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1951-03-26 第10回国会 参議院 電気通信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年三月二十六日(月曜日)    午前十一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件有線放送業務運用規正に関する  法律案衆議院送付)   —————————————
  2. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) これより会議を開きます。  日程に追加して、有線放送業務運用規正に関する法律案を議題に供します。衆議院電通委員長提出であります。本法案説明衆議院電通委員会理事高塩三郎君が見えられておりますので、提案理由の御説明を願います。
  3. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) 私、衆議院議員電気通信常任理事高塩三郎でございます。有線放送業務運用規正に関する法律案提案理由につきまして御説明申上げます。最近北海道を初め全国に亘りまして、有線放送施設が急激に増加いたしまして、その業務内容も、当初はラジオ共同聴取目的とするものでありましたが、漸次これに併わせてマイクロフオンを設け、官公庁公示事項農漁業協同組合等連絡事項農事水産等の指導、緊急事件その他の隣保周知事項の外、各種の講演、講座、慰安娯楽商業広告等番組編集して放送し、時には選挙運動にも利用されるようになつたのであります。これらの有線放送は、多くは農漁村において発達を見ておりますが、有線放送業務形態としてはこのほか、商業広告を主とするいわゆる街頭放送がありまして、全国の都市に亘り逐次増加の傾向を示して来ております。  農漁村等における有線放送は、無電力地帯乃至ラジオ電界強度の低い地域における無線放送聴取方法として或いは交通通信の便に乏しい地方における隣保的連絡手段として、現実の必要に駆られて発達したものでありまして、その業務運用が適正に行われておれば、国としては特にこれに干與すべき限りではないのでありますが、各方面の調査によれば、これらの有線放送及び街頭放送は、今日特別の法的拘束なく自由に番組編集して、これを放送しているため、時に報道の真実を害し、政治的公平を欠き、或る場合には、その放送によつて公安を害する慮れすら予想せられる実情にあるのであります。  いわゆるマス・コンミユニケーシヨンの方法として相当強力な伝播力を有する有線放送をかかる実情に放置することは、公共福祉を保持する上に一の欠陥をなすものでありまして、立法手段により、有線放送業務放送番組につき、無線放送におけると同様の規律を與えることは、現下諸般の情勢に照らし、極めて緊急且つ重要なことと存ずるのであります。これが本法律案を制定しようとする理由であります。  次に法律案の大綱を御説明申上げます。  本法律案は、本則十六條附則四項よりなり、冒頭に法律案目的を掲げ、第二條において「有線放送」の定義を定めるとともに、第十條に適用除外に関する規定を設けて、法の適用範囲を明らかにしております。  この法律案の眼目といたしまするものは第四條の規定でありまして、即ち、放送法中、放送番組に関する規定のうち、放送事業者全般規律する放送番組編集の自由及び公安並びに政治的公平の保持、報道の事実並びに中正に関するラジオ・コード、その他訂正放送候補者放送に関する規定は、いずれもこれを有線放送業務に準用したのでありますが、これらは言論及び報道に関する最小限の規律であり、有線放送番組についてこれを適用することは、公共福祉を維持増進する上から必要適切な措置と考えるものであります。  本法律案のその他の規定は、多くは本案の施行を確保するための有線放送業務を行う者の届出義務その他報告、監査、業務の停止、運用の制限、異議の申立に関する規定及び罰則規定でありまして、特に御説明を加うべきものはございません。なお、附則において施行期日は「公布の日から起算して三十日を超えない期間内において政令で定める」旨を規定し、又、本件行政所管庁たる電波監理委員会設置法の一部に所要の改正を加えております。  以上御説明申上げましたが、速かに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 最近顯著な発達をしております有線放送に対しまして、私も或る種の監督法律を必要とするということを考えておつたのでありますが、只今説明がございましたように、衆議院のほうからこれを立案せられまして、御提案になりましたことは、極めて時宜に適した措置だと感じております。そうして又内容につきましても、極めてよくできておりまして反対するところはないのでありまするが、一応委員会提案でありまするし、又今後電波監理委員会規則によつて細則をきめられることと思うのでありまして、これらの点も考慮いたしまして、一つの確認する意味におきまして御質問申上げたいと存じます。  その一つは、この附則の第四項によりまして、本法、即ち有線放送業務運用規正に関する法律は、電波監理委員会設置法の第三條に次の一号が加えられて、所管電波監理委員会ということになつております。そこで第二條有線放送定義でございますが、その一、二、三と、その態様はいろいろあるようでありまするが、有線電気通信設備によつて送信され、又は再送信されるということになつております。そこで有線電気通信設備というものは、この定義ははつきりいたしておりませんが、電気通信省設置法の第二條によりまする電気通信設備であり、そうしてこれが私設設備であると解釈されるのでありまするが、そう解釈してよろしうございますか。
  5. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) お答え申上げます。電気通信省設置法二條電気通信業務及び電気通信設備定義があるのであります。又国際電信通信條約には電気通信定義があります。この法律案有線電気通信設備とは、これらの定義に準拠いたしまして、特にこの法律案において定義を掲げなかつたことは、法律語として熟していると考えたからであります。
  6. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 従つてそう解釈いたしまして、設備につきましては、電気通信省設置法の第四條第二項の「有線私設設備規律及び監督に関する事務をつかさどる。」、こう解釈しております。その設備につきましては、第四條を適用して電気通信省所管に属しておる、こう解釈してよろしうございますか。
  7. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) その通りでございます。
  8. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 その次は第五條の再送信同意の問題でございます。これは放送法の第六條と同じ趣旨であると考えます。第六條は、著作権保護規定ばかりでなく、その編集が再放送の際に歪曲されるということに対する保護、こう我々は解釈しております。そこで放送協会共同聴取の場合でも、放送が中断されるような施設のある場合に、この規定の存在の意義がある、こう解釈してよろしうございますか。
  9. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) 大体その通りでございますが、なお附加えて御説明申上げますが、第五條の再送信同意に関する規定で、NHKをも含めた無線放送事業者同意を要することといたしましたのは、中継、特に録音中継の場合における放送著作権保護と、いわゆるこまぎれ放送による権利の侵害を防止するためであります。
  10. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 そこで協会は、共同聽取という形をとつておるのでありますが、この場合は、放送協会はここにいう有線放送事業者契約を結ぶのではなくして、有線放送によつて標準放送受信できる受信設備を持つておるものとして、それに繋がつている世帶対象として結んである、こう解釈してよろしうございますか。
  11. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) これは放送法第三十二條の解釈問題でありまして、本法律案の直接の問題ではないので、以下申述べることは單に御参考とするにとめて頂きたいのでありますが、放送法第三十二條には「協会標準放送受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送受信についての契約をしなければならない、但し、放送受信目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない。」とありますが、放送法施行規則五條は、受信機の附属する拡声機一個ごとに受信契約を要することとしておるのであります。この施行規則によつて事実上放送受信ができるのでありまするから、適法であるという説と、拡声機のみでは受信できないから、法律違反であるという説とがあるのでありますが、我々はこの法律案によつて、そのいずれの説にも左袒せんとするものではありません。但し我々衆議院におきましては、大体鈴木委員と同様なる解釈をとつておるのであります。
  12. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 その次はこの定義の問題で、これは大した問題ではないのでありまするけれども、ここに一、二、三と、その有線放送の大要が書かれておりまして、一つ定義を言つておるわけでありますが、ここに一区域内という言葉を使つておりますが、これは、一、二と三との関係によつて、ここに一区域という言葉が出て来たのかとも思います。又三條の電波監理委員会規則が制定されると思うのでありますが、その届出の場合等に必要であるかとも思うのでありますが、どうも一区域内という言葉がはつきりいたしておりません。電話の加入区域のような実益が一体あるのか、例えば東京におつて一つ設備を持つてつて、それが千葉県のほうと、或いは神奈川県のほうと二つに分かれておるような場合には、一体一区域内であるかどうか、そういう点に対して多少一区域内というのがはつきりいたしませんので、この際はつきりしておきたいと思うのでございますが、その点どうですか。
  13. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) お答え申上げます。有線放送定義するに当りまして、これをいわゆるラジオ共同聴取と、マイクロホンを設け自己番組放送するものと、街頭放送の三種といたしまして、これはこの法律案自体といたしましては、このように区別する実益に乏しいのでありまするが、第四條では、二号、三号を別扱いといたしておりますが、この三者が相当業務形態を異にしている関係上、施行命令或いは有線電気通信法関係で、将来差別をすることあるべきことを予想したからであります。この区別をつけようとする場合に一号及び二号と三号の街商放送区別する特徴といたしましては、前者は一区域、これは大にしては一村、一部落、小にしては一建物内でありまするが、ともかくもこの拡がりを持つた区域放送区域放送法上の観念、とするものでありまして、後者の場合は場所的放送であるという点を捉えることが最も適当と考えたのであります。この特徴を捉えないと一、二号と三号とを区別することは困難であります。この観念は第十條第二号の有線放送区域という表現に現われているのであります。
  14. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 そうしますと只今私がちよつと例をとりましたように、東京におつて千葉県と神奈川県というふうな区域を持つておるようなものは、これは一区域と言えますか、それぞれ一区域と解釈すべきか、いずれでございますか。
  15. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) それは二つ業務と解釈しております。
  16. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 二つ業務ですね。その次はこれも細かい問題ですが、第十條の「臨時且つ一時」という言葉を使われまして極めて念の入つたきめ方をされておりますが、これは非常にむずかしいと思うのであります。まあ臨時というものは経常的なものに対して臨時、一時というのは恒久的なものに対して一時と、こう解決できるのでありますが、これは臨時且つ一時でなければならないというので、例えば例を博覧会に取りますと、博覧会をやつておる間やるということ、博覧会というものが臨時であるから、これは臨時である。これは三カ月間開かれたとすると、その三カ月間をやつておることが臨時且つ一時になるか、この臨時且つ一時の点を一つはつきして頂きたいと思います。
  17. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) お答え申上げます。  臨時とは勿論経常的でないもの、例えば博覧会運動会等の場合でありまして、選挙運動のためにするものも多くこれに属すると考えております。一時とは短期の意義でありまして、臨時且つ一時は臨時と一時の二つ條件が併せ備わるとき初めて適用を除外されるのであつて、例えば五カ月に亘る博覧会臨時ではあるが、一時ではないから適用除外とならないものと解釈しております。併し現実には無数の複雑な事態を生じまして、一々これを法律規定することは不可能でありまするから、第十一條に「細目は、電波監理委員会規則で定める。」ものといたしております。
  18. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 立案者がどの程度期間を一時と考えておられますか。
  19. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) お答え申上げます。これはそのときの状態によつていろいろ違いますが、大体社会的通念によりまして一カ月以内を一時というふうに解釈しております。
  20. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 同じく十條でございますが、第六号、結局全部を包括するという意味において、ここに載つておると思うのでありますが、「その他前各号の業務に準ずる有線放送業務であつて、」とありますが、「準ずる業務」というものはどういうものをお考えになつておりますか。
  21. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) お答え申上げます。有線放送業務形態は非常に多岐多様でありまして、その業態に鑑みまして、適用除外をするものは、第十條の一号乃至五号のほかにもあるかも知れないし、只今はなくとも将来生ずるかも知れないので、第六号を設けたのであります。現在予想せられるものといたしましては、例えば、イ、郵政本省電気通信省分室のごとく一つ建造物内に二つ官庁が割拠しておるような場合、これは二号にも三号にも該当しないもの、口、信号のみを送信するもの、即ちチツカーなどがそれであります。
  22. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 今一つ、郵政省と電気通信省の例をとられましたが、この二号、三号でございます。官庁一つ官庁であれば場所はそう飛び離れてあつても問題にならない。その他のものの場合には二号で一つ建造物で、而も世帯や事務所を別にしているものはいけない。これはわかるのでありますが、非常にその差が大きいように考えられますが、そうおきめになつ理由はどこにありますか。
  23. 高塩三郎

