○
参考人(鬼頭忠一君) 当
特別委員会におかれましては、このたびの
電気料金の
値上げの問題につきまして、それが国民経済並びに
国民生活に及ぼす
影響の重大性に思いをいたしまして、且つ又輿論の動向を早くから御洞察に相成られまして、連日この問題につきまして御
検討を加えて頂いておられることに対しまして、我々は
関係者といたしまして感謝の念に堪えない次第であります。硫安協会といたしましての本問題に対する
意見は、かねてお手許に御覧を頂いております
電気料金値上げ問題に関する
意見書に大体盡きておるのでございます。御一読頂きますればそれで御理解頂けると思うのでありますが、一応その要点につきまして二、三の点を申上げて御
参考に供したいと思います。硫安工業と農業政策との
関係につきましても、永井さんからお話がありまして、すでに
皆様もよく御
承知頂いているところであるのでありますが、この硫安工業といたしましては、大口の
電力使用者の中でも、或いは最も大口の使用者になるのではないかと思うのであります。いわば御案内の
通り製法を大きく分けまして、電解法とガス法ということにな
つているのでありますが、ガス法におきましても、一トンにつきまして八百キロワット・アワー乃至千キロワット・アワーの
電力を消費いたします。電解法におきましては約三千八百キロワット・アワーの
電力を消費するのであります。従いまして仮に一円の
値上げになりましても、そのキロワット・アワーをお掛けになれば、どれだけ上るかということがすぐおわかりになるわけであります。仮にガス法で申しますと、ガス法でできました硫安は、
電力以外の原料であります。コークス、
石炭の非常な
値上りのために、ガス法の製造業者はすでに採算を割
つているという状態であるのでありますが、たのたびの
電力の
値上げが実現されました暁には、これは一応申上げておきますが、我々といたしましては、この
電力会社の値上試案というものが再三変りまして、三遍も六遍も変
つていると聞いているのでありますが、一応今申上げますものは、恐らく三回日頃の試案によ
つたものではないかと思われます、その点が明らかでございませんが、大体その中頃の案であります。それによりますというと、大体
電力の
料金は硫安工業におきましては、三十割以上の
値上げになります。即ち三倍以上の
値上げになるのであります。従いましてガス法におきましては只今申上げましたように、現在非常な苦境に陷
つているにかわからず、その上約、これは一叺十貫が標準にな
つておりますが、七十円以上のコスト増嵩を来たす結果になるのであります。電解法におきましては、先ほど永井さんが言われましたように、硫安一叺以上の二百円以上のコストが上るということになるのであります。先ほ
どもお話が出ましたように、硫安の
価格は農業改策と直結している。言い換えれば米価と直結しております
関係から、政治的にも非常にいろいろの制約を受けるのでありまして、極く僅かな数円の
値上りが余儀なくされようといたしますような場合にも、肥料界の代表者は三大臣並んでおられるところに呼ばれまして、自粛のお願いを受ける。こういう状態にあるのでありまして、なかなかコストが
相当かか
つたからというので、容易に
値上げができない状態に置かれているのでありますが、併し今回のように、こういう法外な
コスト高というものに万一遭遇いたしますれば、これはどうも硫安業界といたしましては、全く手を上げざるを得ない。硫安工業を継続さしてや
つて行くためには、それだけのものを上げざるを得ないということになる。それが辰村の経済に及ぼす
影響、主要
食糧に及ぼす
影響、延いては
国民生活に及ぼす
影響ということは、これはもう申すまでもないと思うのであります。然らばどうしてこういうふうな法外な
電力料金の
値上りが硫安工業に対して行われるようになるかと申しますと、これはこのたびの
値上げの
計画ということが軍に一時に大幅の
値上げを一挙に行うということでなく、それだけでも大変なものでありますが、六割、七割というものを一遍に
値上げをすりということもなかなか承服できんことであります、同時に
制度も
根本的に変えてしまう、どさくさまぎれと申しましては言い過ぎかも知れませんが、大幅の
値上げをする際に
