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1951-05-21 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第32号 公式Web版

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  1. 計量法案(内閣送付) (会議録情報)

    公聴会   ━━━━━━━━━━━━━ 昭和二十六年五月二十一日(月曜日)    午後一時四十六分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○計量法案内閣送付)   —————————————
  2. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 只今から計量法案に関する公聴会を開くことにいたします。  先ず公述人の御意見を承わりたいと存じます。東京大学の山内二郎君、どうぞ御発言をお願いいたします。
  3. 公述人(山内二郎君)(山内二郎)

    公述人山内二郎君) 私余り詳しく読み切りませんでしたので、或いは足らないところがあるかも知れませんが、大体四項目に亘りまして、私の意見或いは希望を申上げたいと思います。ここに書いて参りましたので、皆様にもお配りしてございますが、これを読みながら……。第一項は、計量単位メートル法によるものとし、ヤードポンド法及び尺貫法計量単位昭和三十三年十二月三十一日までとすることに賛成でございます。その理由計量単位国際的協力立場からメートル法によることは当然のことであります。又産業国際的発展を期しまする上からすれば、その基礎となるものでありますから賛成なのであります。基本単位誘導単位が確立しているということは、我が国工業に非常に重要な要請であります品質向上ということに根拠を与えますと同時に、我が国学術進展にも基礎を与えるものであります。国民殊青少年教育立場から言いまして、これは極めて重大であります。こういうふうにきめられましたことは非常な賢明な策であると信じております。ヤード・ポンドによりまする計量単位貿易に関しまする国内産業との関連において第一に考えるべきものと思います。施行法案中に定められてあります規定方法が、アメリカ合衆国イギリス連邦との規定方法のいずれにも偏しない。これはアメリカ合衆国イギリス連邦規定方法とは少し食い違つております。そのいずれにも偏しませんで実用上差支えなくなつているという点、この点は非常に賢明な策であると思つております。国内一般使用昭和三十三年末までとしてありますことは、只今申しましたメートル法を大宗とする上から言つて賛成であります。又そうでなければならないと思うのでありますが、国際的な貿易を考えますと、そのときにやはり換算の問題が起つて参ります。換算基礎を本施行法中のものの通りとする策、これを昭和三十四年以後に採用される、そういうふうに予定されますように進言いたします。  次に、尺貫法でありますが、尺貫法昭和三十三年末まで併用されるということも、現在の国内事情から言いまして賛成であります。この系統ヤードポンド法と違いまして、単に国内事情だけによつて考えるべきものでありますから、これは全く別に考えるべき問題と思います。一つは将来の我が国中核となるべき現在の青少年及びそれに続きます者の教育立場から考えて見ますと、計量単位系統はできるだけ簡素であつてほしい、これが必要であります。従つて尺貫法はできるだけ速かに一般使用しなくなることを望みます。  もう一つは、取引などで手頃な単位という実用的な立場から考えて参りますと、施行法中にあります尺貫法による計量単位のうちにも捨て切れないものがありそうであります。一般に言いまして、現在のように尺貫法が併用されております時期には、慣習の力が強くて、どれが実用上便利であるか、或いはどれが実用上なくても十分間に合つて行くかという判断を下しにくいきらいがあると思うのであります。現在使い慣れている人はどれでもよいと思うでありましようが、併し将来の国民は果してどうでありましようか。これが将来の中核となるべき人々を中心として考えて置かなければならない点であろうかと考えます。こういうふうに考えて来まして、私はこういうふうに考えます。尺貫法による計量単位昭和三十三年十二月末で併用をやめること。それ以後におきまして、実用上便利な単位を極めて僅かを限つてメ—トル法中の称呼として採用する。その時期は混乱を避けます意味におきまして、昭和三十四年以後とする。その選定には又十分慎重に調査研究を重ねる、こういうふうにしましたならば、この尺貫法というものに対する対策が立つかと思うのであります。  次の第二項は光度計量単位でありますが、これを第三条「(基本単位及び現示)」のところに移して頂きたいと思うのであります。その理由は、光度計量単位は第五条「(誘導単位及び現示)」十五にあります。ところがこの光度計量単位誘導単位ではないのであります。一つ基本単位でありまして、国際度量衡総会でもそのように考えておりますし、又その単位でありますカンデラにつきましては、国際度量衡委員会で定期的な国際比較を行なつて国際的統一を図ることになつておるのであります。丁度温度の計量単位と殆んど同様な立場にある基本単位であります。この希望は、計量法関係資料(二)の最後にあります日本学術会議会長から通商産業事務次官宛ての回答中に書いてあります。  第三は計量器名称についてであります。この名称を拝見しますと、学術用語制定が少し遅れておりますが、学術用語制定方針と合せるという方法とか、或いは制定せられたときにその用語を採用し得る途を開いて置いて頂きたいと思うのであります。その理由は、計量器名称は第十二條及び第三十六条に掲げてありますけれども、例えば第十二条の七、八、これに「が電流式回転型速さ計」となつておりますが、この「が電流」というのは電気用語審議原案としましては「うず電流」となつております。このほうが遥かに理解しやすい、学術用語はそういうところを狙つて審議しております。又第三十六条五、六、八などに「メーター」となつておりますけれども、これも只今傾向としては「メーター」と棒を付けなくなる傾向が強いようであります。これは一例でありますが、そういうことを考えて来ますと、やはり統一とつたほうがいい、用語を全般的に審議しております学術用語制定に歩調を合せることが、やはり産業上からいつても重要なことだと思うのであります。  できれば学術用語制定方針に合わせて置く、或いは近い将来制定されたときにその用語を採用し得る途を講じて置かれるように切望するのであります。  第四項目は本法案施行に際しまして、適用範囲産業支障を来たさないようにとどめるように希望いたします。その理由は本法案中の第十一条「証明」の定義であります。この範囲を広く解釈いたしますと、適用範囲が非常に広くなりまして、例えば工場事業場日常生産使用している現場の操業管理用計量器まで拡がりまして却つて産業状態を混乱させる結果支障を来たすようなことになることを想像するのであります。杞憂かも知れませんが、そういうふうに想像いたします。ただそれだけならばいいのでありますが、この計量器によつて日常得られている資料を公に届けることを要求される、これは現在もありますので、そういう場合にも、これもその証明だというふうに考えると当然問題となつて来ると思うのであります。これは一例でありますが、その他産業日常の問題或いは新らしいものができますときの問題等を考えて参りますと、計量の確立を強制するということは止むを得ない範囲に限定するのがよろしいかと思うのであります。  以上急ぎましたが、私の意見希望を申述べた次第であります。
  4. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

  5. 公述人(小野龍三君)(小野龍三)

