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1951-05-12 第10回国会 参議院 通商産業委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年五月十二日(土曜日)    午前十時四十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (当面の為替貿易金融に関する  件)   —————————————
  2. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は公報でお知らせいたしましたように、通商及び産業一般に関する調査といたしまして、当面の為替及び貿易金融について研究することになつておるのであります。貿易の問題は講和を真近に控えて極めて重要性を増して来ております。その上いろいろと面倒の問題も起つておるのでありまするが、本日は最近増加して参りました輸入状況、今後の対策並びに輸入引取資金の問題、更に目下日英会談で重要視されておりますドルクローズの問題及びドルユーザンスの問題など、主として貿易金融に関して調査を進め、でき得れば為替管理機構の問題についても研究をいたして参りたいと考えております。本日の政府関係者として御出席になつておりまするのは、通商産業政務次官首藤さん、井上通商振興局長経済安定本部湯川貿易局長、以上の三かたが御出席になつております。それぞれ又担当官説明員としておいでになつております。先ず最初に首藤政務次官から只今申上げましたような諸事情につきまして通産省の所管に関します関係の問題を簡單に御説明をお願いいたしたいと思います。
  3. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 最近輸入が非常に増進いたしました関係上、而もそれらの契約品が相次いで入着いたしております関係上、金融が非常に逼迫いたしまして、輸入品引取に困難を来たすというような状態になつておりますことは事実でありまして、政府といたしましてはあらゆる手段を以てこれの打開に邁進いたしておるのであります。よつて来たつた事情は大体皆様も御承知と存じますが、昨年の一四半期までは一四半期一億二千五百万ドル程度輸入に過ぎなかつたのでありますが、朝鮮事変が勃発いたしまして、それを動機としてアメリカ厖大軍備拡張計画が発表されました。更に引続いて英国その他も当然軍備拡張をやるであろうという想定と、更に朝鮮事変の進展から特需の発注が急激に殖えて参りましたので、政府といたしましてはこの機会日本経済をできるだけ増強いたしたい、そうしてできるならばこの機会日本経済の自立の目的を達成いたしたい。それがためたはどうしても輸入を第一に増進することである。而も時間的に早く、そうしてできる限り多くの量を輸入したいという構想の下に通産省といたしましては全力を挙げて輸入の増進に努力いたしたのであります。かような関係から昨年の七—九の輸入は、大体四億、それから十—十二の輸入は五億、更に本年の一—三の輸入契約は九億ドルを突破するというような異常な実は活気を呈したのであります。かような関係上昨年委員会会議の十月—十二月以降の契約品が最近相次いで入着いたしておる。然るに一方金融関係は御承知通り健全財政の建前が引続き維持されておりまして、通貨の発行も昨年までの限度を堅持されております関係上、当面の引取りに非常に困難を来たしているということに相成つておるのであります。当初これらの輸入をやりますれば、当然この引取資金に困難を来たすであろうということも想像されたのであります。これが如何にしてこの金融打開するかということを検討しました結果、それまでは貿手一本に依存しておつたのでありますが、到底貿手では解決せないであろうというところからユーザンスの制度を新たに作りまして、そうして貿手の期間よりも遥かに長い期間融資できるという方法もとつて参つたのであります。併し何分にも量が大量に入つて参りまする関係上、国内のメーカーとしてはユーザンス期日が切れても、なお引取り得ないというような状態になつておることが現在の金融難の一番大きな原因であります。現在所要資金として一応推定されておりまするのは、お手許に「最近の貿易金融事情について」という資料を届けてあると存じまするが、これに各品種別の大きいものだけを挙げております。四—六といたしましては綿花が四百二十億、羊毛が二百三十億、原油が六十億、重油が十億、鉄鉱原料が八十億、皮革が三十億、麻類が二十億、燐鉱石が十五億、油脂原料が百五十億、生ゴムが百二十億、合計千百三十五億、これが四—六の主な商品必要金額であります。更に七—九としましては、綿花が四百八十億羊毛が二百五十五億、原油が五十億、重油が三十億、鉄鉱原料が百二十億、皮革が五十五億、麻類が二十億、燐鉱石が三十億、油脂原料が二百億、生ゴムが四十億、合計千二百八十億、こういう厖大金額に実は達しておるのであります。そこで先ほど申上げましたユーザンス期日はだんだん切れまして、而も引取資金に困難を来たすということになつておりまするので、更にスタンプ手形を適用する方法を講じて、そうして多少でも金融打開を図りたいと考えまして今日まで綿花羊毛原油重油鉄鉱原料皮革麻類、これらのものはスタンプ手形が適用されることに相成つておるのでありまするが、燐鉱石油脂原料並びに生ゴム、この三つは日銀政策委員会に再三折衝いたしておるのでありまするが、未だ最終的な決定を見ておりません。現在のところ一応保留ということになつておりまするが、而も実際の金融難は主として皮革或いは油脂生ゴム、かような中小企業メーカーの多い商品が当面最も金融に苦しんでおりまするので、今後も引続き日銀と折衝いたしまして現在残されておりまする燐鉱石油脂生ゴム、これのスタンプ手形実施をできる限り早くやりたい、かような希望を持つておる次第であります。本来御承知のごとく、昨年来政府生産増強の指導と、内外の需要の増加によりまして生産指数は昨年の今頃に比較しまして大体三割乃至四割の上昇を示しておるのであります。而も価格も又当時に比較しまして、平地三、四割乃至五割程度の値上りを示しておるのでありまして、かように大量の輸入品、それから生産指数の上昇したこと、価格上つたこと、これらから推算いたしますれば当然現在の兌換券というものは、相当大幅に引き緩めなければならんじやないか。卑俗な例でありますけれども、三つ子に着せるところの着物を五つになつた子供に着せようというようなことが、現在の金融の問題に当てはまるんではないかというような気が持つているのであります。どうしても根本的に金融の枠を拡げることが必要でないかというような気持も実は持つているのであります。併しこれは御承知通り非常に容易ならん問題でありますので、今後どの程度にこの金融の枠が拡げられるかということに対しては、目下ところ余り自信を持つていないというのが真相であります。なお只今委員長の言われました貿易協定の点につきまして一言御報告申しておきたいと思いまするが、講和條約の締結の日がいよいよ近寄つて参つたことは誠に御同慶に堪えないのでありまするが、何時にこれによつて今日まで各国との間に結ばれておりましたところ通商協定が一応失効状態になるのであります。そこでこの失効状態にならないための対策をどうするかということが当面の問題でありまして、現にインドネシア或いは琉球というところからも通商協定の話が参つているのであります。又日英通商協定も問題になつておるのでありますが、特に日英通商協定はこれに関連いたしましてダラークローズの問題が関連いたしているのであります。従つて特に日英通商協定に対しましては重大なる関心を持つておりまして、あらゆる場合を想定いたしまして、一応の案はできかけているのであります。併しながらこの協定に対するところ政府構想をこの席で詳細に申上げますことは、非常にデリケートな問題でありますし、又その影響するところがかなり大きいとも考えられますので、どうしてもその内容を報告しろということでありますならば、秘密会議でも開いて頂いて、その際に申上げるほうがいいのではないかというふうに考えておるのであります。まあ相成るべくならばもう少し進行いたしましてから御報告をさせて頂いたほうがいいのではないかというふうにも考えております。いずれにいたしましても、政府といたしましても慎重にあらゆる場合を想定いたしまして、そうして最終的な結論を得たいというふうに考えまして、今その検討の段階にあるわけであります。更に又通商協定に関しましては、御承知通り外務省主管庁であります。従つてこの問題に対して詳細に御報告いたしますのは通産省よりも外務省のほうが適当ではないかとも実は考えておりますが、併し実質的に一番関係のあるのは通産省でありますので、この構想内容を、一応不安は持つておりますけれども、只今申上げました通りいろいろの面がありますので、その点は一つ了承を願いたいと存ずるのであります。
  4. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今政務次官から詳細な御説明があつたのでありまするが、これらの問題につきまして委員各位の御質問をこの機会にお願いをいたしたいと存じます。
  5. 上原正吉