    衆議院議員高塩三郎君) 専門員のほうから説明して頂きます。
  24. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 官庁方面と、それからその他一般民間とにつきまして差別をしました理由は、官公庁方面におきましてはその職員はすべて国家公務員法適用を受けておりますし、大体一定の枠内において仕事をしておるものでございます。有線放送施設が仮にあるといたしましても、その運用につきまして十分信用を置き得る。特に法律を以てこれを規正する必要に乏しいと考えまして、その点民間差別をいたしておるわけでございます。
  25. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 附則の第二項でありますが、現に有線放送業務を行なつている者は、この法律施行の日から九十日以内、その間に届出書を出せ、こういうのですけれども、九十日は少し短かいという感じがいたしますが、現在の業種の三百ぐらいあるのですか、多分できると思うのですけれども、これによつていろいろ施設の変更その他もしなければならないと思われるのでありますが、如何なものでしよう。
  26. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) この有線放送運用規正を行いまする行政官庁といたしましては、成るべく早く有線放送の実態が、これから開始せんとするものは届出により、現に行うものも、この附則第三項の規定によりまして、状況がその行政官庁の手許において明らかになるということが必要であると考えまして、大体九十日の期間を以ていたしますれば、この届出書提出義務を課しましても余り苛酷ではない。同時に余り長きに失しますると、その状態がいつまでも明らかにならないということを考えまして、九十日といたしたのであります。
  27. 鈴木恭一