    公述人小野龍三君) 私御指名を受けました小野龍三でございます。度量衡器計量器工業連合会の副会長を勤めております。このたび計量法を改正せられますに当りまして、御承知のごとく、従来の度量衡法は明治四十二年に正確なる器物供給使用せしめるという理念の下に立法されたように考えられますのが、このたび計量の正確を確保し、経済の安定を図るという根本方針のために計量法を創案されたように、この第一条にも出ておりますので、そこに我々「はかり」を捕える、度量衡器を拵える製造業者、「はかり」を日常使用して生活しております使用者の全部のかたの自尊心を非常に尊重せられている点について、私ら感謝するものでございます。併しながらこの法を拝見いたしますと、折角そういうお考えの下に立法せられたにもかかわりませず、少しくもの足りない点が二、三ございます。これはかねて当院のほうへ法案修正を願い出ておるのでございますが、その点につきまして、以下説明さして頂きます。  第十一章の雑則でございます。この雑則の中に計量調査官を二百二十三条で設けられることになつております。そうしてその計量調査官は、再検査及び取締官行為に対する異議申立事務に従事する、こういうことになつております。折角再検査異議申立を御調査下さるために調査官をお設け下さいまするのでございますから、どうぞこれに計量行政並びに計量行政に関する事務調査に当るという字句をお加え下さいまして、この国内計量行政統一を図る調整機関調査官がなつて頂くことを希望するのであります。これはこの法律が本来通産大臣検定取締、一切の度量衡の権をお持ちになつて地方長官にその仕事を委任されておられるのでありますれば結構でございますのですが、これには地方長官通産大臣とが並列にその権利をお持ちになつております。そういたしますと、非常にその手心統一が図られにくいのでございます。そういうときに当りまして、行政方針の或る水準よりも低い地方には鞭撻をしてもらい、又行過ぎている県には少しく行過ぎであろうと言うて御注意を通産大臣がして頂く、こういうようにやつて頂きますと、国民は大変仕合せと存じますので、是非この一項をお加え願いたい。  この検査ですが、取締検査は二種類になりまして、定期検査立入検査になつております。第百五十四条でございます。この立入検査と言いますのが、程度の問題で、なかなかこれが過去の実績から申しますと、むずかしい問題でございます。こういうときに、而もこの特定市町村取締権を持たれる市町村の治下にある県民は、県知事の立入検査監督も受ける、その市町村長立入検査監督も受ける、こういう二重の負担をせんならんようなことも考えられる。まさか実際に実施する上において、そういう今日の御時世に二重の苦しみを民にかけられるということはございますまいけれども、法文の上ではそうも考えられるのです。そういう場合に、この調査官調査されて、そうしてその手心統一を図られるということが是非必要であろうと考えまするので、本修正を申出たわけでございます。  次に第四章の検定でございます。検定は先ほども話されましたように、絶対検定になつております。検定合格せんと売ることはできません。併し製造人製造の許可を得ておりりますけれども、自己資金自己の資産を費して品物をこしらえますのですけれども、検定が無闇に長引きました日には、これは金に変りませんので、経営が忽ちに困難に陥ります。そこでここに二十日間という期間を九十四条におきめになつておりますが、万一、二十日間に検定ができなくて、それよりも遅れた場合は、この修正の第二項に、通商産業大臣又は都道府県知事は、正当な理由なくして前項期間内に検定合格又は不合格の処分をしなかつたときは、それによつて生じた損害を賠償しなければならないという一項を入れて頂きまして、その賠償額は、受検品の遅れた期間だけ受検品の市価の法定金利を弁償してやつて頂きたいのです。それからこれには我々仲間でも検定期間が二十日間ということに制限されておるが、手が廻らんさかいに、手がないさかいに検定に持つて来ても受付けない、こう言われたら困るさかいに、それを何か法律の上で書いてもらうように頼んでくれ、こう言われますのですが、私考えますのに、国が法律を以ておきめになつて、それに対して適当に予算を組まれて、そうしてその仕事をせいというて役人を雇われておりますならば、その人が仕事に手が廻らんさかいに、持つて来たらどうにもならん、持つて行けということは、そういう非常識なことは絶対あり得ないと考えますので、その条項を挿入して頂くことを差控えておりますような次第でございます。そう考えておりましても、私いいのじやなかろうかと思つておりますが、若しそういうことが言い得られるものなれば、是非そのことも拒否してはならん、検定を請求した場合には拒否してはならんということを条項の中に挿入して頂きたいのです。  次に二百二十二条にございますこの検定手数料でございます。この検定手数料は一昨年四十五倍に上げて頂きました。そうしてそれが今度の法案を拝見しますと、二十倍くらいに又上りますことになります。大体度量衡器と申しますようなものは、銃砲火薬というように行政上厄介なものでなくて、国が生活基準をきめて、そうしてその足りない物資の消耗を最も経済的に計るという目的使用せられるものでございますので、本来検定手数料を徴収せられることすらどうかと考えますけれども、これは国家財政の上から、従来五十年も昔からとることになつておりますので、今更いたし方がございません。当時は営業税というものが免税になつておりましたところが、これも終戦後地方自治独立のときのどさくさに、営業税事業税として徴収せられることになりました。ここにちよつと簡単に一会社のグラフをこしらえて、現在の状態を持つてつておりますのです。これにも出ております通り、現在ですら、この事業税検定手数料とは同じくらい払います。利益金に対しては、税の総額が一七%四です、この事業体納税額が……。これが今度二十倍に又膨れます、そうすると、これは業者利益金が、この事業は一年の製品売上高が十六億円です。それに対する利益金が一千百万円、それに対して約八百万円の税を納めておる、そのうちの事業税が一七四%、検定に要する費用が、官吏の出張旅費検定手数料とで一六%六になつております。これが二十倍も膨れたら、忽ちにして度量衡器の価格というものは厖大な膨脹をいたします。そういたしますと、この度量衡器使用を国が奨励して、補助金を出してでもやらなければならんような仕事が、ますます度量衡器使用するのを軽視するようになりますと、国は大変な損害を自然のうちにこうむることになりますので、どうぞこれは、この法案の中には最高をおきめになつておりますが、これは政令で区割して、おきめになるときには最も慎重にお考え下さいまして、委員のかたにおかれましても、よく政府の立法を御監視下さいまして、そうして余り不当な徴収にならんように御監視を願いたいと思います。  それから検定手数料の返還でございます。これは検定を受けますときには手数料を貼つて納めます。ところが検定中に毀れることがある。毀れたならば、品物として、商品として売ることもできません。出した検定手数料は返してもらえませんので、盗人に追銭ということになりまして、業者は非常に困りますので、どうぞ検定中に破損して商品の価値を失なつたものに対しては、政府検定手数料を直ちにお返し願いたい、これを修正案に書入れてございます。次にこの基準器です。この基準器政府貸与される。基準器貸与を受けて初めて検定なり取締りなりの効力を発することになります。ところが自治的に特定市町村なんそが度量衡取締りなり、検査をやりたいと思つても、貸与をしてもらえなかつたらできない。それで修正案に書いてございます通り特定市町村長貸与を受けられないときには、自分の力でこしらえて、国の基準器検査合格した機械を持つておるものにはその特権を与えてもらいたい、与えるという途をお開き願いたい。これがこの第十一章の修正案の骨子でございます。  以上が当工業会修正案項目を提出いたしております理由の大略であります。この法案を作るについて四カ年に亘つて非常に御研究下さいまして、そうして今日の法案が立派にでき上りましたことは、それに従事せられたお係りのかたに対して厚く感謝を申上げる次第であります。どうぞ以上申上げました修正案を御検討下さいまして、そうして御採択あらんことをお願いいたします。
  6. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 次に日本度量衡器計量器商業連合会理事長徳永学さんにお願いいたします。
  7. 公述人(徳永学君)(徳永学)