    上原正吉君 問題とちよつと離れちまうんですが、ドル資金のほうは豊富にあるのですか。
  6. 首藤新八

    政府委員首藤新八君) 御承知通り一—三月の輸入契約厖大な額に上りました関係上、一時五億ドル以上の手持ちドルがあつたのですが、それが急激に減少しております。併し幸いに二、三、四月とも輸出契約が多かつた関係上、一億乃至一億二千万ドルというような金額上つた関係上、四—六も或る程度資金が残つておる。併し非常に愼重に、資金については外為その他と検討いたしております関係上、四—六の輸入に対しましてはまだ自動輸入制その他の発表は極く一部で、大部分のものが停止しているという状態であります。
  7. 境野清雄

    境野清雄君 どうでしようか、あと振興局長さんが見えでいるようですし、それから皆さんお話を先に全部お聞きしてから質問に入つたらどうでしよう。
  8. 古池信三

    理事(古池信三君) それではちよつと私からお諮りいたしますが、先ほど政務次官の御説明の中で、例えばドルクローズの問題、その他通商協定に関する問題を更に詳しく説明をするということは、できるならばもう少し先に延して欲しい。是非ということであれば秘密会等お話するよりほかに方法がない。こういうお話でありましたが、皆さん如何でございましようか、もう少し先に延して御説明を願うか、或いは秘密会でも開いて、本日できるだけの御説明を願うか、どういうふうに取計らいましようか。
  9. 下條恭兵

    下條恭兵君 折角の機会ですから、秘密会でなくてはいけないならば秘密会にして、今日現在の最も新らしい、詳しい情報一つ御発表願うほうがいいと思います。
  10. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかの皆さん如何でございましようか。只今秘密会にしたらという御意見が出たのでありますが、皆さん意見を伺いましよう。
  11. 山川良一

    山川良一君 簡單一つどうでしようか。
  12. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは秘密会を開きまして、簡單に現状に即した御説明を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 古池信三

    理事(古池信三君) それではさように取計らいます。
  14. 境野清雄

    境野清雄君 ただその時間というとおかしいですが、先に、来ておられる他の担当のかたからお話を聞いて、そのあとでどうでしよう。
  15. 古池信三

    理事(古池信三君) 秘密会お話を願うとすれば、やはり政務次官からお話伺つて、私は恐らくそれ以上のことは公開の場合は他の政府委員お話できないのじやないかと思うのです。それで秘密会を一応やつて、そのあとお話願つたら如何でございましよう。それに今出席を要求しておりまする外国為替管理委員会木内委員長もやがて御出席になるような通知がありました。従つてその間秘密会を開いておいて、それが終つてから諸問題について十分御検討願つたほうが適当じやないかと私考えるのであります。如何でございましよう。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  16. 境野清雄

