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政府委員(
石原武夫君) 映画につきましては、従来
政府部内におきましてもこれを
はつきり所管して助長するとか、その業界の問題を取上げるということは実はなか
つたんでありますが、昨年の暮あたりから業界のほうで映画を
一つ面倒を見てもらいたいという話がございまして、これで
通産省といたしましても、
企業局で一応やることにいたしまして、この問題を取上げたわけであります。我々のほうの取上げ方は、
通産省といたしましては、この映画を
産業の
一つとして取上げて行くという
考え方でございます。聞くところによりますと、衆議院の文部
委員会等で
法案をお作りになるというような話を承わ
つておりまするが、我々のほうは映画の
内容の良否とか、さような
内容にとやかく立入るのでございませんで、
産業としてこれを助長すべき点があれば助長をし、健全な発達をして行くような方向に援助をしたいという立場で取上げているわけでございます。それで業界のほうの御希望は、映画の
産業として今一番問題にな
つておる点は
一つは映画製作のための資金の問題でございます。これは御
承知のように非常に、一本の映画を作りますのに相当多額の金が要りますし、現在民間のほうから資金を調達してや
つておりますが、併し相当まとま
つた大きないい映画を作るのにはやはり相当多額な投資をしなければならん。その金がなかなか現在の
企業では十分賄い得ない。
従つて粗製濫造に陥らざるを得ないというような点からして何か資金の問題について
一つ考えてもらいたいというのが御希望の第一点であります。第二点は、御
承知のように現在やはり入場税が十割かか
つておりますが、これが現在十割の
課税ということは殆んど他に例を見ないところでございます。実際上は殆んど映画
産業にその負担がかぶ
つておる。若しこの税がなければ相当映画としても收益を挙げるにかかわらず、十割という
課税のために十分な收益が挙らない、非常に不如意である。この点を
一つもう少し軽減してもらいたい。この二点が一番映画界として大きな問題のようでございます。
第一の点につきましては、これは
一般の普通の所要資金につきましては、この業界でもとよりいろいろ御調達にな
つておるので、そのほかに何か諸外国、特にイギリス、フランス、イタリー等は御
承知のように国が相当映画
産業に助成をいたしておる。なおその助成の
方法は、国が回転基金のようなものを設けまして、それを映画
産業に貸付けて長期で回收して行くということで、非常に諸外国におきましては輸出の優秀映画を初め、その所要資金は回転基金から貸してする。そうして漸次輸出或いは收入があ
つた都度それを回收するというような
制度を立てて映画の助成をしておられるわけでございます。さような
制度を
一つ考えてもらいたいというのが
趣旨でございます。ただ現在の我が国におきましては、これはそういう
方法をとりますにつきましては、財政資金に頼らざるを得ない実情でございますので、これはなかなか問題がございますので、目下或いはそうした方向、或いは又それに代るべきような
方法はないかということを
研究いたしております。
それからもう
一つの入場税の問題につきましては、これは
地方財政の
関係で、
通産省ですぐとやかくできる問題ではございませんが、我々が映画
産業の立場から
考えますと、如何にも十割という
課税は重きに過ぎるという感じもいたしますので、今後そういう
関係官庁とこの辺の問題については十分折衝をいたしたいというふうに
考えております。現在我々
通産省として、実はなかなか名案がございませんで、実は苦労しておるんでございますが、
一つの
考え方を申上げますと、
一つは今十割の入場税がかか
つておりますが、これが年間で百五、六十億のたしか收入にな
つておると思いますが、今後軽減いたします際に、その一部を何か回転基金的なものに取り上げられないかどうかという点が
一つでございます。映画から取上げて映画に返すのでは同じようなことになると
考えらつれますが、実は外国映画が約四割くらいの收入を占めておりますので、映画收入の、入場税の一部軽減の
金額が映画
産業に廻りますれば、その外国映画から入ります入場税の一部が
却つて国内の映画に向いて行くということで、或る
程度助成にもなりまするし、必要とする資金の調達もできるということになりますので、そういう方向が
一つ考えられないかということで
研究いたしております。これは何分
地方税でございまするし、それを如何にして又国の財政から出すかというような難点がございますので、非常に困難な点があります。
一つの
考え方としてはさような
考え方もできるわけでございます。
それからもう
一つ、
日本の邦画が非常に苦境にありまする
一つの原因は外国映画が相当大量に入
つて来ている。それに圧迫されるという問題であります。これは目下
研究をいたしておりますので、十分
事情は判明しておりませんが、外国におきましては国内の劇場で上映いたします映画につきまして、外国映画と自国映画との比率をきめて上映をせよということを強制されておるところもございます。各映画劇場で少くとも何割は自国映画を上映しなければならんというような
方法で、その国の映画
産業を保護しておるところもございますので さような面も目下
研究いたしておるというわけでございます。その他もう少し細かい問題といたしましては、映画につきましても
輸入機械という問題がございますので、それの機械の
免税の問題でございますとか、そういう点もございまするが、これは映画の業界の内部でいろいろ振興の審議会ができておりまして、そちらのほうとも十分打合せをして、
産業として何らか助成を、援助をする途があればということで目下
研究をしておるような
状況であります。