    公述人徳永学君) 先ず第一章の総則単位について申上げたいと思います。第一条を見ますと、「この法律は、計量基準を定め、」ということが真先に謳つてあります。にもかかわらず、電気単位が全然これに取入れられていないということは不思議でならないのであります。これは一度量衡関係者のみが言うているのではありませんのでして、電気計測器工業界の連中もひとしく電気単位をこれに取入れ、電気計器をこの計量法によつて指定すべきだということを主張しているのであります。それにもかかわらず、ここに入つておりません。如何にも画龍点睛を欠く思いをするのであります。又最近は停電だ、電圧低下だと言うて、ろうそくの晩も多いのでありますが、定額燈をとつているところは料金を下げてくれたということを一度も聞いておりません。これは目方をごまかした不正計量と同じ行為であると思います。こういうものは計量法によつて当然取締るべき必要があると存じます。これは国民の権益のためにも大いに取締つてもらいたい。それにはこの計量法が最も適していると思います。故に電気単位を是非この方面からも入れて頂きたい。若し電気単位を取入れないことが、電気測定法中心にしまして、役所の内部のいわゆるセクシヨナリズムから来た結果、こういうふうな妙な法案なつたというのでありますれば、国会はよろしくこの役所セクシヨナリズムの打破に乗出して頂きたい。又電気測定法による工率ワツトというものと、この計量法で定めてありまする工率ワツトとは同じ工率ワツトでありながら値が違うのであります。こういう値の違つた単位を異なつ法律に二本建にきめて置くということは決してよろしくない。これは大いに改めて頂きたいと思うのであります。  次に、第二章計量器に関する事業という項目について申上げたいと思います。これは製造、修理、それから販売事業についての規定であります。度量衡器国民経済生活の安定を図るために、どうしても国家国民供給をしてやらねばならない国家公器であります。全くこの点は貨幣と同一であると考えていいのであります。故に度量衡器製造というようなことは、むしろ政府が直営すべきものであると思います。併しその直営がなかなかできないので、免許制度という制度によつてこの供給を確保し、又供給上の責任を明らかにし、又製作者にその責任を分担しているのであります。今度は又他に例をとりまして、販売者のほうから申しますると、全く国家国民供給する国家出先機関であります。昭和二十四年度の東京都の統計を見ますと、一カ年の販売金額が二億三千九百五十六万一千百七十九円であります。これで東京都内販売者の数は二千八百七十九人でありまして、一人当り八万三千二百十円であります。一人当り一カ年の売上が八万三千二百十円の僅少な額であります、これでは営業としては成立たないのでありまして、全く国家供給機関として、あえて名誉職としてこれをやつているのが現在の実情なんであります。こういうふうな点から考えて行きましても、度量衡器供給事業ということは、政府責任を分担する意味において、政府がその責任を分担せしめる意味において、今日の現行度量衡法で定めている免許制度より以上に強い保障を与えて、そうして安心して製造業者を正確無比な品物を造つて行くことができるように保障してやるべきだと思います。何も戦争後自由々々で自由競争を奨励するようになつておりますが、国家公器供給するという建前から行けば、こういうことは自由競争に任せて置くべき性質のものではないと思います。よつてこれは自由におもねる必要はありませんので、現行法で定めている免許制度より以上に強固な免許制度を更に布くべきであると考えます。  次に、第八章、事業場指定というのがあります。これは計量管理を行う工場指定するということでありますが、計量管理ということは今日の工場能率化或いは生産品向上等産業発展に非常に有益な基礎をなすものでありまして、この計量管理中心にしてすべての産業を興して行かねばならんと私は考えております。然るにそういうふうに政府みずからが奨励してでもやらねばならないこの仕事を、工場側から指定をしてもらわなければやれないというようなことはおかしいのであります。むしろ衛生とか或いは保安等の見地から必要であると思えば、政府みずから、お前の工場計量管理をやらねばならんと命令するくらいにならなければならんと思うのであります。これが工場のほうから申出ねばならんということは、これはおかしいのであります。なおその指定を申出るときに手数料政府がとるなんということは、これはなお更おかしいのでありまして、政府が大いに奨励せねばいかん事項について、それを阻むような結果になると私は思うのであります。この点は直ちに改めて頂かなければならんと思います。  第十章、計量行政審議会、この計量行政審議会の条文を見ますると、役人ばかりで審議会を構成することになつております。これは甚だ私は面白くない結果を生ずると思います。やはり民間人を入れて、そうして官民一致の協議によつてものを決すべきだと思います。役人だけが片一方に集まつてものをきめるということはよろしくないと思います。若しこれが関係方面あたりの指図によつて、どうしても役人だけでやらなくちやならんというのでありますれば、国会は大いに関係方面と交渉して頂いて、日本はやはり官民一致でやらねばならんと強調して頂きましてこれを是非民からも相当のものを入れるように訂正をして頂きたいと思います。  それから第十一章の雑則について申上げます。この雑則の中に、検定手数料というものがあります。計器検定国家が強制したのでありまするから、強制しながら手数料をとるということは、ちよつと私は腑に落ちません。併しいろいろの都合で今日まで手数料をとつておいでになつて、財政上今急に廃止することはできんというのであれば、極力低額のものをとることにして頂きたい、手数料が高くなるとコストが高くなるという理論は、先ほどの公述人のおつしやつた通りでありまして、延いては器物を使うということを忘れてしまうし、一山幾ら、目分量で何ぼというような取引が盛んに行われることになります。又家庭生活合理化とか、科学化ということが叫ばれておりますが、「はかり」が手に入ることができないようなことになりましては、その目的は達せられないのであります。故に手数料は極力逓減をするということにして頂きたい、これは政令を定めるときに十分御監督を願いたい。それから同じく雑則中の二百二十三条、計量調査官というのがあります。これは再検査と、異議申立だけに従事するときめてありまするが、これは再検査異議申立も当事者が申出て初めて行われるものであつて、申出なかつたらその役人は遊んでいることになります。むしろこういう役人は進んで全国を巡視して検定取締の全国的な統一を図る、或いは業界におけるいろんな摩擦を防止するというような仕事をすべきだと思います。よつて職権をそういうふうに改めて頂きたい。  次に計量法施行法の第一章総則に参ります。その第一章総則第十二条に、これはメートル法の問題が規定してあります。これを要約いたしますと、国又は地方公共団体新法施行の日以後においてメートル法を用いるように努めなければならないと、こういうふうに書いてあるのであります。メートル法統一してやつて行かなければならんということは、もう今日議論の余地はありません。戦前に排外的な右翼思想で以て非常にメートル法を圧迫したことがありましたけれども、もう今日はあんなばかげた議論議論にならないのであります。どうしてもメートル法統一するということに邁進してもらいたい、併しそれには政府みずからやらなくちやならんということであります。国民メートル法の実行を強制して置きながら、役所は率先してやりもしないで国民に鞭打つても、これは到底できません。むしろ役所が率先して範を国民に垂れるようにして頂きたい。戦争中に商工省或いは農林省がメートル法の実行を全然ぶち破つて而も物価政策で公をきめるときに、度量衡法で禁じたような単位を公然と使つておつた。これは国みずからメートル法の実行を破つた例でありまして延いては国民の遵法精神に悪い影響を与えたと思うのであります。故にメートル法をやる以上は、又やらねばならんのでありますから、この法律新法施行の日よりメートル法を用いねばならん、役所は全部用いねばならんと改めて、用いるように努めなければならないというような手ぬるいことではいかんと思います。  それから第七章に他の法律の改正というのがあります。この中に通商産業省設置法の改正というのが出ております。現在度量衡行政工業技術庁とそれから機械局の二本建になつております。一つ行政が二つの役所で行われるということぐらい迷惑至極なことはないのであります。又おやりになるほうもいろいろとむずかしい点があると思います。これは是非一本に改めてもらいたい。而もこの計量法案政令以下を見ますと、相当厖大な法律になるし、而もその内容から見ても、十分一局を要するような厖大な内容を持つております。通商産業省は鉱山法には鉱山局を持ち、特許法には特許局を持つております。従つて計量法計量局を持つことは当然であると思います。而もこの三つが通産省における三大法律なのであります。これが一係りの細々とした所でやつておつたのでは、これだけの大事業は遂行できないと思います。よろしく計量局を設けて頂きたい。これは是非とも国会がそういう指示を政府に与えて頂きたい。それからこの法律は施行せられて、いずれ法案になると思いますが、各公述人が申出ました事項は国会において修正ができるものか、或いは修正ができなくとも、国会が終了したら、次の国会までにこの意見を取入れて修正するように、どうか国会で附帯決議か何かして頂いて、我我の意見のあるところを示すようにして頂きたい。  以上で終ります。
  8. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 次に、神奈川県度量衡検定所長斎藤君にお願いいたします。
  9. 公述人(斎藤総彦君)(斎藤総彦)