料金の
制度すべてを変えてしまう。これは従来安定本部において各
産業に対して
割当てておりました
割当制度、それによりますれば、我々は一応それによ
つて生産ができる。それで足りない場合には高い
料金を拂
つてそうして足らんところを特別の
料金による
電力を使
つて補
つて行くという方法がとられてお
つたわけであります。硫安工業におきましては、なかなかそういう高い
料金のものを使うことができませんので、大体
割当一ぱいで生産をしまして、それによ
つて漸く満たしてお
つた次第でありますが、今度の案によりますというと、いやでもおうでも総使用量の、これは
電力会社によ
つて違うのでありますが、二割とか三割に当たるものは高い
割当料金を使わなければ生産ができんというふうに組立てられておるのであります。それが
電力会社によ
つて違うから、或るところは六円、或るところは七円という高い特別の超過
料金を拂わなければなりません。こういうことにな
つておるのであります。所によりますと、東京
電力は最近
考えを変えられて、三割とかいうのを二%とか四%とかに下げたということでありますが、あとで申上げますが、それでもなお且つ非常に大きな
値上りであることには変りないのでありますが、大体において、今のように
制度が変
つて行くというようなことが
一つの大きな理由であります。その他いろいろとこういう大幅の
値上げ、特に硫安工業等の十口使用者に対する法外な
値上りを招来する原因等につきましては、先ほどそれぞれの代表者からお話がありましたからこの上重ねて申上げることは避けたいと思いますが、要するに我々の希望といたしましては、今回の
値上げにつきましては、絶対に
値上げ相成らんと今
言つてみたところでしようがないのでありますから、合理的な適正な最小限度の
値上りでありますならば、これはもう承服せざるを得んのではないかと思うのであります。それには
本当に先ず以て
電気事業の
合理化を図られて、その上に
減価償却のごときも世間、並にやる方法も
計画になるというようなこともやられて、或いは
石炭も
本当に困
つて、或いは手に入るだけの
石炭を幾ら幾らであるということ計算されてそれが幾ら幾らになるからこれだけはどうしても組入れなければならんというふうにただ机の上でやるやり方でなしに、もう少し真剣に
検討された結果の経費を見積られて、そうしてその上で、これだけのものは是非これは
値上げをせんといかんのだということになりますれば、それは我々といえ
ども止むを得んと思うのであります。それにいたしましても
値上りというものは順次に順を追うてや
つて頂きたい、かように思うでであります。先ほど三割案でしたか、四割案でしたかというお話があ
つたかも知れませんが、仮に四割
値上げする必要があるときは二割ずつ上げるとか、一例を挙げれば……、そういうふうに一時に大きな変化を
産業界に及ぼす、延いては
国民生活にも重大な
影響を及ぼして行くというやり方でなしに、できるだけ穏健な適当な方法でや
つて頂きたい、かように我々は思うのであります。ここに
意見書の中に書き上げましたこともいろいろと、例えば
料金につきまして一から六まで書いてございます。
割当につきましても一から四まで書いてございますが、煎じ詰めますれば只今申上げましたように今回は値上率をどれだけにするかということの
検討に止めて、そうしてその
制度についてはこれはゆつくりと
一つ研究をして頂きたい、かように思うのであります。でありますから例えば二割に上るならば、皆二割に上げるということであるならば、いろいろ細か議論があるにいたしましても大体といたしましてこれは一応納得が行くのじやないかと思います。その際に
原価主義であるとか、何とか主義であるというようなことを、これは皆
原価を
割当によ
つてやるのだというようなむずかしいことを一遍に
発言されて、これによ
つて料金を計算されますと、非常に大きな不公平ができ、非常に大きな変革が一挙にして行われるという不便もでき、憂うべき結果に相成ると思うのでありまして、その点につきましては
皆様がたにおかれましても
一つ十二分に御
検討を頂きまして御善処を煩わしたいと思うのであります。なおこの機会におきまして
皆様の御盡力をお願い申上げたい点は先ほ