    境野清雄君 僕は差支えない。
  17. 古池信三

    理事(古池信三君) それではさようにいたします。なお速記は一応取りまして、その速記取扱についてほ後刻御相談を申上げることにしたらどうかと思います。    午前十一時六分秘密会に移る    ——————————    午前十一時二十六分秘密会終る
  18. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今秘密会速記取扱につきまして委員長に御一任願いたいと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは前例等も考えまして、取扱につきましては適当に取り計らいたいと存じますから、さよう御了承を願います。  それでは政府側から更に御説明をお願いいたしたいと存じますが、丁度経済安定本部湯川貿易局長がお見えになつておりますから、本年度貿易計画等につきまして御説明をお願いしたいと存じます。それからなお外国普管理委員会木内委員長が御出席になりましたから御報告いたします。
  20. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 只今本年度貿易計画について御説明するようにというお話でございましたが、明二十六年度輸出見通しにつきましては、休会前の国会でその当時の案を御説明申上げましたが、その後大分輸出品の單価等が変りましたし、多少情勢変化等もありますので、若干当時と違つた数字が出て来ております。只今ところでは輸出見通しのほうでは大体十三億七千五百万ドルという一応見通しをいたしております。主な商品輸出見込み数量は……、その前にこの十三億七千五百万ドルの大体の大きな商品グループ別の大要をお話申上げます。百万ドル以下を一応切り捨てまして、繊維類が七億一千九百万ドル機械類が一億八百万ドル鉄鋼類非鉄金属と合せまして二億六千百万ドル非鉄金属鉱産物としまして六千六百万ドル食糧及び飲料として六千六百万ドル木材及び紙として二千五百万ドル動植物製品として一千七百万ドル化学品及び油脂類として三千八百万ドル、その他七千百万ドル、大体こういつた一応の分類別予想をしておりますが、もう少し詳しく主な商品輸出見込数量お話申上げますと、綿糸四千万ポンド、綿布三億ヤール、生糸十一万俵、人絹糸一千万ポンド、人絹織物二億ヤール、スフ糸七百万ポンド、スフ織物一億二千万ヤール、セメント八十万トン、石炭四十万トン、板ガラス三十万ケース、鋼材及びその二次製品百十万トン、主な品目はそんなふうなものでありまして、それを分類別にすると、先ほど申上げた数字総額が十三万七千五百万ドルといつたような数字になつております。尤もこれは輸出見通しでありますが、実際今後この通り必ず行くかどうかは市場の関係でわかりません。現在の手許に持ち得るいろいろな情報を收集した結果、およそこういつた希望見積つております。  これに対しまして輸入見通しであります。これは十九億六百万ドル、百万ドル以下は略します。こういつた総額を予定しております。これを大きな商品グループ別に分析いたしますと、食糧関係が四億六千万ドル農業薬品が六千万ドル石油及び石油製品が一億ドル工業原料が十二億三千百万ドル、この工業原料の中にはいろいろございますが、それをもう少し分けてお話申上げますと、繊維原料が一番大きいのでありまして、これが六億五千百万ドル金属鉱産物が一億三千二百万ドル非金属鉱物が四千八百万ドル化学品が一千七百万ドル、樹脂が三百万ドル、ゴムが一億四百万ドル石炭が五千八百万ドル木材が一千五百万ドルパルプ及び紙が四千三百万ドル皮革が三千四百万ドル食用にならない動植物製品、非食用動物製品とでも言うべきものが七百万ドル油脂が一億一千五百万ドル、まあこれは原料でありますが、こういつた原料総額が先ほど申上げた十二億三千万ドルというふうになつております。その次に医薬品が四百万ドル機械及び書籍という項目が三千四百万ドル、その他一千五百万ドル、全部を総計して九億六百万ドル、これが輸入の一応の規模であります。輸入商品の主なものの見込数量を御説明申上げましと、米が八十五万トン、小麦が百八十万トン、大麦が七十五万トン、砂糖が六十万トン、大豆が三十五万トン、燐鉱石が百万トン、加里が三十五万トン、原油が千七百九十五万—バレル、原綿が百七十五万俵、原毛が四十万俵、鉄鉱石が三百八十万トン、マンガン鉱が十万七千トン、ボーキサイトが十八万トン、銅鉱石が七万一千トン、銑鉄が十万トン、鉄鋼の屑が三十万トン、塩が百五十万トン、生ゴムが六万五千トン、強粘結炭が二百十二万トン、レーヨン・パルプが九万トン、サルフアイト・パルプが八万トン、原皮が二万五千八百七十トン、機械が、これは数量で計算できませんので、三千二百万ドル、主な個々の商品見通しはこういつた数であります。尤もこの輸入のほうにつきましては一—シAAで入りました数量が、これはAAで必ずしも計画通り既定計画というものは別にないのでありますが、そういつた数量等をば睨み合せまして、十分入つているものは又多少この計画を変える必要がある。そういつた点もあり、又これでは従来のストックの関係で十分でないというものもあるかも知れませんので、この年間輸入見通しというものにつきましては、目下関係方面と主な品目別に一々共同に検討しておりますので、その結果によりましては又若干変更を見るかも知れません。とにかく今手持の対策としましては一応十九億六百万ドルということになつております。これは年間計画でありますが、これに基きまして、実際の具体的な実施計画というものは毎四半期ことの外貨予算というもので、最も正確な資料を基にしてきめて行く、こういうことになつておりまして、四—六の外貨予算は現に実行中であります。七—九の予算もそろそろ準備し出しておりますが、そういつた際にはストツクの状況とか、或いは今現にアウトスタンデイングになつている輸入契約、そういつたものを参考にしまして実際的な実施をやつて行く、こういうことになつております。
  21. 古池信三

    理事(古池信三君) ちよつと局長にお願いいたしたいのですが、只今説明になりました輸出並びに輸入数字ですが、この詳細なる資料一つこの委員会にお配りを願いたいと思います。できるだけ早くお配りできますでしようか。
  22. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) これは先ほどちよつとお話申上げましたように、この全体につきまして目下関係方面いろいろ話をしておりますので、そういう意味では一応きまつてはいるのでありますが、その結果又変更になるかも知れません。併しそういう御了解の下に先ほどお話したような数字をできるだけ早く提出いたしたいと思います。
  23. 古池信三