    公述人(斎藤総彦君) 現行度量衡法にいたしましても、又計量法にいたしましても、その盛られておりまする事柄の殆んど大部分の第一線の義務と申しますのは、都道府県に課せられておると申上げても過言でないと存ずるのであります。この意味におきましてこの観点からいささか意見を申述べさして頂きたいと存ずる次第であります。  先ず第一章中の問題といたしまして、これは単位の問題でございますが、只今公述人からも公述がございましたように、この計量法と銘打つて我々の日常生活に密接な関係を持ちますところの、あらゆる範囲を網羅されたということは、これはもう当然なことであると存ずるのでありますが、その中に最も我々と密接な関係のある電気関係の単位を漏らしたということは、これは誠にどうも解せない次第でございます。この点につきましては、前公述人からそれぞれ申述べがあつたようでございますので、私は詳しく申上げませんが、ただ台所を見ましても、水道のメーター、ガスのメーター計量法計量器である。然るに同じところに並んでおるところの電気メーターがこれは違うのだというようなことは、これは理論的に申しましても、実際的に申しましても、誠に筋が通らない話であると考えられるのであります。この意味におきまして、是非これはこの機会に電気測定法というのがあるそうでありますが、この際にこれを改正せられて一本にすべきではなかろうかと考えられます。次に第六章に関しまする問題でございますが、この法律の中で一番国民に直接関係のある事項、而もこの国民の階層の中で一番多いであろうところの消費階級の面におきまして非常に為になる、益するところの規則であると思われまするこの取締という条項につきまして申上げたいのでありますが、この不正な計量器使用、消費階級の保護というような観点から考えまして、これがどんなに大切なことであるかということは、案外この計量という面にそういうかたがたが無関心でおられるということであります。で、これらのかたがどんなに知らないうちにいろいろの計量的な面で損をせられておるかということ、一体取締と申しますというと、何か頭からかぶせて取締を受けられる人ばかりを考えるのでありますが、その反面に幾多大きな、この一般国民大衆が困つておるという問題を解決するのには、この取締というものがはつきりしなければ……取締るという以上は厳密に行われなければならないと思うのであります。ところが本法案中に現われましたその最も肝心なところであると思いますところの第百五十四条の「(立入検査、質問及び収去)」という場合におきまして、「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。」、こういうことになつておる、なお第百五十五条の計量器等の提出をしてもらいたいと、こういう場合にも、その提出によつて生じたるところの損害を補償しなければならない、これは取締をやるものはすつかり臆病風に吹かれてしまうのであります。実際にこんなことで取締りができるかどうかということであります。これは又一面理論的に申しまして、度量衡取締りに当るものは単独ではできないであろうが、司法警察官と一緒に行つたらいいであろう、これと緊密な連携を保つてこの事務を行なつたらいいであろう、こういうことが言えるかも知れないのでありますが、これは実際理窟であつて、現実の今の警察の状況では到底これはでき得ないのであります。こういう点から考えますというと、計量法の唯一の国民を保護すべきところの一番大事なところが誠にピンぼけな状態であるということが言えるのであります。もつとこれは円滑に取締りができるように一つお考えを願いたい。私の知つておる範囲におきましても、アメリカあたりでも、この計量に関しまするところの取締の状況は、その取締りに当りまするところの取締官がどんどん職権を利用して、不正犯罪を摘発しているように聞いているのであります。これが何故日本でできないか、日本法律というものはアメリカの法律を今殆んど頂いているような状態だと聞いておるのでありますが、それが何故日本計量法にできないのか、これは誠に不思議千万だと思うのであります。又これはちよつと話が違うのでありますが、先ほども話に出たのでありますが、度量衡製造や修理や販売の許可とか、登録とか、非常にやかましく言うて、そうしてその事業を行わせているのでありますけれども、ところがその許可とか、登録とかをしないものに対して、そういうことを実行しないものに対しての取締の手立てが一体どこにあるかというと、そんなものはないのであります。こういうところにどうも実際の取締というところが腑抜けになつておると、こう思うのであります。こんな生ぬるいことで日常に、殆んど毎日計量的な買物をしておるところの国民が安心していられるかということであります。「計量の安全の確保」という章がございますが、その章にこういう場合にはこうしてはいけないとか、ああしてはいけないとか、いろいろなことを挙げておる。併し今度はそういうことを守らない場合を押えようとするその網の目が大きな網の目であつて、魚がみんな逃げてしまうというような状態であつては、これは国民はとても計量的には安心していられないということであろうと思います。  次に第七章と第八章につきまして申上げたいと思いますが、これはこの法案の中では最も進歩的な而も最も圧巻な章でございまして、この章あるがために従来の度量衡法の殻を抜け出したということも言えると思うのでありますが、この点につきましては、前公述人からお話があつたようでございますけれども、この二章の焦点となりますところは計量管理という問題でございます。この問題が第七章、第八章では頗る遠慮されているような観を呈する表現の仕方でございまして、例えば第八章のごときはその見出しが計量管理指定事業場として恐らく構成せられなければならないであろうと思われるにもかかわらず、この章におきましては、単に「事業場指定」という見出しの下に計量器を使つている場所を指定を受ける、そういうようなテーマで以て、而もそれはその内容といたしましては、定期検査が省略できる、或いは簡易修覆の無検定の特典と、こんなような実に貧弱極まる一つの餌をぶら下げて、それをテーマにしているような観を呈する状態に構成されているのであります。これはどうも頗るこの計量管理という点を鮮かに浮び上らせるべき、而もこの計量法の最も華やかであるべき点がぼやかされているというような、ばかに御遠慮をなさつていらつしやるような書き方であろうかと思います。先ほどもお話にありましたように、この指定を受けるのに手数料をとるというようなことになつているというのは、どうも頗るこれは何かもの足りない、食い足りない気がするのでありまして、実は私どもはこの計量管理の章がこの計量法案中に載ることを数年来念願しておつたのでありまして、やれやれと思つたとたんに、どうも骨が抜けているような感じがするのでありまして、この点をよく議員諸先生が実体をお究め願いまして、この計量管理という面につきまして、計量法での最も進歩した点について御審議を願いたいと存ずる次第であります。  次にこれも前公述人から申述べてございますが、十一章雑則におきまするところの計量調査官の問題、これも前にいろいろお話が出ておりましたから、多くは申上げませんが、私どもの立場といたしましても、計量調査官は、若しこういう職制を設けるならば、再検査異議申立に関する事務だけでは事足りない、計量行政全般に亘つて、その一切に亘つて円滑、円満な運営を期するような状態にして頂きたい、こういうふうに考えます。  次に手数料の問題といたしましてこれは先ほどからいろいろちがうお立場からの御意見が出ておりますが、私どもの立場といたしましては、非常に高額になつておりますが、これは恐らく例えば従来現行法令中にございます出張を申請いたしまするところのものが、その出張に要したところの経費を負担する等のことが本法案中には見えておりませんので、それらを含めてということであろうと実は思うのでありますが、併しながらこれは皆さんがたが町をお歩きになつて御覧になれるような小さい計量器でございますならば、これは大した問題はないかと思いますけれども、土地、建物等に取付けられておりまするところの大きな計量器、而もそれが検定をいたしまするところから非常に遠隔な地に離れているようなものである場合に、例えばそれに要するところの人夫とか或いは検査用具の運搬とか、そういうことを考えに入れ、而も検定は勿論計量器のことでありますから、屋外にあるものが多い、そういう場合には例えば雨が降つて来た、検定ができない、又その翌日翌日と延びた場合は、そういう構想を持つたところの手数料の取り方でございますならば、これは到底賄え切れるものでもないし、又検定所の者が人夫などは到底使えるものではないとこう思います。  最後にこれも前公述人から申上げておつたようでありますが、この厖大な計量法を施行いたしまするにつきましては 相当に大きな規模を持つところの機構が要ると思うのであります。この点は本日の公述でも申されておりますし、これはもう周知の事柄でございますので、政府におかれましても或いは主務省におかれましても、当然この施行の機構についてはお考えになつておることと信じておりますので、私はここに重ねて申上げませんが、併しどんなに機構ができましても、どんなに立派な法律ができましても、それに伴う経費、予算というものがたつぷりございませんといい仕事はできないのでございます。どうぞ議員諸先生が予算御審議の場合にはこの点を十分一つ御勘案下さいまして、十分な予算を取つて頂くように一つお願いをしたいと思いますし、なお都道府県の立場といたしましても、どうも都道府県はまだ只今状態では平衡交付金という何かわかつたようなわからないような状態で交付をして頂いておりますので、全く第一線でこの事務を取扱います者がその経費、予算の関係で実に苦しめられておるという点も十分一つ御考察を願いたいと思うのであります。かような意味におきましていろいろ意見を申上げたのではございまするけれども、要はこういうような現在の段階におきましては欲を言えばきりがないのでありまして、一応この本案につきましては賛成ではありますが、只今まで申述べました意見を十分御参酌下さいまして御審議を願いたいと思い、且つ又この計量法も一通産省の機械局の計量法ではございません、日本計量法でございます。世界のどこに行つても恥かしくないこういう法律に仕立て上げたいというのが我々の念願でございますので、さような点をどうぞ御斟酌願いまして一日も早くこれが実施の遂に着きますように御尽力を願い払いと存じます。
  10. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 次に栃木県度量衡検定所長助川一君にお願いいたします。
  11. 公述人(助川一君)(助川一)

    公述人(助川一君) 永年懸案でありました計量法案も、通産御当局のなみなみならぬ御骨折によりましてこのたびの国会に提出される運びに至りましたことは、我々計量行政に携わる者として誠に喜びに堪えないところであります。本法案も再三、再四の会議によりましてことごとく審議しつくされておりますので、その内容も実に結構であり、又立派な法案であると存じますが、県側からの立場といたしまして、本法案に対する希望的な意見の二、三を申述べてみたいと存じます。  先ず第一に電気単位の問題でありますが、本法案中には各種の単位がたくさん網羅されてありますが、我々の家庭生活に最も関係の深い、而も計量とは切つても切れない関係にある電気単位が除外されておりますということは誠にさびしい限りなのであります。電気メーターにつきましては元逓信省において検定を実施しておりましたが、その後機構の改革等によりまして電気メーターも同じ通産部内において実施するようになつたのでありますから、当然計量法案中に包含せられて計量単位として誕生するのではないかと実はかように考えておつたのであります。ところが蓋を開けてみますと電気単位電気メーターも全然見当らないのであります。これは昔からの所管上の都合や、或いは対立的な行きがかりがありましてこうした結果になつたものと思えるのでありますが、電気単位なくして何の計量法ぞやといいたいのであります。同じ通産部内の器種であり又単位でありますので、この度量衡法改正を機会に計量法案中に電気単位をも含め、電気メーター計量器一つとして取扱うことは何らむずかしい問題ではないように思われますので、これが実現方を申述べてお願い申上げる次第であります。  次に検定の有効期間の問題でありますが、本法案中にも従来通りガスメートル、水量メートル、或いはガソリン量器、タキシーメーター等有効期間が定められておりますが、これの中には有効期間が切れてもなおその後使用せられるものが相当に多いのであります。正しい器物であつてなお且つ今後使用できる器物でありますのに、有効期間が切れたからといつてこれを使用不能視して葬り去ることは不合理であり、国家的見地から見ても不経済であります。この不合理と不経済をなくするために今度新たに設けられました計量士をして不正器物の排除に当らしむるならば所期の目的は達成され、この不合理と不経済はたちどころに解消して、使用者も又事業者も利益するところがあろうかと存じまして私は検定の有効期間の廃止せられんことを希望するものであります。次には直接に計量法案とは関係がないかも知れませんが計量法施行に伴いまして当然考えなければならないことは、地方庁におきまするところの予算的措置であります。例を挙げて申上げますならば、従来出張検定に要する職員の旅費は、現行法におきましては申請者が負担することになつておりますが、計量法案中にはこの規定が見当りません。従つて政令中にこのことが規定されていない限りこれは当然府県側が負担しなければならないわけであります。又本法案によりますと、定期検査は市部においては一年に一回、郡部におきましては三年に一回必ずこれを実行しなければならないことになつております。又このほか検定取締や登録等新法に基く仕事が相当に増加して参りますと、それを確実に実行するためには相当多数の人員と多額の経費を必要とするのであります。殊に我々のごとき小県におきましてはこれらに要する経費につきましてなかなか困難があるのでありますので、これら法にきめられた義務の裏付といたしまして検定手数料の全額又は一部を県収入とするとか、或いは平衡交付金の大幅増額を願いませんと、職務執行上に種々支障を来たしまして新法施行当初より地方計量行政に困難を予想されますので、以上の予算的措置を是非御考慮下さいますようにお願い申上げる次第であります。  次に検定手数料のことについて申上げたいと思います。業者検定を申請する場合には法できめられた検定手数料を納付しなければなりません。従つて度量衡器の値段中には勿論検定手数料が含まれておりますので、検定手数料が増額されますといきおいこれが器物の値段に影響して参りますことは当然であります。検定手数料は全国度量衡官公吏を賄うだけの費用で十分ではなかろうかと思います。計量法案中の別表に記載されております額は勿論最高を示したものでありますが、その最高額の検定手数料を附加されますと、器物そのものの値段も相当に値上いたしませんと業者は立ち行かなくなるのではないかとかように考えております。度量衡器国民経済生活上最も重要な公器であり、最近国民計量につきましてはその重要性を認識しつつあるときでありますので、又検定手数料の値上により器物の値上を招来いたしまして計量思想の普及をも阻害する虞れがありますので、検定手数料は高額にならないことを希望いたします。  最後に通産省に計量課設置のことについてお願い申上げたいと存じます。先ほども申上げました通り計量法が施行されますと、各都道府県は勿論全国計量行政の大元締でありまする通産省農林民生機械課度量衡班の仕事も相当増加いたしまして、現在の人員を以てしては到底円滑なる計量行政の実施は不可能かと存じますので、この計量法改正に当り通産省に計量課を設置せられ、強力なる計量行政を実施せられんことを県側から要望といたしまして特にお願いいたしまして、私の公述を終りたいと思います。
  12. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 次に薬剤師高橋勘次君にお願いいたします。
  13. 公述人(高橋勘次君)(高橋勘次)