    鈴木恭一君 私の質問はこれで終ります。
  28. 水橋藤作

    水橋藤作君 只今鈴木さんの質問に関連すると思いますが、先ず九十日以内にその旨の届出電波監理委員会提出しなければならないというのですが、この法律施行されて全国的にこれを周知させることはなかなかむずかしいと思うのですが、如何なる方法によつてこれを周知させるのか、どういう御見通しを持つておられますか。
  29. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) この法律が制定公布せられました暁においては、これが周知を図るということは最も肝要なことと存ずるのでありまして、これにつきましては、本件行政所管庁である電波監理委員会においてあらゆる方法を講じて極力周知に努力せねばならぬと思つておりまして、それはすべて行政官庁の責任においていたすわけでございます。恐らく行政官庁といたしましては、例えば、この大部分はいわゆる共同聽取でありますから、NHK無線放送を通じ、その他新聞その他の機関を動員いたしまして、周知を図ることと考えております。
  30. 水橋藤作

    水橋藤作君 意識的に宣伝が十分に行き届いて、そうして、現に事業を運営している方面では或いは届出するところもあるかも知れず、又宣伝が不十分であると、無意識に届出でない場合もあり得ると思うのですが、若し届出なかつた場合の処置は、どういうふうに考えておられますか。
  31. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 若しこの法律規定に違反いたしまして、届出をいたさないとか、或いは虚僞届出をするというような場合におきましては、罰則適用があるのでございまして、即ち附則第三項におきまして、第十四條の第一号を準用いたしております。これによりまして、罰則適用を見るということになります。
  32. 水橋藤作

    水橋藤作君 附則にある罰則規定も私よくわかつておりまするが、併しそれを罰則規定をするまでに調べが並大抵ではないと思うのです。その点がむずかしいのじやないかと思うのですが、これは意識的にやるのもいるだろうし、無意識的に届出をしないのも全国的には相当あるんじやないかということを懸念するのですが、その程度のものではやはり思つたように向うから届出て来ない結果が起きやせんかということを心配するのでありまして、努めてそういう方面に啓蒙宣伝なり、或いはそれを調査するための費用も相当かかることと思うし、又出張費も出さなければならんということで、相当これは大きく予算を伴うのじやないかということを考えまするが、まあできるだけそうしたことのないように御努力願いたいと思います。  それからもう一つ先ほど鈴木委員の御質問の中でちよつと私はつきりしなかつたのですが、この一区域内と申しますのは、鈴木委員も聞いておりましたが、我々は一区域という区域範囲がはつきりわからんのですが、今の説明ではちよつとわかりにくかつたのですが、部落單位とされるか、町を單位とされるか、市を單位とされるか、或いはどの範囲を一区域内とされるのか、ちよつとこれに対とての御説明をもう一遍お願いしたいと思います。
  33. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 有線放送のうちこの第二條の第一号及二号に掲げまする形態のものは、御承知の通り大小非常にまちまちでございまして、大なるものは一町一村に拡がつておると思います。殊に北海道におきまする一村等は御案内の通り非常に広大でございますから、かなり大きな地域に亘つておるのであります。  それから又小さいものになりますると、東京の世田谷におきまする引揚寮のような、或る構内とも言うべきものが一円であるというような場合もありまして、多岐多様に亘つておりますが、とにかく先ほど高塩理事より御説明申上げたごとく、何か二号と三号を区別いたしますにはどこかに区別標準をつけなければならないのでありまして、仮にこの二号におきまして一区域内においてという言葉を除きますると、実はこの三号をも二号の中に包含してしまうという結果になります。それで先ほどもお話がありました通り、この法律案におきましては、二号三号と区別いたしましてもさして実益はございませんが、これを受けまする施行政令その他におきまして、恐らく区別実益を生ずることがあろうと考えます。現に衆議院におきまする委員会審議過程におきましても、街頭放送というものはちよつとその他の有線放送とも色の違つたものでございまして、これをそもそも規正対象に入れるべきか入れないほうがよいかというようなことについても種々議論がございました。それから又有線電気通信法只今立案中でございますが、これはまだ議論範囲でございますが、街頭放送設備については届出主義をとる、それからその他の有線放送については許可主義をとるというように、いろいろ差別して考えるということが予想されますので、それでこの定義に二号と三号とを分ける、分けるについてはこの区域という観念を用いたという次第でございます。
  34. 山田節男