    理事(古池信三君) どうぞお願いいたします。
  24. 小野義夫

    小野義夫君 ちよつと質問いたしますが、今の入超額の五億三千万ドル資金がどういう計画つておりましたか。
  25. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 只今説明申上げました輸出見積りは、大体通観してそれだけ出て行くと、こういう見通しでありますが、輸入のほうの計画は、これは一応これだけのものをば、この年間計画としてコミツトして行く、こういうまあ計画でありますので、必ずしもこの差額がすぐ入超というわけではございませんが、併しそのコミツトの計画と、それからそれが現実はこちらに入つて来るという計画は、これはまあ正確に言えば若干違うわけでありますが、普通に考えれば、前の年のものが、前にコミツトしたものが、それだけ入る。それから今年度終り頃にコミツトしたものは、これは来年度にズレる、そこは大まかに見て余り違わない。こういうふうにすれば、大体はこの輸入計画として同時に入つて来るというわけであります。そうしますと、一応そういう前提で以てこの收支見積りを立てますと、輸出のほうは先ほどお話しましたように、十三億七千五百万ドル、このほかにいわゆる特需というものがございます。特需はこれはまあ一般輸出と別に考えておりますので、その特需の入つて来る收入というものをば大体、これは物資とサービスと両方ございますが、一応二億六千百ドル、こういうふうに見積つております。そのほか貿易外收入というものがございますが、これを二億一千百万ドルと、こういうふうに見まして、それからそのほかにガリオア資金で以て輸入するものがたくさんあるわけでありますが、そのガリオア資金で、あとで拂うことになるのだけれども、一応商業勘定のほうで先に立替えて佛つて行く、こういつたものが例年あるわけであります。従つてその立替えた分のガリオア資金あとから入つて来ると予想されますので、その分として大体四千万ドル、こういうふうに見ますと、それを全部足しますと、收入のほうの側の合計が十八億八千七百万ドル、こういう額になります。これに対しまして支拂のほうの額は、輸入を一応さつきの十九億七百万ドル、これはコミツト・ベースとそれからアライバル・ベースと多少違いますが、一応話を簡單にしますために同じ額としまして、十九億七百万ドル貿易外支拂というものがほかにあります、これを一応七千九百万ドル、こういうふうにまあ見ますと、その合計が十九億八千六百万ドルということになります。ところがこの輸入額十九億七百万ドルの中で、一九五〇年のアメリカ会計年度、これは去年の七月から今年の六月の終りまでですが、その会計年度援助資金買付けたものがここに到着して来るというものがあるわけであります。それで今の一九五〇年、五〇年というのは去年の七月から今年の六月末までですが、そのアメリカ会計年度援助資金が一億二千八百万ドルになつていますが、それで買付けて本年度になつてから到着する、日本会計年度の本年度になつてから到着するといものが、どのくらいかということを想定したわけですが、それは大体一億八千二百万ドルの七カ月相当分、十二分の七が大体前に買付け日本のこの会計年度に来るというふうに考えておりますので、それを一億八千二百万ドルの十二分の七、つまり一億六百万ドルと見たわけであります。そうするとそれだけはすでに前に買付けたものが今期に入つて来るというわけでありますから、先ほどの輸入十九億七百万ドルの中から、その分はすでに買付けて拂つてあるという意味で差引いてもいいということになります。そこでそれを差引きますと、輸入現実にまあ支拂を要するものというのが、十八億八千万ドルになります。輸入とそれから貿易外と合せまして、安拂のほうが十八億八千万ドル、非常に技術的でちよつと複雑でありますから、もう一遍繰返しますと、つまり輸入の十九億七百万ドルからこの米国会計年度で、日本の昨年度会計年度買付けで今年度に入つて来るというものを一億六百万ドルと見まして、それを引きますと、輸入のために要する資金は十八億百万ドル、こういうことになります。それに貿易外支拂七千九百万ドルを加えますと、十八億八千万ドルというのが支出のほうのテイドで是非要る資金ということになります。そうしますと、先ほどの收入のほうの十八億八千七百万ドル、それから支出のほうの最後に今計算して出ます十八億八百万ドルというものを比べますと、この見通しとしては一応收支バランスは七百万ドル受取超過になる。こういつたような計算になります。尤もこういつた見通しというものは、輸出が或いは予想外にもつとよかつたり或いは悪かつたり、これは又輸入のほうでも非常に時期的に繰上げてしなければならんというようなものも出たりしますから、一応の見通しはこういうふうにしてやりますが、実際は四半期ごと外貨予算の際に、もつと期近の材料を使いまして、或いはその時の非常に真近の資金のポジシヨン、そういつたものをば外為替委員会からもらいまして、そうしてもつと正確なものを作つて行くわけであります。
  26. 小野義夫

    小野義夫君 今の説明で非常にわかりましたが、なお先日の新聞によりますというと、大蔵大臣の話が知らんが、受取勘定約二億ドルと、本年度残りと、貿易額もまあ二十億見当に行くのではないかという新聞に出ておりましたが、それは最近の見通し……、これはまあ昨年の予算編成でございますか、この前の予算編成のときの御計画ですか、最近の見通しは、そういうような二億ドル受取勘定が殖えるような情勢でありますか、どうですか。
  27. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 大蔵大臣のおつしやいましたのは、どういう根拠でおつしやつたのかよく存じませんが、私ども一応事務当局としまして連絡して見積つた数孝は今申上げたような数字であります。
  28. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 ちよつとお伺いしますが、貿易外の収入二億何千万ドル、これはどういうような貿易外收入ですか。
  29. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 貿易外收入の中でちよつと今手許に……。
  30. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 概略で結構です。
  31. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 今ちよつと正確な資料を持つておりませんが、一番大きいのは進駐軍が使う金、これが一番大きくて、まあそのほかに運賃とか保險料とか、まあそういつたようなものでございます。それから特需のほうの一部、非常に貿易外の収入は複雑しておりまして、特需のほうの收入貿易外の中に入れておる場合もあるのです。そういう整理分界がいろいろなやり方で違いますが、ここでは特需関係は一応除外して通常の貿易外收入、まあ進駐軍の使う金というのは極く通常の貿易外かどうか知りませんが、とにかくそれは非常に大きいです。それも貿易外に入れております。
  32. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 貿易外支出七千万というのはどういうのですか。
  33. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) そちらのほうは、やはり外国船に拂う運賃とか保險料とか、或いは渡航する人たちの旅費、それから電信料とか、特許権を買う場合の費用とか、最近在外事務所がたくさんできましたからそういつた、まあ大体そういうものです。
  34. 廣瀬與兵衞

    ○廣瀬與兵衞君 有難うございました。
  35. 下條恭兵

    下條恭兵君 一つだけお尋ねします、この特需の二億六千百万ドルというものの原料ですね、この原料はこの輸入原料の中に当然見込まれてあるのですか。
  36. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 特需二億六千百万ドル、これは大体現在特需契約が二億六千万ドルくらいありますが、それがどのくらいの毎月割合で発註されておるかといつたような傾向を見て一応予想したわけであります。その中でこれも非常にこういうのは特需の態様というのはしよつちゆう変りますので、なかなか正確な見通しというものがむずかしいのでありますが、この二億六千百万ドルの中には物資の特需、それからいろいろなものを修繕したり、それから運賃とかそういつた物資でなくてサービス面の收入と両方含んでおります。大まかに言つたならば大体三分の二が物資で三分の一くらいがサービスの収入と、こう考えられますが、その分の物資の原料、これは輸出原料も大体一緒に計算の基礎にしてこの輸入の中に入れております。
  37. 境野清雄

