○平林太一君 だんだん質疑応答が盡されたのでありますが、
只今承認を求められております二十本
年度の
放送協会の
予算に対しましては、私自身といたしましては大体これを
承認することを妥当と
考えるまでに了承いたした次第であります。併しながらこの機会に希望を申上げまして、むしろ当局の御決意を促したいと思いますことは、
只今内容を聞くにつけましても、この
予算は昨
年度の
予算に比較いたしまして
聴取料の値上げを断行いたしておりまするので、
放送協会といたしましては、これは空前の厖大
予算を計上いたしておる次第であります。これに対しまして、
聴取料値上げに対しては、諸般の事情を勘案いたしましてこれを妥当とみなしてよろしいと思います。併しながらこの際当局としては大いに良心を喚起せられたい思いますことは、いわゆる
放送協会の持つ
性格は、他の
新聞その他と違いまして、数種あるものでありませんので、いわゆる
公共放送として唯一無二の、ほかにない存在でありまするが故に、かような
経営体がいやしくも値上げを断行するということにつきましては、非常な責任を痛感してもらいたい。
従つてこの値上げをいたしました今
年度の
予算の執行に当りましては、ただ他のものと附随して値上げを行われたというような感覚ではなく、その点に対しましては大いに
一つ良識を発揮せられまして、
予算の執行に当
つて、いやしくも
放送協会の
性格としては、値上げをいたしたということに対して極めて緻密な、綿密な感覚を
持ちまして二十六
年度の
予算に対して收支の執行に誤まりないように期待いたしたい。そのことは取りも直さず、この値上げによ
つて、それにも数倍、数十倍するような
放送事業の成果を收められ、その成果を收められるということは、取りも直さず
全国一千万に達するであろうと予想せられるところの
聴取者が満足のできまする、又値上げをしたことについてそれを
承認し得る、個々の
聴取者に対しましてもそのような働きをする
経営の行き方、
放送に対しまする誠実と熱意というものを十分に発揮せられたいということを、先ず第一に
要望いたして置く次第であります。
それにつきましても、いわゆる
公共放送といたしまして現在の国家の実情に即応いたしまして、全くとの
放送以外に
国民といたしましては情報の正確、或いは情報に対しまするところの期待というものが非常に結果におきまして大きな影響を招来するものであるのでありますから、現在の国家の
方向がどのような
方向に進んでおるか、それからどのようか
方向にこの国家を進ませなければならないかということに対しましては、單なる
経営体の
技術者としての感覚にとどまらずして、いわゆるうちに蔵する大きな国家的な進路を誤らないところの
方向を以ていわゆろ
放送のことに当られたいということを、この際強調いたしたいのであります。この際極めで識見高道、それから常識と教養、情操というものに対しまして私自身といたしましては申分のない
会長であります古垣君の持
つておられます人となり、
性格というものに
最大の信頼を寄せておりますが、この際同君が以上私が申上げましたことに対しましての所信を披瀝せられることを得られるならば幸いであると存ずる次第であります。この点第一に、
一つお尋ねと申しますよりも、相互に良心的な見解に立ちましてこれを申上げるのであります。
更に地方の
ローカル放送に対しましてのことでありますが、地方の
放送局に対します
予算上の措置を、非常にこれを今
年度予算においては昨年の
予算と比較してお取扱をなさるということであります。地方
放送局の
持ちまする
使命というものは、何か中間的な、
ローカル的なサービスというような点のみ考てられておる向きがありますが、併し今日の
放送事情の進展いたしました地方
放送における
聴取者の実情というものは、さようなものではない、地方には地方の独自な
放送及び
聴取者に対しまする感覚があるのでありますから、その点については今
年度予算においては、前
年度予算と比較いたしまして画期的な御措置を
一つ願わなければならんと思います。従いまして先刻
会長から申述べられました地方の
報道に対しまする
施設としての