    山田節男君 この有線放送業務運用規正に関する法律案ですね。これについて、技術的な面について電波監理庁のかたに確かめて見たいと思うのですが、この法案によりますと、第二條有線放送定義がしてあるわけです。第一号、第二号、第三号の中に、テレビジヨン有線放送のことが書いてありますのは、これはテレビジヨン有線放送、今ラジオで問題になつておる共同聴取と同じように、テレビジヨン放送局からそれを親受信機が受けて、そうして今共同聽取でやつておるような單にスピーカーだけをつけて音響を聽くというように、そういう映像がスピーカーのような簡單なものでレシーヴできるものかどうか、技術的にこれを確認したいと思うのですが、どなたか技術のかたいらつしやいませんか。
  35. 網島毅

    政府委員網島毅君) お尋ねの点は誠に御尤もでありまして、現在の技術におきましては、あたかも音声の放送におきましてラウドスピーカーだけで聽けるというような、簡問な受信セツトはまだできておりません。併しながら、アメリカ等におきましてテレビジヨン中継ということはすでに行われておりまして、甲の地点から乙の地点中継しまして、そうして乙の地点から再放送するということは、すでに行われておるのでありまするが、その再放送に当りまして、電波を使う代りに線を使つて行くということも、これは当然予想されるわけであります。ところで、線を使つた場合に、電波で再放送をいたしまするように簡單に果してなるかということにつきましては、これは各方面でまだ研究の過程にありまして、勿論只今はつきり申上げることはできないのでありまするが、私どもの想像といたしまして、少くとも線を使う限りにおきまして、電波を使うよりも幾分簡單になる。法規の点でありますとか、或いはその他いろいろ細かい技術的な問題がございまするが、そういう問題につきましては、多少緩和することができるということは、只今でも予想できます。併しながら、先ほど申上げましたように、ただ單にラウドスピーカーで聽くのと同じように、そこにブラウン管だけ持つて来て見れるかということになりますると、ちよつと今のところでは困難ではないかと思つております。
  36. 山田節男

    山田節男君 今テレビジヨンの專門のかたからお聞きしたいのですが、これは私も現実テレビジヨン放送というものを見ておるうちに、中継ということになれば、この第二條は、テレビジヨンに関する限りは、中継と見るかどうかということになります。テレビジヨン中継というものは、これはその施設に非常な金がかかるものであります。現にニユーヨークのエンパイヤ・ステート・ビルデイングあたりで二百十六フイートのテレビ中継アンテナを設けているが、その費用は莫大なものであります。それから私の知つているところでは、カンサスやシカゴの放送局から中継するためには、相当な金が要るのですね。そうしなければ、テレビジヨン中継ということは目的を達しない。元来この法律案が参議院で問題になつたのは、いわゆるラジオ共同聽取の問題です。ラジオ共同聽取のように、親受信機が受けて、單にラウドスピーカーだけでレシーヴすることができる、そうして而もそれが二百円かそこらのラウドスピーカーで以て放送が聞けると、そこに本法律案の根本的な問題がある。テレビジヨンを入れるということになると、今網島委員長説明されるように、ただ單にララウドスピーカー代りブラウン管を置いて、そうして有線でやれば映像し得るということであれば、これは至極く簡單です。それからテレビジヨンに関する限りは、私は中継の場合においてもそれからブラウン管でラウド・スピーカーと同じように簡單テレビジヨンができる、これは意味をなさないじやないかと思う。例えばクラブとか、レストランとりカフエなどでテレビジヨンを置いて、そうしてそこに集まつて見る。まあ広告を兼ねてやる、これは別問題です。本法案の趣旨とは違うのです。ですから私は第二條の一、二、三にあるテレビジヨンの問題は我々が主たる問題としている共同聽取の問題とは性格が違う。技術的に見ても第二條テレビジヨンを入れるということは非常に私は技術的に見て、少くとも今日のテレビジヨン技術的な発達の段階では意味をなされないのじやないかと思うのです。こういう点について衆議院のほうで御論議になつたかどうか、一つお聞きしたい。
  37. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 御尤もな御意見でございまして、その点は衆議院の審議の過程におきましてもいろいろと論議せられたのでございます。この法律案につきましては立案の基礎といたしまして二様の考え方がございまして、大体現在の状態を捉えて、それを規正して行くという考え方と、それから相当長期に亘つて考えまして将来のいろいろな予想される態勢も捉えて規正するという形と考えられるわけでございますが、その点につきましてもいろいろ論議せられたのでございまして、当初は私どもに現実の事態を捉えるというふうな趣旨で立案をいたしたのであります。然るにその後いろいろな方面から意見がございまして、有線放送業務運用規正と銘打つて法律を、單行法を作る上からはテレビジヨンまで発展いたしませんでも、例えば相当電燈線、電話線等を使用いたします都市におけるやや規模の大きい有線放送というものを、これが現在はございませんようですが、若し現われましたら直ちに対象になるものだろう、そういうものを予想せられる以上は、有線放送業務という題目を掲げます以上入れなければならん、それから発展いたしましてテレビジヨンも現在においてはもとよりございませんが、将来こういうものが実施されるということが予想せられるので、この法律の形をそういうものにも備えておくほうがよいという有力なる意見が出まして、さような趣旨に改めたのでございます。審議の過程は大体そういうのであります。
  38. 山田節男