    境野清雄君 今の特需の話ですけれども、今年の三月二十五日の統計において二億五千四百万ドルという計算が出ておるのを見ますと、今年は昨年に比較して大して殖えないという見通しですか。
  38. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 特需の、ときどき発表になつておりますのは特需契約がどれだけ発註されたか、こういう統計であります。それで今手許に持つておりますので一番新らしいのは四月の八日までのがありますが、それによりますと特需契約の出ておりますのは二億五千七百七十五万九千ドル、こういつた数字になつております。これをば物資の供給、それからサービス関係というふうに分れるわけでありますが、物資の供給のほうが一億七千百九十八万ドル、サービス関係が八千五百七十七万九千ドル、こういうふうになつております。これは特需契約でありますから、実際に納入して支拂を受けるというのはずつと遅れるわけであります。そこで昨年度は私今三月あたりの数字ちよつと、あるのかも知れませんが記憶しておりませんが、去年の朝鮮事変以来昨年の十二月末までが大体九千万ドル收入になつていると記憶しております。そこで三月まででしたらまだ相当殖えているかと思いますが、一億数千万ドルということになるわけであります。それに対しまして先ほどの数字は大分大きい数字であります。前の契約でだんだん支拂が来る分、それから今後出て来る分、それが今度実際に物資のほうは金の支拂が遅い、サービスの関係は回転が早い、これを一定の率で計算をして、サービスの面ではどのくらい、物の面ではどのくらいといつたような作業の上に大体最近の数字を掲げております。
  39. 山川良一

    山川良一君 例の日本経済協力という面は相当この統計の中に織込んであるのですか。輸入はこのくらい見ておるのだ、輸出をこのくらい見ているのだ、或いはその外の貿易外はこのくらい見てあるのだというような関係はわかりますか。若しお差支えなかつたら。
  40. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 日米経済協力の問題は私ども余り詳しいことを知りませんが、上司から今までに多少話を聞いておる範囲で、日米協力という大げさなもりは知りませんが、大体まあそれとなく話を伺つた程度で多少織込んであります。
  41. 境野清雄

    境野清雄君 昨年の安本の統計だつたかと思うのですが、大体昨年輸入は八億七千万ドルくらい、輸出が十三億くらいというような予定をお立てになつて、私たちその差額というものは対日援助物資、特需、それから貿易外收入というようなもので大体バランスがとれるというふうに見ておつたときに、アメリカの財界人が大体日本貿易の収支バランスというものは十二億くらいのところまで行けば、自立経済が達成されるのじやないかというようなことを書いてあつたのを見たんですが、当時と大変違つて、こういうような十八億、十九億というような数字になつて来たことは勿論価格面が非常に上つて来たので、原材料としても、それが昨年に比較してそう上つておらんと思いますが、大体安本のほうで見ました総括的な値上りというものは、どのくらいに見て今の十八億、十九億というような数字になつておりますか。
  42. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 物価の値上りの状況というのは非常に品目によつて違いまして、余り上つていないものもありますし、倍以上に上つたものもあるというわけで、全部をまとめてちよつとお答えしにくいのでありますが。
  43. 境野清雄

    境野清雄君 御尤もですから……、そういうような面から見ますと、今安本のほうで考えています自立経済達成のための輸出入というものは、どのくらいでバランスがとれればいいというような、金額見通しはありませんか。
  44. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) それは差当り今年の年度だけ見れば、先ほどの輸入援助資金なしにやれるということになれば、まあバランスがとれるわけでありますが、併しもつと生産を拡充して行くというものもあるでしようし、それには又電力等の問題もある。いろいろありまするので、前に自立経済の三年計画を立てましたが、あれは一応のあれでありますが、その後相当修正を要する、大体生活水準をどの程度にするかということを検討して、そしてその生活水準を維持すために必要な輸入部門、生産部門といつたものをすつかり計算してやれば、今のようなものは一応出るわけですが、ちよつとそういつたような生活水準なんかの問題をどうきめるか、そういつたようなことを総合的に全部作業しないと、今年に限らず大体このくらいならば自立という……或いは簡單に具体的にはお答えできないかと思いますが、今年だけだつたら、援助なしに今年としてはできるということは、輸入の分を全部收入の面で補えばできるわけです。それでそれじや日本の自立はそれで成つたのかと言えばまだもつと拡張すべき点もあるでしようし、生活水準をもつと上げるとか、いろんな問題がありますが、ただそれだけからはちよつとそういうふうに……。
  45. 境野清雄

    境野清雄君 勿論、今お話を聞いたら日米経済協力は考慮の中に入れておらんというお話ですが、それは御尤もだと思うのですが、大体日米経済協力の線が最近浮び上つて来ている中に、日本経済力は余剰経済力を活用しようという点になつで来ているというようなことも強く言われているので、私たち尤もで、国民の生活をもうこれ以上切下げないということとか、或いは今の余剰経済力という点を考えて行かなくちやならんので、余剰経済力ということを考えて行くとすれば、現在安本なら安本がこれから拡充しなくちやならんというような面は考慮に入れないで、現在の経済力というものだけで自立経済というものはお考えになつておらんのです。
  46. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 日米経済協力のございました話はよく私は知りませんので、そういうものがあるのか、或いはあつてどういうような数字になつておるかという点、そういろ点は私知りませんが、一応私どもの知つている程度ではあると思いますが、その程度なんですが、自立経済とか、日米の経済の構造をどうするとか、生活水準とかいつた問題はちよつと私の所管以外なものでございますから、適当な方面から一つお聞き取り頂きたいと思います。
  47. 古池信三

