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政府委員(
首藤新八君)
西田委員のお説御尤もでありまするが、
先ほどから申上げておりまする
通りに、現在のところ
別子とは決定していないのであります。それは
担当官からも詳細に繰返して申上げておると思います。ただ
政府といたしましては、成るべく
国家補償の少いように、それがためには過去において大体基礎的な
設備を持
つておること、そして更に
経験と
技術、これらのものをかれこれ比較いたしまして、例えばことに三社の
業者がある、そうした場合に
国家補償の観点から一応考慮いたす、更にその
企業体の
経験というものも重要なフアクタしとして
考えなければならん。又
技術もこれも又重要なフアクターしとして
考えなければならん、少くともこの
国家の
補償の面と、それから
経験と
技術、この
三つを最も大きなフアクターとして希望者りの中から選定する、こういう方針をと
つた場合、結論的には
別子のほうが一番有力ではないかというふうに
考えられまするから、或いは事務当局から
別子を
想定しておるというふうに申上げたかも知れんと思いまするが、根本的なよ
つて来た
つた事情は右の
通りでありまして、仮にそのL他の
会社におきまして、
別子以上の
條件を備えておる
企業体がありまするならば、無論この
別子以外の
企業体をとることにやぶさかでない。無論そうしなければならんことを
考えておるのであります。
従つてそれと、もう
一つは現在の
日本の総消費量は大体千五百トンであります。それでそのうちにフエロ
ニツケルは大体半数を推算されておるのでありまして、純
ニツケルの
生産量は仮にこれが三分の二にしましたところが、千トンという
程度に過ぎないのであります。
従つてこれだけの絶対量を数社によ
つて生産されることが原価の面から見ましても、或いはその他の面から見ても、決して
国家として利益でないというような結論も得ると存ずるのであります。これらを総合的に勘案いたしました結果、大体今日まで申上げたような線に進むことが妥当ではないかというふうに
考えておるのであります。なお将来の問題でありまするが、これは無論将来のことでありまするので何人もはつきりした結論は得られませんけれども、少くとも
先ほど申上げましたごとく、
ニツケルはカナダが
世界の総
生産量の八割を占めておる。僅かにフランスが残りの二割を持
つておるというようなことで、カナダが
独占的な
生産を持
つておるわけでおります。而もこの総
生産量というものは至
つて少いのでありまして、殊にいろいろ
條件を
考えた場合、
日本でこれをあらためて巨額の投資をいたしまして、企業として成立つか成立たんかという点は相当検討を要するものがあると思うのであります。
従つてかような
措置によりまして、若し
補償されたということに相成りますれば、次のこの投資額というものは一応新らしい投資額でありまつするけれども、一応それはゼロになる、
従つてその後におけるところの
生産コストというものは非常に安くな
つて参りまするから、仮に今の異常経済が終熄いたしまして、再び入手が自由になる時期が参りましても、或る
程度できるならば
日本でもかような場合に困らないような、平素から
生産を続けられるような態勢をと
つて置くことが必要じやないかというふうにも
考えておるのでありまして、できるならば今後も引続き経済界の変化如何にかかわらず
生産が続けられるということを期待いたしまして、この際そういう対策をと
つて置くことも必要じやないかと
考えておるのであります。