    公述人(高橋勘次君) 高橋でございます。職業は薬局を開設経営するものでありまして、かたわら度量衡器の一部の販売もいたしております。かような職業的見地から、この度量衡というものにつきまして常に関心を持つているのでありまして、その立場から公述人として希望をいたした次第であります。  この計量法案の全体から申しますれば、申出ました通り賛成でございます。これは大ざつぱに見て賛成、こういう意味でございます。そうしてこの計量法案の内容を通覧いたしまして、大体どこに重点があるかということを考えまするというと、現行度量衡法に盛られておりますところのメートル法単一にして、昭和三十三年以降実施する、いわゆる尺貫法ヤードポンド法を廃止してメートル法だけに行くということが規定してありますところの再確認ということにあると思うのであります。  それからもう一つは、いわゆる計量器物の種類が非常に多くなつたと、こう点であろうと私は感じておるのであります。この計量器物の多くなりましたことにつきましては、現実に我々市民が必要とするものは、現在の度量衡法に盛られた器物でたくさんかと思いますけれども、実際に学術の進歩、工業の発達というような点から申しまして、かようなものをたくさんこの法案に包含して行くということは当然かと考えます。これらのことは専門的ないわゆる学者の側からも多数述べられているようでありまして、この点私同感であります。ただどの公述人の方も大体申されたようでありまするが電気単位が定めてない、電気計量器に関する規定がないということは私も同様感ずるのでありまして、ここでは詳しくは申しませんが、前公述人の諸君と同様な考えを持つている、又そうすべきであるということを申述べておきます。  このメートル法単一にするということを今改めてお互いに議論をしなければならんということは、いささか時代遅れの感じがするように思うのであります。極く皆さんでも側近に、じかに身の廻りに考えましても、我々年配の者は全く尺貫法で育てられたのでありまするけれども、現在もう三十数歳以下の人は実は尺貫法を非常に不便がつている。勿も現在の子供などにおきましては尺貫法というようなものは殆んど知りません。でありますからして、これは世界の文化の趨勢に副うべき点からも、当然メートル法一本になるべきであるということを簡単に申すよりほかございません。然らばこの実施についてどうであるか。私は幸か不幸か職業として薬剤師の業務を持つておりまして、もう試験を受けるときからすべてメートル法で育てられて来ております。非常に便利であります。当時はいわゆる舶来思想のためにヤードポンド法も併用されまして、薬を計るにはオンスというのがあります。現在でもイギリス製のものはオンス入りになつている。これは二十八グラムでありますから我々オンスというものは二十八グラムだと思つている。それからポンドというと四百五十グラム、日本の尺貫正法に直しまして百二十匁、こうしておりましたのでありますが、この昭和何年かの度量衡法改正のときに、いわゆる薬関係のものは一貫したメートル法に変りまして、現在はすべて名称はオンスを用いてありましても、これは一つ単位であつて、百グラムの四分の一というものの一応慣例名称として、いわゆるグラムで考えております。普通の取引、皆さんがお馴染の商品として売買するもの、これは半キロ、一グラムの半分五百グラムを以て単位としております。これらを基準として二十五グラム、百グラム・五百グラム、一キロというものを単位としてやつておりますから非常に便利でございます。この際に尺貫法併用というようなことがありまして、昔の漢法医のように何匁というような処方を盛られては我々は迷惑千万であります。これは職業的の立場から言うのであつて多少の迷惑は忍ぶところでありますけれども、そうでなしにこうした職業の面から言つて非常に便利である。これは一つ諸君にお奨めしたいということを深く考えておるのでありまして、そういう観点から又先ほど第一の公述人が申されました通り、世界の文化の趨勢から申しましてもかように行くべきであるものであるということを私は深く考えまして、これにつきましてはどうかゆるむことなくこの法案通りに行つて頂きたいことを考えております。  然らばこの法案において全面的に賛成するかというと、一部に極めて不合理なところがあるのであります。先ず第一に、どなたかも申されましたが手数料が高いのであります。これは検定手数料が高い、登録の手数料が高い。恐らくこの立案者は最高をきめたのだと申すでありましよう。併しながら私ども五十年以上も世の中に生きておつて、さて現実の日本行政の程度はどうであろうかということを考えますると、いつでもこれは最高をきめたのだ、決してそれをとるものではない、それは最高でそれ以内であるから御心配ないと言つても、どうも役人というものはどういうものか、法律に許された範囲の最後の最高のところまで持つて行こうとするのであります。私はこの点に非常に心配を持つのであります。そういう点におきまして手数料が高い。若しこの例を申しまするならば、検定手数料の例、十三の(1)のロには当然竹の物差を含んでおります。竹の物差というものは現在いわゆる販売業者間の取引価格が三十センチが六円です。現行法では十五銭だそうであります。ところがこの手数料は二十円以下になつている。六円で売られるものに対して二十円以下というような数字を付けることは余りにもばかばかしいではないかと思うのであります。又(2)のはかりで私どもが使う天びんが現在は千円以下となつているのであります。ところが調剤用に我々が最も頻繁に使う百グラムの天びんの取引価格は八百五十円です。又その辺のやお屋や魚屋が使つております自動はかりの検定手数料が最高が五万円となつております。これの普通のものを仮に二貫目、七キロというものであれば、大体千二三百円が取引価格であります。又温度計の(4)のところには、温度計は三百円以下となつておるのでございます。ところがよほど優秀なものでも現在取引価格は百円前後であります。私どもはこの表を見て実は唖然としているのであります。現在のものは温度計が六十五銭かと聞いております。又自動はかりは十六円十銭です。一方だけでは八円五銭というふうに聞いているのでございますけれども、これは大体現行通りにやるのだということを、恐らく国会議員の方々が政府に質問すればお答えになるであろうと私は想像します。これはもう殆んど日本役人の常套手段であります。でありまするが私どもはやがて上るであろうということを想像しております。どうかこういう点につきまして国会議員各位の深甚なる御配慮を願いたいと思うのであります。  でその次にこの販売に関する手数料であります。現在は度量衡器計量器を売りますならば大体におきまして度量器一種類、計量器一種類としてこれは登録して免許を取ります。これはそれぞれ三百円でありまして六百円であります。而もこの期限が十五年であつたのであります。ところが今度は簡単に売ろうとしても度量衡、温度計でこの四つは受けなければならない。従来はこれに対して六百円でありましたものが、最高とは申せこれが千五百円で六千円の登録料であります。六百円が六千円とは実に驚くべき数字であると思うのであります。今度は法案の全体から見ますと七つ受けなければなりません。そうすれば一万五百円であります。而もこれが期限が五年間でありまするから、現実には六千円と申しましてもこれの二倍一万八千円ということに相成るのでありまして非常に手数料が高い。而も先ほど申しました通り必ずや最高まで持つて行かれる機会があるのじやないかという点から、特にこういう点に警告をしたいとかように思うのであります。この点で私は薬剤師の立場から特に議員先生方の御配慮を願いたいと思うのであります。  それから薬局の経営にはなくてはならない体温計の販売であります。この体温計と申しまするのは昭和七、八年頃に必要があつて計量器の部類に包含されました。従つて免許を受けなければ売れなくなつたのであります。而も当時の地方庁の全部とは申しませんが役人は、薬局の従来売つておつた体温計についてはできるだけ既得権を尊重して簡単に免許をするというのであつたにもかかわらず、相当厳重な講習等をさせましてやつと体温計を売ることができるというような程度であつたのであります。当時の我々の先輩が大いに憤激をいたしましてそうして当時の帝国議会に運動をいたしました結果、勅令といたしまして、薬局を開設する薬剤師は、体温計、目盛りある板付寒暖計、それから御承知のメートル・グラス、これらは登録によつて売れることになつたのでありまして現在これを特殊登録販売と申しております。而もこれは永久であります。その薬局を個人が開設する限りは一回登録すれば死ぬまでよいのであります。これが法人であつた場合は法人のあらん限り何百年といえどもそれでいいのであります。然るに今度の改正によりますと、今のメートル・グラスと体温計を売るためには先ほど申しました二つの登録をいたしまして千五百円として三千円の登録料を払う。而も永久的であつたこの資格が、特権が実に五カ年で消耗されるのであります。こんな不合理なことはないと思うのであります。これは特に我々の先輩がこうして多年元の帝国議会の方々の御協力御援助によりましてかち得たこれに対して、何らの考慮も払わないというかような不合理はないと私は考えるのであります。而も現在先ほど申しました通り計量器の免許につきましては三百円である。ところが薬局開設者の場合の特殊販売登録は僅かに五円である。その五円が今度は三千円になります。実に六百倍の増額であります。この点につきまして、特に先生方の御配慮を私は深くお願いをいたすものであります。  次にどなたからもお述べにならんようでありますが罰則が重いのであります。罰則の重いということは次代の文化の進展に副うものかどうか知りませんが、私はさように考えない。できるだけ教養を深めて罪を犯さぬようにするということがお互いの務であろうと思います。罰を重くして罪を犯さないようにするということはいわゆる封建時代の考え方じやないかと思います。先ほど申しました通り、現在の五円で登録できた薬局のものが、今度は薬局を開設すればその日からどうしても必要とする体温計が要ります。ちよつと誤つて体温計を売つても無登録販売として実に一年以下の懲役十万円以下の罰金、こういうのが第二百三十三条にあるのであります。これは実に私ははげしい悪法であると、悪化した法律とかように考えるのであります。全体的に見ましても今までは五百円以下の罰金が最高でありました。むろん悪い者には一年でありました、最高の体刑は。ところが今度は体刑が三年、罰金が二十万円となつておるのでありまして、この点につきましても余りにも全体的に強い。業者は間違いやすい。薬剤師をして誤らしめてわざわざ罪を作るものだ。一体中央官庁の方々や或いは国会議員の諸先生方はすべて、或いは皆さん方の良識を以て標準にされるかも知れませんが、必ずしも出先の官公吏はさようのみには申されないのであります。我々幾多体験しておるのでありまして、こういうふうないわゆる罰する規則がある限りはどこまでも罰するというようなことになるのではないかとかように考えられるのであります。その点から考えましても、どうかこの点を何とかなるように一つ御再考をお願いして、御修正をお願いしておきたいと存ずるのであります。なおこの法律がこうした原案になつたものを大部的に修正するのがなかなか困難といたしますならば、先ほど来問題になつております計量行政審議会でありますが、これが官吏だけを以て構成するどういうことは誠に意味のないことだ。これはよく我々の知つた範囲役人の悪口を言う例に、日当稼ぎの場所を作つておくに過ぎないといつてもあえて過言ではないと思うのであります。これはよろしく民間人を入れるべきだ。そうして登録料或いは検定料その他の重要なことはこうした民間人を入れたところで審議して、時代に適応した運用をするという意味において、私は現在の原案のような機構であるならば、これはむしろない方がよいと私は考えるのであります。どうかかような意味において、これには必ず半数以上の民間人を入れるということに御修正を願いたいと希望してやみません。  ところで先ほど来他の公述人の方々が申されました通り計量課若しくは計量局を通産省に作れということでありましてこれには私は異議はないのであります。併しこの議論の観点につきましても私は前公述人とはいささか違う方面からこれを申述べてみたいと思うのであります。我々がよく聞くのでありますが、いわゆる一国文化の水準というものはその国の計量思想の如何によつてきめられるというようなことをしばしば聞くのであります。先ほど前公述人が申しましたように、いわゆる日本では一山幾 というようなことがたくさん取引に行われておるのであります。これは計量思想が浅いということを意味するのでありまして、更にこうした風潮が続けられて行くのでありますならばいわゆる文化は逆転して行くというように考えられるのであります。こうした厖大な計量法案が作られましてこれを施行するということは、国民の文化水準を高めるという大きな観点に立つて行かなければならんと思うのであります。で、これらにつきましては現在通産省の機械局の中に農林民生機械課という、我々人民から見ればえたいの知れないような名前の課の一部で扱つているようでは、折角これほどの計量法案が成立いたしましてもその運営の効果は期待することはできないと思うのであります。少くとも計量課くらいは設け、又地方におきましても計量課くらいは設けて、もう少し国民を罰するとかそういう意味じやなしに善導して国民の文化水準を高めるという意味合において、私はどうかこうしたものを作つて頂きたいと思うのであります。  又なお今度の法案につきましては医療関係のものに触れておらんのでありまするが、これは私ども商売上の専門的なことに亘りますから申しませんが、注射器なども当然将来検定というようなことがなければならんのではないか。特に現在のごとく素人が盛んに注射をするような時代におきましては大いに考慮を要するものだということを附加えておきます。  大体時間でありますから以上申述べておきます。
  14. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 次に光学精機工業会測量器部会理事長西川末三君にお願いいたします。
  15. 公述人(西川末三君)(西川末三)