    理事(古池信三君) 貿易関係は更に又機会を見まして、もう少し突つ込んでやはり研究する必要があるのじやないかと考えます。本日は少し時間が過ぎましたが、先ほど御報告いたしましたように、外為委員長の木内さんがお見えになつておりまするから、簡單に最近の外貨事情等について御説明を承わつたらと存じますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは木内委員長
  49. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) 最近の外貨事情簡單に御説明いたします。  新聞には今度は外貨が足りなくなつたという記事がたくさん出たのですが、ひどく足りなくなつたわけではないのであります。ただ望みに対しては足りない、もつと買いたいが、思うように買えないという表現のほうが或いはいいかと思います。併しそれで例の有名になりました数字、昨年末には五億一千九百万ドルの外貨があつたと申しまするのは、実はポンド、ドルを合せたものでありますが、こういう私どもの持つております外貨のバランスをどんどん世間に発表して行くことのよし悪しは実は議論のある点であります。申上げませんとわかりませんから三月三十一日のバランスを申上げます。これはドル、ポンド合せまして四億四千七百万です。ですから五億一千九百万が四億四千七百万に減つたということは、そうひどい減り方ではないのです。但し外貨が非常に足りないということを言われますのは、一方今後輸入をするという約定をしてしまつたもの、そのために信用状が出てしまつた、信用状がまだ出なくても政府としては輸入をしたいという希望者に対して外貨の割当とか承認とかいう言葉を、場合によつてはよく使いすすが、要するに外貨をお前に渡すぞという約束をしてしまつたという数字が非常に多いことは当然でありますが、昨年の秋から現在に至るまで、できるだけ早く輸入をしようということを努力して来だのであります。従つてそういう割当をして来たのでありますが、その金額が非常に多い、これも三月三十一日でありますが、信用状の残高にして八億を少し越している。今の信用状はまだ出ないが、政府としては外貨をお前に渡すぞという約束をしてしまつたというものは八億を少し越しているという状況であります。ですから四億何千万かの現金を持つて、これだけの約束をするということは相当金繰りを窮屈にいたします。楽な状態ではないのであります。併しそういう状況なつたということは、輸入の約定ができたということを意味するのであつて、買いたいものをすでに買付けているのでありますから、必ずしもその荷物はまだ来ていないかも知れませんが、その意味からは使いたいと思つた金をその方面に使つてしまつたから、なくなつたということになれば、このような約定ができているということは今の日本経済から見まして、場合によつては随分でき過ぎているようにできている部面もあります。望みを言えば限りがありませんのですが、満足していい部面もあるのであります。従つて急に非常にお金がなくなつて非常に困難をしておるというような印象がつい世間に與えられております。これは実は訂正を要するものであります。ついでながら申上げますが、私ども仕事をしておりまして、大分改善をして来たと思いますが、まだまだ至らん点はたくさんあるのであります。その至らん点の一つの大きなものは実は新聞発表であります。我々思つてもいないことが政府の一部局において多少の研究がなされたということだけで新聞種になる。例えば輸出は制限するぞということが、そういうことをその担当の部局において研究をなすつたことは事実と思いますが、決して政府がそういう輸出を制限しなければならんというようなことを考えるところまでは行かなかつたと私は了解しておるのであります。同じように輸入急ぎが問題になりましたが、政府は民間の人の資金の心配までして、何んでもかんでも輸入をして欲しい、頼むから輸入をしてくれ。ということは、できるだけ輸入がし易いために外貨をたくさん與えたいということを言つたのでありますが、何かそういう点が常に誇張されて新聞に出ます。これらの点改良を要すると思います。どうぞそういう目で今の数字を頭に入れてお考えを下されば、そう何も苦労はないのだというふうに御承知願いたいと思います。但し例のポンドのユーザンスをやめてしまつたというような事情がありまして、そのようなことが外貨が足りないからだといつたような印象を作つたかと思うのでありますが、これは実は大変技術的になつて恐縮でございますが、ちよつと違う考えであります。ポンドのユーザンスをやめたということは、実はお金が足りないからやめたのではない。お金よりもほかのものが足りなくなつたからやめたのであります。ほかのものと申しますのは輸入をしますときにはポンドでありますと、主として英系銀行が信用状を確認してくれるということがあるのであります。信用状確認と申しますのは先方の輸出商が商品を積み出した。何商品を持つて来れば、確かに代金を拂うという約束を守つてくれることであります。その結果として貿易が行われるわけであります。そういう約束をしてくれる限度というものをクレジツト・ラインにおいて認めたのであります。そのクレジツト・ラインなるものの拡大を望んで来たのでありますが、思うように行きませんで、拡大が行き悩みになつておる。そうしまするといわゆるユーザンスというものを使いますと、四ヶ月ならば四ヵ月、手形は拂われずに残つております。残つておるものは日本の債務であります。先方の銀行としては向うの輸出商にはお金を拂つてしまつた、日本がそれを拂つてくれるまでの間は日本の債務、向うの債権として今のクレジット・ラインから差引いておるわけであります。これが四カ月引延ばされておりますから、累計としては思いのほか大きな金額になるのでありますから、そのようなものを背負つていては新らしい輸入というものがクレジツト・ラインの上で天井につかえることによつて滞ります。むしろそのユーザンスというものをやめてしまつて、向うで輸出したらすぐ金を向うの銀行が拂つてくれます。その銀行にはすぐこちらから又お金を入れてやつてその立替えをして、今のクレジツト・ラインが詰つて来るということを避けるようにということを最近したのであります。ですからこれがお金がないためでなくして、クレジツト・ラインというものの拡大が行き悩んだのでありますから、この拡大というものは行き悩んだが、私ども非常に残念に思つたのでありますが、いろいろ止むを得ざる事情があつたのであります。最近御承知のように、司令部が私どもに委任状を出して、かれらは委任者でありますから責任者は委任者たる司令部が実は負つてお前たちに一応委した、銀行に委した。併し多少のまずいことがあつても尻拭いは司令部がするということが今の仕組であります。その委任状をそろそろ撤回したいという申入れを各銀行に対していたしました。その申入れに私どもは今後司令部の保証なしに仕事をする取きめが立派に成立して、今後の日本貿易が滞りなく行くという見定めが付いたならば自分のほうの保証状を撤回する。こういう極めて親切なる申出ではありますが、その意思は、明らかにしました結果として、その問題がはつきりするまでは新らしく信用限度を拡張する、長期の手形さえも向うが債権者としてこつちが手形債務を負うことを認めてもらうということは差控えたい。あちらとしては当然な考えであります。そういうことを英系銀行が主として考えるようになりました結果として、今までのクレジツト・ラインの拡大が行き悩んだのでありまして、これは止むを得ざる仕儀であつたと思います。それが今度のユーザンスをやめた事情であります。ついでながら申上げますが、ドルユーザンスというものも一応やめておりましたが再開したい。これをやりますとお金が楽になりますから、先ほど申しました輸入急ぎということは、今の限度よりももう少したくさんできるわけであります。これもそのような事情並びに例の機構問題がはつきりしないということも手伝いまして、ちよつと行き悩みの形になつおります。それらのことが若しできましたならば、私どもは実はいわゆる一—三の予算というものを正直に申しますと、あのように勇敢に大きな予算を組んで輸入急きをやりましたことは、ポンド、ドルと両方に亘つてユーザンスというものは近く実現する見込があると鑑定したことにあつたのであります。それが実現しませんうちにそのようなこれ又司令部が我々に権限を委すということは結構なことでありますから、歓迎すべきことではありますが、そのほうが先に来てしまつた結果、ユーザンスは一応延びたが、それが現在金繰りを一層窮屈にしているわけであります。そのような事情があつたのであります。併しそれを総計して見ましても、先ほど申しました通りそう何も非常に悲鳴を挙げなければならんほどのものではないから、その点は先ほど申しました数字によつて御判断願いたいと思います。大体最近の外貨事情はそのようなことが重要なポイントであると思います。なお御質問がありましたらお答えいたします。
  50. 小野義夫