    山田節男君 御趣旨はわかるのですが、やはり法律は飽くまで具体的でなくてはいけない、観念的であつてはいけない、殊にこういつたような現実業務として、ビジネスとして行われる問題について單なる将来を予想するという観念的な考えでテレビジヨンを入れる。少くとも現在の段階でテレビジヨンというものは技術的にもそういうブラウン管ラウドスピーカーと同じようなものに、簡單に而も安く、今のブラウン管だと少くとも数万円かかるのじやないかと思う。そういうものは大衆化することは極く将来の問題で、これは衆参両院の懇談会でも私は話したのですが、大体單行法案にするということを衆参両院で御意見が一致した。ですからこれは将来電気通信法が国会に出され、それから電波監理委員会設置法なり或いは放送に関するいわゆる電波委員会設置法を含めて、この三法、これを成るべく動かさないという立場で、よりむしろこれは暫定的な單行法案として行くように意がまとまつたように了解している。そういうことなれば何も苦心して技術的に不可能なものを我々素人が考えても、アメリカの現状を見ても、有線でこれをやつたとしてもレシーバーの問題が今のままで行けば、二百五十ドルのものを買つてもこれが約十万円になる。そういうものまでここの二條のカテゴリーに入れるということは、殊に現実的であるなれば、具体的であるなれば……、法として少し効を失するのではないかという点に私は非常に疑念を持つている。なおこれは電波監理委員会のほうでもこのブラウン管が例えば三万円なら三万円でできるという、何かもつと大量生産ができるにしても、これは本法律案の制定の根本趣旨から逸脱していると思う。観念的には考えられるが現実的ではない。今砧のNHK研究所で放送しているものをアマチュアがレシーヴしているものもあるが極めて僅かである。こういう観念的なものを対象として入れるということは、仮定的な法律案であるという立場から見ても、私は妥当ではないかと、かように考えますので、私は一応この点を皆さんに御審議願いたいと思います。  第二に有線放送の点です。いわゆる届出主義、これは認可主義か届出主義か、これは重大な問題だと思う、殊う電波監理委員会は第六條によれば監査官を設け、監査するという立場になつている以上、届出主義がいいか認可主義がいいか、これは外国のことになりますが、ルール地帶では共産党が第五列のいわゆる思想戰の、これはもう共産党も民主主義もどちらでもそうでありますが、この第五列的な極めて巧妙な政策の一つとしてやはり放送を使うのです。こういうようなことから考えて、第六條に電波監理委員会の監査ということを認めている以上は、片方で届出主義で行くということはとにかく矛盾するのではないか、この点は私は立法者としてどういう気持でこれを書いたか、殊に街頭放送の、例えば日本ぐらい街頭放送が無制限に行われてやかましい都市はない。私は澁谷なのですが、澁谷でしばしば聽くけれども、例えばレストラン、カフエ、映画、芝居、こういうような放送を聽いて見ると、実に卑猥な言葉を使つておる。そういつたようなことはやはり風紀関係から見てもこれは單なる届出主義でやるということだけではいけない。その罰則によれば、届出を怠つたときは罰金を科することもできますが、殊に認可主義、届出主義ということについて根本問題がある、私かように考えるのでありますが、これは立法者の建前としては街頭放送届出主義でやるということは別に、無制限なのですか。都市の靜粛、今都市生活で非常に静粛というようなことを考慮に入れても、なおこれは届出主義で、届出主義という極めてルーズな方針でいいと考えられたのですか、その点を一つ伺いたい。
  39. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) この法律案におきまして届出主義を用いました主たる理由は、実は有線放送設備のほうは電信法及びその附属の命令の適用を受けまして、この方面では現在は許可主義に相成つておるわけであります。それで所管が同一の官庁でございますと双方につきまして許可主義で貫くことができるのでありますが、このように設備方面電気通信省において規律監督をし、番組方面電波監理委員会において規律監督をするということに相成りまして、その双方におきまして許可主義をとるということになりますると、施設者といたしましては二重に免許を受けなければならないということになります。現状におきましては小規模な事業者が多いのでございまして、それらの北海道方面からの事業者からの各種の陳情が参つておりまするが、それらの陳情の内容を見ましても法律規正は受けるが、成るべく簡略に運ぶように立法してくれというような陳情も多数参つております。それらの点からいたしまして、この番組の面につきましては許可主義をとつて行くのが主たる途でございまして、今山田先生のお話のごときこの届出主義をとるということによつて、かかる街頭放送等を奨励する意味も勿論ございませんし、特に又それをなくするほうに持つて行こうという意味も、この法案届出主義をとりましたことにはそういう根拠は考えなかつたのでございます。
  40. 山田節男

    山田節男君 ラジオ共同聽取の場合、特に北海道のような無電灯町村、ああいう所においては私は今言われておる通り賛成です。併しこの法案街頭放送が入つているということになれば、この有線放送の通信設備に関して電気通信省監督するということは、認可するということは、設置の場所とか、或いは設置の施設の完全、不完全、こういうようなことが私はあるだろうと思います。併し我々が概念的に考えなければならんことは、そういう電気通信省監督すべきものは、施設設置の場所、それから施設内容ですね。例えば完全、不完全……、けれどももつと大きな問題は、やはり放送内容なんですね。プログラムによつて放送するというならばそのプログラムの編集について、やはり監督官庁は、これは先ほど申しましたように、これを思想的に反動的な、或いは共産主義者にこれを巧みに利用されるということを防ぐのは、やはり電波監理委員でなければならん。而も業務的に言えば、これは電波監理委員会が主管すべきものだ。ただ問題は施設に関する限り電気通信省がこれを監督すべきであると、内容から言えば、これは電波監理委員会の主たる管轄でなければならん、これは勿論であります。だから技術的に言えば二重の許可制になるということになりますけれども、併し本来から言えば、これはやはり二重許可制になつても、殊に街頭放送を含んでいるということになれば、街頭放送だけを、而も営業的な街頭放送届出主義によつてこれを認可されるということになれば、これは私は相当に規正する必要があるのではないかと思う。だからそこに私はやはり認可制というものが必要ではないか、かように私は考える。これも一つ後ほど当委員会において御審議願いたいと思います。  それから第五條のいわゆる放送事業者の同意を得なければ再送信できない。これは御承知のように極めて最近に実施されるでありましようが、民間放送はこれは商業主義、コンマーシヤリズムでこれは同意を必要としない。むしろ非常に喜ぶのですね。アメリカの実際を見ても、ああいうコンマーシヤルな民間放送であつて、如何にして受信さして宣伝するかということが民間放送の根本政策なんです。ですからNHKとは根本趣旨が違うのです。ですから例えば東京或いは大阪の民間放送業者にこれを著作権の侵害という意味から同意を得るということをここに規定する必要があるかどうか。商業主義、コンマーシヤル・ベースの上において民間放送同意を得るということはおかしいと思うのです。非常に向うは喜ぶのです。一人でも多く聞かしたいという立場の放送ですから、NHKと根本的に立場が違う。これは私は関連を持つと思うのですが、こういうことを全然お考えにならなかつたかどうか。
  41. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) お説のように再送信同意につきましては、民間放送業者は恐らく中継したいことを歓迎するのであつて同意を拒むことはなかろうと思います。尤も同意などは必要がない場合が多いと思うのでございますが、一つには放送著作権規定がございまして、それの関係から放送法にも、御承知のあらゆる民間放送を含めました放送事業者につきまして、再送信同意を得なければならないという規定がございます。それと同様の趣旨にいたしました。さような事例が生ずるか、生じないかは存じませんが、例えば有線放送を行いますものが、民間放送のプログラムのエンターテイニングなところばかりをとりまして、広告というような部面はカツトするというようなことをやる虞れもある、なきにしもあらずと思います。そういうことがたび重なれば、恐らく民間放送同意を拒むということもやはり絶無とは言えないと存ずるのでありまして、要は放送法と同趣旨によりまして著作権保護放送著作権保護のために、かような規定NHK及び民間放送の相互に通じまして設けた次第であります。
  42. 山田節男