    公述人(西川末三君) 私は測量の機械を作つておる方の会の代表者として参つたのでありまして、従来の計量法度量衡法には角度に関する規定がありません。今度の計量法に初めて角度計というものが制定されることになつたのでありますから、従来の法規による取締等の経験は何にも持つていないのであります。ただ今まで私どもが長年扱つております上から申しますというと、こういうものをこの計量法規定しなくつても何らの弊害がないものであるし、又これをやるがためにいろいろな面倒なことが起る、むしろない方がいいじやないかという考え方なのであります。殊に私どもは非常に精密を要するものをやつておりますが、この法案の第十二条の十三号に揚げてあります経緯儀というのがありますが、これなどはもう特にこの法案から除いてほしいというのであります。  そのことを申上げますが、先ず第一にこの経緯儀は角度を測るのではありますけれども、大切な部分である角度の目盛というのがありますが、そのほかに幾つかの重要な部分があるのであります。望遠鏡にて測量するのにヘヤーを張つてありますが、ヘヤーの太さということが問題になりますし、軸が正確に動かなくちやならんとか、或いは望遠鏡の横の軸が正しく直角になつていなくちやならんとか、そんないろいろな角度の目盛以外に大事なところがありまして、検査をする上にはそれの総合の検査をしなくちやならず、なおこの機械は一遍動かしますというと、幾分そこに狂いが出るほど精密を要するものでありますから、必らず測量するに当つては一遍検査をしなくちやならない。検査をして、調整をしてそれから初めて使うことができるというものでありますので、特に新らしい品物を一遍検査して合格したらそれでいいというわけに行かないので、製品の検査が大した意味をなさないということになる一つ理由であります。  それからもう一つは、これは大衆が使うものではなくして国家試験に合格した測量士が使う。つまり専門の技術者が使うものでありますから、必ずしも国家試験をしなくても立派にそういつた技術者が検査をして使用し、又測量することに検査をして行かなければならんというものでありますから、特に計量法に載せる必要がないと思うのであります。  それからもう一つは、この経緯儀は取引証明というようなのは、極く僅かに使うのでありまして、これは面積を出す場合でありますが、これはまあ技術のほうも伴いますが、機械がよくありながら技術がよろしくない場合には面積が出て来ない。大きな誤差が出て来まして、これは測量の規定から大きな誤差があつた場合はもう一遍測量をし直すということになつておりますので、この機械そのものばかりではないのでありますが、機械が今申したような測量士によつて使われますので、そういうような場合がありましても大した弊害は起らないのであります。そんな理由の下に、この十二条の第十三号の経緯儀というものはこの法案から砕いた方が適当であろう。そう見ましたのでそのことを申上げたいと思つたのであります。
  16. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) これで本日の公述人の公述は全部終了いたしました。委員のかたに申上げまするが、公述人のかたに御質問のお方は御発言をお願いいたします。なお政府側から農林民生機械課長が見えておられますので右附加えて念のために申上げておきます。
  17. 境野清雄君(境野清雄)

    ○境野清雄君 公述人の小野さんにお伺いしたいのですが、先ほどあなたの方から雑則修正案並びにこの四章の検定の部分の修正案がありましたので、これは従来の調査官というのですか、要するに監督官というのですか、従来のそういうような方々が不当な行為が多かつたから、こういうような面を是正しなければならんというように受取つてよろしいですか。通産大臣が従来そういうものを監督しておつた。併し監督が余り完全に行われておらないからそういう面を謳わなければ万全が期せられない。こういうような御意向に解釈してよろしいですか。
  18. 公述人(小野龍三君)(小野龍三)