    小野義夫君 今のお話の八億ドルの約束は長いものは、相当先のものもありますが、大体これは月割といいますか、三月の約束のものはどういうことになつておりますか、これに対してやはり収入のほうの……。輸出によつて得る予算の見合いもあるものと思いますが、結局約束を八億ドルつてつても、それが期間が長くてそうして又一方にだんだんと出て行く外貨の受取が出ればうまくこの間のことはやつて行けるのだから、結局今持つておる金はそう一時的には減るかも知れんけれども、大して減らんで行けるようにも考えますが、如何でしようか。
  51. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) おつしやる通りであります。八億ドルというものは大きいように見えますが、使う期限は長いものは随分先まで、来年に及んだのもあると思います。ちよつと私月割に記憶しておりませんが、相当長い期間でありまして、その間に輸出の代金の収入というものが加わりますから、その見積りをいたしまして、大体その見積りを総合したところで今後の新らしい割当というものをどうして行こうかということをやつております。その結果結論としては四月現在、今経過中の四月乃至六月の外貨予算というものはかなり圧縮する必要がある。現在三億五千万ドルとしておりますが、これも資金状況を見ながらして行こうという慎重な態度をとつております。大体外貨資金が一番バランス、現金の残高としまして一番減るかと思いますのは、六月末頃かと思つております。それから又次第に殖えて来る勘定になります。これは今後の輸出状況であります。新聞にもちよつと出ましたが、四月の輸出はかなりいいので、思いのほかいい、受取で申しますと、お金で申しますと二億以上の金が入つた、二億ドル以上の金が入つたことになります。これは細かいいろいろな特殊事情がありまして、これは貿易の実勢ではありませんが、まあかなり芽も出て来た、これは全く今後のことを見ませんとわかりませんのですが、事情によつては存外遠からざるときに今のような金繰りの逼迫ということは解消されるのではないかと思います。
  52. 小野義夫

    小野義夫君 これは或いは貿易局長のほうに属するかも知れませんが、ともかく日本朝野を挙げてそれの思惑買と申しますか、買溜をやつたことは事実でありまして、これがやはり外貨で持つておるか、物で持つておるかということになるので、過去及び現在において、およそ今の計画の中でその先物を思惑で買つた、又買わんとしているというようなものはおよそ金額でどのくらい含まれているでしようか。
  53. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) それは非常にむずかしい御質問ちよつとお答えできないと思います。先物を買いましても、例えば綿花のようなものは非常に先の買約定をしているものがございます。これは決して思惑と言えないわけであります。思惑というものはそうでございますね、多少買過ぎた、又現にそのために値が下つたものもあるから思惑という名で呼ばれておるものもあると思いますが、金額的には私の知つております範囲ではわからんものと思います。
  54. 境野清雄

    境野清雄君 今小野委員のお聞きになつた思惑ですが、最近思惑輸入というやつが新聞や雑誌にたくさん出ておる。ここに東洋経済がありますが、この東洋経済に「即ち買つけ約定分を加えると、燐鉱石や大豆、ボーキサイトなどは、すでに年間消費量の五割から六割、ゴムも約十カ月分、皮革、加里は十五カ月分にも達するに至つた。豆粕もまたすでに余つてこまつている始末だ。」というようなことがありますが、これは外貨割当をするときには、こういうものは非常に検討してやるのじやないかと思いますが、その辺のいきさつはどんなふうになつているのでしようか。
  55. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) それは貿易というものは計画がありまして、大体こういう商品はこれだけのものを買うのがほかの商品との振合いから見ても適当であるということは考えられます。現在御承知通り自動承認制というものがございます。あれは政府のほうで、もうこれ以上はいかんと、ストツプの号令を掛けますまではあたかも為替管理なきかのごとく、銀行に申請を出せばそのストツプがかかりますまでは自由に外貨がもらえるという甚だ自由なる、少し大げさに言えば今の日本としてはちよつと身分に過ぎたような制度をとつておりますが、たまたま昨年の秋から暮へかけまして御承知通り外貨は非常に潤沢になりまして、且つ輸入遅れ、輸入より輸出のほうが先へ出ましたから、ストツプすれば減るという状態になりまして、而も物価は騰貴状況だということがございましたので、この自動承認制というものが非常に活用された、非常にいい結果を出したということも考えられます。同時に自動でありますから、政府のほうは全体の金がなくなつて初めてストツプをかけるのであります。御承知通り三月の半ば頃にストツプをかけましたが、それまではどの商品が幾ら買われるかということは、必ずしも商品別に統制しないのであります。これらは今のような制度がいいか、或いは多少そこに改良の余地がありはしないかということは問題になると思います。現在まではそういう経過です。それで併し今の指摘にありましたように年間の普通に想定される消費量を超えてしまつたというものは極く限られた一、二の商品で、あとは例えば十カ月と申してもこれが十カ月かかつてつて来る約定になつておるとしても決して買い過ぎではない。そこらの点は一概に……、背後の事情はそういうふうになつております。
  56. 境野清雄