    山田節男君 これは民間放送が実際まだ日本に行われていないからわかりませんが、民間放送を実際アメリカで見てそんなものじやない。例えばそれは成るほど有名な役者とかいろいろなのを使いますよ。使いますけれどもそれは広告を入れずに、例えばレビユーだとかオペラだけ、それだけを聞かせるような放送だつたら、民間放送は儲けにならないのです。アメリカのような民間放送の非常に競争の激しいところでは、聞くまいと思つたつて一つのオペラ、一つのレビユーの中に非常に巧みな形において例えば石鹸なら石鹸、歯磨なら歯磨の広告が入るようにしている。それですからこれは実際の、いわゆる日本が技術的にそう初めはできぬかも知れないけれども、やはりアメリカの現状を見れば必ず広告を聞かれるような工合にしている。ですからその部分だけを選つてやることが著作権の侵害になるということは、私は民間放送の商業主義なり放送の実際から見て非常におかしいと思うのですね。この点私はそれだけの必要があると思う公共企業体としての放送協会については、これは又別個の問題として、その他の放送事業者というものが若し民間放送事業を唯一の対象としておられるのだつたら、これはする必要がない、さように考えるのであります。それから第六條で有線放送規正を行われるとするなれば、電波監理委員会が主たる官庁として監査されるわけですが、この法律が来年度の予算以降においてこれが実施されるということになつた場合に、電波監理委員会としてこれは具体的なものはないかも知れませんが、大体こういう法律案ができた場合には、監査機構をどういうふうにするか、どういう制度のどういう機構でやりたいか。それからこれに対してはどのくらいの予算的措置をしてもらわなければならないか、そういうような具体的な御意見をお持ちだつたら電波監理委員会にお聞きしたいと思います。
  43. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 電波監理委員会から本件施行に要する経費の資料が提出してございますから、只今配付をいたしまして、その上で電波監理委員会よりその内容につきまして御説明を申上げます。
  44. 山田節男

    山田節男君 電波監理委員会にお伺いするのですが、第三條のいわゆる有線放送、これは街頭放送を含めてのことを私は質問したいのですが、これは電波監理委員会の立場として、認可主義がいいか届出主義がよいか、どつちを選ぶかということになつた場合に、電波監理委員会としてはどちらがいいという結論なんでしようか。
  45. 網島毅

    政府委員網島毅君) その点は電波監理委員会といたしまして、若しこの法案が国会でおきめになりました曉におきましては、この法案の條文に従つて最善を盡すわけでございまして、どちらがどういうことはないと思いますが、この法案を拜見いたしまして、一応第三條では届出主義になつておりますが、あとのほうには罰則もございます。従いまして委員会といたしましては、届出によりましても、その責任は十分果して行けるのじやないだろうかというように考えております。
  46. 山田節男

    山田節男君 これは議員の提案になつておりますが、電波監理委員会提案した場合、そのいずれをとるか。ただこれだけでなくて、全般的なバランスのとれた法案とすれば、ほかの政令とか、或いは規則だとか、準則だとかいうのがあるでしよう。そういう建前から見て、この法案のバランスから見て、許可主義がいいか、届出主義がいいか。
  47. 網島毅

    政府委員網島毅君) 御承知の通り、この無線の放送に関しましては、放送法によつて全部これは免許制度になつておりますが、これは御案内のように、無線放送におきましては、電波という特殊なものを利用するわけであります。ところでこの電波は限度がございまして、誰でも彼でも希望するものがその電波を使いましてやれるというわけではございません。従いましてその多くの希望者の中から最も公共性の強いものに許して行くという建前から、これを許可制度というふうにしたわけでございます。この放送法の立案に当りまして、無線放送と同様に、有線放送も考えてはどうかという意見もあつたのでございまするが、一先ず有線放送を除外いたしました理由の主な一つは、有線放送におきましては、電波代りに線を使うわけであります。ところがこの線と言いますものは、若し資材さえ許せば、何人も容易に手に入るものでございまして、あたかも新聞社が紙と輪転機を手に入れて新聞を発行するというふうに、それと同じように、線を引けば誰でもその業務が行い得るのであります。ところで現在この新聞紙法はすでに廃止されておりまして、新聞事業は、これは国民がその希望によつて随意にできることになつております。それと同じように、有線放送に関しましても、国民が希望するならばこれをやらせるということが必要ではないかというふうに考えまして、一応放送法から除外したのであります。ところで今回の法案は、その番組面におきましてこれを規正する必要があるという点から、いろいろお考えになつておられるのでございますが、事業そのものといたしましては、この有線放送を行うに必要な資材を整え、資金を整えて参りますれば、これは或るものには許可し、成るものには許可しないというわけには恐らく参らないのじやないかというふうに考えるわけでございます。従いまして仮に許可主義にいたしましても、出て来たものは一応全部許可される、そうして実際その放送を始めてから、法律に違反した場合には処罰されるということになるのじやないかと考えるのでありまして、そういうふうに考えますねは届出制ということと全く同じような効果を持つわけでありまして、私どもといたしまして届出制でいいのじやないかと考える次第であります。
  48. 平林太一

