公共事業令の第十三条において、公益事業委員のかたは、日本国憲法を支持し、及びこの政令によつて課せられた職務を誠実且つ公正に遂行することを宣誓されたのであります。ただ公聴会意見というものは、単にお座なりに聞いている、飽くまで自分たちの初志を貫徹するという立場を若しも仮にとられたとするならば、それは委員の職務を誠実且つ公正に遂行されるものではないと私は断言して憚らないのであります。済んだことは一応止むを得ないといたしましても、すぐ間近に迫つておりまする聴聞会の国民の輿論というものは十分に一つ極めて誠実にお聞取りを願つて、そうしてこの料金算定基準に掲げられた通りに、需用者の利益を飽くまでも確保する、勿論一面においては電気事業の健全な発達を図ることも必要でありましようが、決してそればかりにとらわれないで、国民全般の利益を十分に確保するということを常に念頭に置いてやつて頂きたいということを私は強く要望いたしまして、一応この質問は打切ります。
  61. 栗山良夫

    栗山良夫君 私先ほどの意見の中で、一つ今まであまりこの委員会で話題にならなかつた点で落しております点がありますから補足をいたしておきたいと思います。これは従来今までも随分問題になつた点でありますが、只今地方税として電気料金に課税をされているのであります。これは一割課税をされているわけであります。標準課税率一割であります。そこで今まで料金が上るたびに便乗的に地方税が殖えております。地方公共団体の理事者は非常によろしいわけでありまするから、大体黙つているわけであります。ところがそういうことは甚だ以て不穏当でありまするので、電気料金に課税をすることでなくして、電気の使用料に対して適当な課税をすべきではないかということが力説されて来たのであります。これは今日まで一向改善をされておりません。今度七割も若しあなたがたのお考え通りに引上げられるということになつたといたしましたならば、これに便乗されて税金が七割上るわけです。即ち使用料金の一割でありますから、今までよりも七割、千三百億円の電気料金に対して一割の課税でありますから、百三十五億円の地方税が増徴されるということになるのであります。これは非常に由々しいことでありますから、従いまして公益委員会といたしましては、電気料金の引上げに便乗して行わんとする地方税の増徴に対しては、これは是非とも食いとめなければならんと私ども考えますが、どういう具体的なお考えを持つておいでになるか、これを一つ伺いたい。
  62. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) これにつきましてまだ十分研究しておりませんのでお答えはできませんし、地方の問題として、地方では相当そういうことをお扱いになつている所もあるやに聞いております。困つた問題だと考えております。のみならず最近二、三の県によつて、連名で公益委員会に申出が参つておりますのは、水利使用料の増額であります。この水利使用料の増額も県にとつては無理もないことであります。一面には固定税そのほかの増額もあり、更に只今のような便乗もありとして、更に水利使用料の増額ということになりますと、結局原価計算であとはフエアー・レターンであるということになると、それは需用家に原価が織込まれるのであります。従つて料金をそう上げ得ないということになると、フエアー・レターンが壊れてしまう、その点電気事業者は資金を獲得する途を失なうような妙な羽目になりますので、この地方の税金の増加或いは再評価税等につきましては、国民の負担する原価計算から還元して来ますこの負担の増加の上に、更にさようなものが原価に織込まれるということについては大蔵当局なり、例えば再評価税百分の六ですか、さようなものについては延期払い、或いはそれを資産の中に加えて、費用の中に加えんようにするかどうか、或いは大蔵省はそれを延期してくれるかどうか、それから地方税のはね上りについても、これを原価に加えることは非常に困難でありますから、これは何とか地方で御再考して頂くかどうか、いろいろそういう問題は今後頻繁に起つて来ると思つておりますが、この点について十分な成案を持ち、或いはこうすればこうという考えは末だ熟しておりませんが、併しこういう問題が必ず起ることは予期されるのでありまして、皆さんにおきましても原価主義が仮に当然のことだとすれば、それに便乗する各種のことについては、一通り御考慮を願いたいと思つております。
  63. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題につきましては、地方公共団体が意思さえありますならば、標準税率でありますから、必ずしもこれに拘束されるわけではないのでありまして、実際の徴収はそこまでとらなくてもいいわけであります。ところがなかなかそうは地方財源の枯渇しているときでありますから、うまく参らないのでありまして、公益委員会がこれは責任を以て一つ大蔵当局に対して、今度の値上に便乗して地方税が増徴されないように交渉願いたいと思うのであります。この渇水準備金制度と合せて一つお願いしたいと思います。  それから当委員会といたしましても、これは正式にやはり大蔵当局に対して申入れをする必要があろうかと存じますが、この点もあとで委員諸君にお諮りを一つして頂きたいと思います。
  64. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 栗山君のさつきの発言の中に、地方税が百三十五億という数字の御発表がありましたが、免税等によつて必ずしも百三十五億とはきまつてないように考えられますので、あとでお調べになつた上で速記録を適当に御訂正になつて……
  65. 栗山良夫