    公述人小野龍三君) お答えいたします。従来は監督がうまく行つておつたのです、昔は。それは商工省に権度課というものがありまして、当時権度課長が検定行政の権を掌握しておられたのであります。ところが明治三十六年に中央度量衡検定所というものができまして、そうしてその中央度量衡検定所長さんがその権度課長の仕事をなさつていた。ところがそれが昭和の初でしたか日にちはしつかり覚えてませんが、今度中央度量衡検定所長という人は、官制によつて法律によつて中央度量衡検定をする。甲種検定とそれから基準器検定、これをおやりになる、地方長官が乙種検定をやる。こういう工合になりまして商工省の中に監督官ができまして、その監督官が度量衡行政監督している。現在ではどうかといいますと、この基準器検査、甲種検定検査、それから検定に対する事柄は技術庁長官がおやりになる。それから器物製造のことと、地方取締検査は機械局長がおやりになつている。ところが製造行政といいましても、先ほど申します通りこしらえたつて検定合格しなかつたなれば、世間へ計量器として用いさすことができない。検定がこの制度の中へくつついております。そこで機械局長と技術庁長官と二人がやつていられるようなことなんです。この法律は非常にこれにも書いてございます通り許可を得ることがたんとあります。そういうことになりますとますますややつこしい。  それからもう一つは、地方検定官の役人というものは昔は任免権を権度課長が持つていましたのですが、つまり商工大臣が、ところがだんだん時代が変つて来ますにつれて終戦後は地方行政が独立になりまして、もう知事が勝手にやつております。昔は各地方検定官吏の交流があつたんです。甲の県から乙の県へ転勤するというというようなことが中央の指令によつて行われておりましたが、今度はもう地方自治になりまして余りありません。そうですから井の中の蛙で唯我独尊で自分がいいと信じて、この規則に基いて俺はする、こういうようにやつている仕事が正しいと思いましても非常な違いが起つて来ます。それで今日では通達、通牒というようなものによつて統制を図つているのだと、こう言つておられますが、もう今までは行政費を地方へ国費で紐付で配付していられた。それは平衡交付金で最近はぶち込んでやられますので、中央というもの睨みがちつとも地方へききません。お前の所は何ぼやつたと言つても実際はわかりません。そういう関係上そこに非常にでこぼこが起る傾向がますますきつくなる。現にそれが起つておるというような状態になりますので、どうしても、これは国の度量衡で国が基準をきめて度量衡統一を図つて行くという目的でできたものでありますので、昔の旧幕時代のような藩々によつて、そのとなえる尺とか一升とかいう名前は一緒ですけれども、自然長さが違う一貫目や一尺ができたことと同じ事態に陥りやすいのです。是非これはそれを一つ統一を図るように中央から絶えず調査して頂いて、そうしてそのでこぼこを監視して頂きたい。そうして監督して頂きたい。こういう希望でその字句を挿入して頂くことを要望したような次第であります。
  19. 境野清雄君(境野清雄)

    ○境野清雄君 各公述人から一様に電気単位或いはメートルが除外されているというような問題、或いは審議会ですか、審議会の構成というような話は御尤もな話で、これは日を改めて私政府へ質問するつもりでおりますが、ただ先ほど公述人の斎藤さんからのお話に、大体取締方法に対して相当疑義がある。もつと強化したらいいのじやないかというようなお話があつたのに対して、使用者側の高橋さんの方から余り取締の問題に関して発言がなかつたようなんですが、高橋さんの方から、一つ斎藤さんの先ほどのお話に対しての取締法案について、どのようなお考えを持つておられるかお伺いしたいと思います。
  20. 公述人(高橋勘次君)(高橋勘次)

    公述人(高橋勘次君) 販売業者若しくは使用者の面から申しまして、現在の取締の程度につきましてはあえて原案にとやこう言うほどの意見は持つておりません。只今小野さんが申されましたような、いわゆる調査官というようなものに行政監督の権限を持たして、各地方とも同じようにして行くというようなことは是非望ましいことだと考えております。
  21. 境野清雄君(境野清雄)

    ○境野清雄君 重ねてお伺いしますけれども、そうしますと先ほど斎藤さんのお話のあつたように、司法警察官を使つてやるとかいうような相当これを強化したいということは、あなたの方は全然そういうような希望はないというわけでございますか。
  22. 公述人(高橋勘次君)(高橋勘次)

    公述人(高橋勘次君) 司法警察官を使つてやるというようなことに対しては、いささか反対をいたします。少くとも現在の法規の範囲で行くのであつて、罰則が重いと申しました通り、そうでなくともとかく罪人を作りたがる役人がいないとも限りませんので、この罰則というものが少し苛酷であるという点だけにとどめておきます。
  23. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 公述人のかたに申上げますが、何か普遍的な公述でございましたら御意見承わつてもよろしゆうございますから。
  24. 公述人(斎藤総彦君)(斎藤総彦)

    公述人(斎藤総彦君) ちよつとお尋ねいたしますが、只今議員先生からお尋ねがありました点についてちよつと申上げつてもよろしいですか。
  25. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) どうぞ。
  26. 公述人(斎藤総彦君)(斎藤総彦)

    公述人(斎藤総彦君) 只今議員の先生から高橋さんのお話があつたのでございますが、高橋さんの方でお答えになりますことは、要するに計量器販売業者としてのお立場でお答えになつたのだろうと私は考えておまりす。私が先ほど申上げましたのは、実際に日常生活上我々の台所に直結する面においての計量器の違反、そういうものに対する取締ということで申上げたのでございますから、その点を一つ
  27. 境野清雄君(境野清雄)

    ○境野清雄君 それは今の斎藤さんのお話は私ども初めからよくわかつております。わかつておりますが、その面に関しまして大体使用者としてはどんなお考えがあるかということを参考にお聞きしたまでであります。あなたの御趣旨はよくわかつております。
  28. 公述人(徳永学君)(徳永学)

    公述人徳永学君) この第四章の検定の項で、ちよつと申し落しました第八十九条に検定合格の条件が書いてありまして、その中には構造、公差を省令で別に定めて、その省令で定めた構造、公差に合格しなければならんということが書いてあるのでありますが、現在の度量衡法の構造、公差は余り微に入り細に入りきめ過ぎてあるために、却つていい品物を発明しましても検定を受ける途が塞がれておるようなかつこうのものが相当あるのであります。これを省令でお定めになるときによく民間の意見を十分参酌せられて構造を余りに苛酷に定めたがためにこの器物の発達ができないというようなジレンマに陥ることのないようにして頂きたい。これだけを申上げておきます。
  29. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) ちよつと斎藤さんに申上げまするが、先ほど卒衡交付金のお話がありましたのですが、予算の実施状況、度量課その他の衡器に対するそういつた面に関する御説明をもうちよつとくわしくお話を願いたいと思います
  30. 公述人(斎藤総彦君)(斎藤総彦)

    公述人(斎藤総彦君) 大変有難い御質問を受けました。実は御承知の通り先ほどもちよつと話が出ておりましたが、従来はいわゆる紐付の交付金によりまして地方度量衡行政を賄つておつた次第であります。ところがいわゆる平衡交付金の制度が出ましてから、この紐付という形でなく要するに府県自体が勝手にそれぞれのポストに配分せられるような状況になつて参つたのであります。この点は諸先生方がよくおりわかりのことと存じますが、かようなことになりますと、従来紐付で交付されましたものも全く雀の涙のような状況であつたものが、今度は全く平衡交付金となりますというとどうにも動きがつかない。でこれはどうしてそういうことになるかと申しますと、誠にこれは悲しい話でございますが、我々の生活に直結する国家のあらゆる事柄の行動的な面の基盤となる計量という問題に対して、とにかくこれは一般に非常にその観念が薄いということが言えるのでありまして、これは恐らく従来の中央の度量衡の予算等から拝見いたしましても、全くこれは度量衡に関するところの行政の費用というものはどうにもならないようなちつぽけなものであります。従いまして府県の総括的本家であるべきところの中央の度量衡行政の本元が一つの課の班というような状態にある、こういうような始末でありますから地方においての状況はもうお察しに委せるような次第でございまして、従いまして、今ここに数字の資料を持つて来ておりませんのではつきりした数字は申上げられませんが、とにかく地方におきましては大府県とか小府県とかということは別問題にいたしましても、それぞれ四苦八苦の状況に相成るのであります。でこれは少くともこの計量行政という仕事がどこからどこまでが国の仕事であり、どこからどこまでが県の仕事であるということを一つはつきりさせて項きたいということが先ず第一の問題だと思います。で全部国の仕事なら国の仕事でよろしい。その国の仕事であるときまつたならば、少しも支障か起らないように円満に計量行政が遂行できるように、一つ予算面の御措置を願えればよろしいと思いますし、又検定は国の事務である、その他の仕事は県の事務であるというならば、私どもが又私どもの立場において県の経費を頂戴してそうして円満にこの計量行政を施行して行くことができるのではないか、こういうふうに考えます。遺憾ながら数字の資料を持つておりませんので、御納得の行くような説明であつたかどうかわかりませんが以上であります。
  31. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) もう一つお願いいたしますが、先ほど販売業者のかたからも、或いは製造業者のかたからも、手数料が非常に高価だというお話がありましたのですが、あなたの方はどうお考えになりますか。
  32. 公述人(斎藤総彦君)(斎藤総彦)