    ○平林太一君 衆議院の高塩君にお尋ねいたします。又專門員にお尋ねいたしたいのでありますが、これはこの法律制定の根本に重大な関係を持つものと思うのであるが、鈴木君の意見に対しまして、專門員から、官庁民間に対する法律適用に対して差別を付けておる、極端に言うと、官庁に対する適用は非常に自由で、法律から除外してあるというふうにまで聞き及んでおりますが、どうもそういうように法律の條項にも示してあるようでありますが、これをいたした理由に対しまして、今一応重ねてその点を説明をして頂くように願いたいと思います。
  49. 吉田弘苗

    衆議院專門員吉田弘苗君) 先ほどちよつと申上げたのでございますが、官庁内におきまする有線放送業務は、多く官庁の職員によつて行われるものと考えるのでございます。官庁職員は国家公務員法その他によりまして一定の規律を受けております。もとより公安を害することも、政治的不公平に亘りますることも、その他この法律案規正せんとするような枠と同じようなものを国家公務員法によつて規律せられておるのでございます。それらの職員が官公庁内において有線放送を行いまする場合には、一応そのほうに讓りまして、特に有線放送業務運用に関する法律案において規正しないでもよろしかろうという考えでございます。
  50. 平林太一

    ○平林太一君 それからそれに対して私から……、今のような説明理由であることによつて、これはこのような処置をいたしてはいかん、いわんや法律の制定というものは、法律適用目的は、これは官庁民間を問うべきものでない。若しそういうことであるならば、官庁に対しては絶対に信頼をして差支えない、だから法律適用外に置く、こういうことは、国会としてはつとにこの民間よりもむしろ官庁に対する規正、取締というものを考えることが、その本質であり、又極めてこれは国家秩序の根抵を成すものである。今のような職員組合において、公務員として一定の枠内において放送せられるることは、法律適用を受ける心配はない、近年の職員組合のそのいたしておるところの言動、行動等に対して官庁自体においては止むを得ずとしてこれを放置しておるが、一般の国民大衆からこれを見たときに、非常に逸脱した非常識な言動が行われていないということを何人が保証することができるか。甚だしきに至つては、異を立つて難をかまえる、これを闘争の渦中に導いたというような事態が、国民感情の上からそれを除外することができないのであります。それであるから、今後の法律に対しては、一律にこの法律なるものは官も民も平等の適用を受けることはいたさなければならない。これは單なる電気通信委員会における衆議院議員提出のこういう法律案に限らず、いやしくもこういう法律制定に当つては、そのことだけに固着してはいけない。法律制定は全般の国家秩序を緊持するために、全体の規正として行うものであるから、いやしくも平等を失してはならないということが最大要諦である。その場合このような別な取扱をするということは、私は只今衆議院側の説明を聞きまして、非常に驚いておるものである。これに対しましては本員といたしましては修正をするにあらざれば、この法案に対するむしろ全体の他に及ぼす影響も十分に考慮しなければならんということを申上げるのであります。殊に官庁に対してほど、法律はこの適用、又は制定に当つては峻嚴でなければならん、いやしくも制定に当つて民間と同一の下にいたさなければならんということは、今日も極めて、私はこういうことを提案するに当りまして、この際十分にそういう注意をしなければならんと思うことは、この法律の制定は官庁自体が先刻来申しておる通り、全く暗礁地帶である、信用を置けん、国家を崩壊に導くものはむしろ官庁に起因することがしばしばある、本日の参議院本会議において昭和二十三年度の、決算委員会における委員長の中間報告を聞きますと、法務総裁の大橋武夫なるものが、昭和二十三年度において当時前職在任中において、二重煙突事件という驚くべき事態の内容が今日発表されております。さようなことに対して、今日而も法務総裁である、当時は復興院の相当重要な地位におつて職権を濫用して、国民の膏血を費消することにおいててんとして恥じない、かようなことを考えて見るにつけましても、官庁法律の除外の点に置くことほど危險なことはない、この問題は有線放送だけの一條文に限られたものであるが、この法律の制定は一條文のものではない、全体のいわゆる法律案制定の概念を把握して法律化しなければならんということを、この際考えざるを得ないのであります。先ずこの問題が本法律案の制定を審議するに当りまして、根本の問題として、以下爾余の問題を検討すべきものであることを私は申述べておきます。衆議院におきましてはこの点十分に考慮せられまして本案に対する良心的処置をみずからとられんことを切望いたすものであります。以上であります。
  51. 大島定吉

    ○大島定吉君 私は聞くところによりますと、ラジオ共同聽取施設によつて、電話等が非常に故障しているというようなことを聞いておりますが、これは届出によつて認可することになつておりますので、そういう点につきましては、電波監理委員会で十分に監督せられると思いますが、届出によつて直ちにこれを指導する……、届出するときば、すでに施設されて届出することもおると思いますので、そういう場合を勘案いたしまして、電波監理委員会はどういう処置をとられるのですか。
  52. 網島毅

    政府委員網島毅君) 只今お尋ねの点は、設備の問題だと思いますが、私どもそういう点につきましては関心は持つておるものでありますが、現在の電波監理委員会設置法におきましては有線設備監督は権限外でございます。これは電信法、並びに電気通信省設置法によりまして、電気通信省所管となつておりますので、電気通信省のほうから御答弁願つたらよろしいかと思います。
  53. 杉山榮藏