    栗山良夫君 先ほど私はちよつと軽率な発言をいたしましたが、今度の料金改訂の総収入が千三百五十億に予定されております。免税等を考えないと百三十五億、そして今度の引上げの増収を予定されておりますのが五百億ちよつと越すわけでありますから、五十余億ということになるわけでありましよう。併し免税がありますので正確な数字は今申上げましたよりももつと下廻ることは事実であります。それから地方税の税率は私標準税率であると思つておりましたところが、そうでなくて固定されているそうでありますから、この点は一割間違いなしに取られるということになりますから、両方とも合せて訂正をいたしておきたいと思います。
  66. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今の栗山君の質問に関連してでありますが、私は栗山君の御意見反対でありまして、明年四月一日から新たに発足いたしまする附加価値税及び今後再評価されたるその後の固定資産税並びに只今電気税等は、地方税におきましては、地方公共団体においては相当増額される、増徴されると思うのであります。そこで地方公共団体並びにその住民の立場から見ますれば、そうした結果によつて増徴されたるものは、他の標準課税による他の地方税において軽減措置をとるべきということをむしろ政府が地方公共団体、即ち地方財政委員会等にいうべきであつて、こうしたことを逆に大蔵省にとらないように、減額の処置をとるということはいささかどうかと思うわけであります。この点につきまして公益委員会としてはどういう態度をとられるか、一応伺つておきたい。
  67. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) まだ的確な考えを持つておりません、いずれ調べまして……。
  68. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それから一、二点お伺いしたいのは、電源帰属は、帰属替はやられるともやられないとも委員会で言つていられるようでありますが、現在の各社算定されておるものに準拠して、公益委員会が新らしい料金を裁定する場合に、この帰属の問題につきましてはどういう考えを持つておられるか、一応伺つておきたい。帰属替の問題についても……。
  69. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 帰属の問題につきましては考え方を二つに持つて頂きますといいと思います。一つの問題は、電気事業会が発布されましたときに、各会社の自分で持ち得る既発電所というものを確定したのであります。でこの確定したものにつきまして河川の統一を妨げることに関しましては、河川の利用並びに将来の開発を国家的見地から考えて帰属はきまつてつても、なお且つ将来の開発のためには七の帰属の一部を動かしてもらいたいということの御相談をいたして、而うしてこれを御承知下さらなければ、四ヵ月後に、それを申上げた後四カ月後に公益委員会決定をいたしまして、これも公聴会そのほかを開いて後四カ月にして只今つておる帰属を変更し得る公益事業規程がございまして、その規程に基いて帰属を将来に替えべきものは目下申上げております。それから次に申上げたいのは、まだ発電しませんでおつて、すぐに見返資金の紐付となつたりしておつて、直ちに工事にかかるべきものが、これは帰属未定であります。これにつきましては、第一に申上げたように、河川の利用率及びその地方の需給のバランスを考えまして、帰属を同一河川統一主義によつて、旧河川を持つた人に成るべく持たす、そうしてでき上つた電力はその地区の、例ば北陸なら北陸の地区の電力のバランスが足らない方面に向つては、公益委員会で中に立ちまして、その電力の配給を相談する、これをほぼ御承諾を得て初めて新規工事に着手することを許すという方針をとつて、目下例えば北陸の成手のごとき、或いは中部木曾川地区における丸山地点のごとき、大体そういう方針で目下きまつております。それから将来開発すべき地点については、帰属は未定でありますけれども、これは河川の利用を主として将来帰属をきめて行きたいと思いまするが、同時に、その需用地における状態或いは経済状態を顧慮しまして、帰属はどこでありましても、その電力の利用については、公益委員会が調停を図るつもりでおります。帰属問題については大体そういうように……。
  70. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 そこで第一段の場合について、今回各社がそれぞれ或いは修繕費をかけ或いは償却をし或いはこれに伴う補足建設をするといつたような、こういう原価主義に料率を盛られたような場合に、その発電基地帰属替が一年先或いは三年先に起つた場合に、こうした措置をとつたものがその会社の料率にどういう工合な影響を来たすという問題に関連して、これらの帰属替を受けた所が、その融通電力料金というものが大体どういうような状態になるのか、或いはそれを販売してその会社経営上、人件費なり、施設なり、或いはロスなりのような点から見て新らしく又料率を、高い料率を算定しなければならんような結果が起きるようなことがあるのかどうか。
  71. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) お話につきましてお答え申上げます。二つに分けてお考えを願つていいと思うのです。この各地域間の融通につきましては、旧来の融通の実績に徴して、そして融通契約をいたしまするかなれど、今度一般に水力についても火力についても原価主義が利用されます場合に、応用されます場合に、この融通契約料金についても同じ算定率が或る日から始まるものであるというふうに考えて、それぞれその処置をとることを事務局では考慮し或いは準備いたしております。  それから第一にお尋ねになりました現在すでに公益委員会で旧来の仕事を変更せよと命じておる、それが一向きまらないでおれば、その原価計算とうものは幾らか不合理になりはしないかというお尋ねに対しては、大体そういう帰属問題の未定であり、公益委員会ではどうしてもかくのごとく帰属をすべき問題であると委員会決定をしました問題につきましては、四カ月後を待たず、現在におきましてその需用量に対して受けべきもの、とるべきものに対して自分は将来これは持たないものであるというその計算に基きまして、相当量を受けるほうは加え、渡すほうはそれを余計にもらうということによつて、大体原価の全部は織込みませんけれども、概要の基準を一%も崩さん、或いは一万分の一の基準も崩さん程度の話合いをつけ得たと信じております。ほぼ話合いはついておりますが、まだお話するまでになつておりません。
  72. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ところが現在出されておる各社のデータは、そういつたものを含んでおるように見受けられないのですが……。
  73. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 大体含んでおります。
  74. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 然らば例えば問題の北陸及び中部が保有しておる電源の問題を、帰属の問題を、関西或いはその他に帰属変えをすると。或いは関西のものを北陸、中部に返すといつたようなことについての具体的な方針というものはきまつておるかどうか、これを承わりたい。
  75. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 大体きまつておりまして、各社ほぼ承知しておりまして、まだ契約の調印はたしかなかつたと思つておりまするけれども、又大体話合いに基いたもので、今度受給量及び受給量に対しての原価に織込んでおるはずでございます。
  76. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 この機会にそのきまつた内容を御発表願いたい。
  77. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今申上げたのが内容でありまして、数字そのほかは各社の個々の緻密な契約でございまして、只今まだ両者調印の済まんものをちよつと発表いたしかねますから、適当なときに申上げます。
  78. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 大体当事者同士の話合いはできておるが、正式に調印ができていないからこの席では言えない、こういうことです。
  79. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは各社同士内容について進められておるが、発表できないというのはおよそ逆であつて、こういう意図で以てそういう交渉をなさる前に、この委員会において要求に応じては発表すべきであろうと思いますが、如何ですか。
  80. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) これからはそういう御希望がありましたらできるだけやりますけれども、まあ現在はちよつと申上げることを……。御必要とありましたら、又適当に申上げます。何も遠慮したり隠すことは一つもない。御注文で如何ようでもいたしますから、どうぞ……。
  81. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 然らばそれは最も近い機会に御発表願いたい希望を申上げて、次にお尋ねいたします。  先ほど栗山君の渇水時期における積立準備金制度というものは、我々も非常に同感の気持を持つておるのでありますが、今度電気料率を改訂する場合に、この方針については、先ほど委員会の事務当局では大蔵省と事務当局の試案によつてよりより折衝中であると、まだ本筋に入つていないようなことでありますが、今回の電気料率改訂についてはああした準備積立金制度による一般大衆消費者の負担を軽減し、料率の合理化を図るといつたような方針は今回の改訂の場合に織込まれる指導方針であるか、それはやらない方針であるか。
  82. 西田隆男