どもお話が出たところでありますが、この
公益事業委員会がこの重大なる
決定権をただ一手に掌握しておるという現在の
制度はこれは当然再
検討せらるべきものではないかと思うのであります。先刻の公聽会を御覧になりましたかたはよくおわかりでありますが、
公益事業委員会に対してそれぞれの政府が、政府というのも何でありますが、各官庁がそれぞれ我々と同じように
意見を述べ、陳情をしておるというようなことは天下の奇観であります。而も国会の
意見を尊重するというような一委員の言明によ
つて、ただ国会の
意見をお聞きしただけで一時に何でも自分の思うとおりに、我々の信念は微動だもしておらんというようなことを
言つて、御自分のお
考えだけを通されるということになり得る
制度というものはこれは当然許さるべきものではないと思うのであります。これは
一つ十分に御
検討を頂きたいと思うのであります。なお
公益事業委員会の運営の方法はこれは
料金決定に非常に大きな
影響を持つものであります。細かいことになりまして甚だ恐縮でありますが、この間の
聽聞会は規則聽聞というのだそうでありますが、規則聽聞におきましては公聽会を開く二十日前に
聽聞会をこれこれの事項について開くということを官報に公告するということにな
つておる。今度は処分聽聞というのだそうでありまして、処分聽聞は
値上案なるものを直接俎上に載せるわけでありますが、これは十四日前に公告をする、こういうことにな
つております。それでその公告を我々が受けて、先回でもこれは
新聞で拝見しまして驚いてこれは大変な
基準というものが飛び出して来たなと思
つて伺
つて見ますというと、これは諸君の
意見を聞くことにな
つておる、こういうことであ
つたのでありますが、どういう手続で聞けばいいのか、我々も呼んでもらえるかということを聞きますと、そういうこと官報に載
つている、いついつの官報に載
つているということで我々調べて初めてこういう規則がこういうことによ
つて行われているというようなことを
承知した次第であります。今度は
皆さんの御盡力によりましてこれが非常な問題にな
つておりますので、従来のようなことはないかも知れませんが、併し我々といたしましては、例えば
値上案の内容なるものも十分に説明を承わり、
検討をさせて頂いてそうして
意見を述べさしてもらうということにして頂きたいのであります。この間の
聽聞会のときには
基準案というものが
新聞に出て、又官報を我々見て
承知したのでありますが、それに対する説明というものは、説明書といたしまして我々の手許に届きました、のは土曜日の夕方であります。
聽聞会は月曜日の十時から始まるのでありまして、或る
出席者のごときはその朝やつと手に取
つた、それを見て
基準案というものはこういうものであるかということを初めて知
つて、そうして
聽聞会に乗り出す、ところが
聽聞会へ行きましても、かねて提出してある
聽聞会で述べようとする
利害関係者の
意見の盛
つてある趣意書、それを逸脱して
発言してはいけないということにな
つておるのでありますが、そのときに気が付いたときには実はもう遅いのであります。そういうような不親切でなく、十分に我々が
検討ができ、
電力会社の意向も我々は十分に呑み込めて、そうして
値上案が
決定に至るという順序を踏み得るように、
一つそれには少くとも一カ月以上のそういう我々の研究期間といいますか、説明を聽取する期間、そういう期間を頂きたいのであります。我々は
電力会社の経理状況がどういうふうにな
つておるか知らされておりません。それもできる
範囲内において一応我々が
承知でぎそうとしてそれに基いて適正なる
値上げということがどこまで止むを得んのであるかういうことも、我々が
考えることができますようなやり方にしておいて頂きたい、かように我々は念願するのであります。どうぞ
皆さんがたにおかせられましても、それらの点につきましても、どうか何分の御配慮をお願いいたしまして、
本当に
公益事業委員会なるものは、
本当に
公益事業委員会らしい立場を発揮できますように何分の御考慮を頂きたい、かように存ずる次第であります。これで一応私の陳述は終ります。後刻御質問は対しまして又御説明を申上げたいと思います。