    説明員(杉山榮藏君) 只今の御質問に対しましてお答えいたします。先ほどもいろいろと御説明もいたしましたように、施設に関しましては電気通信省がこれを監督するということになつておりまして、現行法におきましても、電信法或いは私設電信規則というふうなものによりまして、公衆電気通信、或いは鉄道の通信というものに、この有線放送がその技術基準が悪くて妨害を與えるという事態になりますれば、どちらに責任があるかということをはつきりいたしまして、責任のあるほうに、少くもこれを改修さして行くという措置をとりたいと考えております。
  54. 大島定吉

    ○大島定吉君 これは届出によつて直ちに許可する、許可制でありますか。
  55. 杉山榮藏

    説明員(杉山榮藏君) 許可制であります。
  56. 大島定吉

    ○大島定吉君 丁度昨日共同聽取の実況を見て来て、そのとき疑問を感じたのは、どうもだんだんそう考えて来ると、先ほども山田委員が第五條の商業放送同意を得る必要はない、向うから大いに進んでやつて来る、これはもうそれにきまつております。何とかして自分の放送を共同放送に持つて行こうというので、これから非常な競争が起る。そうして主に共同聽取を利用するだろう。というのは、それによりますと、昨日あたり聞いたのでは、まだNHKだけ放送しておりますが、各聽取者は共同聽取料といいますか、五十円以外に、今NHKに三十五円を払つておる。ところが今度は民間放送だけを聞くことになりますれば、その三十五円を払わなくてもいい、今度五十円になりますから、これは聽取者にとつては非常に得なことで、加入するものが多かろう。だから商業放送だけ集めて、そうしてどんどんやるというのが今全国で二百ですか、拡声機の数は四千五百です。これは直ちに数十万に及ぶのではないか。NHKは非常にあわてるだろう。そのときに対する電波監理委員会措置はどういうふうにお考えになつておられるのですか。これはどういうふうに取締るように進められておりますか。あらかじめ承わつておきたい。
  57. 網島毅

    政府委員網島毅君) 誠にむずかしい御質問でございますが、電波監理委員会といたしましては、先ほど申上げましたように、この法律が国会でいろいろと御審議の結果、きまりました曉におきましては、法案の條文に従いまして最善を盡すように考えておりますが、只今お尋ねの件もこれは非常にむずかしい問題でございまして、なかなか実行上におきましては事が全国的に亘り、又内容が文化的な問題、或いは言論上の問題を含んでおりますために、非常にむずかしい点がございますが、與えられた権限の中におきまして、最善を盡すのが我々の責任じやないかと考えております。
  58. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 今質問の中で、或いは独断的なことがあると思うのですが、そういうふうに商業放送ばかりを有線で聞かせるという場合には、NHKは聽取料をとることができないでしようか、どうでしようか。それはとれないと思いますが……。
  59. 網島毅

    政府委員網島毅君) お尋ねの点は、この有線放送事業者が放送中継をする場合に、民間放送中継だけをする、NHK中継をしないという場合のことかと存じますが……。
  60. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 そうです。
  61. 網島毅

    政府委員網島毅君) そういう場合におきましても親受信機と申しますか、放送受信するようにされておるところの受信機が、放送法で記されておるところのいわゆる標準放送範囲の周波数を聞き得るようになつておりますれば、その受信機そのものは、これはいわゆる放送聽取料を支払う対象になるわけでございます。従いまして放送事業者そのものは、これは聽取料を支払わなければならないのでありまするが、更にそれにくつ付いたところのいろいろなラウドスピーカー、線の先にラウドスピーカーが付いておりまするが、そのラウドスピーカーを持つておる人もNHKに聽取料を払わなければならないだろうかということについて御懸念が起つておるのじやないかと思います。現在の放送法に基きまして、電波監理委員会が公布いたしました放送施行規則によりますれば、親受信機にいろいろなラツパがくつ付いている場合には、そのラツパが一世帶以外の世帶に繋がつている場合には、これは一つ一つ受信機と同じようにみなすという規定がございます。従いまして現在の施行規則そのものを変えないといたしますならば、やはりこれに繋がるところのラツパは一つの聽取者とみなされまして、NHKに料金を支払わなければならないことになります。併しながらこの問題はなおこの法律が国会におきましておきまりになつた曉におきまして、私どもとして十分考えなければならん点があるのではないかというのは、仮に放送事業者がNHK放送は絶対にしない、NHK中継をしないということを明らかにした場合にはどうなるかということだと思います。従いましてこの点は法律の決定後委員会として十分考慮したいと思います。
  62. 尾崎行輝

    ○尾崎行輝君 これは私の考えでは聽取料はNHKに払わずに只で聽かれるのですから、極く常識的に考えまして、そうなるにきまつておると考えております。従つてその場合に対する対策を、今からこの法律案によりまして何かをやつて置かれるのが至当ではないかと考えます。
  63. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) ちよつと申上げます。この部屋を一時から決算委員会が使うことになつております。なお続行することになれば九号室に変更しなければならんのでありますが、更に御質問等が続いてあるようでありますならば、九号室へ変えたいと思いますが、如何でございますか。
  64. 山田節男

    山田節男君 時間も一時十四分ですし、どうせこの審査はこれで終りませんから、今日は散会してもらいたいと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  65. 寺尾豊

    委員長寺尾豊君) 次回は明三十七日午前十時より開きたいと思いますが、如何でございますか……。ではさよう取計らいをいたします。本日はこれにて散会をいたします。    午後一時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     寺尾  豊君    委員            大島 定吉君            鈴木 恭一君            山田 節男君            尾崎 行輝君            水橋 藤作君            平林 太一君   衆議院議員            高塩 三郎君   政府委員    電波監理委員会    委員長     富安 謙次君    電波監理委員会    副委員長    網島  毅君    電波監理長官  長谷 愼一君   事務局側    常任委員会專門    員       後藤 隆吉君    常任委員会專門    員       柏原 榮一君   衆議院事務局側    常任委員会專門    員       吉田 弘苗君   説明員    電気通信大臣官    房審議室長   杉山 榮藏君