    委員長西田隆男君) もう一度その問題について私から一つ詳細に経過をお話します。その問題はいろいろこの委員会で論議されまして、公益事業委員会のほうで会計規則の中に任意規定として織込んでおります。我々委員会としては任意規定としては不十分であるから、これを義務規定としてもらいたいという強い要望公益事業委員会にすると同時に、大蔵省の当該係官を委員会に招致いたしまして、大蔵省の考え方も一応聞き、又公益事業委員会が誠意を以て交渉するならば、任意規定は義務規定として変えられる可能性があるという見通しを当委員会としては持つておりましたので、公益事業委員会を当委員会に招致する際にこの点を強く要望して、只今事務当局と折衝中、こういう段階でございます、
  83. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それは折角努力を願いたい、希望しておきます。  それから次にお尋ねいたしたいことは今回の電気料率の改訂につきまして各方面、各階層においてはそれぞれの立場において意見があると思います。で経理上具体的の問題としては償却の問題、或いは建設の問題であるとか、或いは修繕費の問題であるとか、石炭代の問題であるとか、こうした問題がその大部分のウエイトをなしておるということは我々の了承するところであります。一般大衆、消費者間においては、日発から九分割になつて、今日機構が非常に重複し又増加しておる。これに伴う人件費が給與ベースの改訂以外に余分にかかつておる。特に重役においては、その資本金の割合に比して他の一般の公共性のある団体、正規の団体はもとよりでありますが、殆んどべらぼうな重役陣の数が多い。これらの待遇、費用についても、全般のウエイトは少いが、一般大衆消費者の感ずる国民感情としては極めて多く、これが指摘されておるところの電気料率改訂反対の理由がある。こうした点から見て公益事業委員会が曾つて九分割に伴う重役人事の問題について、いや松永派の人であるとか、或いは吉田派の人であるとか、自由党系であるとか、まあ何とかかんとか多数の人事が行われるというと、九電力会社等がら見ても非常な抗争があり、まあいろいろの結果、結局役員その他は水ぶくれと申しますか、不要とは申しませんが、相当の役員が多くなつて来ておる。これらの給料の問題につきましても、一応他の一般会社との割合から見まして、相当高額の給料が支払われておるという、この実情に対する一般大衆、需用者の感情としては相当大きな問題があると思いますが、これらに対して実際公益事業委員会は今回値上げ料率が七割になるか五割になるか、三割になるか知りませんが、当然これらに対しても相当自粛の態度をとるべき指導が当然であろうと我々は見ておりますが、こうした問題について松永委員長代理はどういうお考えを持つておられるか。
  84. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今の質問に対しては本日栗山君から詳細に質問がありまして、松永さんもこれ又詳細に御答弁があつておりますが、岩木君の質問ですから一つ重ねて御答弁を願います。
  85. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) この前回に伺つたとき岩木さんおいでになつていなかつたじやないかと思いますが、その席でこの重役陣に限らず、営業費の出し方、或いはそのほか再編成された新会社が日がまだ浅いからまだ整理がつかない。つかないままこの料金に盛込むということは、原価主義の立場から見ても決して褒めたことではない。それは各事業者が公正妥当に自分から自粛すべきものであるという考え方を持ちまして、公益事業委員会というものが、むしろ私ども個々の委員が、特に会社の首脳者においで願つて、或いは干渉がましいとまで言われる程度まで相当御自粛を促しておりまするし、各社も又それをやつておられるようでありますから、前回試案が出ておりますものよりも相当数の自粛はあるものと信じております。又そうでなかつた場合は、相当これは公聴会等を開いた後にこちらから、適当な修正を公益事業委員会から加えるの止むなきこともあるかも知れませんということを申上げて置いたのであります。  それから同時に先刻からこの数字について各部門に亘つて栗山さんの御説明のうちに、大部分御尤もと思う点がありまして、私ども調査も又行届かない点がございますので、その点については更に検討を加える約束をいたしました。今岩木さんの御趣旨の点は何ら異存のないところでございます。何とぞ御了承を願います。
  86. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 他に御発言ありませんか。
  87. 小野義夫

