○
政府委員(
首藤新八君)
只今委員長から
石炭の
現状が非常に急迫して参りましたので、最近の
需給の
状態或いは今後の
見通しについての
説明をしろということでありますので、大体の最近の状況を御報告申上げまして御参考に資したいと存じます。
御
承知の
通り石炭は一昨年秋に統制を撤廃しまして、当時
貯炭が
厖大な量に達しておりましたのと、更に昨年の春はいわゆる
健全財政の推進によりまして、
一般の
産業が意外に不振を来しておりました
関係上、勢い
貯炭も非常に殖えておりまして、昨年の七月末には大体四百五十万トン以上の実は
貯炭があつたわけであります。当時
炭鉱業者といたしましては、この
厖大な
貯炭によ
つて金融的にかなりお苦しみになり、前途に対しても非幣な懸念をお持ちに
なつてお
つたのでありますが、その後
朝鮮事変の
影響によかまして、内地の
産業が急激に活況を呈して参つた。同時にこれが
ために
消費も殖えて参
つたのでありまして、殊に昨年の十二月のごときは、一カ月の
荷渡し量が四百二十六万トンというような驚くべき実は量に達したのであります。
従つてその後におきましては、
生産高よりも
消費量のほうが毎月遥かにオーバーいたしまして、
従つて七月末の
厖大な
貯炭も漸次減少いたしたのでありまして、本年一月末には二百二十万トン前後、大体まあ正常の
貯炭に減少いたしたのであります。
ところが御
承知の
通り、その後
炭鉱のストライキがありまして、これが
ために大体八十五万トン前後の
予定生産量が減少いたしたのであります。更に又
朝鮮向といたしまして、二十一万トンという大口の注文が入りまして、もう
一つは御
承知の
通り今年の二月は異常な
渇水期でありまして、これが
ために
火力発電用といたしまして、これ又
相当の
石炭を必要といたしており、殊に
朝鮮向の輸出は中
塊炭以上の
良質炭が要望されましたので、
かたがた在庫は更に急激に減少いたしまして、遂に二月末におきましては百四十数万トンに過ぎない、近年か
つて見ない実は
在庫量に減少いたしたのであります。これが
ためガス発生炉用炭のごときは一時多少障害を来すのではないかというような
状態まで追込まれたのでありまするが、矛、の
後朝鮮向の
特需に対しましても、できるだけの規格の緩和又は
積出の繰延等々の
折衝によりまして、これらの問題もおおむね
解決をいたしたのであります。併しながらかような
事情によりまして
在庫は三月末におきましては、遂に百四十六万トンということにな
つたのでありまして、これ又近年稀有の実は
少い在庫でありますが、ところがその後
文朝鮮向といたしまして、二十一万トンの発注がありました。
かたがた現在のストックは異常な少量に減
つておるわけであります。
そこで二十六年度の
生産予定でありまするが、昨年の実績並びにその後における各
炭鉱の能率の増進等々から勘案いたしまして、本年度の
生産を大体四千四百万トン、それに対して
消費を四千三百五十万トンという実は想定の下に今日まで進んでおるわけでありまするが、これが
ために
坑木をどうしても一千二十五万トン、又坑内の
レール、これも四万トンの
確保が必要となるのでありまして、
レールの四万トンの
確保は大体余り困難なく
解決いたすと考えまするが、
坑木のほうの面におきましては、御
承知の
通りパルプ或いは
人絹等の方面に
相当量の木材の
消費が行われまして、実は競合しておる面もあるような
状態に相成
つておるのであります。
従つてこの面に若干の不安が現在残されておりますけれども、これは
関係安本並びに農林省とも今後強力に
折衝を続けまして、この
程度の
確保は絶対的にいたさなければ相成らぬというふうな気持を持
つておるわけであります。
もう
一つは、
生産高を上げまする
ためには、
電力がどうしても、
炭鉱側の要望を計算いたしますると、十五億八千八百万キロワットというような
厖大な需要が
申請されておるのでありまして、ところがこれに対しまして今日まで割当てられておりまするのは、僅かに十一億キロワットに過ぎないのでありまして、この点も今後
関係各省との間に
折衝を続けまして、できる限り希望の
電力量を
確保いたさなければ相成らぬというふうに考えております。又
資金面につきましても、どうしてもこの際二百億前後は必要とするということで、そのうち外部からは百億円前後はどうして融資を必要とするのじやないかというような
状態にもあるのでありまして、この面に関しましても今後
金融関係との間にいろいろ
折衝をしなければならぬと考えております。
更に又輸送のほうでありまするが、大体四千四百万トンの
生産に対しまして、貨車で輸送する
予定量を三千八百八十八万トン、かように推定いたしておるのでありまするが、それに対して運輸省と
折衝の結果は、三千七百六十二万トンが、これが極限であるというふうな回答を得ておりまして、この面におきましても現在のところ容易に楽観を許さないのでありまするけれども、どうしても汽車のほうで困難がありますれば、機帆船その他を適当に運航の
方法を講じまして、その面において海上輸送を積極的に育成しなければならんじやないかというふうに考えております。なお
只今申上げましたごとく、本年度の
消費が四千三百五十万トン、四千四百万トンに対して四千三百五十万トンでありまするから、
生産量と全く同一なところまで輸送しなければならん
状態に
なつておりまするのみならず、各重要
産業が御
承知の
通り非常な活況を呈しておることと、それから日米経済協力ということも当然今後考えなければならんのじやないか。そうしますと、その面の需要がかなり大きな数字を必要とするのじやないか。又かような重要
産業が非常な活況を呈しておりまする
関係上、例年豊水期においては火力用として
石炭を必要としなか
つたのでありまするが、本年度は恐らくこの夏の間も火力を必要とするのじやないか。現に例年四月以降は火力の
石炭を必要としないのでありまするが、本年は今日においてもなお百万キロワット前後の火力を必要としておるということも考えられますので、今日までの
状態から見ますれば、大体四千三百五十万トンで行けるであろうと考えられまするけれども、
只今申上げましたごとく、重要
産業の活況、殊に日米経済の協力ということで
相当殖えて参るであろうという点も当然考慮しなければならんのじやないかというような
関係から、然らば今後増産をどうするかという面につきまして、いろいろ現在検討を続けておるのでありまするが、先ほど申上げましたごとく、この四千四百万トンの
生産を上げまする上においても、資材の面、或いは金融の面、或いは輸送の面等々、いろいろのネックがまだ解消されておりませんので、当面の問題といたしましては、これらの隘路を急速に打開することに專念いたしまして、更にこれに引続きまして、今後の増産
対策を真劍に考究して参りたい。一応こういうふうな
考え方を現在持
つておるのであります。いろいろ他に御質問があるかと存じまするので、大体現在の
状態の
大綱を御報告いたして置きたいと存じます。