    境野清雄君 今のお話で大変よくわかつたのですが、こういう厖大輸出入の計画になつておるのに、日銀のほうの政策は私たちが見るとやはり昨年と同じように特需輸出によるインフレ再燃というものを抑圧しておるような金融政策をとつておる。そういうことによつて私たちが考えると五月、六月は輸入業者としても輸出業者としても、金融問題で相当問題が起つて来やしないかということを懸念しておるのですが、あなたがたのほうで御覧になつておる金融操作の面はどんなふうなお考えですか。
  57. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) これは政府で以てこう思つておるというはつきりした意見にお取りにならないように、非常に議論の存するむずかしい点でございますから……。ただ私個人はそう考えているという参考の程度にお聞取り頂きたいと思います。今も御説明しました自動承認制というものは、その背後には、為普は一応自由であるかのごとくもらえる、もらえるけれどそういう制を取りました背後にある思想というものは、もらえるけれどももらつた人は例えばユーザンスというものがついていても三カ月乃至四カ月先に円を拂わなければならないんだ。その円というものは無限にあるはずはない、自動承認制がスタートしましたときは、御承知のようにドツジ・デフレと言われた六月頃の非常に金詰りのときでありますが、業者の輸入のために円資金というものにユーザンスを與えることは、そのとば口から円を取り出しては輸入はできないであろう。ユーザンスは大いに奨励すべきであるが、ユーザンスが切れた後の資金というものは業者の自力によるんだ、銀行から借りる人は借りるのも結構でありますが、そうすれば業者の自力及び銀行の力というものに限りがあるから、従つてそこに一定の制約があると考えたことが自動承認制の基礎であります。ですからその基礎をはつきり堅持して行くとするならば、一見して非常に金融の圧迫のように見えるのでありますが、併しこれは輸出のほうの圧迫をするということは全く関係のないことで、今申しました円資金の制約があるから自動承認制は成り立つという根拠が事実においては多少崩れたような感じがございます。正直に申しまして……。併しさればといつて自動承認制をやめてしまうということに飛躍するにはまだたくさん問題があります。今までの自動承認制のやり方には、今度は資金を離れまして為替許可の面からいつても、いろいろな問題があります。殊に世間には例の輸入奨励の声が誤解されまして、輸入さえすればあと資金も、ユーザンス後も見てくれるのだというような錯覚があつたということも発見したのであります。その錯覚は今後来たるべき、又来つつある金詰りによつて相当訂正されるだろうと思いますが、それが訂正されたあとには許可の細かい点に多少の改良の余地があります。それらを改良すれば、自動承認制というものは依然として立派にやつて行けると考える向もあるのであります。これは目下研究中であります。日銀の政策が非常に金繰り圧迫のように見えると申しますのは、元来輸入自動承認制というものは、円資金というものは野放図にいつまでも面倒を見られるものではないという前提に立つておる。その前提を踏襲して頂けば、乃至そこに誤解があつたためにそれを今になつて解くという努力がなされますと、相当圧迫しているように見えるのであります。事情はそういうふうになつております。
  58. 境野清雄

    境野清雄君 もう一つ、今政府がお考えになつているかどううかわからんのですが、こういうような輸入の金繰りというものが相当問題になつている。そこで政府のほうで、或いはそういうものに対する金融を緩和する意味で、備蓄的な方法を立てられて、そうして物資を備蓄するというようなものに対して、あなたのほうの委員会としてのお考えはどんなようなお考えですか。
  59. 木内信胤

    政府委員(木内信胤君) 現在は外貨資金が、大体先ほど申しましたように余裕はない状態になりました。円資金の心配までして使つて欲しい外貨がありません。その問題は一応消えてしまつた形であります。併しながら過去においては、或いは円資金の面倒を見つ輸入をするということを過去においてやるべかりしものであつたかも知れません。私これも一個の考えでありますが、民間の資力としてこんなには買い得ないであろうと思つた輸入を、事実民間がしてしまつたということは事実のようであります。
  60. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに御発言ございませんか。
  61. 境野清雄

    境野清雄君 貿易局長にさつきの数字についてお聞きしたいのですが、あの中に、輸入物資の中に人絹パルプ九万トンというような数字がありましたが、あれは前には七万トンというような数字つたのですが、九万トンになつておりますが、この九万トンの内訳の北欧三国の外貨割当は一カ年になつておるはずですから、残つているのはアメリカとカナダのものだけだと思いますが、アメリカとカナダの割当で九万トンになつておるのですか、それとも北欧を入れたもので九万トンになつておるのですか、おわかりでしたらちよつと……。
  62. 湯川盛夫

    政府委員湯川盛夫君) 正確なことは承知しておりませんが、スウエーデンのパルプはまだ全部買付け終つていないと思います。そういつた意味でこれは北欧のものも皆入つておると思います。
  63. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかに別段御発言ございませんか。……ありませんでしたら、本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時三十一分散会  出席者は左の通り。    理事            古池 信三君            廣瀬與兵衞君    委員            上原 正吉君            小野 義夫君            下條 恭兵君            加藤 正人君            山川 良一君            駒井 藤平君            西田 隆男君            境野 清雄君   政府委員    外国為替管理委    員会委員長   木内 信胤君    外国為替管理委    員会事務局長  牛場 信彦君    通商産業政務次    官       首藤 新八君    通商産業省通商    振興局長    井上 尚一君    経済安定本部貿    易局長     湯川 盛夫君   事務局側    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君