    ○小野義夫君 もうすでに御質問申上げる諸点につきましては、数回の委員会におきまして細大漏らさずされておると思いますが、私はこの機会に甚だ個人的な考えに亘るかも知れませんが、質問よりはむしろ希望に重きを置いて一言言わして頂きたいと思うのであります。  このたび選任せられました公益事業委員の五名のかたは、私にとりましては数十年来の友人でありまして、いずれも尊敬をすべき練達有能のかたがたのお揃いであることはこれは天下の認むるところであります。なかんずく松永副委員長におきましては我国電気事業のそもそものところから育ての親であり、生みの親であつて、而してこの九分割に対する革命の親でもあり、又これを養育しようとする非常な電気事業の神様とも申すべきかたであると思うのであります。これがために社会は一面に大きな期待を持つと共に、一面に大きな危惧を持つておることは争うべからざるところの一つの点でございまして、松永さんは我が子可愛さの余りに或いは他人の子どもを虐待するのではないかということをすこぶる世間は慣れを持つておるということはこれは又私は一つの事実であると思うのであります。ここにおきまして、私は可愛い子には旅をさせろという言葉がございますが、生みの親、育ての親たる松永委員長代理におきましてはこの場合峻厳なる態度を以て我が子の将来の発展を図られることが第一の……、これは釈迦に説法かも知れませんが、私どもとしましても、国民としましてもそのことを非常に強く要望いたしておるのでありまして、過ぎたるは及ばざるがごとしといいますが、この場合におきましてはいやしくも過ぎるようなことがあつてはならんのでありまして、及ばないところはあとからぼつぼつ足してやるというのがまあいいんじやないかと思います。甚だ口はばつたいことを申しますが、電力会社は分割以前においてすでに整理会社であるということは、これは一つの我々の見ておるところであります。然らばこの整理会社九つに分かてば、更にその整理を細かくやろうということであつて、整理という点につきましては、これは今後数年に亘りまして継続してやらなければならんところの整理会社であります。で整理会社はどうするかといいますと、これはもう申すまでもなく資金面におきまして、或いはその他生産量におきまして、あらゆる点において積極、消極のことが必要であると存ずるのでありますが、かかる見解の下に一、二の点を要望いたしたいと思うのであります。  第一は、修繕費の問題でございますが、これは親の心を子知らずと申しますか、各社内容によつてども各社別に検討いたしましたところが、この修繕費には各社の中には甚だ不当と認むるものがあるのであります。その一例を申しますというと、電柱の建替に二十七億というような巨額のものを計上しておるものがあります。これは電柱の耐用年数は二十年ともいうべきものでありまして、これを五カ年計画でやるとするならば百何十億の……、今年出したから来年も出すというわけではありますまいが、ともかくもこういう長期に亘つて耐用すべきものをこれを経常費の修理に入れるという場合は、この不当なる一例であります。これは一部分は当然計上してもいいが、大きな建替のようなものはこれは建設勘定にやるべきではないか。又ロスの軽減、これは非常に感電するような状態が多くなつておる。アクシデントが非常に多くなつておる。それと停電が非常に多くなつたというようなことであるがゆえに、このロスの軽減については相当多額の修繕費が要る。こういう論議を聞くのでありますが、ロスを軽減いたしますれば同時に収入が増加するのであります。ロスの軽減は一方へ必らず見合勘定として電力料の増収があるのでありますから、これは私は将来はともかくも、安定に至るまではこのロスの軽減に対する経費建設費としても無理はないのじやないか、こういうふうに考えておるのであります。かような意味におきまして各社内容を細かく数字の内部を検討いたしますと、この点はどうしたらいい、あの点はどうしたらいいということが相当我々素人にもわかるのでありますけれども、これは九つ会社内容を一々見て行くということについて、非常に私は短日月には困難さがあるのじやないかということを痛感するものでありますが、大きな科目については特に厳密なる一つ御考慮を煩わしたいということが第一点であります。  それから第二点は、借入金にしろ建設勘定にしろ、非常に大きな修理をするということは、これは価値の増加と認めていいと思います。でありますからむしろ減価償却の面から申しましても、これは建設勘定に入れておけば、当然定額償却がつくのでありますから、この際はどんどんと遠慮なく、或る意味において経営費まで振込めとは申しませんが、できるだけ保全費は通常の形に置きまして、非常の形に属する修繕費建設費に入れて差支えない、と申しますことは再評価をいたしましても建設勘定はなお余裕綽々たるところの……今日の新設に比べれば非常に安いものである。三万円内外、こういうことであるのでありますから、何を苦しんでこれを経営費のいわゆる勘定で保全を非常に完全にやろうとするのであるか、これはむしろ各社経営者の頭のおきどころが或いは違つておるのであつて、必ずしも公益委員の各位の意見とは私は思わないのです。かような意味におきましてこの際建設勘定が相当膨大いたしますというと、これに随伴するものは金融の問題であります。どうも各社内容を拝見するうちに金融困難を電力料によつて、経常収入によつて金融の困難を打開するというような形跡を見受けるのであります。これは金融と損益勘定とをごちやごちやにした考え方でありますから、これは一つ金融に対しては当委員会のごときも率先して、国会も先に金融問題について大々的の援助を各社に與うるような運動に我々は参加するの必要ありと認むるものでありまして、この金融を豊富にして、そうして今のように経常費を圧縮して建設勘定に多く持つて行きましても、私はそれがために先ほど申すごとく必ずしも不都合でないということを考えております。  次に今度の再評価を余計やるか少くやるかということについて私はこういうことを考えておるのです。今建設しつつある船にしましても、ビルデイングにしましても、或いは発電所にしましても、一キロ十万円とか十二万円、ところによつては十何万円とかいうようなものをこれから建てて行くのに当りまして、これが将来この単価が永遠に続くやいなや、恐らく三年を出ずして鉄の値も或いはあらゆる金属の値も大暴落が来ることを我々は避けることはできないであろうと思う。この場合において然らば大きな固定資産償却を行うつもりであるかどうか、それは私はできないと考える。会社は頓挫する。でありますからその際三万円が妥当であるか知りませんが、成るべく再評価を、あれは法律はマキシマムをきめているといつても、ミニマムをきめているとはいえません。従いまして最小限でとめておきまして、そうして他日新設電力事業の企業費の暴落に対する予備費というような意味考えることが必要ではないか、そもそも今度の再評価というものの狙いはどこにあるか、私はこれを各社の資本蓄積以外には考えておらない。余りに大蔵省というお役所は本当に融通がきかない役所であつて、取るべからざるものを余計取るものであるから、再評価をして、そうして償却を非常に大きくして、そうしてそこに各社の貯金をさしてやろうという御趣旨以外には再評価というものは余り大きな意味を持つておらない。そこで会社電力におきましては特に増加をしても株主にはそれを分けてやらんとおつしやるならば、再評価をしても株主の受ける利益はそう直接には大きくないと思うのであります。でありますから、私はこの再評価をできるだけミニマムの点に抑えて頂きたい。大体私は別に御答弁を必要といたしませんが、我々同僚が数回に亘りました希望のあるところ、並びに公聴会意見あるところは消費者というものは、一言で申しますというと、何ぼ安くても有難がらない。これは私ども肥料みたような公共事業をやつておりますから痛感するのであります。幾ら安くしてもサンキユーという言葉を知らない。でありますからこの委員会も必ずや公益事業委員会と一体をなして、そのただ消費面の人が、安くしてくれればこれはいいという議論には我々必ずしも皆賛成しているところではないのでありまして、どこまでも電力事業の発達を期するものでありまするが、併しこれは一年や二年の短日月を以て直ちに理想的のところへ行こうというのは性急に過ぎるのでありまして、今後五カ年計画なら五カ年計画を、公益事業委員会においては明確に従来の推移についても、同時に五カ年計画というようなものも国民にお示し下さつて、少くとも松永委員長代理におきましては、全生命を打ち込んだこの大業局つてますます御自重、大いに御尽力あるようにと、甚だ私見を述べて相済みませんが、お願いいたします。
  88. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 只今小野君から誠に適切妥当な総括的な御意見の発表がありました。答弁は要らんということですが、松永委員長代理のお考え方をお答えして頂ければ……。
  89. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) いろいろお話の大体におきまして、何ら異議を申す点はございません。ただ今回十八日、十九日頃を期して提出されまする各社原価計算に基く修繕費、そのほか営業費のあり方につきましては、只今例えば木柱建替に対する一例をお引きになりましたようなことは、直ちに当はまつて、適当な結論を見出すことは困難ではないかと思つております。それから償却は別であるけれども、対象となる再評価資産というものをむやみにマキシマムを高めておくということは将来起るところの発電所建設の大変化を来たした場合に、その事業を危殆に陥れる虞れもあるから、この辺のことはよく考えておくがよかろうという御意見に対して、御尤もであるということを申上げまして、その線に沿うて検討を加えて見たいと、こう思つております。その他におきましてかれこれ御注意のありました金融の面につきましては、如何にも今日誠に或る意味においては惨憺たる有様でありまして、殆んど幾らの金融もできないような状態で、かくのごときことは到底一例えば石炭を買うにしましても、或いは企業をやるにしましても、土木業者が集つて、君ら受持つてやれと言つたつて、それではできません。どうも金融というものは、我々にしますれば、何とか電気事業のほうでしてくれんか、先日もそういう会合で話しまして、無論しなければいかん、電気事業みずから発達するために……、君らの力がないというのは、むしろ力をあなた方に貸すというような、共存共栄である。その貸そうという電気事業者が又力が弱いという状態であります。併し弱いから俺は知らん、土木建設だけ十分やつてくれということを言つたつて行えない。これは共存共栄で、お互いに金を借りたから、君らの使う資材に向つて金融を与えて上げるということは、業者が努めておやり下さるように、自分たちからも業者にお願いするというようなことを申しましたので、このように電気事業只今つておりまする財政力というものは一番ひどいのであります。その結果としては、石炭を買う方面からも土木を始める方面から、あらゆる方面が悉く困難を来たしている事情であります。私どもとしても、業者に向つてできるだけ尽力はしたいと思つておりますけれども、これは只今小野さんの御発言にありましたように、国家的見地から、議会におかせられても相当この発達のために、国の貯蓄を幾分でもこの発達の方面に向け得られるように、大蔵当局、日本銀行当局等に御指示して頂きたいということをお願いしておきたいと思いさす。
  90. 石坂豊一