    公述人(斎藤総彦君) これは私もちよつと触れたのでございますが、前の公述人からお話がございましたので詳しくお話申上げなかつたのでありますが、私どもも現在この法案に挙げられておりますのは少し高すぎるのではないかと思います。この点につきまして先ほどちよつと私が申上げましたように、恐らくこれは検定に要する一切の経費を賄つて、要るに検定を申請なさつた方は全然手をつけないで、もう申請さえすればあとは一切主部を検定所なら検定所が賄つて検定を済まして、これで済みましたといつて差上げることができるようにというお考えだろうと思うのでありますが、で、それだからそれらの経費一切を含めてこのくらいなければというようなお考えだろうと思うのでありますが、実はその件につきまして私どもといたしましては、先ほども申上げましたように、日常そこらに見られまするような簡単な計量器の場合は、或いは一応それでいいかも知れませんが、土地建物に取付けられたもの、或いは非常に遠隔の地にあるというようなものに対する検定当りまして、その検定に要する要具の運搬とか或いはその検定を施行するために必要な人夫というものを検定所が全部賄つて、而もその仕事まで指図をするというようなことになりますと、これは金の問題ではないのでありまして到底そんなことはできないと思うのであります、現実の問題として、いずれにいたしましてもそういうことから考えて参りますと、或いは大きな何十トン或いは何百トンというようなはかりに対しましては二十万円でも少いかも知れない。この手数料に関しましてはそういう点をよくお調べ下すつてそして妥当な手数料をきめて頂ければと、こういうふうに考えております。
  33. 公述人(高橋勘次君)(高橋勘次)

    公述人(高橋勘次君) 只今委員長さん、この手数料の問題についていろいろ御配慮のようであります。私はこの手数料が先ほど申しました通りそこまでとくだろうというのにつきまして非常に従来の経験から心配しておるのであります。この点につきまして相成るべくならば列挙主義にして現行に近いものにしてほしいということ。併しそれができないならば先ほど申しました通り計量行政審議会というものに過半数の民間人を入れてこういうところで諮つてあとやつて頂きたい、こういうことをお願いしたいというのが私の主たる意見であります。無論そればかりを高い、そういう意味ではない。こういう一番高いものを標準にしてつけられたことが不合理である。この中できめるということについては役所にだけおまかせしておくことは甚だ不安心だ、こういう意味でございます。  なおこの機会にお願いいたしておきたいのは、実は九十二条の3に、「通商産業省で定める計量器には、検定証印に添えて、その検定を行つた年を表示する数字を附する。」ということがあるのであります。これにはただ数字とありまして、現在体温器にはそれが行われておるのでありますが、それはアラビア数字ですか、わかりにくい数字で、いわゆるしろうとごまかしに入つておるのでありまして、これははつきりと算用数字で入れるということをどこかに調うように一つお願いしたい、かように考えます。
  34. 公述人(山内二郎君)(山内二郎)

    公述人山内二郎君) 全般的に何か意見がないかというお話で、実は先ほどの電気測定、電気単位が入つていないという皆さんのお考えですが、それに対しまして先般私、日本学術会議の国際度量衡研究連絡委員会の委員長をやつておりますが、そこでこの問題についていろいろ討議いたしまたことを御参考までに申上げようかと思います。そのときにやはりこの電気単位は一緒にしたらいいではないかという話が出まして、そのときのいろいろな討議の結果としましては、単位法というような単独の法案をこしらえられるということがいいのではないかということであります。それからそれを受けましてそれぞれのいろいろな規定についての検定法案というようなものができるのが全体としまして非常にいいのではないか。と申しますのは、その検定の対象になります計量器のそれぞれの性格、精度、或いは使用目的、そういうことから考えますと非常にいろいろな種類がある。この厖大な計量法案というのを拝見しましても実は私なかなか了解がしにくいのであります。それで電気単位に関しましては、殆んど度量衡法と同時に発足いたしまして現在に至つておりますように古い歴史を持つておりますことと、もう一つは非常に電気の方のものは精密であります。又構造が非常にデリケートになつておりまして、そうしてこれをいろいろなものと一緒にしてしまうということは検定の実施或いは費用の対象という面から考えまして、非常に揃いにくい点が多分にありそうだ、従つて現在においてはこれを一緒にするということは先ず差控えて置いた方がいいんじやないだろうか。大体只今申しましたように、単位法という単独法を一つ罰則のない法案をこしらえるという先例を聞かれるのもいいんじやないかというふうなことでございます。そういう意見でございましたので、御参考までに申上げます。
  35. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) 小野さん、手数料のことにつきまして御意見ございませんか。
  36. 公述人(小野龍三君)(小野龍三)

    公述人小野龍三君) 先ほど再々申しておりますのですけれども、大体現在の、我々先ほどグラフをお見せしまして払つておりました手数料、それが売上金額の検定手数料が千分の八ほどになつております。それが同様なものを、今の検定といいますのは、とにかく検定場があります、その検定場へ持つて行きますとお役人がスタンダードの原器にその品物を合わされるけれども、その原器に合わされる所まで持つて行くのは業者が持つて行きます。又それのお手伝いも業者がお手伝いをする、検定手数料というものはちよつとも入つてはいやしないのですそういう状態です。それですから大きなはかりになりますと、そのウエイトを運ぶのから、それを積みますのから別に一切合切我々の方では原価計算でそれを製造費に入れております。検定を受けるために働いたのです、実際。検定手数料というものは一種の製造税ということになつております。又我々も製造税と思つてつております。それで営業税というものは営業税制定以来免除になつております。それでそれと睨み合わせておる。ところが営業税地方税で今度は何やら言うむずかしい税金になつて、儲かつても儲からなくても払わなければならんことになる。それが取られましてそうしてその外に検定手数料を取られる、誠にどうもその点は我々納得が行かんのです。それで先ほど言つておられる検定をするための費用一切合切が入つておるからと、それでありましたところでちよつともわからんのです、実際。二十一万円というようなごついことを取ろうというのですが、どういう工合に人間を使うてやられるのかわからんです、実際。何日かかつて検査せられるのかわからんのですけれども、これは最高をきめていずれデテールについては細かくおきめになりますので、我々の方におきましても、一体検定手数料検定するための費用を納めておるのか、製造をするときの免許税ですね、それを納めておるのかということは、今までからがはつきりせなんだのです。ところが一般の機械その他製造業者のように事業税を払うようになりましたので、いよいよこれは検定を受けるために払う費用、それなら現在の費用でも高過ぎる、実際それは高過ぎますわ、検査官の人はじつとしておられる。それにあなた受けるためにはかりの上に載せるウエイトのものはみんなこつちが運ぶのです。それは現在でも高過ぎます。一日にえらいときでしたら相当な収穫を挙げられます。これは国家が取られるので我々は税金がそれだけ安うなつておりますのですけれども、そうして一口にお前が払うのやないじやないか、最終に買う人が払うので売つておる者が取次ぐだけやないかと言うておるけれども、お取次いたしましてもやはり職業として取次げば手数料を頂戴しなければ、我々は自分が働いて自分が食うておりますので立ち行かんのです。我々がそういうものを原価計算に表わしたところで、この前の公定価格のときにでも全然採用してもらえませんということで、結局我々働きの中の食い料を何ぼか三杯食う飯を二杯八分くらいに減じて、えらい目に乗つたというので泣いて置くよりしようがないという実情でございます。この辺のところは外の営業のところにもございましたので御賢察願いまして、デテールをきめられますときは検定手数料として評価査定をしておきめ下さらんことをお願いいたします。
  37. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言ございませんか。
  38. 公述人(小野龍三君)(小野龍三)

    公述人小野龍三君) 実はこれは製造に直接関係があることでございませんのですが、この第三章の計量の安全確保、六十三条にございますのですが、この計るものの十分の一の精度の目盛をしたものを使わんとものを計るのにはいかん、こうきめられてございます。これが十分の一では一割でございます。一割といいますとおよそ目分量ででも相当年齢に達した人でしたら一割大きいか少いかということは見当が付かんということはございませんのですが、これは特にこの問題は小売商が随分目盛の荒いはかりを用いて、そうして軽い目方をかけておられる弊害を防止するためにこの項ができましたものと思いますが、小売商人が使用するはかりは私はこういうように条件を付けて頂いて、二十分の一、五分程度の精度の目盛のものを用いるとこうして頂きますれば非常にいいと思います。一割程度ですとこれはもう余りひど過ぎると思いますのですが、これは二十分の一ということにして頂いて小売商人が使う場合はそういうことにして頂きたい。又はかの方では全般的に考えますと、いろいろ十分の一でもまだ細か過ぎるという使用用途も製造工業やらの方にはございますでしようけれども、小売商の使用する場合はというようなことで二十分の一にして頂くと結構だと思います。ちよつとこれは修正案が出ておりませんのですけれども心付きましたので御審議を頂きたいと思います。
  39. 委員長(深川榮左エ門君)(深川榮左エ門)

    委員長深川榮左エ門君) ほかに御発言はございませんか。ほかに御発言もなければ本日の公聴会はこれで閉じることにいたします。なお公述人のお方にお礼申上げます。本日は熱心に御公述頂きまして有難うございました。厚くお礼を申上げます。    午後三時四十八分散会  出席者は左の通り。    委員長    深川榮左エ門君    理事            古池 信三君            栗山 良夫君    委員            小野 義夫君            上原 正吉君            小松 正雄君            加藤 正人君            山川 良一君            駒井 藤平君            境野 清雄君   政府委員    通商産業省通商    機械局長    玉置 敬三君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   公述人    東京大学教授  山内 二郎君    度量衡器計量器    工業連合会副会    長       小野 龍三君    度量衡器計量器    商業連合会理事    長       徳永  学君    神奈川県度量衡    検定所長    斎藤 総彦君    栃木県度量衡検    定所長     助川  一君    薬  剤  師 高橋 勘次君    光学精機工業会    測量器部会理事    長       西川 末三君