放送記者の数或いは素質、或いは水準というようなものに対しましても、大いに面目を一新せられる必要があるのではないかと思いますが、現在お
考えに
なつておりまする
程度においては、いささか満足し得ないものがあるのでありますから、
予算の執行の面におきましてこの点を十分御考慮に相成りたい、そうして地方放逸の
持ちまする
使命を十分に完備せられたい。現在、先刻
お話になりました地方
放送局の
施設の中には、取上げて申すべきほどのこともないと思いますが、いわゆる通信情報を聴取するための
施設としての、いわゆる地方
放送局が
持ちまする自動車、ああいうようなものがないようでありますが、今日の場合におきまして、地方の小さな官庁に至りますまで自動車の設備がありまして敏速に行動をいたしておる。而も通信の極めて最高の地位にありまする地方
放送局には、このような設備の自動車一台すらない。
放送記者が他の乗物を利用し、或いは或る場合には徒歩で歩かたければならんということは、
日本放送協会としての
性格として、甚だ私
ども常識的に
考えましても、不思議に思うくらいであります。でありますから、これは
技術的に見ましても、私
ども恐らくこれと同様な
意味におきまして
施設の
拡充ということは大いに
考えられなければならんと思いますから、この点を如何ようにこの
予算においてお差し繰りをなさるか。一応大綱はお示し下さ
つておるが、
内容の末端においてどれほどお差し繰りに、なられるかという点を明らかにせられたいと思います。
それから
最後に、私は
放送協会の持
つておりまする人的スタッフ、それに対してこの際一言私の所感を申述べたいと思いまするが、昨年の夏も北海道へ参りまして、各地の
放送局を一巡して参りましたが、
中央における
放送協会の人的構成、その人たちの人となり、人格は誠に立派である。いわゆる高度の教養とそれから常識と、加うるに非常な儀礼を以て内外に対応せられておる。こういう
協会の持
つておりまする
経営体としての総合した全体の風格或いは
性格というものは、私は今日の
日本におきまして、幾多の官庁も見ておりまするが、
日本放送協会で持
つておりまするところのその人々の今申上げるような
性格は最高のものだと信じております。でありますから、その点につきましては、
会長は今後いよいよその風格、
性格を
放送協会の人事全体の特質といたしましてこれを損わないように十分に
一つ高度なものに持
つて行きまして、いわゆる世界的な、国際的な、
日本放送協会として遜色のない、恥しくないところの立派なものを仕上げて行かれることをこの際
要望いたす次第であります。このことに対しましても
会長は定めしお
考えになられることがあるだろうと思いまして、その点
お話に相成れば幸いであると思います。
それから
最後に、
電波監理委員長にお尋ねをいたしたいのでありまするが、現在国際諸般の情勢に対応をいたしまして、船舶の増強ということは、近来著しくこれを
拡充拡大しなければならない機運に到達いたして参
つたことは争うべからざる事実であります。これに対しまして、加うるに最近警察予備隊、或いは海上保安庁というものが相並行して、これ又国際的諸般の状況に対応して力強い発足をいたしております。この場合にこの無線、いわゆる
電気通信大学の養成いたしますところの通信士の学生、いわゆる卒業生に対しましては非常に感慨を新たにしなければならないのでありますが、現在
電気通信大学の卒業生というものは、本年は何名あられるか。それから船舶
関係に対します
技術員と申しますか、そういうものはどのくらいありますか。私の聞き及んだところによりますと、極めてこれが今日の事態に即応するような数には達していないということを非常に憂えるのでありますが、この点は、文部省との間に、
電気通信大学に対しますることは、むしろこれは
技術面といたしましては
電波監理委員会の所属でもいいくらいにさえ私は
考えておるものの一人であります。殊に今日非常に
電気通信士の養成ということが急速度に
要求せられる今日でありますから、特にこの点は監理委員長の奮起を促したいのでありますが、文部省とどのような今日連繋の下にこれに対応して遺憾のない措置をおとりに
なつておられるか。以上のことをお尋ねいたします。先ず古垣
会長から御所見を伺いたいと思います。