    ○石坂豊一君 この際極く簡単に所信を申上げて、公益委員会の有力なるメムバーたる松永氏の一つ御考慮をお願いしたいると思います。  同僚より繰返し御意見の開陳があり、只今又小野君の御意見もありましたので、もはや何も申上げる必要はないのでありますが、ただ一つ私は松永君は電力界における元老とも言われるかたであつて、我々自分の力によつて万難を排して日本の開発……、並大抵でできたのではないという一応の自負心は必ずお持ちになり、又そうであつても差支えないのでありますが、その結果として電力の料金は安いのである。世の中の経済の釣合いから見ても電力が一番安い、こういうような考えを万一お持ちになつているとすれば、我々はその点に対して反省を願わなければならん。現に今月の十二日私の郷里である富山県の財界の有力者が多数見えましで、そのときに、これは中には非常に製造工業等に従事しておられるかたで儲けられたかたもあるだろうし、損せられたかたもあるだろうし、儲けられた人から見ると、電力料金くらい安いものはないというような語気を言外に現わしたというようなことも聞いておる。そういるうようなことは、これは電力というものは公共性を持つておるものであつて、国民全般の使用すべきものであるからる、何どきでもそのときの需要供給によつて上げることができない性質のものである。又最近まではこれは国営で運営されていた関係もあるからよくなつておるので、これは当然のことである。我々は名刺よりも安いところの葉書を十分に使用することができる。これは即ち公共性を持つているからで、そういう点を幾つも挙げられると思うが、私は電力会社が現に我々に提供した説明書を見ますと、電力が一番安いということを書いております。そういう考えが今度値上げをせられるという根幹になつておるとすれば誠に遺憾である。新聞紙上等において便宜主義によつてつたと書いてあるが、さもあるように考えられるのであります。断じてさようなことがあつては相成らんのであります。こういうことは私はこの公益事業委員会事務局より配付された表を見ましても、極く端的に我々の郷里の北陸の農業用、その他総計において九割四分四厘の値上げになつております。農業用の電力というものはもともとこれは非常に特別な安い料金で供給すべきものであつて、もと国有国営になつた第一の標傍は、優良な電力を豊富且つ低廉に供給する、その次は農村に安い電力を豊富に使わせて、農業は成るべく電化してやるというようなうまい言い触らしでこれをやつた。然るにその後の実際の運営はこれに反して、決して地方の農民はそれほど安い電力は使つておりません。農村に住んで見ますというと、なかなか都会に住んでいて電気を自由に使用しているようなわけに参らんので、例えて言うと一軒の家が建つ、そこへ電力を持つて来て速かにその家に明りをつけて行くというようなことはなかなかしてくれません。私どもの郷里は売薬のところでありますが、一軒の家ができると、そこへもう平身低頭して、どうか薬をとつて下さい、とつて下さいと来る。然るに電力会社は図体も大きなものであるから、欲しければとつて行け、而もそこに供給するときにはこちらは柱も建て電線も都合して、工夫の都合ができて来てからやるというような実はやりかたである。電気会社については、非常に電源開発の功労者であるそのかたが、もつとサービスについて国民も非常に感謝するような域に持つてつてもらいたいものと私は思う。私どもは電車に乗るときに、今までは極めて横柄なものであつたが、最近では誰が教えたか知らんが、毎度御乗車有難うございますと一般の乗客に言つておりますが、あれは国有鉄道のときには絶対に言わなかつた。而もそれがだんだん私設鉄道の人たちが非常にサービスをよくするものだから、非常に感化されて、今はどの停車場に行つても毎度有難うございますと言うようなことになつている。これは国民大衆に対するところの事業者というものの尽すべきところの真心だと私は思う。然るに今日電力が国有国営から民有民営に移られた。その暁においてもつと能率をよくし、もつとサービスもよくしてやるように考える。その結果電力料についても非常にお考えを願わなければならんと思う。当然上ぐべきものである。併しこれをこの際一挙にして七割も上げる、北海道においては七割になつておりませんが、その他は皆七割を超えておるような、そういうような七割も一遍に上げるということは国民の耐え切れることではない。これは単に電力会社から見れば幾ら上げてもいいだろうけれども、国民も各種の方面において非常に経済界においても苦しんでおるということをよく、少しく視野を拡げて見ればすぐにわかることであります。その結果国民の懐ろに非常に影響し、殊に農村における肥料問題に非常に影響して、農産物の増産等にも大なる影響を来すということになれば、従つてこの国家経済、いわゆる健全財政の方面にも非常に影響する重大な問題であります。この点に思いをいたされて、先ほど隣席の古池君が言われた通りに、料金算定基準等につきましても、実はあなたがたの手において十六日きまりましたが、併しこれを運用するにはどうでもなる。でありまするから、我々はこの際において料金決定に対する最大権威を持たれるところの公益事業委員、なかんずく松永さんのごとき非常に御功績のあり、又これについて粋も甘いもよく御存じのかたがよくこの点をお考えになりまして、かくのごとき巨額の料金の値上げを一挙にして断行するというようなことは、断じてさせてはならぬと私は思うのであります。それで連日の質疑応答に対して松永君は、別に幾ら幾ら増額せいということを言うたこともなし、自分から提案になつておらんような口吻を漏らしたけれども、我々の見るところによると、どうもそれがもうすでに各社との間に話合いがついているのじやないかと思われる節もあり、現に先ほど古池君の指摘された減価償却等につきましても、あなたがたのほうできめられた第四条において減価償却原則がちやんと書いてある。減価償却は今日のように定率によるということは、公益事業委員の特別の指示がなければできないことです。その特別の指示があつたと同様な計算になつておる点を見ると、やはり各社公益事業委員との間にもうすでに協定がついているのではないかという疑いが濃厚になるのもむべかりし話だと思います。であなたがたの裁定については今日我が国の現行法においてどうすることもできないので、我々は国の最高機関にはおりますけれども法律によらずんばあなたがたの権限をどうすることもできない、万一横暴な挙動が見られるようなことになれば、これは我々法律を以てがんと抑えるほかには方法がない。それはできる、それはできるけれども、さようなことのできないように、もう誠心誠意よくこの電力委員の空気を御覧下さいまして、今回の値上げに関し最低限によつて切抜けて行くということに一つ努力を差向けて頂きたい。一々例証を挙げて栗山君初め各委員のかたがたも仰せられたから、私はさような煩瑣は避けますが、先ず大体において、今各社の要求というものが、国民経済の上からも、会社の運営の上からも、いずれの方面から眺めて過大であるということは断じて許されないのでありまするから、その辺のことをよくお考え下さるように、特にこの電力界におけるところの元老、泰斗といわれる松永君に対して御要求申上げておきます。  私はまだ申上げたいけれども、相当長い時間を費しましたので、これで私の意見の開陳をとめます。どうかその点をよろしく御了察頂きたいと思います。
  91. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 今石坂委員から切々なる御心情の御発露がありました。松永委員長代理一つあなたの心情をお話し願いたい。
  92. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 大体料金が余り高過ぎるから、原価主義の解釈というものをよく考えろということについては、古池さんそのほかからも御意見が出まして、よく了解しておりますし、又適当なときにこちらの考えを又申上ぐべきであろうと思います。只今石坂さんからもお話のうちに、農業電力のごときはこれは慎重に考えなければならぬが、これまで出た表を見ると非常に農業電力が高い、農家は今非常な大切な立場におつて、これはどういうふうに考えるかというお言葉は非常に大事なことであります。そのことについて一言申上げておきます。  これはもう申すまでもなく原価主義というものをむやみに振り廻せば都会の密集した電気料と農家のときたま使う電力量、その割合でどんどん上げて行つて、そうして一体それで農家の電力が農家の利益を増進するということができるかといえばできない。できなくても公益委員会原価主義でかまわんのかという御議論だつたとまあ思う。併し実際は原価主義といいましても、むやみに振り廻せばそんなことになりまするけれども、私が最近これまで出ておる農業電力の値上りの表などちよつと見ましても、例えば二カ月分の定額料金を取るようなことが規定してあります。農家の実際の農繁期はおおよそ一カ月のうちでかなり或る程度片付くわけであります。そうすると二カ月分の定額料を一カ月は完全に免除し、その一カ月に相当の原価を盛り込んでやるというような方法をとれば、必ずしもその何割の増加がそのまま農家に来るということはないじやないかとも考えておりますが、これはどういうふうに各社がこれから出して参りますか、各社の出た模様を以て、殊に農業電力のごときは非常に大事なことでありますから、現在農業電力を使うというのは非常に都会或いは工業電力に比べて少くはありますが、将来の電力の重点はやはりこの農家に豊富低廉なる電力を供給するということがもう公益事業、殊に電気事業の最大目的でなければならんことは当然であります。今の時代において設備が足りない、或いは電力の絶対量が足らん際にはさような経綸を振りまいたところが役には立たんことでありまするし、目標はそこにあるに相違ないことは言うまでもないことでありまするが、今回値上げに当りましては農家の値上りをさような制度の上で適当に加減いたしましたならば、必ず先に発表されたような高い料金が農家に加わるものでもなかろうかと今考えながらちよつとお話を承わつたところであります。これはまだ私ただ個人の考えを申上げたに過ぎないのであります。これに類したことは家庭の経済におきましても、或いは一般或いは病院とか孤児院とかという方面に使います料金におきましても、その制度運用如何によりまして必ずしも原価を傷つけずに適当にそういう方法で使い得られるものであると思います。政策に亘ることは別途考えまして、目標はやはりこの弱い方面に向つて適当に制度の上において原価主義を当てはめることが相当必要でありますけれどもこれは各事業者のやはり重大な任務でありまして、公益委員会ではそういうことをして頂きたいということを深く注意するつもりでおります。  一言お答え申上げます。
  93. 奥むめお

