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説明員(
松永安左ヱ門君) 私の言
つたことにつきまして一、二、三と分けて
お話しをいたしますることはぎごちないことになろうと思います。大体……今度第一の
お話のあ
つたように、
事業者が変
つたものをこれによ
つて出すんだということは、まだ私のほうの
立場から明言することは憚かる次第でありまするが、
旧来四月十三日ですか十四日でありますか出ておりました試案、その後五月にな
つて三、四の
会社から出ました案、殊に
東京電力あたりから出ました案についてはもとより確定したものと認めることはできません。
本人等もなお訂正の
余地があることを言うております。こちらに
もさように御報告申上げておりました案について、幾多の是正すべきものはあろうかということは、
事務当局におきましても
考えておられた
ようであります。又これらの説も我々耳を傾けてよく承わ
つたのでありますが、
公徳会等によ
つて行われましたものは、この
料金の
値上げを含む要素として、或いは
物価の最近の暴騰によりて、昨年以来この暴騰した率が
料金の中に加算せられるか否かという場合に当
つては、五月一日後に出発した新
会社は何等の
実績を以てその
合理化を
行なつたことのない
実績のない
会社が、以前の
営業費計算等を
基礎として、それに参加されたことは果して適当であるか否かということは、これは一般的に
考えられることである。
公聴会等においてももとより
表現は違
つておりますけれ
ども、さ
ような御
意見のあ
つたことは当然であり、又
新聞紙等によりましても、
合理化こそ先にやらなければいかんという
新聞等の
議論は傾聴すべき美禰であるに相違ないのであります。併し一面から申しますと、
電気事業の今日
計算を是正して、結局生きて行く途を図るために適当な
値上げが必要であるということも、これ又
国民殆んど是認しておられる問題であります。その
程度如何というより、その基く道理が正しいか正しくないかということが
世論の一番
根抵に横たわ
つておる問題かと信ぜられます。その点において私も同様であります。
然らば
合理化された
営業費に更に加うるにその
物価のプラス・アルハーというものをどういうふうに
算定されるかということが
原価に盛り込む重大な問題であります。これはまあ
皆さんも御
同感であり、私が縷々申上げる必要ないことであります。で、この点について栗山氏
あたりからも、前の
計算の
状態等をよく
検討して、そうして善処すべきであるという御忠言の、ごとき、誠に傾聴に堪えない、又御
同感に思
つております。でありまするから、今回提出される問題について、この
算定基準の中には、さ
ような精神というものは、十分に織込まれておるものと思いますから、これを一々逐條的に
亘つて講釈がましいことは憚か
つて参りたい。
ただこの
合理化の問題で最も困難を感ずるのは
人事の問題であります。これは
社会情勢、或いはみんな
失業状態の
有様、
潜在失業者の多いこと、すべてのことを
考えますると、必ずしも机の上で言うた
ような
人事の淘汰をするということは、一朝一夕に五月一日からすぐに出発してこれをやるということは非常に困難なことである。これは単に
雇庸者というばかりでなく、全体の
従業員、或いは全重役の人といえ
ども同様な
有様である。けれ
ども有し
くも国民に
料金の
値上げを強うる以上は、これは適当な時を以て、或いは漸次こういうことを
合理化するということは、なさなければならんことでありまするから、徒らに政治的に、或いは社会的に左顧右晒すべき問題じや当然ないにきま
つております。けれ
どもこれらの
情勢を斟酌してや
つて行くということになりますると、その
意味の
合理化というものは遅れる。その遅れたものを
原価に織込むということは、理論的にどんなものであろうかということを
考えますると、今日
合理化未だ行われずといえ
ども、或る
程度合理化は行われると仮定した場合の、
料金の織込みは如何にするかということが、これから我々として
業者の提出したものについて
検討を加えなければならん問題と思
つております。それはこの
算定基準標準の
大綱においてその
意味は謳
つておると思うのであります。
次にこのサービスの面であります。
公益委員会としてものの
算定をします場合に、ただ高いから悪い、安いからいいということのみ
考えておるわけに行きませんので、やはりすべてに向
つて適当な
原価主義を応用しなければ、その需用する
立場のかたには非常な不公平な
立場に当ることは当然であります。
産業別にとりましても、例えば
硫酸工場のごとき、石炭が
上つてガス法が引合わんというと、
電気が安ければ全部
電気に変
つて来る。そうしますとこの安い
電気を或る
程度まで是正しなければ、他の
産業方面が、
電気を
使つてお
つたほうからそれだけ圧迫を受けて来るということは当然なことであります。これも或る
程度ガス法と
電気法とが非常な通いがあります場合には、我々がそれを是正するという
意味からでなく、
旧来余りにそういうことについて、低廉な
電気料金が多少
上つても、これは止を得ないものであるという
一つの
原価的基準は持たなければならんかと思いまするが、さりとてこれが直ちに大きな影響を及ぼして、遂に国家
産業或は農業政策に悪影響を来すが、ごときことは相当考慮せんならんことであります
がために、各社のこれまで出しておりまする試案と申しまするか、それに向
つて、今回どういうふうに出ますか知れませんが、これによ
つて考えなければならん
状態であります。これに含ま
つて例のアロケーシヨンの問題が入
つております。このアロケーシヨンの問題は、
原価主義から申すと、或いは甚だ不合理かとも思いまして、各社は努めてアロケーシヨンをなくすることによ
つて、
算定基準を出しておられまするけれ
ども、今日の
情勢において各官庁の意向或いは
関係筋の意向を斟酌しますと、或いは当
委員会あたりの御
発言の
状態から
考えますると、俄かにさ
ような割当制を廃止することが如何であろうかということも同時に
考えられるに至
つております。これらの
考え方を基として、私
どもは今度出たものについて、深い
検討、考慮を加えんならんものと思うておりまして、
検討されたものそのまま生まのままで、もとより今回は
公聴会にも付せなければならんことにな
つておりまするけれ
ども、
業者も最近この
算定基準の精神に基いて、多少
変更を加えられるものと信じておるのであります。
それからこれにありまするフエアレターンについても、相当資本に対してのフエアレターンでは困る、それは努力というもののフエアレターンでなければならんというごとき
解釈、及びその御注意は相当受けております。これについても御尤もであ
つて、決してそれを反駁する今日は
考えを以て申上げるわけではありません。もとより努力なくして資本は独りで動くものでありませんが、このフエアレターンの精神は、人間に向
つてフエアレターンされるというより、むしろ
電気事業のごとく民衆のサービスに対して働かなければならんものは、やはり機械並みに施設を持
つて、即ち豊富なる
電力を以て、そうして適切に各需要家の欲望を満して行くということが、もうサービスの本位に相違はないのであります。この
立場から申しますと、フエアレターンというものは、無論人間に来るという
考え方より、資本そのものにフエアレターンがされない限りは、資本は常にその
発達する、或いは改良される機能を失
つて、そうして常に常に貧血の
状態に陥り、或いは栄養不良の
状態に陷る、極端に申しますると、設備の荒廃に陥る。その結果はサービスを全うすることはできないことになるであろうかと思います。でアメリカのフエアレターンに関しまするパンフレツトを最近翻訳をしてもらいましたのを読んで見ますと、フエアレターンの精神というものは、即ちサービスの精神と裏腹になるものである。而うしてそのフエアレターンのサービスにおける精神は、現在の需要家……、