    ○奥むめお君 いろいろ皆様同僚各位から要望やら質問やら出たように伺つておりまして、私附加えて申すこともないようにも思うのでございますが、何分にもこの電気料値上げ問題が発表されましたときは、全く値上げ案というものを大上段に振りかざして、もう全く物も言えないくらいに、押付けられたような高圧的な感じを国民は受けたのでございます。公共事業令によりますと、この第一条を見ますと、実は全く反対であつたので、電気、ガス使用者利益を確保するということが第一になつている。第二が電気事業、ガス事業の健全な発達を図る。これが第二になつておる。おかしいなと私どもそう考えたくらい、思つたくらい……。幸いにしてこの基準案が検討されまして、この電気事業の健全な発達だけしか考えて経理の健全しか考えていらつしやらなかつた。そちらのほうの立場からこれを訂正して、第一条に電気使用者利益を図るということを附加えて下さつた。これは非常に満足しておるところでございます。併しながらこれを折角国会で一生懸命にみんなが休の間を審議して、電力問題の審議を進めておりますときに、これを国会の意思を尊重するというお約束にかかわらず、この知らない間に発表されたあの十六日には、国会のこの委員会は非常に硬化しておりましたのでございます。でたまたま私どもこの前の十五日に各地で署名運動をいたしたのが新聞記事に出ております。それの松永さんの談が発表されておつた、東京新聞でございます。そうすると丁度この算定基準の中へ使用者利益も図るということを附加えられたにもかかわらず、その日に松永さんがなお署名なんかしておるようだけれども、俗論にまどわされないぞ、電気事業経営のことでとにかく値上げをするんだという非常に突ぱねたことを書かせておいでになる。これは又私ども新聞を読んだ消費者大衆というものの気持ちに不安を與えたのでございます。私先ほどから御意見を伺つておりまして、松永さんは決して新聞のようなことをお考えになつていないらしい、こう考えたいと思うのでございますが、どうぞ電気料の値上げという問題は、細かいことは皆さんから出たようでございますから私申上げませんが、家庭は、持つて行くところのない最後のこれは引受所になるのでございますから、もう値上げということは絶対に困るというくらいの立場で熱心にこの値上げ案が食い止められることを待つておるわけでございますから、公益事業委員会の一番有力者でいらつしやる松永さんが、私ども民の声をお聞きになるという態度を本当にお見せになつて、実際の料金を発表して頂きたい。これをお願いするわけでございます。
  94. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) みんな御尤もでございまして、相当誤解もありまするし、又新聞の申したこと等について御承知の通りかなりものを柔かく上手に書いてもらうテクニツクもありますし、又場合によりましてはそうでないときがありましても、私自身自分が話したことでも訂正を申したいと思いますけれども、もう発表された後は間に合わんのでありまして、今更申訳をしても仕方がございませんが、必ずしも今奥さんの仰せられたように御家庭の事情その他を考慮しないで無茶苦茶にただ原価主義或いは単なる理窟一本でものを解決せないものを思います。およそ道理の基準だけは立て、そうして皆さんの結局電気事業であります。これがやはり御自分の家で牛をお飼いになつているみたいなもので、牛を飼いたい、乳を搾りたいが、餌をやるのはいやだということを仰せられませんように(笑声)適当に餌だけは食わして頂きたい、そうして電気事業も丁度一つの牧場みたいなものでありますから、相手かたの身になつて、やはり察し合つて、結局只今電事業が落ち込んでいる、落ち込んでいるのは皆さまの力でレールに乗せるだけのことはやはり皆さんの力で乗せて頂かなければ、事業者というものはこの頃漸く名前がついただけで、実は前から配電会社重役もし或いは何もありますけれども、大半の首脳者はどちらかというと新規に出た人が多いのであります。幾らかそのかたがたの苦心もお察し願つて、或る程度はやはり認めてやらなければならんと思います。その基準原価主義によつております。もとよりこれでさつき申したように電気事業経営が確保されますと、この資本に対する魅力が出て参ります。そういたしますと牛に餌を食わせれば、食わすほど牛は大きくなる、乳が余計出る。そうすると結局食わしたほうが得だということに結論はなるかも知れませんが、それはにわかには行かんことでありますから、その辺の加減は私どもでできるだけ注意して、甚だしき混雑のないように考えております。まあ最善の努力はいたします。どうぞよろしく。
  95. 山川良一

    ○山川良一君 私はいろいろ今まで御質問して、お答えは併行線ですから、個々のことは申しませんが、二つばかりお尋ねしたい。それはいろいろ委員諸君より質問しますと、抽象的には一一々御尤もという御説明がありますけれども、具体的の問題に入ると私には一つも尤もと聞えない御返事があるように私は受取れる。折角の基準の第一条に追加された電気料金算定するには電気事業の健全な発達を図ると共に電気使用者利益を確保することを本旨としなければならないというその後段は、どうも空文化しておるように受取れるのであります。これは公益委員のかたのお考えが空文化されているように受取れる。なぜかと申しますと、例を挙げますというと、先ほど来殆んど全部のかたから問題になりました償却の問題は、公益委員のかたは税法上許された最高限度償却をされようとしている。ところが消費者のほうは殆んど一致して最高限度償却は認めがたいと言つておるのであります。私はその償却の問題は、あの最高限度償却というものは非常に合理化された経営の、経営状態のいい会社に許されるものと思つておるのであります。従つて再編成してまだよちよちしておる会社が最高限度償却を要求するということはもともと根本的な考え方がどうかしていると思う。でもう一つ申しますと、本当に電気事業者が言われるような最高限度償却を織込まれることは一応止むを得んと思つております。そうしてこの期間に経営合理化されて更に収益を挙げて、そうしてそれを償却に向けられることは認められるけれども、どうも初めから最大限の償却を織込むということは消費者側から見て、どうしても消費者の利益を確保するということとは矛盾すると思つておるのであります。尤も松永委員長代理お話を聞いていると、私は電気事業の健全化をすることが即消費者の利益を確保することだというお考えに立つているように受取れますので、松永委員長代理は第一条の本旨にもとつていないとおつしやるかも知れませんが、私はそれは松永委員長代理だけの見方であつて、一般はこれは認めていないと思うのです。それで実際に第一条は、具体的にどういうところが空文化していないということを承わりたい。もう一つ申します。石炭の問題でも松永委員長代理は入手は困難だろうと思うけれども、更に入手の困難な重油を使つて、使わせるのだから料金に織込むと言われておりますけれども、どつちにしても入手の困難なもの、高いものを料金に織り込まなければならんということは、消費者の利益を無視して、使えん場合には電気事業者利益になるものをむやみに織込もうとしておると思います。この二つの例から見て、第一条の後段はどうも公益委員のかたは無視しておられるのじやないかというふうに具体的に考えられますので、そうではないという根拠がありますならば今の例につきまして具体的に御説明願いたい。もう一つは十六日に突如として基準案を出された。理由はいろいろ御説明を承わりましたけれども、私は一つも納得し得ないのであります。そのうちに中川経理長から、この電力委員会として具体的の案は出ないと思つたから出してしまつたのだという御発言がありましたが、これは少し電力委員会を馬鹿にしたような発言であつて、若しそれが公益委員会のかたの皆さんのお考えであるとすれば、これは一つ考えかたを直して頂きたい。というのは我々は何日もかかつて而も長時間いろいろあなたがたもここへ来て頂いて研究しているのは、具体的の結論を出して、そうして又それを取上げて頂けるという点でやつているのであります。若し具体的な結論が出ないということを思われるということは、電力委員会が具体的の結論を出し得ない無力なものと考えておるというふうに受取れるのであります。これを委員はどういうふうにお考えになつておりますか、私の質問の点につきまして、宮原委員から、次に松永委員長代理の順序でお答え願いたいと思います。
  96. 宮原清

    説明員宮原清君) 只今お話は誠に申訳ないのでありますが、私は中川君がそういう御答弁をしたことは全然存じません。これは別にとり繕つているわけでもございませんから、さように御了承願いたいと思います。
  97. 山川良一

    ○山川良一君 前のほうの第一条の問題は……。
  98. 宮原清

    説明員宮原清君) 第一条、それは私ども決してそういう考えではありませんが、併し具体的の例を以てというお話になりますというと、これはなかなか簡単にそういう例について何だということは事案について出て来なければ御答弁できないと思います。
  99. 山川良一

    ○山川良一君 宮原委員にもう一つ。先ほど申上げました償却考えかたと、石炭代の織込み方の考えかたは、消費者側の利益を無視していることについてはどうか……。
  100. 宮原清

    説明員宮原清君) これは恐らく考え方の相違かも知れませんが、結局電気をどれだけ下げても、入用なものは供給するという建前自身が或いは違つているかも知れません。併し要求せられている、予想せられているものに対する一応の出発点を六百三十万トンに置いたことは、結局今足りない勝ちになつておるし、必らずしも良質でない電気を供給申上げていることが、委員会として甚だ誠に難儀なことと考えております。是非そういうふうにしたいということでありますから、目的をそこに確定しておる限りはあらゆる努力をしなければならん、こういうことであります。而もそれが若し料金に織込まれて使われなかつたものはどうするか、返さなければならんじやないかということに推論的になると思います。それはいわゆる渇水準備金のごとき制度から申しまして、これは私だけの考え方でありますけれども、若しそういうものが使われなくて、而も織込んでいるという事実はないように思いますが、そういうことのあつた場合には、おのずから後においてのレメデイがあると思います。例えば渇水準備金でもどうも渇水がなくて豊水であつた、或いは渇水準備金というよりは、制度の上では、議論がありましようが、豊水積立金というものに当然該当すると思います。このように若し石炭が余つて使わなかつたという場合には、必然的にそういうことの考慮が入るというような処置がとられるべきであるかと思います。但しこれは全くこの場において今の御質問に対する一つの事例としてそういうふうに思つただけの説明に私から申上げたつもりでおります。
  101. 松永安左ヱ門

    説明員松永安左ヱ門君) 只今大体中川君についてのことは、私は大概中川君と一緒でありまして、さように中川君は言うておられることでありますし、又我々委員会ではもとより当委員会結論を得られんとか、得られるとかいう問題に考え及ぼす機会もなし、又その必要もないと思います。全くそういう不逞な考え委員会が持つわけでもありませんから、これは若し中川君が言い誤りがありましたら、委員会の私から幾らでもお詫びをいたしておきます。  それから次に石炭の今の問題は、大体言われた通りでありますが、山川さん或いは何かお考え違いじやないかと思いまするが、今度の料金原価は、地区によります標準の料金は、冬はどのくらい火力を織込んでおり、夏はどのくらい織込んでおるという、そうして需用の全体量を見て六十何万トンというのが出ております。で同じ通りに石炭は出ている。そうしてそれだけ焚かなかつたという場合はその焚かなかつた石炭だけは全体の需用量の割合になりますから、決して余分なものをもらうというのではなく、むしろ業者がその石炭はただ冬期に持ち越すというようなことがあり得られると、原価主義の立場でそう考えます。けれども今言われたように水力と絡み合わした場合に渇水準備、即ち渇水に対する石炭準備という、又一般的の会計法を立てて、各社の不当利得をなからしめるように処理したいと思います。この方法については先刻申上げてあるようにまだ十分な案を立てておりません。近く立てるつもりであります。それから償却の問題については、これはたびたび申上げましたと思いまするが、繰返して申しませんが、ただ算定法を、第一条に加えられた算定の本旨ということが、どちらに重きを置くのだというようなことについて疑義がある。松永はそれは両方、電力の開発あつてこそ需用者の利益の確保がある。利益の確保があればこそ電気も発達するというようなことを言うておつて、どうもその間ほかの委員と話が違うじやないかという御質問のようでありますが、私はあの本旨というものは、やはり原則原価主義によつてこれを処理して行く。併しそれは要するに電力の、例えばロスが多ければロスを如何に減らするかに努力する。そうしてそれを以てそのロスを減らして利益は需用者の方面に向けて行く。電力が少くなつてサイクルが落ちて困つておるというのは、できるだけ電力を多くしてサイクルを維持し、ボルトを下げて行くのが需用者の利益を確保するわけである。それをやるのにはやはり公平な原価主義で行くべきである、こういう解釈をとつておりますし、又あれを書きました委員会の大体の考え方も、それに基いて書いております。それでなお先刻それについて申上げましたが、これは山川さんの御質問じやなかつたのですけれども、古池さんのお話でありましたが、一体旧来といえども原価主義であるじやないか。何も原価主義は珍らしいことではないというお話がありましたが、その通りであります。その通りでありますその原価が、いつの間にか原価主義でなくなつた。そうして償却すべきものもせないという、税金に取られるからといつて、固定資産に入れなければならんものを修繕費に入れているかも知れない。区々まちまちの会計の方法をとつている。そうして資本の健全なる消費はどうか、修繕は最低度にとどめる、無益な修繕費計算をごまかしてはいかんというようなことが旧来行われていないのです。それを行うべき原価主義を今度は本式にやつて見なければ、これはいつまで経つて日本電気事業の開発はできないというのが大体再編成の目的で、この経理を第一に合理化するにあらずんば、今後資本を吸収する上についても何もできないことである。それからもとの建直しをやろうというのがあの基準を作り、この基準によつて料金原価に盛り込んで行つて適当なる料金を需用者が払う。この消費面と生産面とがよく話合いがわかる、これは誰も判断するわけに行きませんから、公益事業委員会におきましては皆さん意見公聴会に聞いて、自己も判断して、そうして適当に両者の調和を図る、健全なる発達を図りたいと思う次第であります。この点蛇足のようでありますけれども、一言申上げておきます。
  102. 山川良一

    ○山川良一君 私がお尋ねしたのは、償却と石炭代の考え方について需用者の利益を研保するという精神一つも入つていないように受取れるが、どうですかということをお尋ねしたのですが、満足な答弁は得られないようで、依然として私は消費者の利益を確保するという意味が、石炭代の織込み方、償却考え方にはないように思いますので、その他の方法もそんな考えで進むのじやないかというとを心配いたしますので、どうぞ私の申上げたこともよく考えて頂いて、私の申上げたことが誤まつておれば、私が改めますが、その点お考えおき願いたいと思うのであります
  103. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 大分意見つて、もうおしまいのようでありますから、委員長からこうずつと意見のあつたうち、一つ二つの問題について御答弁を頂きたいと思います。その一つは石炭の問題であります。石炭の数量の問題は山川君のほうから大分論議されましたから、私はやめておきますが、石炭の買上価格についてこの問題について公益委員会では公式に出されたと言われておりますけれども、各事業者から出ております資料に基いて御検討されたことと考えます。私自身石炭の採掘、販売をやつております。従つて石炭の値段が幾らということは一番よく知つているわけでありますが、新聞等にはトン当り千円の誤差があるというような記事が書かれております。あながち千円とは申しません。私のほうで現在掘つてつておりまする石炭が何ぼであるということを一つお話申上げまして、新らしく資料が出されました際に御検討頂く参考に供したいと思います。私のほうで掘つておりまする石炭は粘結炭でございます。品質は六千五百カロリーを保証しております。日発にも納まつているはずでございます。而も価格は三千六百円、三千六百円という価格は多少安いかもわかりません。二、三百円ぐらいは一般の市価よりも安いかも知れませんが、従つて今仮に東京に汽車で持つて来るとしまして、諸掛りその他を含めまして千五百程度だろうと思います。三千六百プラス千五百円で五千百円、これが仲買の手を経ますならば、仲買人の口銭として二、三百円の口銭が加わりましても五千五百円を出ないはずであります。東京電力会社さんの表を見ておりますと、五千五百カロリーの石炭が五千五百円乃至五千七百円という数字が使われておりますが、品質が千カロリー違うということは、価格において少くとも七、八百円の差が生じて来るものと考えております。こういうふうに単に東京だけでありません。九州の石炭について見ますと四千百八十七円、約四千二百円、九州の地元で使います石炭と申しますのは、電力会社から小倉の発電所、この発電所は六千カロリー以上のいい石炭しか使いません。あとの発電所は大概四千七、八百から五千二、三百の石炭を使つておるはずだろうと思います。その石炭は私の計算を仮にやつても四千幾らにはなりません。それは九州地内ですから高くても二百円か三百円のものであります。結局四、五千程度で、山から買えば直接発電所に着かねばならないということになります。それが四千百八十、約四千二百というような数字で出されております。従つて電力会社が自発当時からどういうふうな手段で石炭の買付けをやつておるかわかりませんけれども、若し私の売つておりますような価格がそう大した差がなしに電力会社に入つておるものであるとするならば、少くとも七百円近い石炭購入の値差がある。従つて六百五、六十万といえば、五十億以上の金が無駄に使われておるという結果が生ずるのではないか、こういうふうに私自身考えております。これは公益事業委員会のほうで今まで厳密に検討されて、各電力会社の石炭入手の経路或いは取引の状態等々を詳しく御調査になつておればおわかりになつておると思いますが、若し御調査がまだなつてないならば、今度新しい資料ができました場合においては、石炭不足に籍口してべらぼうな価格で石炭を買入れることによつて、電力の消費者の負担を増すようなことのないように万全の御調査と御考慮をお願いいたしたいと思います。この問題が一つの問題でございます。その次は栗山君から大体九つに亘つて種種質問され答弁を頂きました、その中で山川君は今さつき御指摘になりました石炭の数量の問題と、もう一つ償却の点について委員会側意見公益事業委員会との間に意見の食い違いがまだ是正されないままで、今日は委員会を閉じたいと考えておりますが、この問題はやがて開かれるであろう聴聞会においても大いに論議されるだろうと考えております。従つて松永さん個人としては、今までお話なつたような基本的な原則を確保したいようなふうに見受けられますけれども聴聞会はただ徒らに国民大衆の意見を聞き放しで聞く会ではないはずでありますから、聴聞会等でこの二つの問題について活溌なる論議が戰わされましたならば、聴聞会意見を十分に一つ忖度されて、公益事業委員会としては国民大衆の要望に応うべく公正妥当なる結論を生んで頂くように希望すると同時に、当参議院委員会としましても、この問題についてもう少し具体的に公益事業委員会側と話合いをして、少くとも聴聞会終了後何日かの間において料金改訂前にいま少し国民大衆の声と参議院の側の考えとを調整して、最も適当なる方法電力料金の案を決定して頂くことを希望しておきます。私の発言はこれで終ります。
  104. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 委員諸君にお諮りいたしますが、奥むめお君からの御紹介で電力値上げ反対主婦連合会の代表者として数氏がお見えになつております。そして当委員会に松永さん同席の上で是非陳情をさしてもらいたいという、こういう御要望がありますが、如何取計いましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 御異議なしと認めます。それでは今から陳情者の代表者のかたに発言を許します。松宮アヤさん。十数万名の御署名ができておるそうであります。
  106. 松宮アヤ

    ○参考人(松宮アヤ君) 主婦連合会常任委員松宮アヤ外六名の者が本日主婦連合会総会に当りまして、都内の板橋区、品川区、杉並区それから三鷹、足立、世田谷及び各区内の各所におきまして街頭でとりました電力値上げ反対署名の十四万四千三百二十五名の署名を持参して参りました。どうぞお納め頂きたい。値上げ反対の理由といたしまして、私たち家庭の生活を、最末端の家庭生活を守つております主婦といたしまして、これ以上電力が値上りいたしますときには、一体どういうような生活をやらねばなりませんか、現在でさえも家庭の者の健康状態を考え、衣食住を考えつつ細々と送つておりるます現在に、電力値上げによりましてかもされる諸物価の値上りは必至のことでございます。この点につきまして各地区の主婦は大変心配いたしまして、かく多数の署名が短時間においてまとめられましたことを、どうぞ電力委員会の皆様がたは御察しを下さいまして、よろしく御検討をお願いいたす次第でございます。
  107. 西田隆男

    委員長西田隆男君) 委員会を代表いたしまして私から一言添えます。本日あなたがたが傍聴されました通り参議院電力委員会といたしましては、国民の要望に応えるべく公益事業委員会側と今一生懸命折衝を続けております。果してあなたがたの御期待なすつておられるような結論が生れますかどうかはまだはつきりいたしません。併しながら私たち国民の代表として国の最高機関としてできるだけ善処して皆さんの御要望に応えたいと思います。本日の委員会はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会  出席者は左の通り。    委員長     西田 隆男君    理事            栗山 良夫君            結城 安次君            水橋 藤作君    委員            秋山俊一郎君            石坂 豊一君            石原幹市郎君            岡田 信次君            小野 義夫君            古池 信三君            椿  繁夫君            奥 むめお君            山川 良一君            岩木 哲夫君            境野 清雄君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       渡辺 一郎君   説明員    公益事業委員会    委員     松永安左ヱ門君    公益事業委員会    委員      宮原  清君    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君    公益事業委員会    技術長     平井寛一郎君    経済安定本部産    業局電力課長  沢田  達君   参考人    主婦連合会常任    委員      松宮 アヤ君